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2019年05月25日 (土) 11:58:00

今週の読書も話題の経済書『貿易戦争の政治経済学』や『WTF経済』から小説まで計6冊!

今週も、質量ともに充実した読書でした。話題の経済書『貿易戦争の政治経済学』や『WTF経済』、あるいは、生命科学などの教養書、さらに、小説では『かがみの孤城』で昨年2018年の本屋大賞を受賞した後の辻村深月の受賞後第1作『傲慢と善良』などです。

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まず、ダニ・ロドリック『貿易戦争の政治経済学』(白水社) です。著者は、トルコはイスタンブール出身で米国ハーバード大学を本拠にしているエコノミストです。かつて、実証はされていませんが、グローバリゼーション、国家主権、民主主義の3つを同時に追求するのは難しく、どれか1つを犠牲にせざるをえない「政治的トリレンマ」の視点を提示し、トリフィンによる国際金融のトリレンマ、すなわち、固定為替相場、資本の自由な国際移動、自律的な金融政策の3つは同時には成り立たない、というのに対比させた論点でした。前著の『グローバリゼーション・パラドクス』や『エコノミクス・ルール』なんかも、ものすごく暗くて婉曲な表現で、正確を極めればこその判りにくさがあったんですが、本書では磨きがかかっている気がします。本書の英語の原題は Straight Talk on Trade であり、2018年の出版です。ということで、アダム・スミスが葬り去った重商主義が米国と中国のG2で復活しつつあるように見える現時点で、自由貿易と重商主義的な輸出振興と関税などによる輸入抑制の重商主義的な方向性を論じています。まず、著者は自由な貿易と攻勢な貿易の峻別を提示します。貿易に限らず、すべての経済活動や経済外活動も、インチキをする自由を認めるほど世間は甘くないわけで、特に、決して好ましいとは受け止められていないグループや得体の知れない外国人が、いかにもインチキのように見える方法により自分や親しい人々のグループに不利益を及ぼしているようであれば、それに一定の歯止めを要求する権利はあるように見えます。それを主張して選挙で票を集めることも可能な気がするわけです。しかし、経済意外の分野では、私はシロートながら、国内重視のナショナリストと国際重視のコスモポリタンないしインターナショナリストは相反するように見えるんですが、本書の著者は、経済分野については国内市場を整備して秩序あるものとし開放的にすることは同時に国際的な貢献にもなる、という意味で、国内重視と国際重視が経済学的には両立しうると主張します。これはマルクス主義でも同じことであり、100年ほど前には世界同時革命論のトロツキーと一国革命論のスターリンの対立があったんですが、国内で革命を成功させることにより世界革命に貢献するという意味で、国内重視と国際重視はマルクス主義では両立します。ですから、従来から、グローバリゼーションを擁護するエリートの間では、自由貿易で不利益となるグループへの補償とグローバル・ガバナンスの強化によって問題を克服しようという考え方が根強いわけですが、著者はこの考え方に対しては「手遅れ」として否定的な見方を示します。なぜかといえば、国民の間の民主的熟議を軽視し、国際機関や政府官僚などのテクノクラートに解決を委ねてしまう貿易テクノクラシーになりかねず、そうなれば、英米などに見られるように結果として、貿易に反対するポピュリズムとデマゴーグの台頭を許したと著者は考えているからです。そこで、著者はケインズを引用して、「資本主義は一国の中でのみうまく機能するものであり、国同士の経済交流は国内の社会的、経済的契約を過度に侵害しないよう規制しなければならない。」と主張し、資本主義には国家による経済運営が必要であることを強調します。私が読み終えた現段階で、著者のグローバリゼーションに対するスタンスはこれに尽きます。すなわち、各国の置かれた政治経済情勢の多様性と政策の自由裁量を求める需要を認識した緩やかなルールこそが現実的なアプローチであり、国内の民主的手続きにより市場をコントロールする大きな権限を国内権力である政府に与えれば、グローバリゼーションの効率性と正統性を高めることができる、というわけです。ただ、その場合、世界経済の動向ですから、どの国がリーダーシップを発揮するのか、が気にかかるところです。トランプ政権下の米国には私は無理そうな気がするんですが、同時に、人権の軽視や政敵の抑圧を続ける中国とロシアには、「グローバルなリーダーシップなど発揮できるはずがない」と著者は厳しい評価を下しています。かなりの範囲でこれらの貿易の政治経済学には私も同意します。以上でホントは終わりなんですが、私の興味の範囲で、本書のテーマである貿易とはやや観点が異なるものの、開発経済学的な視点で、著者は明記はせずに、ルイス的な二重経済モデルを持ち出して、ルイス的な用語を用いれば、限界生産性に対してではなく生存水準の報酬を得られる生存部門から、限界生産性に応じた報酬が得られる資本家部門に労働力が移動することにより高度成長が成し遂げられる、という意味での開発は、そろそろ終了ではないかと結論しています。アフリカでは小売やサービスで雇用が拡大しており、製造業が農業からの労働力を吸収するというルイス的な二重経済の発展的解消による高度成長は中国や東南アジアで終了し、南アジアやアフリカなどではリープフロッグ的な経済発展をする可能性を示唆しています。最後に、私の読書感想も飛びますが、経済モデルをダイナミック、というか、動学的にその時々で違うものにするのは、まあ、判らなくもないんですが、そこまでいうと、もはやモデルでも、科学でも、何でもなくなるような気がして怖いです。

