2018年07月15日 (日) 14:57:00

東京商工リサーチによる「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果やいかに?

一昨日の7月13日に東京商工リサーチから2018年3月期決算における「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果が明らかにされています。人様の懐具合なのかもしれませんが、とても興味深くて、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、東京商工リサーチのサイトから役員報酬1億円以上開示企業のグラフを引用すると上の通りです。役員報酬額1億円以上の個別開示は2010年3月期から開始されていますが、2018年3月期では企業数は240社、人数は538人に上り、社数は前年を17社、人数は前年を72人それぞれ上回り、役員報酬1億円以上の社数・人数とも過去最高を更新しています。

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まず、東京商工リサーチのサイトから2018年3月期役員報酬額ランキングのテーブルを引用すると上の通りです。役員報酬の最高額はソニーの平井一夫前社長(現会長)の27億1,300万円で、前年より17億9,900万円増加、歴代5位の報酬額でした。報酬内訳は、基本報酬2億4,400万円、業績連動報酬6億4,700万円、ストックオプション4億900万円(付与数20万株)のほか、2018年4月の社長退任に伴う株式退職金11億8,200万円があります。私のようなサラリーマンには驚くばかりの金額です。続いて、2位はソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で20億1,500万円(前年24億2,700万円)、3位は同社マルセロ・クラウレCOOで13億8,200万円(前年開示なし)、4位は同社ラジーブ・ミスラ副社長で12億3,400万円(前年開示なし)と、ソフトバンクグループの3人が名を連ね、5位は武田薬品工業のクリストフウェバー社長の12億1,700万円(前年10億4,800万円)でした。ソニーの平井会長を除いて、上位5人のうち4人は外国人役員が占めています。私には関係のない世界なんだろうという気がします。
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2018年07月14日 (土) 13:42:00

今週の読書は話題の『大英帝国の歴史』など計7冊!

今週は経済書らしい経済書はなく、ファーガソン教授の人気のTVシリーズを書籍化した『大英帝国の歴史』を中心とした読書でした。以下の7冊です。来週こそは4~5冊にペースダウンする予定です。

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まず、ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史』上下(中央公論新社) です。人気の歴史学ないし経済史学の研究者による2003年放送のTVシリーズの書籍化です。出版も2003年となっていて、TVシリーズ全6回を6章として本書の上下巻に収録しています。上巻の方がやや厚くて「膨張への軌跡」と副題があり、下巻のサブタイトルは「絶頂から凋落へ」となっています。私の方で少し誤解があったんですが、本書はあくまで大英帝国の帝国主義的な海外政策、特に植民地政策や貿易政策などを歴史的に跡付ける研究成果ないしは教養シリーズであり、国内的な産業の発展、すなわち、この時期はいわゆる産業革命に当たる時期を含んでいるものの、ソチラの方への関心はほとんど本書では示されていません。邦訳者あとがきの最後で、日本語タイトルは出版社のご意向ということが明らかにされており、邦訳者は少し抵抗したのかもしれないと勝手に邪推しています。それはともかく、もっぱら、帝国の諸外国に対する対応ぶりに焦点が当てられていて、その際の中心は北米とインドであり、ここでもアジア軽視、というか、例えば、アヘン戦争やシンガポール開発などにはそれほど重点は置かれていません。でも、さすがに、最盛期には太陽没することなき大帝国であった大英帝国の歴史を振り返った重厚な歴史書に仕上がっています。著者のスコットランド人としてのアイデンティティが強調されている部分も見受けられますし、特に、自由と民主主義の価値観を世界に広める上で大英帝国が果たした役割がポジティブに強調されています。また、奴隷制度に関する強く批判的な立場が貫かれています。現在の米国の帝国としての方向性を考える上でも大英帝国の歴史は参考になるかもしれません。

