2018年02月19日 (月) 23:41:00

1月貿易統計の大きな赤字は先行き日本経済の悲観材料か?

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+12.2%増の6兆856億円、輸入額も+7.9%増の7兆290億円、差引き貿易収支は▲9434億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易収支、8カ月ぶり赤字 9434億円、原油高で輸入増
財務省が19日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9434億円の赤字(前年同月は1兆919億円の赤字)だった。貿易赤字は8カ月ぶり。原油相場の高止まりが続き、輸入が増加した。
輸入額は7.9%増の7兆290億円だった。13カ月連続で増加した。原油や液化天然ガス(LNG)など資源価格上昇の影響を受けた品目が全体を押し上げたほか、医薬品の輸入も増えた。対中国の輸入額は3.3%減少したが、11カ月連続の貿易赤字だった。対米国の輸入額は9.4%増加し、貿易黒字幅は2カ月連続で縮小した。
輸出額は前年同月比12.2%増の6兆856億円と、14カ月連続でプラスだった。地域別に見ると、アジア向け輸出は3兆3503億円と16.0%増えた。このうち中国向けは30.8%増の1兆1600億円で、いずれも1月としては過去最高だった。輸出全体の増加に寄与したのは、中国向けのハイブリッド(HV)車や車両用エンジン、IC製造装置などだった。
中国は毎年、春節(旧正月)前に輸入を絞る傾向がある。1月の中国向け輸出額の伸び率が高かったのは春節の時期の違いが影響した面がある。今年の春節は2月16日だったため「対中輸出への影響は2月にずれこむ可能性がある」(財務省)という。
税関長公示レートは1ドル=112.47円。前年同月に比べ3.4%円高にふれた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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毎年、この1~2月の季節になると、いかんともしがたく貿易統計の輸出額には中華圏の春節の影響が現れます。春節は、昨年2017年は1月28日、今年2018年は2月16日でしたので、月が違うと季節調整すらままならず、前年同月比で見ても大きなバイアスがかかりかねません。ただ、輸入額は我が国経済の回復・拡大と国際商品市況における石油価格の上昇により着実に増加を示しています。もっとも、NY市場における原油価格は、貿易統計の1月ではなく2月の現時点で、1バレル60ドルを少し超えたくらいのレンジですので、かなり上昇したとはいえ、それほどムチャな水準ではありません。そして、上のグラフの季節調整済みの系列の方の下のパネルに見られる通り、傾向を見る目的で引用している季節調整済みの系列ではまだ貿易収支は黒字であり、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを下回り、大差ありませんから、原系列統計での貿易赤字をもって悲観材料とは考えられません。ただ、ひとつだけ、為替相場については、最近時点でも円高に振れていることから、例えば、最近の株式市場の乱高下などを見るにつけ、貿易にとどまらず、株価やマインド面も含めて為替の影響は大きいと、改めて感じています。

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輸出の動向については、繰り返しになるものの、春節効果による振れが大きく、それだけ我が国輸出に対する中国経済の影響度合いが大きくなったことを実感します。最近時点では、特に昨年2017年12月と直近統計の今年2018年1月には、為替相場における円高の影響から輸出価格上昇の抑制が観察されましたが、輸出数量の方で伸びを確保しているのがグラフから見て取れます。一番上のパネルです。輸出の先行きについては、中国をはじめとする新興国や先進国ともに世界経済が緩やかに回復・拡大する中で、我が国輸出も堅調に推移するものと見込んでいます。ただし、もう一度確認ですが、為替相場が安定的に推移するという前提の下ですので、米国が金融政策の正常化を進めて米国金利の動向が不透明な中で、為替だけは相場モノでもあり先が見通せません。
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2018年02月18日 (日) 16:26:00

英国『エコノミスト』誌のガラスの天井指数 = glass-ceiling index やいかに?

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毎年3月8日は International Women's Day であり、今年のテーマは PRESS for progress だそうです。第2インターナショナルを起源とする社会民主主義的な要素を持つ記念日ですが、この3月8日を前にして、英国『エコノミスト』誌が、上に引用したような Environment for working women のランキングを明らかにしています。The Economist's glass-ceiling index と名付けているようです。やっぱり、我が国はこういった分野は遅れているんでしょうね。
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2018年02月16日 (金) 21:17:00

MM総研による「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果やいかに?

ここ数年、シェアリング・エコノミーの利用が広がっています。Airbnb や Uber などのプラットフォーム企業がマッチングをして、CtoC で空き部屋のシェアリングや自動車による移動のシェアリング、あるいは、日本でいえばココナラなどのスキルのシェアリングが注目されています。もっとも、ココナラのサイトを見る限り、スキルのシェアというよりは、イラストを売っているに近い気もしないでもありません。
こういった中で、MM総研から先週2月6日付けで「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果が明らかにされています。まず、MM総研のサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

  • フリマアプリ・オークションサイトの利用率は38.0%、年代別には20代が47.6%でトップを占め、スマートフォン利用と親密性が高い
  • 購入品目1位は「衣類・服飾品」、次いで「チケット・クーポン」「コスメ・香水・美容」「タレントグッズ・アニメグッズ」「PC・タブレット」と続く
  • フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位


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まず、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトの利用有無 を引用しています。出品か購入か、いずれか一方しかしない人を含めて40%近い人がフリマアプリやオークションサイトの利用をしており、決して無視できない割合といえます。グラフは省略していますが、年代別には、特に20代では47.6%と半数近い割合で利用しており、フリマアプリやオークションサイトがいわゆる「スマホ世代」に広く浸透していることがうかがえます。同時に、50代以上でも30.8%が利用しており、いろんな年代に渡って、男女ともに利用実態が幅広いことが確認できます。

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次に、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトでの購入品目 を引用しています。この裏側では出品も同じようになっていると想像されます。「衣類・服飾品」がトップになった背景にはフリマアプリの多くが「ファッションアイテム」に注力していることも後押ししている可能性が指摘されます。2位の「チケット・クーポン」は、ライブやスポーツ観戦チケットなどがメインですが、株主優待券や抽選の応募券、割引チケットなどもあるようで、私なんぞが新橋あたりで買い物するリアルのチケット・ショップと変わりないようです。また、3位の「コスメ・香水・美容」で特徴的なのは、使い残しの出品が多いことが指摘されています。自分用にいったん買ったものながら、さまざまな理由から容器にまだ8~9割残っているものを出品するのだということで、購入者側も格安のためテスターとして試すケースもあるようです。

私はフリマアプリというよりも、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味があり、それなりに研究もしようと考えていますが、企業から大量生産品などとして市場に供給される製品やサービスに比べて、シェアリング・エコノミーのような C to C の場合は市場における情報の非対称性が問題になる可能性があると考えています。アカロフ教授がノーベル経済学賞を受賞した中古車市場のレモンとピーチです。さらに、フリマのように中古品を出品するとなれば、この非対称性がさらに大きくなる可能性もあるわけで、これもテーブルの引用は省略しますが、この調査では、フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位、との結果も示されており、メディアにメルカリがよくない意味で取り上げられるケースが散見されるのも、こういった情報の非対称性に起因している可能性があるような気がしてなりません。
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2018年02月15日 (木) 19:58:00

2017年12月統計で大きな減少を示した機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から昨年2017年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲11.9%減の7926億円と大きなマイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の機械受注、前月比11.9%減 17年は5年ぶり減少
内閣府が15日発表した2017年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比11.9%減の7926億円だった。減少は3カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値(2.9%減)を大きく下回った。製造業と非製造業がともに減少した。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」とした。
製造業の受注額は3648億円と前月比13.3%減少した。減少は2カ月連続。原子力原動機の反動減などによる「非鉄金属」が大幅な減少が響いた。非製造業は7.3%減の4457億円。3カ月ぶりに減少した。運搬機械など「卸売業・小売業」などが減少した。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.0%減だった。
併せて公表した2017年10~12月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は2兆5427億円と前期比0.1%減少した。内閣府が前月時点で示していた17年10~12月期見通しは3.5%減だった。
17年の船舶・電力を除いた民需の受注額は10兆1431億円と前年比1.1%減少した。減少は5年ぶり。非製造業は5.1%減の5兆6817億円と3年ぶりに減少した。一方で製造業は4.2%増の4兆4828億円と2年ぶりに増加した。
18年1~3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は0.6%増の見通し。製造業が5.7%減、非製造業が7.4%増とみている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの中心値は前月比で▲2.9%減であり、レンジの下限でも▲7.5%減でしたので、2ケタ減はかなり大きいと受け止めています。ただ、報道などでは明らかではありませんが、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「持ち直しの動き」と総括しつつ、12月統計のイレギュラーさを浮き彫りにした表現を加えていますから、何らかの特殊要因で大幅減がもたらされたのかもしれません。です。いずれにせよ、2017年12月統計の大幅減をどう見るかには、いくつかの解釈が可能かと受け止めています。加えて、その先行きをどう予想するか、もいくつかの見込みがあり得ます。第1に、単純にイレギュラーな特殊要因による大幅減として、基調は「持ち直しの動き」で変わりないとの解釈です。根拠のひとつは2018年1~3月期のコア機械受注の見通しが前期比で+0.6%と増加を示している点です。第2に、為替要因を重視し、特に、足元での円高傾向から先行きを悲観視する見方です。根拠のひとつは、12月統計の前期比でコア機械受注のうち、船舶・電力を除く非製造業が▲7.3%減を示したのに対し、製造業は▲13.3%減であったからであり、2018年1~3月期見通しでも、製造業は前期比マイナス、船舶・電力を除く非製造業はプラスと見込まれています。第3に、足元は楽観しつつ、2019年以降くらいに消費増税の実施と資本ストックの循環要因から設備投資が減速する、という見方です。実は、私自身はこの第3の見方にやや近く、2019年10月の消費増税と2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催後の設備投資は明らかに減速すると予想しています。2019年後半よりはもう1年オリンピック・パラリンピックで需要が支えられる可能性が高いものの、2020年後半には明らかに設備投資は減速すると考えるべきです。ただ、足元や目先については、為替要因が小さいならば、まだ一進一退ないし横ばい圏内の動きを続けるものと考えています。もちろん、為替要因はかなり大きい可能性もあります。それなりのボラティリティを持つ相場モノの予想は私には出来ません。

最後に、四半期データが利用可能になりましたし、先行き四半期である2018年1~3月期見通しも明らかにされています。いつもでしたら、四半期データである達成率のグラフをお示しするんですが、引き続き、エコノミストの経験則である景気転換ラインである90%は超えていません。2017年7~9月期99.0%の後、10~12月期には103.1%となっています。念のため。
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2018年02月14日 (水) 19:39:00

2017年10-12月期GDP統計1次QEは8四半期連続のプラス成長!

本日、内閣府から昨年2017年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.1%、年率では+0.5%を記録しました。8四半期連続のプラス成長で内需主導ながら、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率に達しない成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年10~12月GDP、年率0.5%増 内需けん引
内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増、年率換算では0.5%増だった。プラスは8四半期連続で、同じ基準で数値をさかのぼることができる1980年以降では約28年ぶりの長さ。輸入の伸びで外需は振るわなかったが、個人消費や設備投資など内需の伸びで補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.2%増で、年率では0.9%増だった。生活実感に近い名目GDPは前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
前期比で0.1%増となった実質GDPをけん引したのは内需で、0.1%分の押し上げ効果があった。個人消費は0.5%増と、2四半期ぶりにプラスだった。設備投資は0.7%増と、5四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減。民間在庫の変動は成長率を0.1%分押し下げた。
外需は0.0%分の押し下げ効果があった。輸出は2.4%増、輸入は2.9%増だった。半導体製造装置などが好調でアジア向けを中心に輸出が拡大したが、輸入も増加した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%上昇した。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%上昇した。
同時に発表した17年通年のGDPは実質で前年比1.6%増、生活実感に近い名目で1.4%増だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/10-122017/1-32017/4-62017/7-92017/10-12
国内総生産GDP+0.4+0.3+0.6+0.6+0.1
民間消費+0.1+0.3+0.9▲0.6+0.5
民間住宅+0.8+1.2+0.9▲1.5▲2.7
民間設備+1.6+0.1+1.2+1.0+0.7
民間在庫 *(▲0.1)(▲0.0)(▲0.1)(+0.4)(▲0.1)
公的需要▲0.5+0.1+1.2▲0.5▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.3)(+0.5)(▲0.0)
輸出+2.7+2.0+0.0+2.1+2.4
輸入+0.6+1.7+1.9▲1.2+2.9
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.1+0.8+0.5▲0.2
国民総所得 (GNI)+0.1+0.1+0.9+0.7▲0.3
名目GDP+0.4+0.1+0.9+0.6▲0.0
雇用者報酬 (実質)+0.1▲0.2+1.1+0.6▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲0.8▲0.3+0.2+0.0
内需デフレータ▲0.4+0.0+0.4+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2017年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が8四半期連続でプラスを示し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)や灰色の在庫がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値が前期比+0.2%成長、年率では+0.9%だったわけで、何人かのエコノミストも「物足りない」感を表明しているようですが、すでに、1次QE予想を取りまとめた先週金曜日2月9日付けの記事で指摘しておいたように、この市場の事前コンセンサスは高過ぎます。ただ、成長率の水準として素直に見ても、潜在成長率をやや下回るくらいですから、市場の事前コンセンサスと比較して、というよりは、潜在成長率と比べて、やや物足りない成長であった、ということは出来るかもしれません。また、あくまで言い訳ですが、私の実感は前期比でマイナスとなったGDIやGNIの所得面に起因しているのかもしれません。繰り返しになりますが、苦しい言い訳です。他方、ちゃんと数字を見ると、昨年2017年年央は4~6月期も7~9月期もともに前期比で+0.6%、前期比年率ではともに+2.0%を超える高成長を続けており、2017年通年でも前年比で+1.4%成長でしたから、10~12月期にこの程度の下振れはあり得る許容範囲だという気がしないでもありません。特に、天候条件などに起因する部分が小さくなさそうな印象ですので、なおさらです。10~12月期の成長を牽引した消費については、4~6月期に大きなプラスを記録した後、7~9月期にマイナスとなり、また、10~12月期にプラスに戻るなど、矢荒っぽい動きですが、天候要因もあって、ならして見る必要があるというのは私の従来からの主張です。住宅投資はやや下向き加減の動きながら、設備投資はジワジワと増勢を加速させる可能性もあります。在庫投資は成長にはマイナス寄与ながら、在庫調整が進んでいると考えるべきです。ただ、輸出の動向については為替がやや円高に振れていることもあり、先行きは注視する必要があります。そして、何といっても、金融市場の動向には不透明感が残ります。米国の長期金利の動向や、もちろん、為替動向など、相場モノだけに見通しがたいものがありますが、我が国の金融政策がさらに緩和を進めることがどこまでできるのか、私にはよく判りませんので、不透明感は不透明感として残るような気がします。

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今回の2017年10~12月期1次QEで着目したのは物価の動向です。すなわち、上のグラフは少し長めのスパンでデフレータの上昇率をプロットしています。GDPデフレータ、国内需要デフレータ、消費デフレータです。消費者物価(CPI)などと同じように、いずれのデフレータも季節調整していない原系列のデフレータの前年同期比を取っています。GDPデフレータの動きで注意すべきなのは、企業物価(PPI)や消費者物価(CPI)と違って、輸入物価が控除項目となることです。ですから、石油価格が上昇して輸入デフレータが上昇すると、他の条件にして同じであれば、GDPデフレータは下落します。そのため、2017年10~12月期にはGDPデフレータ上昇率はゼロでしたが、消費デフレータや国内需要デフレータが上昇し、同時に輸入デフレータも上昇してのキャンセルアウトの面もあります。例えば、2017年10~12月期には輸入デフレータは+8.4%の上昇を示しています。しかし、それを加味しても、消費デフレータと国内需要デフレータについては2017年年初から、GDPデフレータについても2017年年央から、上昇率がマイナスの下落からプラスに反転し、少しずつ上昇幅を拡大しているのが見て取れると思います。ホームメード・インフレにつながる動きと私は受け止めています。今春闘に本格的な賃上げが実現されれば、デフレ脱却が加速するのではないかと期待しています。
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2018年02月13日 (火) 22:27:00

企業物価(PPI)は上昇率を縮小させつつもヘッドラインの国内物価は+2.7%の上昇を記録!

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を縮小して+2.7%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業物価指数、前年比2.7%上昇 原油高で
日銀が13日に発表した1月の企業物価指数(2015年=100)は100.3で前年同月比2.7%上昇した。前年実績を上回るのは13カ月連続。上昇率は市場予想の中央値と同じだった。原油高で石油関連商品の価格が上昇した。
前月比では0.3%上昇した。ガソリンや軽油といった石油・石炭製品やエチレンなどの化学製品、銅やアルミニウムなどの非鉄金属や鉄鋼の価格が上がった。
円ベースの輸出物価は前年同月比で1.8%上昇した。前月比での輸出物価は円高で0.4%下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは390品目、242品目が下落した。下落品目と上昇品目の差は148で、2017年12月(確報値)の126品目から拡大した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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前年同月比で+2.7%の上昇率を示した1月の国内物価のうち、特に高い上昇率、すなわち、2桁の上昇率を示した品目は、石油・石炭製品+12.3%と非鉄金属+10.5%となっています。もちろん、石油・石炭製品は輸入物価から波及しているわけで、企業物価のうちの輸入物価では1月の上昇率で見て、石油・石炭・天然ガスが+13.6%、金属・同製品が+12.2%の上昇となっています。しかし、輸入物価のうち、原油については昨年2017年12月+34.0%の後、今年1月には+15.3%まで上昇率が鈍化してきており、国際商品市況における石油価格次第ながら、何度かこのブログで書いたように、石油価格が牽引する物価上昇がどこまで続くかは疑問なしとしません。ただ、引用した記事の最後の部分にあるように、品目数で見て上昇品目がジワジワと増加を示しており、それだけ物価上昇の裾野が広がっているともいえます。単なるエネルギー価格の波及なのか、それとも金融政策による物価の押し上げ効果なのか、現段階では判断が難しいところですが、賃上げによる消費のサポートがあれば、需給両面からさらに物価上昇につながりやすくなるのはいうまでもありません。
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2018年02月09日 (金) 21:43:00

来週公表予定の2017年10-12月期1次QE予想やいかに?

