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2018年10月14日 (日) 18:42:00

甲田まひるのデビュー・アルバム「Plankton」はややビミョーな評価か?

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このところ、新しいアルバムを聞いていなかったんですが、先週は甲田まひるの「Plankton」を聞きました。16歳だか、17歳だかの10代女子高生のピアノを中心とするピアノトリオの演奏です。まず、アルバムの曲の構成は以下の通りです。

  1. Un Poco Loco (Bud Powell)
  2. Cleopatra's Dream (Bud Powell)
  3. Indiana (take 1) (James F. Hanley)
  4. Indiana (take 3) (James F. Hanley)
  5. Ruby、My Dear (Thelonious Monk)
  6. Plankton
  7. Celia (Bud Powell)
  8. Tempus Fugit (Bud Powell)
  9. Lady Bird (Tadd Dameron)
  10. Lament (J.J. Johnson)
  11. Ask Me Now (Thelonious Monk)
  12. My Crush


ずらりと12曲の中で4曲、⅓ はバド・パウエルの作品が並びます。バド・パウエル以外は、カッコ内に示してある通り、3曲目と4曲目がジェームズ・ハンリー、5曲目と11曲めがセロニアス・モンク、9曲目はタッド・ダメロン、10曲目がJ.J.ジョンソン、そして、無印の6曲目と最後の12曲目が甲田まひるのオリジナルとなっています。
バド・パウエルに何らかの思い入れのようなものがあるような気もしますが、私の耳にはセロニアス・モンクの曲の方がピアノの出来はいいように思われました。今年2018年5月の発売で、このピアニストのメジャーデビュー作です。発売時点で、「17歳の誕生日前夜」と宣伝文句にありましたから、高校生ということかもしれません。ですから、2001年生まれの奥田弦は同い年かもしれません。小学生くらいでデビューした奥田弦は例外としても、松永貴志もデビュー時点の年齢はそんなもんだったような気がします。デビュー作品から2-3枚目のアルバムの時点の松永貴志と比較するのは反則、というか、酷かもしれませんが、少なくとも、私は松永貴志の方が完成度高いピアノだったと記憶しています。まあ、何といいましょうか、Mappyとして世界中に14万人を超えるフォロワーを持つインスタグラムのファッショニスタとしての知名度も加味した評価で判断するんですかね。私は松永貴志のデビュー翌年の2作目のアルバム「Today」はウォークマンに入れて愛聴していますが、この甲田まひるの「Plankton」はビミョーなところです。トリオを組んだドラムスの石若駿は私が前々から評価している若手なんですが、ややブラッシングが多かった気がします。

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2018年10月13日 (土) 12:02:00

今週の読書はちゃんとした経済書はなく計7冊!

先週はティロル教授の重厚な経済書を読み、来週に予定している読書の本はすでに図書館回りを終えていて、ラヴァリオン教授の『貧困の経済学』上下を借りましたから、またまた重厚な経済書に取り組む予定で、今週はその谷間でマトモな経済書はなし、ということなのかもしれませんが、数はこなした気がします。以下の計7冊です。

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まず、橘木俊詔『ポピュリズムと経済』(ナカニシヤ出版) です。著者はご存じの通り、私の母校である京都大学経済学部の名物教授だった経済学研究者です。本来は労働経済学などのマイクロな分野が専門と記憶していますが、ご退官の後は、幅広く論評活動を繰り広げているようです。ということで、タイトル通りの内容なんですが、英国のBREXITの国民投票とか、大陸欧州における極右政党の伸長とか、何よりも、米国におけるトランプ政権の誕生とかの話題性を追って、ポピュリズムについて論じています。でも、本書こそがポピュリズム的な内容である点には著者ご本人は気づいていないようで、何か「もののあわれ」を感じてしまいます。ポピュリズムについて、典型的には、私はナチスを思い浮かべるんですが、著者は、その昔の「左右の全体主義」よろしく、南米のペロン大統領や最近までのチャベス政権などを念頭に、左翼のポピュリズムの存在も視野に入れたと称しつつ、右派の米国トランプ政権やすランスの国民戦線ルペン党首などの極右政党についても、左右両方のポピュリズムと称して同一の切り口で論じようとムチャなことを試みて失敗しています。どうしてムチャかといえば、右翼的なナショナリズムが内向きで排外的で、そして何よりも、ポピュリズムの大きな特徴である多元主義の排除と極めて大きな親和性がある一方で、左翼はインターナショナリストであり外向きで体外許容性に富んでいます。まさに多元主義の権化ともいえます。ナチス的な雇用の重視を持って、著者はポピュリズムの特徴と捉えているようですが、笑止千万です。俄勉強でポピュリズムを論じると、このような本が出来上がるという見本のような気がして、私も肝に銘じたいと思います。