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次に、イアン・ブレマー『対立の世紀』(日本経済新聞出版社) です。著者はご存じ、よく知られた地政学情報の会社ユーラシア・グループを率いています。私はこの著者の本はかなり読んでいるんではないかと思います。本書では、Gゼロ時代に英国のBREXITや米国のトランプ大統領当選、さらに、大陸欧州のいくつかの国でのポピュリズムの台頭を念頭に、邦訳タイトルで「対決」とされていますが、US vs THEM、すなわち、われわれ対彼ら、との対比を設定し、THEMないし彼らを典型的にはイスラム教徒の移民になぞらえて排外的な傾向を見せるポピュリズムを対象にした議論を展開しています。そして、著者のひとつの解決策として提示されるのが、政治や哲学の面からはポピュリスト政治家の主張のような壁を作るのではなく、社会契約の書き換えを目指す方向であり、経済的にはベーシック・インカムの導入です。とても興味深い結論です。安全保障上の本来の集団安全保障とは、世界各国がブロック化せずに国連の下にすべての国が同じ安全保障体制に加われば戦争への抑止力になる、というものではなかったかと、大学で習ったような気がしますが、経済的にベーシック・インカムですべての人を公務員にしてしまえばいい、というのは秀逸な議論ではないかと思ってしまいました。

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次に、ピーター・チャップマン『バナナのグローバル・ヒストリー』(ミネルヴァ書房) です。20世紀初頭から1970~80年代にかけて、ほぼ活動を終息させるユナイテッド・フルーツの活動をグローバル化の視点からリポートしています。典型的には、米国の多国籍企業が中米を舞台に企業活動のためには政権の転覆をはじめとする非合法活動や謀略活動にも手を染めかねない、という活動実態を描き出しています。ユナイテッド・フルーツの基本は中米におけるバナナのプランテーションなんですが、当然ながら、米国内での宣伝活動も含まれており、我が国でよく見かけるフィリピンや台湾のバナナとは違うのかもしれません。ユナイテッド・フルーツのブランドはチキータ、そして、本書で登場するライバル社はドールとデルモンテです。ユナイテッド・フルーツの活動だけではなく、IT&Tが関係したチリのアジェンデ政権に対するピノチェット将軍のクーデタ、イランのパーレビ国王の擁立などもチラリと触れられています。その昔の英国の東インド会社を思わせるような悪逆非道な活動が戦後の20世紀で行われていたのは驚くばかりです。

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次に、青木理『情報隠蔽国家』(河出書房新社) です。著者は共同通信出身のジャーナリストであり、本書は『サンデー毎日』に掲載された記事やコラムなどを収録しています。また、平凡社新書で出版された『日本会議の正体』は私も読んでいます。ということで、権力への対抗軸のひとつとしてのジャーナリズムやメディアの存在意義を感じさせる力作です。主として、私の専門外である安全保障政策やインテリジェンス活動に焦点を当てていますが、本書のタイトルは必ずしも内容を的確に反映していない恨みもあります。私はかなり本書の議論に賛同する部分が少なくないんですが、それでも、2点だけ疑問を呈しておきたいと思います。すなわち、メディアについては権力に迎合するタイプの報道をしているものが少なくないという点と、その背景となっている役所の記者クラブ制度、特にその昔の排他的なクラブ制度については、私は常日ごろから疑問を感じています。メディアのジャーナリストでこれだけ意識高い報道がありながら、それでも現政権が高支持率を維持しているのはなぜなのか、そのあたりも興味あるところです。

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次に、ドン・ロス『経済理論と認知科学』(学文社) です。著者は南アフリカ出身の英国の経済哲学者であり、本書ではミロウスキーの Machine Dreams などを基本として議論を進め、意識、志向性、エージェンシー、セルフ、行動、などなど、生身の人間のこういった経済活動についえ、経済学はこれらをどのように捉えるべきなのか、本書では、伝統的な経済理論の歴史と認知科学の最新の知見に基づいて、両者を結びつける正しい経済学のあり方を探求しています。経済学とはその昔から、人間が登場しないといわれており、生身の人間の経済活動、あるいは選択行動などに関しては、最近の行動経済学や実験経済学などで、伝統的な経済学が前提として来た合理的な経済人の過程を満たさない限定合理性とかが明らかにされつつあり、そういった新たな経済学に哲学的基礎を与えると同時に、認知科学に基づいて合理性を前提とする伝統的な経済学について考え直す、というかなり学際的な試みを展開しています。完全な学術書であり、数式がないにもかかわらず横書きをしていたりしますし、本書で展開されている議論の中身も高度なものがあります。一般のビジネスマン向けとは思えません。