先週水曜日1月31日の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週の2月14日に昨年2017年10~12月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクはかなり多く、特にみずほ総研は詳細でしたので超長めに引用しています。もう1機関、三菱UFJリサーチ&コンサルティングも長めの引用となっていますが、その理由については後ほど取り上げます。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.3%
(+1.0%)
2018年1~3月期を展望すると、食料品やエネルギー価格の上昇による消費者マインドの悪化などが下押し要因となるものの、高水準の企業業績を背景に、工場新設や機械投資などが下支えすることで、緩やかな回復基調が持続する見込み。
大和総研+0.3%
(+1.0%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、FedやECBの出口戦略に伴う外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.2%
(+1.0%)
2018年の日本経済を展望すると、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くとともに、内需も底堅く推移し、日本経済は緩やかな回復基調を維持するとみている。項目別にみると、輸出は、新型iPhoneによる大きな押し上げ効果は期待薄となったものの、データセンターや車載向け半導体、半導体製造装置等の需要拡大が引き続き押し上げ要因となるだろう。実際、機械輸出に先行する傾向のある海外からの機械受注は、昨春以来高い伸びを維持している。設備投資は、五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、回復基調を維持するだろう。個人消費については、堅調な雇用・所得情勢や株高が追い風となろう。ただし、このところ食料品やガソリンといった生活必需品の価格が上昇していることから、家計の節約志向の強まりには注意が必要だ。
リスク要因に目を向けると、世界的な資産価格の調整や円高の進行など金融市場が大きく変動すれば、不確実性の上昇を通じて実体経済に悪影響を及ぼすことになるだろう。中国における構造改革(不動産投機の抑制や過剰債務の調整)の進展も、その舵取り次第では景気が下振れする可能性がある。北朝鮮情勢の悪化など、地政学リスクにも引き続き留意が必要だ。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.8%)
先行きについても、海外経済の回復に伴う輸出の増加、企業収益の改善を背景とした設備投資の回復が続くことが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。当面は企業部門(輸出+設備投資)主導の経済成長が続く可能性が高い。
第一生命経済研+0.2%
(+0.8%)
先行きについても、景気は好調に推移するとみられる。米国を中心として海外経済が回復傾向を続けるとみられるなか、輸出は増加基調で推移する可能性が高いことに加え、設備投資も企業収益の増加や高水準の企業マインドを受けて増加傾向が続き、景気を押し上げる。1-3月期以降は再び成長率が高まることが予想される。
伊藤忠経済研+0.2%
(+0.8%)
10~12月期は内閣府が試算する潜在成長率1.1%を下回ることになるが、既に需給ギャップは7~9月期時点で需要が供給力をGDP比0.7%上回っており、10~12月期においてもGDP比0.6%程度の需要超過状態が見込まれる。したがって、デフレ脱却に向けて前進はしないが後退したわけでもない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.0%
(+0.0%)
ゼロ成長となる原因は、第一に、個人消費が小幅ながら2四半期連続で前期比マイナスとなることである。10月に天候不順の影響で落ち込んだ後は持ち直しているが、落ち込みを埋めるまでには至っていない。また、物価が上昇していることも、実質値の押し下げに寄与したとみられる。第二に、住宅投資、公共投資がすでにピークアウトしており、いずれも2四半期連続で前期比マイナスとなると見込まれる。さらに、スマートフォンなど情報通信機械を中心に輸入が堅調に増加すると予想される。最後に、在庫投資の寄与度が7~9月期に急拡大した反動により、マイナス寄与に転じる可能性がある。
三菱総研+0.1%
(+0.4%)
2017年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.4%)と8四半期連続のプラス成長を予測する。外需は若干のマイナス寄与となるものの、内需は消費・設備投資を中心に底堅く推移した。


ということで、下の方にある三菱系2機関を別とすれば、引き続き、+1%もしくはそれに近い成長率で、8四半期連続のプラス成長を記録するものと見込まれています。需要項目別に詳しく見ても、昨年2017年7~9月期にマイナスを記録した消費もプラスに戻り、設備投資もプラスを続ける、という形で、内需中心の成長という望ましい姿が示されているように思います。ただ、成長率そのものは2017年4~6月期や7~9月期のような年率+2%超からは大きく縮小するものの、我が国経済の潜在成長率からみれば十分な伸びを確保するとの見込みです。かなり多くのエコノミストのコンセンサスは以上のようなものではないか、と私は考えていますが、実は、私自身はそれほどプラス成長に自信を持っているわけではありません。さすがに、大きなマイナス成長とは思いませんが、かなりゼロ成長に近い、もしくは、マイナス成長の可能性も排除できない、と考えています。理由はそれぞれに薄弱なんですが、第1に消費がどこまでの伸びを示すか自信がありません。野菜などの値上がりで実質消費がマイナスになった可能性すら考えられないでもない、と婉曲な表現ながら、消費が前期からの反動も含めて増加を示すかどうかに疑問を持ちます。第2に住宅投資のマイナス幅が大きい可能性です。あまり根拠ありません。第3に在庫がマイナスになる可能性です。これも、あまり根拠ありません。もっとも、在庫がマイナスになるのは在庫調整がさらに進展するという評価も出来るのではないかと思います。いずれにせよ、繰り返しになりますが、それほど強い根拠ではないですし、著名なシンクタンクに所属するエコノミストであれば躊躇するような異端の見方かもしれませんが、ゼロないし小さなマイナス成長の可能性もあり得る点は忘れるべきではない、と私は考えています。その意味で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのヘッドラインを少し長めに引用してあります。ご参考まで。
最後に、下のグラフは、いつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。たぶん、仕上がりはこんなもんだろうという気はします。

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2018年02月08日 (木) 20:41:00

2か月連続で悪化した景気ウォッチャーと黒字の続く経常収支をどう見るか!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2017年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲4.0ポイント低下して49.9を、先行き判断DIも▲0.3ポイント低下して52.4を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+7972億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、現状判断指数が50を下回る 大雪と寒波の影響
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比4.0ポイント低下の49.9と2カ月連続で悪化した。節目の50を下回ったのは2017年7月以来、6カ月ぶり。低下幅は消費税を増税した2014年4月以来、3年9カ月ぶりの大きさだった。大雪や寒波の影響で小売りが苦戦した。
内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」から、「緩やかな回復基調が続いている」へ引き下げた。判断引き下げは17年1月以来となる。
部門別にみると家計動向が4.5ポイント低下の47.8となった。そのうち大雪の影響や気温低下で小売関連が5.4ポイント低下したのが目立った。企業動向も3.1ポイント低下、雇用も2.8ポイント低下した。
街角では家計動向について、飲食店から「大雪の影響で県外からの予約はキャンセルが殺到し、隣県からのマイカーによる来店が途絶えた」(北陸の高級レストラン)との声があった。ガソリン価格や野菜価格の上昇も重荷で「消費者のマインドは冷え切っている」(東北のスーパー)との声も出た。企業動向も「寒さが厳しく客足が鈍い。受注量が減少し、積雪の影響で運送遅延による返品も発生しており厳しい状況」(中国の食料品製造業)との指摘があった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.3ポイント低下の52.4と3カ月連続で悪化した。雇用が3.0ポイント低下の55.1、家計動向は0.2ポイント低下の51.8となった。一方、企業動向は0.6ポイント上昇の53.0だった。
17年12月の経常収支、7972億円の黒字 17年は10年ぶり高水準
財務省が8日発表した2017年12月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は7972億円の黒字だった。黒字は42カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて28.5%減少した。貿易黒字の減少が響いた。17年の経常収支は21兆8742億円の黒字と07年以来10年ぶりの高水準だった。
17年12月の貿易収支は5389億円の黒字で、黒字額は33.4%減少した。原粗油や通信機などの輸入が伸び、輸入全体で14.6%増加。自動車や半導体製造装置の好調で輸出も8.8%伸びたが、輸入の影響が上回った。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は6148億円の黒字、10.1%減少した。第1次所得収支の黒字が対前年同月で減少するのは10カ月ぶり。海外株主への配当金の支払いが増加するなど証券投資収益の赤字が拡大した。
サービス収支は2045億円の赤字と前年同月(2886億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支の黒字額が12月として過去最高となったことが貢献した。
同時に発表した2017年の国際収支状況によると、経常収支は21兆8742億円の黒字だった。黒字額は07年(24兆9490億円)以来10年ぶりの高水準だった。海外子会社から受け取る配当金の増加で第1次所得収支が黒字幅を拡大したことが寄与した。
17年のサービス収支は7061億円の赤字と比較可能な1996年以降で最小の赤字となった。旅行収支が1兆7626億円の黒字と過去最大だったことが追い風となった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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今年1月統計の季節調整済みの系列で見て、景気ウォッチャーのうちの現状判断DIが大きく低下したのは、引用した記事の通り、天候要因が大きいとはいえ少し驚きました。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIともそれなりに大きな低下を示しているんですが、昨年2017年12月統計から今年1月にかけての低下幅を見ると、やはり、というか、何というか、家計動向関連DIが▲4.5ともっとも大きく低下し、企業動向関連DIは▲3.1に、雇用関連DIも▲2.8の低下に、それぞれとどまっています。まあ、企業動向関連DIも雇用関連DIも、いずれも大きな低下ではありますが、家計動向関連DIが最大となっています。加えて、先行き判断DIでは、家計動向関連DIが▲0.2と低下を示した一方で、企業動向関連DIは+0.6と、むしろ上昇していたりします。企業部門に比較して、家計部門の停滞感が大きくなっていると考えるべきです。昨夜も景気動向指数と毎月勤労統計を取り上げた際に主張した点ですが、景気拡大の実感が乏しい理由は賃上げによる所得の増加がほとんどなく、消費拡大が実現していないのが大きな原因のひとつであろうと考えられますし、景気拡大局面も後半に達した現段階で、相対的に好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転することにより、景気回復・拡大をさらに確実にし長期化することが出来るのではないかと私は考えています。なお、誠についでながら、今週に入ってからの世界同時株安については、大きな反発なくこのまま推移すれば、我が国の企業マインドや消費者マインドには確実に下押し圧力を加えるものと私は推測しています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。先月11月統計の際には、季節調整済みの系列の統計ではサービス収支のうちの知的財産権等使用料の動きにより経常黒字の縮小がもたらされたことを明らかにしましたが、今月12月統計ではどこをどう見ても貿易黒字の縮小が謙譲黒字の縮小をもたらしているようです。すなわち、経常黒字は11月の+1兆7,005億円から12月には+1兆4,796億円に、▲2200億円超縮小しているところ、貿易黒字はそれ以上に、11月の+5,074億円から12月の+2,302億円へと、▲2770億円超の縮小を見せています。輸入の増加が主な要因であり、季節調整済みの系列で見た輸入は2017年7月の5兆8,087億円を底として、8月5兆8,494億円、9月5兆8,755億円、10月6兆1,433億円、11月6兆5,873億円、12月6兆7,326億円と増加を示しています。単純に見れば、国際商品市況における石油価格などの上昇が一因ですが、我が国が長期に景気回復・拡大を続けているのも輸入増加の要因のひとつであり、決して悲観視する必要はないものと私は考えています。引用した記事にもある通り、2017年通年の経常黒字は+21.9兆円であり、前年2016年の+20.3兆円を上回っています。
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2018年02月07日 (水) 19:56:00

さらに上昇した景気動向指数と賃金上昇が物価に追いつかない実態を明らかにした毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも、昨年2017年12月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+2.8ポイント上昇して120.7を、CI一致指数+は▲0.3ポイント下降して107.9を、それぞれ記録した一方で、毎月勤労統計の名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.7%増の55万1222円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の景気一致指数、2.8ポイント上昇
内閣府が7日発表した2017年12月の景気動向指数(CI、2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.8ポイント上昇の120.7だった。数カ月先の景気を示す先行指数は0.3ポイント低下の107.9。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
実質賃金、12月は0.5%減 17年は2年ぶり減少 毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した2017年12月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.5%減少した。減少は2カ月ぶり。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比1.3%上昇し、賃金の伸びを抑えた。17年の実質賃金は前年比0.2%減となり、1年ぶりに減少した。
12月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.7%増の55万1222円と5カ月連続で増加した。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.6%増、残業代など所定外給与は0.9%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.7%伸びた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.1%増の1117円だった。パートタイム労働者比率は0.04ポイント高い31.23%となった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
同時に発表した17年の実質賃金は前年比0.2%減と2年ぶりに減少した。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増となったものの、消費者物価指数が0.6%上昇した。
所定内給与は0.4%増、所定外給与は0.4%増、特別に支払われた給与は0.4%増だった。パートタイム労働者の時間あたり給与は2.4%増の1110円となり過去最高となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、CI一致指数に対するプラス寄与度で大きかった系列を順に上げると、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)などとなっています。何と、現時点では昨年2017年12月の一致指数についてはすべてがプラス寄与であり、マイナス寄与の系列はありません。CI先行指数では、マイナス寄与では中小企業売上げ見通しDI、マネーストック(M2)(前年同月比)、新設住宅着工床面積などが上げられ、プラス寄与では新規求人数(除学卒)、最終需要財在庫率指数、日経商品指数(42種総合)などがあります。2017年12月までで、現在の2012年11月を底とする第16循環の現在の景気拡張局面は61か月に達し、高度成長期の1965年11月から1970年7月までの57か月続いた「いざなぎ景気」を超えて、戦後最長の景気拡大期間を記録した米国のサブプライム・バブルに対応した第15循環の景気拡張期の73か月に、あとちょうど1年=12か月と迫っています。ただ、米国のサブプライム・バブルに対応した第15循環の景気拡張期に比べて、現在の景気拡張局面は2014年4月からの消費税率引き上げや2015年年末から2016年年初にかけての新興国経済の減速の影響などがあって、景気動向指数が下降を示す景気の踊り場が多かったような気がします。そのあたりは、上の示したグラフに加えて、日本経済研究センターが昨年2017年5月から提供を始めた景気後退確率のグラフなどからも読み取れます。また、長期に及んでいる割には、景気拡大の実感が乏しい理由は賃上げによる所得の増加がほとんどなく消費拡大が実現していないのが大きな原因のひとつであろうと私は考えています。まさか、高度成長期のような2ケタ成長を目指すべきとの意見はほとんどないものと受け止めており、従って、景気拡大の果実を国民に均霑するためには、企業サイドで内部留保を溜め込むのではなく、賃金上昇という形で国民に広く還元する必要があるといえます。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。賃金に着目すると、上のグラフのうちの2番目のパネルに見られる通り、現金給与総額は前年同月比+0.7%増の55万1222円と5か月連続で増加したものの、生鮮野菜などの値上がりなどによる物価上昇が+1.3%あって、実質賃金は減少を記録しています。また、引用した記事にもある通り、2017年を通じても実質賃金はマイナスでした。もちろん、デフレ脱却の初期局面では、物価上昇が賃上げを上回って実質賃金が低下することから雇用増がもたらされる、というのが教科書的な理解ながら、そろそろ、この人手不足が続く中で賃金の上昇がここまで抑え込まれているのは不可解ともいえます。ただ、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えますから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性があり、同時に、所得の安定性も向上して消費に向かいやすくなる可能性も出始めているんではないかと期待しています。
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2018年02月06日 (火) 19:39:00

ダイヤモンド・オンラインによる「AI導入でリストラが進みやすい上場企業ランキング」やいかに?

昨日2月5日付けで、ダイヤモンド・オンラインにて「AI導入でリストラが進みやすい上場企業ランキング」が明らかにされています。2045年ともいわれるシンギュラリティの年に向かって、これからAI化やロボットの利用などが一気に加速し雇用が奪われる可能性も取り沙汰されています。私個人としては、そんなころまで命長らえる自身は毛頭ありませんが、エコノミストとしては興味あるところです。

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ということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから引用したテーブルと算出方法は上の通りです。算出方法はまず第1に、AI関連キーワードについて、この1年間において、それぞれの単語に関連する記事が企業ごとにどれだけ出たのかを調査し、記事が多ければ多いほど、AIやロボット化に関する取り組みが進んでいるとし、第2に、AI化が出来ているのはトップが強い権限を持ったオーナー系企業が多いことから、在任期間が長く強い影響力を持つ社長とか、持ち株比率の高いオーナー的経営者の存在を見て、第3に、従業員数が多いところこそがAI化の余地があると想定し、第4に、EBITDA=利払い前・税引き前・減価償却前利益で計測した稼ぐ力も加味して、実際に投資までつなげられるのかを考慮した、としています。7位のオプティムと10位のインベスターズクラウドはよく知らないんですが、それら以外はトップのトヨタ自動車をはじめとして、いかにも学生諸君が就職先として希望しそうな企業だという気もします。さて、シンギュラリティの2045年までに、どこまで正解が明らかになっていますことやら、エコノミストとして、また、就活を間近に控えた大学生の父親として、とても興味深いところです。
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2018年02月05日 (月) 21:56:00

東洋経済オンラインによる「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング」やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、1月29日付けの東洋経済オンラインにおいて「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング」が明らかにされています。我が家の上の倅も3月には就活を開始してエントリー・シートを準備したりしているようですので、昨年も同時期に同じ特集を取り上げているんですが、やや強めに興味を持って見ていたりします。

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ということで、上のテーブル画像は東洋経済オンラインのサイトから海外勤務者が多い会社 (1~50位)を引用しています。昨年と同じくトヨタ自動車がトップとなっています。ただし、人数としてはトヨタにかなわないものの、やっぱり、上のテーブルを見ても明らかな通り、総合商社の海外勤務者も決して少なくなく、三菱商事、三井物産、住友商事といった財閥系の総合商社御三家については、従業員数に占める比率としては、むしろ、トヨタよりも高くなっている印象です。昨年来、私が不思議に感じているのは、銀行業界で三菱東京UFJ銀行がランキングに現れない点です。上のテーブルに見られる通り、50位までのランキングに銀行からランクインしているのは三井住友銀行だけであり、銀行業界の第2位は三菱UFJ信託銀行が150人で139位にランクインしています。しかし、私がチリの日本大使館に勤務しているころには、まだ、東京銀行が単体で存在しており、広く海外展開していた記憶があります。その後、いくつか合併があって、現在では三菱東京UFJ銀行になっているハズなんですが、ランキングには現れません。です。
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2018年02月03日 (土) 08:57:00

米国雇用統計は堅調で金融政策は追加利上げを進める方向か?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+200千人増と、市場の事前コンセンサスだった+175千人くらいの増加という予想を上回り、失業率も前月と同じ4.1%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の7パラだけ引用すると以下の通りです。

Employers added 200,000 jobs in January, topping forecasts
The labor market perked up in January as U.S. employers added a better-than-expected 200,000 jobs and wages grew at their fastest pace since the recession, fresh signs that hiring could remain solid this year despite a low unemployment rate that's creating worker shortages.br />The unemployment rate, which is calculated from a different survey, remained steady, as expected, at 4.1%, the Labor Department said Friday. The jobless rate remained at its lowest level since December 2000.
And in good news for workers, average hourly earnings in January rose 2.9% vs. a year ago, up from a 2.5% rate in December and above economists' projections of 2.6%. The nearly 3% jump in pay marks the fastest pace since the middle of 2009, just as the economy was emerging from the Great Recession, according to Nationwide's chief economist David Berson.
"The faster pace of wage gains indicates that the labor market is tightening, with employers having to pay higher wages to get the workers they want," Berson said.
In January, average hourly earnings for all employees on private non-farm payrolls rose by 9 cents to $26.74, following an 11-cent gain in December.
The number of jobs created in December was revised higher by 12,000 jobs to 160,000, further reducing fears that employment might be slowing.
Hiring appeared to slow late last year, possibly reflecting a low jobless rate that has diminished the pool of available workers. Many economists expect average monthly job growth to moderate further to about 160,000 in 2018 from about 170,000 last year as workers shortages intensify in a solidly-growing economy.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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失業率は前月から横ばいの4.1%でしたが、この数字はサブプライム・バブル崩壊直前の水準を下回っており、ほぼほぼ完全雇用に近いと考えるべきです。非農業部門雇用者の伸びも+200千人を回復し、米国の雇用は堅調に推移していると理解すべきです。特に、民間部門については、米国労働省の統計では昨年2017年12月の前月からの伸びが+166千人、今年2018年1月が+196千人なわけですが、民間の給与計算会社であるADPの統計によれば、12月+242千人、1月+234千人ですので、米国労働省の米国雇用統計に現れている数字以上に米国の雇用は堅調である可能性があると私は考えています。ですから、米国の金融政策はかなり利上げに傾いていると、多くのエコノミストは理解しています。すなわち、先月1月最後の連邦準備委員会(FOMC)はイエレン前議長の最後のFOMCでしたし、見事に無風で追加利上げ無しで終わりましたが、パウエル新議長の下で3月20-21日に開催予定のFOMCでは追加利上げが大いに議論されることが確実視されています。もちろん、3月FOMCの前に公表される米国雇用統計で寒波の影響などによりイレギュラーな結果が出たりすると、スケジュール通りの追加利上げは出来ない可能性もありますが、むしろ、トランプ政権の減税政策などにより景気が加熱する恐れもなしとしないことから、連邦準備制度理事会(FED)の利上げペースが速まる可能性すらあるとの市場観測も出いていたりします。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、1月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であるのかもしれません。
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2018年01月31日 (水) 19:25:00

鉱工業生産指数(IIP)と消費者態度指数から景気の現状と先行きを考える!

