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2019年02月20日 (水) 19:26:00

春節の影響で対中国輸出が大幅減となり貿易統計は4か月連続の赤字!

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲8.4%減の5兆5742億円、輸入額は▲0.6%減の6兆9895億円、差引き貿易収支は▱兆4152億円の赤字を計上しています。原系列の貿易統計での赤字は4か月連続です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易統計、対中輸出17%減 電機・半導体関連落ち込む
財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆4152億円の赤字だった。赤字は4カ月連続。輸出入ともに減少したが、中国向けの低迷などを背景に輸出減の影響が上回った。中国向け輸出は電気機器や半導体関連が落ち込み前年同月比17.4%減少した。
輸出額は前年同月比8.4%減の5兆5742億円だった。減少は2カ月連続。パナマ向け船舶や韓国向け半導体等製造装置、中国向け鉄鋼が全体を押し下げた。
国・地域別では、中国向け輸出額が9581億円と17.4%減少した。減少は2カ月連続で、2017年1月以来の低水準となった。電気回路等の機器やプラスチック、半導体等製造装置といった品目が減少した。財務省関税局は「中国向け輸出は春節(旧正月)日程の影響がでた」と説明した。
輸入額は0.6%減の6兆9895億円。10カ月ぶりに減少した。原油安を背景に原粗油や石油製品が落ち込んだ。1月の原粗油の円建て輸入単価は5.6%下落した。
対米国の貿易収支は3674億円の黒字で、黒字額は5.1%増加した。増加は7カ月ぶり。自動車や医薬品がけん引し、米国向け輸出は全体で6.8%増加した。輸入は原粗油などの増加で7.7%増となった。
1月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=109円47銭。前年同月に比べて2.7%円高・ドル安に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲1兆109億円の貿易赤字でしたので、4か月連続の貿易赤字も、▲1兆円超えの赤字額も、どちらも大きなサプライズではありません。国際商品市況における石油価格が、ピークを過ぎたとはいえ、まだ高い状況が続いていますし、2月上旬の中華圏の春節に合わせて、1月の生産調整が実施された結果です。また、原系列の統計では4か月連続の貿易赤字ですが、トレンドを見た季節調整済の系列では昨年2018年年央の7月から半年余りの間貿易赤字が続いています。ただ、上のグラフにも見える通り、輸出入ともに減少しての貿易赤字が続いています。なお、輸入額のピークは国際商品市況の動向にほぼ対応して、昨年2018年10月でした。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、現時点での輸出を見る際の注意点は、中国の景気が上向いているにもかかわらず、まだOECD先行指数が前年同月比でマイナスのままですので、我が国からの輸出が減少を続けていて、先進国加盟国の集合体であるOECDの先行指数は前年同月比マイナス、かつ、下り坂でマイナス幅が拡大していますので、我が国の輸出にとっては中国向けと先進国向けのいずれも需要サイドで減少要因となっており、さらに、引用した記事にもある通り、為替がやや円高に触れていますので、価格サイドも減少要因となっていて、どちらも輸出には逆風です。3月統計を見て、中華圏の春節が終了した後の世界経済を見据える必要があるかもしれません。
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2019年02月19日 (火) 21:23:00

最近の各社プレスリリースから興味深い画像を収集する!

最近は、定年退職間際で時間的な余裕もでき、いろんなサイトを見て回ったりしているんですが、今日は2つほど興味深い画像をお示ししたいと思います。

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まず、2月4日に明らかにされた総合旅行プラットフォームのエアトリのリポートから、春休みの学生人気急上昇海外旅行先ランキングは上の通りです。ランキングは2種類あって、上のテーブルは旅行先のランキングであり、もうひとつ、引用はしませんが、昨年比で人気急上昇のランキングもあります。人気急上昇の1位は直行便が開通したミラノ(イタリア)、2位はトルコのイスタンブールと渋いところが上がっています。実は、我が家の上の倅はこの3月に大学を卒業して就職しますので、まさに学生最後の春休みです。私の仕事の都合で海外帰国子女であり、最初に入学した小学校はジャカルタ日本人学校だったりしますので、今までも大学に入学してから海外旅行に行ったこともあったりします。

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次に、1月31日に明らかにされたプレスリリースから、フリマ・アプリの大手メルカリの2018年の利用動向は上の通りです。性別年代別の月間1人当り売上額です。購入額も知りたいところですが、明らかにされていません。メルカリなどのフリマ・アプリは中年女性の利用者が多い、と私なんぞは勝手に思い込んでいたわけで、とても意外だったんですが、各年代とも売上額は男性の方が多い結果が示されています。
年代・性別ごとに売上額が高いカテゴリーについては、10~20代の男性はトレーディングカードやテレビゲームなどの売上額が高く、30~40代ではアパレルの中でも比較的高値のジャケットやアウターを売却しており、また、50代以上になるとさらに単価の高い時計やPCやタブレット、またゴルフといった趣味に関するグッズをメルカリに出品しているようです。他方、10~20代の女性はタレントグッズやおもちゃなどを売却しているほか、10~30代の女性は子供のおもちゃを多く現金化しており、また、30~50代はバッグやアクセサリーなどの装飾品を、さらに60代以上になると着物や食器といった家に眠っている物の出品が増加しているようです。
昨年、IPOに成功したメルカリはIRの方も熱心なようです。
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2019年02月18日 (月) 19:19:00