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最後に、河合薫『残念な職場』(PHP新書) です。冒頭の印象的な警句が、日本の会社やオフィスの「現場は一流、経営は三流」というもので、経営サイドの「残念な経営者」や「残念なオフィス」が数多くのケーススタディから明らかにされています。私はキャリアの公務員ながら、いわゆる民間企業でいうところの経営レベルまでは出世しませんでしたので、部分的には判る気もします。特に、著者の関心分野なのか、女性活用については鋭い見方がしばしば提示されています。
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2018年07月13日 (金) 21:14:00

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週月曜日の7月9日に、帝国データバンクから今年上半期の「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされており、失業率が大きく低下するとともに、有効求人倍率が上昇し、正社員の有効求人倍率も1倍を超えて推移するなど、労働市場の需給は逼迫し人で不足が深刻になる中、極めて興味深い結果が示されています。まず、リポートから調査結果(要旨)を5点引用すると以下の通りです。

調査結果(要旨)
  1. 2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生し、負債総額は106億7700万円となった。件数は3年連続で前年同期を上回り、調査開始(2013年1月)以降、半期ベースで最多となり、年間合計で初めて100件を超えた2017年(106件)を上回る勢いとなった
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が38件と過半を占め、前年同期(19件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比26.7%の増加で、最多の19件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が29件(2018年上半期は7件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は26件、「木造建築工事」は23件、「受託開発ソフトウエア」は19件と続いた
  5. 都道府県別の5年間累計では、「東京都」が55件(うち2018年上半期は9件、前年同期5件)と突出している


以下のように、私の興味の範囲ながら、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは人手不足倒産の件数の推移を示しています。2013~15年の3年間は、大雑把に、上半期30件台で年間を通じて70件程度だったんですが、107件を記録した2017年から増加を示して、今年2018年上半期は半期の1~6月で70件に達しています。これらの負債総額は106億7700万円に上り、件数としては半期ごとに前年同期を上回るような勢いです。

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次に、上のグラフは2013年から直近2018年上半期までの5年半累計での倒産件数の上位業種です。細分類になっているようです。通常の産業別では、5年半累計の最多は建設業の139件(構成比33.3%)であり、これに続くのがサービス業123件(29.5%)となり、この2業種で全体の62.8%を占めています。より細かくは上のグラフの通りであり、道路貨物運送29件、老人福祉事業26件、木造建築工事23件、などとなっています。世間一般でいわれている実感通りの結果ではないかと私は受け止めています。

私はエコノミストですので、必ずしも技術には詳しくなく、世間でいわれているようなAIやロボットの活用がどこまで人で不足の労働力を代替できるのか、よく判っていませんが、経済的に冷たく考えれば、人口減少社会の我が国において、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、従って、労働力に対してそれなりの待遇を持って雇用することが出来なければ、そういった企業は、カギカッコ付きながら「非効率」とみなされて市場から退出することとなります。そのすべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
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2018年07月12日 (木) 21:56:00

JTBによる「2018年夏休みの旅行動向」やいかに?

ちょうど1週間前の先週木曜日7月5日にJTBから「2018年夏休みの旅行動向」が明らかにされています。海の日の前日7月15日から8月31日が対象期間です。海外旅行人数は前年比+4.1%増の283万人と過去最高が見込まれる一方で、国内旅行人数は前年並みと予想され、ボーナスは増加も旅行への支出は控えめで、国内は家族で帰省、海外はハワイ・近場アジアが人気、との結果です。
JTBのリポートから2018年夏休みの旅行人数、旅行平均費用、旅行消費額の推計を取りまとめた(表1)を引用すると以下の通りです。

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この夏休みの旅行動向に関する調査は、1969年に調査を開始して以来、50回目だそうです。ご参考まで。
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2018年07月11日 (水) 20:28:00

