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2019年02月20日 (水) 19:26:00

春節の影響で対中国輸出が大幅減となり貿易統計は4か月連続の赤字!

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲8.4%減の5兆5742億円、輸入額は▲0.6%減の6兆9895億円、差引き貿易収支は▱兆4152億円の赤字を計上しています。原系列の貿易統計での赤字は4か月連続です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易統計、対中輸出17%減 電機・半導体関連落ち込む
財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆4152億円の赤字だった。赤字は4カ月連続。輸出入ともに減少したが、中国向けの低迷などを背景に輸出減の影響が上回った。中国向け輸出は電気機器や半導体関連が落ち込み前年同月比17.4%減少した。
輸出額は前年同月比8.4%減の5兆5742億円だった。減少は2カ月連続。パナマ向け船舶や韓国向け半導体等製造装置、中国向け鉄鋼が全体を押し下げた。
国・地域別では、中国向け輸出額が9581億円と17.4%減少した。減少は2カ月連続で、2017年1月以来の低水準となった。電気回路等の機器やプラスチック、半導体等製造装置といった品目が減少した。財務省関税局は「中国向け輸出は春節(旧正月)日程の影響がでた」と説明した。
輸入額は0.6%減の6兆9895億円。10カ月ぶりに減少した。原油安を背景に原粗油や石油製品が落ち込んだ。1月の原粗油の円建て輸入単価は5.6%下落した。
対米国の貿易収支は3674億円の黒字で、黒字額は5.1%増加した。増加は7カ月ぶり。自動車や医薬品がけん引し、米国向け輸出は全体で6.8%増加した。輸入は原粗油などの増加で7.7%増となった。
1月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=109円47銭。前年同月に比べて2.7%円高・ドル安に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲1兆109億円の貿易赤字でしたので、4か月連続の貿易赤字も、▲1兆円超えの赤字額も、どちらも大きなサプライズではありません。国際商品市況における石油価格が、ピークを過ぎたとはいえ、まだ高い状況が続いていますし、2月上旬の中華圏の春節に合わせて、1月の生産調整が実施された結果です。また、原系列の統計では4か月連続の貿易赤字ですが、トレンドを見た季節調整済の系列では昨年2018年年央の7月から半年余りの間貿易赤字が続いています。ただ、上のグラフにも見える通り、輸出入ともに減少しての貿易赤字が続いています。なお、輸入額のピークは国際商品市況の動向にほぼ対応して、昨年2018年10月でした。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、現時点での輸出を見る際の注意点は、中国の景気が上向いているにもかかわらず、まだOECD先行指数が前年同月比でマイナスのままですので、我が国からの輸出が減少を続けていて、先進国加盟国の集合体であるOECDの先行指数は前年同月比マイナス、かつ、下り坂でマイナス幅が拡大していますので、我が国の輸出にとっては中国向けと先進国向けのいずれも需要サイドで減少要因となっており、さらに、引用した記事にもある通り、為替がやや円高に触れていますので、価格サイドも減少要因となっていて、どちらも輸出には逆風です。3月統計を見て、中華圏の春節が終了した後の世界経済を見据える必要があるかもしれません。
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2019年02月19日 (火) 21:23:00

最近の各社プレスリリースから興味深い画像を収集する!

最近は、定年退職間際で時間的な余裕もでき、いろんなサイトを見て回ったりしているんですが、今日は2つほど興味深い画像をお示ししたいと思います。

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まず、2月4日に明らかにされた総合旅行プラットフォームのエアトリのリポートから、春休みの学生人気急上昇海外旅行先ランキングは上の通りです。ランキングは2種類あって、上のテーブルは旅行先のランキングであり、もうひとつ、引用はしませんが、昨年比で人気急上昇のランキングもあります。人気急上昇の1位は直行便が開通したミラノ(イタリア)、2位はトルコのイスタンブールと渋いところが上がっています。実は、我が家の上の倅はこの3月に大学を卒業して就職しますので、まさに学生最後の春休みです。私の仕事の都合で海外帰国子女であり、最初に入学した小学校はジャカルタ日本人学校だったりしますので、今までも大学に入学してから海外旅行に行ったこともあったりします。

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次に、1月31日に明らかにされたプレスリリースから、フリマ・アプリの大手メルカリの2018年の利用動向は上の通りです。性別年代別の月間1人当り売上額です。購入額も知りたいところですが、明らかにされていません。メルカリなどのフリマ・アプリは中年女性の利用者が多い、と私なんぞは勝手に思い込んでいたわけで、とても意外だったんですが、各年代とも売上額は男性の方が多い結果が示されています。
年代・性別ごとに売上額が高いカテゴリーについては、10~20代の男性はトレーディングカードやテレビゲームなどの売上額が高く、30~40代ではアパレルの中でも比較的高値のジャケットやアウターを売却しており、また、50代以上になるとさらに単価の高い時計やPCやタブレット、またゴルフといった趣味に関するグッズをメルカリに出品しているようです。他方、10~20代の女性はタレントグッズやおもちゃなどを売却しているほか、10~30代の女性は子供のおもちゃを多く現金化しており、また、30~50代はバッグやアクセサリーなどの装飾品を、さらに60代以上になると着物や食器といった家に眠っている物の出品が増加しているようです。
昨年、IPOに成功したメルカリはIRの方も熱心なようです。
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2019年02月18日 (月) 19:19:00

2か月連続で前月比マイナスを記録した機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2019年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲0.1%減の8626億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の機械受注、前月比0.1%減 19年1-3月期見通しは1.8%減
内閣府が18日発表した2018年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.1%減の8626億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1.1%減だった。
うち製造業は8.5%減、非製造業は6.8%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」に変更した。
10~12月期の四半期ベースは前期比4.2%減だった。19年1~3月期は1.8%減の見通し。
あわせて発表した18年の船舶・民需を除いた民需の受注額は前年比3.6%増の10兆5091億円だった。製造業は8.9%増、非製造業は0.5%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスであるコア機械受注の季節調整済の前月比▲1.1%減は上回ったものの、2か月連続でわずかながら前月比マイナスを続けた上に、四半期で見て昨年2018年101~12月期の実績が前期比で▲4.2%減、さらに、今年2019年1~3月期の見通しが▲1.8%減ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」からハッキリと「足踏み」に半ノッチ下方修正しています。特に、非製造業は人で不足や来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えているせいか、それなりの増加を示しているんですが、製造業でマイナスを記録しており、米中貿易摩擦や、まだ、統計に影響が現れているとは思えないものの、例のメキシコ国境の壁を巡っての米国トランプ大統領の「非常事態宣言」などの海外要因が重しとなっているように私は見ています。1~3月期の見通しでも、非製造業は前期比プラスが見込まれている一方で、製造業は▲2.2%のマイナスが予想されています。足元から目先にかけて、引き続き、製造業では世界経済の動向に従って横ばいないし減少傾向が続く一方で、人手不足などから非製造業では堅調に推移するものと私は考えています。ただ、方向性ではなく、受注の水準としてはかなり高い状態が続いていることは忘れるべきではありません。
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2019年02月15日 (金) 21:31:00

日本経済研究センター(JCER)研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」はやっぱり米中貿易戦争の我が国への影響は軽微と分析!

やや旧聞に属する話題ながら、1月31日付けで日本経済研究センター(JCER)から研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」が明らかにされています。サイトには英文要旨のpdfファイルもアップロードされています。タイトル通りに、CGEモデルによる分析結果が示されており、すでに発動されている鉄鋼・アルミニウムに対する関税(シナリオ1)、すでに明らかにされている米国による総額2,500憶ドル相当の中国輸入品への課税(米中関税第1弾から第3弾、シナリオ2)、さらに、検討されている政策として、米中第4弾(シナリオ3)、自動車・自動車部品関税(シナリオ4)、のそれぞれについて推計されており、シミュレーションの結果、シナリオ1から4がすべて実施された場合、世界のGDPは▲0.2%減少し、米国は▲0.8%、中国は▲0.7%減少する一方で、日本への影響は▲0.1%に達しない限定的な影響との結論を得ています。このブログでも、昨年2018年7月24日付けで大和総研から明らかにされた2本のリポートを引用して、「日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない」との結論を紹介しています。以下に、日本経済研究センターの研究員報告書から、CGEモデル分析結果のグラフを引用しておきます。

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2019年02月14日 (木) 19:27:00

2018年10-12月期GDP統計1次QEは潜在成長率近傍で力強さに欠ける成長!