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次に、稲葉振一郎『「新自由主義」の妖怪』(亜紀書房) です。著者は明治学院大学の研究者であり、社会哲学が専門だそうです。本書では、マルクス主義的な歴史観、すなわち、唯物史観を持って新自由主義の資本主義の段階を解明しようと試みていますが、私の目からは成功しているように見えません。19世紀後半にマルクスが大英博物館にこもって『資本論』を書き上げた時点では、ビクトリア時代の大英帝国がもっとも発達した資本主義国家であり、マルクス主義的な歴史観からすれば、資本主義から社会主義に移行する場合、もっとも発展した段階にある資本主義国が社会主義に移行するのが必然と考えられます。しかし、英国に社会主義革命は起こらず、レーニンの分析によれば独占資本が支配的とな理性産物だけではなく資本の輸出が行われるような帝国主義の段階が資本主義最後の段階であり、社会主義の前夜とされるようになります。さらに、まったく発達した資本主義ではなかったロシアとか中国で革命が成功して社会主義に移行し共産主義を目指すことに歴史的事実としてなるわけですが、他方で、欧米や日本などの先進国ではスミスなどの古典派経済学的な夜警国家を超えて、不況克服などのために、あるいは、いわゆる市場の失敗の是正のために、国家が積極的に資本主義に介入して国家独占資本主義が成立します。資本の側からはケインズ政策を応用した福祉国家の成立とみなされます。そして、1970年代の2度の石油危機と同時にルイス的な二重経済が終わりを告げて、典型的には日本の高度成長期が終了して、ケインズ政策の有効性が疑問視されて、1980年ころから英国のサッチャー政権、米国のレーガン大統領、日本の中曽根内閣などにより新自由主義的な経済政策、あるいは、その背景となるイデオロギーが幅を利かせ始めます。こういった歴史的事実に対して、本書の著者は、極めて唐突にも、産業社会論を持ち出したり、ケインズ政策への賛否などを考察した上で、マルクス主義的な歴史観と新自由主義の背景に同一とまではいわないものの、かなり似通った要因が潜んでいると指摘します。私には理解できませんでした。マルクスのように英国に発達した資本主義の典型を見たり、あるいは、レーニンのように資本輸出に特徴づけられた帝国主義が資本主義の最終段階であり社会主義の前夜であると見たりするのは、それぞれの個人の歴史的なパースペクティブにおける限界であり、生産力の進歩が見られる限り、何と名付けようと、どのような特徴を持とうと、資本主義は生き残りを図るわけですから、おのおのの観察者のパースペクティブに限定されることにより、資本主義の最終段階=社会主義の前夜を設定するかは異なるはずです。この自明の事実を理解せずに、教条的にマルクス主義的な歴史観からして、どの段階が資本主義の最終段階=社会主義の前夜かを論じるのはまったく意味がないと私は考えます。

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次に、グレゴワール・シャマユー『ドローンの哲学』(明石書店) です。著者はフランスの国立科学研究所の研究者であり、専門は科学哲学だそうです。原書のフランス語の原題は Théorie du drone であり、直訳すれば「ドローンの理論」となり、2013年の出版です。タイトルはかなり幅広い門構えになっているんですが、本書で焦点を当てているのはドローンの軍事利用、しかも、ほとんど偵察は取り上げておらず、殺人や破壊行為に限定しているように私は読みました。もちろん、こういった戦争や戦闘における殺人や破壊行為にドローンを用いる非人道的な面を強調し、強く非難しているわけです。ただ、私から見て戦争や戦闘そのものが大きく非日常的な非人道的行為であり、そこで用いられる兵器ないし何らかの道具は非人道的な色彩を帯びざるを得ないという気がします。銃でもって人を殺せば殺人罪に問われる法体系の国が多いと私は推察しますが、戦争において戦時法体系化で銃器で敵国の兵隊を殺せば、あるいは、勲章をもらうくらいに推奨ないし称賛される行為となり得る可能性があります。ですから、通常の刑法の体系とはまったく異なる戦争法規があり、実感はないものの、軍法会議という裁判形態があることはよく知られた通りです。加えて、銃器や戦闘機、軍艦などは戦争や戦闘に特化した兵器である一方で、とても非人道的に見える究極の兵器としては核兵器があり、これはその爆発力を平和利用することも可能です。もちろん、核兵器を平和利用した原子力発電その他であっても、事故の際の甚大な破壊的影響は残るとの意見はあり得ますが、ドローンは平和利用がより可能、というか、そのような破壊的な危険が極めて小さい道具といえます。その意味で、平和利用ではなく、ドローンを戦争や戦闘で利用する非人道性を強く非難すべきであると私は考えており、本書の著者の視点とのズレが大きいと感じました。

