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2019年05月20日 (月) 19:55:00

1-3月期GDP統計1次QEから先行きの景気動向を考える!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.1%を記録しました。2四半期連続のプラス成長で、1~3月期は前期よりも成長が加速しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減
内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10~12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。
項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。
輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。
個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが寄与した。
設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.2%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のプラスだった。
同時に発表した2018年度のGDPは実質で前年比0.6%増、生活実感に近い名目で0.5%増だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/1-32018/4-62018/7-92018/10-122019/1-3
国内総生産GDP▲0.1+0.5▲0.6+0.4+0.5
民間消費▲0.1+0.6▲0.3+0.2▲0.1
民間住宅▲2.4▲2.1+0.8+1.4+1.1
民間設備+1.2+2.4▲2.5+2.5▲0.3
民間在庫 *(▲0.2)(▲0.0)(+0.1)(+0.1(+0.1)
公的需要▲0.1▲0.1▲0.2+0.3+0.2
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.6)(▲0.4)(+0.7)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.1)(▲0.2)(▲0.3)(+0.4)
輸出+1.0+0.7▲2.0+1.2▲2.4
輸入+0.7+1.0▲1.0+3.0▲4.6
国内総所得 (GDI)▲0.3+0.4▲0.9+0.4+0.9
国民総所得 (GNI)▲0.4+0.6▲1.1+0.5+0.7
名目GDP▲0.2+0.3▲0.6+0.5+0.8
雇用者報酬 (実質)+1.0+1.4▲0.5+0.2+0.1
GDPデフレータ+0.5▲0.1▲0.4▲0.3+0.2
内需デフレータ+0.9+0.5+0.6+0.5+0.3


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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まず、潜在成長率を上回るという意味で、1~3月期GDP成長率は1次QE段階ではかなり大きなプラス成長となっています。別の観点からは、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比で▲0.3%のマイナス成長、レンジでも▲0.4%~+0.4%でしたから、上限を上回る大きなプラス成長ということになります。内外需ともにプラス寄与なんですが、内需では消費も設備投資もマイナスで在庫がプラスですし、外需のプラス寄与については輸出が伸びたからではなく、国内需要の減速を受けて輸入が減ったことに起因している点などを考慮に入れて、成長率の数字の量的な面ではなく、成長の質のようなものを考え合わせると、それほど評価できる成長の姿ではないのかもしれません。ただし、景気動向指数の基調判断などから、景気後退局面が近い、ないし、すでに入っている、といった景気後退に対する懸念は大きく和らいだと私は受け止めています。少なくとも、2四半期連続のマイナス成長というテクニカルな景気後退観測が成り立ちにくくなったことは確かです。もちろん、米中間の貿易摩擦の影響やそれに起因する中国経済の低迷などから、おそらく、5~6月統計あたりから輸出をはじめとして鉱工業生産など、我が国景気に密接に関連する各種統計にも停滞感が出始める可能性があることは覚悟すべきです。しかし、もう少し先を考えると、ポイント還元などで、かなりの緩和措置が講じられる予定とはいえ、10月の消費税率の引き上げ直前には一定の駆け込み需要はあると想定され、1~3月期の住宅投資にはすでにそれが現れているとの見方もありますので、年度前半くらいまでの景気後退局面入りは可能性として低い気がしています。ただ、年度後半には駆け込み需要の後の反動減はありえますので、決してサステイナブルではなく、景気局面の進み方はやかなり複雑な気がしています。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。1~3月期の消費はわずかながらマイナスとなっていますが、雇用者報酬が伸び悩んでいるのが見て取れます。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象です。まだ、消費者マインドは改善の兆しすら見えませんが、現在の人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加の方向の影響を及ぼすことが考えられますし、加えて、賃金が上昇して消費者マインドが上向けば、内需主導の成長がサポートされるものと考えます。もちろん、賃金上昇はデフレ脱却に向けて有効であることは明らかです。
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2019年05月17日 (金) 20:11:00

来週月曜日公表予定の1-3月期GDP統計1次QEはマイナス成長か?

豪華絢爛10連休のゴールデンウィーク前の先々週金曜日に公表された鉱工業生産指数(IIP)など、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日の5月20日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっており、すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。いつもの通り、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。明示的に、先行きに言及しているのは、以下のテーブルの上から3機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研だけで、特に大和総研は需要項目別に長くなりそうなので、消費だけでストップしてしまったんですが、いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.1%
(▲0.2%)
先行きマイナス成長が続く公算は小さく、4~6月期には緩やかな景気回復基調に復する見込み。中国政府の景気刺激策の効果により中国経済は最悪期を脱しつつあることから、昨年夏場以降減少傾向にあるわが国の輸出は底入れする見込み。設備投資も、中国経済の失速懸念が後退するのに伴い、先送りしていた投資案件を実行に移す動きが顕在化する見通し。
大和総研▲0.1%
(▲0.5%)
先行きの日本経済は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を続ける公算が大きい。
まず、個人消費は一進一退が続きながらも緩やかに増加するとみている。人手不足を背景に名目賃金は緩やかに増加している。また、実質賃金も2018年11月以降原油価格が大きく下落したことで一時的に増加していた。しかし、今年に入り原油価格が再び上昇したことから、先行きは名目賃金上昇の効果が物価高により相殺されるだろう。また、賃金カーブのフラット化や残業抑制により名目賃金の上昇ペースが鈍る可能性にも注意が必要だ。
また、10月に予定されている消費増税に関しては、各種経済対策の実施により駆け込み需要・反動減はいくらか緩和される見込みである。ただし、施策の一つであるポイント還元策が、制度終了(2020年6月末)前後に駆け込み需要・反動減を生じさせる点には留意しておく必要がある。また、増税対策は公共投資の比重が大きく、家計に限れば消費増税に伴う負の所得効果を全て相殺できるような内容ではないことも留意しておくべきだ。
みずほ総研+0.4%
(+1.4%)
4~6月期以降については、輸出の伸び悩みが当面続く一方、内需の更なる低迷は回避される見通しだ。消費が底堅く推移するほか、設備投資の深刻な調整は避けられるとみている。
輸出は、景気対策による中国経済の持ち直しやIT需要の調整局面からの脱却時期が年後半以降になるとみており、当面伸び悩む見通しだ。
個人消費は、労働需給のひっ迫に伴う雇用者所得の堅調さが押し上げ要因となり、底堅く推移するだろう。消費増税前の駆け込み需要も、2014年度当時と比べ小幅ではあるが発生し、一時的だがプラス要因となろう。
設備投資は、高水準の企業収益や人手不足による合理化・省力化投資が下支えになり、深刻な調整局面入りは回避される見通しだ。
リスクはマインド面の更なる低迷だろう。足元続く原油価格の上昇が仮に続けば、低迷している消費マインドをさらに押し下げる可能性がある。また世界経済の更なる減速や貿易摩擦の激化は、輸出減退だけでなく、投資マインドの更なる悪化に繋がるおそれもある。内需のマインド低迷を引き起こす可能性があるこうした要因には、引き続き注視する必要がある。
ニッセイ基礎研▲0.0%
(▲0.2%)
実質GDPは2016年1-3月期から8四半期連続でプラス成長となった後、2018年1-3月期からはマイナス成長とプラス成長を繰り返している。2019年1-3月期のマイナス幅は2018年1-3月期、7-9月期よりも小さくなるとみられるが、2018年中のマイナス成長が大雪、台風、地震など天候不順や自然災害による影響が大きかったのに対し、2019年1-3月期は天候が比較的恵まれている中でのマイナス成長である。また、成長率のマイナス幅が小さい理由は国内需要の低迷を受けた輸入の落ち込みであり、内容的にも悪い。
日本経済は2018年に入ってから横ばい圏の推移が続いていたが、2018年度末にかけて実態として大きく悪化したと判断される。
第一生命経済研▲0.1%
(▲0.2%)
小幅マイナス成長が予想される1-3月期のGDPだが、今回は見た目以上に内容が悪くなりそうだ。輸出が大幅マイナスになることに加え、個人消費、設備投資も弱く、主要どころの需要項目が軒並み弱い結果になるとみられる。こうしたなかでも小幅なマイナス成長にとどまるとみられる理由は、輸入の減少に尽きる。輸入が前期比▲4.5%と、輸出以上に大きな落ち込みとなることでで、外需寄与度は前期比年率で+1.5%Ptも成長率を押し上げる見込みである。輸入の減少によって成長率は押し上げられるが、これは内需の弱さの反映という面もあるため、決して喜べるものではない。表面上の数字以上に足元の景気の弱さを示す内容になるだろう。
伊藤忠経済研+0.3%
(+1.2%)
輸出が大きく落ち込み、設備投資もマイナスに転じたが、個人消費が減速しつつも増勢を維持したことに加え、公共投資が大幅に増加し、成長を下支えした。前年同期比では10~12月期の+0.3%から1~3月期は+0.6%へ伸びを高めていることもあり、日本経済は緩やかながらも拡大基調を維持していると評価できよう。ただし、内閣府が試算する潜在成長率1.0%とさほど変わらない程度の成長にとどまり、物価上昇圧力を大きく高めるほどではない。依然としてデフレ脱却への道のりは遠い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.0%
(▲0.1%)
2019年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比-0.0% (年率換算-0.1%) と前期比で小幅ながらもマイナス成長となったと予想される。外需は3四半期ぶりにプラスに寄与するものの、個人消費や設備投資など国内需要が弱い。
三菱総研+0.4%
(+1.4%)
2四半期連続でのプラス成長を予測する。輸出は減少に転じたものの、内需が緩やかながらも増加したとみられる。


ということで、ほぼほぼゼロ成長が予想されており、しかも、成長率の押し上げ要因が輸入の減少というわけで、かなり仕上がりの悪い姿が予想されています。ニッセイ基礎研のヘッドラインでも引用しておきましたが、2018年中もプラス・マイナスの成長率がジグザグに現れたんですが、これは地震や台風や豪雨などの経済外要因たる自然災害に起因していた面が強く、今年2019年1~3月期の成長率の大幅減速は、自律的、というか、経済の内生的な景気循環の局面変化であり、国内要因というよりは海外要因、すなわち、米中貿易摩擦などに起因する中国経済の減速が大きく影響しているとはいえ、世界経済全体が減速する中での我が国経済の成長鈍化と考えるべきです。かつての米国に次ぐの世界第2位の経済大国も、「中国がくしゃみをすれば風邪をひく」ようになったといえます。ですから、日本経済が、このまま、景気後退局面入りするかどうかも世界経済や中国経済の動向に依存します。米国のトランプ政権の強硬姿勢を見る限り、我が国経済が景気後退にすでに入っている、あるいは、これから短期間の間に景気後退局面に入る確率、は決して小さくないと私は受け止めています。
下のグラフは、実質GDP成長率の推移のグラフをニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2019年05月16日 (木) 19:57:00

+1%超の上昇続く企業物価(PPI)の先行きやいかに?

本日、日銀から3月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.3%と前月の+0.9%から上昇率が拡大し、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業物価指数、前年比1.2%増 米中貿易交渉の進展期待で
日銀が16日発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は101.8で前年同月比で1.2%上昇した。上昇は28カ月連続で、上昇率は3月の確報値の1.3%から縮小した。原油価格の上昇幅が昨年同時期と比べて小さかったため前年比の増加は小幅に縮小したが、米中貿易交渉の進展期待などから企業物価指数は上昇した。
前月比では3カ月連続のプラスで上昇率は前月と同じ0.3%だった。日銀の調査統計局は4月の物価指数上昇について、4月中旬までは米中貿易交渉の進展が期待されており、世界的な景気減速の懸念が和らいでいたとの見方を示した。
円ベースでの輸出物価は前年比で0.2%上昇し、前月比では0.4%上昇した。輸入物価は前年比で1.8%、前月比では0.5%それぞれ上昇した。


いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、基本的に、ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月の3月統計の+1.3%からほぼ横ばいの+1.2%となっています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.1%の上昇でしたので、これとも大きな違いはありませんでした。同時に、国際商品市況における石油価格にも連動した動きと考えています。すなわち、輸入物価のうち、石油・石炭・天然ガスは円ベースの前年同月比で見て、3月の+7.3%の上昇から、4月統計では+6.4%にやや上昇幅を縮小させています。加えて、季節調整していない原系列ながら、国内物価の前月からの上昇幅+0.3%に対する寄与度で見て、ガソリンをはじめとする石油・石炭製品が+0.22%、エチレンなどの化学製品が+0.06%、などとなっており、エネルギー価格と中国をはじめとする新興国経済の減速懸念が和らいだ点を背景とした価格上昇の色彩が強いとの報道もうなずけると私は考えています。もっとも、十分な情報はありませんが、4月の新年度に入って価格改定が進んだ部分もあるんではないかと想像しています。企業物価(PPI)ではなく消費者物価(CPI)なんでしょうが、少なくとも、スーパーマーケットなどにおける商品を見ている限り、一部分ながら価格改定が進んでいるような印象を私は持っています。まあ、個人的な印象論です。ただし、ただしなんですが、引用した記事にもある通り、世界経済の減速懸念が4月時点で和らいでいたのは、あくまで米中貿易交渉の進展に対する期待でしたので、現時点では、この交渉進展は望み薄との見方もありますから、来月統計の際には逆の見方が支配的になっていても不思議ではありません。ですから、とても無責任な見方ながら、4月統計の+1%超えの国内物価上昇率は、世界経済要因か、新年度価格改定要因か、来月の統計でヒントが得られるのかもしれません。
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2019年05月15日 (水) 19:29:00

マクロミル調査による今夏のボーナスの使い道やいかに?

もうすでにかなり前のことのように思えてきますが、4月22日付けで「今夏のボーナスは増えるのか?」と題して、シンクタンク4機関のややビミョーな予想を取りまとめましたが、ゴ0ルデンウィークの10連休が終わって、マクロミル・ホノテから昨日5月14日付けで2019年夏のボーナス、支給見込みや使い道に関する調査結果が明らかにされています。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを4点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2019年夏のボーナスが「支給される予定」は84%。昨年から4.9ポイント上昇
  • 夏ボーナスの見込み額は、平均466,326円。昨年より12,805円増加
  • 夏ボーナスの使い道は「預貯金」が7割でダントツ。その理由は「安心感を持つため」が最多
  • 夏のボーナスで奮発したいこと、1位は「旅行」。奮発したいと思わない人も3割


支給額などはシンクタンク予想と比べるべきではないような気もしますが、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは夏のボーナスの受給予定と予想金額を結合させています。いずれも最近3年間ですが、今年2019年は支給される予定が83.7%と、昨年より4.9%ポイント上昇しており、予想金額についても昨年より+12,805円増の平均466,326円に上っています。シンクタンク予想の民間企業平均は40万円に届きませんでしたので、大盤振舞いな気がするんですが、正社員対象の調査でもあって、かなりいい結果ということなのかもしれません。

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次に、夏のボーナスで奮発したいことのグラフは上の通りです。もっとも多かったのは旅行35%で、次いで、レジャー19%、趣味18%と続き、電化製品や洋服などを購入したいという人はどちらも15%以下という結果となっています。他方、奮発してやりたいことや買いたいものはない、という回答も34%に上っています。ただ、グラフはありませんが、夏のボーナスの使い道について複数回答でたずねると、1位は預貯金が70%でダントツとなっています。その理由は、まず、安心感を持つため47%、次いで、老後の生活費として45%などが多くなっています。定年退職して、私も判るようになった気がします。
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2019年05月14日 (火) 22:55:00

現状判断DIが上昇した4月の景気ウオッチャーと黒字が続く経常収支!

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.5ポイント上昇の45.3を記録した一方で、先行き判断DIも▲0.2ポイント低下の48.4となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆8479億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、現状判断指数は2カ月ぶり改善 10連休に期待
内閣府が14日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は45.3と、前の月から0.5ポイント上昇(改善)した。改善は2カ月ぶり。10連休を控え、消費の増加に対する期待や生産を上乗せする動きが指数を押し上げた。内閣府は基調判断を「回復に弱さがみられる」に据え置いた。
企業動向関連は1.1ポイント上昇の46.0だった。調査時点では「米中貿易摩擦に対する懸念が和らいでいた」(内閣府)ことも心理を上向かせたとみられる。「連休に備えるための注文が例年以上に多い」(東北の食料品製造業)との声があった。家計動向関連は0.5ポイント上昇の44.7だった。「新元号に関連した商戦、10連休など消費が活発になるきっかけがあった」(北海道のスーパー)との声があった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は48.4と、前の月から0.2ポイント低下した。雇用関連が2.5ポイント低下の47.4だった。「製造業中心に求人が減少している影響がある」(内閣府)という。企業動向関連も低下し、燃料価格などコストの増加を懸念する声が目立った。内閣府は先行きの基調判断について「海外情勢等に対する懸念がみられる」とした。
3月の経常収支、2兆8479億円の黒字 57カ月連続黒字
財務省が14日発表した3月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆8479億円の黒字だった。黒字は57カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3兆515億円の黒字だった。
貿易収支は7001億円の黒字、第1次所得収支は2兆564億円の黒字だった。
同時に発表した2018年度の経常収支は19兆4144億円の黒字だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計の記事を並べるとやたらと長くなってしまいました。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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4月の景気ウォッチャー全体としては、引用した記事にもある通り、足元から目先についてはゴールデンウィークの10連休に期待して現状判断DIは上向くも、さらに2~3か月先の動向については米中貿易摩擦などからやや不透明感が残って先行き判断DIは下向き、といったところでしょうか。ということで、4月の景気ウォッチャーの現状判断DIを前月差で少し詳しく見ると、3項目のコンポーネントのうち、第1の家計動向関連は住宅関連を除いておおむね前月から上向いており、家計全体で+0.5の上昇を示し、第2の企業動向関連でも製造業がけん引して+1.1の上向きとなっていますが、第3の雇用動向関連が▲0.6とマイナスを示しています。これは、先行き判断DIについても同じ傾向が見受けられ、雇用動向関連が前月差でもっとも大きなマイナスをつけています。世間一般では、雇用はまだまだ堅調であり、人手不足が続いていると考えられていますが、引用した記事と違って、私が景気判断理由集を見る限り、南関東の民間職業紹介機関から「一部の電機、部品メーカーから採用抑制の意向が出てきている。携帯電話の販売状況や米中貿易摩擦の影響が出ており、これまでの採用計画を抑える状況にある。」とか、東海の民間職業紹介機関からも「大手メーカーの一部で中途採用の求人がストップし始めている。」といった見方が出始めています。例の米中間の貿易摩擦に伴う両国の関税率引き上げについては、我が国の実体経済に対して製造業などに影響を及ぼすのはまだまだ先だろうと考えるべきなんですが、米中貿易摩擦が企業マインドを通じて、先行きの不透明感や悲観的な見通しから雇用にマイナスのインパクトを及ぼしているように見えます。消費者者マインドだけでなく、企業マインドも米中貿易摩擦で悪化する可能性がありますし、そうであれば、雇用よりも設備投資への影響も出る懸念があります。もちろん、貿易摩擦だけでなく、実体経済に関して、昨日公表された景気動向指数の「悪化」への基調判断修正も、消費者マインドだけでなく、企業マインドにも否定的な影響を及ぼすのは明らかです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。月次の季節調整済の系列で見て、安定的に1~2兆円の黒字を計上してます。2018年度の統計が利用可能となり、したがって、年度の経常収支が+19兆4144億円の黒字を記録しています。前年度から▲2兆7,605億円の黒字縮小となり、特に、貿易収支が2018年度は+7,068億円と▲3兆8,328億円の大幅な黒字縮小となっています。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇ですから、この2018年度の貿易黒字縮小は我が国産業の国際競争力に起因するものではない、と私は受け止めています。また、2018年度経常黒字+14兆円余りの中で、第一次所得収支が+21兆652億円に上っており、さらにそのうちの約+20兆円ほどは直接投資の収益で、かつて大きかった証券投資の収益は+7兆円弱に過ぎません。いずれにせよ、海外投資による収益の黒字が、財サービスの輸出入に基づく貿易黒字よりもはるかに大きくなっています。
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2019年05月13日 (月) 22:43:00