2か月連続で前月比マイナスを記録した機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2019年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲0.1%減の8626億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の機械受注、前月比0.1%減 19年1-3月期見通しは1.8%減
内閣府が18日発表した2018年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.1%減の8626億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1.1%減だった。
うち製造業は8.5%減、非製造業は6.8%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」に変更した。
10~12月期の四半期ベースは前期比4.2%減だった。19年1~3月期は1.8%減の見通し。
あわせて発表した18年の船舶・民需を除いた民需の受注額は前年比3.6%増の10兆5091億円だった。製造業は8.9%増、非製造業は0.5%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスであるコア機械受注の季節調整済の前月比▲1.1%減は上回ったものの、2か月連続でわずかながら前月比マイナスを続けた上に、四半期で見て昨年2018年101~12月期の実績が前期比で▲4.2%減、さらに、今年2019年1~3月期の見通しが▲1.8%減ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」からハッキリと「足踏み」に半ノッチ下方修正しています。特に、非製造業は人で不足や来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えているせいか、それなりの増加を示しているんですが、製造業でマイナスを記録しており、米中貿易摩擦や、まだ、統計に影響が現れているとは思えないものの、例のメキシコ国境の壁を巡っての米国トランプ大統領の「非常事態宣言」などの海外要因が重しとなっているように私は見ています。1~3月期の見通しでも、非製造業は前期比プラスが見込まれている一方で、製造業は▲2.2%のマイナスが予想されています。足元から目先にかけて、引き続き、製造業では世界経済の動向に従って横ばいないし減少傾向が続く一方で、人手不足などから非製造業では堅調に推移するものと私は考えています。ただ、方向性ではなく、受注の水準としてはかなり高い状態が続いていることは忘れるべきではありません。
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2019年02月17日 (日) 14:39:00

日本気象協会による花粉飛散予測やいかに?

少し旧聞に属する話題ですが、2月14日に日本気象協会から「花粉飛散予測(第4報)」が明らかにされています。すでに、東海や中国、四国の一部や東京都などで花粉の飛散開始が確認されています。簡単に取り上げておきます。

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上の日本地図は2019年今年のスギ花粉前線です。日本気象協会のサイトから引用しています。東京都をはじめとして、関東はほぼ花粉飛散が始まっています。

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上の日本地図は2019年今年の花粉の飛ぶ量を、上は例年比で、下は昨シーズン比で、それぞれ都道府県別に色分けしています。これも、日本気象協会のサイトから引用しています。我が住まいのある東京都は、昨年比でも、昨シーズン比でも、いずれも「並」ということのようです。ただ、先週日曜日2月11日に取り上げたウェザーニュースの「速報・第3回花粉飛散傾向」では、関東地方は平年比2倍近い飛散量と予想されていましたので、「関東」と「東京」の違いはあるにせよ、1週間で予想がそれほど大きく変わるわけでもないでしょうし、どちらが正確な予想のか、やや疑問が残ります。
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2019年02月16日 (土) 17:11:00

今週の読書は特に印象的な『NEW POWER』をはじめとして計7冊!

今週の読書は、通常通りの数冊、経済書からウィルス論まで、以下の7冊です。ただ、その中で、ジェレミー・ハイマンズ & ヘンリー・ティムズ『NEW POWER』(ダイヤモンド社) がとても印象的でした。まだ2月半ばながら、今年のマイベストかもしれません。なお、今週は小説はありませんが、来週は小説も読みたいと予定しています。

