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2020年08月08日 (土) 09:00:00

徐々に回復が鈍化する米国雇用統計の先行きやいかに?

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の大幅減の後、5月統計からはリバウンドして7月には+1,763千人増を記録しています。同じく、失業率も一気に悪化した4月からのリバウンドが見られ、10.2%に改善しています。でも、まだ、10%を超える水準です。いずれも季節調整済みの系列です。まず、やや長くなりますが、USA Today のサイトから統計を報じる記事を最初の9パラを引用すると以下の通りです。

1.8M jobs added in July, unemployment falls to 10.2% as some states halt reopening, others press ahead
The U.S. added 1.8 million jobs in July as payroll growth slowed amid a split-screen economy that had employers stepping up hiring in parts of the country that continued to let businesses reopen, even as COVID-19 spikes forced Sunbelt firms to pull back and lay off workers.
The unemployment rate fell to 10.2% from 11.1% in June, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 1.5 million jobs were added last month.
Starting in late June, nearly half the states paused or reversed reopenings because of surges in coronavirus cases, a rollback that particularly hit Texas, Arizona, Florida and California. Those losses were more than offset by net job gains elsewhere in the country as states relaxed restrictions.
Forecasting employment in July was a crap shoot, with some economists expecting upwards of two million gains and others anticipating losses.
Government added 301,000 jobs as payrolls were artificially inflated by 215,000 gains in local education. Since many school staffers were furloughed in April because of the pandemic, there were far fewer job reductions than normal in July, an anomaly that resulted in strong employment gains because of seasonal adjustments.
Besides the reopenings, job gains in the spring were juiced by forgivable federal loans to small businesses as long as they retained or rehired employees. Of the 22 million U.S. jobs shed in the early days of the pandemic, the economy recouped 2.7 million in May and 4.8 million in June, but after July's additions payrolls are still at less than half their pre-pandemic level.
Clawing back the 13 million remaining lost jobs is likely to be a tougher slog as employers grapple with infection outbreaks and depleted cash. Many businesses have exhausted their federal loans, forcing some struggling firms to lay off workers a second time. Morgan Stanley foresees a "significant risk" of job losses in August.


やや長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。先々月の6月9日付けのブログで取り上げたように、NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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米国の失業率については、4月統計で14.7%と一気に悪化した後、5月13.3%、6月11.1%そして、昨夜公表の7月10.2%と、リバウンドの方も徐々に減衰してきた気がします。米国非農業部門雇用者の伸びも、4月に前月差で▲2000万人超の減少を見た後、5月+2725千人増、6月+4791千人増、そして、7月+1763千人増と、失業率の改善幅も、非農業部門雇用者の増加幅も、6月が大きかったのは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する米国の対応に起因するんだろうと思います。いずれにせよ、先は長そうです。例えば、ロイターのサイトでは、Reuters Poll に基づいて、"Nearly two-thirds of economists, or 35 of 56 who responded to an additional question, said it would take two or more years for the U.S. economy to reach its pre-COVID-19 levels." と、COVID-19前の水準への米国経済の回復には2年以上かかる、と見るエコノミストが⅔近い多数派と指摘しています。基本的に日本でも同じで、いわゆるV字回復はありえないのであろうと覚悟すべきです。それどころか、現在の日本は緊急事態宣言が発せられた時よりもCOVID-19感染者数が多くなっており、第2波、あるいは、さらに第3波の感染拡大があれば、2番底の可能性も否定できないと私は考えています。
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2020年08月07日 (金) 17:00:00

景気動向指数はやっぱり2020年5月が底か?

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+6.7ポイント上昇して85.0を、また、CI一致指数も前月から+3.5ポイント上昇して76.4を、それぞれ記録しています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、11か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気動向指数、一致指数が5カ月ぶりに上昇
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.5ポイント上昇の76.4となった。緊急事態宣言が全国で解除されたことなどを背景に、5カ月ぶりに上昇した。
緊急事態宣言が5月下旬に全面的に解除されたことや1人10万円の特別定額給付金の支給などを背景にした「商業販売額(小売業)」の回復や、自動車の出荷が戻りつつある「耐久消費財出荷指数」などが寄与した。「鉱工業用生産財出荷指数」や「生産指数(鉱工業)」も伸びた。
一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は、11カ月連続で「悪化」となった。基調判断が11カ月連続で「悪化」となるのは、08年6月からの11カ月連続以来となる。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比6.7ポイント上昇の85.0と、2カ月連続で上昇した。「消費者態度指数」や「最終需要財在庫率指数」などが寄与した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比0.8ポイント上昇の93.3と11カ月ぶりに上昇した。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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一昨日の8月5日付けのブログで取り上げた第一生命経済研のリポートでは、CI一致指数を前月から+3.4ポイントの上昇と予想していたんですが、実績では+3.5ポイントの上昇でした。統計作成官庁である内閣府では景気動向指数の利用の手引として、統計の作成方法まで詳細に公開していて極めて透明性は高いんですが、どうも合わないもののようです。「外れ値」処理なのかという気もしますが、新たな「外れ値」処理手法の詳細も公開されていますし、どうして合わないのか、私にはよく判りません。ということで、CI先行指数は2か月連続での上昇、CI一致指数は5か月ぶりの上昇となりました。わずかに1か月ながら、先行指数が一致指数に先行しているわけで、それなりに信頼感ある指数だという気がします。CIの場合はDIとことなり、一定のボリューム感も把握できるんですが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に連動して、2月前月差▲0.1ポイントとマイナスに落ち込んだ後、3月▲4.9ポイント、4月▲10.1ポイント、5月▲6.4ポイントの後の6月+3.5ポイントですから、上のグラフを見ても明らかなように、COVID-19感染拡大前の水準に戻るのにはかなりの期間を要することは明らかです。2~5月の落ち込み幅が4か月分合わせて▲21.5ポイントですから、6月のリバウンド+3.5ポイントが続くとしても半年かかるという単純計算になります。でも、今日の東京都における感染者数も500人近いように報じられていますし、そう単純に進むとはとても思えません。速報公表の現時点で算入されているCI一致指数のコンポーネント10系列のうち、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)などのプラスの寄与度が大きくなっています。いずれにせよ、暫定的ながら、景気の谷は2020年5月だったような気がします。でも、繰り返しになりますが、COVID-19の感染拡大は終息にほど遠く、2番底の可能性も否定できません。

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最後に、本日、厚生労働省から6月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ね、このブログでも長らくパスしていたんですが、先月からグラフだけお示ししています。統計のヘッドラインとなる名目の現金給与総額は季節調整していない原数値の前年同月比で▲1.7%減少の44万3875円となっています。ただし、雇用者数はパートは前年同月に比べて減少している一方で、フルタイムの一般労働者は増加しており、人口減少下の人手不足もあって底堅い印象です。先月もそうだったんですが、今月も景気動向指数のトピックに隠れて、こっそりと持ち出しておきたいと思います。
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2020年08月06日 (木) 16:00:00

三菱総研による特別定額給付金の消費押し上げ効果の試算結果やいかに?

一昨日8月4日に三菱総研から特別定額給付金の消費押し上げ効果につき、経済効果は3.5兆円程度あり、GDP比で+0.7%ポイント程度押し上げ効果があるとの試算結果が明らかにされています。

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上の図表は三菱総研のリポートから引用しています。上半分のテーブルは三菱総研が実施した「生活者アンケート」の特別定額給付金の使徒の分類であり、消費押し上げ効果の列の○×が消費押し上げ効果の有無を示しています。そして、左下のグラフの「特別定額給付金の使途内訳」にある通り、給付額のうちの58.1%程度が貯蓄に回り、27.2%程度が消費に回ったと想定しています。右下のグラフから、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により収入が減少した1501世帯では、赤の破線で囲ってある部分、すなわち、給付金の有無に関係なくおこなわれる②-3の消費の割合がやや高いことから、収入減少世帯では収入を補填する形で特別定額給付金が利用されたとみられる、と指摘しています。そして、これらの結論として、繰り返しになりますが、約3.5兆円、GDP比で+0.7%ポイント程度の押し上げ効果が見込まれるものの、事業費を除く予算規模12.7兆円と比較すれば3割程度にとどまり、費用対効果は低い、とし、加えて、3割程度に上る収入減少世帯への所得補償としては不十分であり、雇用・所得環境は飲食等のサービス業や非正規雇用者を中心に悪化していることから、困窮した世帯への集中的な支援が必要、と指摘しています。

私も、早期にユニバーサルな特別定額給付金を支給することは大いに意味があったと考えていますが、今回のCOVID-19のもっとも重要な経済的帰結のひとつは不平等の拡大であり、不安定所得や低所得の世帯のいっそうの貧困化である、と考えています。そのための経済政策はGoToトラベルではない、と私は考えています。
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2020年08月05日 (水) 15:00:00

やっぱり、景気の谷は今年2020年5月か?

先週金曜日7月31日に、第一生命経済研から「景気動向指数(2020年6月)の予測」と題するリポートが明らかにされており、副題は「景気の谷は2020年5月か」となっています。リポートの中で、景気動向指数のうちの一致指数について前月差+3.4ポイントの上昇、5か月ぶりの上昇と予想しています。その上で、鉱工業生産指数(IIP)とともに公表される製造工業生産予測指数において7月、8月とぞうさんが予想されていることから、CI一致指数が5月でボトムをつけた可能性を示唆し、「感染急拡大による景気腰折れといった事態が避けられるのであれば、2020年5月が景気の谷になるだろう」と結論しています。

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上のグラフは、第一生命経済研のリポートから引用しています。内閣府による「CIによる景気の基調判断」の基準に従えば、現在、5月統計まで10か月連続の「悪化」が「下げ止まり」に変更されるためには、当月の前月差の符号がプラスであることに加えて、3か月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、かつ、プラス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上、必要となります。4~5月の落ち込みが大きかっただけに、そう簡単に基調判断は変更されないものと私は考えていますが、「悪化」の判断の際にはメディアなどがそれなりに取り上げましたし、「下げ止まり」に上方修正された際にも、それなりにマインドの改善が見られそうな気がしなくもありません。密かに期待しています。

最後に、CIにせよ、DIはもっとながら、内閣府では景気動向指数の作成方法はかなり透明に公表しています。私も10年ほど前の長崎大学の紀要論文 "Identifying Trough of Recent Recession in Japan: An Application of Stochastic Business Indicator" で、確率的景気指標とともに取り上げた記憶があります。それでも、その昔には、シンクタンクの中には計算を間違うところがあったのも事実です。まあ、5月が底という結論に大きな影響はないものと思いますが、金曜日8月7日の統計公表を待ちたいと思います。
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2020年08月04日 (火) 18:00:00

IMF Blog に見る新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による不平等問題!!!

とても旧聞に属するトピックながら、IMF Blog で7月下旬に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による経済的な不平等の記事がいくつか出ています。先月7月は、私のこのブログでもいくつかの国際機関、すなわち、OECDやIMFやUNCTADのリポートを引いて、COVID-19に起因する雇用や所得の不平等に関して着目しましたが、その続きです。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、7月21日付け IMF Blog の The COVID-19 Gender Gap と題する記事から引用しています。COVID-19による男女格差の拡大については、第1に、女性は男性よりも社会的セクター、すなわち、サービス業、小売業、観光業、ホスピタリティなど対面での接触が必要なセクターで働いている可能性が大きく(First, women are more likely than men to work in social sectors - such as services industries, retail, tourism, and hospitality - that require face-to-face interactions)、第2に、低所得国では女性は男性よりもインフォーマル・セクターで雇用されている可能性が高く(Second, women are more likely than men to be employed in the informal sector in low-income countries)、第3に、女性は男性よりも無償の家事労働を多く行う傾向、正確には、1日あたり2.7時間多くなっている(Third, women tend to do more unpaid household work than men, about 2.7 hours per day more to be exact)と3つの理由を上げています。上のグラフは、理由の2番め、すなわち、低所得国においてインフォーマル・セクターで女性がより多く働いている現状を表しています。横軸は1人あたりのGDP、縦軸はインフォーマル雇用の男女比であり、1.0を上回ると女性の方が多いということになります。もう日本ではほとんど見かけなくなったメイドさんなどと考えられます。

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次に、上のグラフは、7月23日付け IMF Blog の Unemployment in Today's Recession Compared to the Global Financial Crisis と題する記事から引用しています。ソースとなる研究成果は先月7月16日付けのこのブログの記事と同じですが、今回のCOVID-19パンデミックによる景気後退局面と、前回のいわゆるリーマン・ブラザーズ破綻時の金融危機後の景気後退局面と、テレワーク=在宅勤務については事情は同じであり、対面での接客などを必要とするソーシャル・セクターに比べて、テレワークが出来る職業には高スキルで教育程度の高い雇用者が就いており、いずれの景気後退局面でも低賃金労働者は上位所得層よりも悲惨である(During both recessions, low-income workers have suffered more than top-income earners)と結論しています。

何度でも繰り返しますが、今回のCOVID-19パンデミックに起因する景気後退局面における最大の課題のひとつは格差問題です。もちろん、重症化しやすい感染症ですので、命のみならず健康を守ることが最大の優先課題であることは、専門外のエコノミストでも理解していますが、経済的には不平等の拡大を重視すべきであり、かつてのワシントン・コンセンサスを推し進めた国際機関ですらこうなのですが、格差問題にまったく注目していない我が国の現状をとても不思議に思っています。
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2020年08月03日 (月) 16:00:00

内閣府による「中長期の経済財政に関する試算」と財政のサステイナビリティやいかに?

先週金曜日の7月31日に開催された経済財政諮問会議に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が提出されています。

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主な試算結果のうち、国・地方のPB(対GDP比)及び国・地方の公債等残高(対GDP比)をリポートのp.5から引用すると上の通りです。緑色で明示してありますが、2025年度にプライマリー・バランス(PB)ゼロを目標としているわけですが、現在進行中の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策のための財政支出がかなり膨大なものとなり、基礎的財政収支の均衡達成はほぼほぼ不可能との試算結果です。
何度過去のブログにも書きましたが、長崎大学に出向した際に私が最初に書いた紀要論文のひとつが財政の持続可能性に関するもので、財政のサステナビリティに関する時系列分析方法をサーベイしています。ただし、この論文でも強調していますが、無条件に財政がサステイナブルになるケースが2つあります。ひとつは、バロー的なリカード等価定理が成立する場合です。リカード等価定理が成立している場合には、家計はもちろん、企業などの政府以外の他の経済主体の行動が政府の財源調達とは独立となり、何らの影響を受けることがありません。すなわち、政府が租税により政府支出の財源を調達しても、公債により調達しても、政府以外の経済主体の経済行動に影響を与えませんから、財政は無条件に持続可能となります。これは明白です。もうひとつが、動学的効率性が満たされない場合、もしくは、同じことながら、動学的非効率に陥っている場合です。すなわち、公債金利が成長率を下回っている場合であり、直感的には、無限先の将来における1人当たり、あるいは、GDP比で見た公債残高が発散するほど大きくなることはないという意味で、財政は持続可能となります。私自身は、後者の意味で、すなわち、日本経済は動学的非効率に陥っており、その結果として、財政が持続可能となっていると考えています。逆にいえば、成長率がさらに低下したり、あるいは、公債金利が上昇して、その結果として、動学的効率性が満たされるようになれば、日本も財政の持続可能性を回復する政策に本格的に取り組む必要があります。この点は忘れるべきではありません。
別の観点として2点付け加えれば、まず、現代貨幣理論(MMT)については、私はまだちゃんと勉強していないので、MMTのバックグラウンドにあるモデルについて十分な知識はありませんが、自国通貨を発行できる中央銀行があればインフレにならない限り財政赤字は問題とならないとしているようですから、動学的効率性の観点から日本の財政が持続可能であると考える私の結論は、このMMTの見方とは違います。次に、私が紀要論文でサーベイした財政の持続可能性に関する検定の中で、ある意味、もっとも緩やかな検定はボーン教授の検定なんですが、直観的にはプライマリー・バランスが赤字でも、その赤字幅が縮小していれば持続可能と判断されます。ですから、上のグラフのうちの上のパネル、すなわち、国・地方のPB(対GDP比)を見る限り、2009年度から2018年度にかけては、日本は財政が持続可能であったと考えられるかもしれませんし、加えて、2022年度以降も同じことです。その意味で、プライマリー・バランスの均衡を政策目標とするのかどうかについても、もう一度議論する必要があるのかもしれません。場合によっては、プライマリー・バランスの赤字幅の縮小も政策目標となり得るんではないか、と私は考えています。もちろん、純粋に経済学の理論的な考えであり、見方によっては「目標後退」とした反対論が持ち上がる可能性は十分あります。
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2020年07月31日 (金) 16:00:00

基調判断が上方修正された鉱工業生産指数(IIP)と総じて悪化を示す雇用統計!!!

本日は月末最終の閣議日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から+2.7%の増産を示した一方で、失業率は前月からわずかに0.1%ポイント改善して2.8%、有効求人倍率は前月から▲0.09ポイント悪化して1.11倍と、雇用はかつての勢いはありません。いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産2.7%上昇 5年5カ月ぶり大きさ、自動車けん引
経済産業省が31日発表した6月の鉱工業生産指数速報値(2015年=100、季節調整済み)は前月比2.7%上昇の80.8だった。上昇は5カ月ぶりで、上昇率は2015年1月以来5年5カ月ぶりの大きさ。新型コロナウイルス感染症の影響で5月まで大幅な生産調整をしていた企業が、国内外の経済活動の再開に伴い生産を戻し始めた。
経産省は生産の基調判断を「急速に低下している」から「下げ止まり、持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。同様の表現を使ったのは2013年2月以来、7年4カ月ぶり。
生産を業種別に見ると、15業種10業種で上昇した。自動車工業は前月比28.9%増加した。普通乗用車は引き続き生産調整中だが生産水準が上がった。ショベル系掘削機械などの生産用機械工業も10.2%増加した。一方、ポリプロビレンなどの無機・有機化学工業が3.9%減、パルプ・紙・紙加工品工業などは5.7%減った。
出荷指数は5.2%上昇の80.8と、4カ月ぶりに上昇した。上昇率は比較可能な13年1月以降で最大となった。国内外の経済活動の再開や需要増が起因した。
在庫指数は前月比2.4%低下の100.8と3カ月連続で低下した。自動車工業や、液晶パネルなどの電子部品・デバイス工業などで低下が目立った。出荷が伸びたほか、企業が在庫調整も進めた。在庫率は同7.0%低下の138.2と、4カ月ぶりに低下した。
同時に発表した製造工業生産予測調査では、7月が前月比11.3%上昇、8月は同3.4%上昇となった。ただ、企業の予測値には上方バイアスがかかりやすいことや例年の傾向を踏まえ経産省がはじいた7月の補正値は3.1%の上昇となった。経産省は「調査は7月10日が締め切りのため、最近の新型コロナ感染者の増加は織り込まれていない」と説明し、先行きについて「8月以降の生産活動を注視していきたい」と話した。
6月の完全失業率2.8% 求人倍率は1.11倍に低下
総務省が31日発表した6月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の2.8%だった。改善は7カ月ぶり。2月に2.4%だった失業率は4月に2.6%、5月に2.9%と悪化していた。厚生労働省が同日発表した6月の有効求人倍率は1.11倍で5年8カ月ぶりの低い水準となった。雇用環境は総じて悪化している。
完全失業者数(同)は194万人で、3万人減少した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は8万人増、「自発的な離職」は横ばいだった。就業者数(同)は6637万人で8万人増加した。
休業者は236万人で、5月の423万人から減少した。
業種別にみると、建設業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などで就業者が減った。工事を一時中断や外出自粛の広がりで消費が増えず、非正規社員を中心に雇用を減らす動きが出ている。
厚生労働省が31日発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.11倍で前月から0.09ポイント低下した。2014年10月以来、5年8カ月ぶりの水準に落ち込んだ。有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。
6月は有効求人が前月から1.9%減り、有効求職者は5.4%増えた。政府による緊急事態宣言が5月下旬に全国で解除されたことを受けて、職探しを再開する動きが活発になった。前月と比べた新規求職者の伸び率は18.2%と過去最大となり、求人倍率を押し下げた。