前月統計からの反動減が思ったほどでもない機械受注と石油価格に連れて上昇する企業物価(PPI)!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、日銀から6月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.7%減の9,079億円を記録しており、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.8%と前月から上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3.7%減 2カ月ぶり減少
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比3.7%減の9079億円だった。減少は2カ月ぶり。4月にあった造船業からの内燃機関の大型案件の受注がなくなった反動が出た。
内閣府は基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
5月の受注額は製造業が1.3%増の4538億円だった。水準としては2008年6月以来の高水準だった。
17業種のうち、5業種が増加した。「化学工業」からの化学機械や風水力機械の受注が増え、受注額は14年7月以来の高水準だった。「電気機械」から、電子計算機などの受注も多かった。
非製造業は0.2%増の4787億円だった。増加は5カ月連続。「建設業」から建設機械の注文が増加した。「運輸業・郵便業」から鉄道車両や道路車両の受注も増えた。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は16.5%増だった。
「統計上、季節調整は需要者別で行っているため、全体の季節調整値とは一致しない」(内閣府)という。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比7.1%増となっている。
6月の企業物価指数、前年比2.8%上昇 原油価格の上昇で
日銀が11日発表した6月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.3で前年同月比2.8%上昇した。前年実績を上回るのは18カ月連続。上昇率は5月の確報値(2.7%上昇)から拡大した。原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品が値上がりし、全体を押し上げた。前月比では0.2%上昇した。
米国が5月に発表したイランへの経済制裁の再開を背景に原油高が進み、ガソリンや軽油の価格が上昇した。中国の環境規制を受け、化学製品の価格も上昇した。
円ベースの輸出物価は前年同月比で3.5%上昇した。前月比では0.1%上昇した。輸入物価は前年同月比で10.5%上昇した。前月比では1.8%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは403品目、下落したのは260品目だった。上昇品目と下落品目の差は143と5月(確報値)の131品目から増えた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注について、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが前月比▲5.7%減でしたので、実績が▲3.7%減とはいえ、決して悲観する見方が広がったわけではありません。加えて、記事にもあるように、もともと4~6月期の見通しは前期比+7.1%増と集計されていて、実は、私はかなり高い伸びなもので実現できるかどうか疑問だったんですが、ひょっとしたら達成できそうな雰囲気もあります。先行指標となる外需も、上のグラフに見られる通り、堅調に推移しています。地合いは強く機械受注は堅調と見ているエコノミストも多そうです。先行きについては、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に向けて設備投資の緩やかな増加が見込まれますが、加えて、人手不足に対応した合理化・省力化投資の増加が想定される一方で、中長期的には、供給制約がどこまで深刻化するか、また、米国に端を発する貿易戦争の様相を呈してきた貿易制限的な通商制約の世界的な高まりが我が国の輸出を通じて、ご個まで機械受注に影響を及ぼすか、おそらく、それなりのネガティブなインパクトあるものと思われますが、にわかには測り難いものがあります。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのうち国内物価の前月比上昇率+0.2%に対する寄与として、石油・石炭製品が+0.15%と圧倒的な大きさを占め、続いて、電力・都市ガス・水道の+0.03%、非鉄金属と化学製品も同じく+0.03%を示すなど、典型的に、エネルギー価格や国際商品市況の上昇に起因した物価上昇と私は受け止めています。ただ、先月の統計公表時には、石油価格は5月の中下旬がピークの可能性があると指摘したんですが、私の見方が間違っていたようで、まだもう少し石油価格は上昇しそうです。私は中国の景気回復の足取りがそこまで、というか、国際商品市況における石油価格をここまで押し上げるだけの伸びを見せるとは思わなかったんですが、中国をはじめとする新興国の景気回復以外の要因で石油価格が上昇しているように思えてなりません。そして、我が国の物価動向は金融政策動向よりもエネルギー価格に敏感に反応しているようです。
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2018年07月10日 (火) 21:12:00

東洋経済オンラインによる「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングやいかに?

先週の木曜日7月5日付けで東洋経済オンラインから「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングの結果が明らかにされています。その頭文字を取ってESGとも略称される分野を重視している企業のランキングで、先行き伸びしろが大きいかもしれない、とマーケットなどで見なされているところです。ということで、以下のテーブルは東洋経済オンラインのサイトから引用しています。

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2018年07月09日 (月) 22:41:00

ようやく下げ止まりに向かう景気ウオッチャーと黒字の続く経常収支!