本日、内閣府から昨年2018年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.4%を記録しました。マイナス成長だった7~9月期から2四半期振りのプラス成長でしたが、リバウンドの高成長ではなく潜在成長率近傍の成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質1.4%増、10-12月年率 2期ぶりプラス
内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。
前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。
住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。
一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。
18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。
収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。
18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/10-122018/1-32018/4-62018/7-92018/10-12
国内総生産GDP+0.5▲0.2+0.6▲0.7+0.3
民間消費+0.5▲0.2+0.6▲0.2+0.6
民間住宅▲3.2▲2.0▲2.0+0.5+1.1
民間設備+0.8+1.0+2.5▲2.7+2.4
民間在庫 *(+0.2)(▲0.3)(+0.0)(+0.1)(▲0.2)
公的需要▲0.0+0.0▲0.1▲0.3+0.4
内需寄与度 *(+0.5)(▲0.3)(+0.7)(▲0.5)(+0.7)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.3)
輸出+2.2+0.4+0.4▲1.4+0.9
輸入+2.3+0.0+1.3▲0.7+2.7
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.5+0.5▲0.9+0.2
国民総所得 (GNI)+0.1▲0.7+0.8▲1.0+0.3
名目GDP+0.3▲0.4+0.5▲0.6+0.3
雇用者報酬 (実質)▲0.0+0.7+1.5▲0.4+0.7
GDPデフレータ+0.1+0.5▲0.1▲0.4▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.9+0.5+0.6+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年10~12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率による予想レンジは+0.3~+1.2%となっており、予測のレンジ上限を超えたとはいえ、ほぼほぼ上限という印象です。ただし、季節調整済の前期比で見て、2018年7~9月期の▲0.7%のマイナス成長に比べて、10~12月期の+0.3%は+1%強と見なされている潜在成長率近傍とはいえ、自然災害による個人消費の落ち込みが解消されたリバウンドを含めれば、やや物足りない数字と受け取る向きエコノミストも多そうです。他方、仕上がりの数字は前期比+0.3%、前期比年率+1.4%ながら、前期比の内外需別内訳は内需寄与度+0.7%、外需(純輸出)▲0.3%ですから、内需主導型の成長であったことは確かです。ただ、先行きリスクとしては、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦が筆頭に上げられる場合が多く、我が国輸出の今後の行方が懸念されますが、貿易摩擦の我が国への影響は大きくなく限定的、という分析結果もチラホラと目にします。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費が上げられるわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。1人当たり雇用者所得と雇用者数の掛け算で増えています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、毎月勤労統計などの統計が信頼性低い恐れはあるものの、雇用者報酬が順調な伸びを示しています。まだ、景気ウォッチャーや消費者態度指数といった消費者マインドは改善の兆しを見せないものの、人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

最後に、いくつかのシンクタンクから、この1次QEのリポートが出されていて、私が見た以下の3機関の範囲では、足元から目先の日本経済について、「力強さに欠ける」とか「低空飛行」といったフレーズが並んでいた気がします。順不同で、ご参考まで。
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2019年02月13日 (水) 19:22:00

1月の企業物価(PPI)上昇率はとうとう+0.6%まで縮小!

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.6%と前々月の+2.3%や前月の+1.5%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月企業物価0.6%上昇、伸び縮小続く 原油下落で
日銀が13日発表した1月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は100.9と、前年同月比で0.6%上昇した。前年実績を25カ月連続で上回ったが、上昇率は18年12月の確報値から0.9ポイント縮小した。伸び率の縮小は3カ月連続で、原油価格の下落や米中貿易摩擦の影響が続いている。
品目別ではガソリンなどの石油・石炭製品が前年同月比5.0%下落した。18年12月の4.5%上昇から一転して、2年2カ月ぶりに下落に転じた。化学製品も1.7%の下落に転じた。
下げ幅が大きかったのは非鉄金属で7.4%下落。下落幅が18年12月から3.3ポイント拡大した。米中摩擦に伴う世界景気の減速懸念で、アルミニウムなどの市況が悪化した。鉄鋼は国内の建設向け需要が堅調で3.4%上昇した。
調査対象744品目のうち価格が上昇したのは409品目、下落は266品目だった。差は143品目で、18年12月確報の141品目から拡大した。企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品価格を調べたもので、消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、7~10月は+3.0%を続けていましたが、先月統計の11月が+2.3%、12月が+1.5%、そして、直近の1月統計ではとうとう+0.6%まで上昇幅が急激かつ大幅に縮小してしまいました。季節調整していない前月比で国内物価は11月から12月にかけて前月比で▲0.6%の下落、そして、12月から今年1月にかけても同じ▲0.6%の下落を示しましたが、品目別の寄与度で見てガソリンや軽油などの石油・石炭製品が▲0.38%と大きな部分を占めますし、エチレンなどの化学製品も▲0.16%となり、この2項目で全体の下落のほぼほぼすべてという勘定です。また、PPIのうちの輸入物価は円ベースの同じ前月比で▲5.0%下落し、同じく寄与度で石油・石炭・天然ガスが▲2.19%、化学製品も▲0.36%に上ります。上のグラフのうちの一番下のパネルに円建て輸入物価のうちの原油を取り上げていますが、1月統計ではとうとう前年同月比でマイナスに突っ込んでいます。指数の水準でも、前年同月比上昇率でも、いずれも昨年年央2018年7月にピークアウトしたんではないかと私は見ています。従来からのこのブログでの指摘ですが、通常は為替に用いる用語ながら、いってみれば原油価格のパススルー、というか、原油価格の変化に対して柔軟な価格転がなされてしまうことから、我が国の物価は金融政策よりも原油価格に左右される部分の方が大きいような気がします。そうなると、小国とみなされるようになった我が国の物価は、ほぼ外生変数である石油価格に左右されるということになってしまうのかもしれません。当然ながら、企業物価のヘッドラインである国内物価の上昇幅縮小は、ラグを伴いつつ消費者物価(CPI)にも波及します。
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2019年02月12日 (火) 21:42:00

2018年10-12月期GDP速報1次QE予想は潜在成長率近傍の物足りない実質成長率か?

先々週の各種政府統計など、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の2月14日に昨年2018年10~12月期GDP速報1QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、大和総研とみずほ総研は長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。特に大和総研は需要項目別に先行き見通しがあるんですが、取りあえず、個人消費だけを引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.4%)
当面を展望すると、外需の不透明感は残存するものの、良好な雇用・所得環境のもと、内需主導の景気回復が持続し、潜在成長率並みの成長を確保する見通し。もっとも、米中貿易摩擦の動向次第では、株価下落を通じた消費への下押しや、企業マインドの悪化を受けた設備投資の下振れなどが起こる可能性もあり、留意が必要。
大和総研+0.2%
(+0.7%)
先行きの日本経済は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を続ける公算が大きい。当面、鍵を握るのはエネルギー価格の動向と消費増税をめぐる各種の対策となりそうだ。
まず、個人消費は一進一退が続くとみている。これまで、労働需給のタイト化に伴う名目賃金上昇の効果は物価高により相殺されてきたが、11月以降原油価格が大きく下落したことで、足下では実質賃金も上昇している。ただし、人手不足に伴う賃金上昇を賃金カーブのフラット化や残業削減によって企業が相殺することにより、名目賃金の上昇ペースが鈍る可能性には注意が必要だ。
また、2019年10月に予定されている消費増税に関しては、各種経済対策の実施により駆け込み需要・反動減はいくらか緩和される見込みである。ただし、施策の一つであるポイント還元策(案)が、制度終了(2020年6月末)前後に駆け込み需要・反動減を生じさせる点には留意しておく必要がある。
みずほ総研+0.4%
(+1.4%)
1~3月期以降については、海外経済の減速に伴う輸出の伸び鈍化などを受け、力強さに欠ける展開が続くと予想する。
個人消費は労働需給のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが押し上げ要因となり、底堅い推移が続くだろう。設備投資は、高水準の企業収益や人手不足による合理化・省力化投資が引き続き下支えになるものの、製造業を中心にストック調整圧力が徐々に高まるとみられるため、緩やかな伸びに留まる公算だ。輸出は、中国経済を中心に海外経済の減速がしばらく続くほか、これまでの輸出のけん引役であったIT需要が既にピークアウトしていることから、伸びが鈍化していくとみている。
リスク要因としては、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。既に一部の企業で設備投資を先送りする動きが出はじめているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、輸出の更なる低下や設備投資の減速を通じ、景気が下押しされる可能性がある。
ニッセイ基礎研+0.3%
(+1.3%)
2018年10-12月期は前期比年率1%程度とされる潜在成長率を上回るプラス成長となったが、自然災害の影響で大幅マイナス成長となった7-9月期の後としては物足りない伸びにとどまった。景気は実勢として弱めの動きとなっており、年明け以降も停滞色の強い状況が続く公算が大きい。海外経済の減速に伴う輸出の失速を起点として景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている。
第一生命経済研+0.3%
(+1.2%)
景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない。回復か後退かで分けるのならば、依然として回復局面という判断になるだろう。ただ、18年の景気の足取りが筆者の当初の想定をかなり下回ったことは確かであり、足元では「減速」よりも「踊り場」や「足踏み」といった表現の方が似合う景気状況にあるように見える。
伊藤忠経済研+0.9%
(+3.5%)
10~12月期の実質GDP成長率は前期比+0.9%(年率+3.5%)の高い伸びを予想。ただ、災害被害によって落ち込んだ前期の反動という面が大きく、均して見れば潜在成長率を下回る緩やかな拡大にとどまる。デフレ脱却への道のりは遠い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.9%)
2018年10~12月期の実質GDP成長率は、自然災害発生による一時的な下押し圧力が剥落したことに加え、国内需要が底堅さを維持していることからプラス成長を回復したと予想される。ただし、輸入の増加によって外需寄与度が比較的大きめなマイナスとなるため、伸び率は前期比+0.2%(年率換算+0.9%)と、前期がマイナス成長だったことを勘案すると小幅の伸びにとどまる。
三菱総研+0.1%
(+0.3%)
2018年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.3%)と、2四半期ぶりのプラス成長を予測する。7-9月期に相次いだ自然災害からの回復は見られたものの、外需環境の悪化が重石となり、小幅のプラス成長にとどまったとみられる。