いくつかの統計を取り上げていますのでとても長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は+1%ほどの上昇との見込みながら、レンジでは▲0.5%~+2.9%でしたので、上限に近い増産を記録したことになります。業種別に詳しく見ると、生産が上昇したのは自動車工業、生産用機械工業、プラスチック製品工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、電気・情報通信機械工業、といったところですので、まさに、我が国のリーディング・インダストリーが多く含まれているといえます。逆に、低下したのは無機・有機化学工業、パルプ・紙・紙加工品工業、となっています。製造工業生産予測指数によれば、先行きの生産は足元の7月+11.3%増、8月+3.4%増となっており、上方バイアスを考慮した補正値試算でも+3.1±1.0%増ですから、ある程度の回復は見込めるようです。ただし、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響ので始めた3月の▲3.7%減から、4月▲9.8%減、5月▲8.9%減と累計で▲20%ほどの減産の後、6~7月ともに+3%ほどの増産ですので、足元から目先の先行きで回復が見込まれ、引用した記事にもあるように、経済産業省が基調判断を上方修正したとはいえ、V字回復とはほど遠く回復ペースはかなり緩やかと考えるべきです。

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次に、生産指数の4~6月期の四半期データが利用可能になりましたので、景気の現状をごく大雑把に見ておくために在庫循環図を書いてみました。上の通りです。ピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、黄緑色の矢印で示された直近の2020年4~6月期まで、大雑把に、第15循環における2012年の短い景気後退期の後からプロットしていますので、グルッと1周して、ここ1年間、すなわち、4四半期の間、出荷・在庫とも前年比マイナスで第3象限にあります。実は、4~6月期は出荷▲20.5%減、在庫▲3.4%減ですので、出荷の縦軸のメモリの下限▲20%を下回っているのですが、あまりにも見にくい恐れがあって、スコープ外のプロットを許容しています。いずれにせよ、まさに、景気後退まっただ中ながら、景気転換点も近い、という結果なんですが、COVID-19の影響は右下方向へのシフト、すなわち、出荷のさらなる減少と在庫のさらなる積み上がり、という形で現れる可能性があるものと、私は想像しています。四半期データに基づく分析ですので速報性には欠けますが、景気循環の現状を知るために、それなりに注目しています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期です。いずれも記事にある通りですが、失業率に関して日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは先月の2.9%から6月は3.1%に上昇するという見込みだったところ、実績はコンセンサスどころか、先月実績も上回る2.8%だった一方で、有効求人倍率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは先月の1.20倍から6月には1.14倍に低下する予想が示されていたものの、実績はコンセンサスを下回る1.11倍でした。正社員向けの有効求人倍率についても長らく1倍を上回っていましたが、先々月の4月統計から1倍を下回るようになり、本日発表の6月統計でもさらに下げています。基本的には、雇用はまだ悪化を続けている、と考えるべきです。人口動態との綱引きながら、景気と人手不足との関係で、私が懸念したように、一気に雇用が悪化するという局面ではないものの、厚生労働省のサイト「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」を見る限り、現時点で利用可能な最新の7月22日現在集計分によれば、解雇等見込み労働者数が4万人に迫っており、その中で非正規雇用労働者数が15千人を超えていますから、決して、楽観できる状態にはありません。ただし、上のグラフを見れば、先行指標の新規求人については反転の兆しがあるように見えなくもありません。

最後に、昨日7月30日に内閣府景気動向指数研究会が開催され、2018年10月を第16循環の山として暫定的に認定しました。景気拡大局面は71か月で終了したことになります。内閣府から公表されている参考資料は以下の通りです。なお、機会があれば改めて取り上げたいと思いますが、景気転換点の認定ないし同定については、それなりに時間がかかるものです。ですから、今回の景気転換点の認定を巡って政府の公式見解が誤りであった、とする見方は、私は正しくないものと考えていますので、一言だけ付け加えます。
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2020年07月30日 (木) 17:00:00

商業販売統計の小売業販売の急回復はホンモノか、それとも一時的か?

本日、経済産業省から6月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲1.2%減の12兆2950億円だった一方で、季節調整済み指数では前月から+13.1%増を記録しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が徐々に軽減されてきている可能性があります。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額1.2%減 基調判断「持ち直し」に上方修正
経済産業省が30日発表した6月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.2%減の12兆2950億円となった。自動車の販売不振や石油製品の価格下落などが響き、4カ月連続で減少となった。
業種別で見ると、9業種のうち4業種がマイナスだった。普通自動車などの販売が不振だった自動車は17.2%減、価格下落の影響で燃料小売業は14.6%の減少だった。一方、エアコンや洗濯機、冷蔵庫、パソコンなどの販売が好調で機械器具小売業は15.9%増と4カ月ぶりに増加した。野菜の相場高や内食需要の高まりなどを背景に飲食料品は3.0%増加した。
業態別にみると、大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が2.4%減の1兆6776億円だった。百貨店は新型コロナの影響による催事の縮小、インバウンド需要の減少などが響き、18.4%減の4260億円だった。スーパーは内食需要の高まりで主力の飲食料品が好調だったことが寄与し、4.7%増の1兆2516億円だった。
コンビニエンスストアの販売額は5.1%減の9596億円だった。客単価の増加はみられるものの、オフィス街や繁華街を中心に客数が減ったことが響いた。
政府の緊急事態宣言が5月25日に全面解除され、外出自粛や店舗の休業による影響は和らぎつつある。1人10万円の特別定額給付金の支給もあり、小売業販売額の減少幅は4月(13.9%減)や5月(12.5%減)よりは縮小した。経産省は小売業の基調判断を前月の「下げ止まりがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期であり、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。もう少しすれば、今年2020年5月が底だった、という暫定的な同定をするかもしれません。

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引用した記事の最後にあるように、統計作成官庁の経済産業省では、小売業販売の基調判断を前月の「下げ止まり」から「持ち直し」に上方修正しています。繰り返しになりますが、GDP統計の消費の代理変数となる小売業販売を見ると、季節調整していない原系列の前年同月比は、3月▲4.7%減、4月▲13.9%減、5月▲12.5%減の後、直近で利用可能な6月統計でも▲1.2%であり、確かにマイナス幅縮小していますし、同じ小売業販売の季節調整済み指数の系列の前月比を見ても、4月▲9.9%減から、5月は+2.1%増と小幅なリバウンドを見せ、さらに、6月も+13.1%増を示していますから、この結果を見る限り、基調判断の上方修正はOKなような気がします。もちろん、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響が現れていることは明白で、現状では新たな消費の増大というよりは、外出自粛が解除された効果に過ぎませんが、まだマイナスながら前年同月比でかなりゼロ近いところまで回復しているのは評価すべきという気もします。ただし、グラフなどは取り上げませんが、業態別に売上の前年同月比で見て、百貨店の▲18.4%減はまだ大きく、スーパーの+4.7%増は衣料品が▲4.6%減となった一方で、主力商品である飲食料品が+5.9%増となった結果です。コンビニは在宅勤務が続く中で、オフィス街のある店舗の売上ダウンがあって▲5.1%減を示しています。家電大型専門店販売額は+25.6%増ですから、家電量販店の生活家電、AV家電、情報家電ともに2ケタ増となっています。COVID-19の後の消費のニュー・ノーマルかもしれませんが、家電の大幅増は別としても、エンゲル係数の例にもあるように、日本のような先進国経済の消費が食品販売によって牽引されるとも思えません

いずれにせよ、日本に限らず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で大きなダメージを受けた世界経済の底は4~6月期である可能性が高いとはいえ、第2波や第3波の可能性も排除できませんし、ひょっとしたら、現状がすでにそうなっている可能性すらあります。何よりも、回復ペースは決してV字ではなく、かなりなスローペースを覚悟する必要がある、というのは多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。6月の商業販売統計のうちの小売業販売、特に、季節調整済み系列の前月比2ケタ増は、こういったコンテクストで捉える必要があります。
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2020年07月29日 (水) 15:00:00

リクルートジョブズによる6月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

明後日7月31日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる6月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していますが、他方、派遣スタッフの方は5月のデータが跳ねています。上のグラフの通りです。現時点で判断するのはややムリで、何があったのかは私には判りかねます。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率はまだ+3%近い伸びながら、人手不足がメディアで盛んに報じられていた半年くらい前の+3%を超える伸び率から比べるとジワジワと低下してきています。三大都市圏の6月度平均時給は前年同月より+2.8%、+29円増加の1,083円を記録しています。職種別では「専門職系」(+31円、+2.7%)、「事務系」(+30円、+2.7%)、「製造・物流・清掃系」(+24円、+2.3%)、「営業系」(+22円、+1.7%)、「販売・サービス系」(+6円、+0.6%)、「フード系」(+5円、+0.5%) と、すべての職種で前年同月から伸びています。地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2019年7月統計から先月2020年4月統計まで10か月連続でマイナスを続けた後、5月度平均時給は前年同月より+3.6%ぞうを記録した後、6月も+3.8%、63円増加の1,704円に引き続き増加しています。職種別では、「営業・販売・サービス系」(+79円、+5.6%)、「医療介護・教育系」(+46円、+3.2%)、「IT・技術系」(+23円、+1.1%)、「クリエイティブ系」(+4円、+0.2%)の4職種が前年同月比プラスとなり、マイナスは「オフィスワーク系」(▲32円、▲2.1%)だけにとどまっています。また、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。1年近く前年同月比マイナスを続けてきた派遣スタッフの時給が先月からジャンプしたのですが、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますし、2008~09年のリーマン・ショック後の雇用動向を見た経験からも、COVID-19の経済的な影響は底を打ったように見えるものの、雇用については典型的には失業率などで遅行するケースが少なくないことから、先行き、非正規雇用の労働市場は悪化が進む可能性がまだ残されていると覚悟すべきです。同時に、意外と底堅いという印象もあります。
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2020年07月28日 (火) 18:00:00

上昇率が拡大した6月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)やいかに?

本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+0.8%でした。2月統計の+2.1%まで+2%台をキープした後、3月統計の+1.5%や4月統計の+0.9%から5月統計は+0.5%まで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で一気に上昇率が縮小しましたが、6月統計では+0.8%の上昇とやや上昇幅を拡大しています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小していましたが、前年同月比上昇率としては5月統計を底に、6月統計ではわずかながら上昇幅が拡大して+0.9%を記録しています。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、ロイターのサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、6月税除き前年比-1.0% 経済再開で低下幅縮小
日銀が28日に発表した6月の企業向けサービス価格指数(消費増税除くベース)は前年比1.0%低下した。5月確報は同1.3%低下。緊急事態宣言の解除により、経済活動が再開されたことで需要が戻り、マイナス幅は縮小した。
6月総平均(消費税除くベース)の主な内訳をみると、広告が前年比11.9%低下(5月は14.4%低下)した。4-5月は緊急事態宣言による経済活動の停滞で広告出稿が減少していたが、6月は経済活動の再開を受けて、5月は11.1%低下していた新聞広告が同2.2%の上昇に転じた。インターネット広告は同9.7%低下(5月は13.6%低下)だった。
店舗賃貸などを含む「その他の不動産」は同6.7%低下で、5月の同9.1%低下からマイナス幅は縮小した。
情報通信は同0.2%低下で、ポータルサイト・サーバ運営費を含む「インターネット付随サービス」が同4.0%低下(5月は同4.7%)だった。前月までは飲食店を紹介するウェブサイトの掲載単価が大きく下落していたが、緊急事態宣言の解除によって需要が戻った。


いつもは日経新聞から引用することが多いんですが、日経新聞のサイトの記事が会員限定で、加えて、極めて素っ気ないものですから、ロイターのサイトから引用してみました。包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。もう少しすれば、今年2020年5月が底だった、という暫定的な同定をするかもしれません。

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繰り返しになりますが、消費税を含んだベースの企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、昨年2019年10月の消費税率引上げに伴って+2%に達した後、今年2020年に入って2月+2.1%まで+2%台を続けた後、3月+1.5%、4月+0.9%、5月+0.5%とCOVID-19の影響により一気に上昇幅を縮小した後、直近で利用可能な6月統計では+0.9%を記録しています。ただし、3月統計では消費税の影響を除くベースの前年同月比上昇率が▲0.3%とマイナスに転じた後、6月統計の▲1.0%までマイナスが続いています。いうまでもなく、SPPIの上昇率縮小は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による影響と考えるべきです。サービス価格について、SPPIはもちろん、CPIのコンポーネントでも、人手不足に起因して堅調と考えられていましたが、雇用がかなり怪しくなり始めた印象もありますし、宿泊サービスのように需要が「蒸発」すれば、需給ギャップに従って価格が弱含むのは当然です。もちろん、宿泊サービスだけでなくCOVID-19の影響により、さまざまな分野のサービスへの需要が低迷しており、本日公表の6月統計のSPPIのコンポーネントである大類別について、消費税の影響を除くベースの前年同月比▲1.0%に対する寄与度を見ると、景気に敏感な広告が▲0.59%、さらに、不動産が▲0.20%、情報通信が▲0.06%、リース・レンタルが▲0.05%、諸サービスが▲0.04%、などとなっています。なお、最後の諸サービスに宿泊サービスが含まれています。政府がムリヤリに始めた東京都を除くGoToキャンペーンで、宿泊サービスの価格水準は少しくらい戻ったりするんでしょうか?

本日公表された企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率もそうですし、いろんな指標を見ても、2020年5月が景気の谷であったのではないかというエビデンスが積み上がりつつあります。景気動向指数を待ちたい気もしますが、景気動向指数と連動性が極めて高い明後日公表の鉱工業生産指数(IIP)もひとつの判断材料にして、暫定的な景気の谷を同定するかもしれません。
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2020年07月27日 (月) 16:04:10

第一生命経済研リポート「GoToキャンペーンと消費減税」やいかに?

連休に入る前の木曜日7月22日に第一生命経済研から「GoToキャンペーンと消費減税」と題するリポートが明らかにされています。タイトルから明らかな通り、私も前々から疑問に感じていたGoToキャンペーンよりも、その財源を使って消費税率を一時的に下げた方がいいんではないか、という議論を展開しています。リポートの主張すべてに賛同するわけではありませんが、いくつかの点で私もまったくそのとおりだと思う部分も少なくないことから、図表とともに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから GoToトラベルの追加需要創出効果 の試算結果のグラフを引用しています。詳しく書くと、GoToキャンペーンに伴う観光需要創出効果として、以前、GoToトラベルの効果だけで+0.7~+1.4兆円の中央値となる+1.0兆円程度の効果を試算していたらしいのですが、東京除外による▲0.1兆円の効果ダウンはまだしも、東京都民を中心とした旅行マインドが低下するためさらに▲0.3兆円の需要創出が失われ、結果的に、合わせて▲0.4兆円の下振れが生じて、+0.6兆円程度の効果しか見込めなくなる可能性があると、東京除外によりGoToトラベルの需要創出効果がほぼ半減する可能性を指摘しています。

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次に、上のグラフはリポートから 現在の1年目乗数 のグラフを引用しています。詳しく書くと、内閣府の「短期日本経済マクロ計量モデル (2018年版) の構造と乗数分析」から、個人所得税、法人所得税、消費税の乗数を算出しています。個人所得税、法人所得税については内閣府のペーパーから直接引用できるのですが、消費税についてはリポートで独自の計算をしており、単純にいえば、消費増税ケースのシミュレーション結果が「消費税率を1%ポイント引き上げた」ケースで示されており、個人所得税や法人所得税の名目GDP1%減税と平仄を合わせようと試みているようです。結果として、リポートでは、全品目に対して軽減税率を適用すれば、直接的な実質GDP押上げ効果は+2.7兆円(GDP比+0.5%)となるとした上で、これを英独などにならって半年限定で実施すれば、「財源はGoToキャンペーンの1.7兆円に7000億円を上乗せした2.4兆円程度で済み、実質GDP押上効果も1.3兆円程度が期待できる」と指摘しています。

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リポートでは、期限付きの消費税率引下げの実例を独英から取っているんですが、消費税+減税でgoogle検索をかけると、日本共産党の機関紙「赤旗」7月24日付けで、その独英も含めてもっとも詳細な「各国の主な付加価値税減税措置」が取りまとめられていました。上の画像の通り、引用しています。記事のタイトルは「消費税 19カ国が減税 コロナ禍経済対策」なんですが、やっぱり大国に注目して、サブタイトルで「英国 飲食などを半年間20%→5% 独 首相『将来世代の活動を保証』」と英独をに着目しています。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の抑え込みと経済活性化の間には、経済学でいうところのトレードオフがあります。ですから、政府は経済活性化のバイアスを持つのに対して、野党や政府と一定の緊張関係にあるメディアなどはCOVID-19抑え込みを志向する可能性が大いにあります。経済活性化の一環であるGoToキャンペーンを中止して、その財源をすべて医療やCOVID-19抑え込みに振り向けるというのは、どうも党派的な対立を激化させかねないと私は危惧しています。しかし、GoToキャンペーンの財源に少しプラスして消費税率を一時的に軽減するのであれば、何ら根拠ありませんが、コンセンサスが出来そうな気もします。しかも、私が知る限り、財務官僚は極めて優秀です。私のようなボンクラ元官庁エコノミストと違って、10月実施の税制改正案なんて、然るべきスジでリーダーシップを発揮すれば、数日で出来上がりそうな気もします。
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2020年07月24日 (金) 17:00:00

国連開発計画(UNDP)報告書 "Temporary Basic Income" は何を目指すのか?

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の途上国への影響に関して、昨日7月23日、国連開発計画(UNDP)が実施した社会経済的な影響評価を基に、"Temporary Basic Income: Protecting Poor and Vulnerable People in Developing Countries" と題する報告書が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。国際機関のこういった報告書に注目するのは、私のこのブログの大きな特徴のひとつですので、連休まっ最中ながらグラフ引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポート p.9 から Figure 2. Monthly Cost of a Temporary Basic Income to Poor and Vulnerable People under Different Scenarios ($ billion) を引用しています。なお、引用はしませんが、次のページの p.10 には Table 2. Monthly Cost of a Temporary Basic Income under Different Scenarios, by Regions ($ billion and % of regions' GDP) と題する地域別にブレークダウンしたテーブルもあります。UNDPでは、1か月当たり1,999億ドルあれば、132の開発途上国で貧困ライン以下か、わずかにそれを超える程度の所得以下で生活する27.8億人に一時的にベーシックインカムを保証できると試算しています。なお、先にボヤッと書いた「貧困ライン以下か、わずかにそれを超える程度の所得以下で生活する」貧困ラインとは、南アジアとサラハ以南アフリカでは1日3.2ドル、東アジア・太平洋と中東・北アフリカでは1日5.5ドル、欧州・中央アジアと中南米・カリブでは1日13ドルに設定されており、一番上の1か月1.999億ドル必要なケースはこの貧困ラインに達するまでの金額が支給されると仮定して試算されています。そして、1か月2,570億ドルあれば、これらの人々に中央値の半分の所得、すなわち、我が国やOECDなどで定義している相対的貧困ラインにほかならない所得との差額を支給でき、さらに、1か月4,650億ドルあれば1日当たり5.5ドルのベーシックインカムを支給できると試算しています。加えて、UNDPではCOVID-19の経済的影響を勘案すれば、3か月ないし9か月の支給が必要と主張しており、もしも仮に、6か月の支給を行うとしても、2020年中に予測されるCOVID-19対策費のわずか12%であり、途上国が2020年中に支払うことになっている対外債務の3分の1に過ぎないことから、今年の債務返済に充てられる予定だった資金の使途を変更し(repurposing fiscal resources directed to external debt)、このベーシックインカムに充てることも、各国が必要な資金を賄う方法のひとつであると示唆しています。

何度か繰り返していますが、今回のCOVID-19の経済的影響を考えると、もちろん、需給両面からの経済の下押し圧力が最も重大ではありますが、同時に、交易の利得が失われることも無視すべきではありませんし、加えて、最大の政策的な手当てを必要とするのは不平等の拡大であると、私は考えています。ですから、先週から今週にかけて、第一生命経済研の女性雇用に関するリポートOECD「雇用見通し」テレワークによる格差拡大を批判したIMF Blog、さらに、COVID-19とは関係ないながら「国民生活基礎調査」における相対的貧困率、などなどをこのブログで取り上げてきました。今回のCOVID-19による日本の不平等の拡大は欧米諸国よりも厳しいと私は考えています。なぜなら、同じような新自由主義的な政策によるものとはいえ、例えば、英米では富裕層がさらに所得を増加させることにより不平等が拡大している一方で、日本では低所得層の賃金が伸び悩むことにより不平等が拡大しているからです。一昨日取り上げた「国民生活基礎調査」でもそうですし、例えば、学術的な研究成果では、不勉強な私が見た中ですら、「バブル/デフレ期の日本経済と経済政策」の第6巻『労働市場と所得分配』(慶應義塾大学出版会)に収録されたいくつかの論文でも確認されています。そして、今回のCOVID-19による不平等の拡大は、IMF Blogの指摘する通り、テレワークの難しい低賃金労働者に重くのしかかっており、その意味で、日本の経済社会にとって、不平等対策ないし貧困対策はとても緊急度が高い、と考えるべきです。
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2020年07月23日 (木) 10:00:00

やっぱり景気の山は2018年10月だったのか?