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.0ポイント上昇して48.1を、先行き判断DIも+0.8ポイント上昇して50.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆9383億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、現状指数が2カ月ぶり上昇 家計動向が改善
内閣府が9日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は48.1と、前の月から1.0ポイント上昇(改善)した。上昇は2カ月ぶり。家計動向関連が改善した。
内閣府は「緩やかな回復基調が続いているもののの、一服感がみられる」と基調判断を据え置いた。
現状判断指数を部門別にみると、家計動向が46.9と前の月から1.7ポイント上昇した。住宅展示場への来場者が増えたとみられ、住宅関連が改善した。「映像家電の売り上げは大型インチを中心に伸びている」(四国の家電量販店)といい、小売り関連も上昇した。
一方、企業動向は49.2と前の月から0.9ポイント低下した。部品が調達できないなど供給制約が厳しく、一般機械業、輸送用機械業などが悪化した。「原油高騰で利益が圧迫されている」(北陸の輸送業)との見方も根強い。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.0で前の月から0.8ポイント上昇した。上昇は2カ月ぶり。家計動向と企業動向が改善した。
家計動向は1.3ポイント改善の49.7だった。猛暑で、飲料や季節家電の販売が伸びるとの期待が強い。「今年は暑くなるとの長期予報もあり、エアコンや冷蔵庫に前年とは違う売り上げが期待される」(東海の家電量販店)。企業動向も、新車販売の増加への期待から製造業を中心に改善した。
半面、雇用動向は2.9ポイント低下の51.8だった。人手不足の厳しさを指摘する声が目立つ。
今回の調査では、近畿地方を中心に6月におきた大阪北部地震の影響を指摘するコメントが増えた。現状判断では「地震以降、来客数が減少している」(近畿の一般レストラン)などのコメントがあった。ただ、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.1ポイント上昇し、改善幅は全国を上回った。
5月の経常黒字、11年ぶり高水準 第1次所得収支は過去最高
財務省が9日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆9383億円の黒字だった。黒字は47カ月連続。黒字額は前年同月に比べて14.5%拡大し、5月としては2007年(2兆1242億円の黒字)以来11年ぶりの高水準となった。第1次所得収支が単月としての最高額を記録した。
海外企業から受け取る配当金や債券の利子を示す第1次所得収支は2兆3980億円の黒字だった。黒字額は23.2%拡大し、比較可能な1985年以降では単月ベースとして最高だった。海外子会社から受け取る配当金など直接投資収益が大きく伸びた。
輸送や旅行といった取引の収支を示すサービス収支は423億円の黒字。輸送収支の赤字幅拡大が響き、黒字額は縮小した。一方で訪日外国人の増加を背景に旅行収支は2113億円の黒字となった。
貿易収支は3038億円の赤字(前年同月は1084億円の赤字)だった。輸入額は13.7%増の6兆6271億円だった。原油高を背景に原粗油の輸入が増えた。輸出額は10.6%増の6兆3232億円。自動車や半導体等製造装置が好調だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でも、とても長くなってしまいました。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウオッチャーは、昨年2017年10~12月期を直近のピークに、今年2018年1~3月期の景気の踊り場を背景に低下を続けていたんですが、6月になってようやく家計や雇用を主たるエンジンとして下げ止まりつつある印象を私は受けています。6月統計については、企業動向関連は製造業・非製造業ともに前月から低下を示しましたが、他方、家計動向関連のうちの高r関連や住宅関連の上昇から、指数全体は上向いています。ただし、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」で据え置いています。マインドが下げ止まりから上向きに転ずるかどうかも、もう少し見極める必要がある、ということなのだろうと受け止めています。また、最近の自然災害、すなわち、大阪北部地震や直近の豪雨災害などの影響は、インバウンドへのインパクトも含めて、まだ十分には織り込まれておらず、関東甲信の早い梅雨明けについても同様の感触を私は持っています。いくつかの景気判断理由を見ても、今夏の天候を前提条件に上げている意見も見受けられ、景気は天気の影響が大きく、物価は国際商品市況の影響下にある、といったところなのかもしれません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。上のグラフを見ても明らかな通り、5月の経常収支の大きな特徴のひとつは貿易収支の黒字が大きく縮小した点です。引用した記事には季節調整していない原系列の統計で貿易収支は赤字と出ていますが、季節調整済みの統計でも5月の貿易収支は黒字ながら大きく縮小しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の値上がりに起因すると考えていますが、原粗油については季節調整済みの系列は公表されていないので、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、原粗油の輸入額は1,514億円に上り前年比は+28.7%増なんですが、数量はわずかに+0.4%の伸びにとどまっています。その差は価格上昇ということになります。いずれにせよ、我が国が長期に景気回復・拡大を続けているのも輸入増加の要因のひとつであり、決して悲観視する必要はないものと私は受け止めています。