基調判断が「悪化」に引き下げられた3月統計の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。今年に入って1月統計でCI一致指数が大きく下降して、基調判断が「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」に下方修正されて注目が集まっていたところ、CI先行指数は前月差▲0.9ポイント下降して96.3を、CI一致指数も▲0.9ポイント下降して99.6を、それぞれ記録し、基調判断は「下方への局面変化」から「悪化」に下方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の景気動向指数、判断「悪化」に 6年2カ月ぶり
内閣府は13日、3月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値を発表した。景気の現状を示す一致指数は99.6と前月より0.9ポイント下がった。指数の推移から機械的に決まる基調判断は下方修正され、2013年1月以来6年2カ月ぶりに「悪化」となった。この表現は景気が後退局面にある可能性が高いことを示す。
政府は5月中にまとめる月例経済報告で公式の景気認識を示す。これまで「回復」としてきた表現を修正するかどうかが焦点になる
一致指数が低下したのは、中国経済の減速で中国向けの輸出が落ち込んだ影響が大きい。特にアジア向けの半導体製造装置の出荷などが低迷した。
内閣府が指数に基づく機械的な景気判断を示すようになったのは08年4月以降。指数の動きに照らして「改善」などの基調判断を示す。近年は16年10月から18年8月まで23カ月連続で「改善」だった。18年9~12月は「足踏み」、19年1~2月は「下方への局面変化」となっていた。
過去に判断が「悪化」となった局面は08年6月~09年4月、12年10~13年1月の2回ある。いずれも専門家が事後的に判定した景気後退期と重なる期間が多い。
ただ一致指数以外にも景気の状況を示す指標はある。例えば雇用情勢は依然として堅調との見方が多い。内閣府の担当者は「政府としての正式な景気判断は月例経済報告で行う」と説明した。政府は参院選や消費増税を控える今後の政治日程も念頭に、慎重に経済情勢を見極める。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、3月のCI一致指数に基づく景気の基調判断は「悪化」に下方修正されています。内閣府の「CI の『基調判断』について」に従えば、先月までの「局面変化」は、「事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。」と定義され、基準は「7ヶ月後方移動平均の符号が変化し、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。」とされています。他方で、「悪化」については、「景気後退の可能性が高いことを示す。」と定義され、基準としては「原則として3ヶ月以上連続して、3ヶ月後方移動平均が下降した場合。」に適用されることとされています。そもそも、景気判断は景気動向指数のCI一致指数だけで決まるのではなく、総合的に判断されるものですし、中でも、統計的には景気動向指数よりもヒストリカルDIの方が重視されます。
本日公表の3月統計では、投資財出荷指数(除輸送機械)、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などのマイナス寄与が目立っています。引用した記事には雇用はまだ「堅調」との評価が見られますが、有効求人倍率がマイナス寄与しているのも事実です。また、単月統計ではあるものの、やっぱり、消費者向けの需要が弱い気もします。いずれにせよ、先週木曜日5月9日付けで消費者態度指数を取り上げた際にも言及しましたが、実体経済の景気動向指数とマインドが相乗効果をもって低下する可能性は否定できません。他方で、10月からの消費税率引き上げ前には何らかの規模での駆け込み需要が発生することも予想され、決してサステイナブルではないながらも、一時的な需要の高まりは発生します。やや景気動向は複雑になってきたようです。

最後に、私の方で簡単に取りまとめた「CIによる景気の基調判断」の基準のテーブルを以下に記しておきます。あくまで私自身のメモですので、正確には内閣府の資料をご参照ください。

基調判断定義基準
① 改善景気拡張の可能性が高いことを示す。原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇した場合。
② 足踏み景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す。3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。
③ 局面変化事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。7か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。
④ 悪化景気後退の可能性が高いことを示す。原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降した場合。
⑤ 下げ止まり景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す。3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。
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2019年05月10日 (金) 20:14:00

大和総研による米国の対中国製品関税率25%への引き上げの影響試算やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、今週月曜日の5月7日に大和総研から「『米中冷戦』再開の政治経済分析」と題するリポートが明らかにされています。米中間の通商協議が決裂した際の政治力学的な解析と世界および日本経済への影響試算がなされています。前者の政治力学的な解析はやや専門外ですので、世界経済と日本経済への影響試算に限って、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、リポートから要約5点のうち世界経済・日本経済への影響試算に関する2点を引用すると以下の通りです。

[要約]
  • 【世界経済に与える影響の網羅的分析】米国の対中関税は、2,353億ドルの輸入品目に対して賦課される。追加関税総額は現行で305億ドルだが、25%へ引き上げられれば588億ドルとなる。なお、今回問題となる約2,000億ドル相当の輸入品目に対する追加関税については、記憶装置の部品などの電子機器の部品、携帯電話を含む電話機のウェイトが大きい。大和総研のマクロモデルを用いた試算によれば、GDPの下押し効果は中国▲0.22%、米国▲0.28%、日本▲0.02%となる。
  • 【日本経済への含意】日本にとって最も懸念すべき問題は「二次的効果」だ。すなわち、中国から米国に輸出されている電子機器を生産するために必要となる部材や資本財の対中輸出が顕著に減少する効果である。他方、米中冷戦が深刻化するほどに同盟関係が重要となり、米国による対日関税の引き上げリスクが後退することや、米中が関税を相互に賦課することで日本における代替生産が増加する「代替効果」は、日本経済にとって言わば「漁夫の利」となりうる点にも留意しておきたい。


まず、リポートでは、米中間の通商協議が難航している可能性が高いと指摘しつつ、決裂の可能性が高く、さらに、米中冷戦は両国間における経済のみならず安全保障や軍事・外交面も含めた覇権争いが決着するまで解決しない、と指摘し、米国は軍事的優位性を維持する上で経済力をはじめとする総合的な国力の両国間の格差の維持を必要とすることから、減税と関税が大きな意味を持つ一方で、冷戦は消耗戦であり同盟諸国による中国包囲網を必要とする、と結論しています。このあたりは、専門外の私にはよく判りませんが、そうだという気もします。

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その上で、関税引き上げの影響試算の概要を上のグラフのように試算しています。その前提は、今回の約2,000億ドル相当の輸入品目に対する追加関税については、記憶装置の部品などの電子機器の部品、携帯電話を含む電話機のウェイトが大きく、パブリック・コメントを受けて除外された品目では、化学製品や原料プラスチック製品などの金額が大きかったとし、他にはスマートウオッチなどの消費者家電、繊維、農産品などもリストの対象から外れている、と指摘し、他方で、中国の対米報復関税は、対象品目の輸入総額1,109億ドル、追加関税総額は165億ドル、対象品目に対する平均追加関税率は14.9%と見込んでいます。そして、我が国に対する経済的影響としては、モデル上の試算は2次効果と代替効果が描写できない深刻な弱点を抱えている、と指摘しつつ、前者については、中国から米国に輸出されている電子機器を生産するために必要となる部材や資本財の我が国からの対中輸出が顕著に減少するリスクがある一方で、後者については、逆に、「漁夫の利」があり得るとし、米中が関税を相互に賦課することで日本をはじめとする周辺関係国が相対的な価格競争力を向上させて代替生産が増加する可能性を指摘しています。

最後に、私の直感なんですが、このリポートでも欠けているのは、国内の企業や消費者のマインドを低下させる効果です。昨日公表された消費者態度指数でも消費者マインドは引き続き低下を続けていることが示され、米中間の貿易摩擦は企業や消費者の将来見通しを通じて内需の回復に水を差す可能性もあり得ることは忘れるべきではありません。
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2019年05月09日 (木) 19:55:00

7か月連続で低下を続ける消費者態度指数はそろそろ下げ止まるか?

本日、内閣府から4月の消費者態度指数が表されています。前月から▲0.1ポイント低下して40.4を示しています。これで、7か月連続の低下を記録したことになります。統計作成官庁である内閣府は基調判断を「弱まっている」に据え置いています。まず、ロイターのサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月消費者態度指数は7カ月連続悪化、マインド「弱まっている」=内閣府
内閣府が9日発表した4月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯・季節調整値)は、前月から0.1ポイントの低下となり、40.4に落ち込んだ。低下は7カ月連続。構成する4項目のうち、「暮らし向き」「雇用環境」が改善、「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が低下した。
内閣府は消費者態度指数からみた消費者マインドの基調判断を「弱まっている」として据え置いた。
1年後の物価見通しについては、「上昇する」との回答が4カ月連続で増加。「低下する」、「変わらない」が減少した。


いつもの日経新聞ではないんですが、なかなか簡潔によく取りまとめられた記事だという気がしますが、続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントごとに詳しく前月差を見ると、「耐久消費財の買い時判断」が▲1.1ポイント低下し38.8、「収入の増え方」が▲0.1ポイント低下し40.5となった一方で、「雇用環境」が+0.7ポイント上昇し44.4、「暮らし向き」も+0.3ポイント上昇し38.0となりました。今年2019年に入って、1月や3月はコンポーネントの4指標すべてが前月差マイナスでしたし、2月も「雇用環境」を除く3指標がマイナスでしたから、4月統計では消費者態度指数が前月からの低下幅を▲0.1ポイントに縮小するとともに、半分の2指標がプラスを示していますので、7か月連続の低下はものすごく長いとはいえ、そろそろ下げ止まりの局面に入った可能性がうかがえます。ただ、実体経済の動向を示す景気動向指数が来週月曜日の5月13日に公表される予定となっており、景気の基調判断が現在の「下方への局面変化」から「悪化」に下方修正されてる可能性があると私は考えており、そうすると、一気にマインドの方もさらに悪化する可能性が否定できません。加えて、近くこのブログの記事でも詳しく取り上げようと考えているところですが、米中間の貿易摩擦がさらに激化し、明日の5月10日から中国の輸出品のうち約2,000億ドル相当分について関税率が10%から25%に引き上げられる予定となっていて、少なくとも、マインド的には悪影響を及ぼすことは明らかです。

最後に、繰り返しになりますが、このブログでは昨年2018年7月24日付けで大和総研のリポートを引用して、米中間の貿易摩擦の経済的な影響をに着目しましたが、その続きで、日を改めて、同じ大和総研の新しいリポートを取り上げる予定です。米中貿易摩擦の行方は、企業や消費者のマインドにも、それなりのインパクトを持つんではないかと私は考えています。
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2019年05月08日 (水) 19:14:00

ダイヤモンド・オンラインによる「『睡眠不足が多い』職業ランキング」やいかに?

昨日5月7日付けのダイヤモンド・オンラインの日本全国ストレスランキングにて「『睡眠不足が多い』職業ランキング【完全版】」が明らかにされています。1位は男性で「畜産」、女性で「ガソリンスタンドスタッフ」が上げられています。以下のテーブルの通りです。

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私も定年退職前から、ついつい寝不足に陥りがちな生活を送っていたんですが、年齢的に体力が逆についていかず、しっかり寝ないと起きている間の活動レベルが大きく鈍るような高齢者になってしまった気がします。それはそれで哀しいことかもしれません。
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2019年05月07日 (火) 23:12:00

ダイヤモンド・オンライン記事に見る日本企業の役員報酬やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、4月25日付けでダイヤモンド・オンラインにて「役員なら年収は億を狙える! 1億円プレーヤーが最も多い企業とは?」と題する記事を見かけました。我が国で1億円以上の役員報酬を受け取っている主な経営者は以下のテーブルの通りだそうです。私が35年間勤め上げた公務員では考えられないんでしょうね。何ら、ご参考まで。

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2019年05月03日 (金) 23:41:00

米国雇用統計は堅調で失業率は50年振りの低水準も利上げは停止?!

本日、米国労働省から4月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+263千人増と大きな回復を示し、失業率もさらに低下して同じ3.6%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を手短に4パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added 263,000 jobs in April, unemployment falls to 3.6%, new 50-year low
Hiring was strong for the second straight month in April and unemployment fell to a new 50-year low, easing concerns that a slowing global and U.S. economy could dampen hiring.
Employers added a booming 263,000 jobs, the Labor Department said Friday. The unemployment rate fell from 3.8% to 3.6%, lowest since December 1969, but that was because nearly 500,000 Americans left the labor force, which includes people working and looking for jobs.
Economists had estimated that 190,000 jobs were added last month, according to a Bloomberg survey.
Another positive: Job gains for February and March were revised up by a modest 16,000. February's total was upgraded from 33,000 to 56,000 and March's was revised down from 196,000 to 189,000.


やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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失業率の3.6%なんですが、先月からさらに0.2%ポイント改善し、ほぼ半世紀振りの低水準まで低下しています。非農業部門雇用者の伸びも、2月に寒波などの天候要因で大きく鈍化しましたが、早くも4月には+263千人増ですから、反動による増加といった要因もあるかもしれません。いずれにせよ、引用した記事にもある通り、市場の事前コンセンサスは+190千人増くらいでしたので、これを大きく上回っています。産業別には、ヘルスケアや接客業などサービス分野の雇用が伸びています。製造業の雇用も伸びていますが、4月は+4千人にとどまりました。ADPも4月は+275千人増でしたから、米国の雇用は極めて堅調と考えるべきです。ただ、米国経済が拡大している中で、トランプ政権からの強い圧力もあって、連邦準備制度理事会(FED)は前回の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げを一時停止した上で、今年2019年いっぱいは利上げを見送る可能性を強く示唆しています。このところ、物価上昇率が+2%を上回るようになっていることから、まさか、トランプ政権の圧力に屈して、政策金利を1%まで低下させるとは私は考えていませんし、利上げを停止したところで、世界経済が減速する中で米国経済だけが加熱に向かうとも思われませんが、いずれにせよ、今後の米国の金融政策動向にも注目しています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高めています。すなわち、4月は前年同月比で+3.2%の上昇と、昨年2018年8月から+3%の上昇率に達して、半年以上に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているんですが、利上げを停止して大丈夫なんでしょうか?
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2019年04月30日 (火) 14:41:00

帝国データバンク「『平成』産業構造変遷調査」やいかに?

昨日に続いて平成を振り返るシリーズで、4月22日付けで帝国データバンクから明らかにされた「『平成』産業構造変遷調査」を取り上げたいと思います。というか、簡単にまとめると、平成30年間における日本の産業変遷では、全9業種のうち構成比が拡大したのは「建設業」、「小売業」、「運輸・通信業」、「サービス業」の4業種であり、縮小したのは「製造業」、「卸売業」、「不動産業」、「農林水産業」、「鉱業」の5業種となっています。特に、もっとも大きく伸長したのは、「広告・調査・情報サービス業」であり、平成元年のシェア1.6%から平成30年には4.9%に、3.3%ポイント拡大しています。下のグラフは、pdfの全文リポートから引用した平成30年間の各産業・構成比推移です。

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2019年04月29日 (月) 11:55:00

統計局「統計が語る平成のあゆみ」から何を読み取るべきか?

先週4月26日付けで、総務省統計局の統計トピックスで「統計が語る平成のあゆみ」と題する記事が掲載されています。もちろん、pdfの詳細なリポートもアップされています。人口やライフスタイルなども興味あるところなんですが、ここはひとつ、雇用・労働と経済に絞ってグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、雇用・労働に関しては、量的に、平成に入ってから失業率が大きく上昇した後、平成最終年近くには、逆に、平成初期のバブル経済期並みに低下したことなんですが、それは次のグラフで取り上げるとして、質的には非正規雇用の拡大を指摘する必要があります。上のグラフでは、赤い折れ線グラフが非正規雇用の比率を示しており、平成元年には19.1%だったのが、平成30年には38.2%と比率で見て倍増しています。女性、特に、主婦層が働きやすいようにとのパートタイム労働が大きく拡大して、あるいは、労働者派遣が解禁されて、いずれも非正規雇用の増大につながりました。基本的に、正規雇用とは、第1にパートタイムでなくフルタイム、第2に有期でなく定年までの期限の定めない雇用で、第3に派遣ではなく直接の雇用、とされていますが、この3条件のいずれかから外れる非正規雇用が平成の30年間で大きく拡大しました。実は、私も3月末で定年退職し、今は週休3日といえば聞こえはいいんですが、逆から見て週4日のパートタイム労働に従事していたりします。

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次に、順番が逆になりましたが、労働・雇用の平成30年間の大きな特徴は、失業率の高まりと低下の循環です。上のグラフは年齢階層別の失業率をプロットしています。総平均は黒い太線で示されています。平成初期はバブル経済でもあり、失業率は2%そこそこだったんですが、バブルの崩壊とともに失業率が5%超まで上昇し、その後、米国のサブプライム・バブルとともに低下した後、そのサブプライム・バブル崩壊で再び5%超まで上がった後、平成終盤の現時点では、またまた2%台半ばまで低下しています。これはデモグラフィックな労働力人口の減少に伴う現象であって、決して景気の拡大に起因するわけではありませんが、そこは「鶏と卵」であって、失業率の低下とともに経済が活況を示すという波及経路もアリだという気がします。

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次に、何といっても平成経済の最大の特徴は今まで先進国経済が経験したことのなかった持続的な物価の下落という意味でのデフレです。上のグラフは消費者物価上昇率の推移をプロットしているんですが、真ん中あたりの平成13~24年にかけてのデフレの時代では臙脂色の耐久消費財価格が下落していたのが見て取れます。ただ、これは次のグラフの賃金との相関関係を忘れるべきではありません。

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ということで、最後に、賃金の推移です。これも見れば明らかなんですが、今から10年近く前の平成23年にボトムとなっています。それから、直近の平成30年まで数年をかけて10%ほど戻しています。ただ、これは最初のグラフに戻って、非正規雇用の割合の高まりと賃金の低下が相関していることは忘れるべきではありません。当然のように、パートタイム労働者はフルタイムより賃金が低いわけです。平成の30年間はいくつかの内外のバブル崩壊はもちろんですが、非正規雇用の拡大が日本経済を大きく劣化させた点を忘れるべきではありません、というのが私の結論です。
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2019年04月26日 (金) 19:55:00

基調判断が下方修正された鉱工業生産指数(IIP)と小売業販売が底堅い商業販売統計と完全雇用に近づく雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも3月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.9%の減産を示し、また、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.0%増の12兆7960億円、季節調整済み指数の前月比は+0.2%増を記録しています。失業率は前月から+0.2%ポイント上昇したものの2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率も前月と同じ1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