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まず、橘木俊詔『定年後の経済学』(PHP研究所) です。著者はご存じ京都大学を定年退職したエコノミストであり、専門は労働経済学などのマイクロな経済分析です。私は少しだけながら面識があることから、きっと、もっと仕事がしたいというワーカホリックな著者の意向を強く反映して、定年制に対する著者ご本人の否定的な見解が満載されているのではないかと想像していたのですが、決してそうではありませんでした。書き出しこそ、海外では日本のような定年制は年齢による差別と受け取られる、とかで始まっているものの、定年制攻撃はなされていません。もっとも、上の表紙画像の帯に見られるような従来からの主張である格差論を展開しているわけでもなく、最終第6章を別にすれば、むしろ、淡々とタイトル通りの定年後の生活や諸制度を経済学を援用しつつ分析ないし解説しています。ただし、マクロもミクロも経済制度や経済現象を単独で取り出しても仕方ないところがあり、定年制についても雇用制度全体の中で考える必要があります。その点で、本書はやや私とは視点が異なり、通常の理解のように、終身雇用ないし長期雇用の中で若年期間は生産性を下回る賃金が支給され、逆に、中高年齢層には生産性を上回る生活給的な賃金が支払われる、という高度成長期に確立した我が国特有の雇用慣行と併せて考える必要があります。すなわち、長期雇用慣行の下では、どこかで賃金上昇をストップさせるか、そうでなければ、雇用そのものをストップするしかないわけです。本書では、退職金が長期雇用や生産性に比較した賃金支払と関連付けて論じられていますが、タイトルである定年制とは関係する議論はありません。本書でも引用されているラジアー教授による、我が国長期雇用との関連の仮説は、退職金ではなく定年制とリンクしていると考えるべきです。加えて、我が国の労働市場や社会保障制度において、かなり常軌を逸して恒例世代に有利で若年世代に不利な制度や慣行が成立してしまっています。先ほどの生産性と賃金の関係もそうですし、政治的な力関係で決まりかねない社会保障についてはもっとそうで、高齢世代をやたらと優遇する制度設計になっています。それを断ち切って若年世代の雇用を促進するため、私は年齢による差別であっても定年制の存在意義はあるものと考えています。ただ、平均的な日本国民と比較しても勤労意欲が決して高くない私ですら働き続け8日と考えざるを得ない背景には所得を得ねばならないという悲しい現実があります。その視点も本書では希薄ではなかろうかという気がします。

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次に、要藤正任『ソーシャル・キャピタルの経済分析』(慶応義塾大学出版会) です。著者は、国土交通総研の研究者であり、出版社からしても、かなりの程度に学術書に近いと考えるべきです。ということで、定義が今ひとつはっきりしないながら、『孤独なボウリング』で有名なパットナム教授による集合行為問題、すなわち、相互の信頼性とか、互酬性とかの人と人とのつながりを肯定的に捉えようとする姿勢、その集合体としてのソーシャル・キャピタルについて、定義と定量化を考え、また、いかに形成されるか、あるいは、世代間で継承・共有されるか、地域社会に有意義なフィードバックが及ぶか、などなどにつき、国際機関などでの研究をサーベイしつつ、また、可能な範囲でフォーマルな定量分析を試みています。伝統的な経済学では、企業は利潤を極大化しようとすますし、個人または家計は効用を最大化しようとします。そして、古典派経済学ではスミスのいうような神の見えざる手により、個々人が慈悲心ではなく利己的な効用最大化を図ることにより、社会的な分業体制のもとで市場が最適な資源配分の基礎となる、ということになっています。でも、ケインズがそのマクロ経済学で明らかにしたように、景気循環は市場経済では緩和されませんし、ナッシュやゲーム理論化が明らかにしたように、何らかの協力の下でゲーム参加者互いの効用をもっと公平に、あるいは、大きくすることも可能です。本書では、伝統的な経済学から外れはするものの、ソーシャル・キャピタルについて地域経済との関係を主に分析を進めています。ただ、まだ未成熟な研究分野ですので、やや勇み足のように先走った分析も見られます。例えば、幸福阻止表のようにGDPを否定する、とまでいわないものの、一定の代替性を認めておきながら、ソーシャル・キャピタルと1人当りGDPで代理した豊かさを回帰分析しようと試みたりしています。でも、一昨年ノーベル経済学賞が授賞された行動経済学や実験経済学などのように、合理性豊かな経済活動を前提にするのではなく、より根源的な人間性に根ざした経済分析として、まや、幸福度指標などとともに、国際機関での研究も盛んですし、今後の注目株かもしれません。