 【2018年4月判断】前回との比較【2018年7月判断】
北海道緩やかに回復している緩やかに回復している
東北緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
北陸拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿安定したペースで緩やかに拡大している一部に地震の影響がみられるものの、緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国回復している回復している
九州・沖縄しっかりとした足取りで、緩やかに拡大しているしっかりとした足取りで、緩やかに拡大している


最後に、日銀支店長会議で明らかにされた「さくらリポート」は上の通りです。各地域の景気判断はなぜか前回からすべて横ばいです。ご参考まで。
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2018年07月08日 (日) 21:30:00

好投の先発岩貞投手がエラーの1点に泣く!!

  RHE
横  浜001000000 140
阪  神000000000 051


久し振りにしっかりとテレビ観戦しましたが、好投していた先発岩貞投手がエラーの1点に泣き横浜に敗戦でした。しかも、先発の岩貞投手を5回で早々に諦め、能見投手、藤川投手、桑原投手、ドリス投手と惜しげもなく勝ちパターンのリリーフ陣をつぎ込みましたが、横浜投手陣に阪神打線が5安打に抑え込まれて完封リレーされてしまいました。

オールスター明けの巨人戦は、
がんばれタイガース!
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2018年07月08日 (日) 14:27:00

先週の読書は経済書を中心に計7冊!

先週も経済書を中心によく読んで、以下の通りの計7冊です。ただし、今週は少しペースダウンします。昨日、どこかの新聞の書評で見たファーガソン『大英帝国の歴史』上下を読む予定です。

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まず、小林慶一郎[編著]『財政破綻後』(日本経済新聞出版社) です。本書の基礎となった研究分析は東京財団による「財政危機時の政府の対応プラン」(2013年7月)なんだと思うんですが、家計資産残高と政府債務残高の多寡や経常収支の赤字化などについて、危機発生のトリガーと想定されるシナリオを分析した部分がなくなっていて、むしろ、無条件に政府の財政破綻が近づいているような印象がないでもありません。ただ、シルバー・デモクラシーによる高齢者向け施策の過剰な「充実」が財政破綻の引き金になる可能性は増しているとの認識は共有します。トリアージと称したプライオリティ付けが目を引きますが、私の目から見て、統合政府化で日銀の国債買い入れが債務残高とどう関係するかは、やや疑問が残りました。私は日銀が国債を買い入れれば償還の必要がなくなる、というか、償還が形だけになって、その金額が遅かれ早かれ国庫に返納されると考えているんですが、そうではないというのが本書の主張です。よく判りません。財政破綻すれば、既得権益がゼロベースに戻るので、年金や医療・介護などの社会保障の新たな制度設計が重要という指摘は、従来からコッソリと囁かれてきた点ですが、ここまで表に出して主張すると影響力がありそうです。最後に、本書で考えられている程度の財政破綻後の対応策は、とっくに財務省は持っているような気が私はするんですが、いかがなもんでしょうか。

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次に、スティーヴ・キーン『次なる金融危機』(岩波書店) です。私はなじみなかったんですが、著者はオーストラリア出身の英国をホームグラウンドとする経済学者であり、カオス理論を応用して、金融危機が起こるプロセスのシミュレーションに成功したといわれています。特に、民間債務残高の危険度を指標とした予測モデルから導出されるいくつかのグラフィックスはなかなか見応えがあります。もとも、カオス理論でどこまで金融危機の発生が予測できるかは議論の残るところであり、少なくとも、本書で主張するように、利潤最大化を超えて投資を行い資本ストックが積み上がり、その後のストック調整が大規模かつ長期にわたるのは、事実としてそうなっているのは現実経済を見れば明らかな通りに理解できるが、そのカオス理論に基づく根拠が私には不明でした。どうしてそうなるのか、カオス理論で解明できたとは到底思えません。これは、利益最大化を超えて投資するという行為について、利益最大化が何らかの矛盾を持っていると考えざるを得ないと私は予想しているんですが、バブル期に過大にに投資したり、デフレ期に過少な投資しかしなかったりとする投資家心理の問題なのか、それとも、利益最大化の合理性が失われているのか、本質的な疑問に答えてくれていない恨みはあります。