3月の鉱工業生産、0.9%低下 在庫指数は基準年15年以来最高
経済産業省が26日発表した3月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比0.9%低下の101.9だった。低下は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.1%減少)を下回った。在庫指数は1.6%上昇の104.0と基準年となる2015年以降では最高となった。
経産省は生産の基調判断は「生産は足踏みをしている」から「生産はこのところ弱含み」に下方修正した。「弱含み」という表現は15年8月以来。
業種別では、15業種中7業種で低下した。自動車工業が3.4%減少、半導体製造装置などを含む生産用機械工業が6.7%減少して全体を下押しした。中国経済の減速による輸出減が影響した。
一方、半導体メモリーなど電子部品・デバイス工業は5.8%増加した。汎用・業務用機械工業や無機・有機化学工業も増加した。
出荷指数は0.6%低下の101.6と2カ月ぶりに低下した。自動車工業、生産用機械工業、金属製品工業など9業種で低下した。
在庫指数について経産省は「やや積み上がっている印象」と話した。15業種中12業種で上昇した。
1~3月期の生産指数は前の期比2.6%低下の102.3だった。低下幅は消費税増税直後の14年4~6月期(2.9%低下)以来の大きさだった。
製造工業生産予測調査によると、4月は2.7%上昇、5月は3.6%の上昇だった。4月は3月に減少した輸送機械工業、生産用機械工業が反動で上昇する見通し。5月は輸送機械工業、電気・情報通信機械工業などが上昇する見込み。経産省は「企業は増産していく強気の見通しだ」と説明した。
同予測は下振れしやすく、経産省が予測誤差を除去した先行きの試算は4月は0.5%低下だった。
3月の小売販売額、1.0%増 機械・自動車販売が堅調
経済産業省が26日発表した3月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比1.0%増の12兆7960億円だった。経産省は小売業の基調判断を「一進一退の小売業販売」に据え置いた。
業種別で見ると、スマートフォンや洗濯機、冷蔵庫などの売れ行きが好調で、機械器具小売業が5.5%増だった。新型車の販売も堅調で、自動車小売業は2.3%増となった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が1.0%増の1兆6552億円だった。既存店ベースでは0.6%増だった。コンビニエンスストアの販売額は1.6%増の1兆126億円だった。
正社員の求人倍率、最高の1.13倍 18年度
厚生労働省が26日発表した2018年度の有効求人倍率は、正社員が1.13倍と集計を始めた05年度以降で最高だった。2年連続で求人が求職を上回り、人手不足を背景にした求人増が正社員に広がっていることが鮮明になった。パートタイマーなどを含めた全体でも1.62倍と9年連続で上昇し、高度経済成長期の1973年度以来45年ぶりの高水準となった。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示す。3月は正社員が前月比0.01ポイント上昇の1.16倍(季節調整値)となり、2カ月連続で過去最高を更新した。パートタイマーなどを含む全体では1.63倍(同)で横ばいだった。
総務省が同日発表した18年度の完全失業率は17年度比0.3ポイント改善し2.4%だった。1992年度以来26年ぶりの低水準で、失業率が3%を下回る「完全雇用」の状態が続いている。完全失業者数は同17万人減の166万人。就業者数は同115万人増の6681万人だった。
ただ、足元の求人には足踏みも見られる。3月の新規求人数は前年同月比6.0%減少。サービス業や製造業を中心に、全ての産業で求人が減った。厚労省では前年同月に大型の求人があった影響なども含め「今後を注視したい」としている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、さすがに、数多くの統計を並べるとやたらと長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、わずかながら減産が見込まれていましたので、その減産幅を超える低下を記録し、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断を「足踏み」から「このところ弱含み」に下方修正しています。製造工業生産予測調査は4月+2.7%、5月+3.6%のそれぞれ増産を示していますが、上方バイアスを考慮した4月の試算値は▲0.5%の減産とされています。また、3月統計が利用可能となりましたが、1~3月期の生産は前期比▲2.6%の大幅な低下となっています。3月統計では、電子部品・デバイス工業、汎用・業務用機械工業、無機・有機化学工業などで上昇が見られましたが、自動車工業、生産用機械工業、金属製品工業などでは減産でした。基本的には、中国やアジアをはじめとする海外経済の低迷に起因する輸出の伸び悩みから生産が影響を受けているものと考えるべきですが、特に、我が国のリーディング・インダストリーである自動車については3月の国内新車販売台数の減少なども要因と考えられます。また、私には生産現場の実情はよく判らないんですが、4月から5月にかけて、というか、明日から始まる10連休による生産の一時的な供給サイドからの停滞は、どこまで製造工業生産予測調査に織り込まれているんでしょうか。上方バイアスが強いとはいえ、やや4~5月の増産の数字が10連休があるにしては大き過ぎると感じるのは、私だけなんでしょうか。4月は連休向けに在庫積み増しがあるとしても、特に、5月の予想は業種別で見てもほとんどが増産を見込んでいて、やや疑問です。もちろん、中国経済はインフラ投資をてこに、底入れに向かっているとの見方もありますので、生産は年央ころからゆっくりと回復に回帰する可能性は十分あると私は予想しています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は鉱工業生産指数(IIP)のグラフと同じく景気後退期です。ということで、生産が減産を続けているにしては、消費は底堅いと私は受け止めています。しかしながら、1月の落ち込みからの回復はまだ物足りないところもあり、統計作成官庁である経済産業省では小売業販売についてはの基調判断を「一進一退」としています。電機製品を含むカテゴリーである機械器具小売業が前年同月比で+5.5%増を示したほか、注目の自動車販売は前年同月比ではまだプラスを続けていますが、3月の新車販売が減少したわけで、季節調整済の系列では自動車は前月比マイナスとなっています。今週月曜日4月22日に取り上げたように、今夏のボーナスは伸び悩むんではないかと予想されており、消費拡大につながるだけの力強さはないかもしれません。いずれにせよ、10月の消費税率引き上げが、そろそろ、視野に入り始めることから、駆け込み需要は日用品が多くを占めるとはいえ、大物消費のかく乱要因となる可能性は否定できません。

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続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。失業率は2.5%を記録し、有効求人倍率も1.63倍と高い水準にあります。加えて、グラフはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月から上昇して1.16倍を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ2年近くに渡って1倍を超えて推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することなどから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
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2019年04月25日 (木) 19:14:00

日銀「展望リポート」における成長率と物価の見通しやいかに?

昨日から開催されていた日銀の政策委員会・金融政策決定会合は本日午後終了し、「当面の金融政策運営について」および「経済・物価情勢の展望 (2019年4月)」が公表されています。前者では、フォワードガイダンスについて、これまで「当分の間」としていた現在の超低金利政策の継続について「当分の間、少なくとも 2020年春頃まで」に変更した点が注目され、また、後者では、2021年度までの政策委員の大勢見通しが明らかにされています。今夜は、ごく簡単に「展望リポート」の経済見通しのテーブルを、以下の通り、引用しておきます。

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見れば明らかなんですが、一応、概観しておくと、成長率見通しは2019年度を+0.8%、2020年度を+0.9%と見込み、1月時点からそれぞれ▲0.1%ポイントずつ引き下げており、2021年度は+1.2%と見通しています。今年度と来年度の成長率見通しは、今年2019年10月の消費税率引き上げにもかかわらず、昨年度2018年度の実績見込みから大きく低下しないという形になっていますが、むしろ、2018年度の成長率が潜在成長率を下回っているからであろうと私は受け止めています。物価については、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しを、2019年度は+1.1%、2020年度は+1.4%と見込み、2020年度は1月時点から▲0.1%ポイント引き下げており、2021年度も+1.6%と、相変わらず、物価安定の目標である+2%には達しない、との見通しを示しています。実は、「当面の金融政策運営について」を詳しく見ると、もっともハト派色が強いと見なされている原田委員と片岡委員がそろって反対票を投じている議案があり、物価目標に届かないのであれば、さらなる金融緩和の必要性がある、との意思表示ではないかとも見受けられます。

脚注3にありますので、あるいは繰り返しになるかもしれませんが、上のテーブルのもっとも右の列である「消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース」については、消費税率引き上げにより2019年度と2020年度の消費者物価への直接的な影響をそれぞれ+0.5%ポイント、すなわち、2年度分を合わせて+1.0%ポイントと、また、教育無償化政策の影響は2019年度に▲0.3%ポイント、2020年度に▲0.4%ポイントと、機械的に算出している旨が明記されています。携帯電話料金の引き下げは政策効果ではない、ということなのだろうと私は受け止めています。
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2019年04月24日 (水) 19:26:00

社名に令和を冠した企業は4月10日時点で30社誕生!!

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから300万社余りのデータベースの中で、4月10日までに新年号である「令和」を冠した企業が30社誕生した、との調査結果が4月11日付けで明らかにされています。これら30社のうち、新設法人は12社、従来の社名を変更したのは18社だそうで、都道府県別では、トップは福岡県の5社、以下、東京都4社、埼玉県、広島県、佐賀県が各2社と続き、その他15道府県で各1社となるようです。産業分類別ではサービス業がもっとも多くて13社に上り、以下のグラフの通りです。

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もっとも、昨日4月23日付けの読売新聞では「社名に『令和』続々、27都道府県で58社誕生」というニュースも見かけました。民事法務協会の登記情報提供サービスを検索したようです。これからさらに社数が増加し、情報はアップデートされていくんだろうと思います。
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2019年04月23日 (火) 22:29:00

企業向けサービス価格指数(SPPI)は3月統計でも人手不足で+1%超の上昇率!

本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て10か月連続の+1%以上の+1.1%を示しています。1.1%は前月と同じ上昇率で、64か月連続の前年同月比プラスを記録しています。まず、時事通信のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業サービス価格、1.2%上昇=18年度
日銀が23日発表した2018年度の企業向けサービス価格指数(速報値、10年平均=100)は、前年度比1.2%上昇の105.1だった。プラスは6年連続で、消費税増税の影響を除けば、1992年度以来26年ぶりの高い伸び率。人手不足が各種サービスの値上げにつながった。
項目別では、人件費高騰で道路貨物輸送が3.4%、燃料高により外航貨物輸送が11.1%それぞれ上昇した。このほか、労働者派遣サービス、土木建築サービス、警備がいずれも2~3%台の上昇となり、労働力不足が深刻な業種で大きく伸びた。


いつもの日経新聞がニュースとして取り上げていなかったので、時事通信のサイトから引用しました。年度の統計だけに着目して、3月統計には何も触れていませんが、まあ、こんなもんでしょう。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は昨年2018年6月から今年2019年2月統計まで10か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、昨年度2018年度の12か月間、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていたことになります。加えて、6年近い69か月連続でプラスを維持ています。また、国際運輸を除くコアSPPIも3月統計では前年同月比で+1.1%の上昇を示しています。先月統計から3月統計にかけての差が大きかったのは、テレビ広告などの広告が+0.12%の前年比寄与度前月差があり、リース・レンタルが+0.04%、土木建築サービスなどの諸サービスが+0.03%などとなっており、景気に敏感な広告と人手不足に敏感な諸サービスなどが目立っています。他方で、石油価格に連動する面が大きいとみられる運輸・郵便は前月からのプラス幅は縮小し、前年比寄与度前月差は▲0.02%のマイナスを記録しています。しかし、運輸・郵便も2月統計から3月統計にかけての差はマイナスなんですが、3月統計でも前年同月比そのものは+2.0%の上昇を示しており、ここでも人手不足の影響が見られると考えるべきです。というのは、極めて大雑把な概観ですが、一般的な人手不足もさることながら、資格や免許が必要で専門性が高く短期の労働供給増が難しい職種、あるいは、何らかの労働条件の厳しい職種における人手不足がその業種のサービス価格を押し上げている印象があり、運輸・郵便などは前者に相当します。もっとも、前者の資格・免許必要な職種は短期にはゼロサムに近い一方で、後者については労働条件のひとつである賃金引き上げで労働需要を満たすことができる可能性があるわけです。ただ、景気に敏感な広告は3月統計こそ前年同月比で+2.7%と、サービス価格の押し上げ要因となりましたが、2月統計では+1.0%でしたし、テレビ広告は2~3月には2か月連続して前年同月比マイナスを記録しています。いずれにせよ、4月統計で年度替わりの価格改定動向にも注目したいと私は考えています。
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2019年04月22日 (月) 21:14:00

今夏のボーナスは増えるのか?

先週までに、例年のシンクタンク4社から2019年夏季ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下のテーブルの通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。可能な範囲で、消費との関係を中心に取り上げています。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想、と聞き及んでおり、ベースが違っている可能性があります。注意が必要です。

機関名民間企業
(伸び率)
国家公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研39.0万円
(+0.7%)
68.1万円
(+4.3%)
伸び率は前年を下回る見込み。背景には、2018年度下期の企業収益の低迷。経常利益は、2018年10~12月期にかけて2四半期連続の減益に。企業マインド悪化も賞与の伸び鈍化に作用。6割以上の大企業が今夏の賞与水準を決定する時期に当たる年明けから春先にかけて、中国経済の失速懸念、日米貿易摩擦への不安など、景気先行き不透明感が急速に台頭。結果、賞与のベースとなる月例給、支給月数ともに引き上げに慎重な動きが広がり、賞与引き上げの足かせに。
ただし、賞与が減少する事態は回避される見込み。この背景として、①これまでの賞与引き上げが緩やかで、労働分配率が低水準にとどまっていること、②売上高が増加傾向を維持するなか、減益は、秋口にかけての原油高による一時的なコスト増によるところが大きかったこと、の2点が指摘可能。
第一生命経済研(▲0.8%)n.a.夏のボーナスの増加が期待できないことは、今後の個人消費にとって痛手だ。加えて、春闘でのベースアップが昨年を下回る上昇率にとどまったとみられることから、所定内給与も昨年から伸びが鈍化する可能性が高い。物価の鈍化が今後見込まれることは下支えになるものの、19 年度の実質賃金の伸びは僅かなものにとどまるだろう。所得の改善が限定的ななか、個人消費は先行きも緩やかな増加にとどまる可能性が高い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング39.0万円
(+0.8%)
68.8万円
(+5.5%)
労働需給が極めてタイトな状況にあるが、内外景気の先行き不透明感が強まる中で、企業業績の拡大に一服感が出ている。このため、増加基調は維持されるものの、伸び率は昨年の前年比+4.2%からは大幅に鈍化するであろう。
雇用者数の増加が続いており、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる。夏のボーナスの支給労働者割合は81.5%と前年と同水準にとどまるものの、雇用者数の増加を反映し、支給労働者数は4139万人(前年比+1.6%)に増加しよう。また、ボーナスの支給総額は16.2兆円(前年比+2.4%)に増加する見通しである。伸びが鈍るとはいえ、支給総額の増加傾向が維持されることは、消費税率の引き上げを控えた個人消費にとっては下支え材料となろう。
みずほ総研39.0万円
(+0.8%)
73.2万円
(+4.1%)
民間企業・公務員を合わせた夏季ボーナスの支給総額は、前年比+2.9%(前年: 同+4.4%)と前年から伸びが縮小するものの、4年連続の増加となるだろう。
こうしたボーナス支給総額の増加による家計の所得環境の改善は、個人消費の当面の下支え材料となることが予想される。ただし、世界経済の減速や不安定な金融市場動向を受けて、昨年来、消費者マインドが悪化している点には注意が必要だ。2019年10月には消費増税が予定されており、消費者マインドの更なる下振れも懸念される。こうした状況下、夏のボーナス支給額は堅調に拡大するが、消費の押し上げ効果という点では限定的なものにとどまる可能性が高い。


ということで、上のテーブルを見ても明らかな通り、夏季ボーナスは増えたとしても、ごくわずかな伸びであり、業績に従って減少する可能性を指摘するシンクタンクもあります。すなわち、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングとみずほ総研の3機関は、1人当たりで見て+1%に満たないながらも前年の夏季ボーナスから増えると予想しているのに対して、第一生命経済研はこれも▲1%に達しないながらも、減少する可能性を示唆しています。低い伸びに止まるとしても、減少するとしても、いずれも、世界経済の減速に起因する最近の企業業績の低迷ないし悪化がその要因として上げられています。果たして、ボーナスが増えて消費を下支えするのか、それとも減って消費にダメージとなるのか、私自身は直感的に企業業績要因と人手不足要因を考えあわせると、わずかながらも前年比プラス、と希望的観測も含めて予想していますが、何とも予想の難しいところかもしれません。
下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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2019年04月19日 (金) 19:32:00

27か月連続でプラスを記録した消費者物価(CPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、総務省統計局から3月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から上昇幅をやや拡大して+0.8%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の全国消費者物価0.8%上昇、ガソリン上昇に転じる 18年度は0.8%上昇
総務省が19日発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.5と前年同月比0.8%上昇した。プラスは27カ月連続。伸び率は2月の0.7%から拡大した。足元の原油高を背景にガソリン価格が上昇に転じたことで、エネルギーのプラス寄与が拡大した。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.7%上昇だった。生鮮食品を除く総合では全体の過半にあたる280品目が上昇した。下落は179品目、横ばいは64品目だった。総務省は物価について「緩やかな上昇が続いている」との見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.3と前年同月比0.4%上昇した。在庫が少なくなり、新製品の出回りが早くなったルームエアコンが上昇した。10月の消費増税前の駆け込み需要などがみられるという。
生鮮食品を含む総合は101.5と0.5%上昇した。伸び率は前月(0.2%)に比べ拡大した。生鮮食品を除く食料で、メーカーが相次いで食料品の値上げをしたことが小幅ながら上昇幅拡大に寄与した。
2018年度のCPIは、生鮮食品を除く総合が101.2となり、17年度に比べ0.8%上昇した。2年連続の上昇。ガソリン価格の上昇などが寄与した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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消費者物価(CPI)上昇率は、先月の2月統計からやや上昇幅を拡大して、27か月連続のプラスを記録していますが、まず、引用した記事にもある通り、国際商品市況における石油価格の影響が要因として上げられます。一時は下落していた石油価格も、2019年に入って再び上昇に転じ、例えば、CPIの中のガソリン価格などに典型的に現れています。ガソリンカは2月統計では前年同月比▲1.3%の下落、▲0.03%の寄与度を示していましたが、本日公表された3月統計では上昇率+1.3%、寄与度+0.03%ですから、2月統計から3月統計にかけての寄与度差が+0.06%あり、これだけで3月統計のコアCPI上昇率の拡大の半分を説明できてしまいます。ですから、消費者物価の先行きについても石油価格が大きなインパクトを及ぼすと考えられるんですが、何せ相場モノですので私には判りかねます。ただ、この先のイベントとして、今週月曜日にはドコモが最大4割の携帯電話料金引き下げを明らかにしていますし、6月からの実施となれば、それなりの物価への引き下げ材料となることは明らかです。加えて、10月からは幼児教育無償化も予定されています。いくつかのリポートを私が拝見した限り、携帯電話料金も幼児教育無償化も、それぞれで▲0.3%程度のコアCPI上昇率の引き下げ要因との試算が見受けられ、2つを合わせて軽く▲0.5%を超える寄与度となる可能性が高く、この先、国際商品市況における石油価格の動向を別としても、携帯電話料金引き下げと幼児教育無償化だけでもコアCPIは年央から年後半にかけて緩やかに低下に向かうものと私は考えています。
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2019年04月18日 (木) 19:44:00

帝国データバンク調査による企業のアベノミクスの評価やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の4月11日に帝国データバンクから、「2019年度の業績見通しに関する企業の意識調査」が明らかにされ、その中に、アベノミクスに関する企業の評価が2年連続で低下している、との結果も示されています。pdfの全文リポートから簡単にグラフとテーブルを引用して取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから アベノミクスへの評価分布 を引用しています。ただ、その前に、グラフやテーブルは引用しませんが、ここ数年の企業によるアベノミクスの評価を簡単に振り返ると、グラフエリアの左上にある通りであり、2016年3月調査では100点満点の60.3点、202017年3月調査では63.1点で直近のピークを付け、2018年3月調査では62.4点、そして、今回2019年3月調査では61.8点となっています。その分布が上のグラフの通りとなっており、30点未満の極端な評価が平均点を引き下げているとはいえ、平均の60点台よりも、分布としては70点台の評価を付ける企業数がもっとも多いのが見て取れます。まあ、50点台も少なくないので、平均で60点台、というのがよく理解できます。さらに、これもグラフの引用はしませんが、今年2019年3月調査で企業規模別に見て、大企業63.5点、中小企業61.3点、小規模企業60.7点と、規模が大きいほどアベノミクスの評価が高くなっています。

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次に、上のテーブルはリポートから 企業の意見 (アベノミクスについて) を引用しています。高評価ではマインド的に「景気の高揚感」を指摘したり、利益を出しやすくなった点などが上げられている一方で、やっぱり、恩恵は大企業のみであり、中小企業は雇用悪化、販売価格の抑制、仕入単価の上昇に直面している、といった意見もあります。また、平均的な60点以上の評価の中にも、個人消費の活性化に厳しい見方や地域経済はそれほどよくない、とする指摘もあります。自社や産業の動向に大きく左右されるんでしょうが、当然ながら、ほぼすべてが真実なんだろうと私は受け止めています。

最後に、リポートの本来のフォーカスは、あくまで、「2019年度の業績見通しに関する企業の意識調査」なんですが、ここでは本来テーマは無視してアベノミクスの評価だけを取り上げています。悪しからず。
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2019年04月17日 (水) 19:26:00

前年同月比で4か月連続のマイナスを示した輸出に見る貿易統計の今後やいかに?