突飛にもっとも大きな成長率を予想している伊藤忠経済研とその逆の三菱総研を除けば、概ね年率換算で+1%前後と潜在成長率近傍の予想が多くなっている印象です。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも年率で+1.2%が中央値となっています。2018年1~3月期のマイナス成長の後の4~6月期は年率+2.7%の高成長でしたから、それに比べれば、10~12月期の+1%の潜在成長率近傍というのはやや物足りない気もします。ただ、4~6月期も外需はマイナス寄与だったんですが、国際商品市況の石油価格がほぼほぼピークでしたから、私の直感でも10~12月期の外需のマイナス寄与は4~6月期よりも大きいと想像しています。いずれにせよ、10~12月期は消費と設備投資が伸びた一方で、海外要因が足を引っ張って、内需主導の成長ながら高成長ではない、というのが緩やかなコンセンサスのような気がします。なお、上のテーブルのヘッドラインのうち、ニッセイ基礎研の「景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている」というのと、第一生命経済研の「景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない」というのは一見相反するように見えますが、私は同じ意味なんだろうと受け止めています。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから実質GDP成長率の推移を引用しています。

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2019年02月10日 (日) 14:32:00

米国の政策プライオリティに関する世論調査結果やいかに?

先週2月5日に、ようやくトランプ米国大統領が一般教書演説 (State of the Union Address) を終えましたが、やや旧聞に属する話題ながら、1月24日付けで、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから Public's 2019 Priorities: Economy, Health Care, Education and Security All Near Top of List と題して、米国国民の考える今年の政策プライオリティに関する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。調査結果のタイトル通り、政策プライオリティのトップに上げられたのは、Improving the economy (70%)、Reducing health care costs (69%)、Improving the educational system (68%)、Defending the country from future terrorist attacks(67%)、Taking steps to make the Social Security (67%) and Medicare (67%) systems financially となっています。グラフをいくつか引用しながら、簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから複数回答で政策の最優先課題を問うた結果の回答の時系列的な推移をプロットしているグラフを引用しています。やや色分けが見にくいんですが、最近時点での50%前後の回答のトップ5を示しています。ヘルスケアを除いて軒並みここ数年で比率を下げているような気がします。すなわち、私の解釈ながら、経済や雇用については好調な米国景気を背景に関心が低下し、テロについても米国第一主義で大概的な視点を欠くトランプ政権下で興味を低下させ、財政赤字については一部の連邦政府機関の機能停止を受けて昨年から横ばいとなっています。私の記憶でも、1980年代末の我が国経済のバブル期には経済の優先順位が下がり、少なくとも、財政政策や金融政策の発動による景気浮揚策はほとんど話題に見ならなかったと思います。また、折れ線グラフには入っていませんが、直近時点で教育が68%、社会保障が67%を占めるなど、高い優先順位の回答を集めています。

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次に、上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから政策の優先順位が与党共和党と野党民主党との間でどれくらい隔たりがあるのかをプロットしているグラフを引用しています。テロ対策や軍事では共和党がプライオリティ高く、両党の差が大きい一方で、同じく両党の差が大きい政策課題で民主党の優先順位が高いものには環境と気候変動が上げられます。意外と世界貿易に関しては両党間の差が小さく、しかも、我が国をはじめとして諸外国で騒いでいる割には、米国内ではそれほどのプライオリティが認められていない、というのはやや奇妙な気がします。
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2019年02月08日 (金) 23:51:00

先行き判断DIが上昇した景気ウォッチャーと貿易収支が黒字化した経常収支!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2018年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から前月差▲1.2ポイント低下の45.6を記録した一方で、先行き判断DIは+1.5ポイント上昇の49.4となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+4528億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

"1月の街角景気、現状判断2カ月連続悪化 訪日客需要に陰り
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は45.6と、前の月から1.2ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月連続。外国人による消費に陰りが見られるほか、米中貿易摩擦の影響が景気実感に表れ始めている。内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」で据え置いた。
現状判断指数(45.6)は2016年7月(44.4)以来、2年6カ月ぶりの低水準。家計動向関連が2.0ポイント低下の44.6と下落したのが響いた。1月に中国で通販事業者の規制を強化する電子商取引(EC)法が施行され、中国で転売するための需要が減少しているとの声が百貨店を中心に多数聞かれた。インフルエンザの流行で外出を控える影響により「恨みたくなるような客足。例年以上に冷え込んでいる」(甲信越の一般レストラン)との声もあった。
企業動向関連は建設業など非製造業が押し上げて0.5ポイント上昇の46.6だったものの、製造業は43.4と2.3ポイント低下した。「ロボット等の製造設備関連業界には陰りが出ている。米中貿易戦争の影響が顕著にでているようだ」(北関東の一般機械器具製造業)、「世界的な景気の減退が地方にも波及し始めている」(北海道の家具製造業)などの指摘があった。雇用関連は1.1ポイント上昇の49.9だった。
一方、2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.4と、前の月から1.5ポイント上昇した。先行き判断指数の部門別では家計動向、企業動向、雇用、いずれも改善した。「消費税引き上げ前の駆け込み購入や東京オリンピックに向けての買い替えでテレビとパソコンが今後も売れる」(東海の家電量販店)と耐久消費財の堅調な需要に期待する声や、ゴールデンウイークの10連休に伴う旅行需要に期待する声、改元を機に祝賀ムードから飲食や消費増に期待する声があった。
内閣府は基調判断を先行きについて「海外情勢等に対する懸念もある一方、改元や大型連休等への期待がみられる」とまとめた。
2018年の経常黒字、前年比13%減 貿易黒字が縮小
財務省が8日発表した2018年の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引を表す経常収支は19兆932億円の黒字だった。黒字額は前年に比べて13.0%減少した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の黒字額縮小が響いた。
貿易収支は1兆1877億円の黒字だった。黒字額は前年比76.0%減少した。原油高を背景に原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、輸入全体で10.6%増えた。自動車や原動機がけん引し、輸出も全体で5.1%伸びたが、輸入の増加が上回った。
企業の海外からの配当金や投資収益にあたる第1次所得収支は20兆8102億円の黒字だった。黒字額は15年に次ぐ過去2番目の高水準だった。海外子会社から受け取る配当金と再投資収益がけん引し、直接投資収益が過去最高となった。
輸送や旅行、金融といったサービス取引の収支を示すサービス収支は8986億円の赤字となり、前年(7257億円の赤字)から赤字額が拡大した。輸送収支の赤字幅拡大が響いた。一方、訪日外国人の増加を背景に旅行収支は2兆3139億円の黒字と過去最大の黒字を記録した。
同時に発表した18年12月の国際収支状況(速報)によると、経常収支は4528億円の黒字だった。黒字は54カ月連続だが、黒字額は前年同月比43.1%減少した。
貿易収支は2162億円の黒字で、黒字額は58.8%減少した。アジア向けの輸出額が減速するなど輸出が全体で2.8%減少し、輸入は1.6%増加した。
第1次所得収支は4049億円の黒字と、黒字額は34.7%減少した。サービス収支は1142億円の赤字と比較可能な96年以降で最小の赤字だった。旅行収支は2038億円の黒字で、同月として過去最大だった。


2つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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1月の季節調整済指数の前月差で見て、現状判断DIが低下する一方で、2~3か月先の先行き判断がプラスという異なる方向への振れとなり、供給サイドのマインドとしては、足元がかなり直近の底に近い感触です。現状判断DIが低下した理由としては、引用した記事によればインバウンド、インフルエンザ、米中間の貿易戦争の3点が上げられているようですが、他方で、先行き判断DI上昇の理由として、東京オリパラと改元やゴールデンウィーク10連休のほか消費増税前の駆け込み需要がすでに始まっている印象もあります。エコノミストの目から見て、インフルエンザは経済外要因かもしれませんが、確かに、外出手控えなどは消費に影響しそうな気もします。インバウンドと米中貿易摩擦は海外要因といえます。逆に、先行きに影響している要因はほぼほぼすべて国内要因なんですが、サステイナビリティはなさそうです。マインドですから、それほど長期に影響する要因はあり得ないともいえますが、景気拡大が73か月の戦後最長に達した可能性が高い現時点で、先行き判断が明るいのはもう少し景気拡大が継続する、ということな気がします。問題は消費増税以後の景気動向です。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。月次の季節調整済の系列で見て、安定的に1~2兆円の黒字を計上してます。ただ、国際商品市況における石油価格の動向に起因して、2018年9~11は貿易収支が赤字を記録していましたが、石油価格もほぼほぼピークを超えて、2018年12月には貿易黒字に回帰しています。

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最後に、本日、厚生労働省から昨年2018年12月の毎月勤労統計も公表されています。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.8%増の56万7151円、賞与込みに上昇していますが、広く報じられている通り、統計としては大いに信頼性を損ねましたので、ヘッドラインの数字を引用し、上にいつものグラフをお示しするにとどめ、統計に基づく経済評論は差し控えたいと思います。
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2019年02月07日 (木) 23:28:00

12月の景気動向指数CI一致指数は2か月連続で下降し足踏み続く!