今日の朝刊で相次いで報じられていますが、やっぱり、現在の第16循環の景気の山は2018年10月だったと内閣府が景気動向指数研究会で認定する運びとなりそうです。取りあえず、日経新聞と朝日新聞の記事へのリンクは以下の通りです。



私のこのブログでは、ローカルルールとして、今年2020年3月6日付けの景気動向指数を取り上げた記事から、2018年10月を景気の山として暫定的に同定し、グラフの影をつけたりしています。直近の5月ころが谷だった、という気もしますので、そのうちに、ローカルルールを設定したいと思います。一応、参考まで、7月7日付けの記事で景気動向指数を取り上げた際のグラフは以下の通りです。

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最後に、内閣府の景気循環日付のサイトも、今一度ご参考まで。
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2020年07月22日 (水) 15:00:00

厚生労働省「国民生活基礎調査 (2019年調査)」に見る貧困率をどう考えるか?

やや旧聞に属する話題ですが、7月17日に厚生労働省から昨年2019年調査の「国民生活基礎調査」の結果が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。例年の通り、世帯、所得、健康、介護について取りまとめられていますが、2018年調査はほぼ3年に1度のいわゆる大規模調査の年に当たり、相対的貧困率が算出されています。私は10年ほど前ながら、「相対的貧困率に関する考察: 第14循環における動向」と題した紀要論文を書いたこともあり、貧困や格差の議論は正面から取り上げておきたいと思います。特に、今回の報告では、子供の相対的貧困率について、特に「大人が1人」というカテゴリーを設けて、ほぼ1人親に近い「大人が1人」の子供の貧困率がとても高い点が浮き彫りになっています。まず、その貧困率の年次推移のグラフを示すと以下の通りです。

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上のグラフを見れば明らかなんですが、2019年の貧困ライン、すなわち、等価可処分所得の中央値の半分は127万円となっており、貧困ラインに満たない所得の世帯の構成員の比率である相対的貧困率は15.4%と算出されており、前回調査の2015年から▲0.3%ポイント低下しています。また、17歳以下の子どもの貧困率13.5%と、これも、前回調査の2015年から▲0.4%ポイント低下しています。なお、いかにもお役所らしくてややこしいことながら、17歳以下で定義される子供がいる世帯のうち、世帯主が18歳以上65歳未満で子供がいる世帯を「子供がいる現役世帯」と呼び、子供だけでなくその世帯員の貧困率は12.6%と、大人の世帯員も含めた貧困率は子供の貧困率よりも低くなっているのですが、逆に、大人が1人の貧困率が48.1%と極めて高くなっています。大人が2人以上の貧困率が10.7%に比べて際立っています。「大人が1人」というのは、おじいさん・おばあさんなどのケースもあるとはいえ、ほぼ1人親に近いんではないかと私は想像しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響もあって、私の実感では経済的な格差は拡大しているような気がします。従って、今後の格差是正の議論でも、これらの統計の結果を考えれば、以下の2点が取り上げられることを私は期待しています。まず、第1に、上のグラフでも明らかな通り、青いラインの全体の貧困率が1980年代半ばの12%から2019年には15%を超える水準にほぼ一貫して上昇している点です。加えて、第2に、1人親に近い概念であろうと想像される大人1人の「子供がいる現役世代」の貧困率が極めて高い、すなわち、かつての1990年代終わりの60%超の水準から低下しているとはいえ、まだ50%近い水準にとどまっている点です。

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最後に、所得水準についても見ておきたいと思います。すなわち、上のグラフの通りですが、貧困ラインの設定の基礎となる所得の中央値の推移を示しています。1988年から1991年のバブル末期にグンと伸びたのはやや徒花とはいえ、1990年代終わりの300万円に近い水準から2019年には▲40万円近く低下しています。ですから、デフレで価格の低下があるとはいえ、中央値が低下した分、貧困の強度は強まった、と考えるべきです。この点は忘れるべきではありません。

最後の最後に、どうも、経済開発協力機構(OECD)の方で所得定義の新基準が出されたようで、可処分所得の算出に用いる拠出金の中に、新たに自動車税等及び企業年金・個人年金等を追加した新基準に基づき算出した相対的貧困率もリポートに示されています。今日のブログでは、過去の統計からの接続性を優先して旧基準の計数で議論しています。悪しからず。
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2020年07月21日 (火) 14:00:00

4-5月のマイナス圏を脱した消費者物価指数(CPI)の先行きをどう見るか?

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIは前年同月と比べて横ばいを示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は前月5月統計と同じ+0.4%でした。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により国際商品市況で石油価格が低迷しているのが、物価上昇率を低く抑えている一因となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の消費者物価、横ばい エネルギー価格の下落和らぐ
総務省が21日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比で横ばいだった。前月まで2カ月連続で下落していた。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした原油安に伴うガソリンなどのエネルギー関連の価格下落が和らいだ。食料品や交通費も上昇した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.1%下落だった。
ガソリンや電気代、都市ガス代などのエネルギーは前年同月比で5.3%下落した。5月(同6.7%下落)と比べると下落率は縮小した。原油価格は前年の同時期と比べると水準は低いままだが、足元では回復基調にある。
高速道路料金の休日割引が6月中旬まで適用除外となっていたことも、交通費の上昇に寄与した。昨年10月の消費税率引き上げの影響による、すしやビールなど外食の価格上昇も続いた。
一方、インバウンド(訪日観光客)の大幅減少や国内の外出自粛の影響で、宿泊費が引き続き落ち込んだ。19年10月からの幼児教育無償化の影響で、幼稚園や保育所などの料金も下落した。
生鮮食品を除く総合では全523品目中、388品目が上昇した。下落は118品目、横ばいは17品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.9と前年同月比0.4%上昇した。天候不順や、外出自粛に伴う「巣ごもり」需要からじゃがいもやトマトなどの生鮮野菜の価格が上昇した。生鮮食品を含む総合は101.7と0.1%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.1%の下落でしたので、実績がやや上回ったものの、まずまずジャストミートしたといえます。4~5月統計ではコアCPI上昇率がマイナスに落ち込んだ要因としてエネルギー価格の下落が上げられていましたが、引用した記事の通り、直近の6月統計では引き続き下落しているものの、その下落幅が小幅になって影響が和らいでいます。すなわち、4月▲4.7%、5月▲6.7%と、それぞれ下落し、ヘッドラインCPIの前年同月比上昇率に対する寄与度が4月▲0.37%、5月▲0.54%だったのが、6月には前年同月比で▲5.3%の下落ながら、寄与度は▲0.42%とマイナス幅がやや縮小しています。引き続き、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による石油をはじめとするエネルギー価格からの影響が大きいとはいえ、最悪期は脱した可能性があります。ただし、先行きが楽観できるハズもなく、ひとつは10月統計から昨年の消費税率引上げの影響が剥落します。もうひとつは、6月統計では、昨年10月の消費税率引上げから始まったキャッシュレス決済のポイント還元の終了直前に耐久財への駆込み需要が発生した可能性があり、この効果が来月からすぐに剥落します。例えば、前年同月比で見て、家庭用耐久財は5月▲1.3%下落が6月には+2.5%に跳ね上がっており、教養娯楽用耐久財も5月の+2.4%から6月には+3.1%に上昇幅を拡大しています。すべてではないでしょうが、一部なりとも、こういった耐久財の価格上昇はキャッシュレス決済のポイント還元が6月末で終了することに伴う駆込み需要の影響の可能性があります。

他方で、明日の7月22日からGotoキャンペーンが始まります。東京発着はダメになって、キャンセルが相次いでいるとの報道を見ましたが、大混乱の中で、宿泊料などの需要が「蒸発」した分野をはじめとして、どれだけ物価へのインパクトがあるかどうか、私には疑問です。常識的に考えて、Gotoキャンペーンに合わせて値上げにトライする宿泊業者は少ないような気もします。いずれにせよ、この先、年末くらいまで物価は低空飛行が続くものと考えるべきです。
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2020年07月20日 (月) 17:00:00

6月貿易統計を見て先行きの道のりの長さを実感する!

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲26.2%減の4兆8620億円、輸入額も▲14.4%減の5兆1309億円、差引き貿易収支は▲2688億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の輸出26.2%減 3カ月連続の貿易赤字
財務省が20日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2688億円の赤字だった。赤字は3カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は256億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比26.2%減の4兆8620億円、輸入額は14.4%減の5兆1309億円だった。中国向け輸出額は0.2%減、輸入額は0.8%増だった。


取りあえず、コンパクトに統計のヘッドラインを取りまとめた記事を引用しています。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲350億円の貿易赤字が予想されていて、引用した記事とビミョーに違うんですが、その後、改定されたのかもしれません。いずれにせよ、前年同月の2019年6月は+5881億円の黒字を計上していましたし、季節調整していない系列で3か月連続、季節調整済みの系列で4か月連続の貿易赤字を計上しています。輸入も減少しているわけで、特に、国際商品市況で石油価格が大きく下落して、我が国の輸入原油への支払いも減っています。例えば、原油及び粗油の6月の輸入はキロリットル単位の数量ベースでは前年同月比で▲14.7%減ですが、価格とかけ合わせた金額ベースでは▲71.8%減と、何とも⅓を割り込むまで減少しています。なお、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的影響については、生産などの供給面に加えて、外出の抑制などに伴う需要面も含め、需給両面からの経済活動の下押し圧力の強まりがありますが、さらに、交易の利益が失われるというのが大きなマイナスであると私は考えています。アダム・スミスがピンの製造工程で見たように、国内でも協業に基づく分業により比較優位に基づく生産が行われていますが、いうまでもなく、交易の最大の利益は天候や天然資源をはじめとして、生産要素賦存やスキルが大きく異なる外国との交易で生み出されることは当然です。その意味で、COVID-19の経済的な影響の最大のものは貿易で生じる可能性が高い、と私は考えています。

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輸出については、このCOVID-19の感染拡大以降で、先月の5月統計が最大の前年同月比マイナスとなる▲28.3%減の後、6月統計では▲26.2%減と、わずかにマイナス幅が縮小しましたが、はかばかしい回復は見られません。上のグラフに見られる通りです。特に、輸出数量の前年同月比で見て、5月▲27.3%減から、6月でも▲27.1%減と、ほとんど変わりありません。COVID-19がこのまま終息すれば、先行きの輸出は緩やかに増加するものと私は考えています。主要な最終需要地である欧米先進国ではロックダウンなどの措置が段階的に緩和されており、経済活動を再開する動きが見られることが要因として上げられます。こうした流れが今後も継続すれば、輸出は徐々に回復すると考えられるものの、回復の足取りは鈍くCOVID-19前の水準に戻るにはかなり長い期間を要しそうです。加えて、米国では第2派の感染再拡大の懸念があり、すでに米国の一部の州では経済活動の再制限の措置が取られているのも事実です。従って、ロックダウンなどの措置が再び各地で広がれば、輸出の減少基調が継続する可能性は十分残っていると考えるべきです。要するに、COVID-19の感染拡大次第、ということです。
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2020年07月17日 (金) 14:00:00

Millionaires for Humanity は何を求めているのか?

やや旧聞に属する話題ですが、今週月曜日の7月13日にディズニー家の相続人であるアビゲイル・ディズニー女史をはじめとする7か国80人余りの百万長者が、Millionaires for Humanity というサイトを立ち上げて、"Today, we, the undersigned millionaires, ask our governments to raise taxes on people like us. Immediately. Substantially. Permanently." のためステートメントを公表しています。この引用文は第2パラで太字になっています。さらに、第4パラでは、"The problems caused by, and revealed by, Covid-19 can't be solved with charity, no matter how generous. Government leaders must take the responsibility for raising the funds we need and spending them fairly. We can ensure we adequately fund our health systems, schools, and security through a permanent tax increase on the wealthiest people on the planet, people like us." と表明し、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によって引き起こされた問題は慈善団体ではなく、政府のリーダーが責任を持って対応すべき旨を主張しています。まさにその通りだと私も考えます。
私の目が行き届かなかった部分はあるかもしれないものの、日本のメディアでもいくつかのニュースがあり、中でも、Harper's BAZAARのサイトが英語の原文をもっとも忠実に翻訳していたように思います。海外も含めていくつか本件を報道しているメディアへのリンクを示すと以下の通りです。私は英語とスペイン語しか理解しませんので悪しからず。なお、外国メディアの中でも上の方の3機関はまずまず有名で、Hindu BusinessLine もインドの経済紙だろうと想像つくと思いますが、最後の El Cronista はアルゼンチンの経済紙です。私はアルゼンチンの隣国チリの日本大使館で経済アタッシェをしていましたので、少しだけ馴染みがあります。



最後に、下の画像は Financial Times のサイトEl Cronista のサイトから引用しています。FT の風刺画の一番上に陣取っている金持ちがもっているカップの "MFH" は、まさに、Millionaires for Humanity の略です。El Cronista のドル札の肖像画はマスクをしています。まあ、いろんな受け止めがあるということで、ここは興味本位に引用してみました。再び、悪しからず。

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2020年07月16日 (木) 14:00:00

IMF Blog "Teleworking is Not Working for the Poor, the Young, and the Women" まさにその通り!!!

やや旧聞に属するトピックながら、先週7月7日付けのIMF Blogのサイトに、"Teleworking is Not Working for the Poor, the Young, and the Women" と題する記事がアップされています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のためにテレワーク=在宅勤務が広がっていますが、貧困層、若者、女性には不利になり、格差が拡大する懸念を表明しています。一昨日の『OECD 雇用見通し』と同じで、COVID-19の経済的な影響を単なる需要の停滞や生産の縮小による景気下押しだけでなく、格差の面からも考えるべき、という国際機関の問題意識のひとつではないかと考えます。グラフを引用しつつかんたんに取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、IMF Blogのサイトから The richer are more mobile と題する散布図を引用しています。ドットの単位は国であり、横軸は購買力平価で表示した1人当りGDP、すなわち、一般的に豊かさと考えられている指標であり、縦軸はテレワークのしやすさの指数です。直線で近似すれば、大雑把に正の相関がありそうですし、2時曲線で近似すれば、どうも、原点に対してconcave、というか、上方に対してconvexな曲線が引けそうな気もします。従って、豊かな国ほどテレワークがしやすい、という結論が得られそうです。

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次に、上のグラフは、IMF Blogのサイトから Not at home と題するヒートマップ・グラフを引用しています。下から上に行くほどテレワークがしやすく、左から右に行くほど高給、という2次元ヒートマップです。テレワークしにくいのは、下から順に、宿泊・飲食、建設、運輸、事務補助、卸売・小売などが並んでいて、上の方には情報・通信、金融・保険などが位置しています。これも、大雑把に、左下から右上にヒートアップしていますから、テレワークしやすい産業ほど高給であり、逆に、所得分布の底辺に位置する労働者は、飲食・宿泊などCOVID-19による影響が大きい上にテレワークにも不向きなセクターとなっています。

実は、このIMF Blogの記事のバックグラウンドには学術論文があり以下の通りです。この論文を読むと、ヒートマップはセクター別だけではなく、職種別にも示されていて、これまた、テレワークしやすい職種ほど高給、という結果が示されています。テレワークのしやすさ指標のデータ作成方法なども、もちろん、詳しく記述されています。それほどのボリュームではありませんので、ご興味ある向きにはオススメしておきます。


さて、COVID-19のパンデミックについては、東京都が昨日から警戒レベルをもっとも深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げ、今日も280人以上の感染者を確認した旨の朝日新聞の報道があったりする中で、政府はGoToキャンペーンを強引に進めようとしているやに報じられています。もちろん、エコノミストの端くれとして経済活性化も重要な課題と理解していますが、国際機関ではCOVID-19による格差問題も重要な課題として分析が進んでいる一方で、我が国ではまだ大きな議論にはなっていないようにも見受けられます。貧弱なメディアながら、私はこのブログで格差問題への取り組みの重要性を強調するとともに、誠についでなんですが、感染拡大への影響はシロートとはいえ、観光関係者へは別の手立てを考えることとして、GoToキャンペーンは中止すべきと主張したいと思います。
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2020年07月15日 (水) 17:00:00

日銀「展望リポート」の経済見通しやいかに?

本日、日銀は昨日から開催していた金融政策決定会合にて「展望リポート」を発表しています。景気の現状については、リポート冒頭で「わが国の景気は、経済活動は徐々に再開しているが、内外で新型コロナウイルス感染症の影響が引き続きみられるもとで、きわめて厳しい状態にある。」としています。まあ、順当な判断ではなかろうかという気がします。他方で、文書には出来なかったようですが、日経新聞のサイトでは、黒田総裁が記者会見で「消費は対面サービス関係は完全には戻らないが、モノの消費、生産は底を打った」と発言した旨が報じられています。これも順当なところかと私は受け止めています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げ・
教育無償化政策の
影響を除くケース
 2020年度-5.7~-4.5
<-4.7>
-0.6~-0.4
<-0.5>
-0.7~-0.5
<-0.6>
 4月時点の見通し-5.0~-3.0-0.7~-0.3-0.8~-0.4
 2021年度+3.0~+4.0
<+3.3>
+0.2~+0.5
<+0.3>
 4月時点の見通し+2.8~+3.90.0~+0.7
 2022年度+1.3~+1.6
<+1.5>
+0.5~+0.8
<+0.7>
 4月時点の見通し+0.8~+1.6+0.4~+1.0


「展望リポート」 p.8 にある2020~2022年度の政策委員の大勢見通しのテーブルは上の通りです。各セル下段の< >内は中央値となっています。ただし、4月時点の見通しに中央値がないのは、4月の「展望リポート」に明記されているように、「先行きの不確実性が従来以上に大きいことに鑑み、各政策委員は最大1.0%ポイントのレンジの範囲内で見通し(上限値・下限値の2つの値)を作成することとした」ためです。それから、上のテーブルは、私のタイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、その他の情報とともに、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。さ来年の2022年度になっても物価上昇率は目標の+2%にはるかに達しない、という結論となっています。
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2020年07月14日 (火) 22:00:00

2ケタ安打の6得点でヤクルト初戦に完勝!!!