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次に、ティム・オライリー『WTF経済』(オライリー・ジャパン) です。著者は、オライリー・メディアの創業者CEOであり、テクノロジー系の技術書の出版には慧眼を示しています。本書の英語の原題は WTF?: What's the Future and Why It's Up to Us であり、2017年の出版です。"WTF" とは最後の翻訳者の解説によれば、感嘆表現 "What the Fuck!?" の略で、「なんじゃこりゃ?」くらいの意味であり、口語ではかなり普及しているとはいえ、結構お下品な表現のようです。ということで、本書では著者は、著者自身が深くコミットしてきたコンピューターの歴史を振り返るところから始め、もちろん、自慢話しも多く盛り込みながら、新しい技術がもたらす "WTF?" という驚きを、悪い驚きではなくよい驚きにし、そして、インターネットやオープンソースソフトウェアの展開に置おいて、著者が果たした、とご自分で考えている役割やその際に適用した考え方や手法などを、新たに出始めている人工知能=AIや大規模ネットプラットフォームにも適用することで、いい方向に向かうのではないか、という主張をしています。ビジネスの世界で大成功した著者のことですから、すでに引退した官庁エコノミストの私なんぞには及びもつきませんが、オープンソースソフトとインターネットの普及により、ウェブが共通のプラットフォームとして普及し、今度はその上で提供されるサービスが重要となり、すなわち、ウェブ2.0に進化し、加えて、利用者の多くがパソコンからスマホをはじめとするモバイルに移行するにつれて、その性質は強まってきているわけで、さらにさらにで、グーグルやフェイスブックやアマゾンはAPIを公開し、他のプレーヤーがサービスを構築するための新たなプラットフォームを提供しつつ、というか、それを足場に、そこで利用者について収集したビッグデータも排他的にビジネスに活用して収益を上げているわけです。他方で、著者も注目しているようなギグエコノミーでの労働者の働き方が、著者の主張するように未来的で望ましいものかどうかは、私には疑問です。典型例はウーバーの運転手であり、市場における力関係は往々にしてそうなんですが、一応、対等なでウィン・ウィンな取引関係の形をとっていても、おカネを出す方の要求におカネをもらうほうが従うこととなります。フリーランス的な自由な労働形態としてもてはやされ、ブラック企業における非正規雇用よりも好ましそうな響きを持ちつつも、雇用の安定性や労働の実態はどこまで評価できるものかは私には疑問です。本書ではかなり偏った視点を提供しているとしか思えません。そういった弱点、疑問点を含みつつも、近い将来のビジネスの方向性については、それなりに参考になりそうな気もします。

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次に、ギデオン・ラックマン『イースタニゼーション』(日本経済新聞出版社) です。著者は、 Financial Times を中心に活動しているジャーナリストです。英語の原題もそのまま EASTERNIZATION であり、2016年の出版なんですが、あとがきには2018年ころのお話が出てきたりします。というのも、邦訳は2018年11月にアメリカで刊行されたペーパーバック版に基づいているからだそうです。本書は、必ずしも経済のトピックではなく、外交やその延長としての軍事・安全保障などにおける東洋、特に中国とインドの台頭について分析を加えています。タイトルはかなり面妖で、ウェスタニゼーションが東洋の国々の西洋化であったのは明らかで、例えば、イスとテーブルの生活や着物を捨てて洋服を着たり、といったことで、はなはだしくは、我が国の鹿鳴館のような活動もあったりしたわけですが、現時点で、西洋の国が東洋の生活様式を取り入れているようなことは私はあまり聞き及びません。まあ、体重コントロールのために日本食が流行ったり、座禅を組んでマインドフルネスな仏教を感じたり、といったくらいのことはあるかもしれませんが、経済社会の中での東洋化が欧米で進んでいるとはとても思えませんので、あまりいいタイトルではなさそうな気がします。まず、アジアや東洋というと、当然に、日本もそのカテゴリーに入るわけで、特に1980年代後半、プラザ合意以降我が国のバブル経済期には、日本経済に着目する動きもありましたが、本書では我が国は明確に台頭するアジアの代表にはなりえないと否定されています。その最大の眼目は人口や市場規模です。日本は人口では中国やインドと1桁違うわけですし、市場規模としても決して大きくないと見なされているわけです。そのうえで、特に、アジアへのピボットを目論んだ米国の第1期オバマ政権の動向、クリントン国務長官やその側近ブレーンなどの取材に基づく米国や欧州のアジア志向を分析しています。もちろん、その先鞭として天然門事件以降の中国の対外開放路線に基づく経済発展、さらに、今世紀の習近平政権からの大国化の路線を跡付けています。とても興味深かったのは、pp.70-71で展開されている習近平政権の中国の互いに関連する3つの思想性で、被害者意識に根ざしたナショナリズム、米国に肉薄する国力への自信の増大、内政の安定と欧州の潜在的な破壊的役割への憂慮、だそうです。私には4点に見えるんですが、最初の「被害者意識」は我が国にだけ向けられているように見えるのは私だけでしょうか。19世紀の英国とのアヘン戦争なんて、メチャクチャえげつないものだったように思え、更にその結果として香港の割譲まであったんですが、英国に対しては、我が国に対するほどの被害者意識は持っていないように私には見受けられるんですが、いかがなもんでしょうか。むしろ、私の単なる印象論ですが、インドの方が英国に対してよくない感情を持っていそうな気がします。それはそうとして、本書でも何度か出てくるトゥキディデスの罠は避けることができるんでしょうか?