本日、経済産業省から昨年2017年12月の鉱工業生産指数 (IIP)が、また、内閣府から今年2018年1月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.7%の増産を示し、消費者態度指数は前月比横ばいの44.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、17年12月は2.7%上昇 10-12月期は1.8%上昇
経済産業省が31日発表した2017年12月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は106.3と、前月に比べ2.7%上昇した。上昇は3カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.6%上昇)を上回った。自動車の生産が活発だったほか、建設機械も好調だった。経産省は生産の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
併せて発表した10~12月の生産指数は前期比1.8%上昇の104.3と、7四半期連続でプラスだった。17年通年の生産指数は4.5%上昇の102.1と3年ぶりに前年実績を超えた。
12月は全15業種のうち12業種で前月を上回った。もっとも上昇に寄与したのは輸送機械工業(6.3%上昇)だった。普通乗用車やエンジン、車体部品などがけん引した。汎用・生産用・業務用機械工業は4.8%上昇した。ショベル系掘削機械や金属工作機械、コンベヤーなどが伸びた。一方、低下したのは3業種で、もっとも押し下げたのは情報通信機械工業(1.4%低下)だった。ノートパソコンや固定通信装置などが落ち込んだ。
12月の出荷指数は2.7%上昇の103.9だった。在庫指数は0.4%低下の109.4。在庫率指数は0.5%低下の110.5だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、18年1月が4.3%低下、2月は5.7%上昇となった。1月は輸送機械工業が大きく落ち込む。一方、2月は輸送機械工業が反動で持ち直すほか、汎用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業などがけん引役となる見通し。
経産省は10~12月が7四半期連続のプラスとなったことについて「後回しにされてきた生産設備の更新が活発なため」と指摘。「設備向けの機械から生産向けの機械に需要がシフトしている」と分析した。
1月の消費者態度指数、横ばい 物価上昇が重荷、判断引き下げ
内閣府が31日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比横ばいの44.7だった。「雇用環境」が上昇したため指数は横ばいとなったが、物価の上昇が消費者心理を冷やしている。内閣府は基調判断を前月までの「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。下方修正は5カ月ぶり。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より2.4ポイント高い82.4%だった。上昇は6カ月連続。台風など天候不順でキャベツを中心に生鮮野菜の生育が遅れ、小売価格を押し上げた。内閣府の経済社会総合研究所は「ガソリンを含め、身近なモノの価格の上昇が背景」と分析している。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下し、「雇用環境」は上昇した。
調査基準日は2018年1月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5937世帯(回答率70.7%)だった。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+1.6%の増産でしたし、予測レンジの上限も+2.0%でしたので、私はちょっとびっくりでした。上のグラフのうちの生産の上のパネルを見ても、最近は強含みで推移しているのは、わけなく見て取れますが、特に12月増産のジャンプは大きいように見えます。ただし、その分、というわけでもないんでしょうが、中華圏の春節が2月に控えていることもあって、1月が大幅な減産を予想していますので、そのあたりは2か月あるいは3か月くらいをならして見る必要があるものと受け止めています。ということで、このジグザグの変動の原因となっているのは自動車です。鉱工業生産の産業別では輸送機械工業を見ると、12月実績は+6.3%の後、製造工業生産予測調査では、1月▲17.7%減、2月+9.8%増となっています。この我が国リーディング・インダストリーの動向に起因して、12月生産実績の+2.7%増産の後、製造工業生産予測調査の製造工業全体で1月▲4.3%減、2月+4.3%増の変動が生じています。さらにさらにで、このバックグラウンドとしては中華圏の春節があります。今年の旧正月元日は2月16日(金)であり、極めて大雑把ながら、2月15日(木)~2月21日(水)くらいがお休みになるんではないかと想像しています。毎年、1~2月の生産や貿易の動向はこの春節効果で変動を生じますので、頭に入れておきたいと思います。従って、この例年の変動を考慮に入れても、我が国生産動向はかなり堅調であり、先行きも緩やかながら増産傾向を続けるものと私は考えています。ただし、注意すべきポイントがひとつだけあり、iPhoneの1~3月期の生産計画変更です。製造工業生産予測調査において、電子部品・デバイス工業は前月比で1月+4.8%増、2月+13.5%と見込まれていますが、この予測には1月29日に報道があった新型iPhoneXの1~3月期の生産計画変更、すなわち、当初計画の4,000万台超から2,000万台への半減が反映されていない可能性が強いと私は受け止めており、これが下振れをもたらす可能性があるんではないかと懸念しています。もっとも、iPhoneXの販売不振も韓国のサムスンの経営ほどには我が国の生産に影響を及ぼすとは考えられず、この下振れを考慮しても、緩やかな増産傾向という大きなトレンドには変更ないものと考えています。

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12月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2017年10~12月期の下向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せています。内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越えると「意図せざる在庫増」と見なされて、景気の山を越えた可能性が指摘されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、景気拡大の前半期と考えているエコノミストは少ないものと想像しています。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、1月統計を前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「収入の増え方」も▲0.1ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」も▲0.1ポイント低下し、「雇用環境」だけが+0.7ポイントの上昇を示して指数全体を下支えしています。雇用については人手不足が広まっており、家計部門の国民生活をサポートする起点となる項目ですので、雇用に関するマインドが上向いているのは安心材料といえます。しかし、引用した記事にもある通り、1月統計ではガソリンをはじめとする身近な商品の値上がりが消費者マインドの低下につながりました。指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと私は考えていますが、11月指数の44.9から12~1月は44.7と、やや停滞していることも確かで、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」から「持ち直しのテンポが緩やか」と半ノッチ下方修正しています。先行きは、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もしますが、デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。しかし、景気拡大局面が後半に差しかかっていることも事実であり、それだけに、早く本格的な賃上げが実現されて欲しいと願っています。
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2018年01月30日 (火) 20:42:00

雇用統計と商業販売統計から順調な景気拡大を確認しつつ賃上げの必要性を痛感する!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.8%を示し、有効求人倍率は前月から+0.03ポイント高い1.59倍まで上昇している一方で、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の13兆9460億円を、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の失業率、23年ぶり3%下回る 雇用改善
雇用改善の流れが一段と強まってきた。総務省が30日発表した2017年の完全失業率は2.8%と、1994年以来23年ぶりに3%を割り込んだ。3%割れは、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態を示す。有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高さだ。ただ消費回復の足取りはなお鈍く、春季労使交渉で賃上げを加速できるかがカギになる。
17年の完全失業率は、16年の3.1%から0.3ポイント改善し、93年の2.5%以来の低さ。バブル崩壊後の長期停滞で02年に5.4%まで上昇、リーマン・ショック後の09~10年も5%台だった。その後の息の長い景気回復で就業者数が増加し17年は6530万人と、前年より65万人増えた。
今まで働いていなかった女性などが職に就き、5年連続で増えた。女性の15~64歳の就業率は67.4%で比較可能な1968年以降で最高だ。
結果、企業の人材確保は難しさを増す。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は1.50倍と、前年より0.14ポイント上昇した。
求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は15.2%で、1963年に統計を取り始めてから最低だ。ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れる。17年は6月に正社員の有効求人倍率が1.01倍と04年の統計開始以来はじめて1倍を超えた。足元の17年12月は1.07倍となり、過去最高となった。
17年の正社員数は3432万人で前年比56万人増加した。一方で非正規社員は2036万人で13万人増えた。伸び幅では正社員が非正規社員を3年連続で上回った。
雇用環境がよくなる割に肝心の消費は一進一退が続いている。総務省が30日発表した17年12月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯あたり消費支出は32万2157円。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を0.1%下回った。3カ月ぶりの減少だ。
天候不順で価格が高騰したホウレンソウやレタスなど生鮮野菜が2.7%減と落ち込んだ。「価格高騰の影響で葉物野菜の購買数量が減った」(同省)。魚介類も全国的な不漁で価格が上がったため5.2%減。このほか住宅関連でリフォームへの支出が3割以上減ったことも響いた。
一方、気温の低下でエアコンなど家庭用耐久財は14.7%伸びた。外食も3.6%増えた。名目の消費支出は1.2%増と8カ月連続で増えており、同省は「消費は持ち直してきている」との判断を据え置いた。
消費回復の動きがなお鈍いのは、賃金上昇のペースの緩さによる。厚労省によると11月の実質賃金は11カ月ぶりに前年同月を上回ったが、伸び率は0.1%どまり。春季交渉では政府の要請に応じて3%の賃上げに前向きな企業も多い。1994年以来の3%賃上げを実現できるかどうかが、消費を底上げし景気回復の裾野を広げる試金石になりそうだ。
17年の小売業販売額1.9%増 3年ぶり増加
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、2017年の小売業販売額は前年比1.9%増の142兆5160億円だった。3年ぶりに前年実績を上回った。新型車の販売が増えたほか、原油高による石油製品の価格上昇も販売額を押し上げた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で19兆6028億円と前年から横ばいだった。コンビニエンスストアの販売額は11兆7451億円と2.4%伸びた。
17年12月単月の小売業販売額は13兆9460億円と前年同月比3.6%増加した。前年実績を上回ったのは2カ月連続。けん引役は原油高の影響を受けた燃料小売業で、12.1%増えた。飲食料品小売業は2.4%増加した。天候不順で野菜が値上がりし影響が出た。
経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。14年4月に判断を公表し始めて以来初めての表現で、引き上げは16年11月以来となる。
百貨店とスーパーの合計は1.2%増の2兆919億円で、既存店ベースでは1.1%増だった。コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の1兆279億円だった。


どうしても通年の統計に目が向きがちながら、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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いうまでもありませんが、失業率も有効求人倍率もかなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに+0.02ポイント上昇して1.07倍と1倍を上回って推移しています。ただし、今日の雇用統計には含まれていませんが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。逆から見ても、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。加えて、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、株高ほどではないとしても、それなりに消費者マインドに寄与しているのではないかと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額について、少し詳しく業種別に季節調整していない販売額の前年同月比増減率で見ると、燃料小売業がもっとも大きく伸びて前年同月比+12.1%増、続いて、機械器具小売業が+8.8%増、さらに、自動車小売業が+7.8%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+6.1%増、などとなっています。燃料小売業の販売額については国際商品市況における石油価格の上昇に伴って販売単価が上がっていることから、物価上昇に伴う販売額の増加による部分も少なくないと考えられますが、電機製品などの耐久消費財を含む機械器具小売業や自動車小売業が伸びているのは、雇用者にボーナスが支給される年末12月のひとつの特徴でもありますが、当然に、前年12月も同じことであり、2017年12月統計でこれらの業種が伸びているのは、もちろん、ボーナスの支給額アップもひとつの要因であると同時に、耐久財の買い替えサイクルの復活も考えられると私は受け止めています。もちろん、低温によるエアコン需要などもあるんでしょうが、エコカー減税や家電エコポイントなどによって政策的に買い替えサイクルが歪められたのが復活しつつあるような気がします。ただ、直観的に長続きはしないだろうと思わないでもありません。また、織物・衣服・身の回り品小売業の販売増は寒波の影響かもしれません。気候条件として、夏は暑くて、冬は寒い、というのは衣類などの消費には増加要因です。なお、このブログでは着目していませんが、供給サイドの消費の代理変数である商業販売統計ではなく、需要サイドの消費の代理変数となる総務省統計局の家計調査でも12月統計の実質支出を季節調整していない前年同月比で見て、全体は3か月振りのマイナスなんですが、変動の大きな住居等を除くベースでは+2.9%の伸びを示しています。

何度か繰り返していますが、現在の消費者マインドは一定程度株高に支えられており、今春闘で3%以上の賃上げが実現すれば、消費はさらに伸びを高める可能性もある一方で、賃上げが渋いと所得のサポートなしのマインドだけでは消費は必ずしもサステイナブルでない可能性もあります。
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2018年01月29日 (月) 21:42:00

ピュー・リサーチによる米国の政策プライオリティに関する世論調査結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから先週1月25日付けで、米国の公共政策に関する世論調査結果が明らかにされています。経済や雇用は引き続きもっともプライオリティ高い政策のひとつながら、その重要性が低下している、ということで、Economic Issues Decline Among Public's Policy Priorities と題された調査結果が明らかにされています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。ということで、いくつか、印象的なグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Downward trend in public views of economic issues as 'top priority' を引用しています。2008年のリーマン・ショックとその後のグレート・リセッションを経て、今では米国経済は絶好調で利上げも始まり、そういった好調な経済や雇用を背景に、これらの政策面でのプライオリティが下がっているのではないか、と私は受け止めています。私はまだ1980年代後半のバブル経済を記憶にとどめている世代であり、当時の経済政策の発動に対する必要性がとても低かったことは確かですし、1989年4月からは消費税が税率3%で導入され、それもあって財政再建が成し遂げられてしまったのも事実です。まあ、現在の米国経済がバブル経済期の我が国と同じとは決して思いませんが、経済が好調であればあるほど政策発動の必要性が低下するのは、どの国でもあり得ることだと認識しています。

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続いて、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Public's policy priorities for 2018 を引用しています。経済は引き続き71%を示しており、トップ・プライオリティの政策のひとつといえますが、テロ対策や教育政策の後塵を拝していることも事実です。また、先日、米国連邦政府のシャットダウンが短期間ながらありましたが、財政赤字の政策としてのプライオリティも、決して高くないような気がします。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisans agree on some policy priorities, differ on many others - especially climate change, environment を引用しています。トランプ政権の成立から1年を経て、米国内での分断が強まっているとの見方も示されていますが、グラフのタイトルにある通り、特に、与党の共和党と野党の民主党の間で気候変動などの環境問題に関する政策としてのプライオリティの差が大きいことが気がかりです。軍事政策は私の専門外でちょっと別途の議論が必要かもしれませんが、両党間で移民政策、人種問題、貧困対策なども政策的なプライオリティに差が見られます。現政権下で米国の分裂・分断が進むのかどうか、これらの両党間でプライオリティに差のある政策課題から注目する必要がありそうです。
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2018年01月26日 (金) 23:12:00

ともに+1%近い上昇率を続ける消費者物価指数(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.9%と先月と同じ+1%近い上昇率を示し、企業向けサービス物価(SPPI)の前年同月比上昇率も前月と同じ+0.8%を記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の全国消費者物価0.5%上昇 12月は0.9%上昇
総務省が26日発表した2017年12月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.7と、前年同月比0.9%上昇した。プラスは12カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.9%上昇)と同水準だった。ガソリンなどエネルギー価格上昇の影響が大きかった。
生鮮食品を除く総合では全体の55.6%にあたる291品目が上昇し、174品目が下落した。横ばいは58品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.2と1.0%上昇した。エネルギー価格上昇のほか、レタスなど葉物野菜の生育遅れと、ビールの値上がりなども押し上げ要因だった。一方で携帯電話料金や家電価格は下落しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.0と、0.3%の上昇にとどまった。
同時に発表した2017年の全国の生鮮食品を除く総合は100.2と前年比0.5%上昇し、2年ぶりにプラスとなった。生鮮食品を含む総合は0.5%上昇の100.4で、こちらも2年ぶりのプラスだった。
併せて発表した東京都区部の1月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と0.7%上昇し、7カ月連続で上昇した。生鮮食品を含む総合は100.8と1.3%の上昇だった。
12月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 前月比0.2%上昇
日銀が26日発表した2017年12月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.3で、前年同月比で0.8%上昇、前月比で0.2%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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コアCPIの前年同月比上昇率は昨年2017年12月の月次統計で+0.9%、2017年通年では+0.5%となりました。単純に見ると、コアCPI上昇率は昨年6月+0.4%から7月+0.5%、8~9月+0.7%、10月+0.8%、11~12月+0.9%と緩やかながら上昇幅の拡大を続けており、加えて、全国の先行指標となる東京都区部でもコアCPI上昇率が全国から4か月遅れて昨年2017年5月にプラスに転じ+0.1%を記録した後、10~11月の+0.6%、12月の+0.8%まで順調にプラス幅を拡大していましたが、今年2018年1月にはやや上昇幅を縮小して+0.7%となっています。金融政策というよりもエネルギー価格の影響を受けた物価上昇ではないかと私は考えており、全国CPIのエネルギー上昇率は高止まりしているものの、前年同月比で見て、昨年2017年10月に+8.6%でピークを付けた後、12月+8.5%、今年2018年1月+7.7%と、ジワジワと上昇幅を縮小させています。しかし、先行きの消費者物価(CPI)上昇率を考える場合、エネルギーではなく国内要因を考慮する必要もあり、要するに、いわゆる需給ギャップと賃金動向です。現時点で、これらはともに、物価を上昇させる方向にあると考えるべきであり、少なくとも、需給ギャップは文句なしですが、賃金動向はまだ本格的な上昇に至っておらず、デフレ脱却にはさらなる賃上げが必要です。現在、春闘のシーズンに入り、何と、経営者団体である経団連から3%賃上げのかけ声が響き渡っていたりします。エコノミストの間では、ボチボチ、デフレ脱却の声が出始めていますが、政府が本格的なデフレ脱却宣言を発するためには、今春闘での賃上げは必要不可欠です。果たしてどうなりますことやら?

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPIも引き続き堅調な推移を見せています。特に、昨年2017年12月には景気動向と密接な関係を持つと考えられる広告が、9月統計から3か月振りに前年同月比でプラスを記録しています。テレビ広告、新聞広告などが前年比寄与度前月差で見てもプラスになっています。また、同様に、ソフトウェア開発などの情報通信も前年比寄与度前月差でプラスを示しています。引き続き、人手不足を背景として企業向けサービス物価もプラスを続けそうです。
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2018年01月25日 (木) 19:49:00

リクルートジョブズによる非正規雇用の賃金動向調査結果やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の12月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給は引き続き2%台で堅調に推移していて、特に12月統計では1,030円と2006年1月の統計開始以来の過去最高水準を記録し、3か月連続で最高記録を更新し続けています。一方で、派遣スタッフの平均時給は、一昨年2016年9月から昨年2017年8月までの12か月ではマイナスを記録する月の方が多いくらいですが、昨年2017年9月からはふたたびそれなりのプラス幅を記録しています。引き続き、非正規雇用の求人は堅調と考えてよさそうです。
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2018年01月24日 (水) 23:52:00

貿易統計に見る輸出は着実に増加し我が国産業の競争力を示す!

本日、財務省から昨年2017年12月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+9.3%増の7兆3021億円、輸入額も+14.9%増の6兆9431億円、差引き貿易収支は+3590億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア向け輸出が過去最大 貿易黒字17年2.9兆円
財務省が24日発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、2017年の輸出額は16年比で11.8%増え78兆2897億円だった。2年ぶりに増加した。中国を含むアジア向けにスマートフォン(スマホ)に使う液晶デバイスなどを製造する半導体製造装置が大きく伸びた。年間の輸出額は中国、中国を含むアジアともに過去最大だった。
輸出額から輸入額を差し引いた17年の貿易収支は25.1%減の2兆9910億円。2年連続で黒字を確保したものの、黒字幅は縮小した。
中国を含むアジア向け輸出は15.7%増の42兆9252億円、中国向けは20.5%増の14兆8914億円と、ともに2桁の伸びを確保した。けん引役は半導体製造装置で、アジア向けで3割超、中国向けで5割近く伸びた。高機能なスマホやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及に伴い、中国や韓国などで半導体の生産能力増強や高度化が進んだ。
米国向け輸出は6.8%増の15兆1110億円で2年ぶりに増加した。大型の自動車の輸出が伸びた。欧州連合(EU)向けも自動車が伸びて8.5%増の8兆6572億円だった。
17年の輸入額は全体で14%増の75兆2986億円となり3年ぶりに増加した。原油価格の上昇を背景に、原粗油の輸入額が29.3%増と4年ぶりに伸びた結果、輸入額を押し上げた。
17年12月単月の輸出額は前年同月比9.3%増の7兆3021億円。日系のメーカーが現地生産を終了した影響で、オーストラリア向けの自動車輸出が増えた。輸入額は14.9%増の6兆9431億円。貿易収支は3590億円と7カ月連続の黒字だが、黒字額は43.5%減った。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、通年の統計が出ると、ソチラに焦点が移り、12月統計は最後のパラで報じられるにとどまっています。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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通年の年次貿易統計にまず着目すると、よく知られている通り、2011年3月の震災から原発が停止し始め、発電向けも含めて石油やLNGの輸入が量的に増加するだけでなく、当時の国際商品市況の動向も石油価格上昇の地合いにあったことなどから、2011-15年まで貿易赤字が続きました。最大の赤字を記録したのは2014年の▲12.8兆円でしたが、その次の2016年には赤字はわずかに▲2.8兆円に縮小し、2016-17年は貿易黒字に戻り、2016年+4.0兆円、2017年+3.0兆円を記録しています。引用した記事にもある通り、2017年は輸出額が+11.8%増加した一方で、輸入額はこれを上回る+15.8%の増加を示しましたので、貿易黒字は2017年には前年から縮小しました。要するに、国際商品市況における石油価格の上昇などから輸入額が増加した結果であると私は受け止めています。アジア向けの輸出が+15.7%増加し、中でも中国向けは+20.5%増ですし、米国向けも+6.8%増、EU向けも+8.5%増を示しており、我が国の輸出は堅調に推移しています。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは貿易黒字5300億円でしたので、実績はこれを下回りましたが、特段の懸念材料とも思えません。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、繰り返しになりますが、2017年通年の輸出の統計を見ると、引用した記事にもある通り、アジア向けの輸出が+15.7%増加し、中でも中国向けは+20.5%増ですし、米国向けも+6.8%増、EU向けも+8.5%増を示しており、世界で我が国の競争力が示されていると考えるべきです。満1年を迎えた米国のトランプ政権についても、いきなりTPPからの離脱を決めるなど、我が国からの輸出などの貿易を阻害する可能性ある通商政策に対する懸念がありましたが、逆に、減税法案の議会通過により米国景気が上振れて、我が国からの輸出の増加が期待される様相を呈していますし、少なくとも現時点で、未実現だったTPP離脱のほかにトランプ政権の政策が通商阻害要因になっていないと考えるべきです。もっとも、先の話は判りません。アメリカ・ファーストで通商疎外的な政策が台頭する可能性もあります。ただ、それを別にすれば、我が国からの輸出については、先行きも、国際通貨基金(IMF)から示された「世界経済見通し改定」などを見る限り、世界経済も我が国経済も引き続き順調な成長経路をたどると見込まれており、為替動向も安定的に推移していることから、所得面からも価格面からも我が国の輸出は緩やかに増加を示すと期待してよさそうです。
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2018年01月23日 (火) 19:24:00

IMF World Economic Outlook Update, January 2018 やいかに?