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次に、ジェレミー・ハイマンズ & ヘンリー・ティムズ『NEW POWER』(ダイヤモンド社) です。著者は、本書の著者は、amazonのサイトでは「ハーバード大、マッキンゼー、オックスフォード大などを経て、現在は、ニューヨークから世界中に21世紀型ムーブメントを展開しているハイマンズと、約100か国を巻き込み、1億ドル以上の資金収集に成功したムーブメントの仕掛け人であり、スタンフォード大でも活躍するティムズ。」と紹介されています。判る人には判るんでしょうが、ニューパワーとは縁遠い公務員の世界に長らく働く私にはよく判りませんでした。ということで、パワーをバートランド・ラッセルに基づいて「意図した効果を生み出し能力」と定義し、統制型からシェア型へ、競争からコラボへ、また、プロからアマへ、などなど、BREXITのレファレンダムやトランプ米国大統領の当選などのあった2016年あたりを境にして、ここ2~3年で大きく変化した新しい世界のルール、法則を解明しようと試みています。オールド・パワーとニュー・パワーを対比させていますが、前者が非効率とか、あるいは広い意味でよくないとか、また、前者から後者にこれからシフトする、とかの単純な構図ではなく、両者のベストミックスの追求も含めて、いろんなパワーや影響力の行使のあり方を考えています。いろんな読み方の出来る本だという気がしますが、私のようなエコノミストからすれば、あるいは、そうでなくても広く一般的にビジネス・パーソンなどは、企業における組織や企業行動のあり方とか、イノベーションを生み出す源泉とか、経済活動について古典派経済学的な家計の効用最大化や企業の利潤極大化に代わる経済社会の新たなあり方、などの方向付けとして読まれそうな気がします。強くします。繰り返しになりますが、今年に入ってまだわずかに1か月半ながら、ひょっとしたら、今年もマイベストかもしれません。長々と私ごときが論評するよりも、ハーバード・ビジネス・レビューのサイトに原書の解説で "Understanding 'New Power'" と題して掲載されている記事から2つの図表、邦訳書ではp.51とp.65の本書のキモとなる図表2つを引用しておきます。これで十分ではないかと思います。
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邦訳書にはないんですが、下の図表には、執務室のオバマ大統領はオールドパワーのモデルとオールドパワーの価値観に基づいていたのに対して、選挙活動中のオバマ大統領はニューパワーのモデルとニューパワーの価値観に立脚していた、とされる点です。また、邦訳書でもフォーカスされていますが、アップルはiPhoneなどを出しているにもかかわらず、オールドパワーのモデルとオールドパワーの価値観に基づいて企業活動を行っていると著者は理解しているようです。どちらも、そうかもしれません。

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次に、小路田泰直・田中希生[編]『明治維新とは何か?』(東京堂出版) です。著者は、私の専門外でよく判らないんですが、どちらも奈良女子大学の研究者です。基本は、歴史学の視点から、明治維新150周年を記念して奈良女子大学で開催された公開セミナーの講演録となっています。ただ、歴史学だけでなく、政治学の視点も大いに入っているような気がします。ということで、編者の1人による冒頭の「刊行にあたって」では、明確に明治維新に対する講座派的な見方が否定されています。その上で、本書が皇国史観に基づいているとは決して思えませんが、本居宣長や平田篤胤などのいわゆる国学に則った見方が引用されたり、神話にさかのぼった天皇観が示されたりと、私にはとても違和感ある明治維新観の書となっている気がします。私は大学のころには西洋経済史のゼミに属していましたが、いわゆる労農派的なブルジョワ民主主義革命でなく、明確に講座派的な見方が明治維新については成り立つと考えています。すなわち、特に、私の見方では、土地所有制度と農業経営において、英国的な借地と地代支払いに基づく資本主義的な農業経営ではなく、さすがに土地緊縛や領地裁判権はないとしても、封建制の残滓を大いに残した前近代的な特徴を持った不完全な資本主義制度の成立であったことは明らかです。ですからこそ、戦後のGHQによる大きな改革の中に農地開放と労働民主化が含まれていた、と考えるべきです。まあ、そのひとつの結論として二段階革命論というのがあるわけですが、それはともかく、我が国経済史学界で最大の影響力を持つ大塚史学でも日本の民主主義の担い手として自由で独立した市民社会が形成されていたとは見なされておらず、少なくとも、経済史の分野では、明治維新が不徹底なブルジョワ民主化であったという評価は、かなりの程度に確立された見方だという気がします。神話や国学にさかのぼった解釈が主を占める本書が、その明治維新の本質をどこまで解明できたのか、私には大きな疑問が残ります。

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次に、浅古泰史『ゲーム理論で考える政治学』(有斐閣) です。著者は早稲田大学の研究者であり、タイトルは政治学となっていますが、実は、著者のアカデミック・コースは一貫して経済学分野だったりします。それはともかく、読んでいるわけではないものの私が知る限り、政治学に関するゲーム理論のテキストはジェイムズ・モローによる『政治学のためのゲーム理論』(勁草書房)であり、邦訳書は割合と最近ここ2~3年の出版ですが、原書が1990年代なかばとかなり古く、ゲーム理論の最近の伸展を見るにつけ、本書のような数式でキチンと表現されたフォーマルなモデルを扱うテキストも必要という気がします。ただし、ゲーム論のモデルとしてそれほど数学表現されておらず、どこまで有効なのかは専門外ながら、はなはだ心もとない気もします。すなわち、単なる仮の数字を当てはめての確率計算に終止している気もしないでもありません。それから、著者の元のホームグラウンドが経済学ですので、かなり集合的なモデル表現になっている気がします。すなわち、経済学のモデルでは、一方で、企業部門ではたったひとつの企業がすべての財を生産し、かつ、すべての労働を需要しつつ、他方で、家計部門は代表的なたったひとつの家計がすべての財を購入・消費しつつ、かつ、すべての労働を供給する、と考えればそれでこと足りる気もしますが、政治学ではそれなムチャに単純化しすぎたモデルだろうと私は考えます。すなわち、本書冒頭の選挙についても、単純化されたモデルとはいえ、投票先として与党と野党、投票する国民というか、有権者としてコアな与党支持者とコアな野党支持者と浮動票、くらいの分類は必要ではないか、と考えるのは私のようなシロートだけなんでしょうか。加えて、政治学では何らかの利益・不利益の分配に関する調整が行われる過程を分析する場合も多そうな気がするところ、そういったモデルは扱われていない気がします。まあ何と申しましょうかで、物理学を数少ない例外として、こういった専門の経済学以外の学問分野のモデル分析を勉強するにつけ、私のようなエコノミストから見てもモデルの欠陥が目につくんですから、他の分野の専門家が経済学のモデルを見ると、いい加減で現実適用性が低い、と受け止めているんだろうなあ、という気がしてしまい、我と我が学問分野を振り返って反省しきりとなってしまいます。