  RHE
ヤクルト200010000 350
阪  神00031200x 6120


投打がかみ合ってヤクルト初戦に完勝でした。先発秋山投手は不安定な立ち上がりで2失点し、4回に逆転した後の5回にも失点して同点に追いつかれたりしていましたが、今夜は打線がさらに得点を重ねるとともに、リリーフ陣が無失点に抑え切り、ヤクルトを寄せ付けませんでした。先発が降板した後にホームランでダメ押し点を入れられるというのは大きいと思います。安打数が倍なら、得点も倍で、完勝といえます。

明日も、
がんばれタイガース!
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2020年07月14日 (火) 18:00:00

OECD Employment Outlook 2020 に見る新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の雇用への影響やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、7月7日に経済協力開発機構(OECD)から OECD Employment Outlook 2020 が公表されています。OECD Library のサイトではpdfの全文リポートも利用可能です。まず、リポートp.18のInfographicを引用すると以下のとおりです。

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6つのパネルから成っています。左上のパネルでは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に伴う最近の失業率の上昇、右上は雇用維持政策による効果、左の真ん中は2007-08年のリーマン・ブラザーズ破綻時と比較した今回のCOVID-19による喪失マンアワーの比較、右の真ん中はロックダウン時の在宅勤務の割合、左下が上位4分位と下位4分位で労働市場から退出した格差、右下が2つのシナリオに従った雇用の喪失となっています。6月11日付けのブログで「OECD経済見通し」を取り上げた際にも紹介しましたが、COVID-19がこのまま終息していく「単発シナリオ」single-hit-scenario と今年2020年中に第2波の感染拡大が襲来する「双発シナリオ」double-hit-scenario の両方を分析の対象としています。

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300ページを大きく超える英文のリポートですので、とても全部は目を通し切れていませんが、Infographicのほかに、ひとつだけグラフに注目しておきたいと思います。上の通りです。Infographicの真ん中左側のマンアワー喪失を主要国別に見ています。リポートp.37から Figure 1.9. The cumulated impact of the COVID-19 crisis on employment and hours of work is ten times greater than during the global financial crisis を引用しています。データのアベイラビリティに国ごとに少し差がありますが、3か月間の累積マンアワー喪失をCOVID-19パンデミックとリーマン・ブラザーズ破綻後の金融危機と比較して、約10倍のマンアワー喪失があったと結論しています。そもそも、累積マンアワー喪失が他国と比較して小さい日本でも、3か月後の比較ではCOVID-19が金融危機のショックを大きく上回っているように見えます。
また、Infographicの右上のグラフでは、雇用維持策の重要性が強調されていて、このInfographicの基となるグラフはリポートp.36 Figure 1.8. Participation in job retention schemes has been massive in some countries となります。しかし、なぜか、日本はグラフに現れません。ほかに、引用はしませんが、リポートp.60の Table 1.1. Countries have adjusted existing job retention schemes or adopted new ones やp.72の Table 1.3. Countries across the OECD have taken measures to improve support for workers and households not covered by unemployment benefits or job retention schemes では、OECD加盟各国における雇用維持策と家計への所得支持策をテーブルに取りまとめています。日本の政策としては、workers in non-standard jobs への雇用維持策や家計への New universal transfers が目立っています。特に、後者の給付金は我が国のほかは米韓しか実施していない政策です。

今回のリポートでは、特に、低賃金労働者や女性や若者などがCOVID-19deより大きなダメージを受けいる点が強調されています。近く取り上げたいと思っていますが、IMF Blog でも "Teleworking is Not Working for the Poor, the Young, and the Women" という記事が7月に入ってからアップされています。かつて、悪名高きワシントン・コンセンサスを推し進めた国際機関も、もはや、不平等から目を背けることが出来ないほどに格差は拡大しています。
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2020年07月13日 (月) 16:00:00

第一生命経済研リポート「女性雇用により厳しいコロナショック」やいかに?

先週金曜日の7月10日付けで第一生命経済研から「女性雇用により厳しいコロナショック」と題するリポートが明らかにされています。現下の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のために、いろんな「自粛」や営業の規制などが実施されてきましたが、まあ、東京のホストクラブは数少ない例外としても、小売業とか飲食業とか宿泊業などに対する下押し圧力が強い印象で、女性雇用に対する下押しが強まっている可能性を指摘しています。私もその通りだと思いますし、ワクチン・特効薬開発が必要との結論も、従来から指摘しているように、まったく同感ですので、簡単にグラフを引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはリポートから、業種で異なる就業者数の変化を引用していますが、まず、リポートでは今年2020年4~5月の雇用者について性別の前年同月差を見ると、男性が▲22.0万人、女性▲33.5万人と女性の雇用者減が男性の1.5倍を超えており、そのひとつの背景を女性の就業率が高いサービス業の需要喪失にあるとして、上のグラフを示しています。左から見て、建設では男性の就業者減の方が断然大きく、製造業でも男女差はそれほどない一方で、卸小売、宿泊飲食サービス、生活関連サービス娯楽、といったもともと女性就業比率の高い産業では、そもそも就業者の減少幅が大きい上に、男性と比べて女性の就業者の減少が大きい、との統計が示されています。

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上のグラフはリポートから、非正規雇用比率を引用していますが、次に、リポートでは女性の非正規比率の高さと非正規雇用がいわゆる「雇用の調整弁」として使われる場合が多いと指摘しています。すなわち、好況時には人で不足とともに女性や高齢者などの非正規雇用が増加しやすい一方で、現下のような激しい雇用へのショックを生じている場合は職を失いやすいのは事実かもしれません。労働経済学では、その昔には、女性パートや学生アルバイトについては、男性労働者をコアに見立てた上で、「縁辺労働者」と呼んでいた時代もあります。そして、その昔の日本の労働や家庭の実態とは、そのコアな男性正社員が無限定・無制限に会社のために働き、夫不在の家庭を専業主婦の妻が家事や育児などをやりくりする、というモデルを基に、労働政策や社会政策が立案・実行されて来たという歴史があります。例えば、モデル家庭として、正社員の夫と専業主婦の妻と2人の子供の4人家族を設定したりしていたのは事実です。他方、こういった歴史的な経緯をそろそろ脱却して、ワーク・ライフ・バランスはもとより、女性労働や高齢者の働きやすい環境を整備したり、年金や医療といった政策を、COVID-19によるショックでさらに深く追求すべき段階に来ていることも事実です。

加えて、リポートでは、EC市場の成長やサブスク市場の拡大が小売業などから女性雇用を減少させる、なども取り上げられていますが、もっとも重要な最後の結論で、「求められるワクチン・特効薬開発と女性雇用創出」を上げています。後段の「女性雇用創出」はもちろん重要ですが、やっぱり、ワクチン・特効薬の開発により従来型の人と人が触れ合うことが感染のリスク低く行えるようにすることがもっとも重要だと私も考えており、従来からこのブログでも主張している通りです。なぜかは知りませんが、私の勤務する大学の経営陣は「ウィズ・コロナ」という用語を多用しているように感じていて、私は「ウィズ・コロナ」とか、「コロナウィルスとの共存」なんてのは、少なくとも個人的にはご免こうむりたいと考えています。私の嫌いな「敗北主義」的な雰囲気も感じてしまいます。話は脱線しますが、阪神が今季開幕時に負け続けていた際、「打線を固定しろ」とか、「捕手はxxで固定しろ」とかいった論調がスポーツ紙に出ていましたが、あくまで、ジタバタと手を変え品を変えて対応する矢野監督を私は支持します。そんなのは勝っていくうちに自然と固定されるもので、「負けてもいいから固定しろ」というのは敗北主義そのものです。ダメな時はいろいろとやってみるべきだと私は考えています。話を本筋に戻すと、感染力が格段に違いますので、その昔のペスト禍と現在のコロナ禍を同一視することは適当ではありませんが、ペストを気にした日常生活が現時点でありえないわけですし、コロナウィルスに対応する「新しい生活様式」なんてものが必要でなくなるくらいに、ワクチンや特効薬の開発が進んでほしいと私は願っています。
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2020年07月10日 (金) 16:00:00

前年同月比マイナスとはいえ6月の企業物価指数(PPI)は下げ止まったのか?

本日、日銀から6月の企業物価 (PPI) が公表されています。企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲1.6%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業物価指数、前月比0.6%上昇 原油や銅価格の回復で
日銀が10日発表した6月の企業物価指数(2015年平均=100)は99.6と、前年同月比で1.6%下落、前月比で0.6%上昇した。前月比で上昇に転じるのは5カ月ぶり。6月は新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した経済活動の再開が広がった。原油や銅の価格が回復したことで、企業物価は5月と比べて上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。新型コロナの影響で、企業物価指数は5月にかけて大きく下落していた。品目別に見ると原油や銅相場の影響を受けやすい石油・石炭製品や非鉄金属で5月から価格が回復した。
円ベースでの輸入物価は前年同月比15.6%下落した。前月比では0.9%上昇した。円ベースでの輸出物価は前年同月比で4.1%下落し、前月比では0.8%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で3.1%下落、前月比では0.6%上昇した。前年比の上昇率は17年1月以来の大きさだった。
前月比では回復に転じものの、前年から比べると低い水準であることには変わりなく「新型コロナが企業物価の重しとなっている状況には変わりがない」(日銀)という。日銀は今後も、国内外の実体経済の回復が企業物価に与える影響を注視する姿勢だ。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、PPIのうち国内物価の前年同月比上昇率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で▲2.0%の下落、レンジ上限は▲1.6%減ということでしたので、まあ、こんなものかという気もします。国内物価の季節調整していない原系列の前月比+0.6%への寄与度を見ると、石油・石炭製品が+0.51%、非鉄金属が+0.08%と、とこの2類別で殆どを説明できてしまいますし、これに続くのがスクラップ類+0.06%ですから、中国が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの最悪期を脱した影響が大きいと考えるべきです。おそらく、日本国内の景気動向も4~5月ころが底だったと考えられますから、需給ギャップから見ても6月統計で下げ止まりを示すのは自然な流れと私は受け止めています。ですから、世界経済、というか、先進国経済を中心とする世界経済における需給ギャップも考慮すれば、国内物価だけでなく、輸出物価も輸入物価も、そして、需要段階別で見ても、素原材料も中間財も最終財も、すべてのカテゴリーで下げ止まっているのが上のグラフから見て取れます。しかし、他方で、いま上げたすべてのカテゴリーの企業物価上昇率がマイナスであるのも事実ですし、PPIターゲットではなくCPIターゲットとはいえ、+2%の日銀の物価目標からはほど遠い、という点も決して忘れるべきではありません。
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2020年07月09日 (木) 17:00:00

先月の大幅減からわずかに増加に転じた5月の機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から5月の機械受注が公表されています。機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+1.7%増の7650億円と小幅ながら反転増加を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

機械受注、5月1.7%増 製造業は15.5%減
内閣府が9日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.7%増の7650億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3.1%減だった。
うち製造業は15.5%減、非製造業は17.7%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は16.3%減だった。内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」で据え置いた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、コア機械受注に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比▲3.2%の減少、レンジ上限は+2.1%増ということでしたので、上限に近いとはいえ、まあ、こんなものかという気もします。単月での振れの大きい統計ですし、それだけに、上のグラフでも6か月後方移動平均をボールドで示し、そのトレンドを示しグラフはまだ上向きになっていませんので、統計作成官庁である内閣府でも基調判断を「足元は弱含んでいる」で据え置いています。妥当なところかという気がします。加えて、これも季節調整済みの系列で見て、製造業が前月比▲15.5%減と先行指標である外需の落ち込みに連動する形で4か月連続での減少を記録しています。我が国のリーディング・インダストリーである自動車・同付属品が今年2020年2月から4か月連続の前月比マイナスを記録しているのはやや気がかりです。非製造業の+17.7%増は運輸業・郵便業、金融業・保険業、通信業などからの受注増であり、人手不足など、それなりの要因は十分に予想されるところです。ただ、何といっても、先行きは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大次第という面があるものの、決して、明るい展望が開けているわけでもなく、仮に機械受注統計が4月で底を打ったとしても、その後の設備投資の回復はかなり緩やか、というか、むしろ、設備投資は緩やかな減少を続ける可能性もあります。人手不足に起因する代替設備需要はあるものの、企業業績の悪化に加えて、不確実性も払拭されていないからです。
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2020年07月08日 (水) 16:00:00

大きく改善して1月水準に戻りつつある景気ウォッチャー!!!

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+23.3ポイント上昇して38.8を示し、先行き判断DIも+7.5ポイント上昇して44.0を記録しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆1768億円の黒字を計上しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、過去最大の上げ幅 経済活動再開で
新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ景況感が急速に改善している。内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査によると、街角景気の現状判断指数(DI、季節調整済み)は38.8と、前月比23.3ポイント上昇した。上げ幅は比較可能な2002年以降で最大だった。
改善は2カ月連続で、感染拡大前の今年1月の水準(41.9)に近づいた。6月25~30日に景気に敏感な業種・職種の経営者や現場の担当者ら約2千人に景況感を聞いた。
政府は5月25日に緊急事態宣言を全国で解除した後、段階的に経済活動のレベルを引き上げた。客足に回復の兆しがみられことから、小売りや飲食関連の景気実感が急速に改善した。
5月の経常収支、1兆1768億円の黒字 71カ月連続黒字
財務省が8日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆1768億円の黒字だった。黒字は71カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆894億円の黒字だった。
貿易収支は5568億円の赤字、第1次所得収支は2兆434億円の黒字だった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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引用した記事にもあるように、景気ウォッチャー現状判断DIの季節調整済みの系列で見て、6月統計は38.8と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が大きく拡大する前の今年2020年1月の水準である41.9にかなり近づきつつあります。ただし、現状で、東京都の感染者数が連日100人を超えていることに見られるように、それほどマインドの回復が順調に進むとは思えず、特に、今は政府も東京都などの地方公共団体も強気ですが、COVID-19の第2波や第3波次第ではマインドは再び急速に悪化する懸念は残ります。もちろん、これだけ急激な変化幅を見せたわけですので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を5月の「悪化に歯止めがかかりつつある」から、6月統計に対しては「持ち直しの動きがみられる」に上方修正しています。すべてのコンポーネントが底を示していた4月統計から2か月連続の改善なわけですが、もっとも懸念されるのは雇用関連DIの戻りが遅い点です。すなわち、現状判断DIの季節調整済み系列について、4月から6月統計への2か月の差を見ると、現状判断DI全体では2か月で+30.9ポイントの上昇を示していますが、COVID-19による経済的な影響が最も大きかった飲食関連の+42.7ポイントをはじめとして、家計動向関連が+35.8ポイント改善している一方で、企業動向関連ではそもそもダメージが家計動向関連ほど大きくなかったことから+20.5ポイントの改善にとどまっていますし、特に、雇用関連では+21.1ポイントとなっています。企業動向関連と同じで、雇用に関しては短期にはどうしようもない人口動態から人手不足が進む中で、もともとCOVID-19のダメージが小さかったとはいえ、家計の消費の原資に直結する雇用の改善の動向はやや気がかりなところです。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、COVID-19の影響は経常収支でも最悪期を脱した可能性があります。内外の景気動向の差に基づく貿易赤字が主因となって経常収支が落ち込んでいますが、季節調整済みの系列で見る限り、まだ貿易収支は赤字で経常収支も低い水準にあるものの、最悪期を脱して回復に向かっている可能性が高いと考えるべきです。
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2020年07月07日 (火) 16:00:00

悪化を続ける景気動向指数もそろそろ底を打つか?

本日、内閣府から5月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲1.6ポイント上昇して79.3を示した一方で、CI一致指数も前月から▲5.5ポイント下降して74.6を、それぞれ記録しています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、10か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の景気動向指数、一致指数は10年10カ月ぶり低水準
内閣府が7日発表した5月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比5.5ポイント低下の74.6と4カ月連続で低下した。新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛や企業活動の停滞などを背景に、指数の水準は09年7月(74.2)以来10年10カ月ぶりの低さだった。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のすべてが指数を押し下げた。新型コロナによる雇用環境の悪化を受けた有効求人倍率(除学卒)の影響が最も大きく、生産調整などが響いた鉱工業用生産財出荷指数が続いた。
一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は、10カ月連続で「悪化」となった。基調判断が10カ月連続で「悪化」となるのは、08年6月からの11カ月連続以来の長さだ。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比1.6ポイント上昇の79.3と、3カ月ぶりに上昇に転じた。経済活動再開を受けた景況感持ち直しへの期待感から消費者態度指数が改善したほか、東証株価指数の上昇などが寄与した。もっとも、内外需の低迷や新型コロナの「第2波」などへの懸念はくすぶり、水準は依然として低い。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比3.8ポイント低下の94.0と5カ月連続の低下だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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ということで、景気の落ち込みは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものであることは明らかです。すなわち、景気動向指数のうちのCI一致指数を前月との差で見ると、2月こそ▲0.6ポイントで済んだものの、3月には▲4.9ポイントの下降、4月は過去最大の▲8.7ポイントの下降、そして、直近の5月には▲5.5ポイントの下降となりました。まず、一致指数を詳しく見ると、引用した記事にもある通り、有効求人倍率(除学卒)のマイナス寄与がもっともお菊、次いで、 鉱工業用生産財出荷指数、さらに、生産指数(鉱工業)の順となります。速報段階で利用可能な7系列はすべてマイナスを記録しています。他方で、CI先行指数は5月は上昇に転じています。消費者態度指数のほか、新規求人数(除学卒)やマネーストック(M2)(前年同月比)のプラス寄与が大きくなっています。先月末に公表された鉱工業生産指数(IIP)を取り上げた際にも、6月の製造工業生産予測指数がプラスを示していることから、ひょっとしたら、5月がCOVID-19による景気後退の底かもしれない、と示唆しましたが、同じことは景気動向指数のCI先行指数からも見て取れます。ただし、5月単月でわずかな上昇ですから、まだ、3か月後方移動平均すらプラスにはなっていません。何度も繰り返しになりますが、この4~6月期が景気の底になる確率はかなりある一方で、その先の景気回復は極めて緩やかなものとなる確率はそれ以上に高いのかもしれません。

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最後に、本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ね、このブログでも長らくパスしていたんですが、そろそろ、先月あたりから取り上げてみようかと考えてグラフを書いています。統計のヘッドラインとなる名目の現金給与総額は季節調整していない原数値の前年同月比で▲2.1%減少の26万9341円となっています。実質賃金も同じく前年同月比▲2.1%の減少です。COVID-19の影響で残業が大幅に減少したため、所定外給与が名目で▲25.8%の減少を示しています。景気動向指数のトピックに隠れて、こっそりと持ち出しておきたいと思います。
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2020年07月06日 (月) 15:00:00

ピュー・リサーチ・センターによる米国大統領選挙の支持階層分析やいかに?

6月30日付けで、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから Public's Mood Turns Grim; Trump Trails Biden on Most Personal Traits, Major Issues と題する調査結果が明らかにされており、Trump Trails Biden というタイトルから明らかな通り、米国大統領選挙の支持階層分析が示されています。

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上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから As in 2016, wide divides by gender, race and ethnicity, age and education in 2020 voter preferences と題するグラフを引用しています。米国大統領選挙の候補と考えられる民主党の売電上院議員と共和党のトランプ現米国大統領を比較して、その支持層を性別・人種別・年齢別・学歴別、などで分類しています。全体として、10%ポイント前後の支持率の差があるのは多くの世論調査結果で共通しているように私は受け止めています。その上で、性別には大きな特徴はないものの、人種別には黒人やヒスパニックでバイデン候補がリードしています。年齢では若いほど、また、学歴が高いほどバイデン候補の支持が大きい、との結果が示されています。これは4年前のBREXITの英国国民投票とかなり類似していると私は考えています。典型的には、PoliticoのGuàrdiaリポートが明らかにしています。4年前の2016年のBREXITの国民投票でも、年齢が低いほど、また、学歴が高いほど、Remainの投票割合が高い、との結果となっています。おそらく、4年前の米国大統領選挙でもご同様だったんではないかと私は想像していますが、それでもトランプ米国大統領が選挙で勝ったわけですから、示唆に富む分析結果ともいえます。

さて、今年の米国大統領選挙を制するのは誰なんでしょうか?
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2020年07月03日 (金) 10:00:00

米国雇用統計のリバウンドをどう評価するか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の大幅減の後、5~6月統計ではリバウンドして6月には+4,800千人増を記録しています。同じく、失業率も一気に悪化した4月からのリバウンドが見られ、11.1%に改善しています。でも、まだ、10%を超える水準です。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから統計を報じる記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

4.8M jobs added and unemployment falls to 11.1% as more states reopen after COVID-19 shutdowns
The U.S. economy added a record 4.8 million jobs in June as states continued to allow businesses shuttered by the coronavirus to reopen and more Americans went back to work, even as massive layoffs have persisted.
The unemployment rate fell to 11.1% from 13.3% in May, the Labor Department said Thursday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 3.1 million jobs were added in June.
But while the rebound in employment has soundly topped estimates, a surge of new infections in many states threatens to curtail gains in coming months.
The number of Americans on temporary layoff fell by 4.8 million to 10.6 million as many laid-off workers were called back amid state reopenings. About 60% of unemployed workers were on temporary layoff, down from 73% in May. At the same time, 2.9 million people had permanently lost jobs in June, up from 2.3 million the prior month, in a sign more employers are cutting ties with workers.
The Labor Department separately reported Thursday that 1.4 million Americans filed initial jobless claims last week, down from 1.5 million the prior week, a sign that a historically high number of workers continue to be laid off. Claims have reached a staggering 48 million the past three months.