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次に、デイヴィッド・ライク『交雑する人類』(NHK出版) です。著者はハーヴァード大学医学大学院の遺伝学を専門とする研究者であり、ヒト古代DNA分析における世界的パイオニアといえます。本書の英語の原題は Who We Are and How We Got Here であり、今年2018年の出版です。日本語タイトルからは判りにくいんですが、要するに、現生人類ホモサピエンスないしその直前くらいのネアンデルタール人やデニソワ人などの旧人類を視野に入れ、現生人類の起源について、地球上でいかに移動し接触し交雑したか、特に、ホモサピエンスの出アフリカ以降の移動・接触・交雑を追って考察しています。ただ、本書でも指摘していますが、DNA分析でなく文化的な考古学的出土品、例えば、土器とか石器を研究対象とする場合、ヒトが移動したのか、それとも、その文化が伝えられたのかの識別が困難なんでしょうが、DNAで直接分析を実施するとヒトが移動し、かつ、邦訳タイトルにあるように、新旧人類間での接触と交雑があったのかどうかが明確に把握できます。その結果、交雑の中で遺伝的な特徴を失ってしまったゴースト集団の動向も含めて、とても興味深い事実が多数提示されています。加えて、第2部では地域別にヨーロッパ、インド、アメリカ、東アジア、アフリカにおける人類史をひも解いています。そして、やや論争的なのが第3部です。現生人類はホモ・サピエンスの1種であるのに対して、いわゆる人種がいくつか観察されるのも事実であり、白人もしくはコーカソイド、黒人もしくはネグロイド、そして、モンゴロイド、とあり、加えて、ナチスの時代に遺伝学はアーリア人の支配を正当化するために大きく歪められた、という歴史があるのも事実です。本書ではそれほど取り上げていませんが、旧ソ連でもスターリン的に歪められた遺伝学の系譜があったような気もします。本書の著者は、人種は遺伝的な特徴を備えた側面もあり、決して100%社会的なものではない、と考えているように私は読みましたが、本書が強調しているのは、人類集団間において些細とはいえない遺伝学的差異がある、ということであり、これは、人類集団間には実質的な生物学的差異はなく、集団内の個人間の差異の方がずっと大きい、とする「正統派的学説」とは異なります。さらにいえば、「政治的正しさ」ポリティカル・コレクトネスに反していると解釈されても不思議ではありません。トランプ政権下の分断的な米国政治情勢下では許容される可能性が大きくなった気もしますが、私にはやや気にかかりました。

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次に、ジム・アル=カリーリ[編]『サイエンス・ネクスト』(河出書房新社) です。我が家は5分も歩けば県境を超えて埼玉県に行けるような位置にあるんですが、その隣接の埼玉県にある市立図書館の新刊書コーナーに借りてもなく並べてあったので、ついつい手が伸びてしまいました。英語の原題は What's Next? であり、2017年の出版です。編者は英国の物理学の研究者であるとともに、テレビやラジオの科学番組のキャスターを務めているようです。ということで、第1部の人口動態や気候変動などの経済学とも馴染みの深い分野から始まって、第2部の医療や遺伝学、第3部の細菌話題のAIや量子コンピューティングやインターネット上の新技術、第4部の素材や輸送やエネルギー、第5部の惑星間航行やタイムトラベルや宇宙移民といったSFに近い話題まで、世界の科学者はいま何を考えているのか、幅広い分野の科学者たちが極めて判りやすく解説しています。内容がとても多岐に渡っていますので、私のような科学とはやや縁遠く専門分野の異なる人にも、何らかの興味ある部分が見い出せそうな気がします。英語の原題を見ても理解できる通り、邦訳タイトルとは少しニュアンスが違っていて、科学だけでなく社会動向や工学を含め、さらに、惑星間航行に基づく宇宙移民といったSFに近いようなトピックも含めていて、とても幅広く興味深い話題を集めています。私のようなエコノミストからすれば、社会の生産や生活に及ぼす技術動向が気にかかるところで、特に、AIなどが雇用に及ぼす影響などがそうです。現在までは新技術は雇用を奪う以上に新しい雇用を生み出してきており、ですから、歴史的に振り返ればラッダイト運動などは「誤った方向」だったと後付で言えるんですが、現在進行形のITC技術革命、2045年と言われているシンギュラリティの到達などなど、気にかかるところです。本書をちゃんと読めば何かのインスピレーションを得られるような気がします。

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次に、ドナルド R. キルシュ & オギ・オーガス『新薬の狩人たち』(早川書房) です。英語の原題は The Drug Hunter であり、邦訳タイトルはかなり忠実に原題を伝えていると考えてよさそうです。著者2人は、そのドラッグハンターとジャーナリストの組み合わせです。経済学は、数学を用いた精緻なモデル設計によって物理学や化学と親和性が高い一方で、医学や薬学とは作用の経路や因果関係が不明ながら経験的な数量分析により効果が計測できるという類似性も持っていると私は考えています。もちろん、私の専門に近い経済社会の歴史的な発展を生物的な進化に見立てる場合もあります。ということで、私は他のエコノミストと違って医学や薬学の本も読書の対象に幅広く含めていて、本書のその一環です。本書では近代以降における薬、特に新薬発見の歴史を植物由来の薬、合成化学から作る薬、ペニシリンなどの土壌に含まれる微生物から抽出した薬、そして最近のバイオ創薬まで、場は広く薬が生まれた歴史を跡付けています。アスピリンが初めて患者に投与されてから70年超の年月を経てようやく受容体が特定された、などなど、どうして薬が効くのか、その作用機序が明らかでなくても、何らかの実験により統計的に薬効が認められるか脳性が大きく、そこが実験のできない経済学、というか、マイクロには実験経済学という分野が広がっているものの、景気変動に関して財政学や金融論を中心としてマクロ経済への影響という点では実感が不可能な経済学とは違うところです。もちろん、経済学に引きつける必要はありませんが、薬の歴史についてのちょっとした豆知識的な話題を集めています。ただ、日本ではほとんど存在を感じさせませんが、クリスチャン・サイエンスのように医学的な治療や薬物の摂取を拒否する宗教も、例えば、米国では大きな違和感なく社会的存在として認められていますので、その点は忘れるべきではないかもしれません。