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次に、リチャード・ハリス『生命科学クライシス』(白揚社) です。著者は科学ジャーナリストです。英語の原題は Rigor Mortis であり、直訳すれば「死後硬直」です。2017年の出版です。サブタイトルを見る限り新薬開発にフォーカスしているように見えますが、メインタイトル通りに生命科学全般を対象にしているように私には読めました。ということで、創薬をはじめとする新しい医療のイノベーションが進まない現状について警告を発しようと試みています。いろんな論点があるんですが、本書で取り上げられている順に私なりに解釈すると、まず、新訳や新たな医療技術について、その有効性をテストする際の方法の不適切さが強調されています。統計的な検定が不適切だったり、そもそも統計的な検定を行うためのサンプル数が確保されていなかったり、かなり初歩的な無理解がありそうな気がします。本書では、ショッキングな表現ながら、これまで発表された学術論文で間違っているものが多いと指摘しています。ただ、そこまでいわれると、ホントかね、という気がしないでもありません。薬学の場合、作用機序というものを考えて、薬がどのような順序で効果を発揮するかを考えるわけですが、経済学と同じで、実は、モデルにおける因果関係というものは必ずしも明確ではありません。薬ではなく、医療行為に関してはもっとそうです。どうして、この医療行為が効くのかは判らなかったりするわけです。ですから、統計的な有意性が求められるわけで、著者はその棄却水準のp値が5%でいいのか、という点まで含めて疑問を呈しています。サンプル数を60%増やしてp値を0.5%にすべきではないか、という意見のようです。同様に、有効性のテストの再現性も問題とされています。我が国の理化学研究所のSTAP細胞のスキャンダルについても触れられています(p.209)。続いて、実験動物、多くはマウスということになるんでしょうが、マウスで有効だった薬が人間でも有効であるとは限らない、とも主張しています。最後に、研究者の評価のあり方についても批判的です。これは経済学や他の科学分野でもそうなんでしょうが、生命科学の関係では、『サイエンス』、『ネイチャー』、『セル』といったインパクトファクターが高く権威ある学術誌への査読論文で研究者が評価され、数少ないテニュアの研究者ポストを目指さざるを得ない、という意味で、現在の研究者のインセンティブ構造にも問題があると指摘しています。ごもっともです。そして、ひとつの画期的な考えとして、生命科学の進歩のペースを意図的に落とすことさえ選択肢として提示しています。これも、生命科学だけでなく、他の科学や学問分野にも当てはまる可能性があります。先日、4月13日付けの読書感想文で取り上げた豊田長康『科学立国の危機』とは真逆の主張のように見えますが、本書は本書で間違ってはいないような気がします。なぜなら、科学研究を加速するためには、本書の主張のように逆に研究をペースダウンするか、『科学立国の危機』の主張のように研究リソースを画期的に拡大するか、どちらかなのかもしれません。

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次に、ピーター・ブラネン『第6の大絶滅は起こるのか』(築地書館) です。著者は惑星科学を専門とする科学ジャーナリストであり、本書は初めての著書だそうです。英語の原題は The End of the World であり、2017年の出版です。原題の意味は、要するに、現在までの5回の絶滅に続く第6回目の絶滅が生ずれば、それは世界の、とはいわないまでも、人類が今までに到達した文明の終わりを意味する、ということなんだろうと、読後に感じています。ということで、地球が惑星として成り立ち、生命が誕生してから、いままでに5度の大絶滅が生じてきたと解明されています。それが第2章から第6章までのタイトルとなっており、順に解説されています。出版社のサイトから目次をそのままコピペすれば、オルドビス紀末の大絶滅【4億4500万年前】、デボン紀後期の大絶滅【3億7400万年前、3億5900万年前】、ペルム紀末の大絶滅【2億5200万年前】、三畳紀末の大絶滅【2億100万年前】、白亜紀末の大絶滅【6600万年前】、というわけです。最初のオルドビス紀末の大絶滅は宇宙からの殺人光線であるガンマ線バーストの放射とか、氷河湖の決壊による大洪水などが仮設として提出されています。また、宇宙からの放射線の影響はペルム紀末の大絶滅の原因ともいわれています。これらの中でも、一番最近の白亜紀の大絶滅、恐竜の絶滅が当然ながらもっとも科学的な根拠がハッキリしていそうなんですが、1980年にアルバレス父子のグループから提唱された小惑星衝突仮説で決まり、というわけでもなさそうで、インド亜大陸の火山爆発というデカントラップ説も本書では紹介されています。しかし、本書でもお供興味深いのは、過去の5回に渡る絶滅における仮説の紹介や検証ではなく、現在進行系の第6回目の絶滅が始まっているかどうか、さらに、近い将来の絶滅はどのくらいの確度で生じるか、といった将来見通しの方ではないでしょうか。例えば、恐竜が絶滅した白亜期末の大絶滅のひとつ前の三畳紀末の大絶滅の原因は地球の温暖化に起因します。ほぼほぼサンゴは絶滅したんですが、もちろん、すべてが絶滅したわけではなく、細々と生き残った種が現在まで生きながらえていたりするわけです。そして、更新世末の大絶滅【5万年前―近い将来】は進んでいるのかどうか、第1に気候の温暖化は産業革命以降に急速な勢いで進んでいることは確かですし、第2にホモサピエンスの通った後にハッキリと種の絶滅が生じていることも事実です。ただ、本書の著者は人類が滅ぼしたのは190万種のうちのたったの800種だと主張しています。そして、次の第6回目の大絶滅が何の原因で生じるにせよ、人間の寿命という観点からはかなり遠い先の話であることは確かで、その時の人間社会や文明の状況は何ともいえないながら、実際に生命が失われる絶滅というよりは、電気に依存した現代生活を見ても理解できるように、地球環境の変化は文明の喪失をもたらす可能性が高い、と主張しています。私は専門外もいいところですが、そうかもしれません。というか、違っているという主張をするだけの根拠を持ち合わせません。最後にどうでもいいことながら、私はガンプラを通じてガンダムに詳しい倅どもと違って、それほどガンダムの物語は知らないんですが、シャア・アズナブルは何度か、というか、私の知る範囲では、第2次ネオ・ジオン抗争の際に、小惑星5thルナを連邦軍本部所在地であるチベットのラサに落下させたり、あるいは、地球へのアクシズ落としを企んだりして、巨大ではあるものの、こういった爆発物でない単なる物体を地球に落としたところでどうなるものでもあるまい、とシロートなりに考えていたんですが、第6章で恐竜を絶滅させた白亜紀末の大絶滅の原因とされる小惑星の衝突の衝撃をとても念入りに記述してあって、私はそのとてつもないパワーにびっくりしてしまいました。やっぱり、シャアはえらい?