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次に、稲田雅洋『総選挙はこのようにして始まった』(有志舎) です。著者は社会学の研究者であり、かなりのご年配です。第6章まである構成をお考えだったようで、議会と立憲政治をテーマにしたかったようですが、年齢や体調との関係で4章構成の第1回総選挙に的を絞ったようです。そして、本書もまた、コミンテルンの32年テーゼを基とする講座派的な第1回総選挙やその結果として成立した議会=衆議院を「地主の議会」とする従来からの支配的な見方に対するチャレンジと志しています。ということで、まず、おさらいですが、1890年の第1回総選挙、すなわち、衆議院議員選挙は25歳以上成年男子が選挙権と非選挙権をもつんですが、制限選挙であり、直接国税15円以上の多額納税者に選挙権も被選挙権も限定されていました。それも地租なら1年、所得税なら3年の継続期間が必要でした。衆議院議員がほとんど地主とされる根拠のひとつですが、著者はこれを否定します。すなわち、第1章では候補者に焦点を当てて、特に民権派議員の中にとても地主とは思えない中江兆民とかが入っており、その背景に、こういった民権派活動家などを議会に送り出したい人々が土地の名義や税金支払人の名義を書き換えて、これらの民権派活動家などを財産家に仕立て上げた、という点を第1章で強調しています。候補者ご本人が議員になりたかった場合をwin-win型と命名し、そうでない場合を勝手連型と本書では名付けています。そうかもしれません。その上で、第2章では、選挙の有権者にスポットを当てて、今でいうところの「1票の格差」を取り上げ、確かに、地方では地主が有権者が多くを占めていたものの、1票の格差からそれほど多くの議員を選べず、地主が少なかった都市部の1票の重みの方が10倍近い格差でもって議員を選ぶウェイトがあった、と結論づけています。さらに、第3章では当選人の分類を試み、第4章では民権派の圧勝に終わった栃木県と、逆に、民権派がほとんど当選しなかった愛知県をケーススタディとして取り上げています。まあ、いろんな考えから、コミンテルン32年テーゼに従った講座派的な歴史観に異を唱えるのは判らないでもないですが、本書で明記しているように、ソ連の崩壊をもってコミンテルンのテーゼがすべて無効になったとする考え方には私は同意できません。明治維新に対する歴史観も含めて、明治期の土地所有制が半封建的な寄生地主であったことは明白ですし、第1回総選挙の結果の衆議院議員が地主でなくても、講座派の歴史観を否定することにはつながらないような気がします。

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最後に、山内一也『ウイルスの意味論』(みすず書房) です。著者は獣医学が基本ながら、北里研究所や東大で研究者を務めたウイルスの専門家です。ただ、90歳近い年齢ですから、現役ではないのかもしれません。本書は月刊「みすず」の連載を単行本化したものです。ということで、単なるウイスルに関する書物ではなく、なかなかに難解な「意味論」がついています。ただ、私は専門外ですので、どこまで理解したかは自信がありませんが、「意味論」の部分は関係なくウイルスに関して現時点で、どこまで科学的な解明がなされているかを明快に取りまとめています。まず、本書でもひとつのテーマとなっているんですが、ウイルスは生命あるいは生物であるのかどうか、NASAの地球外生命探査計画で定義された「ダーウィン進化が可能な自立した化学システム」も援用しつつ、私の理解した範囲では、細胞内にあるときはウイルスは生命・生物であり、細胞外にあるときは無生物、ということになりそうです。もちろん、この生物・無生物の定義の他にも、根絶された天然痘ウイルス、まだ根絶されていないものの、かなり抑え込まれた麻疹ウイルス、などの人間界から閉め出されつつあるウイルス、もちろん、逆に、人間だけでなく昆虫などと共生し何らかの利益をもたらすウイルス、さらに、海中などの水の中に多数存在するウイルスなどなど、私のようなシロートにもそれなりに判りやすいウイルスのうんちく話を詰め込んでいます。通常の理解では、ウイルス=病気、怖くて予防すべき、と考えがちで、おおむね、その通りなんでしょうが、そうでない例外も少なくない点を含めて、いろんなトピックがいろいろと盛り込まれています。まあ、専門外の読書でしたので簡単に切り上げておきます。
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2019年02月15日 (金) 21:31:00