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最後に、市田良彦『ルイ・アルチュセール』(岩波新書) です。フランスのマルクス主義哲学者であるタイトルのアルチュセールに関する本であることは明らかなんですが、それをイタリア的なスピノザの視点から解き明かそうと試みています。すなわち、アルチュセールについては、偉大な哲学者という側面と妻を殺めた狂気の人という両面の評価があり、まったく同時に、マルクス主義に立脚している一方でカトリック信者であることを止めなかった、という両面性も考える必要があります。マルクス主義といえば、あるいは、そうなのかも知れませんが、私から見れば、アルチュセールはマルクス主義の本流を大きく外れるトロツキストの理論的基礎を提供しているような気がしてなりません。それは、フランスの構造主義、あるいは、ポスト構造主義に立脚するマルクス主義がかなりの程度にそうなのと同じかもしれません。本書で特にスポットを当てているアルチュセールの研究成果は『資本論を読む』であり、誠に残念ながら、フランス語を理解しない私にとっては邦訳が1989年であり、すっかり社会人になってからの時期の出版ですので、手を延ばす余裕もなく、よく知りません。なお、本書の著者は神戸大学をホームグラウンドとする研究者であり、私の母校での1年先輩、すなわち、浅田彰と同門同学年ではなかったかと記憶しています。参考まで。
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2018年10月12日 (金) 21:26:00

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週火曜日10月9日に帝国データバンクから「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。年度上半期の9月までの件数や負債総額などが入手可能となっています。負債総額は減少しているものの、倒産件数は前年同期比+40.7%の大幅増を示し、2年連続で前年同期を上回っており、2013年度の調査開始以降で半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた昨年2017年度(114件)を上回るペースで倒産が発生しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円にのぼった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は27件、「木造建築工事」は26件、「労働者派遣」は21件と続いた
  5. 都道府県別の5年半累計では、「東京都」が62件(2018年度上半期13件、前年同期5件)で突出している


pdfの全文リポートもアップされており、図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポートから人手不足倒産の件数を引用しています。見れば明らかなんですが、2018年度上半期の人手不足倒産は76件発生しており、負債総額は110億42百万円に上っています。この期間で、負債総額は前年同期から▲42.3%の減少を示しているものの、倒産件数は+40.7%の大幅増を記録しています。帝国データバンクでは、2013年度から人手不足倒産の記録を取り始めているんらしいんですが、2018年度上半期までの5年半の期間で、人手不足倒産は累計447件、負債総額は946億95百万円に上っています。

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2013年度からの5年半の期間の人手不足倒産を産業別に見ると、累計の最多は建設業で148件、33.1%となっていて、サービス業が132件、29.5%でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めています。上のグラフは、リポートから5年半の期間でのもう少し細かい業種細分類別上位10業種を取り上げています。何となく判る気がするんですが、道路貨物運送が累計で38件で最多となっています。通販市場の拡大などで配送需要が高まる中、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化に陥り、倒産に至ったケースが目立つようです。続いて、老人福祉事業は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から5年半で27件発生しています。

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最後に、上のグラフは、リポートから5年半の累計で見た都道府県別の人手不足倒産の件数を示しています。こういった経済事案では規模に連動する場合が多く、東京都がトップなのは当然という気もします。少子高齢化の進行により、人手不足はこの先も一定の期間に渡って継続する可能性が高く、それなりの経営努力が求められるとはいえ、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、人手不足に対応しきれない場合は市場から退出することとなります。すべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
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2018年10月11日 (木) 23:42:00

金本監督辞任で阪神の次期監督やいかに?

我が家に帰宅してから、購読している朝日新聞夕刊で阪神金本監督辞任を知りました。記事へのリンクはコチラです。
冷たいかもしれませんが、当然と私は受け止めています。むしろ、17年振りの最下位にもかかわらず監督職に居座ったりしたら、とてもイヤな気持ちだっただろうと思います。我が家の上の倅は来年大学を卒業しますが、幸か不幸か、阪神タイガースの最下位を初めて目のあたりにしたわけで、私のような暗黒時代を知っている古いファンと違って、さらに、監督辞任は当然と考えそうな気もします。高校野球ではないんですから、「よくがんばった」だけではなく、結果が重視されるのは当然ですし、少なくとも、今年半ばあたりからの金本監督の采配は疑問だらけでした。むしろ、3年前までの和田前監督のように、育成はまったく無視して外国人選手とベテラン勢に偏重した起用の方が、ある意味で、一貫性あったとすら感じた試合もありました。ちょっと育成もやってみたけれど、サッパリ若手が伸びなかった、という結果に終わり、特に打者の若手がまったく伸びておらず、打ち気にはやってボールに手を出しては凡退する、というシーンが多かった気がします。投手陣も育成に失敗したのは同様で、榎田投手のように他球団に出して活躍されては言い訳も成り立ちません。
それにしても、次の監督は誰なんでしょうか?