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最後に、辻村深月『傲慢と善良』(朝日新聞出版) です。タイトルは、いかにも、ジェーン・オースティンの代表作『高慢と偏見』 Pride and Prejudice を思い起こさせるものですが、この作家の自負を表しているのかもしれません。男女間の恋愛ないし結婚をテーマにしている点は同じです。作品の中にの明示的に言及があります。『かがみの孤城』で昨年2018年の本屋大賞を受賞した後の第1作です。2部構成で、さらに、最後にエピローグがついてきます。婚約した男女が、結局、最後は結ばれるというハッピーエンドの恋愛小説です。しかし、結婚式の日取りまで決まっていながら、婚約者の女性が失踪します。ということで、第1部は、婚約者の女性に失踪されてしまった男性の視点から、女性の失踪の謎解きが始まります。結局、男性から見た女性は70点で、その前には100点満点の女性に逃げられて、40歳も近くなって結婚に逃げ込んだ印象です。ただ、女性がストーカーという非現実的ですぐにバレる嘘をついたのに気づかない男性も異常な気がします。第2部は失踪した女性の視点でストーリーが進みます。しかし、最後は大甘で、男性は失踪した女性を許す形になり、女性のそんな男性の包容力を受け入れます。私は決してせっかちな方ではないつもりで、私とカミさんが結婚したのも、この作品の男女と同じくらいの年齢でしたし、世代が違うので婚活という言葉もなく、婚活めいたことはしませんでしたし、見合いとかの出会いで断られた時には、全人格を否定するような断り方が不自然ではなかった時代です。加えて、今以上に結婚が男女の恋愛感情だけでなく、経済も含めた打算で決まっていた時代背景です。私は30歳を過ぎて、海外勤務のお話があり、結婚を考えないでもなかったんですが、時代はバブル経済のまっ盛りで、結局、二重の理由で結婚には至りませんでした。すなわち、バブル経済のころは十分に遊べて、結婚するまで不自由していない、という意味で、この作品の男性とよく似た恵まれた状況にありました。逆の面から見て、京大の経済学部を出て公務員なんてセンスのない職業選択に女性からは見えたわけで、「どうして証券会社に就職しなかったの?」というカンジの見方が圧倒的で、経済的な打算から公務員は結婚相手として決して上位には来なかったわけです。1994年に大使館勤務を終えて帰国すれば、バブル経済崩壊の後で学生の就職は超氷河期で、公務員の株が顕著に上昇していてびっくりした経験があります。そこで、私は結婚したわけです。ですから、上から目線の結婚だったかもしれませんし、この作品の男性のような考えは、女性の行動もいうに及ばず、とうとう私は理解できませんでした。世代が違うのでしょうから、この読書感想文は参考にはならないかもしれません。
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2019年05月24日 (金) 21:40:00

少ないチャンスをモノにして横浜に先勝!!!

  RHE
阪  神000101100 370
横  浜200000000 291


ヤクルト戦から僅差の競った試合が続き、今夜は4番大山選手の勝ち越しタイムリーで横浜に先勝でした。今日は、先発の西投手が初回に筒香選手のツーランを浴びましたが、結局5回2失点で乗り切りました。リリーフ陣も連夜の登板で疲れているんでしょうが、ゼロに抑え切りました。8回をゼロに抑えた藤川投手の派手なガッツポーズが印象的でした。守屋投手の2勝目はめでたい限りなんですが、打線はもう少し早い回に得点して、先発投手に勝ち星を付けられるよう奮起を望みます。

チコちゃんが始球式に出てこないうちに、
がんばれタイガース!
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2019年05月24日 (金) 20:12:00

OECD「経済見通し」Economic Outlook May 2019 やいかに?

3月で公務員を定年退職して、このところ、私の不注意で国際機関のリポートを見逃すことが多くなり、4月3日に公表されたアジア開発銀行(ADB)による「アジア開発見通し」Asian Development Outlook (ADO) 2019 はつい最近まで目につかず、今さら取り上げるのも気が引けていましたが、今週火曜日5月21日に公表された経済協力開発機構(OECD)の「経済見通し」OECD Economic Outlook May 2019 については、国際機関のリポートはこのブログの注目点でもありますので、1週間以内くらいであれば遅ればせながら、取り上げておきたいと思います。ADBにせよ、OECDにせよ、米中貿易摩擦により成長率見通しが引き下げられている点については方向性は一致していると考えて差し支えありません。