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次に、ルチル・シャルマ『シャルマの未来予測』(東洋経済) です。著者はインド出身でモルガン・スタンレーの市場エコノミストです。私は同じ著者の前著である『ブレイクアウト・ネーションズ』は読んでいないんですが、よく似た内容であり、著者はBRICsやVISTAの台頭を予見したといわれていますので、それほど理論的ではなく、市場エコノミストの直感的な、というか、経験則的な見方で、人口構成・政治サイクル・格差などの本書でいう10の観点から先行きを大胆に予測しています。ということで、モロなネタバレなんですが、成長する国は、日本、アメリカ、メキシコ、アルゼンチン、フィリピン、インドネシア、インド、パキスタン、バングラディシュ、ドイツ、ルーマニア、ケニアで、現状維持は、コロンビア、イギリス、イタリア、スペイン、沈む国は、中国、韓国、台湾、タイ、マレーシア、オーストラリア、ロシア、フランス、トルコ、中東諸国、南アフリカ、ナイジェリア、などとされています。日本についてはアベノミクスの貢献が明記されています。

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次に、丸山俊一『欲望の資本主義 2』(東洋経済) です。前シリーズの『欲望の資本主義』の続巻なんですが、いずれもNHK「欲望の資本主義」制作班によるノベライズです。ですから、基本は対談を文字に書き起こしたわけであって、放送をバッチリと見ていた、聞いていた視聴者には必要ない本なのかもしれませんし、逆に、本で読むならテレビ番組を見る必要はないのかもしれません。副題が「闇の力が目覚める時」とされていて、ややマルクス主義的な考え方がこの「闇の力」に相当するような記述も見られ、私はやや不愉快でした。コンピュータの進化やAIの登場などを細かに主張しながらも、大筋の議論が出来ていない印象があり、細かな表現でテレビ・ラジオ的には映えるのかもしれませんが、ホントに資本主義の今後の方向性を議論する題材にはなりそうもありません。

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次に、ジャック・ペレッティ『世界を変えた14の密約』(文藝春秋) です。邦訳タイトルは英語の原題とかなり違っており、上の画像の帯にあるような「企業間の密約」により世界の動向が決められているかのような本の内容ではありません。14の中身について出版社のサイトから引用すると、「現金の消滅」、「熾烈な格差」、「ダイエット基準」、「買い替え強制の罠」、「フェイクニュースの氾濫」、「投機リスク」、「租税回避のカラクリ」、「薬漬け」、「改革されない働き方」、「新自由主義の誕生」、「企業の政府支配」、「AIに酷使される未来」、「知性の取引」、「21世紀のインフラ」、ということになります。著者はイタリア系英国人のジャーナリストであり、本書の内容はBBCにて映像化されて反響を呼んだようです。14項目がそのまま章立てになっているわけですが、やや内容や視点にバラツキがあるものの、14項目を見るだけでも十分にリベラルで左派的な視点であることは想像されようかと思います。英国の現状だけでなくごろーばる化の進む現在では我が国にもそのまま当てはまるポイントが少なくないと受け止めています。

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次に、西岡壱誠『東大読書』(東洋経済) です。今さらながら、なんですが、私はキャリアの国家公務員であり、東大卒業生の比率が異常に高いオフィスに勤務していますし、日曜日のTBSテレビで東大王なるクイズ番組を見ることがあったりして、それなりに東大生の優秀性は理解しているつもりです。本書では明記されていないんですが、著者の出身高校は宝仙学園とネットでウワサされています。この出身校については私には確認のしようがありませんし、ネットでは疑問が呈されていたりするんですが、ただ、読書を効率よくしっかりと実りあるものにするという点から、本書の中身は秀逸だと思います。少なくとも、読書についてはそれなりに準備すべきという点は忘れるべきではありません。もっとも、本書では読書をものすごく狭い意味でとらえており、少なくとも、教科書をはじめとする学術書や教養書や実用書などに限定しているような気がして、文芸書や小説は本書ではスコープに入っていないようです。その上、私はもっとも読書の内容を濃くするためにはノートを取るべきであると考えており、例えば、大昔に公務員試験の準備や対策をしていたころに、経済学のミクロ・マクロの教科書を読んで取ったノートが我が家にはまだ残っていたりするんですが、本書では付箋で代用されていて、やや中途半端な気がします。それなりにタメになるとはいえ、やや物足りない気もします。加えて、副題が『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく』とされているところ、後者の「地頭力」については何の言及もないような気がしてなりません。これも残念な点です。