やや長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期だったんですが、米国経済が長らく景気回復・拡大を続けているために、このグラフの範囲外になってしまっているものの、現在の足元で米国経済が景気後退に入っていることは明らかです。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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米国に限らず、経済指標が4月や5月に大きく悪化したのは、いうまでもなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のためのロックダウンなどの措置によるものであり、その後の感染拡大と経済回復のトレードオフに直面して、いろんな方向性が示されているところですが、米国は我が国や欧州と比較して、明らかにCOVID-19の感染拡大防止よりも経済回復に力点をおいているように見受けられます。しかし、その米国においてすら、雇用の回復が緩やかであるわけですので、我が国などにおける経済政策の方向性も、十分、米国政策動向を考えて策定されるべきです。特に、従来から、米国は我が国などに比較して、雇用では賃金という価格ではなく数量ベースの調整、すなわち、雇用者の増減で労働市場の調整が行われる経済構造になっていましたので、雇用者や失業率の大きな変化が生じているわけですが、6月の雇用増+4,800千人増をもって、「単月で過去最大」とトランプ米国大統領が発言したと、日経新聞のサイトで報じられていますが、4月に20,000万人超の減少があったわけですので、まだまだ雇用回復の道のりは長いと覚悟すべきです。事実、米国議会予算局(CBO)では、7月2日に10年間の長期経済見通し An Update to the Economic Outlook: 2020 to 2030 を公表しましたが、失業率は今年2020年に10.5%、来年2021年7.6%、そして、2025-30年になっても米国失業率は4.4%に高止まりし、COVID-19パンデミック前の2019年の水準である3.5%には戻らない、と予測しています。CNNの報道などでも注目しています。

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最後に、上のグラフは時間当たり賃金の動向をプロットしています。雇用統計と同じように、4月統計で大きくジャンプし、その後、5~6月統計と落ち着きを取り戻し始めていますが、少なくとも米国連邦準備制度理事会(FED)の金融政策に対する指標としての役割を取り戻すまでは、もう少し時間がかかりそうです。
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2020年07月02日 (木) 17:00:00

総務省統計局「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」に見る東京都からの脱出やいかに?

一昨日の6月30日付けで総務省統計局から「統計Today No.157」として、「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」と題するリポートが公表されています。『住民基本台帳人口移動報告』からのリポートで、実は、6月10日にも同じ『住民基本台帳人口移動報告』を基にした3月と4月の国内移動のリポートが「統計Today No.156」として公表されていますが、後者の「統計Today No.156」は通常の年度替わりの移動や引越しシーズンの特徴を取りまとめただけなのに比べ、前者の「統計Today No.157」ではタイトル通りに緊急事態宣言との関連に焦点が当てられています。実は、私はこの「統計Today」というシリーズは書いたことがないのですが、別シリーズの「統計リサーチノート」というのは、統計局に出向していた際にいくつか書いた記憶があります。それはともかく、グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。なお、この『住民基本台帳人口移動報告』では、あくまで引越しに伴う移住のことを「移動」と定義していますので、電車に乗って買い物に行ったり、通勤とか、宿泊を伴うとしても旅行なども、この統計で定義する「移動」ではありません。この点は注意が必要です。また、統計局より1日早く、6月29日付けでみずほ総研から同じ趣旨の「コロナで東京の転入超過数が急減」と題するリポートも明らかにされています。こちらもご参照かもしれません。

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上のグラフはリポートから引用していて、最近7年間の月別の東京都の転入超過数をプロットしてあります。リポートのタイトルこそ、「国内移動」と気張ってはいますが、実は、このリポートは緊急事態宣言下での東京への人口流入に焦点を当てています。そして、上のグラフから明らかな通り、外国人を含む移動者数の集計を開始した2013年7月以降初めて、わずかに1000人余りではありますが、緊急事態宣言中の2020年5月に東京都は転出超過を記録しています。どこまで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のための緊急事態宣言が影響したのかは、少なくとも現時点では不明ながら、何らかの関係を強く示唆されていると感じるのは私だけではないと思います。ここ数年で月単位で見ても、東京に移り住む人の数が一貫して東京の外に出る人数を上回っていたにもかかわらず、緊急事態宣言が出された後の今年2020年5月にはこれが逆転し、ネットで見て東京から外に移り住む人の数の方が多くなったわけです。どうでもいいことながら、我が家のカミさんと私は3月に東京から移り住んでいます。

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まず、地域的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、道府県別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。明らかに東京近郊の首都圏から東京に移り住む人の数が減っていることが理解できます。首都圏のほかでは、大阪府、愛知県、福岡県といった人口の大きな府県が続いています。でも、大雑把にいって、埼玉県、千葉県、神奈川県からの転入が減っていることが大きな要因です。

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次に、年齢的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、5歳階級の年齢別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。20歳代前半をピークにして、大雑把に、年齢とともに徐々に転入超過者数のマイナス幅が小さくなっており、明らかに若年層を中心にした東京転入減だということが理解できます。すなわち、これらのグラフを並べると、首都圏3県から20代を中心に、おそらく、進学や就職などの機会で東京に移り住むのをヤメにして、地元から通学・通勤する方を選択した人が昨年より多くなった、という結果なのであろうと想像されます。そして、時期的に2020年5月が緊急事態宣言下であったということは、要因のひとつがCOVID-19であろうという点も示唆されている気がします。ただし、東京一極集中はともかく、首都圏への集中が緩和された、ということにはならないんではないか、と私は受け止めています。

最近、東京でのCOVID-19感染者数がジワジワと増加の兆しを見せていて、1日あたりで今日は100人超との速報を見ました。クラスターの発生した周辺を重点的に検査しているから、との発表もあるようですが、この東京からの純転出という統計は、現在、東京都知事選挙の終盤戦で、小池都政への批判もひょっとしたら含まれているのかもしれません。たぶん、違うとは思いますが。
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2020年07月01日 (水) 15:00:00

急激に悪化した企業マインドを反映する6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から▲26ポイント低下して▲34を示した一方で、本年度2020年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比▲0.8%の減少と3月調査の結果から下方修正されてます。日銀短観の設備投資計画は統計のクセとして、6月調査は3月調査よりもハネ上がるのが通例なんですが、極めて異例の結果となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、11年ぶり低水準 日銀6月短観
日銀が1日発表した全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス34になった。リーマン危機後の2009年6月以来11年ぶりの低水準だ。3月の調査から26ポイントの落ち込みで、悪化幅は過去2番目の大きさ。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に経済活動が停滞している影響がくっきり表れた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業のマイナスは2四半期連続。QUICKが事前に集計した民間予測の中心値(マイナス31)を下回った。悪化は6四半期連続になる。かねて米中貿易摩擦で業況が悪化していたところに新型コロナの世界的な流行が追い打ちをかけた。
非製造業はマイナス17で25ポイント悪化した。過去最大の悪化幅だ。中小企業の景況感も悪化した。製造業はマイナス45で30ポイント下がった。
大企業の景況感は小売業だけが改善し、他の業種は軒並み悪化した。DIが最も低かったのはコロナ禍が直撃する宿泊・飲食サービスでマイナス91だった。入国制限や外出自粛で観光客が「蒸発した」(日銀)。レジャー施設などを含む対個人サービスは64ポイント下がり、マイナス70となった。感染防止のため長期間の営業自粛を余儀なくされたためだ。
製造業で最もDIが悪かったのは基幹産業である自動車だ。マイナス72で55ポイント下がった。09年6月(マイナス79)以来の低い水準だ。自動車販売の急減で生産調整を余儀なくされている。
小売業はプラス2で9ポイント上昇した。食品スーパーやホームセンターで「巣ごもり需要が好調だった」(日銀)という。
先行きは大企業(全産業)がマイナス21と5ポイントの改善を見込む。ただ、新型コロナの感染者はブラジルやインドなど新興国で増加に歯止めがかからず、経済活動を再開した米国でも再び増えている。先行きの不透明感は強い。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月、あるいは、四半期ベースでは2018年10~12月期を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、先週6月26日付けのこのブログでも日銀短観予想を取り上げ、大雑把に、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIが▲30前後という結果をお示ししていましたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく大企業製造業の業況判断DIが▲31と報じられていますので、実績が▲34ですから、やや下振れした印象はあるものの、現在までの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を考慮すれば、ほぼ「こんなもん」と受け止められているような気がします。私が見た範囲で特徴的だったのは、もちろん、細かい産業別規模別に見ればバラツキは大きいものの、規模別で大企業・中堅企業・中小企業の分類、また、産業も大きく製造業と非製造業であれば、2×3の6カテゴリーで見て、3月調査から6月調査への変化幅は▲25から▲30の範囲にあります。より細かく見ると、非製造業のうちでも小売業は3月調査から6月調査への変化幅で見て、大企業こそ記事にもあるように+2と企業マインドが改善している一方で、同じ小売業でも中堅企業は▲16と3月調査から悪化していますし、中小企業では▲18と悪化幅が大きくなっています。そして、小売業に限らず、先行きについては大企業と中堅・中小企業とで明暗が別れています。すなわち、大企業では製造業・非製造業ともに先行き業況判断DIは改善すると見込んでいるのに対して、中堅・中小企業では足元から先行きにかけてもさらに悪化すると考えています。上のグラフに見られる通りです。ただし、改善の方向を示すとはいえ、大企業でもまだDIの水準は大きなマイナスのままです。ということで、変化方向ではなく6月調査の業況判断DIの水準に着目すると、特に低水準となっているのは製造業では自動車、非製造業では宿泊・飲食サービスとなっています。ですから、COVID-19の感染拡大防止のための世界的なロックダウンや外出自粛の影響が大きいのはいうまでもありません。繰り返しになりますが、先行きもヘッドラインとなる大企業製造業こそ3か月先には▲27と改善する見込みを示しているものの、まだまだDIの水準としては低いと考えるべきですし、製造業でも非製造業でも、中堅企業と中小企業は先行きさらなる悪化が見通されています。何度も繰り返しましたが、日本を含む先進国経済については4~6月期で底を打つ可能性が高いものの、その後の回復はかなり緩やかになるものとの予想が強まっています。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学的な生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としてはいずれも過剰感が高まる方向なんですが、DIの水準として、設備についてはすでにプラスに転じて過剰感が発生している一方で、雇用人員については大きく不足感が緩和されたとはいえ、まだ過剰感が発生するには至っておらず、絶対的な人数としては不足感が残っている、ということになります。ただし、何度もこのブログで指摘しているように、賃金が上昇するという段階までの雇用人員の不足は生じていない、という点には注意が必要です。ただ、我が国人口がすでに減少過程にあるということが企業マインドによく反映されていることは事実です。安倍内閣はかつて賃上げを経済界や経営者団体に要請したこともあったんですが、それでも賃金が上がらなかったのですから、マインドだけに不足感があり、経済実態としてどこまで不足しているのかが、私には謎です。グローバル化が進む中で生産関数が同じ産業では賃金が途上国や新興国の水準に影響を受けるというのが国際貿易論の結論ですが、そうなのかもしれませんし、違うかもしれません。他方で、ITC化などのスキル偏重型の技術進歩のため格差が拡大している、というのが主流派経済学の主張です。これもそうなのかもしれませんし、違うかもしれません。

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日銀短観の最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。最初に書いた通り、日銀短観の設備投資計画のクセとして、3月調査時点ではまだ決まっている部分が少ないためか、3月には小さく出た後、6月調査で大きく上方修正される、というのがあったんですが、今年度2020年度だけは違っています。3月調査の設備投資計画から6月調査では全規模全産業で下方修正されています。これは、リーマン・ブラザーズ破綻直後の2009年度に3月調査で▲14.3%減から6月調査の▲17.1%減に下方修正されて以来の異例のパターンです。加えて、2019年度の設備投資計画も最後の6月調査による実績では前年度比マイナスとなりました。ただ、上のグラフは全規模全産業をプロットしてありますが、大企業全産業では+3.2%増と底堅い設備投資計画が示されています。ただし、グラフは示していませんが、設備投資の決定要因としては将来に向けた期待成長率などとともに、足元での利益水準と資金アベイラビリティがあります。6月調査の日銀短観でも全規模全産業の経常利益の2020年度計画は前年比で▲20%近いマイナスですし、資金繰り判断DIは中小企業でとうとうマイナスに悪化しています。この資金繰りについては、日本政策金融公庫が実施している「中小企業景況調査」でも5月からマイナスに転じており、日銀としても何らかの中小企業向け資金繰り支援策を考慮する必要があるんではないか、と私は考えています。

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最後の最後に、日銀短観を離れて、本日、内閣府から6月の消費者態度指数も公表されています。6月の消費者態度指数は5月から+4.4ポイント上昇して28.4となり、2か月連続で前月を上回りました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。」と上方修正しています。グラフだけ上の通りお示ししておきます。
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2020年06月30日 (火) 17:30:00

いずれも市場の事前コンセンサスから下振れした鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計をどう見るか?

本日は月末最終の閣議日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から▲8.4%の減産を示し、失業率は前月から+0.3%ポイント上昇して2.9%、有効求人倍率は前月から▲0.12ポイント低下して1.20倍と、雇用も悪化しています。いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月鉱工業生産、8.4%低下 6月予測は5.7%上昇
経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は、前月比8.4%低下の79.1だった。低下は4カ月連続。生産の基調判断は「急速に低下している」に据え置いた。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月比5.8%低下だった。
出荷指数は8.4%低下の77.2で、在庫指数は2.5%低下の103.4。在庫率指数は6.9%上昇の148.1だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では、6月が5.7%上昇、7月は9.2%上昇を見込んでいる。
5月の完全失業率2.9% 前月比0.3ポイント上昇
総務省が30日発表した5月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月比0.3ポイント上昇した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.8%だった。
完全失業者数(同)は197万人で、19万人増加した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は7万人増、「自発的な離職」は4万人増だった。就業者数(同)は6629万人で4万人増加した。
5月の有効求人倍率、1.20倍 下げ幅は46年ぶりの大きさ
厚生労働省が30日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.12ポイント低下の1.20倍だった。下げ幅は第1次石油危機後にあたる1974年1月(0.20ポイント低下)以来、46年ぶりの大きさだった。倍率は2015年7月以来4年10カ月ぶりの低水準で、QUICKがまとめた市場予想の平均の中心値である1.22倍を下回った。新型コロナウイルス感染症の影響で飲食業や宿泊業のほか、娯楽業や製造業など幅広い業種で求人数が減少した。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率は1.88倍と、前月比で0.03ポイント上昇した。正社員の有効求人倍率は前月比0.08ポイント低下の0.90倍だった。厚労省の担当者は今後の求人動向について「5月後半の経済活動再開にあわせて一部業種で求人を再開する動きがあり、持ち直しの兆しもみられている」と説明している。


いくつかの統計を取り上げていますのでとても長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は▲5.8%の低下との見込みながら、レンジでは▲7.5%~▲3.8%でしたので、下限を下回る大きな減産となっています。昨日の商業販売統計では「下げ止まり」に小売業販売額の基調判断を上方修正した経済産業省ですが、さすがに、今日の鉱工業生産指数(IIP)は「急速に低下」で据え置いています。季節調整済の系列の前月比で見て、▲8.4%減のうち、我が国のリーディング・インダストリーである自動車工業が寄与度で▲2.52%、生産用機械工業が▲0.95%など、我が国を代表する産業が大きな減産を記録しています。なお、引用した鉱工業生産指数の記事の最後のパラにもあるように、製造工業生産予測調査では今月6月が+5.7%、7月も+9.2%といずれも増産が見込まれています。しかし、この指標は過大推計のバイアスがあり、6月の補正値試算の結果は+0.2%の増産と示されています。レンジでも、▲0.8%~+1.2%と試算されていますので、増産の可能性がやや大きいくらいで、減産の可能性も十分あります。加えて、先月の統計公表の際、5月の補正値は▲5.7%と示されていましたが、実績は▲8.4%だったわけですから、わざわざ、日経新聞が記事のタイトルに加えるほどの信頼性があるのかどうか疑問です。ただ、さらにその先の7月については、下振れバイアスがあるとはいえ、前月比で+9.2%の増産と見込まれていますので、さすがに、このころになれば増産に転じているような気もします。いずれにせよ、上のグラフのうちの上のパネルを見ても明らかな通り、生産が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きな減産が続いており、下のパネルを見ても判るように、その減産の要因は、いくぶんなりとも輸出の寄与がある企業部門ではなく消費者向けの耐久財などで生じています。しかも、この先、回復はかなり緩やかと考えられます。企業向けに雇用維持を目的とする施策ももちろん必要ですが、家計や消費者に対する支援策をもっと手厚くする必要があります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、ほかと同じように、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。いずれも記事にある通りですが、失業率に関して日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは4月の2.6%から5月は2.8%に上昇するという見込みだったところ、実績はコンセンサスを上回る2.9%でしたし、有効求人倍率も日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは4月の1.32倍から5月には1.22倍に低下する予想が示されていたものの、実績はコンセンサスを下回る1.20倍でした。すなわち、マーケットの予想を上回るペースで雇用の悪化が進んでいる、と考えるべきです。正社員向けの有効求人倍率についても長らく1倍を上回っていましたが、先月の4月統計から1倍を下回るようになり、本日発表の5月統計でもさらに下げています。ただ、引用した記事の最後のパラにあるように、雇用の先行指標と見なされている新規求人については、求人数も求人倍率もいずれも5月統計では反転して改善を見せています。これは、記事にあるように、5月後半からの経済活動再開に合わせた求人増なのかもしれません。また、先月の雇用統計公表時に注目した休業者についても、総務省統計局による「就業者及び休業者の内訳」によれば、激増した4月の597万人から5月は423万人と減少しました。もちろん、1~2月の200万人弱の水準から見ればまだ多くなっています。ただ、我が国も含めて先進国経済の底は4~6月期であったことは緩やかなコンセンサスがありますから、COVID-19の第2波や第3波のパンデミックの有無や規模次第ではありますが、こういった我が国の雇用指標を見るにつけても、最悪期を脱した可能性も十分あります。しかし、日本経済も世界経済も回復過程はかなり緩やかなものとなり、COVID-19パンデミック前の水準に戻るまで長い期間がかかることは覚悟せねばなりません。
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2020年06月29日 (月) 15:00:00

2ケタ減が続く商業販売統計はホントに下げ止まりつつあるのか?