昨日、ダボス会議にて国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」 World Economic Outlook Update, January 2018 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、成長率の総括表をIMFのブログ・サイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかなんですが、昨秋2017年10月時点の見通しから全般的に成長率については上方修正されています。2017年の世界経済の成長率は昨年10月時点の見通しからさらに+0.1%ポイント上方改定されて+3.7%と見込まれている上に、2018-18年はともに前回見通しから+0.2%ポイント上方修正されて+3.9%が見込まれています。
日本については、今年2018年の成長率は+1.2%と前回見通しから+0.5%ポイントも上方修正されています。ただ、2019年については消費税率が8%から10%に引き上げられることから、成長率は+0.9%に鈍化すると予想されています。この上方改定には、外需予測の上方修正を反映しているほか、2018年の補正予算や、予測よりも活発だった最近の経済活動の効果が持ち越されることを反映している "reflecting upward revisions to external demand, the supplementary budget for 2018, and carryover from stronger-than-expected recent activity" ことを理由に上げています。
先行きリスクとしては、短期には上振れリスクと下振れリスクがおおむね均衡している一方で、中長期的には下振れリスクの方が大きく、最大のリスクは融資条件が現在の緩和的な水準から引き締められていくこと "tightening of global financing terms from their current easy settings" であると指摘しています。そして、そのための政策対応としては、第1に構造政策による潜在成長率の向上、特に高齢化が進む先進国では労働参加率の向上も潜在成長率を高める施策として用いるべき "structural reforms to lift productivity and, especially in advanced economies with aging populations, enhance labor force participation rates"、第2により積極的な金融規制などを通じてレジリエンスを高めること "to increase resilience, including through proactive financial regulation"、とされており、先行きの金融緩和の終了やテイパリング、さらには金利引上げなどへの対応を求めています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2017年度+1.8~+2.0
<+1.9>
+0.7~+1.0
<+0.8>
 10月時点の見通し+1.7~+2.0
<+1.9>
+0.7~+1.0
<+0.8>
 2018年度+1.3~+1.5
<+1.4>
+1.3~+1.6
<+1.4>
 10月時点の見通し+1.2~+1.4
<+1.4>
+1.1~+1.6
<+1.4>
 2019年度+0.7~+0.9
<+0.7>
+2.0~+2.5
<+2.3>
+1.5~+2.0
<+1.8>
 10月時点の見通し+0.7~+0.8
<+0.7>
+2.0~+2.5
<+2.3>
+1.5~+2.0
<+1.8>


最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合で「展望リポート」が明らかにされています。政策委員の大勢見通しは上の通りです。+2%の物価目標の達成時期については、「19年度ごろ」とした従来の見通しを維持しています。
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2018年01月22日 (月) 23:39:00

世界経済フォーラムによる The Global Risks Report 2018 やいかに?

ダボス会議を主催する世界経済フォーラムから先週水曜日の1月17日に The Global Risks Report 2018 が明らかにされています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。

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上のグラフはリポート冒頭のグラフをいくつか並べた最初のグラフ、Figure I: The Global Risks Landscape 2018 を引用しています。やや縮小して見にくくなっていますので、クリックすると別タブにてリポートの当該ページだけを抜き出したファイルが開くようにしてるつもりです。なお、いつもの通り、上のグラフの縦軸は Impactであり、横軸は Likelihood です。散布図ですから、インプリシットに横軸が縦軸を決めるという関数形ではありません。右上に位置するイベントほど、発生する確率が高くダメージも大きい、という意味だと私は理解しています。
その意味で、青でプロットされている経済的なリスク要因はかなり後景に退いたように見えます。右上に位置しているトップスリーはすべて環境リスクであり、Extreme weather events、Natural disasters、Failure of climate-change mitigation and adaptation となっています。一見したところ、緑色の環境リスクのほかでは、紫色の技術リスク、レンガ色の社会的リスク、黄色っぽい地政学的リスクなどに比較して、ブルーの経済的リスクでは Asset bubbles in a major economy、Unemployment or underemployment、Fiscal crises なんでしょうが、生じる確率もダメージも、ほかのカテゴリーのリスクに比較して大きいとはいえないように受け止めています。ダボス会議は明日の1月23日から始まり26日までです。

また、国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update をダボス会議で公表しています。かなりの上方修正がなされていますが、日を改めて取り上げたいと思います。
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2018年01月21日 (日) 18:38:00

久し振りのエコノミスト誌のビッグマック指数やいかに?

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最新号のエコノミスト誌で、久し振りに、購買力平価を算出するビッグマック指数が取り上げられています。上のグラフの通りです。見れば判ると思いますが、グラフの上方に置かれている国ほど米ドルに対して自国通貨が割高に評価されていることになります。青でポイントされているのが昨年7月時点の評価であり、赤が今年1月時点です。下の方に置かれている通貨の過小評価国は、トルコなどの一部の例外を除けば、軒並み右にポイントがシフトし、市場評価の為替レートがビッグマックで計測した購買力平価に近づいたことになります。すなわち、エコノミスト誌では、"Since last July, cheap currencies have narrowed the gap against the dollar" と表現しています。しかし、グラフの上の方に置かれている為替の過大評価国もご同様であり、これは、購買力平価から遠ざかっています。すなわち、全般的なドル安が進んだ、ということなのではないかと私は考えています。ご参考まで。
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2018年01月17日 (水) 20:14:00

堅調な伸びを示す機械受注!

本日、内閣府から昨年2017年11月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+5.7%増の8992億円と2か月連続でプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注5.7%増 11月、非製造業の発注伸びる
内閣府が17日発表した2017年11月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)が前月比5.7%増の8992億円だった。増加は2カ月連続。受注額は08年6月以来、9年5カ月ぶりの大きさとなった。非製造業からの受注が伸びた。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
非製造業の発注は4808億円と9.8%増えた。車両を発注した運輸業・郵便業が伸び、卸売業・小売業では流通設備の大型案件が発生。省力化投資が続く建設業も建設機械を注文した。
製造業は0.2%減の4206億円だった。減少は2カ月ぶり。化学工業が前月に発注を増やした反動が出た。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの前月比で▲1.6%減と予想されていましたし、前月統計では前月比で+5.0%の伸びを示していましたので、2か月連続の+5%に達する伸びにはちょっとびっくりしました。引用した記事にもある通り、製造業で前月比マイナスなんですが、10月統計で前月比+7.4%増と大きく伸びた後、11月統計の▲0.2%減ですから、水準としてはかなり高いものがあり、マイナスだからといって悲観する必要はないものと考えています。10月に前月比+82.1%増と大きなプラスを記録した化学工業が11月には反動減もあって▲43.3%を記録し、同様に、10月に+88.9%増だった石油製品・石炭製品が11月に▲26.3%減と落ちています。非製造業は卸売業・小売業で10月+10.0%増に続いて11月も+59.6%増を記録し、建設業でも10月▲4.1%減を盛り返して11月+24.9%増、運輸業・郵便業でも10月+26.2%増に続いて11月も+5.0%増など、いかにも人手不足の影響が大きいと見られている産業で受注が伸びている印象です。
先行きについても、上のグラフに見られる通り、コア機械受注の外数ながら先行指標となる外需の伸びが、世界経済の順調な拡大を背景に、堅調な伸びを見せており、製造業の設備投資や機械受注に追い風となっていますし、非製造業では人手不足の影響からの設備投資の増加が期待されます。もちろん、積極的な能力増強投資が実施されるとは考え難く、伸びは緩やかなものにとどまる可能性が高いものの、引き続き堅調な推移となるものと見込んでいます。
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2018年01月16日 (火) 22:58:00

企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は+3%超の上昇を続ける!

本日、日銀から昨年2017年12月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を縮小して+3.1%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の企業物価、3年ぶり上昇 世界景気拡大がけん引
日銀が16日に発表した2017年通年の企業物価指数(2015年=100)は98.8で16年比2.4%上昇した。前年比での上昇は14年(3.1%上昇)以来3年ぶり。14年の消費増税の影響を除くと上昇率は08年(4.5%上昇)以来の高水準だった。米国・中国を中心とする世界景気の拡大に伴う需要増が国際商品価格の上昇を通じて国内の企業物価を押し上げている。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。品目別では石油・石炭製品や非鉄金属、化学製品が指数の上昇に寄与した。世界的な需要増や産油国の減産で原油相場が上昇するなど、国際商品市況の回復や外国為替市場での円安の進展が影響した。このほか都市部での再開発や東京五輪に向けた建設需要を背景に国内の鉄鋼価格も上昇している。
公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは367品目、下落は315品目で、上昇した品目が下落を52品目上回った。16年では前年から下落した品目が上昇を224品目上回っていた。
同日発表した17年12月の企業物価指数(2015年=100)は100.1で前年月比で3.1%上昇した。前年比での上昇は12カ月連続。前月比でも0.2%上昇した。昨年末の原油高で石油・石炭製品などの価格が上昇したことが寄与した。


12月統計が出て2017年通年データが利用可能となりましたので、ついつい年データに重点を置いた報道となっていますが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、PPIのうちヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で+3.2%と予想されていましたので、ほぼジャストミートしたと受け止めています。12月統計の前年同月比で見て、石油・石炭製品は+14.8%と11月統計の+19.3%から上昇幅を縮小させたものの、引き続き高い上昇率を示しています。国内物価の11月統計と12月統計を比べると、非鉄金属11月+17.3%、12月+11.2%、また、鉄鋼11月+9.7%、12月+8.9%と、石油をはじめとする資源や素材系が上昇幅を縮小させつつも大きな上昇を続けています。ただし、報道で注目されている年統計については、石油・石炭製品は2016年の▲16.4%下落から2017年には+18.2%の上昇であり、非鉄金属も2016年▲12.9%、2017年+12.6%ですから、2017年の企業物価(PPI)の国内物価農地の資源関連品目の上昇率は2016年の下落分を取り戻しただけ、という見方も出来ます。もっとも、総平均では国内物価は2016年▲3.5%の下落から2017年は+2.4%でしたので、2017年の上昇幅は前年の下落幅に届かなかったことになります。この先も、金融政策よりも国際商品市況における石油などの資源価格に敏感な物価動向が続きそうな気もします。

最後に、昨日、見逃していたんですが、日銀支店長会議にて2018年1月の「地域経済報告」、すなわち、「さくらリポート」が明らかにされています。以下の通りいくつかの地域では景気判断が上方修正されています。「足取りをより確かなものとしつつ」をつけると景気判断の引き上げとなるなど、独特の日銀文学は私には理解不能なものもありますので、念のため。

 【2017年10月判断】前回との比較【2018年1月判断】
北海道回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復を続けている
北陸緩やかに拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿緩やかに拡大している足取りをより確かなものとしつつ、緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄緩やかに拡大している緩やかに拡大している
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2018年01月12日 (金) 23:52:00

5か月振りに悪化した景気ウォッチャーと黒字が積み上がる経常収支!

本日、内閣府から12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.2ポイント低下して53.9を、先行き判断DIも▲0.7ポイント低下して52.7を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆3473億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の街角景気、現状判断指数が5カ月ぶり低下 家計が悪化
内閣府が12日発表した2017年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.2ポイント低下の53.9と、5カ月ぶりに悪化した。家計動向のマインド悪化が目立った。内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」で据え置いた。
指数を部門別にみると、家計動向が前月比0.4ポイント低下の52.3となった。小売り、飲食のほかサービスの悪化が目立った。雇用は60.7と引き続き高水準だったが、前月に比べると0.6ポイント低下した。一方で、企業動向は55.7と0.4ポイント上昇した。
街角では、家計動向について「前月まで好調に推移していた紳士及び婦人防寒衣料が若干失速している」(東北の百貨店)との声があった。「宝飾品や高級ブランド品、美術品といった高額品の販売単価が落ちてきている。さらに、販売量も減少している」(近畿の百貨店)、「イベントを実施したが首都圏のファミリー層の集客が弱い」(甲信越の遊園地)との指摘もあった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.7ポイント低下の52.7だった。悪化は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用の全てが低下した。企業動向について「運送業者の手配が困難である」(東海の化学工業)といった声があった。
17年11月の経常収支、1兆3473億円の黒字 貿易黒字は縮小
財務省が12日発表した2017年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆3473億円の黒字だった。黒字は41カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて795億円縮小した。対前年同月のマイナスは5カ月ぶり。輸入の増加で貿易収支が黒字額を縮小したことが響いた。
貿易収支は1810億円の黒字となり、黒字額が前年同月に比べて1591億円縮小した。原油価格の持ち直しで原粗油などの輸入が伸び、輸入全体で17.6%増加した。半導体製造装置などの好調で輸出も13.9%伸びたが、輸入の伸びが上回った。
サービス収支は417億円の黒字と、黒字幅が前年同月比218億円縮小した。昨年あった大口案件の受け取りがなくなり、「その他業務サービス」の赤字幅が拡大したことが響いた。旅行収支は1485億円の黒字と同月としては過去最高の黒字となった。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆3298億円の黒字となり、黒字幅が1249億円拡大した。円安で海外子会社から受け取る配当金が増えた。米金利の上昇を背景に債券利子の受け取りも増加した。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、景気ウォッチャーの現状判断DIは昨年2017年7月以来5か月振りの低下を示しましたが、依然として50を上回って高い水準にあります。3つのコンポーネントのうち、家計動向関連が前月から▲0.4ポイント低下し、雇用関連も▲0.6ポイント低下しています。企業動向関連は製造業が+2.1ポイント上昇した一方で、非製造業は▲1.3ポイント低下し、全体として+0.4ポイントの上昇を見せています。現状判断DIが5か月振りに低下したとはいえ、まだ高い水準にありますので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかに回復」に据え置いています。
ただし、注意すべき点を指摘すると、引用した記事にも強調されている通り、家計部門の停滞感です。最近の長期にわたる景気拡大において、国民の間での景気拡大の実感が伴わない要因のひとつとして、企業部門に比較して家計部門の消費が伸び悩んでおり、その大きな原因が低調な賃上げとそれに起因する所得の停滞にあると、昨日のブログでも指摘しましたが、この景気ウォッチャーの家計動向関連DIと企業動向関連DIの水準にも、かなり明確にこの傾向が現れています。すなわち、2015年11月から2年余りに渡って家計動向関連DIが企業動向関連DIを下回って推移しています。しかも、その2年余りの間で昨年2017年10月が家計と企業の差が最も大きく、▲6.2ポイントに達しています。好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転しなければ、国民の間での景気の実感は上がらないおそれを指摘しておきたいと思います。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。そのひとつとして、経常収支は昨年2017年10月から11月にかけて、季節調整していない原系列の統計でも、季節調整済みの系列でも、いずれも黒字幅を縮小させているんですが、家に引用した記事ではいかにも、国際商品市況における石油価格の上昇による貿易収支の黒字幅の縮小のような印象を受けますが、季節調整済みの系列では貿易収支よりはサービス収支の赤字拡大の方が大きいことが上のグラフの緑色の積み上げ棒グラフから、やや細かいので見にくいものの、読み取れるんではないかと思います。詳細な季節調整済みの統計を見ると、むしろ、2017年10月の統計においてサービス収支のうちの知的財産権等使用料がイレギュラーにプラスになっていた、と指摘されています。それが、2017年11月には元のマイナスの赤字に戻った、ということのようです。いずれにせよ、経常収支は黒字幅が縮小したとはいえ、震災後のような形ではなく、特に懸念すべき材料ではないと私は受け止めています。
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2018年01月11日 (木) 23:52:00

11月の景気動向指数はさらに上昇し景気拡大はいざなぎ景気を越えて60か月に到達!

本日、内閣府から11月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+2.1ポイント上昇して108.6を、CI一致指数も+1.7ポイント上昇して118.1を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、2カ月連続で上昇 11月、基調判断「改善」で維持
内閣府が11日発表した11月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.7ポイント高い118.1だった。上昇は2カ月連続。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
鉱工業用生産財出荷指数や投資財出荷指数(輸送用機械を除く)などの改善が寄与した。有効求人倍率(学卒除く)は重荷になった。
数カ月先の景気を示す先行指数は2.1ポイント高い108.6と、3カ月ぶりに上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度で大きかった項目を上げると、プラス寄与では大きい順に鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)となり、CI先行指数では、これもプラス寄与の大きい順に鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)、中小企業売上げ見通しDI、新規求人数(除学卒)、新設住宅着工床面積、東証株価指数などが上げられています。少なくとも、統計的に確認できる範囲で、昨年中に景気の山が来ていたとはとても考えられませんから、景気動向指数が利用可能な範囲だけで見ても、昨年2017年11月までで現在の景気拡大は60か月に及ぶことになり、高度成長期のいざなぎ景気を超えたことは明らかであろうと考えるべきです。なお、いざなぎ景気は1965年11月から1970年7月まで57か月間続いています。また、戦後最長の景気拡大期間は米国のサブプライム・バブルに対応した期間であり、2002年1月を景気の底とし、2002年2月から2008年2月の山まで73か月間続いており、単純に計算すれば、来年2019年1月まで現在の景気拡大が続けば74か月に達するので、これを抜くこととなります。
おそらく、景気拡大期間が長くなった一方で、景気拡大の実感が薄い理由としては、企業部門中心の景気拡大であり、家計部門の消費の伸びが物足りないためではないかと考えられます。すなわち、企業部門の、例えば、法人企業統計に見る企業余剰金の大きな伸びに対して、11月統計の景気動向指数では商業販売統計のうちの小売業販売額や耐久消費財出荷指数が入っているものの、個人消費の伸びが不十分なためであろうと私は考えています。逆からいえば、高度成長期のような2ケタ成長は望むべくもありませんから、せめて、景気拡大の果実を国民に均霑するためには、企業サイドで内部留保を溜め込むのではなく、賃金上昇という形で国民に広く還元する必要が大きくなっている、といえるんではないでしょうか。
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2018年01月09日 (火) 19:29:00

やや低下したものの高い水準を示す消費者態度指数と久し振りに実質賃金が増加した毎月勤労統計!