秋季キャンプから鍛え直して来季こそは、
がんばれタイガース!
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2018年10月11日 (木) 20:41:00

高止まりする石油価格の影響で企業物価の国内物価上昇率は+3%が続く!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じかつ3か月連続で同じ上昇率を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 原油相場が上昇
日銀が11日発表した9月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.0となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。伸び率は8月確報から横ばいで、21カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比26.4%上昇した。鉄鋼が同3.9%、金属製品は同3.1%上昇した。
一方、非鉄金属は同1.7%下落した。米中間の貿易摩擦の激化に伴い、需要が押し下げられるとの懸念が背景にある。
今後の企業物価動向については「米中間の貿易摩擦に収束の兆しが見えず、需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。


続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は9月統計でも7~8月と同じ+3.0%でした。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。例えば、上のグラフのうち一番下のパネルではPPIのコンポーネントである輸入物価の原油価格の指数と前年同月比上昇率をプロットしていて、指数も上昇率も直近では7月がピークだったんですが、まだ9月統計で指数と上昇率ともに高止まりしているのが現状です。ごく一般的にいってながら、PPIは消費者物価(CPI)よりも国際的な動向の影響を強く受けますので、国際商品市況を別にしても、引用した記事にもある通り、米中間の貿易摩擦をはじめとする貿易動向の影響が価格面でどのように現れるのか、やや気がかりです。貿易摩擦の影響については、関税を引き上げた当該国ではその輸入品が当然に国内で価格が上昇する一方で、当該国以外では需給が緩んで価格下落につながる可能性が高いと私は考えていますが、加えて、先日取り上げた国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し」で指摘しているように、貿易摩擦の激化は世界全体の成長率を下振れさせる可能性が高く、その面から需給関係を緩和させてさらに価格下落の方向に圧力がかかる可能性がありますし、もちろん、個別の国によっては、貿易構造や産業構造などに起因して、いろいろと複雑な要素があります。
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2018年10月10日 (水) 19:43:00

2か月連続で増加した機械受注は基調判断を上方改定!

本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比で見て、7月+11.0%の大幅増に続いて、8月も+6.8%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、8月6.8%増 基調判断「持ち直しの動き」
市場予想上回る

内閣府が10日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.8%増の9815億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4.2%減だった。
うち製造業は6.6%増、非製造業は6.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は12.6%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは7月の2ケタ増の反動減を織り込んで、8月は▲4.2%減と見込んでいたんですが、実績では逆に+6.8%増とかなりの伸びを示しており、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」を削除して「持ち直しの動き」に半ノッチ上方改定しています。基調判断のかいていは4か月振りだそうです。産業別に見て詳細はともかく、大くくりで、7月のコア機械受注2ケタ増のうち、製造業・非製造業とも2ケタ増を示し、加えて、8月の+6.8%増も製造業・非製造業とも+6%増ですから、決して、特殊要因による一時的な増加などの偏った受注増との印象はありません。また、7~9月期の見通しは前期比▲0.3%の見込みとなっているんですが、一定の反動減が予想される9月統計が前月比▲20%を超えるくらいの減少であってもこの見込みを超える計算になり、達成はほぼ確実な状況となっています。基本的に、日銀短観の設備投資計画に見られるように、人手不足などを背景に企業の設備投資の意欲は旺盛であり、機械受注統計のクセとして単月で振れの激しい点を差し引けば、引き続き、機械受注は緩やかながら増加のトレンドにあるものと私は考えています。
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2018年10月09日 (火) 23:22:00

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し」は貿易摩擦により成長率を下方修

今週末からインドネシアのバリ島で開催されるIMF世銀総会を前に、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook, October 2018 が公表されています。pdfの全文リポートもアップされています。今年2018年の世界経済の成長率は、7月の「世界経済見通し改定」から▲0.2%ポイント下方修正して+3.7%と見込んでいます。

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まず、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。なお、上の画像をクリックすると、別タブでリポート pp.14-15 の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したファイルが開きます。ということで、Exective Summary の書き出しは、"The steady expansion under way since mid-2016 continues, with global growth for 2018-19 projected to remain at its 2017 level. At the same time, however, the expansion has become less balanced and may have peaked in some major economies." となっていて、景気局面が成熟化からピークアウトに達しつつある可能性を示唆しています。成長率見通しについては、繰り返しになりますが、世界経済の成長率については、4月の「世界経済見通し」、7月の「世界経済見通し改定」でも、2018年、2019年ともに+3.9%から、今回の最新見通しでは▲0.2%ポイント下方修正されて、+3.7%と見込まれています。米中間の貿易摩擦の影響により成長率が下振れすると見込まれています。他方、我が国成長率については、今年2018年は4月時点の+1.2%が、7月には+1.0%に下方修正された後、今回の10月見通しでは+1.1%に上方修正されています。ついでながら、2来年2019年の我が国の成長率見通しは一貫して+0.9%と見込まれています。今年よりも低下するのは、2019年10月からの消費増税を織り込んでいるからです。

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さて、世界経済の成長率が下方修正された主因は、米中間の貿易摩擦の激化なんですが、貿易摩擦を5つのシナリオ別に実質GDPの乖離により計測した結果が上のグラフの通りです。リポート p.35 Scenario Figure 1. Real GDP in Trade Tensions Scenario を引用しています。黄色い自動車などの関税引き上げあたりからは、ほぼ、どの国も得をしない、ということになりそうなのですが、さすがに、米中両国では中国のダメージの方が大きく、また、米国よりもNAFTAメンバーのダメージの方が大きくなりそうな試算です。我が国と欧州は世界全体と大きな差はなさそうにも見えます。

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内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下して48.6を、先行き判断DIも▲0.1ポイント低下して51.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8384億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。
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2018年10月08日 (月) 21:15:00

最下位が確定しヤクルト引退投手陣の引き立て役に回る阪神貧打線!!