本日、内閣府から昨年2018年12月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.2ポイント下降して97.9を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して102.3を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の景気一致指数 2カ月連続の低下、内閣府「輸出弱い」
内閣府が7日発表した2018年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の102.3だった。低下は2カ月連続。「アジア向けのスマートフォン(スマホ)用部品が減少するなど、輸出が弱い印象だ」(内閣府)という。米中貿易摩擦や中国経済の減速などの影響が出たようだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。同判断は4カ月連続となる。一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になるのは7系列で、そのうち6系列がマイナスに影響した。
米国・アジア向けの自動車部品の輸出が減少するなど、商業販売額(卸売業)が低下した。スマホなどに使われるフラットパネルディスプレーの製造装置の輸出減がみられた投資財出荷指数(除輸送機械)の低下なども指数にマイナスに影響した。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の97.9と4カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.6ポイント低下の103.4だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度としては、プラスは耐久消費財出荷指数だけであり、マイナスは速報段階で利用可能なほかのすべての6系列に上っており、マイナスの大きい順に、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、投資財出荷指数(除輸送機械)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断は「足踏み」に据え置かれていますが、「改善」に1ノッチ上方修正されるための2条件、すなわち、3か月連続での3か月後方移動平均がプラス、はOKだったんですが、前月差でプラスはダメでした。従って、繰り返しになりますが、基調判断は4か月連続で「足踏み」に据え置かれています。
なお、よく知られた通り、景気動向指数は鉱工業生産指数(IIP)などのいわゆる1次統計から機械的に算出される加工統計、ないし、2次統計と呼ばれるもので、独自の調査票でもって調査されているわけではありませんので、逆に、何らかの要因で1次統計が不正確であれば、正しい結果は得られません。当然です。実は、例の統計偽装が騒がれている毎月勤労統計も用いられており、内閣府からは本日付けで「『景気動向指数』における『毎月勤労統計調査』再集計値対応について」と題するアナウンスが公表されています。これによれば、毎月勤労統計から景気動向指数には、一致系列: C4 所定外労働時間指数(季節調整値、調査産業計、30人以上)が、また、遅行系列: Lg2 常用雇用指数(原数値の前年同月比、調査産業計、30人以上)および Lg7 きまって支給する給与(指数、名目、季節調整値、製造業、30人以上)が用いられており、本日公表の2018年12月分速報からリンク係数を用いた接続方法により算出されている旨が明らかにされています。

ところで、去る1月29日に開催された月例経済報告閣僚会議において、「景気は、緩やかに回復している。」とされ、現在の2012年11月を谷とする景気拡大が73か月と戦後最長となった可能性が高いと報告された点につき、シンクタンクなどからいくつか論評が明らかにされています。私がネット上で見たのは順不同で以下の通りです。ご参考まで。
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2019年02月06日 (水) 19:42:00

三井住友アセットマネジメントのマーケットレポート「多くの旅行需要が期待される『春節』休暇」やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、ほぼ1週間前の1月30日付けで三井住友アセットマネジメントから「多くの旅行需要が期待される『春節』休暇」とのマーケットレポートが明らかにされています。pdfの全文リポートで1枚ものの短い内容ですが、簡単に以下の通り取り上げておきたいと思います。

まず、リポートで第1のポイントとして上げられているのが『春節』の旅行者数は約4億人という規模の点であり、「4億人」については大手オンライン旅行会社の携程旅行網(シートリップ)から引用しています。また、昨年からの増加は小幅で、例えば、国務院新聞弁公室が『春節』期間の帰省等に伴う特別輸送体制を取る「春運」と呼ばれる期間である1月21日から3月1日までの40日間で、この間の鉄道や飛行機等各種輸送手段による旅客輸送量は延べ29億9,000万人に上り、前年同期比+0.6%増を記録する見込みだそうです。
次に、リポートで第2のポイントとして上げられているのが、海外旅行者であり、海外旅行者数は全体で700万人、うち日本は人気旅行先の第2位に上げられています。これもニュースソースは民泊仲介業者であるシートリップではないかと思うんですが、2月2日付けの産経新聞のサイトで見た範囲では、2位の日本のほかは、1位はタイ、3位以下はインドネシア、シンガポール、ベトナムの順となっています。全体の海外旅行者数700万人は昨年から50万人増であり、予約ベースのツアー代金は1人当たり1万元(約16万円)と前年比で+5%増が見込まれているようで、旅行者数・旅行単価とも増加と紹介されています。

このリポートもそうなんですが、春節期間のインバウンド旅行者についても、モノ消費からコト消費への変化が取り上げられています。同時に、どこのサイトで見たのかは忘れてしまいましたが、訪問先も「遊んで楽しめる場所」から「のんびりくつろげる場所」へと変化し始めている、といった旨の指摘も目にしました。かつての爆買いから、文化や風習などをじっくり体験、といった方向にインバウンド消費がシフトするんでしょうか?
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2019年02月05日 (火) 21:14:00

日欧経済連携協定(EPA)が2月1日に発効しチリ産ワインの価格競争力が低下!

我が国と欧州の間の経済連携協定(EPA) が去る2月1日から発効しています。多岐にわたる協定内容などについては以下のサイトをご覧いただくとして、私自身の消費行動にも影響が及んでいます。



私の消費行動が大きく変化しそうなのはワインの購入です。日欧EPAでは、欧州から日本に輸入されるチーズやチョコレート菓子の関税は10年かけて段階的に撤廃することが決められている一方で、ワインやシャンパンなどのスパークリング・ワインへの輸入関税は即時撤廃とされています。ワインについては15%または1リットル当たり最大125円=一般的な750ミリリットルのボトルなら94円弱の関税が即時撤廃されるんですから、それなりの価格インパクトはあります。我が家で購読している朝日新聞のサイトでも「ワイン、チーズ、生ハム…値下げ続々 日欧EPA発効で」とのタイトルで大きく報じています。私は南米はチリの日本大使館に3年間経済アタッシェとして勤務し、それなりに親しみを持って帰国し、とてもお安い大衆ワインですが、チリの首都の名を取ったサンティアゴのメルローなんぞを愛飲していたんですが、スペイン産ワインの価格競争力が大きく向上し、私はグルメでも何でもない一般ピープルですし、価格には敏感なエコノミストですから、最近ではついつい不義理をしてスペイン産ワインを購入したりしています。我が国とチリとの間には米国が脱退したTPP11(環太平洋パートナーシップ協定)を署名・締結したんですが、まだ発効していません。一時的にチリ産ワインが価格競争力を失うのかもしれません。
ご参考まで、下のテーブルの画像は1月17日付けで流通ニュースのサイトにて「イオン/ワインの『日欧EPA発効記念先取りセール』開催」とのタイトルで報じられたイオンの販売価格表だそうです。私が買うようなスペイン産のお安いワインも含まれています。

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2019年02月04日 (月) 21:35:00

帝国データバンクによる「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、1月24日に帝国データバンクから「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。地域別にみて、当然ながら、近畿圏企業の期待が高まっているようすが判ります。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 大阪万博の開催が与える企業活動への影響について、「プラスの影響がある」が31.0%、「マイナスの影響がある」が5.7%、「影響はない」が38.9%、「分からない」が24.3%となった。約3割の企業が大阪万博開催に関してプラスの影響があるととらえている
  2. 地域別にみると、大阪万博の開催について「プラスの影響がある」と回答した企業の割合は、『近畿』で55.8%と最も高い。『北海道』『東北』『北関東』においては、同結果が1割台となっており地理的な距離によりプラス効果の認識に違いが生じている
  3. 具体的な理由について、プラス面では「建設需要の増加」が22.5%と最も高く、次いで「個人消費の拡大」(15.6%)。他方、マイナス面は「人手不足の深刻化」が26.2%でトップ、次いで「建設費の高騰」(16.4%)が続いた
  4. 業界別では、『金融』『建設』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界において、「プラスの影響がある」が30%を超える結果となった
  5. 従業員規模別では、従業員数の規模が大きくなるほど、「プラスの影響がある」と回答する企業の割合は高くなっている。特に「1,000人超」企業においては5割を超える