本日、内閣府から昨年2017年12月の消費者態度指数が、また、厚生労働省から11月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。消費者態度指数は前月から▲0.2ポイント低下し44.7を記録した一方で、毎月勤労統計の名目賃金指数は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数0.2ポイント低下 17年12月、ガソリン高など重荷に
内閣府が9日発表した2017年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の44.7だった。低下は4カ月ぶり。ガソリン価格やレタスなど一部の生鮮野菜が上昇し、消費者心理を冷やした。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」が前月に比べて低下した。「収入の増え方」は前月と同水準だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は44.5と前月比2.3ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より1.4ポイント高い80.0%だった。上昇は5カ月連続。「低下する」は前月比0.3ポイント高い4.0%、「変わらない」は12.5%と2.0ポイント低下した。
調査基準日は17年12月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5841世帯(回答率69.5%)だった。
名目賃金、17年11月は0.9%増 4カ月連続プラス 毎月勤労統計速報
厚生労働省が9日発表した2017年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月に比べて0.9%増の27万8173円だった。4カ月連続で増加した。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増だった。残業代など所定外給与は2.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.5%増と大きく伸びた。
物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%増加した。プラスは16年12月以来11カ月ぶり。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.7%上昇したものの、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比1.5%増の1109円だった。パートタイム労働者比率は0.27ポイント低下の30.69%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。



いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、12月統計を前月差で詳しく見ると、「収入の増え方」だけが前月と変わらずだったほかは、軒並み低下を示し、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「雇用環境」も▲0.3ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.2ポイント低下を示しています。9~11月の3か月連続で4項目すべてが上昇を示していて、消費者態度指数としては9月+0.6ポイント、10月も+0.6ポイント、11月が+0.4ポイントと大きく上昇を続けていましたので、12月統計ではガソリンや一部の生鮮食品などの値上がりが消費者マインドの低下につながりましたが、この3か月の反動もあって、指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと考えるべきです。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。先行きも、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もします。デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。賃金に着目すると、名目賃金は前年同月比で上昇しています。ただ、本格的なデフレ脱却はまだながら消費者物価(CPI)が上昇していることから、実質賃金に引き直せば上昇幅は前年同月比で+0.1%増とわずかですが、それでも、ほぼ1年振りに近い11か月振りの実質賃金の上昇です。加えて、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。消費者態度指数に示されているマインドはかなり高い水準にあり、賃金上昇による所得のサポートあれば消費はさらに伸びを高める可能性があると私は期待しています。
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2018年01月07日 (日) 18:44:00

ユーラシア・グループによる2018年のトップリスクやいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、イアン・ブレマー率いるユーラシア・グループから2018年のトップリスク10項目が明らかにされています。今どきのことですから、詳細な内容のpdfの全文リポートもアップされています。もうすぐ、1月23日からダボス会議が開催され、その少し前には「グローバル・リスク報告書」が明らかにされることとなろうかと思いますし、簡単に取り上げておきたいと思います。といっても、上のリポート表紙画像に10項目が明らかに読み取れるでしょうし、専門外のエコノミストとして、10項目を羅列するだけですので、悪しからず。

  1. China loves a vacuum
  2. Accidents
  3. Global tech cold war
  4. Mexico
  5. US-Iran relations
  6. The erosion of institutions
  7. Protectionism 2.0
  8. United Kingdom
  9. Identity politics in southern Asia
  10. Africa's security


それから、10項目の番外編として、Red herrings が上げられています。トランプ政権のツイッター発信などを念頭に置いているようで、ミスリードされないように、とのご注意かと私は受け止めています。繰り返しになりますが、エコノミストとしてコメントできそうなのは、7番目の新たな保護主義の台頭と8番目の英国のEU離脱、いわゆるBREXITくらいであり、主として地政学的なほかのリスクについては、何とか一般常識として理解している範囲にとどまります。1番目の中国については、米国のトランプ政権が世界的なリーダーシップを放棄しつつあり、その真空を埋めて世界のトップリーダーになるべく活動を活発化させる、ということなんでしょうが、2番めの偶発的衝突なんて、私にはサッパリ予想できません。でも、昨年の2017年のトップリスクには9番目に North Korea が入っていましたので、それなりに、信頼性は高そうな気もします。なお、取りあえず、我が国の財政破綻はアジェンダには上っていないように私は受け止めました。
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2018年01月05日 (金) 23:43:00

米国雇用統計は堅調な動向を見せつつも1月の利上げは見送りか?

本日、米国労働省から昨年2017年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+148千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190~+200千人弱くらいの増加という予想には達しませんでしたが、失業率は前月と同じ4.1%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Employers added disappointing 148K jobs in Dec.
The labor market slowed in December as U.S. employers added 148,000 jobs in a sign that worker shortages may crimp hiring in 2018.
The unemployment rate, which is calculated from a different survey, was unchanged at 4.1%, the Labor Department said Friday.
Average hourly wages rose nine cents to $26.63, leaving the annual increase unchanged at 2.5%. Pay gains have been stuck at about 2.5% for well over a year. Economists have expected a bigger spike because of the low unemployment rate that's making it tougher for employers to find workers.
Businesses added 146,000 jobs. Federal, state and local governments added 2,000.
Job gains for October and November were revised down by a total 9,000. October's was revised to 211,000 from 244,000 and November's was upgraded to 252,000 from 228,000.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を下回ったとはいえ、失業率は引き続きほぼ4%の水準で推移しており、しかも、引用した記事にもある通り、ハリケーン後の11月は252千人増に伸び幅を上方修正している上に、直近3か月の増加幅は月平均200千人を上回っており、基本的に、米国の雇用は堅調と考えてよさそうです。これに、議会で可決された文も含めて大型減税が加われば、米国景気はさらに上振れする可能性すらあると私は考えています。ただ、要因は不明ながら、小売業が12月に▲20.3千人の雇用を減少させているのが懸念材料かもしれません。私が知る範囲では、米国のクリスマス商戦はかなり好調だったと認識しており、実店舗よりもサイバー店舗の伸びが大きいとはいえ、小売業の雇用が減少したのは少し謎です。もっとも、トランプ政権が重視するメインストリートの製造業は+55千人増と雇用を増加させており、引き続き、ヘルスケアなども雇用増に貢献しています。小売業だけが少し理解不能だったりします。いずれにせよ、次の米国連邦準備制度理事会(FED)の連邦公開市場委員会(FOMC)は1月30~31日に開催される予定であり、現在のイエレン議長の下での最後のFOMCですので、昨年2017年12月の利上げの影響を見極めるため、追加利上げを見送ることは確実であり、次のパウエル新議長の下での3月20~21日のFOMCが注目され、さらに、年3回といわれている利上げペースが加速するかどうか、も焦点のひとつとなっています。まあ、2か月半くらいは米国の金融政策に動きはないものと考えるべきですが、3月の利上げはありなんでしょうね

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、12月は前年同月比で+2.5%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で賃金上昇を吸収して物価にそのまま波及させるには至っていないとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面なのかもしれません。
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2017年12月28日 (木) 20:07:00

増産が続く鉱工業生産指数(IIP)と小売販売額が伸びた商業販売統計!

官庁ではご用納めの本日、経済産業省から11月の鉱工業生産指数 (IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月比+0.6%の上昇を示し、今年初めての2か月連続の増産です。また、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.2%増の11兆9680億円を記録し、季節調整済みの系列の前月比で見ても+1.9%増でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の鉱工業生産、前月比0.6%上昇 基調判断を引き上げ
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は103.6と、前月に比べ0.6%上昇した。上昇は2カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(0.5%上昇)も上回った。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」から「持ち直している」に引き上げた。「持ち直している」の表現を使うのは1996年1月以来、約22年ぶり。
全15業種のうち10業種で前月を上回った。最も上昇に寄与したのは汎用・生産用・業務用機械工業(3.1%上昇)だった。半導体製造装置やショベル系掘削機械などがけん引した。電子部品・デバイス工業は4.3%上昇した。メモリーやCCDといった半導体集積回路が伸びた。
一方、低下したのは5業種だった。最も低げたのは化学工業で1.7%低下だった。美容液や乳液、合成洗剤などが落ち込んだ。
出荷指数は2.4%上昇の101.3だった。在庫指数は1.0%低下の109.6。在庫率指数は2.9%低下の110.9だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、12月が3.4%上昇、18年1月は4.5%低下となった。
11月の小売販売額、前年比2.2%増 基調判断は据え置き
経済産業省が28日発表した11月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.2%増の11兆9680億円だった。2カ月ぶりに前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると、最も増加寄与度が高かったのは燃料小売業で、前年同月に比べ11.4%増えた。原油相場の上昇を受け石油製品が値上がりしたことが影響した。次に寄与度が高かった自動車小売業は4.6%増加した。新車効果が続いているようだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.4%増の1兆6714億円だった。既存店ベースでも1.4%増となった。百貨店は全店ベースで2.2%増加した。訪日外国人(インバウンド)需要が引き続き好調だった。
コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の9524億円だった。加熱式タバコなどがけん引した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、鉱工業生産については、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.5%の増産でしたから、ほぼほぼジャストミートしたといえます。他方、製造工業生産予測指数では12月+3.4%の増産の後、2018年1月は▲4.5%の減産と見込まれており、12月については製造工業生産予測指数の上方バイアスを修正して+1.8%±1%と試算されていますので、3か月連続の増産がかなり確度高くなっており、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を「持ち直しの動き」から「持ち直している」に半ノッチ引き上げています。これまでは増産と減産が交互に続くジグザグの動きでしたが、11月統計の実績で2か月連続の増産、12月の製造工業生産予測指数を考えると実態として3か月連続の増産ですから、2018年1月が減産に転じるとしても、上のグラフを見るにつけても、生産はかなり堅調だと考えるべきです。しかも、産業別に見ても我が国が比較優位を持つ産業が前月比で大きく伸びています。すなわち、前月比で見て、半導体製造装置などのはん用・生産用・業務用機械工業が+3.1%増、モス型半導体集積回路(メモリ)・モス型半導体集積回路(CCD)などの電子部品・デバイス工業が+4.3%増、外部記憶装置などの情報通信機械工業が+3.8%増などとなっています。また、出荷については鉄鋼業で伸びて、その裏側で鉄鋼業の在庫が低下したりしています。繰り返しになりますが、上のグラフの上のパネルに見られるように、ユニバリエイトな見方ながら、生産は堅調です。しかし、上のグラフのうちの下のパネルに見られる通り、資本財出荷はかなり上向いていますが、耐久消費財はまだ横ばいを続けており、輸出に支えられた好調な企業部門とまだ本格回復といえるかどうか怪しい消費の対比については留意しておくべきだという気がします。特に出荷の数量ベースではそういえます。

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続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。鉱工業生産指数(IIP)の出荷の数量ベースでは耐久消費財の伸びはまだまだ物足りない段階でしたが、消費全体としてはそれなりの上向きが確認されたと受け止めています。ただし、統計作成官庁の同じ経済産業省の基調判断が、これも引用した記事にある通り、鉱工業生産指数(IIP)では「持ち直しの動き」から「持ち直している」に引き上げられているのに対して、商業販売統計では「持ち直しの動き」に据え置かれています。この基調判断に典型的に示されているように、企業部門は好調ながら、家計部門はまだもう少し物足りなさが残っていることも確かです。外需と内需の差ともいえます。もう少し詳しく見ると、10月統計の速報時には、天候要因と土曜日が少ない曜日要因も含めて、飲食料品小売業が▲1.5%のマイナスを示したことから、小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲0.2%減を記録しましたが、直近の1月統計では+2.2%増ですから、決して悪くないといえます。ただ、生産が比較優位産業の増産に支えられている一方で、小売販売額は、自動車小売業の+4.6%増や電機製品などの機械器具小売業の+8.2%増などがけん引した部分もあるとはいえ、国際商品市況における石油価格の上昇に伴う燃料小売業の+11.4%増が主因ですので、やや消費の内容が悪い部分もあると考えるべきです。ただ、11月統計はボーナスの出る12月年末商戦の前触れかもしれないものの、消費についてはもっとボリュームの大きい12月統計に注目したいと思います。
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2017年12月26日 (火) 20:02:00

本日公表の雇用統計と消費者物価(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)の動向からもう一段の景気加速には賃上げが必要と痛感!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、さらに、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。失業率は前月からさらに▲0.1%ポイント低下して2.7%まで下がり、有効求人倍率は前月から+0.01ポイント高い1.56倍まで上昇した一方で、消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.9%とやや上昇幅を拡大し、企業向けサービス物価(SPPI)の前年同月比上昇率は前月と同じ+0.8%を示しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

失業率11月2.7%、24年ぶり低さ 物価3年ぶり上昇幅
雇用改善が一段と進んでいる。総務省が26日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は2.7%と、24年ぶりの低さとなった。厚生労働省がまとめた有効求人倍率も約44年ぶりの水準に上がった。雇用の安定が消費を支え物価も緩やかに上昇するが、政府・日銀の2%目標には届いていない。20年来の懸案であるデフレ脱却は2018年の大きな課題になる。
完全失業率は10月から0.1ポイント下がり、5カ月ぶりに改善した。求人があっても勤務地など条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。3%割れは、働く意思がある人なら職に就ける「完全雇用」状態といえる。
11月は求職中の失業者が減った。完全失業者は178万人で1年前から19万人減少。1994年12月以来の少なさだ。
全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示す有効求人倍率は1.56倍だった。前月を0.01ポイント上回り、高度経済成長期の74年1月以来43年10カ月ぶりの高水準だ。
企業の求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は14.2%で、比較できる02年以降で最低を更新した。ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。企業は将来の人手不足を見越して、正社員の採用に力を入れる。11月の正社員の有効求人倍率は1.05倍と最高となった。
賃金水準が高い正社員が増えて家計の心理が改善し、消費も持ち直している。総務省が26日発表した11月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯あたり消費支出は27万7361円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を1.7%上回り、3カ月ぶりに増えた。冷蔵庫や洗濯機の買い替え需要で、家庭用耐久財が30%増加。外食も5.6%増と堅調で、すしや焼き肉などのチェーン店が好調だった。
消費が持ち直し、物価の上昇ペースも少しずつ加速している。11月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除く総合で100.7と、前年同月比0.9%上がった。指数の水準は1997年11月以来、20年ぶりの高さだ。消費増税の影響を除いた伸び率も14年10月以来3年1カ月ぶりの大きさだった。
けん引役のガソリンや電気などエネルギーが、0.6%分押し上げた。エネルギーも除いた伸び率は0.3%。訪日外国人客の増加を背景に宿泊料が1.5%伸びた。
政府はデフレ脱却の目安として、経済全体での物価の動きを示す「国内総生産(GDP)デフレーター」など4指標を重視する。2017年7~9月期は4指標がそろってプラスとなり、内閣府は「局面変化」の状態にあると分析する。物価上昇の流れを明確な脱デフレにつなげるには、消費を底上げする賃上げの持続が欠かせない。
11月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 ホテル単価上昇で
日銀が26日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.1で2005年3月以来、12年8カ月ぶりの高水準だった。前年同月比では0.8%上昇した。上昇は53カ月連続。前月比でも0.1%上昇した。企業の出張増に伴いビジネスホテルの単価上昇が影響した。
トラック運転手の不足を背景にした宅配便などの価格上昇も一因。「ドライバー不足による価格転嫁が進んでいる」(調査統計局)という。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは84品目、下落は30品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は54品目で、10月の確報値から2品目増えた。
ビジネスホテルの価格が上昇する一方、広告関連の価格は低迷した。「インターネット広告では企業が費用対効果を厳密に見るようになっている」(調査統計局)といい、業種ごとの価格動向には濃淡がある。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、いくつもの統計を一挙に並べると、とても長くなってしまいました。なお、記事ではこのブログで取り上げていない家計調査にも言及しています。次に、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。

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まず、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。失業率も有効求人倍率も前月からさらに改善を示しており、かなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに上昇して1.05倍と高い水準にあります。ただし、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。逆から見ても、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。さらに、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用水準であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、消費者マインドに寄与しているのではないかと私は考えています。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。ということで、単純に見ると、コアCPI上昇率は6月+0.4%から7月+0.5%、8~9月+0.7%、10月+0.8%、11月+0.9%と徐々に上昇幅の拡大を続けており、加えて、全国の先行指標となる東京都区部でもコアCPI上昇率が全国から4か月遅れて今年2017年5月にプラスに転じ+0.1%を記録した後、10~11月の+0.6%、12月の+0.8%まで順調にプラス幅を拡大しています。しかし、先行きの消費者物価(CPI)上昇率を考える場合、要因として2点考慮する必要があり、ひとつは国内要因であり、要するに、いわゆる需給ギャップと賃金動向です。現時点で、これらはともに、物価を上昇させる方向にあると考えるべきです。需給ギャップは文句なしですが、賃金動向はまだ本格的な上昇に至っておらず、デフレ脱却にはさらなる賃上げが必要です。ただし、もうひとつは海外要因であり、国際商品市況における石油価格です。上の消費者物価のグラフにおいて、私の計算に従えば、寄与度分解した積上げ棒グラフの黄色のエネルギーの寄与度は、コアCPI+0.8%のうちの+0.61%に達しています。新興国経済が中国を含めてかなり堅調に回復を示していることから、相場が下げに向かう可能性は小さいと私は受け止めていますが、何分、相場モノですので先行きは不透明です。

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続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は雇用統計と同じで景気後退期を示しています。サービス物価については人件費の占める比重が高く、賃金との連動性もそれだけ大きくなっていると私は考えて来たんですが、今年に入ってから前年同月比で+1%に近い上昇率を示しながらも、それ以上に達していないのは、逆から見て、それだけ賃金上昇が進んでいない、ということなんだろうと受け止めています。景気についてはアベノミクス5年を迎えてかなり回復を示しており、企業業績が絶好調な一方で、個人消費の増加も物価の上昇も賃上げの役割が大きくなっているように感じます。
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2017年12月25日 (月) 21:42:00

リクルートジョブズによる派遣スタッフとアルバイト・パートの平均時給調査やいかに?

明日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の11月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給は引き続き2%台で堅調に推移していて、特に11月統計では1,024円と2006年1月の統計開始以来の過去最高水準を記録した一方で、派遣スタッフの平均時給はマイナスを記録する月も見られています。すなわち、昨年2016年9月から今年2017年8月までの12か月のうち10か月で前年同月比マイナスとなっていましたが、直近のデータでは2017年9月は+2.6%、10月も+2.4%、11月も+1.9%とそこそこの伸びを記録しています。地域的には、9~11月の足元で、東海圏の伸び率が高い一方で、関東圏と関西圏は低い伸び率にとどまっています。まあ、従来からそうだといえば、そうなんですが、特に9~11月の足元ではこれが目立っている気がします。職種としてはデザイナー、Web関連、編集・制作・校正などのクリエイティブ系が+2.3%増と特に大きな伸びを示すとともに、医療介護・教育系が▲1.2%減と下げています。ボリュームの大きな職種だけに、全体への影響も小さくありません。給与水準が低い一方で求人ボリュームの大きな医療介護系が、全体としての派遣スタッフ給与の足を引っ張っているとの分析もありましたが、地域別、職種別の特徴、というか、格差が拡大したんではないかという見方も成り立つような気がします。ただし、アルバイト・パートの時給は1月を底として12月に向けて上昇するという季節的な変動を伴いつつも、年をまたいでかなり単調に増加しているように見受けられます。引き続き、非正規雇用の求人は堅調と考えてよさそうです。
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2017年12月22日 (金) 21:43:00

ダイヤモンド・オンラインによる「業績好調企業ランキング」やいかに?