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲13.7%減の10兆9290億円、季節調整済み指数でも前月から▲9.6%減を記録しています。大きな落ち込みは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

5月の小売販売額は12.3%減 基調判断は「下げ止まり」に上方修正
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比12.3%減の11兆650億円となった。減少は3カ月連続で、5月としては比較可能な1980年以降で最大の減少率だった。新型コロナウイルスの感染防止を目的とした外出や営業の自粛が続き、自動車や衣料品などの販売が振るわなかった。ただ、経産省は単月でみると4月が底だったとして、小売業の基調判断を「下げ止まりがみられる」に上方修正した。
小売販売額を業種別で見ると、9業種のうち7業種がマイナスだった。外出自粛により客数が伸びず、普通自動車や軽乗用車が不振だった自動車は35.2%減だった。百貨店やスーパーなどの各種商品は34.9%減、織物・衣服・身の回り品は34.3%減だった。一方、野菜の相場高などを背景に飲食料品は2.2%増と2カ月連続で増加した。
大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が13.4%減の1兆4555億円だった。百貨店は臨時休業や営業時間の短縮、インバウンド需要の落ち込みなどが響き、64.1%減の1744億円となった。減少率は過去最大だった前月に次ぐ大きさだった。一方、スーパーは内食需要などを背景に主力の飲食料品が好調で、6.9%増の1兆2811億円となった。
コンビニエンスストアの販売額は9.6%減の9271億円だった。おにぎりや調理パン、カウンターコーヒーのほか、たばこや日用品なども不調だった。オフィス街や繁華街を中心に客数が減ったことが響いた。


続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期であり、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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消費の代理変数となる小売販売額を見ると、繰り返しになりますが、季節調整していない原系列の前年同月比は4月▲13.9%に対して、5月は▲12.3%であり、確かにマイナス幅は縮小していますし、同じ小売販売額の季節調整済の系列の前月比を見ても、4月▲9.9%から、5月は+2.1%に小幅なリバウンドを見せていますが、少なくとも、卸売販売額は前年比でマイナス幅を拡大しており、季節調整済みの前月比でもまだマイナスを続けています。もちろん、外出自粛が続く中で、ほとんど唯一といってもいいくらいの外出と支出の機会が、スーパーでの食料品や日用品をはじめとする買い物だったのは事実で、小売販売額の中でも飲食料品小売業では4月の前年同月比+0.3%増から、5月は+2.2%増に上向いていることは確かです。しかし、自動車小売業や燃料小売業などはマイナス幅を拡大していますし、業種別のバラツキが大きいことも忘れるわけにはいきません。加えて、いわゆるその昔のエンゲル係数の議論ではないのですが、先進国である日本では食料品の売上が消費を牽引するというのも考えにくいところです。いずれにせよ、日本に限らず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で大きなダメージを受けた世界経済の底は4~6月期である可能性が高いとはいえ、第2波や第3波の可能性も排除できませんし、何よりも、回復ペースは決してV字ではなく、かなりなスローペースを覚悟する必要がある、というのは多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。

特に、ここ何日かの東京都におけるCOVID-19新規感染者数の推移を見ていると、第2波の可能性は私には不明ながら、繰り返しになりますが、経済の回復は長期戦になりそうだという予感があります。また、私が東京都民でなくなってから3か月あまりが経過して、すでに都知事選挙の投票権は持っていないものの、ダイヤモンド誌の記事にあるような都立病院の独法化を進めようとする小池都政に待ったをかける必要も感じます。強く感じます。
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2020年06月28日 (日) 16:00:00

リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

明後日6月30日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していますが、他方、派遣スタッフの方は5月のデータが跳ねています。上のグラフの通りです。現時点で判断するのはややムリなのですが、何かがあったのかもしれません。
アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は+3%近い伸びからジワジワと低下して、三大都市圏の5月度平均時給は前年同月より+2.3%、+24円増加の1,075円を記録しています。職種別では「営業系」(+72円、+5.7%)、「事務系」(+34円、+3.1%)、「専門職系」(+20円、+1.7%)、「製造・物流・清掃系」(+17円、+1.6%)の4職種で前年同月比プラスとなった一方で、マイナスは「販売・サービス系」(▲14円、▲1.3%)、「フード系」(▲9円、▲0.9%)の2職種でした。地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。他方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2019年7月統計から先月2020年4月統計まで10か月連続でマイナスを続けた後、5月度平均時給は前年同月より+3.6%、59円増加の1,695円に跳ね上がりました。職種別では、「営業・販売・サービス系」(+81円、+5.7%)、「医療介護・教育系」(+42円、+2.9%)、「IT・技術系」(+31円、+1.5%)、「クリエイティブ系」(+23円、+1.3%)の4職種が前年同月比プラスとなり、マイナスは「オフィスワーク系」(▲20円、▲1.3%)だけにとどまっています。また、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。1年近く前年同月比マイナスを続けてきた派遣スタッフの時給がジャンプしたのですが、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますし、2008~09年のリーマン・ショック後の雇用動向を見た経験からも、COVID-19の経済的な影響は底を打った用に見えるものの、雇用については遅行するケースが少なくないことから、先行き、非正規雇用の労働市場は悪化が進む可能性がまだ残されていると覚悟すべきです。ただ、意外と底堅いという印象もあります。
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2020年06月26日 (金) 16:00:00

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で日銀短観に見る企業マインドは大きく下げる予想!!!

来週7月1日の公表を控えて、シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画はもちろん今年度2020年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、いつもの通り、足元から先行きの景況感に着目しています。ただし、先行きについては新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、一部にとても長くなってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)▲8
+8
<▲0.4%>
n.a.
日本総研▲23
▲17
<▲3.8%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+2%ポイントの上昇を予想。足許で経済活動が再開しつつあるため、最悪期は脱するものの、消費活動が限られている面もあることなどから、DIの持ち直しは総じて緩やかにとどまる見込み。回復に時間を要するとみられるインバウンドや輸出の影響を受けやすい産業では低迷が続く見通し。
大和総研▲28
▲11
<▲2.6%>
足元では国内外ともに経済活動が再開され、緩やかな回復基調に転じたことが、製造業・非製造業ともに先行きの業況判断を改善させよう。ただし、一定の感染拡大防止策が引き続き実施されていることや、新型コロナウイルス感染第2波への懸念も強いことから上昇幅は小幅に留まるとみている。
みずほ総研▲24
▲7
<▲6.4%>
製造業・業況判断DIの先行きは5ポイント改善を予測する。国内では、緊急事態宣言の解除後に生産活動が持ち直すとみられるほか、欧米諸国でもロックダウンの解除後、徐々に経済活動が再開していることを受けて、生産や輸出が緩やかに回復していくとみられ、業況は改善に向かうであろう。また、テレワークの拡大に伴い、サーバーやPCなどの需要増が見込まれることから、情報関連業種の業況が改善するだろう。ただし、感染防止策が当面続くことから、本格的な経済活動の再開には時間を要するほか、感染再拡大への警戒感も残存しているため、業況の大幅な改善は見込みづらい。
非製造業・業況判断DIの先行きは8ポイント改善を見込む。休業要請の緩和を受けて多くの企業が営業を再開した、小売業や飲食業等で業況の回復が見込まれる。また、テレワークの浸透に伴い、ソフトウェア投資の増加が見込まれることから、情報通信サービスも改善するだろう。一方で、感染再拡大への懸念により不要不急の外出は引き続き控えられることや感染予防策の継続が予想されるほか、インバウンド需要の回復が見込みがたいことが、運輸・郵便や宿泊業、対個人サービスを中心に業況改善の重石になりそうだ。
ニッセイ基礎研▲32
▲17
<▲3.0%>
先行きの景況感については、大企業では持ち直しが示されると予想。コロナ感染拡大の鈍化を受けて、既に国内外で経済活動が段階的に再開されており、今後の景気回復が見込まれるためだ。ただし、景気回復は緩やかなペースに留まるとの見方が一般的であるほか、感染第2波への警戒もあり、先行きの景況感改善は小幅に留まるだろう。また、中小企業はもともと先行きを慎重に見る傾向が強いだけに、今回も先行きにかけて景況感のさらなる悪化が示されると予想している。
第一生命経済研▲34
▲30
<大企業製造業+7.2%>
大企業・製造業の業況判断DIは、前回比▲26ポイントと大幅に悪化する見通しである。マクロ景気は、この 4~6 月が大底となり、企業の景況感も大幅に悪化するだろう。注目点は、雇用判断DIがどこまで悪くなるか、企業収益の見方がどこまで厳しくなるかである。資金繰りや金融機関の貸出態度の変化にも警戒しておきたい。
三菱総研▲37
▲42
<▲1.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は▲40%ポイント、非製造業は▲45%ポイントと、いずれも悪化を予測する。新型コロナウイルスの感染終息や経済活動正常化の時期が見通せず、さらなる拡大や長期化も予想される。また、世界的な雇用・所得環境の悪化が内外需の重しとなる見込みだ。先行きの業況に対する不安は、製造業・非製造業を問わず強いとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲31
▲9
<大企業全産業+3.0%>
日銀短観(2020年6月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2020年3月調査)から23ポイント悪化の-31と、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響し、6四半期連続で悪化すると予測する。先行きについては、感染抑制と経済活動の均衡を探るフェーズに移行したことで、足元が景気の底だとの認識が支配的となりつつあり、7ポイント改善の-24となろう。


いまさら感すらありますが、企業マインドは大きな冷え込みを見せており、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは前回3月調査の▲8から大きくマイナス幅を拡大するものと見込まれています。いずれのシンクタンクでも大きなマインド悪化は共通していて、ただ、大企業製造業で見て▲15ポイントから▲30ポイント近くまで、悪化幅にはやや開きが見られます。このあたりは私にも判断がつきかねますが、少なくとも、過去の統計を調べると、リーマン・ブラザーズの破綻後の2009年3月に大企業製造業で▲30ポイントを超える悪化がありましたから、それに近い悪化、しかし、リーマン・ショックまでの悪化には至らない、と見ることも出来ます。ともかく、私は予測モノについては、重要性は認識していながらも、なかなか手が伸びず、特に現在のようなCOVID-19の影響はまだまだ抜け切らないうちは、何とも考えが及びません。しかし、COVID-19はごく一部の例外を除いて多くの企業のマインドを低下させるのであろう点だけは確かです。
下のグラフは日本総研のサイトから引用しています。落ち方の傾きとしてはリーマン・ショック時と同様にかなりスティープですが、少なくとも6月調査の時点の水準は、まだリーマン・ショック時ほど深くはない、といえます。

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2020年06月25日 (木) 17:00:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し改定」では新型コロナウィルス感染症の影響により成長率が下方修正される!

日本時間の昨日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update, June 2020 が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。特に目新しさは感じないものの、国際機関のリポートを取り上げるのは、この私のブログの大きな特徴のひとつですし、pdfの全文リポートIMFのブログサイトから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のテーブルは、IMFのブログサイトから Latest World Economic Outlook Growth Projections と題する成長率見通しの総括表を引用しています。ホントに簡略化された総括表だけですので、リポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出したpdfファイルにリンクを張ってありますから、クリックすると別タブで開くと思います。繰り返しになりますが、ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。先進国の中でも我が日本は、2020年▲5.8%と4月見通しから▲0.6%ポイント下方修正されており、2021年も+2.4%と同じく▲0.6%ポイント下方修正されています。大雑把に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)については、先進国ではほぼ終息に向かい、中国を別にすれば、途上国や新興国での感染拡大が焦点となっているように感じていましたし、今回のIMF見通しでも、2021年については先進国全体としては上方修正、新興国・途上国では下方修正、という結論です。ですから、別タブで開くリポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections に示された先進国の中で2021年成長率が下方修正されているのは米国と日本だけだったりします。

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次に、上のグラフは、IMFのブログサイトから A deeper recession と Output losses の2つのグラフを引用しています。上の棒グラフでは、2000年成長率見通しの修正が見て取れます。COVID-19感染拡大前の1月見通しでは+3.3%成長と見込まれていた世界経済なんですが、感染拡大に対応するロックダウン真っ最中の4月には▲3.0%のマイナス成長と大きく下方修正された後、かなりの程度に先進国でのロックダウンが解除された6月時点でもまだ下方修正されている、ということになっています。

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最後に、IMFではベースラインのほかに、上下のリスクを考慮して、Scenario 1: A Second Global COVID-19 Outbreak in Early 2021 および Scenario 2: A Faster Recovery をシナリオ分析しています。上のグラフは、リポートから Scenario Figure 1. June WEO 2020 Alternative Scenarios (Deviation from baseline) のうちの1から4までを引用しています。というのも、さらに下に5以下のグラフが続いて、政府支出は政府債務残高などのグラフもあるんですが、諸般の事情によりカットしました。当然ながら、2021年初頭に第2波の感染拡大を迎えるとするシナリオ1の赤いラインはベースラインを大きく下回りますし、早期終息のシナリオ2の青いラインはベースラインを上回ることになります。

最後の3枚目のグラフからはカットしてしまいましたが、IMFではCOVID-19感染拡大防止や経済活動の下押しによる税収への効果などから、政府債務がまたまた気にかかり始めているような印象もあります。私のように政府部門の経験が長いながら、政府財政に関してはMMT学派並みに楽観的なエコノミストは少数なのかもしれません。
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2020年06月24日 (水) 16:00:00

企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率はかろうじてプラスが続く!!!

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+0.8%と、2月統計の+2.1%、3月統計の+1.6%から4月統計は+0.8%と大きく縮小し、5月統計でも同じ+0.8%の上昇となっています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小し、+0.8%を記録しています。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、増税除き1.0%下落 前月並み下落率
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は103.6と、前年同月比で0.8%上昇した。19年10月の消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比で1.0%下落した。下落率は4月と同じだった。政府の緊急事態宣言による経済活動の停滞で、広告や宿泊サービスで価格が大きく下落した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、サービス価格には下押し圧力がかかっている。テレビや新聞の広告では、幅広い業種で企業が広告の出稿を手控える動きが広がった。宿泊サービスでもインバウンド(訪日外国人)需要の蒸発や国内での外出自粛の影響が引き続き大きく、価格の下落が続いた。
一方で国内の航空輸送では価格が持ち直している。航空需要は弱い状態が続くが、航空会社が5月以降に大幅な減便をしたことで需給が引き締まった。特に国内航空貨物輸送では価格上昇圧力が大きいという。
国内では緊急事態宣言の解除とともに経済活動が再開し始めたとはいえ、経済の先行きには不確実性が高い。日銀は「6月以降、サービス価格の下落圧力が弱まるかどうかは新型コロナの感染状況に依存する」(調査統計局)としており、今後の影響を注視する姿勢だ。
企業向けサービス価格指数は、輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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繰り返しになりますが、消費税を含んだベースの企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、昨年2019年10月の消費税率引上げに伴って+2%に達した後、今年2020年に入って2月+2.0%まで+2%台を続けた後、先々月3月+1.6%、先月4月+0.8%と上昇幅を縮小し、さらに、今月の4月統計では先月と同じ+0.8%を記録しています。先々月の3月統計では消費税の影響を除くベースの前年同月比上昇率が▲0.1%とマイナスに転じた後、4月統計では▲1.0%と下落幅を拡大し、今月統計でも同じ▲1.0%が続いています。いうまでもなく、SPPIの上昇率縮小は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による影響と考えるべきです。サービス価格について、SPPIはもちろん、CPIのコンポーネントでも、人手不足に起因して堅調と考えられていましたが、雇用がかなり怪しくなり始めた印象もありますし、宿泊サービスのように需要が「蒸発」すれば、需給ギャップに従って価格が弱含むのは当然です。もちろん、宿泊サービスだけでなくCOVID-19の影響により、さまざまな分野のサービスへの需要が低迷しており、本日公表の5月統計のSPPIのコンポーネントである大類別について、消費税の影響を除くベースの前年同月比▲1.0%に対する寄与度を見ると、景気に敏感な広告が▲0.64%、さらに、不動産が▲0.15%、情報通信が▲0.09%となっています。

結局、日銀の異次元緩和は現時点では物価目標を達成できておらず、先週の6月15日に明らかにされた第一生命経済研のリポートの中にデフレの蟻地獄から抜け出せない日本経済」と題するものを見かけましたが、よく雰囲気が出ていますし、まさに、そんな感じなのかもしれないとミョーに納得したりしています。
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2020年06月23日 (火) 17:00:00

旅行需要はいつごろから本格化するのか?

緊急事態宣言が解除され、さらに、移動の自粛要請もなくなり、いよいよ、来月にはプロ野球などがスタジアムに観客を入れて試合を行うなど、着々とポストコロナの生活が取り戻されつつあります。本来であれば8月の夏休み時期の旅行などの計画が6月には進んでいそうなんですが、現状ではまだ昨年レベルから比較すると遅れ気味で、しかも、政府の「Go To Travelキャンペーン」が国民をサポートするどころか、不透明でずさん極まりないなどと報じられている始末です。

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ちょうど1週間前の6月16日付けでインテージから明らかにされた「自粛要請解除後 初の旅行はどうなる?」では、図表1として 自粛解除後の初の旅行 | 具体的な時期 と題するグラフを示しており、引用すると上の通りです。「時期に関わらず行かない」という回答が無視できない比率を示していますが、年内ではやっぱり夏休みの旅行シーズンである8月に自粛要請解除後の初の旅行を計画との回答が多くなっています。

我が家は世代的に自ら帰省するというよりも、すでに独立した子供達の帰省を待つということになります。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で今年はやや異例の対応ながら、通常であれば、大学教員というのは8月のお盆のころが前期試験明けになり、後期の始まる10月までの1ト月あまりが夏休み相当ということになります。研究にいそしむ先生方も多くなりますが、今年の場合、私はひたすら骨休めしたいと考えないでもありません。
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2020年06月19日 (金) 15:30:00

消費者物価(CPI)上昇率は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響による原油価格の下落によりマイナス続く!!!

本日、総務省統計局から5月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月と同じ▲0.2%を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.4%でした。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により国際商品市況で石油価格が下落しているのが背景となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の全国消費者物価、0.2%下落 2カ月連続下落、コロナによる原油安で
総務省が19日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比0.2%下落した。2カ月連続の下落で、QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.1%下落)より下げ幅は大きかった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に原油安が進行し、ガソリンや灯油のほか、電気代などエネルギー関連価格の落ち込みが顕著だった。総務省は「エネルギー価格の下落は6月以降もしばらくは続く」と説明した。
外出自粛の影響で宿泊費が落ち込んだほか、家庭用耐久財の価格も下がった。4月からの高等教育無償化や19年10月からの幼児教育無償化の影響で幼稚園や保育所、大学授業料も下落した。
需給が逼迫していたマスクは、4月は5.4%上昇となっていたが、5月は供給が徐々に拡大したことから2.4%上昇と上げ幅を縮小した。
生鮮食品を除く総合では401品目が上昇した。下落は109品目、横ばいは13品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は102.0と前年同月比0.4%上昇した。生鮮食品を含む総合は101.8と0.1%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.1%の下落でしたので、実績の方がやや下落幅が大きいものの、まずまずジャストミートしたといえます。CPI上昇率がマイナスに落ち込んだ先月4月統計ではエネルギーは▲4.7%の下落で、ヘッドラインCPIの前年同月比上昇率に対する寄与度が▲0.37だったんですが、5月はさらに下げ足を速めて▲6.7%の下落で、寄与度も▲0.54とマイナス幅が拡大しています。石油をはじめとするエネルギー価格からの影響が大きい物価下落といえます。ですから、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は4~5月ともに▲0.2%だったんですが、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIで見ると4月の+0.2%から5月統計では+0.4%とむしろ上昇率が拡大しています。ただし、先行きの物価について考えると、石油価格下落の影響は一定のラグを伴って経済全体に価格下押し圧力となるのは明らかですし、少なくとも前年同月比で見る限り、秋口の9月までは昨年から需要が減退しているのも明白ですから。需給ギャップの観点からも夏から秋にかけてCPI上昇率は下落幅を拡大するものと私は考えています。物価上昇率の底は夏であり、おそらく、コアCPI上昇率は▲1%前後の下落までマイナス幅を拡大する、とかなり多くのエコノミストが考えているようです。ただ、本日の「月例経済報告」でも、ひょっとしたら希望的観測を含めつつ、経済が最悪期を脱して「下げ止まりつつある」可能性を示唆しています。ただし、ほかの経済指標と同じで、石油価格次第、そして、何よりもCOVID-19次第とはいえ、夏にCPI上昇率が底を打つ可能性は十分あるものの、その後の回復はかなり緩やかなものにとどまることは覚悟すべきです。
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2020年06月17日 (水) 17:30:00

ダダ下がりの貿易統計もそろそろ底を打つか?