関西は京都出身の私にとっても、とても興味あるテーマですので、リポートから図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の棒グラフは全国及びブロック別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。「プラスの影響」を回答した企業の割合は、近畿で55.8%と圧倒的に高く、30%超の地方は中国・四国と東海がほぼほぼ同率で並んでおり、やっぱり、地域的な偏りが見られます。当然です。逆に、地理的な距離のある北海道、東北、北関東の各地方においては、10%台後半となっており、極めて正直な結果という気もします。また、マイナスの影響についても、北海道、東北、九州で割合が高くなっています。

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次に、上の地図も都道府県別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。加えて、ブロック別よりも詳細に都道府県別でプラスの影響の割合を見ています。もっとも高い割合を示しているのが大阪である点は当然としても、京都を飛び越して滋賀県が大阪に肉薄しています。近畿ブロックの中で、京都と奈良は50%超の数字を上げており、兵庫と和歌山についてもほぼほぼ50%です。そして、なぜか、海を隔てて徳島が50%に上っています。私は詳しくないんですが、大阪圏との経済的な結びつきが大きいのかもしれません。大阪から距離のある県では、白の20%を下回っている水準なんですが、流石に東京だけは32%に達しています。

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最後に、上の棒グラフは大阪万博開催の影響に関する具体的な理由を帝国データバンクのリポートから引用しています。プラスの影響の理由としては、インフラ整備などの建設需要の増加と消費拡大とインバウンド増加が上げられており、逆に、マイナスの影響の理由では人手不足の深刻化と建設費の高騰などが懸念されていて、私の印象だけなのかもしれませんが、エコの椅子とは何かのショックに対する波及効果を考えるのに対して、企業部門はややゼロサム的な考え方なのか、いろんなリソースを大阪や近畿圏に持って行かれる心配をしているのかもしれません。
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2019年02月01日 (金) 23:28:00

日本と米国の雇用統計はいずれも堅調に推移!

本日、朝のうちに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率など、昨年2018年12月の雇用統計が、また、日本時間の夜になって、米国労働省から1月の米国雇用統計が、それぞれ公表されています。我が国では、失業率は前月から+0.1%ポイント低下して2.4%となり、有効求人倍率も前月と同じ1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。米国では、非農業雇用者数は前月統計から+304千人増と、市場の事前コンセンサスを大きく上回って伸びが加速した一方で、政府機関の一部閉鎖などの影響により失業率は前月から悪化して4.0%を示しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトUSA Today のサイトからそれぞれ関連する記事を引用すると以下の通りです。なお、USA Today の記事は最初の9パラだけ取っています。

18年の有効求人1.61倍、過去2番目の高さ 就業者は最多
厚生労働省が1日発表した2018年平均の有効求人倍率は1.61倍と、前年比で0.11ポイント上昇した。過去2番目に高い水準。同時に総務省が発表した18年平均の就業者数は6664万人で、比較可能な1953年以降最も多かった。一方で完全失業率は2.4%で0.4ポイント下がった。26年ぶりの低水準だ。深刻な人手不足を背景に、働き始める高齢者や女性が増えている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。9年連続で上昇した。18年は高度経済成長の末期にあたる1973年(1.76倍)に続く高さとなった。
企業の出す有効求人数は18年に278万人と、前年比3.1%増。9年連続で増えた。仕事を探す有効求職者数は172万人で3.8%減った。
企業の人材確保は難しさを増している。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は14%。前年から1.2ポイント下がった。正社員として長期雇用で人材を囲い込む動きが広がっており、18年12月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍で、1年前より0.08ポイント上がった。
就業者数は6年連続の増加だ。女性が前年に比べ87万人増えており、男性の伸び(45万人増)を上回った。今まで働いていなかった女性がパートなどで仕事を始める例が多い。一方で65歳以上の高齢者も男女合計で55万人増だ。完全失業者数は18年平均で166万人で24万人減った。
18年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍だった。完全失業率は2.4%で、3カ月ぶりに改善した。
Employers add booming 304,000 jobs in January, marking 100th straight month of employment gains
Hiring began 2019 on a strong note as employers added 304,000 jobs in January, marking a 100th straight month of payroll growth and defying the 35-day government shutdown, the U.S. trade war with China and a slowing global economy.
The milestone extended the labor market's record streak of job gains.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey of households, rose from 3.9% to 4 percent, largely because of the government shutdown, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg estimated 165,000 jobs were added last month.
Mildly disappointing: Employment gains from November and December were revised down by a total 70,000. November's was upgraded from 176,000 to 196,000 but December's blockbuster 312,000 was revised down to 222,000, which was still a strong showing.
A whirlwind of unusual factors likely skewed January's employment totals, economists said. The shutdown wasn't expected to affect the jobs total broadly, which derives from a survey of businesses and government agencies, because 420,000 federal employees worked without pay and the 380,000 who were furloughed are receiving paychecks retroactively, Labor said. However, the longest shutdown in U.S. history still may have crimped government hiring, Goldman Sachs said. And layoffs by the government's private contractors probably suppressed employment by about 30,000, according to Morgan Stanley.
Warm weather in mid-January, when Labor conducted its employment survey, bolstered job gains in industries such as construction and leisure and hospitality, economists said. The number of workers idled because of bad weather was about 50,000 below the average of the past 10 January reports, says economist Jim O'Sullivan of High Frequency Economics.
Also, industries such as retail, restaurants and warehousing sharply ramped up hiring of temporary seasonal workers the past few months, likely resulting in more layoffs in January, according to Morgan Stanley and Grant Thornton.
Generally, the labor market was surprisingly robust in 2018, adding an average 223,000 jobs a month. But economists expect average monthly job growth to slow to about 165,000 or so this year as the trade fight and sluggish global economy take a bigger toll and the low unemployment rate spawns more worker shortages.


とても長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月の1.13倍から1.15倍に改善し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年半に渡って1倍を超えて推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も歩調を合わせて低下していることから、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上から順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、失業率、一番下のパネルは時間当たり賃金の前年同月比上昇率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。ということで、市場の事前コンセンサスが+170~180千人の雇用者像を予想していましたので、ちょっとびっくりの数字でした。ただ、失業率は2か月連続の悪化で、半年ぶりくらいに4%に乗せました。もっとも、これくらいではまだまだ歴史的に見てもかなり低い水準といえます。加えて、失業率の悪化については、35日間続いた政府機関の一部閉鎖が悪化要因と考えられますので、悲観的な見方を示すエコノミストは少なそうです。ですから、米国の雇用は引き続き堅調であると考えるべきです。なお、その政府機関の一時閉鎖の影響ですが、米国議会予算局(CBO)のリポート "The Effects of the Partial Shutdown Ending in January 2019" によれば、政府機関の一部閉鎖により約80万人の連邦政府職員に給与が支払われておらず、2019年のGDPへの影響は▲0.02%と推計されています。他方で、1月15日付けの New York Times の記事 "Shutdown's Economic Damage Starts to Pile Up, Threatening an End to Growth" によれば、米国大統領経済諮問委員会のハセット委員長は取材に応じて、一部の連邦政府機関の閉鎖は、四半期GDPに対して毎週▲0.13%ポイント成長率を下押しする "the shutdown reduces quarterly economic growth by 0.13 percentage points for every week" との試算結果を示しているようです。「80万人」は各種の報道で共通しているように私は受け止めていますが、雇用者の0.5%に当たります。どの試算を信用するか、また、これらの影響が大きいと見るのか、小さく限定的と見るのかは、現時点では何ともいえません。
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2019年01月31日 (木) 19:43:00

12月の鉱工業生産指数(IIP)は小幅に減産!

本日、経済産業省から昨年2018年12月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。いずれも11月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.1%の減産を示しています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の鉱工業生産、0.1%低下 輸出向け不振など響く
経済産業省が31日発表した2018年12月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比0.1%低下の104.7だった。一部業種で輸出向けが振るわなかった。低下は2カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.3%低下)は上回った。
経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」で維持した。
業種別では、15業種中6業種で低下した。半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置などの生産用機械工業が低下したほか、半導体メモリー、カメラやスマートフォン(スマホ)に組み込む撮影用の素子などの電子部品・デバイス工業が低下した。化粧水や乳液などの化学工業も振るわなかった。
出荷指数は0.3%上昇の103.6と2カ月ぶりに上昇した。自動車、一般用蒸気タービンなどが寄与した。
在庫指数は1.0%上昇の102.4だった。電気・情報通信機械工業など10業種が上昇した。
製造工業生産予測調査によると、1月は0.1%低下、2月は2.6%の上昇だった。1月は乗用車など輸送機械工業の低下が見込まれている。
同時に発表した18年10~12月期の鉱工業生産指数は7~9月期比で1.9%増の105.1だった。7~9月期の災害による影響の反動などが寄与した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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昨年2018年12月の鉱工業生産は、11月に続いて2か月連続の減産を示しました。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲0.4%の減産を見込んでいましたので、これに比べると減産幅は小さいということになりますが、製造工業生産予測調査によれば今年2019年1月も▲0.1%の減産が予想されていますので、3か月連続で減産の可能性が高くなっています。ただ、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いています。でも、このブログで少し前から指摘している通り、2月上旬の来週は中華圏では春節の大型連休ですから生産統計がかく乱される恐れがあり、場合によっては2月生産も減産となる可能性があります。他方、2018年10~12月期の四半期ベースでは10月統計で+2.9%の大きな増産により、いわゆるゲタをはいた形になって、前期比で+1.9%の増産を記録しています。12月統計に戻ると、業種別では、汎用・業務用機械工業や自動車工業や電気・情報通信機械工業が前月比で増産を示した一方で、生産用機械工業や化学工業(除く無機・有機化学工業・医薬品)や電子部品・デバイス工業が減産となっています。海外要因としては米中間の貿易摩擦があり、国内景気も力強さに欠ける中で、生産はやや頭打ちとなっていますが、少なくとも、ダボス会議で示された国際通貨基金「世界経済見通し改定」でも、世界経済の成長率は従来予測よりは低下する可能性が高いながら、それでも+3%台半ばの堅調な成長が続くと見込まれており、世界経済の成長を背景に、先行きの我が国の生産は緩やかな増産に回帰するものと考えるべきです。