日本経済研究センター(JCER)研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」はやっぱり米中貿易戦争の我が国への影響は軽微と分析!

やや旧聞に属する話題ながら、1月31日付けで日本経済研究センター(JCER)から研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」が明らかにされています。サイトには英文要旨のpdfファイルもアップロードされています。タイトル通りに、CGEモデルによる分析結果が示されており、すでに発動されている鉄鋼・アルミニウムに対する関税(シナリオ1)、すでに明らかにされている米国による総額2,500憶ドル相当の中国輸入品への課税(米中関税第1弾から第3弾、シナリオ2)、さらに、検討されている政策として、米中第4弾(シナリオ3)、自動車・自動車部品関税(シナリオ4)、のそれぞれについて推計されており、シミュレーションの結果、シナリオ1から4がすべて実施された場合、世界のGDPは▲0.2%減少し、米国は▲0.8%、中国は▲0.7%減少する一方で、日本への影響は▲0.1%に達しない限定的な影響との結論を得ています。このブログでも、昨年2018年7月24日付けで大和総研から明らかにされた2本のリポートを引用して、「日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない」との結論を紹介しています。以下に、日本経済研究センターの研究員報告書から、CGEモデル分析結果のグラフを引用しておきます。

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2019年02月14日 (木) 19:27:00

2018年10-12月期GDP統計1次QEは潜在成長率近傍で力強さに欠ける成長!

本日、内閣府から昨年2018年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.4%を記録しました。マイナス成長だった7~9月期から2四半期振りのプラス成長でしたが、リバウンドの高成長ではなく潜在成長率近傍の成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質1.4%増、10-12月年率 2期ぶりプラス
内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。
前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。
住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。
一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。
18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。
収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。
18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/10-122018/1-32018/4-62018/7-92018/10-12
国内総生産GDP+0.5▲0.2+0.6▲0.7+0.3
民間消費+0.5▲0.2+0.6▲0.2+0.6
民間住宅▲3.2▲2.0▲2.0+0.5+1.1
民間設備+0.8+1.0+2.5▲2.7+2.4
民間在庫 *(+0.2)(▲0.3)(+0.0)(+0.1)(▲0.2)
公的需要▲0.0+0.0▲0.1▲0.3+0.4
内需寄与度 *(+0.5)(▲0.3)(+0.7)(▲0.5)(+0.7)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.3)
輸出+2.2+0.4+0.4▲1.4+0.9
輸入+2.3+0.0+1.3▲0.7+2.7
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.5+0.5▲0.9+0.2
国民総所得 (GNI)+0.1▲0.7+0.8▲1.0+0.3
名目GDP+0.3▲0.4+0.5▲0.6+0.3
雇用者報酬 (実質)▲0.0+0.7+1.5▲0.4+0.7
GDPデフレータ+0.1+0.5▲0.1▲0.4▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.9+0.5+0.6+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年10~12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率による予想レンジは+0.3~+1.2%となっており、予測のレンジ上限を超えたとはいえ、ほぼほぼ上限という印象です。ただし、季節調整済の前期比で見て、2018年7~9月期の▲0.7%のマイナス成長に比べて、10~12月期の+0.3%は+1%強と見なされている潜在成長率近傍とはいえ、自然災害による個人消費の落ち込みが解消されたリバウンドを含めれば、やや物足りない数字と受け取る向きエコノミストも多そうです。他方、仕上がりの数字は前期比+0.3%、前期比年率+1.4%ながら、前期比の内外需別内訳は内需寄与度+0.7%、外需(純輸出)▲0.3%ですから、内需主導型の成長であったことは確かです。ただ、先行きリスクとしては、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦が筆頭に上げられる場合が多く、我が国輸出の今後の行方が懸念されますが、貿易摩擦の我が国への影響は大きくなく限定的、という分析結果もチラホラと目にします。

photo


上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費が上げられるわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。1人当たり雇用者所得と雇用者数の掛け算で増えています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、毎月勤労統計などの統計が信頼性低い恐れはあるものの、雇用者報酬が順調な伸びを示しています。まだ、景気ウォッチャーや消費者態度指数といった消費者マインドは改善の兆しを見せないものの、人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

最後に、いくつかのシンクタンクから、この1次QEのリポートが出されていて、私が見た以下の3機関の範囲では、足元から目先の日本経済について、「力強さに欠ける」とか「低空飛行」といったフレーズが並んでいた気がします。順不同で、ご参考まで。
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2019年02月13日 (水) 19:22:00

1月の企業物価(PPI)上昇率はとうとう+0.6%まで縮小!