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まず、リポートから成長率や失業率などの総括表 Table 1.1. Global growth remains weak を引用すると上の通りです。世界経済の成長率は、先行き2019-20年に米中間の貿易摩擦により減速すると見込まれています。しかし、特に新興国や途上国などでは、それほど大きく減速するわけではありません。もちろん、中国は別です。しかしながら、私の理解するところ、今年2019年から来年2020年にかけて、2019年のレベルから成長率が上向く国と、そうでなく、今年から来年にかけて成長率が下がり続ける国があります。欧州やインド・ブラジルといった新興国などは前者の成長率が持ち直すグループなんですが、貿易摩擦の当事者そのものである米中と我が国については成長率が来年にかけて下がり続けます。もっとも、日本については、貿易摩擦の影響というよりは、今年2019年10月からの消費税率引き上げが今年よりも来年に大きな影響を及ぼしますので、少し別要因かも知れません。また、このテーブルには出ていませんが、韓国も今年から来年にかけて成長率がさらに減速します。もちろん、米中は成長率が2020年にかけて減速を続けるのは、ひとつに、貿易要因に加えて、輸出が設備投資とリンクしていて、投資の減速も招くからです。ただ、雇用については貿易からの影響大きい製造業ではなく、非製造業で生み出されていることから、引き続き持ちこたえている、と評価しています。

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次に、やや雑に3つのグラフを連結したのが上の画像です。上から順に、いずれも、リポートから、Figure 1.7. Global growth is set to remain modest と Figure 1.8. Global trade growth is set to remain subdued と Figure 1.13. The adverse effects from higher US-China tariffs could intensify further を引用して、私の方で結合しています。上2つのパネルを見れば明らかな通り、成長率も貿易の伸びも、ともに、2017年をピークとして2018-19年にかけて緩やかに減速し、2020年には反転して持ち直す、という見通しになっています。一番下のパネルでは、NiGEM global macro-model のシミュレーションにより、米中両国と世界のGDPおよび貿易に対するマイナスの効果を算出しています。関税率の引き上げに加えて、リスク・プレミアムの拡大により影響も決して無視できない、との結果が示されています。
こういった現状判断に加えて、貿易摩擦は目先の短期的なインパクトにとどまらず、長期的な展望にもダメージを及ぼす恐れがあり、各国政府が早急に成長を再活性化する必要を強調しています。政策対応としては、もちろん、発端が貿易摩擦ですので、多国間での貿易交渉を再開する必要性を指摘するとともに、ユーロ圏のように公的債務が比較的少ない国においては、金融政策に依存するのではなく、財政刺激策による構造改革に取り組むべきと主張しています。優先課題としては、インフラ整備、デジタルや交通や環境に配慮したエネルギー対策、人的資本への投資、機会の平等をもたらす政策、などを例示しています。

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この見通しと関連して、昨日5月23日付けで、国際通貨基金(IMF)から IMF Blog にて The Impact of US-China Trade Tensions と題する記事がアップされています。そして、米国と中国が互いにすべての輸入品に制裁関税を課すという形で貿易摩擦が激化すると仮定すれば、短期的には世界経済の成長率が▲0.3%ポイント下振れすると試算しています。すなわち、原文を引用すると、"At the global level, the additional impact of the recently announced and envisaged new US-China tariffs, expected to extend to all trade between those countries, will subtract about 0.3 percent of global GDP in the short term, with half stemming from business and market confidence effects." というわけです。なお、上のグラフは IMF Blog のサイトから、国別の生産者への影響のグラフを引用しています。

最後に、目を国内経済指標に転じると、総務省統計局から4月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から上昇幅をやや拡大して+0.9%を示しています。

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いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。
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2019年05月23日 (木) 21:55:00

最終回に新キャプテンのサヨナラ打でヤクルトを3タテ!!!

  RHE
ヤクルト000000000 052
阪  神000000001x 192


僅差の競った試合ながら、クローザーを出し惜しんだヤクルトに、新キャプテン糸原選手のタイムリーでサヨナラ勝ちでした。今日は、先発の高橋投手が6回までゼロに抑え、見ごたえある投手戦でした。リリーフ陣も1回ずつをピシャリとゼロに抑え、最終回にフォアボールを足場として、サヨナラ勝ちで3タテ完成の巻でした。

明日の横浜戦も、
がんばれタイガース!
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2019年05月23日 (木) 19:28:00

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「新入社員意識調査アンケート結果」やいかに?

今年、我が家の上の倅も大学を卒業して就職し働き始めましたが、例年の通り、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから5月17日付けで「新入社員意識調査アンケート結果」が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのサイトからアンケート調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

【アンケート調査結果の概要】
  • 多様な価値観の許容を何より求める新入社員たち
    会社から「私生活に干渉」されることを拒み、「会社の人と飲みに行くのは気がすすまない」新入社員が増えてきている。プライベートな時間を確保し、会社以外の居場所を大切にしたいという傾向が近年強まっている。
    兼業・副業をしたいと考えている新入社員が4割を超え、そのうち7割以上の人が「趣味を活かした仕事」を希望している。会社という枠にとらわれず、「私」の価値観の下で仕事をしたいと考えている可能性がある。令和の時代に求めることとしては、「多様な価値観が許容される」が最も多かった。
  • 転職にも前向きな姿勢、兼業・副業をその足掛かりに
    今年の新入社員は、転職にも前向きなようだ。良好な雇用情勢の下、転職先を見つけることが比較的容易であるためか、転職への抵抗感が和らいできた。新卒で入った会社で働き続けることが当たり前ではなく、将来の多様な可能性を求めたいということであろう。
    転職に前向きな新入社員ほど、兼業・副業にも前向きで、一部の人は兼業・副業から転職のきっかけを掴もうと考えているようだ。
  • 理想の上司は「寛容型」
    自己認識として、協調性には自信があるが、創造力や積極性に欠けると考える人が多い。また仕事がうまくできるかといった不安を抱えており、たとえミスをしても広い心で受け入れ、温かく成長を見守ってくれる「寛容型」の上司を求めている。