本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲2.4%減の7兆2013億円、輸入額は+1.1%増の6兆6728億円、差引き貿易収支は+5285億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の貿易収支、2カ月連続で黒字 5285億円 中国向け輸出は9.4%減と低迷
財務省が17日発表した3月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5285億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。中国向け輸出は前年同月比9.4%減と低迷し、米中貿易戦争などを背景とした中国経済減速の影響がまだ尾を引いていることを浮かび上がらせたかたちだ。
全体の輸出額は前年同月比2.4%減の7兆2013億円だった。減少は4カ月連続。中国向けに、鉄鋼や、液晶デバイスなどの科学光学機器が減少したことが影響した。
中国向けの輸出額は1兆3046億円で2カ月ぶりに減少した。みずほ証券の稲垣真太郎マーケットエコノミストは「春節の影響がなくなったものの数字としては弱い印象。中国経済減速の影響が出ているようだ」と指摘する。
全体の輸入額は前年同月比1.1%増の6兆6728億円と、3カ月ぶりに増加した。金額ベースではフランスからの航空機輸入が大きかったことに加え、中国からの衣類関連の輸入も増えた。一方、石油製品や原粗油の輸入は減少した。
対米国の貿易収支は6836億円の黒字で、黒字額は9.8%増加した。増加は2カ月ぶり。自動車や建設用・鉱山用機械、半導体等製造装置の輸出が増えた。
3月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=111円16銭。前年同月に比べ4.3%の円安・ドル高だった。
併せて発表した2018年度の貿易収支は1兆5854億円の赤字と、3年ぶりの赤字となった。中国向けの鉱物性燃料や自動車の輸出が増えたものの、原油高の影響で原粗油や液化天然ガスの輸入が金額ベースでは大きく増えたことで、差し引きでは赤字となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、貿易収支については、季節調整していない原系列の統計を見ると、先月2月統計から黒字に転じ京発表の3月統計も黒字ですから、2か月連続で黒字を計上しています。しかし、傾向を見る季節調整済みの系列では、上のグラフを見ても明らかな通り、昨年2018年年央からほぼ赤字が継続しており、2018年5月から直近の2019年3月までの11か月のうち、黒字を計上したのは、わずかに2018年6月と先月の2019年2月の2か月しかありません。さらに、その2か月のうちの公社の2019年2月は中華圏の春節の影響が大きいと考えるべきですので、1年近くの間でほぼほぼ毎月のように貿易赤字を続けているに近いと私は考えています。輸入サイドの要因として、国際商品市況における石油価格の動向に左右されるとはいうものの、基本的には、輸出サイドの原因であり、すなわち、米中間の貿易摩擦の影響などから世界経済が停滞を示し、我が国輸出に対する需要が低迷しているのが大きな要因です。特に、中国経済の停滞から中国向け輸出が伸びないわけです。

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その輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、先進国たるOECD諸国の先行指数と中国の先行指数が向かっている方向に違いが見られるのがグラフから読み取れます。もっとも、前年同月比でOECDも中国もまだマイナスが続いていますので、我が国の輸出数量指数がマイナスを続けている一因となっています。しかも、私が見る限り、まだ輸出数量の底打ちの兆しは見えません。しばらく年央くらいまでは輸出数量は緩やかに減少を続ける可能性が高い、と私は予想しています。加えて、石油価格が再上昇を始めています。昨年ほどの水準に達するペースではありませんが、我が国の貿易収支は簡単には黒字にならないんではないか、と私は考えています。
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2019年04月16日 (火) 22:43:00

リクルートライフスタイルによる『じゃらんnet』のGW予約動向やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、4月4日付けでリクルートライフスタイルから『じゃらんnet』のGW予約動向が明らかにされています。私が定年退職して、上の倅が新入社員研修に入り、下の倅は昨年から大阪で下宿し、ということで我が家では特段のアクティビティは予定していませんが、特例の10連休となる今年のゴールデンウィークの旅行予約状況は興味あるところです。リクルートライフスタイルのサイトpdfのリポートから、いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リクルートライフスタイルのサイトからチェックイン日別人泊シェアのグラフを引用すると上の通りです。チェックインの日付ですので、ほぼほぼ出発日に当たると私は考えています。ブルーのラインの昨年2018年は曜日要因により、ツインピークっぽい形状を示したんですが、今年2019年は土日休みとすれば4月27日の土曜日から始まっての10連休ですし、マクロミル・ホノテの調査によれば4割を超えるビジネスパーソンが10連休をの取得を予定しているようですので、少なくとも曜日要因によるピークはないように見受けられ、連休最初の方の4月28日の日曜日にピークが来ています。その後は高原状となりますが、それも連休おしまいの方の5月3日金曜日までで、その先は急激に低下します。当然でしょう。

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次に、リクルートライフスタイルのサイトから人泊数で見た『じゃらんnet』GW人気旅行先ランキングのテーブルを引用すると上の通りです。人気の旅行先1位は、昨年2018年と同じ北海道で、北海道の中でも特に札幌が人気のようです。2位3位は、沖縄、東京と続いています。テーブルから明らかなように、今年のGWの旅行先として特に順位を伸ばしているのは福岡で、ホテルの新設やリニューアルが多く、受入可能数が増加したことも要因のほとつと指摘されています。私の出身地である京都はトップテンに入っていませんが、春や初夏よりも秋に人気の行楽地が多いのかもしれません。

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最後に、上はリクルートライフスタイルのサイトから『じゃらんnet』GW「遊び体験予約」人気アクティビティのランキングのテーブルを引用すると上の通りです。いちご狩りは季節ならではでしょうし、シュノーケルやスキューバは沖縄などの南の方のリゾートで休暇を楽しむ人たちなんだろうと私は想像しています。
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2019年04月15日 (月) 20:58:00

第一生命経済研リポート「新紙幣・硬貨発行で期待される特需」やいかに?

先週の月曜日4月8日に政府から新紙幣と硬貨が発行される旨の報道がありましたが、早速にもその翌日4月9日付けで第一生命経済研から「新紙幣・硬貨発行で期待される特需」と題するリポートが明らかにされています。リポートでは、「新紙幣・硬貨発行に伴う特需は、現環境が変わらないと仮定すれば、直接額1.6兆円、生産誘発額として3.5兆円、付加価値誘発額として1.3兆円が見込める計算」と試算しているところ、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の円グラフはリポートから、新紙幣・硬貨発行に伴う特需を引用しています。グラフを見ての通りであり、新紙幣・硬貨製造に約6,114億円の需要が見込まれるほか、ATM/CDの買い替えや改修費用は約3,709億円となっており、これは1台当りの値段は単機能なコンビニ向けで平均200万円程度、高機能の銀行向けは500~800万円程度と見込みつつ、その3割程度を買い替えで対応するという前提で試算しているようです。最後のコンポーネントの自動販売機の改良・改修に伴う需要は約6,064億円と見込まれ、1台当たり平均50~60万円程度の自動販売機の約3割程度を買い替えで対応するという前提です。この3つを合わせると、新紙幣・硬貨発行で期待される直接的な特需で約1.6兆円となります。

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続いて、上の円グラフはリポートから、2017年12月末の自販機普及台数を引用しています。全国で自動販売機は2017年12月末時点で約427万台設置されているらしいですが、中には100円以下の硬貨のみの自動販売機もあるため、全てを改修する必要はない。ただ、残念なことに紙幣の使える自動販売機の統計はなく、ある程度推測で決めていくるとリポートでは書かれており、ヒアリングなどを通して前提を置いているようです。

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最後に、上のテーブルはリポートから、新紙幣・硬貨発行に伴う特需を引用しています。最初の円グラフの直接効果の1.6兆円に加え、産業連関表を用いて生産誘発額地付加価値誘発額を試算しています。結果は見ての通りであり、生産誘発額が約3.5兆円、付加価値誘発額が1.3兆円となっています。過去の経験的な例から、新紙幣・硬貨発行に伴う特需が2年間実現すると仮定すれば、+0.1%の成長率引き上げ効果がある、とリポートでは結論しています。
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2019年04月12日 (金) 19:28:00

帝国データバンクによる2018年度の人手不足倒産やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、今週月曜日の4月8日に帝国データバンクから「『人手不足倒産』の動向調査 (2013~18年度)」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。2018年度の人手不足倒産は169件発生し、前年度比48.2%の増加を示すなど、最近6年間で右肩上がりに増加を続けています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果のサマリーを5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度(2018年4月~19年3月)の人手不足倒産は169件発生し、前年度比48.2%の増加。調査開始以降、右肩上がりでの推移が続き、6年間の累計件数は540件にのぼる
  2. 2018年度の負債規模別件数では、「1億円未満」(100件)の小規模倒産が前年度比75.4%の増加となった
  3. 2018年度の業種別件数を見ると、「建設業」が最多の55件(構成比32.5%)を占め、前年度比77.4%の増加
  4. 業種細分類別の6年間累計件数では、「道路貨物運送」が49件で最多。このうち、2018年度は23件(前年度10件)と、前年度比2.3倍に急増
  5. 都道府県別の6年間累計件数では、「東京都」が75件で最多。このうち、2018年度は26件(前年度13件)発生した


とても包括的に取りまとめられており、これ以上に付け加える点は何もありませんが、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから「人手不足倒産」の件数のグラフを引用すると上の通りです。最初に引用したサマリーにある通りで、右肩上がりに人手不足倒産が年々増加を示していますが、特に、2017~18年度とこの最近2年で大きく増加が加速しているのが見て取れます。倒産件数の前年度比で見て、2017年度は+44.3%増、2018年度は+48.2%増をそれぞれ記録しています。

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次に、リポートから業種細分類別上位 (2013~18年度、6年間累計)のグラフを引用すると上の通りです。業種別の倒産件数で見て、2018年度は「建設業」が最多の49件、構成比32.5%、次いで、「サービス業」が49件、29.0%、さらに、続いて、「運輸・通信業」が32件、18.9%とビッグスリーを形成しており、この順位は2013~18年度の6年間累計でも同じです。もう少し詳しい細分類を見たのが上のグラフであり、「道路貨物運送」では通販市場の拡大などを受け、配送需要が拡大基調の中、ドライバー不足により仕事を受けられず、固定費負担が経営を圧迫した倒産が目立ち、「老人福祉事業」では、有資格スタッフの確保難や離職者の増加から十分なサービスを提供できなくなったケースなどが見られ、「木造建築工事」では職人不足による工期遅延や労務費の上昇で資金繰りが悪化したケースが上げられています。私の目から見れば、確かに人手不足はあったかもしれないものの、本格的にデフレを脱却して値上げがもっと容易になれば、回避できた倒産もあるんではないか、という気がしてなりません。

最後に、東京商工リサーチでも同種の「2018年度『人手不足』関連倒産」の結果を4月5日付けで明らかにしていますが、2018年度は400件に上っており、そのうち、後継者難型の倒産件数が269件を占めており、やや印象が異なるので、この私のブログでは帝国データバンクの調査結果に着目してみました。ご参考まで。
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2019年04月11日 (木) 19:14:00

「IMF世界経済見通し」の見通し編は世界経済の減速を予想!!

明日の4月12日から米国のワシントンDCで始まるIMF世銀の春季会合に先立って、「IMF世界経済見通し」IMF World Economic Outlook, April 2019 の見通し編が日本時間の昨夜公表されています。副題は Growth Slowdown, Precarious Recovery であり、成長の減速と再加速の不確実性を表現しています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。なお、第2章からの分析編については、すでに、このブログで4月4日に取り上げています。見通し編についても、テーブルやグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。世界経済の成長率は昨年2018年の+3.6%から今年2019年は+3.3%に減速し、来年2020年には+3.6%と再加速するシナリオとなっています。世界経済の成長が減速する要因としては、米中貿易摩擦の激化、中国での与信の引き締め、アルゼンチンやトルコでのマクロ経済的なストレス、ドイツ自動車産業の混乱、金融環境のタイト化や主要先進国での金融政策正常化を上げています。IMFのブログサイトからの引用は、"The escalation of US-China trade tensions, needed credit tightening in China, macroeconomic stress in Argentina and Turkey, disruptions to the auto sector in Germany, and financial tightening alongside the normalization of monetary policy in the larger advanced economies" となります。我が国については、昨年2018年の+0.8%成長に続いて、今年2019年は+1.0%成長、来年2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催にもかかわらず+0.5%成長に減速するのは、今年2019年10月から実施予定の消費税率引き上げに起因します。

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続いて、リポート p.21 Figure 1.21. Risks to the Global Outlook を引用すると上の通りです。一番上のパネルのファンチャートは、昨年2018年春時点での見通しからやや下方にリスクがシフトしています。そして、2番めのパネルに見られる通り、国際商品市況における石油価格のリスクが低下する一方で、金融環境のタイト化や主要先進国での金融政策正常化に伴う金利の期間構造の変化、株価に代表される金融市場ののリスクが今年から来年にかけて高まると予想されています。

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最後に、今回のリポートでは p.37 から Special Feature: Commodity Market Developments and Forecasts として商品市況の見通しを展開しています。私は商品市況や株価・為替をはじめとする金融市場の動向については「判らない」で済ませてしまうことが多いんですが、さすがに、IMFではそういうわけにもいかず、それなりの見通しを議論しようと試みています。上のグラフはリポート p.38 Figure 1.SF.1. Commodity Market Developments を引用しています。上から3番目のパネルが石油の代表としてブレントの価格動向の予想がプロットされています。基本は足元価格の横置きなんですが、先行きのファンチャートはやや価格上昇を示す上方に広く展開しているようです。

最後に、こういった経済見通しに基づいて、マクロ経済政策と金融政策は、成長率が潜在成長率を下回るような場合にはさらなる減速を阻止し、政策による支援を段階的に打ち切っていく必要がある場合にはソフトランディングを促進することを確実にすべき、としています。リポート p.21 からの引用は、"Macroeconomic and financial policy should aim to guard against further deceleration where output may fall below potential and to ensure a soft landing where policy support needs to be withdrawn." となります。
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2019年04月10日 (水) 19:25:00

足踏み続く機械受注と石油価格に連動する企業物価(PPI)上昇率!

本日、内閣府から2月の機械受注が、また、日銀から3月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比+1.8%増の8367億円を示し、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.3%と前月の+0.9%から上昇率が拡大し、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の機械受注は1.8%増 4カ月ぶり増加 市場予想は下回る
内閣府が10日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.8%増の8367億円だった。増加は4カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.7%増だった。
製造業で船舶の内燃機関の大型案件があったことなどが上昇に寄与した。内閣府は基調判断について「足踏みがみられる」で3カ月連続で据え置いた。
製造業の受注額は前月比3.5%増の3881億円だった。4カ月ぶりに増加した。製造業17業種のうち8業種で増加した。造船業での大型案件や化学機械、工作機械の受注増が寄与した。
半面、非製造業は0.8%減の4510億円と、2カ月連続で前月を下回った。情報サービス業やリース業での電子計算機などの受注が低調だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.5%減だった。受注総額は同3.1%減の2兆3558億円。外需の受注額は同1.9%減の9850億円だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
3月の企業物価指数、前年比1.3%上昇 原油高などで
日銀が10日発表した3月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は101.5で前年同月比で1.3%上昇した。上昇は27カ月連続で、上昇率は2月の確報値の0.9%から拡大した。原油価格の上昇や米中貿易交渉の進展期待を背景にした非鉄金属市況の改善などで、企業物価指数は上昇した。
前月比では2カ月連続のプラスとなり、上昇率は前月と同じ0.3%だった。日銀の調査統計局は3月の物価指数上昇について「米中貿易交渉の進展期待や中国経済の減速懸念が和らいだことが背景にある」との見方を示した。
円ベースでの輸出物価は前年比で0.2%上昇し、4カ月ぶりのプラスとなった。前月比では0.8%上昇した。輸入物価は前年比で2.5%、前月比では1.6%それぞれ上昇した。
あわせて発表した18年度の企業物価指数は2.2%上昇した。上昇は2年連続。


長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列を見ると、昨年2018年11月から今年2019年1月まで3か月連続で前月比マイナスを記録していますので、4か月振りの前月比プラスということになります。しかし、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比+2%を超えていましたが、実績は下回りましたし、3か月連続マイナスからの戻りは弱くて力強さに欠ける印象です。上のグラフを見ても、太線の6か月後方移動平均はまだ下向きだったりします。簡単に業種別に概観しておくと、製造業が前月比プラスの非製造業がマイナスとなっていて、このところのトレンドとは逆の方向が示されています。機械受注の今後の方向については、世界経済の減速により製造業では足踏み、ただ、非製造業では人手不足などから底堅い動き、というのが予想されるところであり、これらを総合すれば全体としては緩やかな減少という予想がエコノミストの間では多いんではないかと私は考えています。先々月の2018年12月統計公表時に明らかにされた今年2019年1~3月期の見通しが前期比で▲0.9%減ですから、ちょうどこれくらいのペースではなかろうかと想像しています。統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「足踏み」で据え置いています。この基調判断は3か月連続です。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は、機械受注のグラフと同じで、景気後退期を示しています。基本的に、国際商品市況における石油価格に連動した動きと考えています。すなわち、季節調整していない原系列ながら、国内物価の前月からの上昇幅+0.3%に対する寄与度で見て、石油・石炭製品が+0.18%、非鉄金属が+0.04%、スクラップ類が+0.03%、電力・都市ガス・水道が+0.02%、などとなっており、エネルギー価格と中国をはじめとする新興国経済の減速懸念が和らいだ点を背景とした価格上昇の色彩が強いと私は受け止めています。

なお、IMF・世銀総の春季会合に合わせて国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」の見通し編が日本時間の昨夜公表されています。日を改めて取り上げたいと思います。
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2019年04月09日 (火) 22:27:00

日銀「さくらリポート」に見る地域経済動向やいかに?