本日、財務省から5月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲28.3%減の4兆1847億円、輸入額も▲26.2%減の5兆181億円、差引き貿易収支は▲8334億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の輸出28.3%減 リーマン危機後以来の落ち込み
財務省が17日発表した5月の貿易統計(速報)によると、輸出額は4兆1847億円と前年同月比28.3%減った。新型コロナウイルスの感染拡大が響き、下げ幅はリーマン・ショックの影響が残る2009年9月以来の大きさとなった。米国向けは50.6%減り、対米貿易黒字は過去最少の102億円まで縮んだ。
輸出の減少幅は3月の11.7%、4月の21.9%からさらに拡大した。コロナ禍で世界的に経済活動が停滞し、特に自動車は64.1%減と大きく落ち込んだ。
輸出はほぼ全ての地域向けで低迷した。米国向けは50.6%減の5884億円で、09年3月以来の落ち込みになった。自動車が78.9%減り、自動車部品も73.2%減った。欧州連合(EU)向けは33.8%減の3638億円。自動車が47.6%減と大きく減った。
経済活動の再開が一足早く進む中国向けは1兆1262億円で1.9%減にとどまった。下げ幅は4月の4.0%より縮小した。非鉄金属が増えるなど持ち直しの動きがみられる。化学品原料や自動車、半導体製造装置の輸出は減った。対アジア全体は2兆7449億円と12%減少した。
輸入額は全体で26.2%減の5兆181億円。減少率は4月の7.1%から拡大した。原油が78.9%減った。輸出から輸入を差し引いた貿易収支はマイナス8333億円で2カ月連続の赤字だった。
輸入を地域別にみると米国からは27.5%減の5781億円、EUからは29.6%減の5751億円だった。中国からは2.0%減の1兆5112億円。マスクなどが増えた一方、自動車部品が落ち込んだ。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲1兆円を超える貿易赤字が予想されていましたし、前年同月の2019年5月も▲9654億円の赤字を計上していましたので、▲8334億円の赤字は、ある意味で、いかなる角度から見てもマイナスはマイナスながら、輸出がそれなりに踏み止まった、といえるのかもしれません。もちろん、国際商品市況で石油価格が大きく下落して、我が国の輸入原油への支払いが減っているのも一因です。例えば、原油及び粗油の5月の輸入はキロリットル単位の数量ベースでは前年同月比で▲36.0%減ですが、価格とかけ合わせた金額ベースでは▲78.9%減と、何とも⅕まで減少しています。なお、今日のブログのタイトルに「ダダ下がり」と付しましたが、貿易に限らず、生産も消費も全部ダダ下がりなのではないか、との反論あるかもしれません。しかし、何度か書いたように、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的影響については、交易の利益が失われるというのが最大のマイナスであると私は考えています。例えば、私自身については、経済を分析して政府のお仕事を進めたり、大学生に教えたりしてお給料をもらって、それを基に食品や衣類を買ったり、各種のサービスを受けたりしているわけで、国内でも得手不得手=比較優位に従った交易の利益が生まれますが、いうまでもなく、交易の最大の利益は天候や天然資源をはじめとして生産要素賦存やスキルが大きく異なる外国との交易で生み出されることは当然です。その意味で、COVID-19の経済的な影響の最大のものは貿易で生じる可能性が高い、と私は考えています。

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続いて、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数(CLI)の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。なお、一番下の中国のパネルのOECD先行指数について、2月は前年同月比で▲15%近い落ち込みなんですが、それにスケールを合わせると、米国雇用統計のように、別の部分でわけが判らなくなるような気がして、意図的に下限を突き抜けるスケールのままにとどめています。今のところ、私自身も直観的に感じていますが、第1次パンデミックに応じたロックダウンなどによる世界経済の最大のネガティブな影響は5月であった、と多くのエコノミストは考えています。ですから、我が国貿易統計のように、季節調整しない原系列の統計の前年同月比で見れば、まだまだマイナスは続きますが、大きなトレンドで見て季節調整済みの系列の前月比では、いくつかの重要な経済指標は6月からプラスに転じる可能性が高い、といえます。我が国と多くの先進国の輸出もそうではないかと考えられます。もちろん、第2次パンデミックが生じて、第1次を上回る経済的影響をもたらす可能性もなくはないのでしょうが、この先は方向性としては経済は改善の方向に向かうのではないかと期待されます。ただ、問題はそのスピードです。多くの国では政府が財政赤字を積み上げましたし、金融政策でも大きく緩和が進められました。そういった政策手段の制約も含めて、この先、経済の方向はプラスながら、回復スピードはかなり緩やかなものとなる可能性が高い、と覚悟すべきです。貿易も例外とはなり得ません。
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2020年06月16日 (火) 17:30:00

ニッセイ基礎研リポート「健康に力を入れている企業の従業員は健康か?」

先週金曜日6月12日にニッセイ基礎研から「健康に力を入れている企業の従業員は健康か?」と題するリポートが明らかにされています。今年2020年3月にニッセイ基礎研が実施したアンケート調査の個票を用いた分析結果なんですが、リポートには「コロナ」の単語も現れません。ややリポートのピントがボケているような気がしないでもありませんが、「健康」という単語が何を意味するか、3月調査時点でどのように受け止められていたのかも少し気にかかりつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のテーブルは、ニッセイ基礎研のリポートから p.4 図表2 推計結果 (健康増進に熱心かに関する標準化係数) を引用しています。標準化計数が空欄のままにされているのは、要するに、統計的な有意性が出なかったということなんだろうと解釈して、テーブルの疾病の有無の上の2列、すなわち、脳卒中、心臓病、慢性の腎不全(人工透析治療)の既往歴、さらに、同一の病気やケガによる14日以上の通院歴、といった私にはいかにも重篤に見える従業員の健康については企業が健康に力を入れているかどうかで差はなかった、という結論のようです。ただし、疾病の有無の中でも、心理的ストレスがある(K6が5以上)とは負の相関が認められ、健康に力を入れている企業の従業員は心理的なストレスは少ないようです。次の自覚症状と生産性の列については、自覚症状の個数と自覚症状があった日数については、健康に力を入れている企業では少ないとの結果がある一方で、かといって、それが自覚症状がある場合の生産性との有意な相関はないようです。従業員にとっては自覚症状が少なくていいんでしょうが、企業としては生産性の上昇にはつながっていない、という結果です。私は従業員の立場から、健康に力を入れている企業で従業員の何らかの自覚症状が少ないとか、短いというのは大いにいいことだという気がしていますが、もっと企業サイドのコスト・コンシャスな面からは、企業の生産性に結びついていないのであれば「ムダ玉」という見方をしそうな右派エコノミストもいそうな気がします。さらに、企業が従業員の健康に力を入れていれば、従業員の方でも、ヘルスリテラシーや主観的な健康感が高かったりするのは当然のように見えます。ただし、因果関係は逆かもしれない点には注意が必要です。すなわち、個々の従業員のヘルスリテラシーが高いので、従業員の集合体としての企業が健康に力を入れている、というような気もします。
最後に、従業員の健康行動については、いっそう判りにくくなっています。企業が従業員の健康に力を入れていれると、喫煙や食生活の乱れが少ないというのは、特に、喫煙については今日びのご時世ですから、これはよく判ります。でも、健康診断を受けなくなるというのはモラルハザードを生じるんでしょうか。加えて、運動習慣がモノにならず、過度な飲酒も矯正されない、というも同様にモラルハザードで、勤め先が健康に力を入れていれば、多少の不健康な行為をしても何らかの救済措置が期待できる、ということなんでしょうか。ただ、リポートではモラルハザードの指摘ではなく、「過度な飲酒や運動習慣は、職場における取り組み以上に、個人の価値観やライフスタイルの影響が大きいのかもしれない。」と個人責任で結論しています。個人の責任で結果が出るんなら、こんな調査は意味ないと思うエコノミストは私だけでしょうか?
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2020年06月15日 (月) 15:00:00

労働政策研究・研修機構による「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」(一次集計)結果やいかに?

労働政策研究・研修機構(JILPT)と連合総研の共同研究による「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」に関して、1次集計結果が取りまとめられて、先週水曜日の6月10日に明らかにされています。連合総研のサイトにはJILPTのリポートへのリンクが貼られているだけですので、JILPTのリポートを見ておきたいと思います。ただ、必ずしもJILPT主導の調査かというとそうでもなく、例えば、「5月調査」と呼んでいる今回の調査のうちのいくつかの設問は、「4月調査」と呼んでいる連合総研による「第39回勤労者短観 新型コロナウイルス感染症関連 緊急報告」と経時比較が出来るように設計されています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響について、雇用や収入、特に、残業を含む実労働時間、通常月の月収と比較した直近の月収額、就労面での取組状況、仕事面での不安、それも、雇用者だけでなくフリーランスも含め、さらに、性別・年齢別・地域別・年収別はもちろん、業種別や企業規模別、正規・非正規といった雇用形態別、それも、非正規の中でもパート・アルバイトや派遣など詳細に分類されており、職種も管理職・事務職・サービス職などなど、極めて詳しいカテゴリーで調査が実施されています。今のところは1次集計なんですが、連合総研は私はよく知りませんが、短期間とはいえ勤務経験のあるJILPT研究員の計量分析能力は十分承知していますので、これから、2次集計結果やあるいは3次集計などなど、加えて、4~5月調査だけでなく6月以降の調査結果も含めて、私は大いに期待しています。

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今回明らかにされた1次集計結果の中から、特にCOVID-19の前後で大きな変化あった1点だけ、すなわち、p.11 図表7「在宅勤務・テレワーク」日数の変化 を引用すると上の通りです。見れば判ると思いますが、1週間当りの在宅勤務・テレワーク日数について、COVID-19の影響が現れる前の通常時、4月第2週の全国レベルの緊急事態宣言直前時、5月第2週の全国の緊急事態宣言時、の3時点の結果です。私の経験からしても、定年退職する前の役所に勤務していた時もテレワークはありましたし、私もやったことがあります。でも、正直なところ、年2回ほどで、週あたりにならせばゼロという回答になりそうです。そして、東京の役所勤めから関西に引越しての大学教員ですから、地域も職種も違うので単純な比較は出来ませんが、4月第2週も5月第2週もほぼ週に1日しか大学には出勤しませんでした。上のグラフではテレワークが週4日に分類されるような気がします。私の場合、正規職員という点では大きな変化ないものの、繰り返しになりますが、東京から関西に引越しましたし、定年退職前の公務員から大学教員に転職しましたし、COVID-19の前後で別の意味で大きな変化を経験していて、単純に比較することはムリがありますから、自分自身の実体験だけではなく、こういった周到に準備された統計的な調査の結果を参考に、エコのミストとしていろいろと考えを巡らせたいと思います。

連合総研はともかく、私は労働政策研究・研修機構(JILPT)には研究員として出向していた経験があります。OBなわけです。最近時点では、5月29日に「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」なんて、このご時世にトボけた研究成果を記者発表していたりして、研究の方向性を心配していたんですが、COVID-19の最大の影響のひとつは雇用であり、特に格差問題であることは十分認識していたようで安心しました。組織としてはともかく、個々の研究員のレベルがとても高いことは経験から見知っているつもりですので、労働組合をもバックに収集した大量のデータを基にして、タイムリーで政策的なインプリケーション十分な研究成果を期待したいと思います。
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2020年06月12日 (金) 16:00:00

1-3月期GDP統計2次QEを受けた短期見通しやいかに?

今週月曜日6月8日に内閣府から公表された1~3月期GDP統計速報2次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、今年度2020年いっぱい、すなわち、2021年1~3月期くらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2020/1-32020/4-62020/7-92020/10-122021/1-3FY2020
actualforecast
日本経済研究センター▲0.6
(▲2.2)
▲7.1+0.5+1.8+1.3▲6.8
日本総研(▲21.2)(+9.7)(+4.2)(+5.0)▲4.6
大和総研▲5.6
(▲20.5)
+1.3
(+5.1)
+1.2
(+4.9)
+1.0
(+4.2)
▲5.1
ニッセイ基礎研▲6.7
(▲24.4)
+1.9
(+8.0)
+2.1
(+8.6)
+1.0
(+4.1)
▲5.5
第一生命経済研▲6.3
(▲23.0)
+2.3
(+9.3)
+1.1
(+4.5)
+0.6
(+2.3)
▲5.3
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲6.3
(▲23.0)
+2.5
(+10.2)
+1.5
(+6.2)
+1.5
(+6.1)
▲4.8
SMBC日興証券▲3.7
(▲13.9)
+0.7
(+2.9)
▲0.1
(▲0.4)
+0.8
(+3.4)
▲4.3
農林中金総研▲5.4
(▲19.9)
+2.1
(+8.7)
+0.5
(+2.0)
+0.2
(+0.9)
▲5.0
東レ経営研▲6.7+0.9+1.8+0.8▲6.3


各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。1~3月期までは内閣府から公表された2次QEに基づく実績値、4~6月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、いくつか、前期比のみとか、前期比年率のみの公表のシンクタンクがありますが、カッコのあるなしで見分けられることと思います。それから、三菱総研はシナリオを3通り示して、それぞれの見通し計数を明らかにしているところ、上の総括表では①のシナリオ、すなわち、経済活動抑制が2020年5月末にピークアウトするという、もっとも楽観的なシナリオを取り上げています。ということで、昨年2019年10月の消費税率の引上げを受けて、2019年10~12月期が大きなマイナス成長となったのに続き、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のための経済活動抑制措置が広がり、2四半期連続で1~3月期もマイナス成長が続き、足元の4~6月期がもっとも大きなマイナス成長を記録することが確実と見込まれています。ただ、これまた、すべての機関で7~9月期にはプラス成長に回帰し、その後も多くのシンクタンクはプラス成長を続ける、という見通しを示しています。もっとも、2020年度をならせば成長率は▲4~6%のかなり大きなマイナス成長となる可能性が示唆されています。
昨日、OECDの「経済見通し」を取り上げたのですが、暦年と年度の違いはあるものの、大雑把に整合的ではないかと私は見ています。OECDの単発シナリオでCOVID-19を抑え込めれば、2020年に▲6.0%のマイナス成長に陥った後、、2021年には+2.1%とプラス成長に回帰すると見ている一方で、双発シナリオでは来年もマイナス成長が続く、とされています。私はCOVID-19のパンデミックは減衰しつつも何度か揺り戻しがあるものと覚悟しています。もっとも、減衰の程度を考慮すれば、第2波以降は「パンデミック」の範疇には入らない可能性もあります。こういった方面に無力なエコノミストとしては、早くワクチンか特効薬の開発ができないものかと感じています。下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2020年06月11日 (木) 18:00:00

OECD経済見通しは highly uncertain!!!

昨日、経済協力開発機構(OECD)から最新の「経済見通し」OECD Economic Outlook, June 2020 が公表されています。見通しサブタイトルは The world economy on a tightrope とされており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、従来からの世界経済のパスが大きく下方修正されています。ほかの国際機関などに比べて、この見通しの大きな特徴は、COVID-19がこのまま終息していく「単発シナリオ」single-hit-scenario と今年2020年中に第2波の感染拡大が襲来する「双発シナリオ」double-hit-scenario の両方を分析の対象としていることです。成長率で見て、感染の第2波が避けられる「単発シナリオ」では、今年2020年は▲6.0%の落ち込みの後、来年2021年+5.2%のリバウンドを予想している一方で、第2波により再びロックダウンを招く「双発シナリオ」では今年が▲7.6%のマイナス成長となる上に、来年のリバウンドも+2.8%にとどまる、と見込んでいます。以下、OECDのプレゼン資料OECDの見通し本体のリポートなどからグラフやテーブルを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の画像は成長率見通しの総括表です。OECDのプレゼン資料の p.5 と pp.20-21 を結合しています。一番上のパネルでは従来シナリオの緑のラインとともに、下方修正された「単発シナリオ」の青いライン、さらに、「双発シナリオ」の赤いラインではさらに下方修正されているのが見て取れます。真ん中と下のパネルではG20やOECD加盟国といった国ごとの成長率見通しの計数が示されています。日本は、「単発シナリオ」では2020年▲6.0%のマイナス成長の後、2021年には+2.1%成長にリバウンドすると見込まれていますが、「双発シナリオ」では2020年▲7.3%まで落ち込んだ後、来年2021年も▲0.5%と、マイナス成長を続ける、と見込まれています。この見通しに従えば、「双発シナリオ」で来年2021年もマイナス成長を続けるのは日本とアイルランドだけとの予想です。

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次に、上の画像は日本に関する経済見通しの総括表です。OECDのリポートの国別見通しのうちの日本について「単発シナリオ」と「双発シナリオ」のそれぞれの見通し表を結合しています。「双発シナリオ」では全体的に「単発シナリオ」から下振れしているのは事実なんですが、特に、民間消費と総固定資本形成の下振れが目立っています。

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OECDの「経済見通し」ですから、政策対応なども盛り込まれているんですが、最後に、上の画像は Key policy messages 3点のスライドです。OECDのプレゼン資料の p.18 を引用しています。保健衛生を含めた健康政策、雇用や企業の継続性とデジタル化などの変革に向けた支援、そして、格差是正にも配慮した景気回復策の3点が強調されています。まあ、そうなんですが、何といってもCOVID-19の終息が最大の課題となりますし、その後はワクチンが実用化されてCOVID-19を特に気にすることなく日常生活や経済活動が続けられるのか、あるいは、日本の「新しい生活様式」のように、COVID-19にも気を配りつつの経済活動再開になるのか、にも大いに関係しますので、私には何とも予見し難いものがあります。
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2020年06月10日 (水) 14:00:00

大きく落ち込んだ機械受注と下げ足を速める企業物価(PPI)!!!

本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲12.0%減の7526億円と大きな減少を示し、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率も▲2.7%の下落を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の機械受注、12.0%減少し5年ぶり低水準 設備投資手控え
内閣府が10日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比12.0%減の7526億円だった。2カ月連続で減少し、2015年4月以来5年ぶりの低水準となった。減少率は18年9月以来の大きさだった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(8.6%減)以上に落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、設備投資が手控えられた。3月に大型案件が受注額を押し上げていた反動も出た。
内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」に下方修正した。下方修正するのは6カ月ぶりとなる。
製造業の受注額は前月比2.6%減の3342億円だった。3カ月連続の減少で、17業種のうち11業種で減少した。工作機械などの「はん用・生産用機械」や、航空機など「その他輸送用機械」で受注減少が目立った。
非製造業は20.2%減の4063億円と3カ月ぶりに減少した。減少率は比較可能な05年4月以降で最大となる。前月に大型案件があった宅配などの運輸業・郵便業で反動減が出た。小売店の休業などで「卸売業・小売業」が減少した。
受注総額は前月比8.3%減だった。外需の受注額は21.6%減と3月(1.3%減)から減少幅を広げた。官公需の受注額は7.2%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は17.7%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
5月の企業物価指数、3年7カ月ぶり下落率 原油安など重荷
日銀が10日発表した5月の企業物価指数(2015年平均=100)は99.1と前年同月比で2.7%下落した。3カ月連続のマイナスで、下落率は16年10月以来3年7カ月ぶりの大きさだった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした原油価格の下落が、物価の重荷となった。自動車の生産が一時中断した影響で鉄鋼などの価格が下落したことも響いた。前月比では0.4%の下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸入物価は前年同月比17.6%下落した。マイナス幅は16年8月以来の大きさだった。原油やナフサなどの値下がりが大きかった。円ベースでの輸出物価は前年同月比で6.5%の下落、前月比で1.2%の下落だった。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で4.1%下落した。下落率は16年7月以来の大きさだった。


やや長くなりましたが、いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比▲8.8%の減少、レンジ下限は▲22.7%減ということでしたので、まあ、こんなものかという気もします。かなり大きな2桁マイナスでしたので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を先月の「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に下方修正しています。コア機械受注の外数で先行指標となる外需の受注額は▲21.6%減を記録しています。産業別には、製造業が先月統計から▲2.6%減で踏み止まっているのに対して、船舶と電力を除くコア非製造業は▲20.2%と大きな落ち込みを記録しています。非製造業のうち、運輸業・郵便業は宅配などで業務の増加が見られると私は考えないでもなかったんですが、先月統計の+82.0%増の反動で▲61.0%減となったほか、特徴的なところでは、卸売業・小売業が▲17.9%減、建設業が▲11.6%減、また、製造業ながら航空機などを含む「その他輸送用機械」が▲30.5%減となっています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で先行き不透明感が大きくなり、設備投資にもマイナスとなって現れるのは当然といえます。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、機械受注のグラフと同じで、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前年同月比▲2.4%の下落、レンジの下限が▲2.7%ということでしたので、まさにその下限ということになります。上のグラフのうちの上のパネルで輸入物価が大きく下げているのは原油価格の下落の影響が大きいと私は考えています。2015=100の季節調整していない原系列の指数で原油価格は、今年2020年に入って1~2月は117.3だったのですが、3月96.8、4月63.9、5月32.2と大きく下げています。国内物価にも一定のラグを伴って波及すると考えるべきです。
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2020年06月09日 (火) 14:00:00

NBERが景気のピークは2月と同定し米国景気のリセッション入りを認定!!!