やたらと長くて、これだけでおなかいっぱいな気もします。私自身はすでに定年退職して一線を退いたんですが、倅の終活を見ていて興味あるところ、上に引用した概要とは必ずしも同じ並びではありませんが、私の興味の範囲で、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから最近数年の 終業後の付き合い方 の推移を引用しています。2014年新入社員から今年2019年までの5年間の変化で、「上司や仲間と時々飲みに行きたい」が10%ポイント超の減少、逆に、「会社の人と飲みに行くのは気がすすまない」が10%ポイント超の増加、という結果が示されています。最初に引用した結果の概要にもある通り、多様な価値観の許容と個性の尊重が必要ということなんだろうと思います。終業後まで職場の人と付き合おうという新入社員は減っていることは確かでしょう。もっとも、大昔に私が役所に入ったころは霞が関では慢性的な残業体制が広がっていて、その後のバブル期を待たないと職場で飲みに行くなんてことはほぼほぼなかった気がします。

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次に、上のグラフはリポートから最近数年の 転職希望に関する就労意識 の推移を引用しています。最近の人手不足の影響が転職に対してどう表れるか、という点に関しては両方の考え方があり、第1に希望通りの就職先だったので転職しない、という考え方が成り立ちますが、逆に、第2に雇用情勢が良好で転職先が見つけやすいので転職も視野に入れる、ということもあり得ます。結果は実証するしかないんですが、2019年新入社員ンついては、従来からは後者の転職を視野に入れる方向に流れたようです。ただ、先行きは不透明そうな気もします。

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次に、上のグラフはリポートから最近3年の 海外勤務の希望 の推移を引用しています。わずかに3年間ですので、ここから傾向を見るのは厳しいような気もしますが、海外勤務の希望は減少しているように見えます。銃乱射などの治安、あるいは、かつてのように海外勤務が出世コースであった時代と異なり、また、日本にいても世界を相手にした仕事ができるインフラが整っていることなどが海外勤務希望の減少の背景にあるんではないか、と考えられます。私は南米のチリとインドネシアに2度の海外勤務を経験しましたが、まったく出世はしませんでした。しかしながら、私のつたない経験からして、独身ないし子供が小さいころの海外勤務はそれなりに楽しかった記憶が残っています。

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最後に、上のグラフはリポートから最近数年の 残業に対する考え方 の推移を引用しています。残業と所得の間には一定のトレードオフがあり、ワークライフ・バランスの観点などから、ここ数年は「給料が増えなくても残業はない方がよい」が「残業が多くても給料が増えるのだからよい」を上回って過半を占めていたんですが、ここ2~3年はこの差が縮小してきています。基本は、残業せずにプライベートな時間を大切にしたい、ということなんだろうと受け止めていますが、いろんな要因から循環的な結果が示されるんだろうと思います。
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2019年05月22日 (水) 21:30:00

僅差の試合を競り勝ってヤクルトに連勝!!!

  RHE
ヤクルト000100001 2103
阪  神010000200 391


僅差の競った試合ながら、守備のミスに乗じて、ヤクルトに連勝でした。相変わらず、先発の岩田投手はピッチングのテンポはよろしくなく、ピンチを背負いながらも、何とかバレンタイン選手のホームランの1点に抑え、7回にはヤクルト守備陣のミスに乗じて勝ち越し、そのまま自慢のリリーフ陣で逃げ切りました。

明日は高橋投手をもり立てて3タテ目指し、
がんばれタイガース!
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2019年05月22日 (水) 19:12:00

黒字が大きく減少した4月の貿易統計と2か月連続で増加した機械受注をどう見るか?

本日、財務省から4月の貿易統計が、また、内閣府から3月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計については、季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲2.4%減の6兆6588億円、輸入額も▲6.3%減の1兆2329億円、差引き貿易収支は+604億円の黒字を計上しています。また、機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+3.8%増の8688億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易黒字9割減 4月604億円、中国向け輸出6.3%減少
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は604億円の黒字だった。3カ月連続の黒字だが、前年同月に比べると黒字幅は9割縮小した。前月と比べても9割ほど縮小した。注目された中国向け輸出は液晶デバイス製造向けの半導体等製造装置が低迷し、前年同月比6.3%減と落ち込んだ。これを受け、世界全体の輸出額も5カ月連続の減少となった。
世界全体の輸出額は前年同月比2.4%減の6兆6588億円だった。中国向けの半導体等製造装置のほか、タンカーなど船舶輸出の減少が影響した。輸入額は6.4%増の6兆5983億円だった。イランからの原粗油のほか、中国からのパソコンや携帯電話の輸入が増えた。
中国向けの輸出額は1兆2329億円と6.3%減少した。自動車輸出は増えたものの、半導体等製造装置や半導体等電子部品などの輸出減が大きく、輸出額は2カ月連続の減少となった。
対米国の貿易収支は7232億円の黒字で、黒字額は17.7%増加した。増加は2カ月連続。自動車や半導体等製造装置の輸出が増えた。
4月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=111円18銭。前年同月に比べ4.6%の円安・ドル高に振れた。
3月の機械受注、3.8%増 建設機械などの大型受注
内閣府が22日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比3.8%増の8688億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(0.0%)を上回り、2カ月連続で上昇した。建設機械などの大型案件の受注があったことが寄与した。
製造業の受注額は前月比11.4%減の3440億円だった。2カ月ぶりの減少で、17業種のうち7業種で減少した。「造船業」で2月に大型案件を受注した反動があったことや「その他輸送用機械」で鉄道車両などの受注が低調だった。
半面、非製造業は13.4%増の5117億円と、3カ月ぶりに前月を上回った。「建設業」で建設機械の大型受注があったことが寄与した。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.7%減だった。受注総額は1.0%減の2兆2542億円。外需の受注額は1兆734億円で、官公需の受注額は1523億円だった。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
1▲3月期では前期比3.2%減と、2期連続の減少だった。製造業は7.7%減、非製造業は0.3%減だった。
4▲6月期は前期比15.7%増の見通し。製造業は11.7%増、非製造業は18.8%増を見込んでいる。内閣府によると、5月に表面化した米中貿易摩擦の影響については「織り込んでいない」としている。
2018年度の受注額は前年度比2.8%増の10兆4364億円で、2年ぶりの上昇に転じた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上2つのパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、一番上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、その下の2番めのパネルは季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。下2つのパネルはともに季節調整していない原系列の輸出数量指数の前年同期比伸び率をOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしています。3番目のパネルは我が国の輸出数量指数とOECD諸国の先行指数のいずれも前年同月比であり、4番めの一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。影を付けた部分は我が国の景気後退期です。ただし、3~4番めのパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。