昨日午後に、日銀から4月の「さくらリポート」が公表されています。各地域の景気の総括判断をみると、引き続き、すべての地域で「拡大」または「回復」が維持されています。ただ、前回2019年1月のリポートと比較すると、北海道だけは地震の下押し圧力が解消したことから判断を引き上げているものの、輸出・生産面で中国など新興国をはじめとする世界経済の減速の影響が指摘される中、3地域(東北、北陸、九州・沖縄)が判断を引き下げる一方、5地域(関東甲信越、東海、近畿、中国、四国)が判断を据え置いています。以下のテーブルの通りです。なお、転記は誤りなきよう慎重に行っているつもりですが、タイプミスもありえますので、引用は日銀のサイトからお願いします。

 【2019年1月判断】前回との比較【2019年4月判断】
北海道基調としては緩やかに回復しており、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力は緩和を続けている緩やかに回復している
東北緩やかな回復を続けている一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかな回復を続けている
北陸拡大している緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿緩やかな拡大を続けている緩やかな拡大を続けている
中国緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国回復している回復している
九州・沖縄しっかりとした足取りで、緩やかに拡大している緩やかに拡大している
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2019年04月08日 (月) 22:59:00

下がり続ける消費者態度指数と景気ウォッチャーのマインド指標をどう考えるべきか?

本日、内閣府から消費者マインドを代表する指標である消費者態度指数景気ウォッチャーが、また、財務省から経常収支が、それぞれ公表されています。消費者態度指数と景気ウォッチャーはともに3月の統計で、経常収支だけ2月の統計です。消費者態度指数は前月から▲1.0ポイント低下して40.5を記録し、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲2.7ポイント低下の44.8を記録した一方で、先行き判断DIも▲0.3ポイント低下の48.6となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆6768億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の消費者態度指数、3年1カ月ぶり低水準 食品値上げ響く
内閣府が8日発表した3月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比1.0ポイント低下の40.5と6カ月連続で低下した。身近な食料品の値上げや世界経済への先行き不安が重荷となった。指数は2016年2月以来、3年1カ月ぶりの低水準だった。内閣府は基調判断を「弱まっている」で据え置いた。
指数を構成する4つの意識指標のすべてが低下した。「暮らし向き」は1.5ポイント低下の37.7と7カ月連続で低下。15年1月(35.9)以来4年2カ月ぶりの低水準だった。乳製品や塩、麺類などの値上げが予定されることが消費者の暮らし向きに響いたという。「海外経済の減速や輸出の減少に伴う先行き不安」(内閣府)も影響した。
「収入の増え方」は0.6ポイント低下の40.6、「雇用環境」は1.1ポイント低下の43.7だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は、0.7ポイント低下し40.3となった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.4ポイント上昇し86.4%となった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は3月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6493世帯、回答率は77.3%だった。
3月の街角景気、現状判断指数は2カ月ぶり悪化 世界経済の先行き懸念で
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は44.8と、前の月から2.7ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月ぶり。指数は2016年7月以来、2年8カ月ぶりの低水準となった。世界経済の先行き懸念や人件費・資材費などの増加による業績圧迫が響いた。
現状指数の大幅な低下を受け、内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」から「回復に弱さが見られる」に下方修正した。下方修正は2018年12月以来3カ月ぶり。
家計動向関連が2.9ポイント低下し44.2となった。3月から食品の値上げが相次いだことを受け「対象となった商品の伸びは非常に鈍化しており、消費者の動きは節約志向に大きくかじを切っている」(東北のスーパー)という声があった。
企業動向関連は2.0ポイント低下し44.9だった。「原材料費の高騰により収益が悪化している。先行きにも明るい兆しは感じられない」(東海の食料品製造業)などの声が聞かれた。世界経済の成長鈍化の影響も複数の景気ウオッチャーが指摘した。雇用関連も2.3ポイント低下し48.4となった。製造業などでの求人減少が観測されるという。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は48.6と、前の月から0.3ポイント低下した。先行き判断指数の部門別では企業動向関連が1.0ポイント低下し47.7となった。製造業は2.1ポイント低下と低下幅が大きく「(中国経済の減速の影響で)輸出ウエートの高い取引先を中心に減産による生産調整の動きがあり、今後減収減益が見込まれる」(中国地方の化学工業)といった声が聞かれた。化学、一般機械、電気機械産業などで悪化の意見が多くみられた。雇用関連も低下した。
一方、家計動向関連は0.1ポイントと小幅に上昇した。大型連休や消費増税前の駆け込み需要への期待が聞かれた。
内閣府は基調判断で先行きについて「海外情勢等に対する懸念もある一方、改元や大型連休等への期待がみられる」とまとめた。
2月の経常黒字、25%増 原油価格下落で輸入減
財務省が8日発表した2月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆6768億円の黒字だった。黒字は56カ月連続。黒字額は前年同月に比べて25.3%拡大した。貿易収支の黒字幅が拡大した。海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支の黒字も増えた。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は前年同月に比べ2.4倍の4892円の黒字だった。輸出額は自動車や鉄鋼などが落ち込み1.9%の減少となった。原油価格の下落を反映し、輸入額が6.6%減った。
第1次所得収支は2兆145億円の黒字だった。海外子会社から受け取る配当金など直接投資の収益が伸び、黒字額は3.2%拡大した。一方、配当金の受取額は減少。証券投資収益の黒字幅が縮小した。
第2次所得収支は635億円の赤字(前年同期は1835億円の赤字)だった。2018年後半に国内で発生した自然災害にかかる再保険金の受け取りが増え、赤字幅が縮小した。
輸送や旅行などのサービス収支は前年同期に比べ1.4倍の2366億円の黒字だった。訪日外国人の消費を映す旅行収支は2274億円の黒字と、2月として過去最高だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、いくつもの統計の記事を並べるとやたらと長くなってしまいました。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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どこまで落ちるのか判りませんが、引用した記事にもある通り、消費者態度指数は前月から▲1.0ポイント低下して40.5と、昨年2018年10月から始まった低下が止まらずに6か月連続となり、方向性だけでなくレベルとしても2016年2月以来3年1か月振りの低水準を記録しています。3月の結果をコンポーネントごとに前月差で少し詳しく見ると、「暮らし向き」が▲1.5ポイント低下し37.7、「雇用環境」が▲1.1ポイント低下し43.7、「耐久消費財の買い時判断」が▲1.0ポイント低下し39.9、「収入の増え方」が▲0.6ポイント低下しています。加えて、「資産価値」に関する意識指標も前月差から▲0.7ポイント低下し40.3となっています。統計作成官庁の内閣府では、先月の2月統計公表時にそれまでの「弱い動きがみられる」から、「弱まっている」に下方修正していて、今月も同じ表現で据え置いています。次に取り上げる景気ウォッチャーもそうなんですが、こういったマインド指標は実態景気に先行すると考えるべきであり、ここまでマインドが悪化すると実体経済にも一定の影響を及ぼすことは明らかです。

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続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。景気ウォッチャーは「家計関連」、「企業関連」、「雇用関連」の3つの項目から構成されていて、最後の「雇用関連」以外の「家計関連」と「企業関連」についてはさらにもう少し細かい項目があったりするんですが、これらの3項目の中で3月統計の現状判断DIで前月から低下幅が大きい方から並べると、「家計関連」▲2.9ポイント、「雇用関連」▲2.3ポイント、「企業関連」▲2.0ポイントの順となります。「企業関連」では非製造業よりも製造業の落ち方が大きく、海外経済減速の影響による輸出不振がうかがえます。また、「家計関連」の中でもっとも低下幅が大きかったのが「サービス関連」であり、逆に、もっとも低下幅が小さかったのが「小売り関連」です。さらに、先行き判断DIを見ると、「小売り関連」は+1.4を示しており、改元やGW10連休などに小売り売上げを増加させようとする商機を見出そうとする期待が見られるんではないかと私は考えています。

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最後に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。月次の季節調整済の系列で見て、安定的に1~2兆円の黒字を計上してます。特に、2月の経常収支が大きな黒字になっているのは、引用した記事にもある通り、国際商品市況における石油価格の下落の影響と考えるべきです。少し前の昨年2018年9~11月の3か月は貿易収支が赤字を記録していましたが、石油価格もほぼほぼピークを超えて、2018年12月には貿易黒字に回帰しています。ただ、またしても石油価格の動向が不透明ですので、先行きは何とも予想がつきません。
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2019年04月06日 (土) 10:27:00

米国雇用統計は気候条件の影響を脱して伸びを回復!

日本時間の昨夜、米国労働省から3月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計からわずかに+196千人増と、降雪などで大きく伸びが鈍化した2月統計から一定の回復を示し、失業率も前月と同じ3.8%と低い水準を示しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を13パラ引用すると以下の通りです。

Economy added solid 196,000 jobs in March, unemployment stays at 3.8%
Hiring rebounded strongly in March as employers added 196,000 jobs, easing fears that payroll growth is slowing sharply amid a cooling economy.
The unemployment rate was unchanged at 3.8%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated 175,000 jobs were added last month.
Job gains for January and February were revised up by a modest 14,000.
After severe, weather-related swings in employment early this year, economists largely anticipated a return to normalcy in March. If anything, Goldman Sachs reckoned below- average snowfall would bolster job gains by about 20,000.
Payroll growth was feeble in February, with just 33,000 additions, but that was largely blamed on weather as construction and leisure and hospitality had especially poor performances. Unusually mild temperatures pulled forward hiring to January, inflating that month's employment gains. An offsetting drop the following month was compounded by snowstorms.
Yet, the February showing was so paltry it raised concerns that hiring was tapering off more than anticipated as the benefits of federal tax cuts and spending increases fade and the low unemployment rate makes it harder for employers to find workers. The global economy, particularly Europe and China, also has been sputtering, hurting manufacturers.
Economists eagerly awaited the March jobs report to help determine whether the February totals reflected a blip or the start of a steeper downshift in hiring and the economy.
Employers added a robust average of 223,000 jobs a month in 2018, but analysts expect employment growth to throttle back this year amid the slowing economy and worker shortages. Many predict average monthly gains of about 165,000. In the first quarter, the average was 180,000.
"The gradual slowdown in trend employment growth is another sign that the economy is weakening," economist Paul Ashworth of Capital Economics wrote in a note to clients.
Average hourly earnings rose 4 cents to $27.70, lowering the annual gain from a 10-year high of 3.4% to 3.2%.
Wage growth has picked up as employers compete for a dwindling supply of available workers. The faster pay increases haven't yet prompted most companies to pass their rising labor costs to consumers through higher prices, keeping inflation subdued.
But further earnings gains eventually could lead to stronger inflation, posing a dilemma for a Federal Reserve that has vowed to remain patient and forecast no interest rate hikes this year. March's annual pullback helps keep the Fed in its market friendly wait-and-see mode.


やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、2月の雇用は降雪や寒波などの気候条件の影響で、+33千人増と大きく伸びが鈍化しましたが、3月統計では+196千人増と回復しています。1~3月の3か月平均でも+180千人増と底堅い動きと私は評価しています。失業率も前月に続いて3.8%ですから、歴史的に見ても低い水準といえます。ただ、雇用増をけん引したのはヘルスケア+61.2千人増やレジャー+33千人増などであり、個人消費のバロメータとなる小売業は2月の▲20.2千人減に続いて、3月も▲11.7千人減と大きなマイナスを記録しています。小売業については、今年2019年のイースターが4月19日のグッドフライデーから始まりますので、4月統計を見たい気もします。さらに、今年に入って1~2月はプラスを記録していた製造業が3月は▲6千人減とマイナスに転じています。▲6.3千人減の自動車産業が製造業の減少の主因となっています。海外経済の低迷が主因なんでしょうが、これは米国から仕掛けた貿易摩擦ですから、覚悟の上なのかもしれません。金融政策動向について見ると、景気の先行き不安を受けて市場の一部には年内に利下げに転じるとの見方まで出始めているようですが、引用した記事の最後にもあるように、"market friendly wait-and-see mode" が続きそうな気がします。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高め、3月は前年同月比で+3.2%の上昇と、昨年2018年8月から+3%の上昇率に達して、半年以上に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているんですが、これはまだまだ物価安定の範囲内という見方が多いようです。
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2019年04月05日 (金) 23:29:00

CI一致指数が4か月振りの上昇を示した景気動向指数の先行きやいかに?

本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。先月公表の1月統計でCI一致指数が大きく下降して、基調判断が「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」に下方修正されて注目が集まっていたところ、CI先行指数は前月差+0.9ポイント上昇して97.4を、CI一致指数も+0.7ポイント上昇して98.8を、それぞれ記録し、基調判断は「下方への局面変化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 判断「下方への局面変化」据え置き
内閣府が5日発表した2月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.7ポイント上昇の98.8だった。上昇は4カ月ぶり。1月に低調だった自動車生産の反動増などが寄与した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断について「下方への局面変化を示している」と、1月から据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち3系列が指数のプラスに影響した。自動車や二輪車など耐久消費財出荷指数や、国外向けの半導体など投資財出荷指数(除輸送機械)が持ち直した。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.9ポイント上昇の97.4と、6カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は同0.5ポイント低下の104.3だった。
基調判断の基準では「原則として3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が下降」し、「当月の前月差の符号がマイナス」となった場合、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となる。2月時点で、3カ月後方移動平均は4カ月連続のマイナスだった。今後、3カ月後方移動平均のマイナスが続き、さらに一致指数も前月差でマイナスとなれば、基調判断が2013年1月以来の「悪化」に引き下げられる可能性がある。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、2月のCI一致指数に基づく景気の基調判断は先月1月に続いて「下方への局面変化」で据え置かれています。ただ、鉱工業生産指数などの3月統計に基づく3月のCI一致指数の前月差の符号がマイナスで、かつ、3か月以上連続して3か月後方移動平均が下降を示せば、基調判断は「悪化」に下方修正されます。これも引用した記事の通りです、そうなれば、本格的に景気局面に関する議論が盛り上がる、というか、何と申しましょうかで、いろんなコメントが飛び出しそうな気がします。景気とのシンクロの度合いが極めて強い鉱工業生産指数(IIP)については、製造工業生産予測調査で3~4月がともに前月比プラスと予想されており、さすがに、このまま景気後退に一直線に突入するとは私も考えていませんし、景気判断では景気が下降する期間も加味されますので、余りに短期間の景気下降では景気後退と認定されない可能性もあります。さらに、景気動向指数の基調判断が「悪化」に転じれば、政府として景気が回復や拡大の認識を示したことはない、との報道もありました。ところが、さらにさらに、で、今年2019年は10月から消費税率が10%に引き上げられ、何とも予測しがたいところながら、直前の駆け込み需要とその後の反動減は均等化出来ない可能性が強いと私は予想しています。極めて短期的に駆け込み需要で景気悪化のプロセスが停止する可能性もあるわけです。元々が現在の景気低迷は国内需要ではなくて米中間の貿易摩擦に起因する世界経済の減速から生じていますし、消費税率の引き上げという政策要因もあって、景気は複雑なパスを描くと思いますが、2019年年央くらいまでに一直線に景気後退局面に入る可能性は低い一方で、2018年10月の消費税率引き上げ以降に景気が後退する可能性は決して無視できない、と考えるべきです。
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2019年04月04日 (木) 19:25:00

IMF「経済見通し」分析編を軽く読む!

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から今月のIMF世銀総会に向けて準備が進んでいる「世界経済見通し」IMF World Economic Outlook の分析編が公表されています。第1章が見通し編で、第2章から第4章が分析編となっており、分析編の章別タイトルは以下の通りです。
  • Chapter 2: The Rise of Corporate Market Power and Its Macroeconomic Effects
  • Chapter 3: The Price of Capital Goods: A Driver of Investment Under Threat?
  • Chapter 3: The Price of Capital Goods: A Driver of Investment Under Threat?


いくつかの IMF Blog のサイトからグラフを引用しつつ、簡単にながめておきたいと思います。

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第2章は、市場における企業の影響力に関してマークアップの大きさなどにつき分析しており、上の画像は IMF Blog のサイトから Investment Impact のグラフを引用しています。本章では、企業の市場における影響力は拡大しているのか、もしそうだとすれば、マクロ経済へのインプリケーションは何か、を分析しています。まず、企業の市場への影響力は着実に拡大しており、マークアップ率はコストと対比して2000年から8%ほど上昇しており、そして、この影響力の拡大は先進国では幅広い産業分野で観察されると結論しています。その上で、現時点ではまだこの企業の影響力の拡大は穏当な水準でとどまっているが、今後、さらに企業の影響力が拡大すれば、投資にマイナスの効果を及ぼし、イノベーションを抑制し、労働分配率のさらなる低下をもたらすとともに、金融政策によるマクロ経済安定化政策の運営を難しくしかねない、と懸念を示しています。

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第3章は、消費財と比較した資本財価格の動向から投資の決定要因などにつき分析しており、上の画像は IMF Blog のサイトから Investment Impact のグラフを引用しています。本章では、消費財価格と比較して機械装置の資本財価格が最近10年で劇的な低下を示し、そして、その資本財価格の相対的な低下は貿易統合とともに、金融危機以降の世界経済の減速によってもたらされたと結論し、この相対価格の有利性と投資促進政策が相まって現在の投資の増加をもたらしたと指摘しています。

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第4章は、二国間貿易収支の決定要因、特に関税率の影響力などにつき分析しており、上の画像は IMF Blog のサイトから Economic Forces のグラフを引用しています。本章では、二国間貿易収支の決定要因について分析を進めており、マクロ経済要因、産業構造の変化と国際分業の伸展、そして、二国間関税率二分割して定量的な把握を試みています。そして、マクロ経済要因や産業構造要因などとともに、二国間における関税率や貿易コストが二国間貿易収支に一定の影響を及ぼしていることを明らかにしています。

これら分析編のいずれの章においても、現下の米中間の貿易摩擦に起因する世界経済の減速を強く意識した分析が示されています。第1章の見通し編では、成長率などがやや下方修正された世界経済の姿が明らかにされるものと私は考えています。
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2019年04月03日 (水) 19:28:00

第一生命経済研リポート「改元がもたらす日本経済への影響」やいかに?