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.6%と前々月の+2.3%や前月の+1.5%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月企業物価0.6%上昇、伸び縮小続く 原油下落で
日銀が13日発表した1月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は100.9と、前年同月比で0.6%上昇した。前年実績を25カ月連続で上回ったが、上昇率は18年12月の確報値から0.9ポイント縮小した。伸び率の縮小は3カ月連続で、原油価格の下落や米中貿易摩擦の影響が続いている。
品目別ではガソリンなどの石油・石炭製品が前年同月比5.0%下落した。18年12月の4.5%上昇から一転して、2年2カ月ぶりに下落に転じた。化学製品も1.7%の下落に転じた。
下げ幅が大きかったのは非鉄金属で7.4%下落。下落幅が18年12月から3.3ポイント拡大した。米中摩擦に伴う世界景気の減速懸念で、アルミニウムなどの市況が悪化した。鉄鋼は国内の建設向け需要が堅調で3.4%上昇した。
調査対象744品目のうち価格が上昇したのは409品目、下落は266品目だった。差は143品目で、18年12月確報の141品目から拡大した。企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品価格を調べたもので、消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、7~10月は+3.0%を続けていましたが、先月統計の11月が+2.3%、12月が+1.5%、そして、直近の1月統計ではとうとう+0.6%まで上昇幅が急激かつ大幅に縮小してしまいました。季節調整していない前月比で国内物価は11月から12月にかけて前月比で▲0.6%の下落、そして、12月から今年1月にかけても同じ▲0.6%の下落を示しましたが、品目別の寄与度で見てガソリンや軽油などの石油・石炭製品が▲0.38%と大きな部分を占めますし、エチレンなどの化学製品も▲0.16%となり、この2項目で全体の下落のほぼほぼすべてという勘定です。また、PPIのうちの輸入物価は円ベースの同じ前月比で▲5.0%下落し、同じく寄与度で石油・石炭・天然ガスが▲2.19%、化学製品も▲0.36%に上ります。上のグラフのうちの一番下のパネルに円建て輸入物価のうちの原油を取り上げていますが、1月統計ではとうとう前年同月比でマイナスに突っ込んでいます。指数の水準でも、前年同月比上昇率でも、いずれも昨年年央2018年7月にピークアウトしたんではないかと私は見ています。従来からのこのブログでの指摘ですが、通常は為替に用いる用語ながら、いってみれば原油価格のパススルー、というか、原油価格の変化に対して柔軟な価格転がなされてしまうことから、我が国の物価は金融政策よりも原油価格に左右される部分の方が大きいような気がします。そうなると、小国とみなされるようになった我が国の物価は、ほぼ外生変数である石油価格に左右されるということになってしまうのかもしれません。当然ながら、企業物価のヘッドラインである国内物価の上昇幅縮小は、ラグを伴いつつ消費者物価(CPI)にも波及します。
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2019年02月12日 (火) 21:42:00

2018年10-12月期GDP速報1次QE予想は潜在成長率近傍の物足りない実質成長率か?