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12月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。久し振りだという気がします。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2018年10~12月期の上向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せていて、直近四半期である2018年10~12月期にはカーテシアン座標の第1象限に戻りました。内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越え、さらに第4象限に突っ込むと、「意図せざる在庫増」から「在庫調整・在庫減らし局面」に入ったと見なされて、景気の山を越えた可能性が示唆されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、あくまでたぶんですが、景気拡大の前半期と考えているエコノミストはとても少ない一方で、後半期に入っていると考えるエコノミストは、私も含めて、それなりにいそうな気もします。
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2019年01月30日 (水) 21:21:00

4か月連続で悪化を示す消費者態度指数とプラスが続く商業販売統計!

本日、内閣府から1月の消費者態度指数が、また、経済産業省から昨年2018年12月の商業販売統計が、それぞれ公表されています。消費者態度指数は前月から▲0.8ポイント低下して41.9を記録し、まだ反転の兆しも見えず4か月連続で悪化しています。商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.3%増の14兆1260億円、季節調整済み指数の前月比は+0.9%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数、4カ月連続悪化 1月
内閣府が30日発表した1月の消費動向調査で、消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上世帯、季節調整値)は41.9と、前月から0.8ポイント低下した。低下は4カ月連続。基調判断は「弱い動きがみられる」に据え置いた。
指数を構成する「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」のすべての指標が悪化した。世界経済の先行きが不透明なことを受け、消費に慎重になりつつあるとみられる。
18年の小売販売額1.7%増、2年連続増加 石油製品の価格上昇で
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、2018年の小売業販売額は前年比1.7%増の144兆9620億円だった。2年連続で前年実績を上回った。原油高による石油製品の価格上昇が販売額を押し上げた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で19兆5998億円と前年と横ばいだった。コンビニエンスストアの販売額は11兆9780億円と2.0%増だった。
18年12月単月の小売業販売額は14兆1260億円と前年同月比1.3%増加した。自動車小売業は軽自動車や輸入車の販売が好調で3.7%増えた。燃料小売業は石油製品の価格上昇で4.2%増えた。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」に据え置いた。
12月の百貨店とスーパーの合計は0.5%減の2兆825億円で、既存店ベースでは1.0%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.8%増の1兆566億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、すべての項目で前月2018年12月から低下を示しており、「雇用環境」が#x25B2;1.5ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が#x25B2;1.1ポイント低下、「暮らし向き」が#x25B2;0.5ポイント低下、「収入の増え方」が#x25B2;0.3ポイント低下、とそれぞれなっています。特に「雇用環境」の低下幅が大きくなっています。なお、消費者態度指数の直近のピークは2017年11月から2018年1月まで3か月連続で記録した44.6なんですが、この1年間、すなわち、2018年1月から直近で統計の利用可能な2019年1月までの1年間12か月の指数の水準の差をコンポーネントごとに累積で見ると、「雇用環境」が#x25B2;5.2ポイント低下、「暮らし向き」が#x25B2;2.3ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が#x25B2;1.9ポイント低下、「収入の増え方」が#x25B2;1.4ポイント低下、となります。やや不思議なんですが、「雇用環境」が最も低下幅大きいながら、「収入の増え方」の以下幅は小さくなっています。雇用者報酬以外の収入となれば、株で収入アップの人が多いのかもしれませんが、やや謎です。消費者マインドがこれだけ悪化しているにもかかわらず、その中でも収入に関するマインドがそれほど悪化してないということで、消費が底堅く推移している可能性もあります。そして、消費者態度指数全体を見ると、2018年1月から7月の前半6か月累積で#x25B2;1.1ポイント低下した一方で、2018年7月から2019年1月の後半6か月で#x25B2;1.6ポイント低下ですから、足元の直近時点に向けて消費者マインドの悪化がやや加速しているのも事実です。私自身は、単純に、このまま景気後退に入るとは考えていませんし、少なくとも、10月からの消費税率引き上げ前には駆け込み需要が発生するのは明らかです。もちろん、駆け込み需要の反動減からの動向が懸念されるところ、かなり手厚い負担軽減措置が取られているので、決して悲観はしていませんが、消費税率の引き上げが消費やひいては景気動向のかく乱要因であることは確かです。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は消費者態度指数のグラフと同じく景気後退期です。ということで、小売販売額については、ヘッドラインの季節調整していない原系列の統計での前年同月比ではプラスを1年超で続けているものの、これは名目の売り上げであり、昨年2018年12月統計で+0.7%に達しているコア消費者物価(CPI)上昇率を考え合わせれば、+1.3%の小売業販売額の伸びの半分は物価上昇によるもの、という感じがしなくもなく、逆に、今後、国際商品市況における石油価格の低下とともに物価上昇率が低下し始めると、小売売上額も同時に増加率が減速しそうな気もします。加えて、今年2019年10月の消費税率の引き上げが消費のかく乱要因であることは確実です。消費税率引き上げ直前の駆け込み需要とその後の反動減の大きさは、財政政策をはじめとして各種の、というか手厚過ぎるくらいの措置が講じられているとはいえ、何とも予想しがたいところです。
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2019年01月29日 (火) 21:05:00

リクルートジョブズによる12月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

今週金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、昨年2018年12月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を簡単に見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の12月度平均時給は前年同月より+2.7%、28円増加の1,058円となり、2006年1月の調査開始以来3か月連続で過去最高を更新しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+47円、増減率+4.4%)、「製造・物流・清掃系」(+33円、+3.3%)、 「販売・サービス系」(+31円、+3.1%) 、「フード系」(+22円、+2.2%)など全職種で前年同月比プラス、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアで前年同月比・前月比ともプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、直近の2018年9~10月は前年同月比でマイナスを続けたものの、11月統計では前年同月比プラスに転じて、12月統計でも前年同月より14円増加、増減率+0.9%を示しています。職種別に詳しく見ると、「営業・販売・サービス系」(前年同月比増減額▲7円、増減率▲0.5%)で前年同月から減少したものの、ほかの4職種はすべて増加を示しており、「医療介護・教育系」(+37円、+2.5%)、「オフィスワーク系」(+31円、+2.0%)、「IT・技術系」(+28円、+1.3%) 、「クリエイティブ系」(+8円、+0.4%)となっています。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用には注視が必要、と考えるエコノミストも決して少なくなさそうな気がします。
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2019年01月28日 (月) 23:53:00

企業向けサービス価格指数(SPPI)は引き続き+1%超の上昇率が続く!

本日、日銀から昨年2018年12月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て前月からややプラス幅を縮小しつつも7か月連続の+1%以上の+1.1%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の企業向けサービス価格、前年比1.1%上昇 広告の伸びが縮小
日銀が28日発表した2018年12月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.4と、前年同月比1.1%上昇した。上昇は66カ月連続。ただ、伸び率は11月確報から0.1ポイント低下した。クリスマス商戦向けのテレビ広告などが前年に比べ弱く、広告がプラス幅を縮めた。原油価格の下落などで運輸・郵便がプラス幅を縮めたことも伸び率を鈍化させた。
人手不足を背景とした人件費の上昇圧力は引き続き強い。18年通年の前年比の伸び率は1.0%と5年連続のプラスだった。今後も高めの伸びが続くかについて、日銀は「今春の賃金交渉の行方や多くのサービス価格改定が行われる4月以降の動きに注目したい」(調査統計局)としている。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは83品目、下落は25品目で、上昇から下落を引いた差は58品目となり、差し引きでのプラスは25カ月連続だった。
12月速報値の公表にあたり、日銀は再集計された毎月勤労統計を反映した。「毎月勤労統計の再集計値が企業向けサービス価格指数に与える影響は全体としてみれば極めて小さく軽微」(調査統計局)という。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は昨年2018年6月から12月統計まで7か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、今年度に入ってから、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていることになります。ただし、消費者物価指数(CPI)ほどではないにしても、SPPIについても、やっぱり、ある程度、エネルギー価格の動向に依存して決まる点は否定できません。ただ、CPIよりはSPPIの方がより人手不足による賃金動向に敏感であろうことは容易に想像できます。本日公表の昨年2018年12月統計について少し詳しく見ると、前年同月比で見て、運輸・郵便は11月統計の+2.2%から12月には+1.9%に縮小しましたが、これは明らかにエネルギー価格の影響が現れていると考えるべきであり、先行きにおいても、国際商品市況における石油価格の下落とともに上昇幅は縮小するものと私は予想しています。加えて、引用した記事にもある通り、12月統計で上昇幅を縮小したのが景気に敏感な広告です。11月の+2.7%から12月には+0.1%に大きく低下しています。特に、テレビ広告とインターネット広告は11月のプラスから12月にはマイナスに転じています。最後に、相変わらず、人手不足の影響は、土木建築サービス+3.3%、警備+3.8%、労働者派遣サービス+2.7%などのを含む大類別でいえば諸サービス+1.3%に現れています。 これも引用した記事に見られる通り、4月の価格改定や春闘などにおける賃金交渉の動向が先行き物価にどのような影響を及ぼすか注目です。
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2019年01月24日 (木) 20:02:00

オクスファムのリポート Public good or private wealth? やいかに?