新元号「令和」が官房長官から公表された一昨日4月1日に、第一生命経済研から「改元がもたらす日本経済への影響」と題するリポートが明らかにされています。ダイヤモンド・オンラインの4月1日付けの記事「祝賀ムードでも株価がなぜ下がる?『改元』と日本経済の意外な法則」も同じエコノミストによる寄稿です。なお、4~5月のゴールデンウィーク10連休は供給面からGDPにマイナスの影響があるとするニッセイ基礎研のリポート「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」はすでに1月14日付けのエントリーで取り上げていますが、第一生命経済研のリポートは、何と、「お祝いムードが一気に景気後退モードへ様変わりする可能性」との副題がついており、図表とともに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、おさらいですが、新天皇のご即位や新元号への改元などの経済効果としては、需要面からはプラスになることが想像されるものの、QW10連休などのお休みが増えることについては供給面からマイナスのインパクトも想像されます。上のグラフは 日本人の旅行消費額 を第一生命経済研のリポートから引用していますが、旅行需要については、GW10連休や即位礼正殿の儀が行われる10月22日が休日となり、こういった今年限りの祝日があるほか、大型スポーツイベントの「ラグビーワールドカップ2019日本大会」も控えており、JTB総研から旅行総消費額が前年比+2.8%増の15.3兆円と予想されていて、前年からの増加額が+4,156億円程度であることからすれば、約0.1%のGDP押し上げ効果に相当し、総旅行延べ人数が3.1億人であることからすれば、一回当たり約4.9万円程度の平均消費額となる、とリポートでは指摘しています。

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次に、上のグラフは 消費者態度指数 を第一生命経済研のリポートから引用していますが、昭和天皇の崩御による平成の代替わりでは国民の間に自粛ムードが漂ったのに対して、今回のご即位に際しては、退位日を含めて10連休となればお祝いムードが盛り上がるといったプラスの側面もある一方で、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制される、とリポートでは指摘しています。

これらの他に、私のような平凡な元エコノミストには思いつきもしない点を2点だけ取り上げると、第1に、GW10連休前にネット通販の駆け込み需要が発生する可能性があり、配送面でのトラブルが警戒され、第2に、10連休でお金を使いすぎた消費者が一気に節約モードにシフトする可能性も指摘されています。そうかもしれません。
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2019年04月02日 (火) 21:28:00

新元号「令和」を冠した企業は存在せず!?

昨日明らかにされた新元号「令和」を冠した企業が存在するのか、どうか、早速に帝国データバンクと東京商工リサーチが調べ上げていて、どちらもデータベース内には「令和」を冠した企業は存在しない、としています。引用元は以下の通りです。


もちろん、両社とも新元号「令和」を社名・屋号へ採用する動きが広がると予想しています。まあ、そうなんでしょう。なお、下のグラフは東京商工リサーチのサイトから、社名に元号が入った企業数について、「明治」以降の社数をプロットしたものを引用しています。やっぱり、長かっただけあって、「昭和」を冠した企業数が最多となっているようです。

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2019年04月01日 (月) 21:12:00

大きく景況感が低下した日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは12月調査から大きく低下して+12を示した一方で、本年度2019年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比▲2.8%の減少からスタートしてます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業・製造業の景況感 大幅悪化 日銀短観
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス12だった。前回2018年12月調査のプラス19から7ポイント悪化した。悪化は2四半期ぶりとなる。7ポイントの悪化は12年12月(9ポイントの悪化)以来、6年3カ月ぶりの大幅な悪化となる。米中の貿易摩擦や海外経済の減速が景況感の悪化につながった。非鉄金属やはん用機械などの悪化が目立った。石油・石炭製品や電気機械も悪化した。
3月の大企業・製造業DIは17年3月(プラス12)以来、2年ぶりの低い水準となる。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス14を下回った。回答期間は2月25日~3月29日で、回収基準日は3月11日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス8と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス12)を下回った。海外経済の不透明感などを背景に、先行きも慎重姿勢が強い。
19年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=108円87銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス21と前回を3ポイント下回った。業況感の悪化は2四半期ぶり。人手不足による人件費の高騰などコスト上昇圧力が逆風となった。卸売などの悪化が目立った。3カ月先のDIは1ポイント悪化のプラス20だった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回と同じだった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。
19年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比1.2%増と、市場予想の中央値(0.7%減)を上回った。人手不足を背景にした省力化投資の需要が追い風となったようだ。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスはヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIで見て+14でしたから、ややこれを下回りました。加えて、先行きは+12の予想に対して、実績は+8でしたから、だんだんと乖離幅が大きくなる不安はあります。DIですので方向感覚を見るべき指標であって、水準はそれほど大きな重要性はないながら、低下テンポはそれなりに重要です。水準という意味では、企業規模や製造業・非製造業別で見て、業況判断DIがマイナスに突っ込むのは先行きの中小企業製造業だけであり、足元ではまだプラスをキープしているのも事実です。もちろん、先行きでもっと悪化する可能性もありますし、先行指標である企業マインドが悪化すれば、実体経済においてもラグを伴って景気が下降するのは目に見えています。景況感の悪化の大きな要因は、米中間の貿易摩擦の激化などを受けた世界経済の減速の影響に加えて、石油価格の再上昇も影響しているように私は感じています。少なくとも先行きの石油価格動向は不明ですが、やや懸念の残ることは間違いありません。ですから、中国経済との関係も含めて、紙・パルプ、化学、石油・石炭製品、非鉄金属といった素材産業をはじめとする製造業が先行して景況感の低下を見ているわけで、他方、非製造業は底堅い動きを示しています。すなわち、全規模の業況判断DIで見て、製造業が12月調査+16、3月調査の足元+7、先行き+2と、かなり急速な低下を示しているのにたいして、非製造業は12月調査+15から3月調査の足元も+15、そして先行き+9と、低下のテンポはかなり緩やかです。でも、経験的に製造業が先行指標と考えられますので、非製造業の底支えがどこまで続くのかも不安であることは確かです。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。ただ、このところ、設備投資と雇用に関しては少し異なった動きを見せているのも事実です。上のグラフを見ても判るように、設備についてはやや不足感が薄らいでいるように見え、逆に、雇用についてはさらに不足感が広がっています。極めて大雑把な印象論ながら、設備は製造業だけを対象にした調査であり、世界経済の減速の影響が強く、設備不足感がやや和らいでいる一方で、雇用については非製造業を中心に不足感がひいろがっている、というように、同じ生産要素ながら設備と雇用とで業種間の跛行性が存在するような気がします。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2019年度の全規模全産業の設備投資計画は▲2.8%減という水準で始まっています。これを、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスで示された大企業全産業の▲0.7%減とベースを合わせると、短観の調査結果では+1.2%増ですから、設備不足感はやや和らいだとはいえ、設備投資意欲はそれほど低下していないと考えられます。言い古された短観の統計としてのクセですが、3月調査の時点では設備投資計画が固まっておらず、どうしても低めに出るのは例年の通りと解釈すべきであろうと私は受け止めています。

本日正午前の記者会見で官房長官から新元号は「令和」と公表されています。いきなり、景気後退で新しい時代が始まるのは避けたいのは誰しも同じだと思います。
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2019年03月29日 (金) 23:23:00

やや増産となり景気後退懸念に和らぐ鉱工業生産指数(IIP)と伸びが縮小する商業販売統計と完全雇用に近い雇用統計!

本日、経済産業省から2月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+1.4%の増産を示しており、また、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.4%増の11兆240億円、季節調整済み指数の前月比は+0.2%増を記録しています。失業率は前月から▲0.2%ポイント低下して2.3%となった一方で、有効求人倍率は前月と同水準の1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

2月の鉱工業生産、1.4%上昇 1-3月期ではマイナス見通し
経済産業省が29日発表した2月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比1.4%上昇の102.5だった。上昇は4カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.0%上昇)を上回った。自動車などの一部業種で1月に大きく低下した反動が全体を押し上げた。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、3月は1.3%上昇だった。仮にこの予測通りに3月の生産が推移しても、「1~3月期の生産指数は18年10~12月期比でマイナスとなる見通し」(経産省)。なお、4月の製造工業生産予測調査は1.1%の上昇だった。
経産省は2月の生産指数の上昇を「大きな回復ではない」として、生産の基調判断は「生産は足踏みをしている」に据え置いた。
2月の生産指数の業種別では、15業種中10業種で上昇した。1月に一部自動車メーカーが生産を停止した反動で、自動車工業は前月比7.5%増加した。半導体製造装置などを含む生産用機械工業は中国向け輸出の回復で5.6%増加した。電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業なども上昇した。
一方、半導体メモリーやスマートフォン(スマホ)向け液晶パネルなどを含む電子部品・デバイス工業は3.7%減と4カ月連続で減少した。自動車工業を除く輸送機械工業も大幅に減少した。
出荷指数は1.8%上昇の101.6と4カ月ぶりに上昇した。自動車工業、生産用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業など10業種で増加した。
在庫指数は0.5%上昇の102.2だった。生産・出荷が減少した電子部品・デバイス工業など9業種で増加した
2月の小売販売額0.4%増 自動車の売れ行き好調
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、2月の小売販売額は前年同月比0.4%増の11兆240億円だった。経産省は小売業の基調判断を「一進一退の小売業販売」に据え置いた。
業種別では自動車小売業が6.1%増だった。普通乗用車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は1.8%増で、花粉症対策のマスクや薬の販売が増えた。機械器具小売業は冷蔵庫や洗濯機の販売が伸び、1.7%増だった。一方、各種商品小売業(百貨店など)は3.2%減となった。気温の高い日が多く冬物需要が伸び悩んだ。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計は1.5%減の1兆4345億円で、既存店ベースでは1.8%減だった。コンビニエンスストアの販売額は3.8%増の9003億円だった
2月の失業率2.3%、人手不足で9カ月ぶりの低水準
総務省が29日に発表した2月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.2ポイント改善し、2.3%だった。9カ月ぶりの低水準となった。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率は4カ月連続で横ばいの1.63倍で、人手不足を背景に、良好な雇用環境が続いている。
完全失業者数(実数)は前年同月に比べ10万人減り、156万人だった。1月に季節要因で一時的に増えたが、再び減少に転じた。就業者数は同78万人増の6656万人で、6年2カ月連続で増加した。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率は0.01ポイント上昇し、1.15倍だった。雇用の先行指標となる新規求人倍率は2.50倍で、前月を0.02ポイント上回った。新規求人倍率は5カ月連続で上昇した。
2月の新規求人数(実数)は前年同月比2.1%増の103万6945人だった。教育・学習支援業が10.7%増と最も増えており、建設業(5.8%増)、医療・福祉(4.2%増)などが続いた。一方、製造業は3.4%減だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、さすがに、数多くの統計を並べるとやたらと長くなってしまいました。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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上のグラフを見る限り、2月の増産は1月の生産の落ち込みをカバーするにはまったく力不足と考えるべきです。しかし、他方で、製造工業生産予測調査に従えば、上振れバイアスを考慮しても3~4月がわずかながら増産となる可能性が高く、年度明け4月以降の景気後退懸念は、依然として払しょくされたわけではないものの、やや和らいだと私は受け止めています。特に、1月生産の急落が自動車産業に起因し、実に我が国の基幹産業ですから、懸念は小さくなかったんですが、1月減産の後の2月は反発しましたし、基調としては2018年半ばから上昇傾向ですから、自動車の在庫調整は2018年前半で終了し、足下では生産増の局面に入っているという見方が多くなっています。もちろん、外需の動向に左右される部分は小さくないですし、4月の増産はゴールデンウィーク10連休に備えた在庫積み増しの割合も含まれていると考えるべきですから、どこまで額面通りに受け取るかはエコノミストの見方によるかもしれません。ただ、サステイナビリティはないものの、7~9月期は10月からの消費税率引き上げ直前の駆け込み需要があると考えるべきですので、ここ半年くらいの先行き景気動向はかなり複雑です。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は消費者態度指数のグラフと同じく景気後退期です。ということで、小売販売額については、ヘッドラインの前年同月比もかなりゼロに近づきましたし、季節調整済の系列についても、生産と同じで戻りが物足りないと私は受け止めています。引用した記事にある通り、自動車販売が小売業販売をけん引しており、季節調整していない原系列の販売額で見て、昨年2018年年央から前年同月比比プラスに転じ、昨年10月からは+5~6%の伸びを示す場合もあります。今年9月までこのペースが続くとは思いませんし、消費増税の10月以降は反動減で落ち込むことは容易に想像されますが、現状では消費を支えていることは確かです。

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続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。失業率は再び2.3%まで低下し、有効求人倍率も1.63倍と高い水準にあり、加えて、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月から上昇して1.15倍を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年半余りに渡って1倍を超えて推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することなどから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
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2019年03月28日 (木) 21:39:00

3月調査の日銀短観予想でどこまで景況感は下がるのか?

来週月曜日4月1日の公表を控えて、シンクタンクから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画はもうすぐ始まる来年度2019年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (最近)+19
+24
<n.a.>
n.a.
日本総研+13
+22
<▲2.7%>
先行き(6月調査)は、全規模・全産業で3月調査対比+2%ポイントの改善を予想。米中の対立や欧州政局不安など、海外情勢の先行き不透明感は残るものの、中国での景気刺激効果を受けて中国向け輸出の持ち直しが業況見通しに反映される見込み。
大和総研+10
+20
<▲3.9%>
先行きの日本経済は、在庫調整および外需の低空飛行が続く中、引き続き潜在成長率を下回る低空飛行を続ける公算が大きい。外需が振るわない中、内需の重要性が相対的に増してくる。内需に関連して、消費増税対策は、2019年度内において増税の影響を上回る見通しだが、2020年度以降は消失する。原油価格の下落という好材料も消失しつつある。
結局、日本経済および業況判断の大幅な回復・改善に向けては外需の回復を待つ必要がありそうだ。そうした中で中国政府による各種の景気テコ入れ政策が発表されていることは、当面の日本経済・企業にとって好材料となりうる。とは言え、対策効果が目に見えて数値に表れるまで、日本企業は慎重に業況判断を行うだろう。従って、3月日銀短観では、製造業と非製造業の業況判断DI(先行き)が、いずれも引き続き 悪化すると見込
みずほ総研+15
+23
<▲4.6%>
先行きの製造業・業況判断DIは2ポイント悪化を予測する。
当面は中国経済やIT関連需要の減速が継続することが見込まれることから、先行きの景況感も慎重なものとなるだろう。米国が対中制裁関税の引き上げを延期したことはプラス材料となるものの、米中合意を巡る不透明感が払拭されたわけではない。また、今後本格化する日米交渉の行方を懸念する声も多い。仮に米中間で合意が実現したとしても、米国が次の標的として日本の自動車分野への圧力を強めてくる可能性があるからだ。仮に自動車に追加関税が課された場合、自動車だけでなくそれ以外の幅広い業種に影響が出る恐れがあり、物品貿易協定(TAG)を巡る不確実性が先行きの景況感を下押しするだろう。日米交渉において米国が為替政策を議題に挙げてくる可能性があり、急激な円高圧力が生じるリスクも懸念される。こうした対外的な不確実性が残存している中では、業況感の改善は見込みづらいだろう。
先行きの非製造業については、1ポイント悪化を見込む。消費増税前の駆け込み需要が徐々に顕在化することに加え、改元や大型連休による特需への期待が、小売業やサービス業の景況感を押し上げる要因となろう。また、オリンピックやインバウンド対応需要も、引き続き改善の押し上げに寄与するとみている。一方で、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇や人手不足による供給制約は引き続き下押し要因となるだろう。1月以降の原油価格の上昇が徐々に仕入価格に波及していくこともマイナス材料だ。加えて、先述した海外環境の悪化が国内景気に波及する懸念が広がることで、幅広い業種で先行きの景況感が下押しされ、全体としては小幅に悪化するとみている。
ニッセイ基礎研+13
+21
<▲3.9%>
先行きの景況感もさらなる悪化が見込まれる。今後、米中通商交渉に目処が付いたとしても、次は日本が米国の標的になる可能性が高い。日米通商交渉における自動車輸出規制や為替条項導入の要求といった米政権からの対日圧力の高まりが危惧される。また、英国のEU離脱問題についても引き続き難航が予想され、不透明感を払拭できない。非製造業についても、インバウンドを通じて世界経済との繋がりが強まっただけに海外情勢への懸念が現れやすいほか、人手不足深刻化への懸念も重荷になりそうだ。
一方、消費税率引き上げを控えた駆け込み需要やGWの10連休、中国政府が打ち出した景気対策の効果発現などへの期待が下支えになることで、先行きの景況感の大幅な悪化は回避されると見ている。
第一生命経済研+13
+22
<大企業製造業+4.4%>
先行きDIについては、企業が米中摩擦の長期化をどのくらい警戒しているかというシグナルになる。その点はよく読めないので、現状から先行きへ△2ポイント悪化(現状13→先行き11)とほぼ自然体で数字を置くことにした。金融市場では、4月にずれ込んだ米中協議がまとまることへの期待感が強いが、企業はもっと慎重に先行きをみていると考えられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+16
+24
<大企業全産業▲0.7%>
日銀短観(2019年3月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2018年12月調査)から3ポイント悪化の16と、2四半期ぶりに悪化に転じると予測する。素材業種、加工業種ともに悪化するとみられるが、外需の弱さの影響をより強く受ける加工業種の悪化が目立つだろう。先行きについては、3ポイント悪化の13と、米中貿易摩擦の影響や世界経済の減速などを警戒して慎重な見方が示されよう。
三菱総研+15
+24
<▲2.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が+13%ポイント、非製造業が+22%ポイントと、いずれも業況悪化を予測する。消費税増税前の駆け込み需要も見込まれることから国内経済は堅調持続が予想されるものの、米中貿易摩擦の影響が日本経済に波及するリスクや、中国を中心とする海外経済の減速度合い、今後開始される日米物品協定(TAG)交渉の行方などには警戒が必要であり、企業マインドの重しとなるであろう。


ということで、上のテーブルの日銀短観予想を見るまでもなく、昨年2018年12月調査から景況感は着実に後退しています。その主たる要因は世界経済のスローダウンです。そして、そのまた主因は米中間の貿易摩擦と考えるべきです。ですから、多くのシンクタンクでも外需依存の高い製造業の方が景況感の低下が大きいと予想しています。ただ、もうひとつ注目すべきは、DIですのでレベルはさほど重要ではないとはいうものの、まだ水準として大企業製造業の業況判断DIはプラスを続けている点です。また、設備投資計画を見ると、シンクタンクによりややばらつきはあるものの、まあ、こんなもんだという気がします。ちょうど1年前の2018年度計画が▲1%を割るようなところから始まったのが異例なんだろうと思いますので、昨年度と比較するのはそれほど意味があるとも思えません。ただ、2019年度については、世界経済とともに10月から消費増税が予定されていますので、とりわけ不透明感が強いと私は考えています。先行きのついてこれほど信頼感ない年も久し振りな気がします。
下のグラフは業況判断DIの推移を日本総研のリポートから引用しています。

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2019年03月27日 (水) 19:37:00

リクルートジョブズによる2月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

今週金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、2月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を簡単に見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の1月度平均時給は前年同月より+2.4%、25円増加の1,046円を記録しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+41円、増減率+4.0%)、「販売・サービス系」(+31円、+3.0%)、「製造・物流・清掃系」(+25円、+2.4%)、「フード系」(+19円、+1.9%)など全職種で前年同月比プラス、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2018年11月統計から前年同月比プラスに転じて、2月統計でも前年同月より+7円増加、増減率+0.4%の1,643円を示しています。職種別では、「IT・技術系」(前年同月比増減額+49円、増減率+2.4%)、「オフィスワーク系」(+24円、+1.6%)、「クリエイティブ系」(+25円、+1.5%)の全職種がプラスとなっています。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用には注視が必要、と考えるエコノミストも決して少なくなさそうな気がします。
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2019年03月26日 (火) 21:02:00

企業向けサービス価格指数(SPPI)は9か月連続で+1%以上の上昇!