今週に入って、12月18日付けでダイヤモンド・オンラインから「業績好調企業ランキング」が明らかにされています。2017年12月期~2018年3月期決算の上場企業で、会社が発表した業績予想を基に営業利益の増加率の高い順に順位付けをしているようで、ダイヤモンド・オンラインのサイトからトップ50社の画像を引用すると以下の通りです。まあ、前年からのリバウンドもありますから、増加率だけでランク付けするのはムリがありそうな気もしますが、任天堂は新しいゲーム機がヒットしたんですかね。

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2017年12月21日 (木) 21:54:00

帝国データバンクによる「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の先週12月14日付けで、帝国データバンクから「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2017年の景気動向、「回復」局面だったと判断する企業は21.2%となり、前回調査(2016年11月)から15.5ポイント増加。4年ぶりに2割台へ回復。他方、「踊り場」局面とした企業は49.0%と3年ぶりに5割を下回り、「悪化」局面は9.2%と4年ぶりの1ケタ台に減少
  2. 2018年の景気見通し、「回復」を見込む企業は20.3%で、2017年見通し(前回調査11.0%)から増加。「踊り場」局面を見込む企業は前回より増加したものの、「悪化」局面を見込む企業(12.3%)は前回より減少した。景気の先行きについて、1年前より上向いていくと見通す企業が増加している
  3. 2018年景気への懸念材料は「人手不足」(47.9%、前回調査比19.5ポイント増)が最高となり、「原油・素材価格(上昇)」「消費税制」が続いた。特に中東や東アジア情勢などを受けて「地政学リスク」(19.1%)が急増。前回トップだった「米国経済」(14.1%、同27.7ポイント減)は大幅に減少した
  4. 景気回復のために必要な政策、「個人消費拡大策」「所得の増加」が4割台、「個人向け減税」が3割台で、消費関連がトップ3を占めた。次いで「法人向け減税」「年金問題の解決(将来不安の解消)」が続いた。「出産・子育て支援」や「介護問題の解決」を重要施策と捉える企業も2割前後。また、正社員が「不足」している企業では3社に1社が「雇用対策」を求める


ということで、やや冗長ながら、包括的に取りまとめられている印象です。来年の景気見通しについてはエコノミストとしても興味あるところ、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから、景気見通しの推移を引用しています。来年の景気見通しはここ2~3年と比較して、景気の「回復局面」との回答の比率が高いのもさることながら、「悪化局面」との回答が極めて少なくなっています。もちろん、地域や業界により差はあるものと思いますが、個別の回答からも、BREXITや日銀総裁の交代、あるいは、人手不足などを懸念材料に上げる意見が見られたものの、大雑把に悪くないと感じている企業が多そうな気がします。

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次に、上のグラフはリポートから、2018年の懸念材料を引用しています。もちろん、懸念材料がないわけではなく、上の2点、すなわち、人手不足と原油・資源価格はよく理解できるところです。3番目の消費税制はまだ先のお話かもしれませんが、4番目の地政学リスクも北朝鮮の動向が不透明なだけに不気味な気もします。昨年時点では5.7%に過ぎなかったわけですから、大きくジャンプしています。他方、米国経済はトランプ政権の政策運営はかなり安定してきた気はしますが、米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げについては、私はまだ懸念が残ります。

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最後に、上のグラフはリポートから、今後の景気回復に必要な政策を引用しています。複数回答で40%超を占めているのは、「個人消費拡大策」と「所得の増加」となっています。企業サイドで何を考えているのか、私にはまったくわけが判らなくなりました。4番目の法人減税くらいであれば、政府の専管事項だという気もしますが、企業で賃上げをためらっている中で、政策的に消費を拡大させ、所得を増加させるとの見方は、社会的な存在としての企業の存在理由を危うくしかねません。主流派の経済学で、企業は利潤最大化を目的とする組織体だとされているのは事実かもしれませんが、国民の所得を増加させて消費を喚起させるために、企業として何が出来るか、もっとしっかり考えていただくよう願いたいものです。

ケネディ米国大統領の発言で、1961年1月の就任演説の名文句を以下に引用しておきたいと思います。
"Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country."
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2017年12月20日 (水) 20:32:00

MM総研による「ITデジタル家電購入意向調査」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の先週12月13日付けで、MM総研から「ITデジタル家電購入意向調査」の結果が明らかにされています。今年の冬のボーナスはそこそこ出たようなウワサも聞きますし、スマートスピーカー/AIスピーカーとか、新しいITデジタル家電もボチボチ登場しています。ITデジタル家電に限らず、今冬は耐久消費財の買い替えサイクルにも当たっているようですし、エコノミストとしてもなかなか興味あるところです。

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まず、上のグラフは、MM総研のサイトから、09年以降の購買意欲の推移のグラフを引用しています。2009年は忘れもしない9月にリーマン・ショックがあった年なんですが、さすがに、購買意欲は大きく落ち込んでいたようで、その後、景気の回復・拡大とともに徐々に購買意欲は向上し、特に今年2017年の冬はピンクの「昨冬と比べ上がった」との回答が16.1%と今夏回答の12.1%に比べ+4.0%ポイント増加するとともに、水準としても2009年リーマン・ショック以降でもっとも高くなっています。ハードデータとしてもボーナスがしっかり出たようですし、ソフトデータとしても購買意欲はバッチリのようです。

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次に、上のグラフは、MM総研のサイトから、去年と今年の冬のボーナスの具体的な使い途に関するグラフを引用しています。見れば明らかですが、大きく増加したのは、ITデジタル家電、自動車・自転車、海外旅行となっていて、特に、ITデジタル家電は昨冬の39.6%から今冬は45.7%と+6.1%ポイント上昇し、詳しく見ると、「薄型テレビ」、「ノートパソコン」、「スマートフォン」、「デジタルカメラ」といった商品の購入意向が昨冬と比較して増えているようです。また、図表は引用しませんが、ITデジタル家電の中でも、トップが「薄型テレビ」、次いで「ノートパソコン」、といつもの顔ぶれながら、3位の「スマートフォン」に続いて「スマートスピーカー/AIスピーカー」が4位に食い込んでいます。ランキング急浮上の要因としては、AIスピーカーが認知されてきて、主要な製品が一通り出そろったタイミングがボーナス支給と重なり、購入意欲が高まっているのではないか、と分析されています。

さて、ボーナス商戦のゆくえやいかに?
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2017年12月18日 (月) 23:41:00

アジア向け輸出が好調で貿易統計は6か月連続の黒字を計上!

本日、財務省から11月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+16.2%増の6兆9204億円、輸入額も+17.2%増の6兆8071億円、差引き貿易収支は+1134億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の貿易収支6カ月連続黒字 1134億円、アジア向け輸出最高
財務省が18日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1134億円の黒字だった。6カ月連続で貿易黒字となった。世界経済の回復を受けて、アジア向け輸出が過去最高を更新するなど輸出入ともに好調を維持した。ただ原油などの単価上昇で黒字幅は前年同月比2割縮小した。
輸出額は前年同月比16.2%増の6兆9204億円と、12カ月連続でプラスだった。中国向けの液晶デバイス製造装置や米国向けの自動車、タイ向けの鉄鋼などが増加に寄与した。
地域別に見ると、アジア向け輸出は3兆8949億円と20.4%伸び、過去最高を更新した。中国向け(25.1%増)も過去最高だった。米国向けは13.0%増と10カ月連続で前年実績を上回った。自動車や掘削機などが伸びた。欧州連合(EU)向けは13.3%増だった。
一方、輸入額は17.2%増の6兆8071億円だった。11カ月連続で増加した。原粗油や石炭といった資源が値上がりしたほか、中国からスマートフォン(スマホ)の輸入が大幅に増えた。ロシアからのパラジウムも伸びた。為替が前年同月に比べ8%ほど円安方向に進んだことも円建て価格の押し上げにつながった。
対中国では輸入額が21.6%増え、9カ月連続の貿易赤字となった。対米国では黒字幅が13.7%増と5カ月連続でプラスとなった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、季節調整していないベースの貿易収支は今年2017年6月から6か月連続で黒字を記録していますが、トレンドを見るための季節調整済みの系列だと2015年11月から25か月、すなわち、2年余り貿易黒字が続いています。この間、我が国の貿易収支をスィングさせてきたのは国際商品市況における石油価格です。短期では石油需要は価格にそう弾力的であるとも思えず、国際商品市況における価格動向とともに為替水準によっても輸入額が変動することになります。現時点では、石油をはじめとする国際商品市況は、新興国、特に中国の景気回復を受けてジワジワと値を戻しており、引用した記事にもある通り、為替も1年前から10%近い円安水準となっています。ですから、為替のいわゆるJカーブ効果も合せて、石油価格と為替から輸入額は短期には上振れして、貿易黒字が縮小する可能性が十分あり、11月統計では貿易黒字が先月よりも縮小していますが、これは主として季節要因によるものであり、季節調整済みの系列ではむしろ先月よりも貿易黒字は拡大しています。ということで、現時点では、世界経済の回復・拡大を受けて我が国からの輸出が好調に推移している、と見るべきです。地域別はグラフにしていませんが、これも引用した記事にもある通り、アジア向けの輸出が大きく伸びています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、繰り返しになりますが、国際商品市況で石油価格が上昇して、我が国の輸入が大きく増加している一方で、世界経済も順調な回復・拡大を見せて、我が国の輸出も大きく増加しています。特に輸出についてはアジア向けが増加しており、数量べースでも、いくつかのシンクタンクの独自推計では、半導体や鉄鋼が輸出数量の増加に大きく寄与しているとリポートしています。ただ、我が国輸出の先行きに関しては、米国の利上げや欧州中銀(ECB)のテーパリングなどの金融政策動向が気がかりです。ラグを伴って世界経済の景気動向に影響を及ぼすとともに、短期的には為替水準へのインパクトが小さくないからです。米国トランプ政権の通商政策については、金融政策に次いで気がかりです。
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2017年12月15日 (金) 23:41:00

日銀短観に見る企業マインドはまさに満月の欠けたるところもなし!

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から+3ポイント改善して+25を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+6.3%増と上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月日銀短観、大企業・製造業DIは5期連続改善 06年以来11年ぶり高水準
日銀が15日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス25だった。前回9月調査(プラス22)から3ポイント改善し、2006年12月(プラス25)以来11年ぶりの高水準となった。改善は5四半期連続。好調な輸出が続く自動車関連や商品市況の回復による化学や鉄鋼・非鉄金属関連の景況感の改善が指数を押し上げた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス24を上回った。回答期間は11月14日~12月14日で、回収基準日は11月29日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と伸び悩む見通し。市場予想の中央値(プラス22)を下回った。海外の政治・経済情勢の不透明感などから先行きの見方は慎重だった。
17年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=110円18銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回と同じだった。消費は上向きつつあるが、天候不順による対個人サービスの業況感悪化や労働需給逼迫に伴う人件費の上昇などが重荷となり伸び悩んだ。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。
中小企業は製造業が5ポイント改善のプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス9だった。先行きはいずれも悪化した。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス19となり、前回(マイナス18)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年3月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比7.4%増と、市場予想の中央値(7.6%増)を下回った。9月調査(7.7%増)からは増加幅が縮小した。
大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回(ゼロ)から1ポイント上昇。プラスとなるのは2008年9月(プラス11)以来9年ぶり。販売価格判断DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査からさらに+3ポイント改善して+25に達し、大企業非製造業については9月調査から変化なかったものの、中堅企業・中小企業では製造業・非製造業ともに業況判断DIは改善を示しています。ただ、満月が欠けて行くはじまりであるように、先行きについては産業別に見ても、規模別に見ても、かなり慎重な見方が広がっています。株価などであれば、「高所恐怖症」と呼ばれる場合もあるようです。大企業レベルの製造業と非製造業で業況感の変化方向にビミョーな違いが出た背景としては、為替の円安方向への振れと世界経済の順調な回復・拡大がさらに広がりを見せている点に求められるんではないか、と私は考えています。非製造業については、特に、7~9月期のGDP統計に典型的に現れているように、ならして見れば何ともいえないものの、足元では好調な世界経済に対比させると、我が国の内需に勢いを欠いているのも事実ですし、人手不足が影を落としやすいのも非製造業かもしれません。
先行きについては、やや慎重な見方が広がっているものの、決して悲観する必要はない、と私は受け止めています。先行きのリスクで景況感に影を落としているのは、まず第1に、わけの判らない北朝鮮リスクです。北東アジアの地政学リスクについては、何とも予想できません。第2には米国の先行きリスクです。トランプ政権の政策方向の見極めが困難であることに加え、米国連邦準備制度理事会(FED)が本格的な利上げ局面に入り、さらにイエレン議長が退任しますので、今までにない局面を迎える可能性に懸念する向きもあるかもしれません。第3には、新興国の景気拡大と裏腹な現象ながら、石油をはじめとする資源価格の上昇です。昨日、帝国データバンクが「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果を明らかにしているところ、やはり、先行きのリスクとして、人手不足、原油や資源価格の上昇、地政学リスクなどが上げられています。このリポートについては、来週にでも詳細は日を改めて通り上げる予定です。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画の調査項目は省略しましたが、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査で+2.9%増、9月調査で+4.6%、12月調査で+6.3%と順調に上積みされています。上のグラフに見る通りです。日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、3月調査はほぼほぼ必ず前年度比マイナスで始まり、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるような気がするんですが、人手不足や企業業績を考え合わせると、今年度の設備投資は期待してよさそうです。
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2017年12月14日 (木) 22:27:00

絶好調の企業マインドを示唆する日銀短観予想の取りまとめ!

明日12月15日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2017年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、その設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+22
+23
<+4.6%>
n.a.
日本総研+23
+24
<+5.1%>
先行き、企業収益が堅調を維持するもとで、設備投資は持ち直しの動きが続く見通し。もっとも、人口減少下で国内の成長見通しが高まりにくいなか、生産能力を積極的に増強する動きは限定的。海外情勢にも不透明感が残るなか、機械投資を中心とした製造業の設備投資の力強い回復は期待しにくく、持ち直しペースは緩慢にとどまる見通し。
大和総研+22
+24
<+5.4%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+5.4%と、前回の9月短観(同+4.6%)から上方修正されると予想した。12月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、高水準の企業収益が設備投資に対してプラスの影響を及ぼす一方で、設備稼働率が伸び悩んでいることなどを踏まえ、例年の修正パターン並みの結果になると想定した。総じてみると、短観で見る日本企業の設備投資計画は底堅い内容だと評価している。
みずほ総研+23
+23
<+5.7%>
2017年度設備投資計画(全規模・全産業)は前年比+5.7%増と、9月調査(同+4.6%)から上方修正を見込む。
製造業については、海外経済の回復やITサイクルの改善を背景に、主に半導体関連の設備投資が押し上げに寄与し、9月調査から前年比プラス幅が拡大すると予想している。ただし、設備メーカーの生産能力が需要の伸びに追いつかないことから、上方修正は小幅なものに留まるとみている。非製造業についても、オリンピックやインバウンド対応投資の継続がプラスとなるだろう。
ニッセイ基礎研+23
+24
<+5.9%>
2017年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比5.9%増と前回調査時点の4.6%増から上方修正されると予想。例年12月調査では、中小企業を中心に計画が固まってくることで上方修正される傾向が強い。また、企業収益が好調な水準を維持していることから投資余力は十分であること、人手不足を受けて一部で省力化投資が活発化していることなどから、実勢としても堅調と言える計画になりそうだ。
ただし、事業環境の先行き不透明感が強いことや、企業の期待成長率が低迷していることが投資の抑制に働くだろう。設備投資計画は底固いものの、収益改善の割にはやや物足りない水準との評価に留まりそうだ。
第一生命経済研+23
+23
<大企業製造業+11.7%>
<大企業非製造業+4.7%>
マクロの経済動向では、景気拡大が成熟化して、設備投資の拡大へと展開している。リーマンショック以前に比べると設備投資の勢いは弱いという印象を拭えないが、短観ベースでは着実に投資は増えている。特に、中小企業では12月調査でさらに改善ペースを強める可能性がある。大企業・製造業は、すでに2桁の伸びをつけており、季節的な修正でプラス幅が小さくなってもなお2桁は維持されるだろう。経済データの中で設備投資の伸びには上振れの期待があるので、短観がそうした期待に応えられるであろうか。
また、設備判断DIでも、ここにきて不足感が強まっていれば、潜在的な投資ニーズが強まっている証拠になる。人手不足に連動して設備ニーズ、省力化ニーズが増えるという見方もある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+24
+24
<大企業全産業+7.0%>
足元までの設備投資は持ち直し基調にある。今後も国内外の需要が持ち直していることに加え、企業の手元資金が潤沢であることや、人手不足感が強まる中で機械への投資の重要度が増すことが、国内の設備投資を押し上げるだろう。もっとも、将来に向けて国内需要の急速な拡大は見込めず、生産拠点を新興国などの消費地に近づける動きは変わらない。為替円安が定着しても、生産を国内に移管する動きは少ないだろう。
三菱総研+24
+24
<n.a.>
業況判断DI(大企業・全産業)は、+24%ポイント(9月調査から1%ポイント上昇)と、5期連続での業況改善を予想する。海外需要の持ち直しを背景に、製造業を中心とする改善を見込む。
富士通総研+23
+24
<+4.8%>
2017年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比4.8%と、9月調査から上方修正されると見込まれる。好調な企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。人手不足の深刻化により、省力化投資に対する企業の意欲はより一層高まっている。これに関連して、物流効率化のための投資も活発化している。さらに、IoT関連の投資需要の高まりも顕著になっている。大企業を中心に、設備投資計画は過去の平均を上回って推移しており、12月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。


見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、全規模全産業の2017年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。9月調査の短観と比較して、景況感に関しては、ほぼ横ばい圏内の動きが予想されているように見受けられますが、景況感が低下するという見方はないようです。少し前まで、というか、今年半ばくらいまで、北朝鮮を含む海外要因の不透明さに対する見方次第で、景況感の下振れの可能性もなくはなかったんですが、引き続き、北朝鮮の核やミサイルの問題は解決されていないものの、フランス大統領選挙の結果のマクロン大統領の誕生やドイツ総選挙でメルケル現首相の与党勝利で、昨年のようなBREXITやトランプ大統領勝利などの想定外の結果に対する懸念はかなり払拭されたんではないか、と私は受け止めています。繰り返しになりますが、あとは北朝鮮情勢が大きな比重を占める、ということではないかという気がします。いずれにせよ、北朝鮮情勢だけはエコノミストには予測不能です。その意味で、設備投資も同様の懸念あるものの、少なくとも国内経済要因だけは投資増の方向かという気がします。すなわち、好調な企業業績による資金的な余裕と人手不足による省力化や合理化投資の必要性が設備投資を下支えすることは確実です。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから全規模全産業の設備投資計画を引用しています。

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2017年12月13日 (水) 21:58:00

前月から伸びを示した機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から10月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比前月比+5.0%増の8509億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注5.0%増 10月、2カ月ぶりプラス
内閣府が13日発表した10月の機械受注統計によると、民間企業の設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.0%増の8509億円となった。2カ月ぶりに増加し、製造業を中心に人手不足を補う省力化投資が活発なことを示した。
QUICKが算出する市場関係者による事前予測の中心値(3.0%増)を上回った。内閣府は「持ち直しの動きがみられる」との基調判断を前月から据え置いた。
製造業は前月比7.4%増と2カ月ぶりに増えた。17業種中12業種でプラスだった。発注者別では電気機械(20.2%増)やはん用・生産用機械(9.9%増)などの増加が目立つ。世界経済の回復を背景に、スマートフォン向けの半導体製造装置のほか、産業用ロボットへの投資が好調に推移している。外需は前月比4.9%増だった。
非製造業も前月比1.1%増と2カ月ぶりにプラス。運輸業・郵便業が26.2%増と大きく伸びた。大型の道路車両の受注があったという。卸売業・小売業からの受注も堅調だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で前月比+3.0%でしたので、これを上回って、まずまず堅調な伸びを示したと受け止めています。ただし、記事には人手不足大作のような表現がありますが、製造業で堅調な一方で、非製造業ではそうでもないわけですので、やや疑問が残ります。少し詳しく業種別に10月の統計を見ると、製造業については、化学工業で前月比+82.1%増、あるいは、石油製品・石炭製品でも+88.9%増といった資源関連の素材業種のほか、情報通信機械の+53.9%増とか電気機械の+20.2%増などの加工業種まで、幅広い業種で増加を示している一方で、船舶と電力を除く非製造業では、引用した記事にもある通り、大型発注のあった運輸業・郵便業の+26.2%増のほかは、卸売業・小売業の+10.0%増くらいで、しかも、製造業が9月前月比▲5.1%減を上回る10月+7.4%増なのに対して、非製造業は9月▲11.1%減に及ばない10月+1.1%増ですので、明らかに製造業中心の受注増と考えるべきです。月次で変動の激しい統計ですので、もっとならしてみるべきかもしれませんが、少なくとも10月統計に関しては、国内要因の人手不足に起因した省力化・合理化投資よりも、新興国を始めとする世界経済の回復・拡大に基づく我が国からの輸出の増加に対応した投資増が中心であった、と考えるべきであろうと私は受け止めています。今後については、世界経済の先行きリスクが米国の利上げで不透明であると考えるべきでしょうし、国内の人で不足に対応する投資が、もしも10月統計に示されたように不活発と仮定すれば、あくまで総仮定すれば、ということですが、先行きの機械受注や設備投資は横ばいないし増加であるとしても緩やかな増加になる可能性が高い、と私は予想しています。ただし、繰り返しになりますが、変動の激しい統計ですので、単月での評価には限界があり、もう少しならして見る必要はあります。
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2017年12月12日 (火) 19:58:00

11月の企業物価(PPI)上昇率はさらにプラス幅を拡大!