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最後に、我孫子武丸『怪盗不思議紳士』(角川書店) です。作者はご存じ新本格派のミステリ作家で京都大学のミステリ研究会出身です。綾辻行人や法月綸太郎や麻耶雄嵩などと同じ系統なわけです。でも、本書の舞台は終戦間もない東京です。戦災孤児の草野瑞樹は上野の闇市での事件をきっかけに探偵の九条響太郎の助手になり、警察にも頼りにされる名探偵・九条響太郎は「不思議紳士」と名乗る怪盗と対決したりします。ということで、江戸川乱歩の少年探偵シリーズをそっくりそのまま、明智小五郎を九条響太郎に、その助手の小林少年を草野瑞樹に、さらに、怪盗20面相を不思議紳士に、それぞれ置き換えているわけですが、とても新たな趣向も取り入れられています。まず、わけも判らず、占領軍の高級将校が事件に介入してきます。もちろん、警視庁の刑事なんぞよりはよっぽどエラそうに捜査を指揮したりします。そして、名探偵・九条響太郎が早々に死んでしまい、その身代わりを立てて少年助手が身代わり探偵を操る、となります。怪盗のサイドでも、本来の「不思議紳士」は怪盗20面相と同じで、殺人はおろか人を傷つけることも忌避する性向があるんですが、最初の事件では被害者の一家皆殺しをしたりします。新本格らしい謎解きではないんですが、それなりに楽しめる作品です。
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2018年07月07日 (土) 08:24:00

米国雇用統計に見る堅調な雇用は貿易戦争でどうなるか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+213千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を上回った一方で、失業率は前月から0.2%ポイント上昇したものの4.0%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事の最初の7パラを引用すると以下の通りです。

June jobs report: U.S. economy adds 213,000 jobs but unemployment rises to 4%
Employment growth was strong for a second consecutive month in June as the economy added 213,000 jobs despite worker shortages and mounting U.S. trade tensions.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey, rose from an 18-year low of 3.8% to 4% as 600,000 Americans, including many discouraged workers on the sidelines, streamed into a favorable job market, the Labor Department said Friday.
Economists expected 195,000 payroll gains, according to a Bloomberg survey.
Many experts have expected job gains to slow because the low employment rate is making it harder for firms to find workers. Also, President Donald Trump has slapped tariffs on imports that have provoked tit-for-tat countermeasures by other countries in an escalating trade war that's starting to unnerve U.S. corporations.
But before Friday's report, monthly additions have averaged about 200,000 this year. And Goldman Sachs says the tight labor market tends to boost hiring in June as companies aggressively target students and graduates.
Average hourly earnings increased 5 cents to $26.98, keeping the annual increase unchanged at 2.7 percent. Pay hikes haven't picked up as much as anticipated in light of the historically low jobless rate, but economists expect annual gains to reach 3 percent by the end of the year.
An acceleration in pay increases could prompt the Federal Reserve to raise interest rates more sharply to head off a spike in inflation. The unchanged 2.7 percent rise in June helps keep the Fed on a gradual path of rate hikes.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、6月の雇用は前月から+213千人増加し、5月の+244千人増と合わせて2か月連続で+200千人増を超え、最近3か月の4~6月の月平均で+200千人増を超えています。失業率は前月からやや上昇して4.0%を記録しましたが、引き続き低水準にあり、米国連邦準備制度理事会(FED)では年内にも3%台半ばにまで低下する可能性が取り沙汰されていると報じられています。要するに、目先のスコープでは米国の雇用は極めて堅調であり、雇用が悪化する見込みは議論されていません。ですから、現時点では今年から来年にかけて年間3回程度の利上げペースが見込まれていて、現状では雇用統計から利上げペースに変更を加える可能性はないと考えるべきですが、他方、貿易戦争と呼ばれるような輸入制限や関税率引き上げなどの通商制限的な政策が導入されれば、目先は米国内での生産が増加することから雇用がさらに拡大する可能性はあるものの、諸外国からの報復措置も考慮すれば、雇用への中長期的な影響は不透明と考えるべきです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、6月は前年同月比で+2.6%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、+2%の物価目標を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であると考えるのが妥当かもしれません。
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