  RHE
阪  神000010040 591
ヤクルト24000000x 661


ヤクルトにまたまた負けて、ついに、17年振りの最下位確定でした。ヤクルト引退投手陣の引き立て役に回った貧打線が哀れを極めています。まさか、金本監督の続投はないんでしょうね。次の監督に阪神再建を託したいと思います。これでホントに今季の野球観戦を終えたいと思います。

来季こそ、
がんばれタイガース!
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2018年10月07日 (日) 13:41:00

先週の読書は重厚な経済書や甲子園グラウンドキーパーの著書など計7冊!

先週は、いつも位のペースで読書した気もしますが、感想文の冒頭に取り上げるティロール教授の『良き社会のための経済学』がやたらとボリュームがあり、通常の四六判よりも大判である上にページ数も600ページを超えていて、それだけで2冊分くらいに相当していたような気がします。今週も数冊をすでにいくつかの図書館から借り受けています。

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まず、ジャン・ティロール『良き社会のための経済学』(日本経済新聞出版社) です。著者は、フランスの経済学者であり、2014年のノーベル経済学賞受賞者です。私は産業構造などのマイクロな分野がご専門と理解しているんですが、このクラスになれば金融をはじめとするマクロ経済学の分野での貢献も少なくありません。特に、バブルについてはかなり独特な見方を示しており、典型的には、p.340からのあたりになるんではないかと思います。私も地方大学に出向していた際の紀要論文で取り上げたことがあります。明治はしておらず、仮想通貨でややごまかしている気味はあるのもの、著者のバブルの眼目は貨幣 fiat money であろうと私は考えていますただ、それを突き詰めて考えれば、金本位制のような本来価値のある何かでなければ貨幣になりえず、バブルでしかない、というのは、私にはやや違和感あります。本書は経済に関する幅広い入門書という位置づけですが、例えば、大学新入の経済学の初学者ではやや苦しい気がします。少し経済についての見識あるビジネスマン向けか、という気もします。ただ、どういう経済学を背景にしているか、といえば、もちろん、かなりスタンダードで標準的な経済学、ということもできるんですが、左派を標榜する私のようなエコノミストからすれば、財政均衡、とまではいわないものの、増税や歳出削減などによる財政再建を目指した財政政策とか、あくまで市場による資源配分の効率性を前提にしていたりと、やや右派的な経済学であることは確かです。そのあたりは、リベラルなクルーグマン教授やスティグリッツ教授の議論とは少し経路が違う点は読み取って欲しい気もします。

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次に、金沢健児『阪神園芸 甲子園の神整備』(毎日新聞出版) です。著者は、まさに、阪神園芸甲子園施設部長の職にあり、甲子園球場整備グラウンドキーパーの責任者です。本書冒頭にもありますが、昨年10月のセリーグのクライマックスシリーズの阪神と横浜の泥んこの中での試合が記憶にまだ残っていて、甲子園球場の整備に注目が集まったところです。その甲子園で水はけがいい、というのは、球場のマウンドを頂点とする勾配の問題であると著者は指摘しています。要するに、マウンドからの勾配が均等であって、どこにも水が溜まらない、ということらしいです。種を明かせばそういうことかという気もしますが、我が阪神タイガーズのホームグラウンドであるだけでなく、高校野球の聖地としても、歴史も、収容人数も、注目度も、何から何まで野球のスタジアムとしては日本一の甲子園球場ならではのエピソードが満載です。著者が50歳そこそこですから、あまりに古いタイガースの選手、例えば藤村富美男とか、村山実とか、はエピソードに出てきませんが、投手では能見投手、走塁では引退した赤星選手のグラウンド整備に関するエピソードが語られていて、守備としては、「弘法筆を選ばず」よろしく鳥谷遊撃手は何の注文もつけない、というのが「グラウンドは選べないでしょ」という発言とともに引かれています。歴代阪神選手としてもっとも多くのヒットを放つとともに、神守備の遊撃手であり、歴代阪神選手の中でも私がもっとも敬愛するひとりである鳥谷選手らしい気がしました。いずれにせよ、阪神ファンであるなら、あるいは、高校野球ファンも、ぜひとも手に取って読んでおくべき本ではなかろうかという気がします。