本日、日銀から11月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.5%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の企業物価指数、前年比3.5%上昇、9年ぶり伸び率
日銀が12日に発表した11月の企業物価指数(2015年=100)は99.8で前年同月比3.5%上昇した。上昇は11カ月連続。上昇率は市場予想の中央値である3.3%を上回った。消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来、約9年ぶりの大きさとなった。
前月比では0.4%上昇した。品目別では、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品が指数の上昇にもっとも寄与した。世界的な景気拡大や産油国による減産を背景にした国際原油相場の上昇が押し上げた。
農林水産物も上昇した。黒潮が大きく南に離れる「大蛇行」の発生による不漁で、シラス干しの価格が大幅に上昇。鍋用需要の高まりで牛肉や鶏卵も値上がりした。原油相場の強含みで化学製品も上昇した。
円ベースの輸出物価は前月比で0.2%上昇、前年同月比では6.8%上昇したが、上昇率は10月(それぞれ1.7%、9.7%)を下回った。中国の景気改善などを背景にした国際相場の上昇を受け、鉄くずや銅地金など金属・同製品が上昇した。普通乗用車など輸送用機器は下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは387品目、下落は248品目となった。下落品目と上昇品目の差は139品目で、10月(確報値)の125品目から拡大した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+3.3%の上昇が予想されており、実績値の+3.5%の上昇はレンジの上限となりますので、国際商品市況における石油価格次第とはいえ、かなり高めの上昇率だった気がします。国内企業物価(PPI)の前年同月比上昇率をもう少し詳しく見ると、中国をはじめとする新興国の景気拡大に伴うとみられるエネルギーなどの上昇率が高い印象で、例えば、石油・石炭製品が+19.0%の上昇、非鉄金属が+17.2%の上昇、電力・都市ガス・水道が+10.2%の上昇、さらに、ウェイトは小さいながら、スクラップ類は+34.4%の上昇などを記録しています。ただ、輸入物価の中の原油について最近時点での前年同月比上昇率を見ると、9月+24.8%、10月+36.7%、直近の11月+19.8%などとなっており、もちろん、国際商品市況の動向次第ながら、あるいは、為替相場と合わせ技で考えた円建ての原油価格はそろそろピークアウトする可能性もあります。ただ、需要段階別の下のパネルのグラフでは、見た目は判然としないんですが、素原材料と中間財については前年同月比の上昇率が10月をピークに11月にはわずかにプラス幅を縮小している一方で、最終財については11月も依然としてまだ上昇幅が拡大しており、川上の石油価格がピークアウトした後でも川下の最終財に向けた価格上昇の波及は進むのかもしれません。
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2017年12月11日 (月) 23:42:00

法人企業景気予測調査に見る企業マインドはさらに改善を示す!

本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は7~9月期の+5.1の後、10~12月期にはを+6.2記録し、先行きについては、来年2018年1~3月期は+5.2に、また、4~6月期は+0.5と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感2期連続プラス 10-12月
財務省と内閣府が11日発表した10~12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)はプラス6.2だった。国内外における景気回復を背景に、2四半期続けてプラスとなった。財務省は企業の景況感について「緩やかな回復基調が続いている」とし、前回調査から判断を据え置いた。
指数は自社の景況が前期に比べ「上昇」したとの回答割合から「下降」の割合を引いた値。調査基準日は11月15日で、資本金1千万円以上の企業1万2948社から回答を得た。
製造業はプラス9.7だった。原材料高を理由に国内向け商品の販売価格を引き上げた食料品製造業の景況感が改善した。新型車が好調な自動車・同付属品、車やスマートフォン向けの半導体部品の需要増が続く情報通信機械器具も堅調だった。
非製造業はプラス4.5だった。原油価格の上昇を受け販売価格が上昇した商社などの景況感が改善した。
中堅企業はプラス5.3、中小企業はマイナス2.3で、ともに前回調査よりも指数は上昇した。中小企業の製造業はプラス2.0と、消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった2014年1~3月期以来の高水準だった。
大企業による景況感の18年1~3月期の見通しは5.2、18年4~6月期は0.5とプラスを維持するものの、慎重に見る向きが多い。一方で19年3月期の設備投資見通しについて、増加すると答えた企業の割合は21.4%と、12年10~12月期に調査を開始して以来過去最高となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフトデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。そして、足元の今年2017年10~12月期について少し詳しく景況判断指数(BSI)を見ると、かなり広範な企業にマインド改善の動きが広がっているように見受けられます。すなわち、製造業・非製造業の極めて粗いながらも業種別と、大企業・中堅企業・中小企業の規模別の2☓3の6つのセルで考えて、非製造業中堅企業でわずかに7☓9月期から悪化を示したほかは、すべて改善を示しています。その非製造業中堅企業についても10~12月期のBSIの水準は+3.0とプラス圏内ですし、先ほどのセルの中でまだ水面下のマイナスは非製造業中小企業の▲3.2だけとなっています。景況感以外のBSIについては、引き続き、雇用に関する従業員数判断BSIで人手不足が明らかとなっています。すなわち、今年2017年12月末時点で、大企業が過剰に対する不足超19.5、同じく、中堅企業32.6、中小企業29.5となっていて、採用しやすい大企業よりも中堅・中小企業で人手不足感が広がっているように見受けられます。最後に、私が注目している設備投資計画は、2017年度で前年度比+3.4%増と、前回調査の+3.9%増から下方修正されましたが、引用した記事にもある通り、少なくとも大企業レベルでは来年度2018年度の設備投資を増加させると回答した企業は21.4%ととても高い比率に上っています。人手不足にも対応して、設備投資も増加する方向にあるようです。

今週金曜日の12月15日には企業マインドに関する重要な指標である日銀短観12月調査の結果が明らかにされます。ほとんどのシンクタンクから日銀短観予想が明らかにされています。現在取りまとめ中で、極めて大雑把に、景況感はわずかながらも改善を示し、設備投資計画は12月調査においては統計のクセとして、というか、その範囲くらいで上方修正される結果が多くなっているような印象です。また、日を改めて取り上げたいと思います。
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2017年12月09日 (土) 07:38:00

米国雇用統計は堅調な雇用の伸びを示し来週の利上げは確定か?

本日、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+228千人増と、市場の事前コンセンサスだった+200千人弱くらいの増加という予想を超えて、先々月の雇用統計に大きな影響を与えたハリケーンの影響からも完全に脱して正常化を示しています。他方、失業率は前月と同じ4.1%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなるのを覚悟の上で、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Beating expectations, U.S employers add 228,000 jobs; unemployment rate stays 4.1%
In the latest indication that the U.S. economy remains on solid footing, employers in the U.S. added a robust 228,000 new jobs last month and the nation's unemployment rate held steady at a 17-year low of 4.1%.
The Labor Department's report Friday cements expectations that the Federal Reserve will nudge up interest rates next week, and could set the stage for a quickening of rate hikes next year, especially if the Republican tax cuts take effect and add fuel to short-term economic activity.
Average wage gains picked up slightly in November from the prior month, but nonetheless remained at a mediocre 2.5% annual rate of increase seen in recent years — despite hopes that the tightening labor market would generate faster pay increases.
Job growth in November exceeded forecasts from many analysts who were looking for an increase averaging about 195,000. Manufacturing had another strong month of hiring, as did business and professional services. The construction industry and healthcare services also had a good month. Retailers added a middling amount of jobs.
Last month's payroll gains followed an increase of 244,000 jobs in October. Both months' numbers were likely inflated somewhat, making up for job growth that had plunged in September because of the hurricanes in Texas and Florida.
With the November statistics, monthly job growth has averaged 170,000 the last three months and 174,000 for all of this year. That is down from the 187,000 average gains per month in 2016, but still a healthy rate of growth that, if it continues, will likely pull more people into the labor force and push down the jobless rate.


長くなりましたが、金融政策動向も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の非農業部門雇用者数は、9月のハリケーンの影響で少し撹乱されましたが、先月の統計でジャンプし、今月の統計ではほぼほぼ正常化したんではないかと見られています。繰り返しになりますが、市場の事前コンセンサスでは+195千人増くらいを予想していたようなんですが、これを上回った雇用の堅調さが示されています。従って、来週12~13日に開催される米国連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)では利上げが実施されることがほぼ確実となりました。9月のFOMCでは2018年中も3回の利上げが示唆されていましたが、引用した記事にもある通り、議会で共和党が進めている法人減税がさらなる景気拡大効果を発揮するようであれば、利上げのペースが速まる可能性もあります。ただ、来年2月に退任するイエレン議長の後任のパウエル新議長は、物価動向次第では利上げペースを緩やかにすることも視野に入れているといわれており、いろいろな条件次第で米国の利上げペースは左右されそうです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきて、引用した記事でも "mediocre" と表現されているところですが、それでも、11月は前年同月比で+2.5%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で賃金上昇を吸収して物価にそのまま波及させるには至っていないとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面なのかもしれません。
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2017年12月08日 (金) 20:39:00

堅調な成長を示す2次QEとついでながらの景気ウォッチャーと毎月勤労統計と経常収支!

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.5%を記録しました。1次QEから設備投資を中心に上方修正されたことから、潜在成長率をかなり超えた高成長といえます。ただ、4~6月期と違って内需の寄与よりも外需の寄与が大きい成長となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率2.5%増に上方修正 7-9月改定値、設備投資・在庫が寄与
内閣府が8日発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増と、速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正した。設備投資の上振れや原材料在庫の増加が寄与した。QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.4%増、年率1.5%増)を上回った。
実質成長率は7四半期連続の増加。内閣府は「景気の緩やかな拡張が続いている」(経済社会総合研究所)と指摘した。
設備投資は前期比1.1%増と、速報値の0.2%増を大幅に上回った。1日発表の法人企業統計で、宿泊などサービス業に加え金融機関などで投資が伸び、改定値の上方修正に貢献した。民間在庫の寄与度は0.4%と、速報値(0.2%)を上回った。石油化学関連の原材料や鋼材といった資材在庫の積み増しが目立ったようだ。
このほかの内需項目は、個人消費が速報値と同じ前期比0.5%減、住宅投資が1.0%減(同0.9%減)、公共投資が2.4%減(同2.5%減)だった。
輸出は前期比1.5%増と速報値と同じで、輸出から輸入を差し引いた外需の実質GDP改定値への寄与度もプラス0.5ポイントと速報値から変わらなかった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増(速報値は0.6%増)、年率で3.2%増(2.5%増)となった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは速報値と同じ前年同期比プラス0.1だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/7-92016/10-122017/1-32017/4-62017/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.2+0.3+0.4+0.7+0.3+0.6
民間消費+0.4+0.1+0.4+0.9▲0.5▲0.5
民間住宅+3.0+0.2+0.9+1.3▲0.9▲1.0
民間設備▲0.2+1.5+0.2+1.2+0.2+1.1
民間在庫 *(▲0.5)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.0)(+0.2)(+0.4)
公的需要+0.4▲0.7+0.2+1.1▲0.6▲0.5
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.0)(+0.3)(+1.0)(▲0.2)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.3)(+0.3)(+0.1)(▲0.2)(+0.5)(+0.5)
輸出+2.1+3.0+1.9▲0.1+1.5+1.5
輸入+0.1+1.3+1.3+1.5▲1.6▲1.6
国内総所得 (GDI)+0.5+0.0+0.2▲0.1+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)▲0.1+0.1+0.2+0.9+0.6+0.8
名目GDP▲0.1+0.5+0.1+0.8+0.6+0.8
雇用者報酬+1.1▲0.3+0.2+1.0+0.5+0.7
GDPデフレータ▲0.1▲0.1▲0.9▲0.4+0.1+0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.4▲0.0+0.3+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期の最新データでは、前期比成長率が7四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)と灰色の在庫が大きなプラスの寄与を、赤い消費がマイナスを、それぞれ示しているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもありますし、一昨日の1次QE予想でも取り上げましたが、7~9月期2次QEでは1次QEから小幅上昇改定が予想されていたところ、統計が公表されてみると、かなり大幅な上方改定となりました。季節調整済みの前期比で見て、設備投資が1次QEの+0.2%増から2次QEでは+1.1%増に大きく上方改定されましたので、設備投資の寄与だけで+0.2%の成長率押し上げがなされたことになります。加えて、在庫の寄与がやはり1次QEから2次QEに向けて+0.2%の上方改定でしたので、国内需要の寄与度が1次QEの▲0.2%から2次QEでは+0.1%に+0.3%ポイントのスイングを見せました。他方、外需項目の輸出と輸入は伸び率も寄与度も1次QEから2次QEへの変更はほとんどありませんでした。基本的には、1次QEから景気判断として変更すべきポイントはないと私は受け止めており、引き続き、少し目先の先行きも含めて、日本経済は緩やかな回復ないし拡大を続けているものと考えるべきです。ただ、上方修正の大きな需要項目である設備投資と在庫をもう少し詳しく見ると、形態別固定資本形成のうち、特に季節調整済みの系列の前期比で見て伸びが大きかったのは、建物・構築物と輸送機械を除くその他の機械設備等が+1.1%、さらに、知的財産生産物が+0.8%となっています。新たに設備投資に加えられるようになったR&D やソフトウェアなど知的財産生産物への投資が増加しているのが見て取れます。さらに、在庫がプラスに上振れしたのは、評価の難しいところかもしれません。単純には、前向きの営業姿勢であり、売上げの増加に対応した在庫増だと見なすことも出来ますが、意図せざる在庫増の可能性も否定できません。ただ、GDPへの寄与度+0.4%を示した在庫変動を詳細に見ると、原材料在庫が+0.2%、仕掛品在庫が+0.0%、製品在庫と流通品在庫がともに+0.1%となっていて、消費の減退に対応した売れ残りではなさそうな気もします。
なお、1次QE公表の際にも同じことを書いたように記憶していますが、現在のアベノミクスを批判しようという意図があれば、4~6月期の消費をはじめとする内需主導成長が7~9月期には続かずに外需主導になった、と批判すればいいわけですし、逆に、アベノミクスを擁護しようとすれば、4~6月期と7~9月期をならして見れば順調な成長経路に乗っている、ということになるんではないかという気がします。ですから、何とでも評価できそうです。しかし、特にボリュームの観点から注目すべき消費についてもう少し詳しく見ると、1人当たりの統計で見て賃金上昇が見られないものの、正規雇用をはじめとして量的な雇用の増加があることから、マイクロな個人単位の賃上げなくてもマクロな雇用者所得の増加は観察されており、決して消費者マインドは悪くないことも考え合わせると、天候要因ほかの特殊要因がなくなれば消費は回復するものと考えています。何度か繰り返しましたが、消費が停滞しているのは所得が伸びていないのが原因であり、年金制度などの将来不安ではないと私は考えています。ただし、消費を財別にさらに詳細に見ると、耐久財消費が7~9月期には前期比でマイナスに転じていて、消費増税やエコカー減税、家電エコポイントなどで攪乱された耐久消費財の買い替えサイクルの復活が早くも終了した可能性を示唆する見方も出ています。今後の動向が気がかりです。

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最後に、GDP統計以外の政府経済指標に目を転ずると、内閣府から11月の景気ウォッチャーが、また、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が、さらに、財務省から10月の経常収支が、本日、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りであり、上のパネルから順に、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DI、毎月勤労統計の賃金のうち季節調整していない原系列の前年同月比上昇率と季節調整済みの系列、最後は経常収支の棒グラフとその内訳の積上げ棒グラフです。各統計のヘッドラインだけ簡単に取りまとめると、景気ウォッチャーの11月の現状判断DIは、季節調整済みの系列で見て前月差+2.9ポイント上昇の55.1とさらに上昇を続けています。毎月勤労統計の実質賃金指数のうち現金給与総額は、季節調整していない原系列で見て前年同月比で+0.2%の増加を示しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆1764億円の黒字を計上し、黒字は40か月連続を記録しています。
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2017年12月07日 (木) 21:44:00

景気動向指数に見る現在の景気拡大はいざなぎ景気を越えて戦後最長に迫るか?

本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比▲0.4ポイント下降して106.1を、CI一致指数は+0.3ポイント上昇して116.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数0.3ポイント改善 10月も「改善」
内閣府が7日発表した10月の景気動向指数(2010年=100、CI)によると、景気の現状を示す一致指数は前月より0.3ポイント上がり、116.5となった。2カ月ぶりに上昇した。内閣府は一致指数からみた基調判断は「改善を示している」として据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出し、月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
一致指数を構成する指標で、前月と比較できる7つの指標のうち、4つが改善した。有効求人倍率の改善が全体を大きく押し上げたほか、卸売業の商業販売額も堅調だった。生産は自動車部品や半導体が増えた。
数カ月先の情勢を示す先行指数は0.4ポイント低下の106.1となった。低下は2カ月連続。最終需要財在庫率指数など企業の在庫を示す指標が悪化した。台風の影響で客足が悪く、消費者態度指数も悪化した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度で大きかった項目をあげると、プラス寄与では有効求人倍率(除学卒)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)が上げられており、逆にマイナス寄与では商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数となっています。CI先行指数のマイナス寄与では鉱工業用生産財在庫率指数と最終需要財在庫率指数の絶対とが大きくなっています。CI先行指数こそ下降しましたが、3か月後方移動平均は5か月連続の上昇を示していますし、CI一致地数・先行指数とも7か月後方移動平均は、何と、ともに15か月連続で上昇しています。少なくとも、10月より前に景気の山があったとは考えられませんから、現在の景気拡大は59か月に及ぶことになり、高度成長期のいざなぎ景気を超えたことは明らかであろうと私は受け止めています。なお、いざなぎ景気は1965年11月から1970年7月まで57か月間続いています。また、戦後最長の景気拡大期間は米国のサブプライム・バブルに対応した期間であり、2002年1月を景気の底とし、2002年2月から2008年2月の山まで73か月間続いており、単純に計算すれば、さ来年2019年1月まで現在の景気拡大が続けば74か月に達するので、これを抜くこととなります。「来年の話をすると、鬼が笑う」とはよくいったもので、やや気の早いお話かもしれません。
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2017年12月06日 (水) 19:55:00

明後日公表予定の7-9月期GDP統計2次QEの予想やいかに?

先週金曜日の法人企業統計などで、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の12月8日に7~9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期から先の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクはみずほ総研だけだったものの、第一生命経済研でも先行きについては軽く取り上げられていました。しかしながら、何分、2次QEですので、2~3ページのアッサリしたリポートも多く、法人企業統計のついでに2次QEがくっついているのもあります。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.4%)
n.a.
日本総研+0.4%
(+1.5%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資、設備投資は大きく変わらないものの、在庫変動が小幅上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.5%(前期比+0.4%)と1次QE(前期比年率+1.4%、前期比+0.3%)から小幅上方修正される見込み。
大和総研+0.4%
(+1.6%)
7-9月期GDP二次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年+1.6%(一次速報: 同+1.4%)と、一次速報から上方修正されると予想する。
みずほ総研+0.5%
(+1.9%)
10~12月期以降を展望すると、海外経済の回復を背景に輸出の増勢が続くとともに、内需も再び増加基調に復することで、日本経済は緩やかな回復基調を維持するとみている。項目別にみると、輸出は、データセンター向け半導体需要の堅調さに加えて、新型iPhone向けの部品供給が押し上げ要因となるだろう。また、米国のハリケーン被害からの復興需要が、自動車輸出などの上振れにつながる可能性もある。設備投資は、五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、回復基調に復するだろう。個人消費については、株高などを背景に消費者マインドが改善していること、生鮮食品の価格が10月に入ってから落ち着いてきたことなどがプラスに働くだろう。天候要因による振れを伴いつつも、個人消費は緩やかに増加するとみられる。
海外のリスク要因に目を向けると、中国では、金融市場・住宅市場引締め策の影響などを巡って依然不確実性が高く、景気の下振れリスクとして引き続き注意が必要だ。また、北朝鮮を巡る地政学リスクは長期化が見込まれるため、今後の米朝間の動きには目を配る必要があろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.5%)
12/8公表予定の17年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.5%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.4%)から若干上方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.4%
(+1.5%)
一応上方修正ではあるが、修正幅は僅かなものにとどまるとみられ、1次速報から景気認識の修正を迫るような内容にはならないだろう。個人消費が落ち込む一方、外需が成長率を押し上げて潜在成長率を上回る成長を確保という構図にも変化はない。基本的には、4-6月期の「個人消費が大きく増加、輸出が足踏み」という動きの反動が出たものと思われ、4-6月期と7-9月期は均してみた方が良い。基調としてみれば景気は着実な回復傾向にあると判断できる。
先行きについても、世界経済の回復を背景に輸出の増加傾向が続くことに加え、企業収益の増加を受けて設備投資も増加が期待できる。景気を取り巻く環境は良好であり、景気は今後も着実な改善を続ける可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.3%)
12月8日に内閣府から公表される2017年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.3%)と1次速報値の同+0.3%(同+1.4%)からわずかに下方修正される見込みである。
三菱総研+0.3%
(+1.1%)
2017年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.3%(年率+1.1%)と、1次速報値(同+0.3%(年率+1.4%))から小幅下方修正を予測する。


ということで、三菱系のシンクタンク2社を例外として、取り上げたすべての機関が2次QEでは1次QEから上方修正されると予想しています。ただ、下方修正の三菱系シンクタンク2社も含めて、2次QEですので修正幅は極めて小幅です。大雑把に+1%台半ばから後半の成長率であり、前期比年率で見て、取り上げた機関のレンジでは最低でも三菱総研の+1.1%であり、+2%近い成長率予想を示す機関もあります。ですから、少なくとも、我が国の潜在成長率は超えたまずまずの高成長と私は受け止めています。しかも、サンプルは少ないものの、足元の10~12月期以降も順調な我が国経済の回復・拡大を見込んでいます。世界経済の回復・拡大とともに輸出が増加を続けるでしょうし、耐久消費財買い替えサイクルの正常化から消費も緩やかに増加する気配を見せ始めていますし、さすがにそろそろ人手不足や企業収益を背景に設備投資も増加の勢いを増すんではないかと期待していますから、我が国の景気を取り巻く環境は引き続き改善を示していると考えるべきです。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。

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2017年12月05日 (火) 21:42:00

SMBCコンサルティングによる今年2017年ヒット商品番付やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週木曜日の11月30日にSMBCコンサルティングから今年2017年ヒット商品番付が明らかにされています。

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上の番付画像は、SMBCコンサルティングのサイトから引用しています。
東西の横綱はSNSからのヒット商品であり、大関もゲーム機とスマホですから、まあ、それなりにハイテク製品といえます。小結もそうです。でも、さすがに前頭に入るとローテク製品も少なくなく、我が職場で一時的に流行ったハンドスピナーなどもそうかもしれません。青色食品の中に、スペインから輸入されている青ワインgikも含まれるような気がするんですが、なぜかスペイン語なのに「ジク」と読ませています。スペイン語であれば「ヒク」ではないかと思いますが、いずれにせよ、私はそれほどお酒はたしなまないですし、かなりお高いワインなので手が出ずにいます。私が飲むのは主として外交官として滞在したチリのワインです。私が駐在していたころから日本への輸出が始まったと記憶しています。そのころは高級品も試飲させていただきましたが、今飲むのはボトル1本で数百円ほどのワインが中心です。
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2017年12月04日 (月) 23:24:00

消費者態度指数に見る消費者マインドは11月統計でさらに改善を示す!