ダボス会議が開幕し、いろんな個人や団体などからプレゼンが行われていますが、私が注目したのは昨年10月に日本法人を解散したオクスファムのプレゼンです。リポートとして Public good or private wealth? と題してアップロードされています。エンドノートの注を入れて100ページを超え、注なしでも70ページを超えますので、すべてを読みこなしたわけではありませんが、リポートの冒頭では、現在の政策のうちでも税制が不公平感あるとして、消費税などで国民から税収を徴収しては法人税引き下げの財源としている、といった主張の基礎となるグラフを引用しておきたいと思います。

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まず、
リポート p.13 Figure 1: The breakdown of tax revenues を引用すると上の通りです。税収全体に占める比率で見て、法人税収が11%、資産税がわずかに4%、それに対して所得税や給与税や消費税が大きな割合を占めているのが見て取れます。そして、軽課されている資産税から溜め込んだ富裕層の資産がオフショアに7.6兆ドルある、といったところです。確かに、課税理論として、海外逃避というか、逃げ足の早い資産や資本は止むなく軽課にとどめ、重課されても海外に逃げられない労働などから徴税する、というのは理由がないわけではないんでしょうが、それでも理不尽なものを感じるのは私だけではないと思います。

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次に、
リポート p.22 Figure 2: Tax revenue change 2007–2015 (%GDP) を引用すると上の通りです。そして、最近10年近くにおける課税措置の結果として、法人税は負担軽減が図られ、給与課税や消費税などの家計への課税負担が強化されています。今年2019年10月からは我が国でも、まさにこの通りの消費税率引き上げが実施されます。2014年4月の8%への消費税率引き上げでは大きな消費へのショックがあり、いまだにデフレから脱却できていません。今年の10%への消費税率引き上げでは、果たして、個人消費はどうなるんでしょうか?
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2019年01月23日 (水) 20:41:00

貿易赤字続く貿易統計とまたまた物価見通しを引き下げた日銀「展望リポート」

本日、財務省から昨年2018年12月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲3.8%減の7兆240億円、輸入額は+1.9%増の7兆793億円、差引き貿易収支は▲553億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の貿易収支、3カ月連続赤字 中国向け輸出が大幅減
財務省が23日発表した2018年12月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は553億円の赤字だった。赤字は3カ月連続。中国向け輸出が大幅に落ち込んだうえ、液化天然ガス(LNG)などの輸入が増加した。
輸出額は前年同月比3.8%減の7兆240億円だった。減少は3カ月ぶり。減少率は16年10月(10.3%減)以来の大きさだった。中国向け半導体等製造装置や通信機が大幅減となり、中国向け輸出は7.0%減と3カ月ぶりに減少した。
輸入額は1.9%増の7兆793億円。9カ月連続で増加した。オーストラリアからのLNGや米国からの航空機類が伸びた。一方、中国からの輸入は6.4%減と6カ月ぶりに減少した。
対米国の貿易収支は5678億円の黒字で黒字額は6カ月連続で減少した。輸出は1.6%増、輸入は23.9%増だった。
18年12月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=113円12銭。前年同月に比べて0.6%円安・ドル高に振れた。
併せて発表した2018年の貿易収支は1兆2033億円の赤字だった。通年ベースの貿易赤字は3年ぶり。輸出入ともに増加したが、原油価格の上昇を背景に輸入の増加が上回った。輸出入ともに比較可能な1979年以降で過去2番目の高水準だった。
輸出額は前年比4.1%増の81兆4866億円だった。増加は2年連続。アラブ首長国連邦(UAE)向け自動車や中国向け原動機が伸びた。輸入額は9.7%増の82兆6899億円と2年連続で増加した。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからのLNGが増加した。
対米国の貿易収支は6兆4548億円の黒字だった。黒字額は8.1%減と2年ぶりに減少した。輸出額は2.3%増、輸入額は11.4%増加した。
対アジアの貿易収支は5兆5446億円の黒字で黒字額は5.9%減少した。輸出額と輸入額はともに過去最大だった。対中国の貿易収支は3兆2843億円の赤字で、3年連続で赤字幅を縮小した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲295億円の貿易赤字でしたので、3か月連続の貿易赤字そのものは大きなサプライズではありません。輸入のサイドでピークは過ぎたとはいえ、国際商品市況における石油価格の動向から原油や天然ガスなどの輸入額が大きく膨らんでいることは確かです。他方で、現下の景気情勢とは少し齟齬あるながら、景気が停滞に向かっている先進国への輸出が厳守し、他方で、景気が上向いている中国への輸出が減少を示しています。このあたりはマイクロに分析する必要あるものの、現時点ではマクロ・エコノミストにはパズルですが、エコノミストの間ではアジア向けで半導体製造装置などの輸出減少が全体を下押ししたとの見方もあります。また、メディアの報道では季節調整していない原系列の統計で見ていますから、3か月連続の貿易赤字ということになっていますが、上のグラフにも見られるように、よりトレンドに沿った季節調整済の系列では昨年2018年は後半7月から12月まで6か月連続の赤字を示しています。国際商品市況における石油価格の動向に整合的に、10月のピークまで輸入額が増加を続けた一方で、輸出が横ばい傾向を示しています。昨日の国際通貨基金(IMF)のリポートにも示されている通り、これは傾向としては世界的な景気動向にほぼ整合的だと私は受け止めています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、現時点での謎は中国の景気が上向いているにもかかわらず、我が国からの輸出が減少を続けている点です。上野グラフにも見られる通り、OECDの先行指数から見て、中国の景気は上昇に転じつつあるように見えるんですが、我が国の輸出は一向に上向く気配もありません。年が明けて、1~2月には中華圏の春節が2月5日ですから、貿易統計は大きく撹乱される可能性があり、さらに先行きトレンドが見えにくくなるような気もします。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げ・
教育無償化政策の
影響を除くケース
 2018年度+0.9~+1.0
<+0.9>
+0.8~+0.9
<+0.8>
 10月時点の見通し+1.3~+1.5
<+1.4>
+0.9~+1.0
<+0.9>
 2019年度+0.7~+1.0
<+0.9>
+1.0~+1.3
<+1.1>
+0.8~+1.1
<+0.9>
 10月時点の見通し+0.8~+0.9
<+0.8>
+1.5~+1.7
<+1.6>
+1.3~+1.5
<+1.4>
 2020年度+0.7~+1.0
<+1.0>
+1.3~+1.5
<+1.5>
+1.2~+1.4
<+1.4>
 10月時点の見通し+0.6~+0.9
<+0.8>
+1.5~+1.7
<+1.6>
+1.4~+1.6
<+1.5>


昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合が終了し、「展望リポート」で政策委員の大勢見通しが公表されています。来年度2019年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率見通しは、原油価格下落の影響が主因ながら、消費税率引き上げと今回から加えた教育無償化政策の影響を除き+0.9%と前回2018年10月時点から▲0.5%ポイント引き下げられている上に、「リスクバランスをみると、経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい」と指摘し、もう一段の下振れの可能性も示唆しています。
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2019年01月22日 (火) 21:22:00

国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し改定」やいかに?