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次に、ベン・メズリック『マンモスを再生せよ』(文藝春秋) です。著者は、ベストセラーを連発するノンフィクション・ライターであり、カジノでのカード・カウンティングを取り上げて、映画化もされた『ラス・ヴェガスをブッつぶせ!』とか、えいが「ソーシャル・ネットワーク」の原作である『facebook』などをものにしており、本書も映画化の話が進んでいるそうです。ということで、本書では、ヒトゲノム解析計画の発案者の一人ハーバード大学のジョージ・チャーチ教授を主人公に、タイトル通りに、絶滅したマンモスを再生するストーリーです。というか、より正確には、アジアゾウの遺伝子を操作してマンモスにする、ということらしいです。英語の原題である Woolly とは、毛やヒゲで「もじゃもじゃ」という意味です。絶滅した生物をDNAを解析することによって復活させる、というのは、私でなくても映画の「ジュラシックパーク」のシリーズを思い起こすだろうと思うんですが、数千万年から1億年以上前の琥珀に閉じ込められた蚊が吸った恐竜の血は宇宙からの放射線その他により決定的に琥珀になり切っていて、生物として復活させることは不可能である一方で、せいぜい2~3000年前に死んで、しかも死後に急速冷凍されたマンモスは復活させることが可能、というか、アジアゾウに遺伝子を組み込んでマンモス化することは可能だそうです。そこは私にはよく理解できません。ただ、私のようなシロートから見ると、単なる科学的な、あるいは、知的好奇心という以上に、このプロジェクトの持つ意味が理解できませんでした。途中でスアム研究所というのが紹介されていて、富裕層を顧客にしたクローン・ビジネスを展開している営利企業だそうで、実際に何をやっているのかといえば、可愛がっていたペットのイヌが死んだ後に、そのクローンを再生する、というビジネスだそうです。これなら営利企業として成り立つような価格設定にすればいいわけですから、エコノミストの私にもビジネスとして理解できます。しかし、マンモス復活に何の意味があるのか、単なる見せ物なのか、私には根本的な意味がよく理解できませんでした。

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次に、松田雄馬『人工知能はなぜ椅子に座れないのか』(新潮選書) です。著者は、大学・大学院終了後にNECに就職して基礎研究に従事し、今では独立しているような経歴です。本書では、人工知能(AI)の研究の歴史とともに、人間の知覚についてもニューロンからの理解を展開しつつ、最終的にはシンギュラリティの到来、特に人間を凌駕する知性としてのAIに対する懐疑論を展開しています。本書の著者が「無限定な空間」と表現している知覚の対象は、レーニン的には無限の認識対象を人間は有限にしか認識できない、ということになるんですが、私が考えるに、AIについてはあくまでアルゴリズムに基づくデータ処理の問題であり、それを人間のような知覚や認識と同一視するのは、少し違うような気がします。著者の定義するような人間の知を超えるAIは将来ともに出来ないかもしれませんが、それは逆から見て、将来にも出来そうにないAIの存在を見越した人間の知を定義しただけ、という気もします。少なくとも、チェスや将棋や碁に関しては「勝つ」という意味で人間の知を超えたAIが誕生していることは明らかであり、それにハードウェアたるロボットの筐体を組み合わせれば、あるいは、情報処理の面でも肉体能力の点でも、人間を超える存在が出来、それが人類を滅ぼす可能性も否定できない、というのが悲観派の見方ではないでしょうか。こういった現実的な実際の存在としてのAIやその入れ物としてのロボットを考慮することなく、将棋の羽生の「ルール変更」でAIを撃退するといった、定義の問題でリアルな問題を回避できるかのような議論な私には疑問だらけです。私はこの著者の『人工知能の哲学』を読んだ記憶があるんですが、やっぱり、ピンと来なかった気がします。

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次に、山川徹『カルピスをつくった男 三島海雲』(小学館) です。著者はノンフィクション・ライターであり、私は初めてでした。ややクセのある文体で少し戸惑うかもしれませんが、読み始めればそうでもないと思います。カルピス創業者の三島雲海を中心に据え、明治期から大正・昭和の戦争の時期を経て、戦後の高度成長期までを視野に入れた長期にわたるドキュメンタリーです。表紙画像からもうかがわれる通り、カルピスのルーツは中国東北部からモンゴルあたりの遊牧騎馬民族の発酵食品だそうで、箕面の浄土真宗の寺に生まれた主人公が戦前期に大陸に渡って日本語教員をしながら、モンゴルまで足を伸ばした経歴が下敷きとなっています。ただ、企業経営者としての活動の中心となる高度成長期以降は、さすがに、著者の専門範囲外なのかどうか、「今は昔の物語」の感があります。実際に、カルピスは企業としては味の素の傘下に入り、さらにアサヒビールのグループに売られたわけですから、評価はいろいろなんだろうという気がします。ただ、本書でも紹介されているように、市その昔に「初恋の味」というキャッチフレーズで宣伝され、国民の99.7%が飲用経験ある国民的飲料ですから、誰もが何らかの思い入れがある身近な飲み物ですし、親しみを持って本書を読む人も少なくないと思います。その昔、私などはカルピスを希釈して飲むという経験を持っていますが、20歳前後の我が家の倅どもなんぞはペットボトルに入ってストレートで飲むカルピスしか知らないような気もします。その時代の移り変わりを実感できる読書であろうと思いました。