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ということで、引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の統計で見ると貿易収支は大きく減少したとはいえ黒字なんですが、傾向を把握できる季節調整済みの系列の統計では昨年2018年年央の7月からほぼほぼ一貫して赤字が続いています。例外は、中華圏の春節による撹乱があった今年2019年2月統計だけです。GDP統計の基礎となる経常収支の方は直接投資収益などの第1次所得収支がコンスタントに黒字を稼ぎ出しているので、毎月1~2兆円の黒字を計上している一方で、通関統計の貿易収支は国際商品市況における石油価格の上昇による輸入額が増加しているの加えて、先進各国や中国の景気減速により輸出額が減少しており、差し引き貿易黒字は縮小ないし赤字となる傾向にあります。もちろん、我が国の場合は初期条件、というか、どこに初期条件を設定するかにもよりますが、従来から貿易黒字を計上してきていたので、まだ貿易黒字が縮小する段階なのかもしれませんが、石油価格は再上昇をはじめており、米中貿易摩擦の影響により世界経済の低迷が続けば、この傾向はさらに明確になると考えるべきです。さらにさらに、で、引用した記事の最後のパラにもある通り、円レートは対ドルでやや円高を示しているようですが、対ドルで円高でないとしても、中国の人民元が貿易摩擦の影響などから、かなりの減価を示しており、円レートは対ドルで見るよりも実効レートではさらに円高となっている可能性があります。心理的に株価にもインパクトあるとはいえ、為替相場は直接には貿易と物価に影響が大きいことはいうまでもありません。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、2月の+1.8%増に続いて、3月直近統計では+3.8%増と、2か月連続の増加を示しています。ただし、引用した記事にもある通り、ややイレギュラーな大型案件があったような報道ですし、貿易摩擦の影響の大きい製造業では▲11.4%減、逆に、人手不足の影響の大きい非製造業では+13.4%増と明暗が別れています。また、4~6月見通しを見るとコア機械受注で前期比+15.7%増の2兆9,236億円と見込まれていますが、つい最近のこの5月から再燃した米中貿易摩擦の影響が考慮されていないようですから、かなり割り引いて考える必要があるかもしれません。先行きについては、それほどしっかりした根拠があるわけではありませんが、私の見る限りでは、4~6月見通しのような四半期ベースで2ケタ増が続くとは考えられず、貿易摩擦のため製造業でややマイナス、人手不足のため非製造業でややプラス、といったところでしょから、合わせて横ばい近傍の動きになりそうな気がします。繰り返しになりますが、それほどの根拠はありません。
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2019年05月21日 (火) 23:12:00

アップデートされた大和総研「米中冷戦再開の政治経済分析」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週木曜日の5月16日に大和総研から「<最新版> 米中冷戦再開の政治経済分析」と題するリポートが明らかにされています。基本的には、大和総研から5月7日に明らかにされ、このブログで5月10日に取り上げた「『米中冷戦』再開の政治経済分析」をアップデートしたものと明記されています。まず、リポートから要約5点のうち4点めと5点めの2点を引用すると以下の通りです。

[要約]
  • 大和総研のマクロモデルを用いた試算によれば、足下の追加関税率に6月1日に予定されている中国の報復を加えると、GDPの下押し効果は中国▲0.25%、米国▲0.29%、日本▲0.02%となる。さらに、米国が残りの3,000億ドル相当にも25%の追加関税を賦課した場合、GDPの下押し効果は中国▲0.36%、米国▲0.55%、日本▲0.03%となる。
  • 【日本経済への含意】日本にとって最も懸念すべき問題は「二次的効果」だ。すなわち、中国から米国に輸出されている電子機器を生産するために必要となる部材や資本財の対中輸出が顕著に減少する効果である。他方、米中冷戦が深刻化するほどに同盟関係が重要となり、米国による対日関税の引き上げリスクが後退することや、米中が関税を相互に賦課することで日本における代替生産が増加する「代替効果」は、日本経済にとって言わば「漁夫の利」となりうる点にも留意しておきたい。


関税率引き上げの影響試算の概要は以下のグラフの通りです。一番上の図表7については、5月10日付けでこのブログで取り上げた際の図表6とまったく同じです。その下の図表9と図表11がアップデートされています。すなわち、図表7は、関税率引き上げの5月10日の前の段階の関税率であり、米国が中国からの2,000億ドル相当の輸入品目に対する追加関税率を10%で据え置かれていた場合の影響を試算しており、図表9は、米国の関税率が25%に引き上げられ、中国が報復で600億ドルの対米輸入品の追加関税を平均7.4%から14.5%へと引き上げた5月10日以降の試算を示しており、最後の図表11は、米国が医薬品とレアアースを除くすべての品目に25%の追加関税を賦課した場合の試算となっています。ですから、繰り返しになりますが、5月10日の前の関税率で試算されている一番上の図表7には変更ありません。なお、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が制裁対象のイランとの金融取引にかかわったとして、米国商務省の輸出管理規則に基づくエンティティ・リストに追加され、米国製品比率が25%以上含まれていればファーウェイ向けの輸出は事前許可が必要となることから、このエンティティ・リスト入りは事実上の禁輸措置と考えられているんですが、このリポートの試算はあくまで関税率に関するものということなのか、この措置については試算には含まれていないように見受けられます。