本日、日銀から2月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て9か月連続の+1%以上の+1.1%を示しています。1.1%は前月と同じ上昇率で、68か月連続のプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の企業向けサービス価格、1.1%上昇 人手不足で
日銀が26日発表した2月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.1と、前年同月比で1.1%上昇した。前年を上回るのは68カ月連続で、伸び率は1月(1.0%)からやや拡大した。人手不足などを背景に、道路貨物輸送や労働者派遣サービスでの上昇が目立った。
前月比は0.3%上昇と、3カ月ぶりにプラスに転じた。円相場の下落で、円建ての不定期船、外航タンカーの運賃が上昇した。半面、テレビ広告が下落した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは84品目、下落は23品目だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は昨年2018年6月から今年2019年2月統計まで9か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、今年度に入ってから、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていることになります。加えて、5年半超の68か月連続でプラスを記録しています。また、国際運輸を除くコアSPPIも2月は前年同月比で+1.0%の上昇を示しています。ただし、企業物価(PPI)や消費者物価指数(CPI)ほどではないにしても、SPPIについても、やっぱり、ある程度、エネルギー価格の影響は認められます。ただ、PPIやCPIよりはSPPIの方がより人手不足による賃金動向に敏感であろうことは容易に想像できます。本日公表の2月統計について少し詳しく前年比寄与度の前月からの差を見ると、運輸・郵便が外航貨物輸送や道路貨物輸送などにより+0.06%ポイントの寄与がある一方で、景気に敏感な広告が▲0.09%ポイントのマイナスとなっています。外航貨物輸送の前年比清戸前月差のプラスは石油価格に起因するエネルギー価格の上昇というよりは、円安に起因しているのは引用した記事の通りです。また、前月差でなく、前年号月比そのものを見ると、引き続き、人手不足などの影響から、警備+4.0%、労働者派遣サービス+3.3%、土木建築サービス+2.7%などが高い伸びを示しています。先行きの動向を推し量る上で、今後、年度替わりの4月の価格改定や春闘などにおける賃金交渉の動向が先行き物価にどのような影響を及ぼすか、私は注目しています。
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2019年03月25日 (月) 21:15:00

ピュー・リサーチ・センターによる米国の将来に関する世論調査結果やいかに?

先週3月21日に米国の夜狼調査機関であるピュー・リサーチ・センターから米国の将来に関する世論調査 Looking to the Future, Public Sees an America in Decline on Many Fronts の結果が明らかにされています。米国市民は米国の世界的な重要性は低下し、格差がかくだするとともに、政治的な分断が広がるとの懸念を持っており、将来世代の生活の質の(QOL)の向上のためにヘルスケアと教育に対する政府支出の増加が必要と考えている、との結論となっています。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ピュー・リサーチのサイトから米国の将来に関する見方のグラフ Public is broadly pessimistic about the future of America を引用すると上の通りです。米国の重要性の低下が60%、格差の拡大が73%、政治的な分断の拡大が65%、とそれぞれ多数を占めています。特に、最後の点では、政党間の見方の差が大きい政策として、環境保護、高齢者へのサポート、そして、教育を上げています。経済的な物が多くを占めそうな格差問題については、ますます格差拡大の方向に向かうと多くの米国市民は受け止めているようです。

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次に、ピュー・リサーチのサイトから政府支出の重点項目に関するグラフ Majorities say increased government spending on health care, education would improve life for future generations を引用すると上の通りです。大雑把に、将来世代の生活の質の(QOL)の向上のためにヘルスケアと教育に対する政府支出の増加が必要と見なされているようです。

今回の調査は2050年を念頭に質問しており、私なんぞはもう人生を終えている気がするんですが、米国民は将来についてはかなり悲観的な印象を持っているとの結論です。tだし、グラフは引用しませんが、ほぼ30年後の2050年の生活水準を問うたところ、18歳以上の大人全体では悪化44%に対して改善20%なんですが、18~29歳ではに対して悪化36%改善28%と、例えば、私と同じ世代である50~64歳の悪化49%、改善15%と比較すれば、もちろん、悪化の割合が改善を上回るにせよ、若い世代の方が相対的に楽観的な見方を示しているようです。古市説に基づく若者観を持ち出すまでもなく、日本も同様な気がするんですが、このあたりが救いなのかもしれません。
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2019年03月22日 (金) 19:42:00

エネルギー価格のプラス寄与が続き消費者物価(CPI)上昇率は26か月連続の上昇を記録!

本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から上昇幅をやや縮小して+0.7%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の全国消費者物価、0.7%上昇 エネルギーの寄与度縮小
総務省が22日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.3と前年同月比0.7%上昇した。上昇は26カ月連続だが、伸び率は1月(0.8%上昇)に比べて鈍化した。エネルギー構成品目の寄与度縮小が響いた。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.8%上昇だった。エネルギー構成品目の寄与度はガソリンなど石油製品の伸び悩みを背景に前月に比べて縮小した。ガソリンは前年同月比1.3%下落した。前年同月比で下落するのは16年11月以来2年3カ月ぶり。
生鮮食品を除く総合では全体の51.2%にあたる268品目が上昇した。下落は188品目、横ばいは67品目だった。生鮮食品を除く総合を季節調整して前月と比べると0.1%上昇した。総務省は「緩やかな上昇傾向で推移している」との見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.2と前年同月比0.4%上昇した。上昇率は1月と同じだった。掃除機やルームエアコンなど家庭用耐久財が押し上げに寄与した。
生鮮食品を含む総合は101.5と0.2%上昇した。伸び率は前月と同じだった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は、1月の+0.8%からやや縮小して、2月は+0.7%を記録しています。国際商品市況における石油価格はかなり下げているんですが、時間的なラグを伴う国内の電気ガス料金がまだ上昇を続けています。この結果、電機・都市ガス・石油製品などから構成されるエネルギーとしては1月の+0.37%の寄与から、2月は+0.34#の寄与と、小幅に寄与度が縮小しただけで、2月統計でもプラス寄与が継続しています。加えて、2~3月は4月からの新年度を迎えるにあたっての準備期間ですので、それなりに耐久消費財の価格が上昇しやすい時期でもあり、昨年も今年も2月は電機や教養娯楽向けなどの耐久消費財が前年比プラスに転じています。従って、10月の消費増税という撹乱要因はあるものの、石油価格の動向と携帯通信料の値下げ、さらに、幼児教育無償化などを考慮すれば、消費者物価の基調としては、この先年央にかけて上昇率は縮小しゼロに近づくものと私は考えています。もっとも、今年のゴールデンウィークに宿泊料が跳ね上がったりする小規模な撹乱要因はあるかもしれません。加えて、やや不思議なのは、小幅ながら東京都区部のコアCPI上昇率が今年に入って1~2月とやや加速している点です。1~2月ともに+1.1%を記録しています。通常は、東京の物価は全国の先行指標と考えられているんですが、ここ2~3年はそうでもなくなったといわれ続けており、それほどの注目は集めていません。それでも、やや不可解な動きと私は受け止めています。
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2019年03月20日 (水) 20:07:00

東洋経済オンラインによる企業ランキング正社員数の多い企業と非正社員数の多い企業やいかに?

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やや旧聞に属する話題ながら、東洋経済オンラインにて、3月13日付けで非正社員数の多い企業のランキングが、また、3月18日付けで正社員数の多い企業のランキングが、それぞれ明らかにされています。取りあえず、それぞれの1位から50位までは上のテーブルの通りです。やっぱり、というか、何というか、トヨタはどちらでもトップ5に入っています。改めて、巨大企業だということを実感してしまいました。私は、正社員でも非正社員でも、どちらでもいいので、何とか早めに再就職先を見つけたいと努力していますが、悲しいことに、いまだに成果が出ていません。
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2019年03月19日 (火) 23:07:00

帝国データバンクによる「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、3月14日に帝国データバンクから「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文ファイルもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2019年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は64.2%と、5年連続で6割を超えたものの、3年ぶりの減少に転じた。特に「大企業」(84.8%)の採用意欲は高く、調査開始以降で最高を更新した。しかし「中小企業」(59.1%)は前回調査(2018年2月実施)を下回った。正社員採用は、大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した
  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は50.3%となり、2年連続で半数を超えたものの、前回調査を2.1ポイント下回り、採用意欲がやや一服した。非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「飲食料品小売」「医薬品・日用雑貨品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
  3. 2019年度の正社員比率は企業の18.3%が2018年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(45.8%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
  4. 自社において生産性向上に最も効果がある人材育成方法について、短期間(1年以内)の生産性向上に効果がある方法では「職場内における教育訓練(OJT)」が60.1%で突出して高かった。他方、長期間(1年超)の効果では、「職場内における教育訓練(OJT)」(26.8%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(22.7%)、「職場内における能力開発(OJD)」(22.4%)がいずれも2割台となり、効果的な人材育成方法が分散する傾向が表れた


ほぼほぼ調査結果が網羅されているような印象です。いろんな視点があるとは思いますが、ここでは正社員と非正社員の雇用動向に的を絞って、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから正社員採用の動向についてのグラフを引用すると上の通りです。正社員採用予定ありの企業割合は、リーマン証券破綻後の2009~10年度に底を打ってから増加してきており、2019年度は昨年度2018年度からやや低下したとはいえ、それなりの高い水準にあります。また、特に大企業では84.8%に上り、調査を開始した2005年度以降で最高を記録しています。ただ、中小企業は59.1%となり、前回2018年度調査から▲2.2%ポイント減少し、帝国データバンクでは「大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した」と評価しています。

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次に、リポートから非正社員採用の動向についてのグラフを引用すると上の通りです。ここでも、採用予定ありと回答した企業は50.3%と2年連続で半数を超えているものの、前回調査を▲2.1%ポイント下回り、帝国データバンクでは「採用意欲がやや一服した」と評価しています。

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最後に、リポートから2019年度の正社員比率についてのグラフを引用すると上の通りです。2019年度の正社員比率については、2018年度と比較して上昇と回答した企業は18.3%で、低下の6.1%を12.2%ポイント上回っており、雇用形態の正社員化で一段の進展が見込まれるものの、正社員比率が上昇するとの回答の割合は前回調査から▲2.4ポイント低下しており、その勢いはやや鈍化しているようです。
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2019年03月18日 (月) 21:14:00

5か月振りに黒字を記録した貿易統計の先行きをどう見るか?

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.2%減の6兆3843億円、輸入額は▲6.7%減の6兆453億円、差引き貿易収支は+3390億円の黒字を計上しています。原系列の貿易統計では5か月振りの黒字です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、5カ月ぶり黒字 対中輸出増は春節の影響
財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3390億円の黒字だった。黒字は5カ月ぶり。輸出入ともに減少したが、原粗油など輸入の減少が大きかった。中国向け輸出は3カ月ぶりに増加したが春節の日並びの影響が大きい。
輸出額は前年同月比1.2%減の6兆3843億円だった。減少は3カ月連続。米国向け自動車やタイ向けの鉄鋼が減少した。
中国向け輸出額は1兆1397億円と5.5%増加した。増加は3カ月ぶり。1月や2月は中華圏の春節(旧正月)日程の影響が出やすく、1月はその春節の影響で大きく減少した。2月はその反動でプラスとなった。品目別で見ると半導体等製造装置や自動車がけん引した。財務省によると、対中国輸出は1月と2月を合算したベースで2兆979億円と前年同期比6.3%減少した。
輸入額は前年同月比6.7%減の6兆453億円。2カ月連続で減少した。原油安で原粗油や石油製品が減少した。2月の原粗油の円建て輸入単価は8.6%下落した。
対米国の貿易収支は6249億円の黒字で、黒字額は0.9%減少した。減少は2カ月ぶり。
2月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=109円66銭。前年同月に比べて0.4%円安・ドル高に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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2月の5か月振りの貿易黒字は、私の目から見て、短期的な要因として、2月の中華圏の春節を見越しての生産調整の反動が2月に現れた点に加えて、国債商品市況の石油価格が徐々に下落する中で石油輸入額が減少しつつある点の2点の影響なんでしょうが、もうひとる忘れてならないのは、2月統計では貿易黒字を計上したとはいえ、中長期的に、先月まで我が国が4か月連続で貿易赤字を記録していた要因のひとつは、世界経済の景気低迷に比較すれば、相対的に我が国景気の減速度合いが小さいという可能性も忘れるべきではありません。後者のこの中長期的な景気局面の視点は見落としがちなので、強調しておく値打ちがあると私は考えています。従って、中華圏の春節という撹乱要因が終了すれば、我が国の貿易収支は安定して黒字に戻る、とは限りません。国債商品市況における石油価格や非鉄金属価格などの影響も無視できませんが、景気局面が世界経済全体の方がより速く悪化しているのは実感として私も感じていますし、我が国景気が世界経済の景気局面に比べて安定的であれば、逆に、その先で急速に日本の景気が悪化する局面が現れて、まあ、表現はおかしいですが、世界経済の景気局面に追いついてしまう場面があってもおかしくない可能性があります。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、現時点での輸出を見る際の注意点は、中国の景気が上向いているにもかかわらず、まだOECD先行指数が前年同月比でマイナスのままですので、我が国からの輸出が減少を続けていて、先進国加盟国の集合体であるOECDの先行指数は前年同月比マイナス、かつ、下り坂でマイナス幅が拡大していますので、我が国の輸出にとっては中国向けと先進国向けのいずれも需要サイドで減少要因となっています。2月の中国向け輸出が伸びたとはいえ、引用した記事にもある通り、1~2月を合算したベースではまだ前年比マイナスのようですから、この先、貿易摩擦ももちろんですが、中国などの新興国も含めて世界経済の景気動向も注目です。
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2019年03月15日 (金) 21:08:00

ダイヤモンド・オンライン「住みたい市区町村ランキング・ベスト50」やいかに?

今週月曜日の3月11日にダイヤモンド・オンラインで「住みたい市区町村ランキング・ベスト50」が明らかにされています。1位は横浜市で、2位が神戸市、3位に港区が入っています。我が家が今の城北地区に引っ越す前に住んでいたのが港区の青山でした。また、私自身は京都府立病院の当時の伏見分院で生まれたそうなんですが、東京に職を求めて親元を巣立つ前、大学の学生時代までの人生前半の20年余りを両親と暮らした京都の宇治市が44位に入っています。以下のテーブルの通りです。ご参考まで。

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2019年03月13日 (水) 23:42:00

3か月連続でマイナスとなった機械受注と上昇幅がわずかに拡大した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から1月の機械受注が、また、日銀から2月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注うち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲5.4%減の8,223億円を示し、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.8%と前月の+0.6%から上昇率がやや拡大し、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、3カ月連続減 1月は前月比5.4%減少
内閣府が13日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比5.4%減の8223億円だった。減少は3カ月連続。QUICKがまとめた民間の事前予測の中心値(1.7%減)を下回った。製造業は3カ月連続で減少した。世界経済が減速感を強めるなか、先行きに不安を持つ企業心理を映した。
内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」と前月から据え置いた。2018年11月は0.1%、同12月は0.3%と小幅な減少だったが、1月は減少幅が広がった。好調だった設備投資が鈍化する兆しが出てきた。
製造業は1.9%減と3カ月連続で減少した。内訳をみると、17業種中9業種がプラスに、8業種がマイナスに寄与した。マイナスに寄与したのは電気機械と情報通信機械で、それぞれ20.7%、38.1%減った。両業種ともハイテク関連で中国経済の減速を反映したとみられる。
中国では米中貿易摩擦や自国経済への先行き不透明感から投資や生産を控える動きが広がっている。こうした動きを背景に、国内企業は機械の発注に慎重になっているようだ。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「製造業の軟調さが鮮明で、輸出の伸び悩みが機械受注にも影響している」と話す。
1月の中国向け輸出は前年同月比で17%減った。鉱工業生産指数も1月まで前月比で3カ月連続低下しており、外需を起点にした下押し圧力が日本経済に及んでいる。中国や欧州経済など世界経済の先行きの不透明感から、企業は機械の発注や投資を控える姿勢になりつつあるようだ。
船舶・電力を除いた非製造業は8%減と4カ月ぶりに減少に転じた。運輸業・郵便業のほか、通信業がマイナスに寄与した。このほか、官公需は2.7%増だったほか、外需は18.1%減だった。
2月の企業物価指数、前年比0.8%上昇 原油価格上昇で
日銀が13日発表した2月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は101.1で前年同月比で0.8%上昇した。上昇は26カ月連続で上昇率は1月確報値の0.6%から拡大した。原油価格の上昇や米中貿易交渉の進展期待から企業物価指数は上昇した。
前月比では1月の0.6%の下落からプラスに転換し、0.2%の上昇に転じた。原油価格が上昇したほか、米中貿易交渉の進展期待で工業需要のある非鉄金属などの市況が改善した。豚コレラの被害拡大懸念で豚をはじめとする農林水産物の価格も上昇した。
円ベースでの輸出物価は前年比で1.7%下落し、3カ月連続のマイナスとなった。前月比では0.6%上昇した。輸入物価は前年比で0.7%下落し、前月比では1.1%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは393品目、下落したのは276品目だった。上昇と下落の品目差は117と、1月の確報値139品目から22品目減った。
日銀の調査統計局は「依然として米中貿易摩擦の不透明感は強く、経済への影響に目を向けていく」との見解を示した。


長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、船舶と電力を除くコア機械受注の前月比で▲1.7%減でしたし、レンジでも▴.0~+1.7%でしたので、かなり弱い数字と私は受け止めています。統計作成官庁である内閣府でも、基調判断を「足踏み」で据え置いています。コア機械受注について季節調整済の系列の前月比を見ると、昨年2018年11月▲0.1%減、12月▲0.3%減、そして、今年2019年1月も▲5.4%減と、3か月連続でマイナスを示しており、昨年2018年10~12月期の前期比が▲3.2%減でしたから、足元の2019年1~3月期もかなり低い発射台での始まりということになります。特に、貿易摩擦に起因する世界経済の停滞が背景にあるわけですが、昨年2018年10~12月期あたりまでは増加を示していた電力と船舶を除く非製造業も今年2019年1月に入って▲8.0%減を記録し、▲1.9%減の製造業より大きな減少となっています。上のグラフの太い移動平均のラインに見られるように、機械受注は世界経済の停滞によりピークアウトした可能性が高く、基調判断通りの足踏みが続くものと見ていますが、同時に、人手不足に起因する省力化投資や合理化投資による下支えがあることなどから、設備投資のストック調整が急速に進んで、大きな落ち込みを見せる可能性は低いのではないか、とも私は考えています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は、機械受注のグラフと同じで、景気後退期を示しています。基本的に、国際商品市況における石油価格に連動した小幅な動きと考えています。すなわち、国内物価のいくつかの項目を前年同月比で見て、石油・石炭製品が前月の▲4.2%の下落から2月統計では▲2.1%と低下幅を縮小したり、非鉄金属も前月の▲7.4%から▲5.6%に下落幅が縮小しています。また、農林水産物も豚コレラの影響などにより前月の▲0.9%から▲0.1%に下落幅が縮小しています。ただ、こういった下落品目の下落幅縮小が中心であり、景気動向に連動した力強い物価上昇ではない、と私は受け止めています。
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2019年03月12日 (火) 21:07:00

3四半期ぶりに景況判断BSIがマイナスを付けた法人企業景気予測調査から何が読み取れるか?