私宛てにもメールでお知らせが入ったんですが、NBERが米国景気の直近のピークは今年2020年2月であったと同定し、米国経済はリセッションにあると明らかにしました。なお、NBERからはpdfのステートメントもアップされています。まず、USA Today のサイトから関係する記事を手短に7パラだけ引用すると以下の通りです。

It's official: The US is in a recession, ending longest expansion in history
It's official: The United States is in a recession.
The National Bureau of Economic Research said Monday the U.S. economy peaked in February, ending the longest expansion in U.S. history at 128 months, or about 10½ years.
In truth, the announcement codifies the painfully obvious. States began shutting down nonessential businesses in mid-March to contain the spread of the coronavirus, halting about 30% of economic activity and putting tens of millions of Americans out of work.
The NBER called the recession just over three months after it began, the fastest such determination since the 1980 recession and far shorter than the typical nine months to a year, says Gregory Daco, chief U.S. economist of Oxford Economics.
NBER is a nonprofit organization that conducts research on a wide range of economic issues. But it's best known for its Business Cycle Dating Committee, which calls the beginnings and ends of recessions.
The expansion began in June 2009, ending the Great Recession that started in December 2007.
The economy's quarterly peak occurred in the fourth quarter of last year, NBER said.


記事にもある通り、月次データに基づく景気の山は2020年2月なんですが、四半期では2019年10~12月期と同定されています。月単位と四半期で異なるのはめずらしいと思いますので、NBERもステートメントの中でいろいろと言い訳をしていたりします。いくつか関連するグラフをmarketwatch.comのサイトから引用しておきたいと思います。

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まず、marketwatch.comのサイトから、Record U.S. expansion ended in February と題するグラフを引用しています。1990年代、主としてクリントン政権期の10年120か月を抜いて、2月を山とする今回の景気拡大期は128か月と最長を記録したことが示されています。

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次に、marketwatch.comのサイトから、Mass layoffs didn't begin until March と題するグラフを引用しています。主として、ここでは、米国経済のリセッションは3月に始まった、という点をレイオフの統計から主張しようとしているようです。しかし、私が理解する限り、NBERは景気の山が2月であったと同定したわけで、従って、3月からリセッションが始まっているということなのではないか、要するに違いはないのではないか、と思うのですが、よく判りません。このブログでも景気後退期に影をつけたグラフをしばしばお示ししていますが、少なくとも、私の認識では景気の山の翌月から景気後退が始まる、という認識で景気後退期に影をつけています。米国と日本では違ったりするんでしょうか?

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最後に、本日、厚生労働省から4月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ね、このブログでも長らくパスしていたんですが、そろそろ、取り上げてみようかと考えてグラフを書いてみました。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で▲0.6%減少の27万5022円を示しています。実質賃金も同じく前年同月比▲0.7%の減少です。米国経済のリセッションのトピックに隠れて、こっそりと持ち出しておきたいと思います。
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2020年06月08日 (月) 18:30:00

1次QEから上方修正された1-3月期GDP統計2次QEはどこまで信頼できるか?

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲0.6%、年率では▲2.2%と、前記の消費税引き上げショックに続いてコロナ禍ショックにより2期連続のマイナス成長を記録しています。ただし、先週公表の法人企業統計など最新の統計を反映した結果、2次QEから見れば上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期の実質GDP改定値、年率2.2%減 速報値より上方修正
内閣府が8日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.2%減だった。速報値(前期比0.9%減、年率3.4%減)から上方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.5%減、年率2.0%減となっており、速報値から上振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.5%減(速報値は0.8%減)、年率は1.9%減(同3.1%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.8%減(同0.7%減)、住宅投資は4.2%減(同4.5%減)、設備投資は1.9%増(同0.5%減)、公共投資は0.6%減(同0.4%減)だった。民間在庫の寄与度はマイナス0.1%分(同マイナス0.0%分)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.4%分(同マイナス0.7%分)、輸出から輸入を引いた外需はマイナス0.2%分(同マイナス0.2%分)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス0.9%(同プラス0.9%)だった。
同時に発表された2019年度の実質GDPは、前年度比0.0%増(同0.1%減)だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2019/1-32019/4-62019/7-92019/10-122020/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.6+0.5+0.0▲1.9▲0.9▲0.6
民間消費+0.1+0.6+0.1▲3.3▲0.9▲0.5
民間住宅+1.5▲0.2+1.2▲2.7▲2.5▲1.7
民間設備+1.4▲0.2+1.2▲2.3▲4.5▲4.2
民間在庫 *(+0.1)(+0.0)(▲0.3)(+0.0)(▲0.0)(▲0.1)
公的需要+0.3+1.6+0.8+0.3▲0.0▲0.0
内需寄与度 *(+0.1)(+0.8)(+0.2)(▲2.4)(▲0.7)(▲0.4)
外需寄与度 *(+0.5)(▲0.3)(▲0.2)(+0.5)(▲0.2)(▲0.2)
輸出▲1.8+0.2▲0.6+0.4▲6.0▲6.0
輸入▲4.5+1.8+0.7▲2.4▲4.9▲4.9
国内総所得 (GDI)+1.1+0.5+0.2▲1.8▲0.9▲0.6
国民総所得 (GNI)+0.8+0.5+0.1▲1.9▲0.8▲0.5
名目GDP+1.1+0.6+0.4▲1.5▲0.8▲0.5
雇用者報酬+0.4+0.7▲0.3▲0.2+0.7+0.7
GDPデフレータ+0.2+0.4+0.6+1.2+0.9+0.9
内需デフレータ+0.3+0.4+0.2+0.7+0.7+0.7


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がマイナス成長を示し、需要項目別寄与度では、赤の消費などがマイナスの寄与を示している一方で、極めて疑わしいながら、水色の設備投資がプラスの寄与となっているのが見て取れます。

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先週月曜日6月1日付けで法人企業統計を取り上げた際にも明記しましたが、設備投資が増加しているのは極めて疑わしく、先週木曜日の6月4日に2次QE予想を取りまとめた際にも着目しましたが、法人企業統計では調査票の回収漏れが発生していることに起因しているように受け止めています。すなわち、私のような底意地の悪いエコノミストの目から見れば、成績のいい企業は胸を張って早めに調査票を出す一方で、成績の悪い企業は後からソッと出す、という傾向らしきものが透けて見えますので、回収漏れの調査票は「成績の悪い」モノが少なくなく含まれていると考えるべきです。ですから、2か月後をメドに明らかにされる確報集計では下方修正となる確率が極めて大きく、この法人企業統計に基礎を置く本日公表のGDP統計速報2次QEは過大推計されていると私は受け止めています。私も総務省統計局で消費統計を担当する課長職を務めた経験がありますが、たとえ疑わしい統計であっても公表せざるを得ない立場は厳しいものがあります。ただ、GDP統計は2次統計であって、推計の元となる統計がありますから、まあ、言葉は悪いものの、その元統計に一種の「責任転嫁」する余地は残っていそうな気もします。統計ムラの内輪のお話でした。
ということで、本日公表の1~3月期のGDP統計は、もはや「過去の数字」としかいいようがなく、先行き足元の4~6月期の経済がより重視されるところ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大防止を目指した緊急事態宣言はすでに終了し、一部業種の営業や外出などの自粛要請も徐々に緩和されつつあるとはいえ、私を含めた多くのエコノミストの共通認識では、おそらく、4~6月期の落ち込みは1~3月期を軽く超えて年率で▲20%のマイナス成長、あるいは、それを超えるような数字が出て来るものと考えています。GDP成長率としては足元の4~6月期が最悪である可能性が高いとは考えますが、その後もV字回復は望めず低空飛行が続くものと覚悟すべきです。

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本日、内閣府から5月の景気ウォッチャーが、また、財務省から4月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+7.6ポイント上昇して15.5を、先行き判断DIに至っては+19.6ポイントも上昇して37.3を、それぞれ記録しています。先行き期待感が膨らんでいるように見受けられます。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2627億円の黒字を計上しています。昨年暮れや今年2020年1月には+2000億円の黒字を計上していた旅行収支は、4月統計では+225億円とほぼ「蒸発」しています。いつものグラフだけ上に示しておきます。
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2020年06月06日 (土) 08:30:00

4月からのリバウンドを見た5月の米国雇用統計は底を打ったか?

日本時間の昨夜、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の▲20,687千人減の後、5月統計ではリバウンドして+2,509千人増を記録しています。同じく、失業率も先月からのリバウンドが見られ、13.3%に改善しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから統計を報じる記事を手短に3パラだけ引用すると以下の通りです。

Defying predictions of historic losses, economy gains 2.5M jobs and unemployment eases to 13.3% as businesses start to reopen amid COVID-19
The economy unexpectedly gained 2.5 million jobs in May after record losses the prior month as states began allowing businesses shuttered by the coronavirus to reopen and many Americans returned to work.
The unemployment rate fell to 13.3% from April's 14.7%, which was the highest since the Great Depression.
Economists surveyed by Bloomberg had reckoned that eight million jobs were lost last month following 20.7 million losses in April.


まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期だったんですが、米国経済が長らく景気回復・拡大を続けているために、このグラフの範囲外になってしまっているものの、現在の足元で米国経済が景気後退に入っていることは明らかです。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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4月に▲2000万人超の雇用減少を見て、失業者が一気に2300万人に増加した後の+250万人増ですし、失業率も14.7%から13.3%への低下にしか過ぎませんから、4月の大幅悪化から5月統計はリバウンドしたとはいえ、米国雇用がまだまだ改善からはほど遠いことが統計から見て取れます。もちろん、ADP Employment Reports では雇用が▲276万人減少していましたし、Bloombergのサイトによれば、市場の事前コンセンサスは "a decline of 7.5 million in payrolls and a jump in the unemployment rate to 19%" とさらなる雇用悪化が予想されていて、雇用が改善するとは "No one in Bloomberg's survey had projected improvement" だったようですから、雇用が増加して失業率が低下したのはやや驚きともいえます。経済活動の一部再開で一時的に layoff された人材の職場復帰が進んだということなのでしょう。雇用者全体で+250万人増、政府部門ではまだ▲585千人減ですから、民間部門で+3,094千人像を記録しており、いかにもCOVID-19の影響からのリバウンドというカンジで、Leisure and hospitality が+1,239千人増、Retail trade が+367.8千人増となっていますが、どちらも4月統計では▲200万人超の減少の後のリバウンドですから、まだまだ先は長いという気がします。
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2020年06月05日 (金) 17:30:00

過去最大の下落幅を記録した4月の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から4月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲8.9ポイント下降して76.2を、CI一致指数も前月から▲7.3ポイント下降して81.5を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、9か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の景気動向指数、一致・先行とも過去最大の下落幅
内閣府が5日発表した4月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比7.3ポイント低下の81.5と3カ月連続で低下した。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言や外出自粛、企業活動の停滞などが響き、一致指数の下落幅は統計を開始した1985年1月以降で最大となった。指数の水準は09年10月(80.1)以来、10年6カ月ぶりの低さだった。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のすべてが指数を押し下げた。国内外の需要低迷や工場の稼働停止など生産調整がされたこともあり、「耐久消費財出荷指数」や「鉱工業用生産財出荷指数」、「生産指数(鉱工業)」などがマイナスに影響した。
一致指数の動きから機械的に求める景気動向指数の基調判断は、9カ月連続で「悪化」となった。基調判断が9カ月連続で「悪化」となるのは、08年6月からの11カ月連続以来の長さだ。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比8.9ポイント低下の76.2と、09年3月(74.2)以来、11年1カ月ぶりの低水準となった。先行指数の下げ幅も過去最大を更新した。「消費者態度指数」や「新規求人数(除学卒)」、「鉱工業用生産財在庫率指数」などが指数を押し下げ、先行きに対する見方は依然として厳しいことがうかがえる。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比2.7ポイント低下の98.1だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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3月統計の落ち方もかなりのものだったのですが、4月統計では、引用した記事にもあるように、過去最大の落ち方だそうです。あくまで私個人の直観ながら、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響にによる経済の落ち込みは、おそらく、今年2020年4~5月が底ではないかと考えられますので、来月公表予定の5月統計までこういったカンジが続きそうな気がします。一応、個別系列を見て、CI一致指数の前月差に対するマイナス寄与が大きかったコンポーネントは、耐久消費財出荷指数▲1.42、鉱工業用生産財出荷指数▲1.29、生産指数(鉱工業)▲1.27、有効求人倍率(除学卒)▲1.00などとなっていますが、9系列すべてが前月差マイナスを記録しています。先行指数でも、現時点でデータが利用可能な9系列すべてが前月差マイナスとなっています。先行指数の中で、特にマイナス寄与が大きいのは、消費者態度指数▲1.51、新規求人数(除学卒)▲1.49、鉱工業用生産財在庫率指数▲1.44、最終需要財在庫率指数▲1.43などとなっています。

繰り返しになりますが、COVID-19の我が国経済への影響は4~5月が底ではないかと考えていますが、まだ6月が始まったばかりですし、何より、足元で底を打ったとしても、決してV字回復が期待できるわけではありません。3年から、ひょっとしたら5年くらいは低空飛行が続く可能性があります。
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2020年06月04日 (木) 18:00:00

来週公表予定の1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEからやや上方改定か?

今週月曜日の1~3月期法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろって、6月8日に1~3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定で、すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしていて、今回は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が、1~3月期を大きく上回って、おそらく最大となるであろう足元の4~6月期に注目が集まっています。特に、外出自粛の影響をもっとも強く受ける消費に着目しています。ただ、2次QEですので、法人企業統計のオマケの扱いのリポートもいっぱいあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.9%
(▲3.4%)
n.a.
日本総研▲0.5%
(▲2.1%)
1~3月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資がプラスに転じるほか、民間在庫、公共投資も上方修正となる一方、個人消費は下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率▲2.1%(前期比▲0.5%)と、1次QE(前期比年率▲3.4%、前期比▲0.9%)から上方修正される見込み。
大和総研▲0.6%
(▲2.4%)
1-3月期GDP二次速報(6月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲2.4%と、一次速報(同▲3.4%)から上方修正されると予想する。
みずほ総研▲0.5%
(▲2.1%)
消費活動や生産活動に対する新型コロナウイルスの影響が本格化する4~6月期の実質GDPは、さらに大きく落ち込む見通しだ。
国内では4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が出され、外出自粛の要請に加え、娯楽施設などを対象に休業要請がなされた。4月16日に緊急事態宣言の対象は全国に拡大され、5月4日には緊急事態宣言が5月末まで延長された。その後、段階的に緊急事態宣言が解除され、5月25日に全国で解除がなされるに至ったものの、解除後も感染拡大第2波への懸念がある中では消費活動の急速な回復は見込みがたい。外食、娯楽、宿泊・旅行向け支出が大幅に減少している(JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」によれば、4月後半は1月後半比で70~90%減)ほか、自動車販売も4月以降は落ち込んでいる。4~6月期の個人消費が1~3月期を超える大幅なマイナスとなることは避けられないだろう。
ニッセイ基礎研▲0.5%
(▲2.0%)
6/8公表予定の20年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.5%(前期比年率▲2.0%)になり、1次速報の前期比▲0.9%(前期比年率▲3.4%)から上方修正されると予測する。
第一生命経済研▲0.5%
(▲2.1%)
上方修正が予想されるとはいえ、19年10-12月期の大幅マイナス成長(前期比年率▲7.3%)の後であるにもかかわらず2四半期連続でのマイナス成長という姿は変わらない。景気が極めて厳しい状況に置かれているという認識を変える必要はない。また、現在公表されている4月分の経済指標は、緊急事態宣言発令の影響もあって軒並み急激な悪化となっている。4-6月期の景気が記録的な落ち込みになるとの見方も変える必要はないだろう。
伊藤忠総研▲0.5%
(▲1.8%)
設備投資は前期比プラスに上方修正されるものの、前の期(10~12月期)に大幅に減少した反動の範囲であり、先行指標の弱さや4月以降の景気の落ち込み加速を踏まえると再び減少に転じる可能性が高いため、設備投資が調整局面に入っているという見方を変える必要はないだろう。
そして、1~3月期はコロナ感染拡大の影響を受けた輸出や個人消費の落ち込みによりGDP成長率が2四半期連続のマイナスとなり、続く4~6月期には一段と大幅なマイナス成長が見込まれることにも変わりはない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.6%
(▲2.5%)
6月8日に内閣府から公表される2020年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-0.6%(年率換算-2.5%)と1次速報値の同-0.9%(同-3.4%)から上方修正される見込みである。もっとも、修正幅はそれ程大きくはなく、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、個人消費を中心に景気は年度末にかけて急速に悪化したとの判断が修正されることはない。
三菱総研▲0.6%
(▲2.4%)
2020年1-3月期のGDPの減少幅は縮小する見込みだが、2015年10-12月期以来の2期連続のマイナス成長であるほか、2020年4-6月期は前期比年率で20%を超える落ち込みが予想され、日本経済が厳しい状況であることに変わりない。


ということで、先月の1次QEから2次QEは、軒並み上方改定ということで各シンクタンクのエコノミストの結論は一致しているようです。当然ながら、今週月曜日の6月1日に公表された法人企業統計に合わせて設備投資が上方修正されるから、というのがもっとも大きな要因です。しかし、私も月曜日の公表当日は法人企業統計で設備投資がプラスなのは「謎???」としていたんですが、よくよくよく読めば、集計漏れの調査票があるらしい、ということを理解しつつあります。その昔の毎月勤労統計が典型なんですが、成績のいい企業は胸を張って早めに調査票を出す一方で、成績の悪い企業は後からソッと出す、という傾向らしきものが透けて見えますので、今回の法人企業統計でも同じことが生じる可能性が高いと私は考えています。すなわち、財務省の公表資料によれば、「5月10日の回答期限に基づいて回収された調査票の推計結果を『速報』として公表しております。なお、『確報』については、調査票の回答期限を2ヵ月程度延長したうえで、概ね2ヵ月後に調査結果を公表する予定です。」ということのようで、「確報」では「速報」から下方修正される可能性が極めて高いものと私は予想しています。ですから、この2次QEの上方改定は信頼性低い、と私は受け止めています。通常は、1次QEから2次QEへの改定は新たに公表される統計情報に基づいて行われており、今回の場合、1~3月期に関しては明らかに時を経るに従って新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が拡大していると考えるべきですから、新たな情報を取り込めば取り込むほど下方改定されるハズです。そうなっていないのですから、というか、逆に動いているわけですので、この2次QEは、当然、2次QE予想も信頼性低い、と考えざるを得ません。
一応、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。信頼性低いながら、ご参考まで。

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2020年06月03日 (水) 16:00:00

帝国データバンクによる「速報 新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査 (2020年5月)」やいかに?

毎月、<速報>付きとそうでない2つのバージョンの「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」が帝国データバンクから明らかにされていますが、5月の<速報>バージョンが一昨日の6月1日に出ています。同時にアップされているpdfの全文リポートからグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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見れば判るんでしょうが、上のグラフはリポートから 業績に『マイナスの影響がある』割合 を引用しています。これも見れば判りますが、月次推移でプロットしてあります。「既にマイナスの影響がある」が62.8%と6割を越えましたが、他方で、「今後マイナスの影響がある」は23.3%と減少に転じており、この2つの回答の合計を『マイナスの影響がある』として定義し直すと、86.1%と極めて高率ながら5月は4月から少し低下を示しています。すでにピークアウトしたかどうかは、現時点で判断するのはやや早計な気もしますが、この4~5月あたりがピークの可能性は高いと感じているのは私だけではないような気がします。「マイナスの影響」の水準にもよりますが、この先、かなり長期に渡ってこのマイナスの影響は残ると感じているエコノミストも私だけではないような気がします。
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