先々週の各種政府統計など、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の2月14日に昨年2018年10~12月期GDP速報1QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、大和総研とみずほ総研は長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。特に大和総研は需要項目別に先行き見通しがあるんですが、取りあえず、個人消費だけを引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.4%)
当面を展望すると、外需の不透明感は残存するものの、良好な雇用・所得環境のもと、内需主導の景気回復が持続し、潜在成長率並みの成長を確保する見通し。もっとも、米中貿易摩擦の動向次第では、株価下落を通じた消費への下押しや、企業マインドの悪化を受けた設備投資の下振れなどが起こる可能性もあり、留意が必要。
大和総研+0.2%
(+0.7%)
先行きの日本経済は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を続ける公算が大きい。当面、鍵を握るのはエネルギー価格の動向と消費増税をめぐる各種の対策となりそうだ。
まず、個人消費は一進一退が続くとみている。これまで、労働需給のタイト化に伴う名目賃金上昇の効果は物価高により相殺されてきたが、11月以降原油価格が大きく下落したことで、足下では実質賃金も上昇している。ただし、人手不足に伴う賃金上昇を賃金カーブのフラット化や残業削減によって企業が相殺することにより、名目賃金の上昇ペースが鈍る可能性には注意が必要だ。
また、2019年10月に予定されている消費増税に関しては、各種経済対策の実施により駆け込み需要・反動減はいくらか緩和される見込みである。ただし、施策の一つであるポイント還元策(案)が、制度終了(2020年6月末)前後に駆け込み需要・反動減を生じさせる点には留意しておく必要がある。
みずほ総研+0.4%
(+1.4%)
1~3月期以降については、海外経済の減速に伴う輸出の伸び鈍化などを受け、力強さに欠ける展開が続くと予想する。
個人消費は労働需給のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが押し上げ要因となり、底堅い推移が続くだろう。設備投資は、高水準の企業収益や人手不足による合理化・省力化投資が引き続き下支えになるものの、製造業を中心にストック調整圧力が徐々に高まるとみられるため、緩やかな伸びに留まる公算だ。輸出は、中国経済を中心に海外経済の減速がしばらく続くほか、これまでの輸出のけん引役であったIT需要が既にピークアウトしていることから、伸びが鈍化していくとみている。
リスク要因としては、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。既に一部の企業で設備投資を先送りする動きが出はじめているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、輸出の更なる低下や設備投資の減速を通じ、景気が下押しされる可能性がある。
ニッセイ基礎研+0.3%
(+1.3%)
2018年10-12月期は前期比年率1%程度とされる潜在成長率を上回るプラス成長となったが、自然災害の影響で大幅マイナス成長となった7-9月期の後としては物足りない伸びにとどまった。景気は実勢として弱めの動きとなっており、年明け以降も停滞色の強い状況が続く公算が大きい。海外経済の減速に伴う輸出の失速を起点として景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている。
第一生命経済研+0.3%
(+1.2%)
景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない。回復か後退かで分けるのならば、依然として回復局面という判断になるだろう。ただ、18年の景気の足取りが筆者の当初の想定をかなり下回ったことは確かであり、足元では「減速」よりも「踊り場」や「足踏み」といった表現の方が似合う景気状況にあるように見える。
伊藤忠経済研+0.9%
(+3.5%)
10~12月期の実質GDP成長率は前期比+0.9%(年率+3.5%)の高い伸びを予想。ただ、災害被害によって落ち込んだ前期の反動という面が大きく、均して見れば潜在成長率を下回る緩やかな拡大にとどまる。デフレ脱却への道のりは遠い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.9%)
2018年10~12月期の実質GDP成長率は、自然災害発生による一時的な下押し圧力が剥落したことに加え、国内需要が底堅さを維持していることからプラス成長を回復したと予想される。ただし、輸入の増加によって外需寄与度が比較的大きめなマイナスとなるため、伸び率は前期比+0.2%(年率換算+0.9%)と、前期がマイナス成長だったことを勘案すると小幅の伸びにとどまる。
三菱総研+0.1%
(+0.3%)
2018年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.3%)と、2四半期ぶりのプラス成長を予測する。7-9月期に相次いだ自然災害からの回復は見られたものの、外需環境の悪化が重石となり、小幅のプラス成長にとどまったとみられる。


突飛にもっとも大きな成長率を予想している伊藤忠経済研とその逆の三菱総研を除けば、概ね年率換算で+1%前後と潜在成長率近傍の予想が多くなっている印象です。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも年率で+1.2%が中央値となっています。2018年1~3月期のマイナス成長の後の4~6月期は年率+2.7%の高成長でしたから、それに比べれば、10~12月期の+1%の潜在成長率近傍というのはやや物足りない気もします。ただ、4~6月期も外需はマイナス寄与だったんですが、国際商品市況の石油価格がほぼほぼピークでしたから、私の直感でも10~12月期の外需のマイナス寄与は4~6月期よりも大きいと想像しています。いずれにせよ、10~12月期は消費と設備投資が伸びた一方で、海外要因が足を引っ張って、内需主導の成長ながら高成長ではない、というのが緩やかなコンセンサスのような気がします。なお、上のテーブルのヘッドラインのうち、ニッセイ基礎研の「景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている」というのと、第一生命経済研の「景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない」というのは一見相反するように見えますが、私は同じ意味なんだろうと受け止めています。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから実質GDP成長率の推移を引用しています。

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2019年02月11日 (月) 19:33:00

ウェザーニュース速報で関東の花粉飛散を確認!

先週2月8日付けでウェザーニュースから「速報・第3回花粉飛散傾向」として、東京をはじめとする1都12県で花粉シーズンが始まり、東京は昨年より8日早い飛散が確認された、と明らかにされています。

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上の画像はウェザーニュースのサイトから引用していますが、上から順に、飛散が始まった関東と北部九州など、それから、真ん中のパネルはそれ以外のいわゆる花粉前線、一番下は関東の今年の飛散量予想です。平年よりも多く、昨年よりも格段に多く飛散すると予想されています。実は、私自身は一昨日の2月9日の土曜日に雪が降っている中でありながら飛散を確認しました。何ともいえず、憂鬱な季節に入ってしまいました。
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