本日、財務省から1~3月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は昨年2018年10~12月期+4.3の後、足元の今年2019年1~3月期は▲1.7と、3四半期ぶりにマイナスを付けた後、さらに、先行き4~6月期も▲0.3と、マイナスを続けると見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感、1~3月はマイナス1.7
財務省と内閣府が12日発表した法人企業景気予測調査によると、1~3月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス1.7だった。マイナスは3四半期ぶり。前回調査の10#xFF5E;12月期はプラス4.3だった。
先行き4~6月期の見通しはマイナス0.3となった。1~3月期は大企業のうち、製造業がマイナス7.3で、非製造業はプラス1.0だった。中小企業の全産業はマイナス11.7だった。
2019年度の設備投資見通しは18年度に比べて6.2%減だった。18年度見込みは前年度に比べて7.4%増だった。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。


いつもながら、簡潔かつ包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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大企業全企業の景況感を景況判断BSIで見ると、昨年2018年10~12月期の+4.3から今年2019年1~3月期には▲1.7に大きくダウンし、さらに、4~6月期も▲0.3と、やや上昇するとはいえマイナスを続けた後、7~9月期には+5.7にジャンプすると見込まれています。足元の企業マインド悪化は貿易摩擦に起因する海外要因と私は考えていますし、7~9月期の予想はやや先の話でどこまで信頼を置けるかの問題もありますが、今年10月には消費税率の引き上げが予定されていますから、それなりの駆け込み需要はあるものと考えると、あながちムリがあるともいえません。いずれにせよ、先週3月7日に内閣府から公表された景気動向指数を見て、景気局面に関する悲観的な議論が出始めていますが、少なくとも年央にかけて景気がこのまま一気に失速するというマインドが企業に広がっているようには見えない、と私は受け止めています。ただし、10月の消費税率引き上げ後の消費動向は極めて不透明であり、足元の貿易摩擦に起因する海外経済の動向から企業マインドが悪化した後、駆け込み需要を経て消費税率引き上げと続く今年いっぱいの足元ないし先行きに関する企業マインドは複雑な方向性を示す可能性があります。景況感に次ぐ私の注目ポイントである設備投資は、全規模全産業で見て、今年度2018年度の+7.4%増に続いて、来年度2019年度は▲6.2%減と計画されています。特に、年度上半期に+4.9%増の後、下半期には▲16.0%減と見込まれており、他方で、経常利益の見込みについても同様に、2019年度上半期のプラスの後、下半期はマイナスと予想されており、当然ながら、消費増税後の景気動向には目が話せません。
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2019年03月11日 (月) 21:11:00

ワインバザールによるワインの選び方に関する調査結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、ワイン情報サイトのワンバザールから2月25日に、ワインの選び方に関するネット調査の結果が明らかにされています。まず、調査のポイントを2点、ワインバザールのサイトから引用すると以下の通りです。

調査のポイント
  • ワインは「種類」(75.4%)「味」(68.9%)「価格」(53.2%)で選ぶ
  • 普段飲むのは「~1000円」のワイン39.2%、「~2000円」34.3%


私も週末を中心にお安いワインを楽しむので、それなりに興味あるところ、簡単にグラフを引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはワインバザールのサイトから ワインを選ぶときにチェック/重視するところ の回答結果を引用しています。「種類」(75.4%)、「味」(68.9%)、「価格」(53.2%)で選ぶ、というトップスリー結果が出ていますが、もちろん、この3つのポイントは重要な一方で、私は4番目の生産国も重視しています。外交官として3年余りを首都サンティアゴ過ごしたチリのワインを選ぶ傾向が明らかに強くなっています。種類は白を飲むことが多く、味はフルーティなものが好きです。価格は次のグラフで詳細な結果が出ています。

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ということで、上のグラフはワインバザールのサイトから 1本いくらのワインを飲むことが多いか の回答結果を引用しています。見れば明らかで、1000円以下がもっとも多く39.2%で、次いで、1000円~2000円が34.3%となっています。すなわち、73.5%が1本2000円以下のワインを選んでいるようです。私はワインへのこだわりはそれほどありませんので、お安く税込みで500円くらいのを選ぶことにしています。
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2019年03月09日 (土) 09:02:00

米国雇用統計は降雪により雇用者の伸びが急減速も労働市場の逼迫感は継続!

日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計からわずかに+20千人増と、降雪などの気象条件悪化もあって大きく伸びが鈍化した一方で、失業率は前月から低下して3.8%を示しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added just 20,000 jobs in February amid slowing growth, snowy weather
Hiring slowed sharply in February as employers added just 20,000 jobs amid harsh winter weather and a weakening U.S. and global economy.
That's the fewest job gains since September 2017 when employment was curtailed by major hurricanes.
The unemployment rate fell to 3.8 percent from 4 percent, the Labor Department said Friday. The partial government shutdown boosted the jobless rate in January as many federal government employees told Labor survey takers they were unemployed or on temporary leave, and so an offsetting drop was expected as those workers returned.
Economists were looking for a pullback in payroll growth last month after outsize gains in January that were inflated by unusually mild weather. Meanwhile, above- average snowfall when Labor conducted its survey in mid-February was set to reduce total employment by at least 40,000, Goldman Sachs said.
A small consolation: Job gains for December and January were revised up by a total 12,000. December's was upgraded from 222,000 to 227,000, and January's from 304,000 to 311,000.
More broadly, the U.S. economy is expected to slow this year after federal tax cuts and spending increases juiced growth in 2018. The economy grew 2.9 percent last year, the second strongest showing of the nearly 10-year-old expansion, and monthly job growth averaged a robust 223,000. But those stimulus effects are expected to fade by late this year. At the same time, the low unemployment rate is making it harder for employers to find qualified workers. Economists estimate monthly job gains will average about 170,000 in 2019.


いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ちょっとびっくりの非農業部門雇用者増の大きな鈍化でした。市場の事前コンセンサスでは、通常通りに、+170~180千人増が見込まれていたんですが、わずかに+20千人増にとどまりました。ただ、政府機関の一部閉鎖が解除されたこともあって、失業率は前月の4.0%から▲0.2%ポイント低下して3.8%となっています。+20千人増はハービーやイルマなどのハリケーン被害が大きかった2017年9月の+18千人増以来の低い伸びでした。ただし、最近の雇用統計でも天候要因による振れが大きく、今年2019年は1月が暖冬で+311千人増を記録した後、逆に2月は降雪などもあって+20千人増にとどまりました。ただ、1~2月をならしても+165千人増くらいなわけですので、2018年10~12月期には月平均で+200千人を超える増加がありましたので、今年2019年に入って雇用の伸びが鈍化しているのは事実と考えるべきです。失業率の低下も連邦政府機関の一部閉鎖の解除によるものですから、景気動向に従った失業率低下と考えるのは不適当だという気がします。2月統計の雇用者増を業種別に詳しく見ると、製造業こそ+4千人増とギリギリでプラスを維持したものの、建設業では▲31千人減を示し、小売業でも▲6.1千人減となっています。我が国は企業部門が景気の牽引をしていますが、米国では家計が景気を引っ張っており、小売業の雇用が減少するのは景気の減速ないし後退のシグナルと見なされます。従って、トランプ政権の圧力もあって、米国連邦準備制度理事会(FED)パウエル議長は、中国や欧州などの景気減速の懸念から利上げを一時停止する考えを繰り返し表明しているところですが、本格的に利上げ休止が長引く可能性も出て来たと私は受け止めています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。雇用者像にブレーキがかかったとはいえ、米国労働市場はまだかなり逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高め、2月は前年同月比で+3.4%の上昇と、昨年2018年8月から+3%の上昇率に達して、半年以上の7か月に渡って3%台の上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、利上げで物価や賃金の上昇圧力に対処すべき考えもあるとは思いますが、物価と雇用のデュアル・マンデートが異なる方向を向いており、何とも政策対応が悩ましいところです。
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2019年03月08日 (金) 23:12:00

やや上方改定された2018年10-12月期GDP統計2次QEから景気後退の可能性を探る!

本日、内閣府から昨年2018年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+1.9%を記録しました。1次QEから上方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP1.9%増に上方修正 10-12月年率、設備投資堅調
内閣府が8日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算で1.9%増だった。2月に発表した速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正した。企業の設備投資が速報値の推計値から上振れしたことが全体の押し上げにつながった。
設備投資は実質で前期比2.7%増と、速報値の2.4%増から改定した。財務省が1日発表した10~12月期の法人企業統計によると、半導体関連や自動車用電子部品などの投資が堅調だった。
民間在庫も成長率押し上げに効いた。成長率への寄与度は0.01%。原材料や仕掛かり品を中心に金額ベースで在庫が増えたことを反映した。
一方、個人消費は0.4%増と速報値(0.6%増)から下方修正した。飲料や、白物家電を含む「家庭用器具」の出荷の伸びが鈍かった。全体の成長率に対する内需の寄与度は0.8%と、速報値(0.6%)から拡大。内閣府は上方改定の主な要因は「国内需要による」と説明した。
外需の成長率に対する寄与度は0.3%の押し下げだった。輸出は前期比1.0%増と速報値(0.9%増)から小幅に上ぶれたが、全体への寄与度は変わらなかった。
10~12月期の名目GDP改定値も前期比0.4%増、年率換算で1.6%増と速報値(前期比0.3%増、年率1.1%増)から上方修正した。
18年の実質成長率は前年比0.8%増、名目成長率は0.7%増とそれぞれ0.1ポイントの上方修正となった。設備投資の伸びを反映した。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/10-122018/1-32018/4-62018/7-92018/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.4▲0.2+0.6▲0.5+0.3+0.5
民間消費+0.5▲0.2+0.9▲0.5+0.7+0.9
民間住宅▲3.2▲2.0▲2.0+0.6+1.1+1.1
民間設備+0.7+1.0+2.5▲2.6+2.4+2.7
民間在庫 *(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(+0.1)(▲0.2)(+0.0)
公的需要+0.0▲0.0▲0.1▲0.3+0.4+0.2
内需寄与度 *(+0.4)(▲0.2)(+0.6)(▲0.5)(+0.6)(+0.8)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.3)(▲0.3)
輸出+2.2+0.4+0.4▲1.4+0.9+1.0
輸入+2.3+0.0+1.3▲+0.7+2.7+2.7
国内総所得 (GDI)+0.0▲0.4+0.4▲0.9+0.2+0.4
国民総所得 (GNI)▲0.0▲0.6+0.7▲1.0+0.3+0.4
名目GDP+0.2▲0.3+0.4▲0.5+0.3+0.4
雇用者報酬+0.0+0.7+1.5▲0.5+0.7+0.6
GDPデフレータ+0.1+0.5▲0.1▲0.4▲0.3▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.9+0.5+0.5+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年10~12月期2次QEの最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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昨日公表の景気動向指数の結果を考え合わせると、評価の難しいところです。一昨日の2次QE予想においては+2%台の成長であれば2018年7~9月期からのリバウンドもあったそれなりの成長と感じられる可能性が出てくると感じていましたが、年率+1.9%成長でしたし、中身を考えるとやや消極的な評価を下すエコノミストも少なくない気がします。すなわち、仕上がりの内需主導の成長はいいんですが、1次QEからの変化の方向を考えると、在庫の寄与度が1次QEの▲0.2%から2次QEで+0.0%に上方改定されていますから、これがほぼほぼ成長率の差の+0.2%ポイントに相当します。瞬間風速で前向きの在庫が積み増された可能性も否定できないものの、現在の景気局面を考慮すると、先行きの在庫調整の可能性を高めるものであろうと考えるべきです。消費の伸びは1次QEの+0.6%から2次QEでは+0.4%に下方修正され、寄与度も▲0.1%ポイント低下しています。一昨日に取り上げた1次QE予想で消費の下方改定を予想していたのはみずほ総研と第一生命経済研だけで、どちらのシンクタンクも1次QEから▲0.1%ポイント伸びを低下せて前期比+0.5%増を見込んでいましたが、ほかはすべて1次QEと同じ前期比+0.6%の伸びを予測していました。他方で、プラスに評価できるのは設備投資の上方改定があります。ほかに、海外要因は外需寄与度が1次QE、2次QEとも▲0.3%ですし、米中の貿易摩擦を考慮すれば、それほど先行き期待できるとも思えません。1次QE公表後のシンクタンクのリポートには、「力強さに欠ける」とか、「低空飛行」といった旨の表現が見られたんですが、今回も同じ傾向かもしれません。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費が上げられるわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。2014年の消費増税後は伸び悩んでいましたが、2016年に入ってから順調な伸びを示し、人手不足を背景に1人当たり雇用者所得と雇用者数の掛け算で増えています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象ですし、インバウンドに加えて、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、毎月勤労統計などの統計が信頼性低い恐れはあるものの、雇用者報酬が順調な伸びを背景に消費拡大につながることが期待できそうです。まだ、消費者マインドは改善の兆しを見せないものの、人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をサポートしていると考えるべきです。

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なお、GDP統計2次QEのほか、本日、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、財務省から1月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIが前月差+1.9ポイント上昇の47.5を記録した一方で、先行き判断DIは▲0.5ポイント低下の48.9となりました。現状判断DIの改善は3か月ぶりであり、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のいずれも改善を示しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+6004億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。
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2019年03月07日 (木) 19:55:00

大きく下降した1月の景気動向指数は景気認識の変更を迫るのか?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.3ポイント下降して95.9を、CI一致指数も▲2.7ポイント下降して97.9を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の景気動向指数、3カ月連続低下 基調判断下げ
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が97.9と、前月から2.7ポイント低下した。低下は3カ月連続で、13年6月(97.0)以来の低水準。中国経済の減速が輸出や生産の面で日本にも波及していることを映した。同指数の基調判断はあらかじめ決められた条件に基づいて下方修正された。政府が景気認識を改めるかどうかが焦点となる。
一致指数の算出に使う9つの統計のうち、速報段階で公表されている7つすべてがマイナスに寄与した。寄与度が大きかったのが生産・出荷関連の指標だ。中国など世界経済の成長鈍化で日本企業の輸出が振るわない中、産業ロボットや半導体などを中心に企業の生産にも影響が出始めている。指数には生産が占める要素が大きい特徴がある。
指数の基調判断は5段階中、上から3番目の「下方への局面変化を示している」となり、前月までの「足踏み」から引き下げられた。この表現が用いられるのは消費増税の影響が色濃く出た14年11月以来だ。
基調判断は指数の変化に応じて一定の条件を満たせば決まる。「下方への局面変化」になるには、月々の変動をならした7カ月後方移動平均の前月差がマイナスになるなどの条件がある。判断は機械的に決まるため、必ずしも政府の景気認識と一致しない。
内閣府の定義では「下方への局面変化」は事後的に判定される景気の山(ピーク)がそれ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す。ただ14年8~11月に同様の判断になったが、景気の長さを判定する「景気動向指数研究会」はこの間も景気回復が続いていたと認定した。
同期間は政府の月例経済報告も「このところ弱さがみられる」などの文言は付け加えながらも「緩やかな回復基調」との表現は維持した。内閣府の担当者は7日、「政府の景気認識は総合的に判断する」と話した。
茂木敏充経済財政・再生相は1月の月例経済報告で景気回復の長さについて「戦後最長になったとみられる」と表明した。2月の月例経済報告でも「緩やかに回復」としており、指数が示す判断とは食い違う面もある。
茂木氏は5日、景気認識は「生産だけでなく、様々な指標を総合的に勘案して判断する」と述べた。人手不足はなお深刻で企業は賃上げを通じて採用を強化している。良好な雇用環境が国内総生産(GDP)の5割強を占める消費を支えている面もある。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「外需は悪いが、設備投資や消費といった内需には一定の底堅さがある」と話す。
1月の日本の輸出や生産を押し下げたのは、中国や世界経済の減速に加え、今年は中国の春節(旧正月)が例年より早く、同国の経済活動が一時的に落ち込んだ影響もある。春節の影響で基調がつかみにくくなっており、1~2月をならしてみる必要があるという。加えて1月は日本は年初の休みが長かったため、工場の稼働を停止していた日が多い企業もある。
エコノミストの間には「景気後退に入った可能性もある」との声も出ているが、「2月に輸出や生産がどの程度戻るかが焦点だ」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との声は多い。2月の貿易統計は18日、鉱工業生産指数は29日に公表される。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数のうち、基調判断の基準となるCI一致指数の前月差を詳しく見ると、引用した記事にもある通り、トレンド成分を除く7項目がすべてマイナス寄与となっていますが、特に、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数がこの順でマイナス寄与が大きくなっています。鉱工業生産・出荷の関連指数です。昨夜の2次QE予想の記事では、現時点で景気後退局面に入っている、もしくは、年央くらいまでに景気後退局面に入るリスクは1年前や半年前から高まっているのは事実ながら、現時点で景気後退に入っている、ないし、2~3か月先という目先の期間で景気後退局面入りする可能性が高い、とは決して考えていない旨を記しましたが、CI一致指数からは「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」に統計の基調判断が下方修正されています。引用した記事の最後のパラのように、景気後退局面入りした可能性を指摘するエコノミストもいる一方で、2月の統計を見たいという専門家も少なくないようです。私は根拠なく楽観的な見方を示す方だったりしますので、2月の中華圏の春節効果を除いたトレンドを見たい気もします。

何度か指摘した通り、今年1月まで景気拡大が続けば、米国のサブプライム・バブル期に相当する期間を超えて、戦後最長の景気拡大期間を記録する可能性があったんですが、繰り返しになるものの、本日公表の景気動向指数から機械的に判断される景気の現状は基調判断の通り、「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」ですから、ますます景気局面に注意が向くようになる気がします。そして、我が国景気のキーポイントは海外要因、ズバリ中国経済です。
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