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私の直感的な理解ながら、CGEモデルで試算すれば、大和総研リポートにもあるように、代替効果を通じる我が国への「漁夫の利」のような影響はプラスとなる可能性が高いと考えられるんですが、このリポートでは日本への影響はマイナスと出ています。リポートでは「大和総研のマクロモデルを用いた試算」としか記されていないんですが、たぶん、CGEモデルではなく、ひょっとしたら、クライン型の計量経済モデルなのかもしれない、と思わないでもありません。いずれにせよ、詳細は不明です。
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2019年05月20日 (月) 19:55:00

1-3月期GDP統計1次QEから先行きの景気動向を考える!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.1%を記録しました。2四半期連続のプラス成長で、1~3月期は前期よりも成長が加速しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減
内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10~12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。
項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。
輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。
個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが寄与した。
設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.2%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のプラスだった。
同時に発表した2018年度のGDPは実質で前年比0.6%増、生活実感に近い名目で0.5%増だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/1-32018/4-62018/7-92018/10-122019/1-3
国内総生産GDP▲0.1+0.5▲0.6+0.4+0.5
民間消費▲0.1+0.6▲0.3+0.2▲0.1
民間住宅▲2.4▲2.1+0.8+1.4+1.1
民間設備+1.2+2.4▲2.5+2.5▲0.3
民間在庫 *(▲0.2)(▲0.0)(+0.1)(+0.1(+0.1)
公的需要▲0.1▲0.1▲0.2+0.3+0.2
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.6)(▲0.4)(+0.7)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.1)(▲0.2)(▲0.3)(+0.4)
輸出+1.0+0.7▲2.0+1.2▲2.4
輸入+0.7+1.0▲1.0+3.0▲4.6
国内総所得 (GDI)▲0.3+0.4▲0.9+0.4+0.9
国民総所得 (GNI)▲0.4+0.6▲1.1+0.5+0.7
名目GDP▲0.2+0.3▲0.6+0.5+0.8
雇用者報酬 (実質)+1.0+1.4▲0.5+0.2+0.1
GDPデフレータ+0.5▲0.1▲0.4▲0.3+0.2
内需デフレータ+0.9+0.5+0.6+0.5+0.3


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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まず、潜在成長率を上回るという意味で、1~3月期GDP成長率は1次QE段階ではかなり大きなプラス成長となっています。別の観点からは、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比で▲0.3%のマイナス成長、レンジでも▲0.4%~+0.4%でしたから、上限を上回る大きなプラス成長ということになります。内外需ともにプラス寄与なんですが、内需では消費も設備投資もマイナスで在庫がプラスですし、外需のプラス寄与については輸出が伸びたからではなく、国内需要の減速を受けて輸入が減ったことに起因している点などを考慮に入れて、成長率の数字の量的な面ではなく、成長の質のようなものを考え合わせると、それほど評価できる成長の姿ではないのかもしれません。ただし、景気動向指数の基調判断などから、景気後退局面が近い、ないし、すでに入っている、といった景気後退に対する懸念は大きく和らいだと私は受け止めています。少なくとも、2四半期連続のマイナス成長というテクニカルな景気後退観測が成り立ちにくくなったことは確かです。もちろん、米中間の貿易摩擦の影響やそれに起因する中国経済の低迷などから、おそらく、5~6月統計あたりから輸出をはじめとして鉱工業生産など、我が国景気に密接に関連する各種統計にも停滞感が出始める可能性があることは覚悟すべきです。しかし、もう少し先を考えると、ポイント還元などで、かなりの緩和措置が講じられる予定とはいえ、10月の消費税率の引き上げ直前には一定の駆け込み需要はあると想定され、1~3月期の住宅投資にはすでにそれが現れているとの見方もありますので、年度前半くらいまでの景気後退局面入りは可能性として低い気がしています。ただ、年度後半には駆け込み需要の後の反動減はありえますので、決してサステイナブルではなく、景気局面の進み方はやかなり複雑な気がしています。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。1~3月期の消費はわずかながらマイナスとなっていますが、雇用者報酬が伸び悩んでいるのが見て取れます。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象です。まだ、消費者マインドは改善の兆しすら見えませんが、現在の人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加の方向の影響を及ぼすことが考えられますし、加えて、賃金が上昇して消費者マインドが上向けば、内需主導の成長がサポートされるものと考えます。もちろん、賃金上昇はデフレ脱却に向けて有効であることは明らかです。
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2019年05月19日 (日) 17:10:00

甲子園で負けが続いて広島にも3連敗!!!

  RHE
広  島210200000 5112
阪  神000000001 161


広島が実力を発揮したというか、先発秋山投手が序盤から失点し、打線に得点力なく広島に連敗でした。上り坂の王者広島との実力差を見せつけられた気がします。それにしても、甲子園で負けが続いています。ルーキーに疲れが見えます。特に、近本選手の出塁が減っています。また、木浪遊撃手もいいんですが、これだけ打てないんですから、鳥谷選手を使って欲しいです。

次のヤクルト戦は、
がんばれタイガース!
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