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次に、尾脇秀和『刀の明治維新』(吉川弘文館) です。著者はポスドクの歴史研究者です。本書のタイトルは刀なんですが、あとがきにもある通り、帯刀という行為についての歴史的な位置づけや世間一般の受け止めの変遷について、戦国期から江戸期を通して明治初期の廃刀令までの期間です。当然、場所的には江戸や京といった大都会が中心なんですが、都市部からやや遅れがちな地方についても目を配っています。ということで、刀といえば、江戸期の前の豊臣秀吉のもとで刀狩りが実施され、支配者たる武士階級以外から武器を取り上げたんではないかと私は認識していたんですが、本書ではきっぱりと否定されており、江戸期は農民や町人も刀を所持していたと指摘しています。その上で、人に何らかの司令を下す立場にある豪農とか神職、あるいは、大工の棟梁や鳶職などはその立場を象徴する刀を帯びていた、との事実を史料から明らかにしています。しかも、そういった支配層だけでなく、一般大衆でも旅行中や正月などの非日常の場においては帯刀していた事実を確認しています。進んで、豪商がお上に寄進したり、何らかの寄付行為などで苗字帯刀が許されたわけですから、何らかの象徴的な身分標識としての帯刀行為を浮き彫りにしています。そして、上の表紙画像にある通り、明治維新からはその帯刀という行為がガラリと意味を変じたわけで、ザンギリ頭に洋装で刀を捨てて馬に乗った文明が、ちょんまげ和装で刀にしがみついた旧弊を見下ろしているわけです。手の平を返すように、帯刀という行為が権威の象徴や身分標章から、単なる凶器の携行と貶められた、と結論しています。まあ、そうなんでしょうね。

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最後に、有栖川有栖『インド倶楽部の謎』(講談社ノベルス) です。著者はベテランの領域に入りつつある新本格派のミステリ作家であり、本書は後期の作家アリスの火村シリーズの中でも特に人気の国名シリーズ最新刊です。7人のメンバーがインド、特にその思想的背景かもしれない輪廻転生で結ばれたインド倶楽部で、前世から自分が死ぬ日まですべての運命が予言され記されてインドに伝わる「アガスティアの葉」のリーディングの後に、関係者2名が相次いで殺されます。まあ、「アガスティアの葉」というのは、著者の独創なんでしょうが、アカシック・レコードの個人版みたいな位置付けなんでしょうね。それはともかく、舞台は神戸ですので兵庫県警の樺田警部、火村を快く思っていない野上警部補、遠藤刑事などが登場します。その昔の、名探偵、みなを集めて、「さて」といい、あるいは、名探偵コナンのように「犯人はお前だ」と指差すような派手なラストの犯人指摘を含む全貌解明シーンでなく、ページ数で真ん中あたりから少しずつ事件の概要が読者にも判るように手じされ始め、タマネギの皮をむくように一歩一歩すこしずつ事件の真相に迫りつつ、それでも、最後は驚きの結末が待っています。新本格派ですから、やや動機が軽く扱われていると感じる読者もいるかも知れませんが、謎解きとしてはとても良質のミステリです。
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2018年10月06日 (土) 08:21:00

米国雇用統計で雇用者増は鈍るも失業率は半世紀ぶりの低水準を記録!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+134千人増と、市場の事前コンセンサスだった+180千人の増加という予想を大きく下回って伸びが鈍化した一方で、失業率は前月とからさらに低下して3.7%となり、1969年12月の3.5%以来、約半世紀ぶりの低い水準を記録しました。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added 134,000 jobs in September, unemployment falls to nearly 50-year low
Unemployment fell to a nearly 50-year low in September even as employers added a disappointing 134,000 jobs amid increasing worker shortages and possible effects from Hurricane Florence.
The unemployment rate fell from 3.9 percent to 3.7 percent, lowest since December 1969, the Labor Department said Friday. The rate is calculated from a separate survey of households than the job growth figure.
Economists had estimated 185,000 new jobs were created last month, according to a Bloomberg survey.
Goldman Sachs expected the hurricane to reduce employment by 33,000 in the Carolinas. But Morgan Stanley said the storm likely affected too limited of an area and struck too late during the week of Labor's survey to have a meaningful impact. Workers are counted as employed as long as they show up for any part of their pay period.
Yet employment in leisure and hospitality, which includes hotels and restaurants, fell 17,000 last month, suggesting the storm was a factor.
"The headline payroll number is a weather story," Ian Shepherdson, chief economist of Pantheon Macroeconomics, wrote in a note to clients.
The number of workers across the country who stayed home because of weather increased by 276,000 last month on a non-seasonally adjusted basis, compared to a median 7,000 rise over the past 10 September jobs report, says Jim O'Sullivan, chief US economist of High Frequency Economics.
Still another wrinkle is that Labor tends to undercount September employment in its initial estimate and revise it up later, O'Sullivan says.
On the positive side, payroll increases for July and August were revised by a total 87,000. July's gain was raised from 147,000 to 165,000 and August's from 201,000 to 270,000. That largely offsets the weak September showing.
Meanwhile, the labor market faces other challenges. Businesses are having a harder time finding qualified job candidates. Many analysts expect the crunch to slow hiring in the months ahead despite strong economic growth.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、9月の米国非農業部門雇用者増は8月の+270千人増から大きく鈍化して+134千人増にとどまった一方で、失業率は8月の3.9%からさらに低下して3.7%と約半世紀振りの低い水準を記録しています。雇用者増の鈍化と失業率の低下は一見して非整合的な動きなんですが、ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的といえます。そして、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。もちろん、個人消費支出(PCE)デフレータは8月に前年同月比+2.2%まで上昇幅を拡大しており、物価上昇圧力も増しています。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げを継続して対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。
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