本日、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.4ポイント上昇し44.9を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直している」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の消費者心理、0.4ポイント改善 内閣府調査
内閣府が4日発表した11月の消費動向調査によると、消費者の心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は44.9となり、前月を0.4ポイント上回った。3カ月連続で改善しており、東京五輪開催が決まった2013年9月以来、4年2カ月ぶりの高さだ。株高による資産増や雇用環境の改善を好感した消費者が多く、心理の改善につながった。
消費者態度指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、今後半年間に良くなるかどうかを聞いて算出する。調査基準日は11月15日だった。内閣府は基調判断を「持ち直している」として、前月から据え置いた。
11月は指数を構成する4項目全てが上昇した。目立ったのは雇用と収入に関する項目で「収入の増え方」が0.5ポイント上昇して43.0だったほか、「雇用環境」が0.6ポイント上昇し49.3だった。意識調査と同時に調べている「資産価値」は46.8と前月から1.4ポイント上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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最新月11月の動向を前月差でみると、「雇用環境」が+0.6ポイント上昇し49.3、「収入の増え方」が+0.5ポイント上昇し43.0、「耐久消費財の買い時判断」が+0.4ポイント上昇し44.0、「暮らし向き」が+0.2ポイント上昇し43.2となっています。雇用と収入が平均以上に改善した一方で、ここは理解に苦しむところなんですが、暮らし向きが平均より改善幅が小さくなっています。ひとつのあり得る解釈としては、仕事や収入はよくなっているものの、物価が上昇して暮しは厳しい、というものですが、現状の消費者物価では、特に生鮮食品を含めたヘッドライン物価の上昇率はそれほど高くなく、統計と実感の差がどこからか出ているようで、やや不思議な気がします。
基調判断は「持ち直し」で据え置かれていますが、私自身は、現状の堅調な消費者マインドは半分くらいは株高で支えられていると考えています。ですから、株価が不安定、というか、もしもサステイナブルでなければ、ひょっとしたら、いくぶんなりとも消費者マインドも影響を受ける可能性があるものと覚悟しておく必要あるかもしれません。でも、このマインドをもって、年末ボーナスがそれなりに出れば、年末商戦はそれなりの売行きになるものと期待しています。
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2017年12月01日 (金) 23:41:00

高い収益力示す法人企業統計と人手不足強まる雇用統計とプラス幅を拡大する消費者物価(CPI)上昇率!

本日、財務省から今年2017年7~9月期の法人企業統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、それぞれ公表されています。雇用統計と消費者物価は10月の統計です。まず、法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は4期連続の増収で前年同期比+4.8%増の338兆6999億円、経常利益も5期連続の増益で+5.5%増の17兆8928億円、設備投資は製造業で+1.4%増、非製造業で+5.9%増となり、非製造業が牽引する形で、全産業では+4.2%増の10兆7920億円を記録しています。また、雇用統計では失業率が2.8%といずれも前月と同じ水準を示す一方で、有効求人倍率は1.55倍とさらに上昇し、生鮮食品を除く総合で定義されるコア消費者物価(コアCPI)の前年同月比上昇率は+0.8%と上昇幅を拡大して10か月連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月設備投資4.2%増、宿泊など非製造業で伸び
財務省が1日発表した2017年7~9月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の設備投資は前年同期比で4.2%増となった。4四半期連続で前年を上回った。非製造業でサービス業などの投資が増えたほか、製造業でも生産能力を引き上げる動きが相次いだ。売上高や経常利益も前年同期をそれぞれ上回った。
設備投資は非製造業で5.9%増となった。訪日客の需要を見込み、宿泊業でホテルや娯楽施設への投資が増えた。製造業も1.4%増。スマートフォン関連などで生産能力を引き上げる動きが出て電気機械の投資が増え、2四半期ぶりに増加に転じた。
経常利益は5.5%増の17兆8928億円だった。製造業が44%増と大きく伸びた。自動車など輸送用機械が押し上げた。非製造業は9.5%の減少と、5四半期ぶりに前年を下回った。サービス業で、受取利息などが大幅に増えた前年の反動が出た。
売上高は4.8%増の338兆6999億円。製造業は3.9%増、非製造業は5.2%増とともに上向きだった。企業の増産投資を背景に、製造業では生産用機械が好調だった。非製造業では卸売業・小売業が上昇に寄与した。
今回の法人企業統計の結果を反映し、内閣府は8日に7~9月期の国内総生産(GDP)の改定値を公表する。
11月15日公表の速報段階では、季節調整済みの実質GDPが前期比年率換算で1.4%増だった。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「法人企業統計の設備投資が予想よりも強い結果で、GDPは上方修正される可能性が出てきた」と予測する。
求人43年9カ月ぶり高水準、10月1.55倍
人手不足が一段と強まっている。厚生労働省が1日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.55倍で、9月より0.03ポイント上がった。高度経済成長期の1974年1月以来、43年9カ月ぶりの水準となった。景気回復に人口減少が重なり、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態だ。消費の回復ペースは緩やかで、消費者物価指数は前年同月比0.8%上昇だった。
有効求人倍率は、全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率は1.03倍だった。前月より0.01ポイント上昇し、統計をとり始めた2004年以降の最高を更新した。
新規求人数は前年同月比7.1%増。業種別にみると、スマートフォン(スマホ)関連が好調な製造業が最も増え、12.8%増だった。慢性的な働き手不足に直面する医療・福祉(7.9%)や情報通信業(9.3%)も伸びが大きかった。
企業の求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は14.7%だった。インターネットで企業の採用サイトに直接求職するといった場合を含まないが、「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
総務省が同日発表した10月の完全失業率は、9月と同じ2.8%。求人があっても職種や勤務地など条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。3%割れは「完全雇用」状態にあるといえる。
失業のリスクは低くなっているものの、消費の回復力は弱い。総務省が同日発表した10月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯当たり消費支出は28万2872円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月と同じだった。
教育費や携帯電話の通信料は増えたが、台風の影響で国内外のパック旅行費など教養娯楽が7%落ち込んだ。所得は緩やかに改善しているが、将来不安などによる節約志向も根強く残っている。
物価上昇も勢いを欠いている。10月の消費者物価指数(CPI)は値動きの激しい生鮮食品を除く総合で、前年同月比0.8%上昇したが、主因のエネルギーを除くと、伸び率は0.2%にとどまった。
10月の全国消費者物価、0.8%上昇 エネルギー関連が押し上げ
総務省が1日発表した10月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.6と、前年同月比0.8%上昇した。プラスは10カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.8%上昇だった。9月は0.7%上昇だった。電気代やガス代、石油製品などエネルギー関連が指数を押し上げた。
生鮮食品を除く総合では全体の56.2%にあたる294品目が上昇し、171品目が下落した。横ばいは58品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合では101.0と前月比0.2%上昇した。安売り規制の影響でビールなど酒類が上昇した。医療費の自己負担額引き上げで、診療代も上昇した。
生鮮食品を含む総合は100.6と0.2%上昇した。9月(0.7%上昇)に比べて伸び率が縮小した。レタスなど一部の生鮮野菜が昨年に急騰した反動で下落したことが響いた。
併せて発表した東京都区部の11月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が100.3と前年同月比0.6%上昇した。上昇は5カ月連続。電気代などエネルギー関連が押し上げた。生鮮食品を含む総合は100.6と0.3%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、いくつもの統計を一挙に並べると、とても長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、7~9月期の売上高経常利益率は製造業が7.0%、非製造業が3.6%を記録しています。国内経済も着実に回復・拡大を示しているものの、円安に加えて世界経済が国内経済を上回る拡大を見せていることから、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については昨年2016年年央くらいを底に、昨年2016年後半から明らかに上向きに転じ、今年2017年4~6月期から7~9月期の年央くらいもこの流れが継続していることが確認できたと思います。ただ、設備投資については、まだ伸びが本格化していない印象です。季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は7~9月期に前期比で+1.0%増でしたが、製造業で+0.5%増、非製造業で+1.3%増を示しており、利益率が高い製造業の方で投資の伸び率が低いのは、人手不足の影響が非製造業においてより大きい点に加え、海外へ投資が漏出している可能性が示唆されていると私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけはグングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。また、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、さらなる法人税引き下げなどによる企業活動活性化がどこまで必要なのかは疑問ですし、企業が国内での設備投資や賃上げに慎重姿勢を示しているのであれば、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。失業率も有効求人倍率も前月と同じながら、かなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに上昇して1.03倍と高い水準にあります。ただし、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。さらに、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用水準ではないかと私は考えています。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。ということで、単純に見ると、コアCPI上昇率は6月+0.4%から7月+0.5%、8~9月+0.7%、10月+0.8%と徐々に上昇幅の拡大を続けており、加えて、全国の先行指標となる東京都区部でもコアCPI上昇率が全国から4か月遅れて今年2017年5月にプラスに転じ+0.1%を記録した後、10~11月の+0.6%まで順調にプラス幅を拡大しています。しかし、先行きの消費者物価(CPI)上昇率を考える場合、要因として2点考慮する必要があり、ひとつは国内の需給ギャップと賃金動向です。現時点で、これらはともに、物価を上昇させる方向にあると考えるべきです。文句なしです。ただし、もうひとつは国際商品市況における石油価格です。これは、新興国経済が中国を含めてかなり堅調に回復を示している一方で、相場が下げに向かうとの見方もまだ根強く残っています。上の消費者物価のグラフにおいて、私の計算に従えば、寄与度分解した積上げ棒グラフの黄色のエネルギーの寄与度は、コアCPI+0.8%のうちの+0.62%に達しています。この部分が縮小に向かえば、コアCPI上昇率のプラス幅も風前の灯と化す可能性もあります。相場だけに私には何とも先行きは判りかねますが、今後の動向が注目されます。

最後に、法人企業統計に戻ると、引用した記事にもある通り、この統計公表をもって、来週12月8日に内閣府から7~9月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。シンクタンクなどの2次QE予想は日を改めて取りまとめる予定ですが、直観的には設備投資が上方修正される分、2次QEでは成長率が上振れするんだろうという気はします。
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2017年11月30日 (木) 19:23:00

鉱工業生産指数(IIP)は堅調な伸びを続ける!

本日、経済産業省から10月の鉱工業生産指数 (IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比+0.5%の小幅な増産を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の鉱工業生産、前月比0.5%上昇 基調判断は「持ち直し」で据え置き
経済産業省が30日発表した10月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は103.0と、前月に比べ0.5%上昇した。上昇は2カ月ぶり。設備投資に向けられる資本財や、原材料として投入される生産財が全体をけん引しプラスとなったが、QUICKがまとめた民間予測の中央値(前月比2.0%上昇)は下回った。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いた。
全15業種のうち8業種で前月を上回った。最も上昇に寄与したのは電気機械工業(2.5%上昇)。半導体・IC測定器や開閉制御装置に加え、冬に向けてエアコンの生産も伸びた。輸送機械工業は0.7%上昇した。駆動伝導・操縦装置部品や船用ディーゼル機関などがけん引した。汎用・生産用・業務用機械工業(0.7%上昇)ではフラットパネル・ディスプレー製造装置などが好調だった。
一方、低下したのは6業種だった。最も低下に寄与したのは化学工業で2.9%低下だった。合成洗剤や合成ゴムなどの品目が落ち込んだ。石油・石炭製品工業(6.4%低下)も低下に寄与した。電子部品・デバイス工業(0.6%低下)は液晶素子や半導体集積回路などスマホやタブレット端末に使われる電子部品の生産が伸び悩んだ。窯業・土石製品工業は前月比横ばいだった。
出荷指数は0.5%低下の98.8だった。2017年5月(98.2)以来の低水準。在庫指数は3.1%上昇の110.6と6カ月ぶりにプラスとなった。在庫率指数も3.5%上昇の114.2だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、11月が2.8%上昇、12月は3.5%上昇となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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ということで、前回の鉱工業生産統計の公表時において、製造工業生産予測調査では10月は前月比で+4.7%との結果が出ており、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも中央値で+2.0%、レンジでも1.1~3.4%の増産が見込まれていたんですが、結果的に、+0.5%増のやや物足りない統計に終わりました。特に、生産は増加したものの、出荷が前月比で▲0.5%の減少を記録しており、差引きで在庫が積み上がっている、もしくは、積み増されている状況です。やや下振れした印象があったので、例の自動車の最終検査における無資格検査問題で10月下旬から一部メーカーが出荷を停止し、それに合わせて生産も減産に入った影響が頭に浮かんだんですが、大きな影響はなかったと受け止められています。例えば、産業別に詳しく見ると、輸送機械の10月の生産は前月比で+0.7%の増産、出荷は+1.0%増となっています。ただし、さらに詳細には、乗用車の生産・出荷が増加したというよりは、駆動伝導・操縦装置部品などの伸びのようですから、無資格検査問題がなければ生産も出荷もさらにプラス幅が大きかった可能性も否定できないものの、少なくとも、この無資格検査問題による生産・出荷への影響は決して長期に及ぶことはないと考えられます。ですから、それほど信頼性は高くない統計とはいえ、製造工業生産予測調査では11月+2.8%、12月+3.5%のそれぞれ増産を見込んでおり、うち、輸送機械は11月+2.1%、12月+3.4%のそれぞれ増産となっていて、いわゆる「挽回生産」の動きは見られません。
先行きについては、世界経済の回復に伴う輸出の増加や国内でも耐久消費財の買い替えサイクルの復活などから、引き続き、緩やかな増産が見込まれますが、来月12月にも米国連邦準備制度理事会(FED)が連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに踏み切る可能性が高く、海外経済の先行きはFEDの出口戦略に従ってリスクがないとはいえないものの、現時点で利用可能な情報を総合すれば、米国の利上げはかなり緩やかなペースで実施されると考えられ、大きな混乱は生じないものと想定してよさそうに私は考えています。少なくとも、米国経済への大きな下押し圧力になる可能性は小さい一方で、新興国や途上国における資金フローにどのような影響を及ぼすかは、やや見通しがたい要素を含んでいるような気がしてなりません。
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2017年11月29日 (水) 19:28:00

1年振りに前年同月比がマイナスに落ち込んだ商業販売統計の小売業販売額は消費の停滞を象徴しているのか?

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲0.2%減の11兆5330億円と昨年2016年10月以来1年振りにマイナスを示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額、前年比0.2%減 天候不順で客足伸びず
経済産業省が29日発表した10月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.2%減の11兆5330億円だった。12カ月ぶりに前年実績を下回った。天候不順で客足が伸び悩んだ。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると、最も減少寄与度が高かったのは飲食料品小売業で、前年同月と比べて1.5%減少した。前年より野菜の相場が下がったことが影響した。次に寄与度が高かった機械器具小売業は0.9%減となった。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新機種発売を前に買い控えが起きたようだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.5%減の1兆5889億円だった。既存店ベースでは0.7%減となった。百貨店は全店ベースで1.5%減少した。天候不順に加え、土曜日が前年より1日少なかったことも響いた。
コンビニエンスストアの販売額は0.6%増の9982億円だった。加熱式タバコやCD・ゲームソフトがけん引した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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ということで、季節調整していない前年同月比上昇率で見て、引き続き、自動車小売業が+3.2%の増加と堅調な動きを示している一方で、引用した記事にもある通り、天候要因と土曜日が少ない曜日要因も含めて、飲食料品小売業が▲1.5%のマイナスを示したほか、新型iPhone待ちで機械器具小売業も▲0.9%の減少となっています。所得は個人単位で賃金の上昇がほとんどない一方で、雇用者の増加、特に、正規雇用者の増加でマクロの所得は増加していますし、今年の冬のボーナスはそれなりに増加しそうですから、所得要因から消費が減少に転ずる可能性は小さいと私は考えています。季節調整済みの系列で見た前月比も横ばいですし、過度の我が国の消費が停滞しているような悲観論は不要ではないかと思います。ただし、消費者物価上昇率を考え合わせると、実質の消費はほぼ▲1%の減少を示したともいえ、それなりの落ち込み幅ではないかと受け止めています。ボーナスの出方も見つつ、11~12月の統計も注視したいと思います。

最後に、米国では先週の感謝祭の次のブラック・フライデイから始まったクリスマス商戦が好調のようです。11月28日付けの全米小売業協会(NRF)の記者発表資料によれば、11月23日の感謝祭から27日のサイバー・マンデイまでの5日間で、174百万人が実店舗もしくはオンラインで買い物を行ったようです。NRFの事前の予想では164百万人でしたので、この事前予想を上回り好調な滑り出しと受け止められています。同じ5日間の1人当たりショッピング額も335.47に上っており、年齢階層別では25-34歳の年長ミレニアル世代が419.52ドルと、もっとも高額のショッピングをしています。以下のフラッシュはNRFのサイトにアップされているものをシェアして単純に3枚並べています。





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2017年11月28日 (火) 19:57:00

経済協力開発機構(OECD)による「経済見通し」OECD Economic Outlook やいかに?

日本時間の今夜、先ほど午後7時に経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し」OECD Economic Outlook が明らかにされています。実は、先週の11月23日の時点で Special Chapter として第2章 Resilience in a time of high debt が公表されており、法人税制による借り入れへ依存するバイアスの削減や equity finance へのインセンティブの強化などを分析結果の政策提言として明らかにしていたんですが、経済見通しについては、ホンのつい先ほど公表されたばかりですので、Key Messages とテーブルを引用して簡単に済ませておきたいと思います。まず、OECDのサイトにアップされている記者向け資料から Key Messages を引用すると以下の通りです。

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次に、OECDのサイトから Real GDP Growth の総括表を引用すると以下の通りです。取り急ぎ、日本の成長率は2017年が+1.5%、2018年+1.2%、2019年+1.0%と順調に潜在成長率をやや上回る成長が続くと見込んでいます。今年2017年6月の年央見通しからは、2017年については+0.1%ポイント、2018年は+0.2%ポイント上方改定されています。

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ついでながら、Chapter 2 Resilience in a time of high debt から法人税制における借り入れへのバイアスの指標につき Figure 2.21. Debt bias in corporate tax systems を引用すると上の通りです。フランスと米国に次いで日本の法人税制は借り入れに依存するバイアスが大きいことが示されています。

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