本日から世界経済フォーラムによるダボス会議が始まりましたが、昨年と同じように、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」 World Economic Outlook Update, January 2019 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、成長率の総括表をIMFのブログ・サイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかなんですが、昨秋2018年10月時点の見通しから全般的に成長率については下方修正されています。今年2019年の世界経済の成長率は昨年10月時点の見通しから▲0.2%ポイント下方改定されて+3.5%と見込まれている上に、来年2020年に前回見通しから▲0.1%ポイント下方修正されて+3.6%と予測されています。
米中間の貿易摩擦に起因するリスクはまだ小さいと見込まれている一方で、欧州経済の減速の影響が大きくなっています。特に、輸出市場をはじめとしてドイツ自動車産業の下振れとイタリアの国債を含む金融リスクがクローズアップされています。日本については、2019-20年ともに10月時点から+0.2%ポイントの上方修正がなされており、2019年+1.1%成長、2020年+0.5%成長がそれぞれ見込まれています。この情報修正は、"This revision mainly reflects additional fiscal support to the economy this year, including measures to mitigate the effects of the planned consumption tax rate increase in October 2019." ということで、消費税率引き上げの影響緩和のための財政措置に起因するということです。また、米中間の貿易摩擦が注目される一方で、新興国に目を転ずると、貿易摩擦が続くならば中国では成長の減速が予想よりも急速に進む可能性が指摘されています。全般的に先行きについては、合意なきBREXITなどの下方リスクが強調されている印象です。2008年のリーマン・ショックの時点よりも政策選択の幅が狭まっているともリポートで指摘しており、景気後退に陥るリスクを回避できるかが注目ではなかろうかという気がします。
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2019年01月21日 (月) 21:28:00

明日から始まるダボス会議を前に The Global Risks Report 2019 やいかに?

明日の1月22日からダボス会議が始まります。その主催団体である世界経済フォーラムから、1月15日付けで「グローバル・リスク報告書 2018」The Global Risks Report 2019 が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。

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いつもの通り、上のグラフの縦軸は Impactであり、横軸は Likelihood です。散布図ですから、インプリシットに横軸が縦軸を決めるという関数形ではありません。大雑把に、右上に位置するイベントほど、発生する確率が高くダメージも大きい、という意味だと私は理解しています。その意味で、青でプロットされている経済的なリスク要因はかなり後景に退いたように見えます。私の解釈に基づいて、右上に位置しているトップスリーはすべて環境リスクであり、Extreme weather events、Failure of climate-change mitigation and adaptation、Natural disasters となっているように見えます。ブルーの経済的リスクでは Asset bubbles in a major economy、Fiscal crises あたりか、という気がしますが、生じる確率もダメージもまあ平均レベルと私は受け止めています。

ダボス会議の場で、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update が公表されています。日を改めて取り上げたいと思います。
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2019年01月20日 (日) 18:49:00

ユーラシア・グループによる2019年のトップリスクやいかに?

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とても旧聞に属する話題ながら、1月7日にイアン・ブレマー率いるユーラシア・グループから2019年のトップリスク10項目が明らかにされています。今どきのことですから、詳細な内容のpdfの全文リポートもアップされています。上の表紙画像の左下にも見えるんですが、専門外ですので、とりあえず、10項目だけ羅列しておきます。

  1. Bad seeds
  2. US-China
  3. Cyber gloves off
  4. European populism
  5. The US at home
  6. Innovation winter
  7. Coalition of the unwilling
  8. Mexico
  9. Ukraine
  10. Nigeria


番外で Brexit が置かれ、例年通りに Red herrings もあったりします。さらに、明日の1月22日からダボス会議が開催され、世界経済フォーラムから「グローバル・リスク報告書」が明らかにされています。日を改めて取り上げたいと思います。
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2019年01月18日 (金) 21:12:00

2年間プラスを続けた消費者物価指数(CPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、総務省統計局から昨年2018年12月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から上昇幅を縮小して+0.7%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の全国消費者物価、0.7%上昇 石油製品の寄与度縮小
総務省が18日発表した2018年12月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.4と前年同月比0.7%上昇した。上昇は24カ月連続。11月(0.9%上昇)に比べて伸び率が鈍化し、5月(0.7%上昇)以来の水準にとどまった。エネルギー関連項目が押し上げに寄与したが、原油安を背景にガソリンなど石油製品の寄与度が前月に比べて低下した。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.8%上昇だった。生鮮食品を除く総合を季節調整して前月と比べると0.1%下落した。生鮮食品を除く総合では全体の52%にあたる272品目が上昇した。下落は180品目、横ばいは71品目だった。総務省は「緩やかな上昇傾向で推移している」との見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.3と前年同月比0.3%上昇した。欧州やアジア向けの外国パック旅行費が上昇した。外食など生鮮食品を除く食料も押し上げに寄与した。
生鮮食品を含む総合は101.5と0.3%上昇した。伸び率は11月(0.8%上昇)に比べて縮小し、17年10月(0.2%上昇)以来の水準だった。レタスやホウレンソウなどの生鮮野菜が昨年に高騰した反動で大幅に下落した。
併せて発表した2018年平均の全国CPIは生鮮食品を除く総合が101.0と前年比0.9%上昇した。上昇は2年連続。エネルギー関連項目の上昇がけん引した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.4%上昇、生鮮食品を含む総合は1.0%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率で見て、昨年2018年9~10月には+1.0%に達したんですが、先月統計の11月は+0.9%に上昇幅が縮小し、12月統計ではさらに上昇幅が縮小して+0.7%を記録しています。引用した記事にもある通り、国際商品市況においてほぼ11月をピークとする石油価格の動向に従った変化であると私も考えています。11月統計では石油製品の寄与が+0.37あった一方で、12月統計では+0.17%まで低下しており、その差▲0.20%がそのままコアCPI上昇率に現れた形になっています。ただ、同じエネルギーでも電気代は、同じ寄与度で見て、11月統計の+0.19%から12月には+0.22%とわずかにプラスの寄与を高めており、国際商品市況における石油価格が反映されるタイミングのラグが際立っているものの、現状の石油価格と為替水準が続けば、今年2019年春から年央にかけて、ゆるやかにコアCPI上昇率は+0.5%程度くらいまで上昇幅を縮小させるものと私は予想しています。さらに、昨年10~11月頃が石油価格のピークと仮定すれば、1年後くらいにあたる今年2019年10~12月期のいずれかの時期にコアCPI上昇率はゼロないしマイナスになる可能性も否定できません。いずれにせよ、昨夕の共同通信の配信で「日銀、物価見通し引き下げへ 19年度、1.0%前後に」と題する記事が各メディアにいっせいにキャリーされましたが、先行きの物価上昇率は鈍化する方向であるのは多くのエコノミストの一致した見方ではなかろうかと私は受け止めています。
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2019年01月16日 (水) 20:21:00

前月比横ばいで足踏み続く機械受注と上昇率が大きく縮小した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から昨年2018年11月の機械受注が、また、日銀からこれも昨年2018年12月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲0.0%減の8,631億円を示しています。また、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.5%と前月の+3.0%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の機械受注、2カ月ぶりマイナス 0.02%減
内閣府が16日発表した2018年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.02%減の8631億円だった。減少は2カ月ぶり。「水準でみると、必ずしも悪いわけではない」(内閣府)とするものの、QUICKがまとめた民間予測の中央値(3.1%増)を下回った。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。「戻りが弱かった10月と同じような動きで、表現を変えるまでには至らなかった。まさに足踏み」(内閣府)という。
11月の製造業の受注額は6.4%減の3957億円だった。減少は2カ月ぶり。17業種のうち9業種が減少した。その他製造業で合成樹脂加工機械などの受注が減ったほか、非鉄金属で原子力原動機が、造船業で内燃機関などの受注が減った。
非製造業は2カ月連続で増加し、2.5%増の4650億円だった。運輸業・郵便業や情報サービス業で電子計算機等の受注が増えた。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.8%増だった。
11月の受注総額は8.3%増の2兆8506億円。外需の受注額が18.5%増の1兆2649億円と大きく増えた。化学機械や船舶、鉄道車両などの大型案件がみられた。官公需は26.8%減(2649億円)だった。10月に防衛省向け船舶の大型案件があった反動が出たという。
12月企業物価、1.5%上昇、原油下落で伸び縮小
日銀が16日発表した2018年12月の国内企業物価指数(速報値、15年平均=100)は101.5と、前年同月比で1.5%上昇した。前年実績を24カ月連続で上回ったが、伸び率は11月確報値から0.8ポイント縮小した。原油価格の下落や米中貿易摩擦に伴う商品市況悪化で伸びが鈍っている。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品価格を調べて指数化したもの。品目別ではガソリンなどの石油・石炭製品が前年同月比4.7%上昇したものの、11月確報の14.2%から伸び率が大幅に縮小した。
非鉄金属は米中貿易摩擦の影響で銅やアルミニウムなどの価格が下がって4.1%下落した。下落幅は11月から0.5ポイント拡大した。18年平均の企業物価は前年比2.6%上昇と2年連続で上昇した。日銀は「今後も原油価格の動向に左右される展開が続く」(調査統計局)としている。


長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、季節調整済のコア機械受注の前月比で見て+3.1%増でしたから、ほぼほぼ前月から横ばいという結果はこれを下回ったことになります。業種別では、製造業で減少した一方で、船舶と電力を除く非製造業で増加を示しています。コア機械受注は季節調整済みの系列の前月比で見て、9月に▲18.3%減と大きく落ち込んだ後、10月の戻りが+7.6%増とやや物足りない感があり、11月統計でもほぼ前月比横這いでしたから、まさに足踏みということなのかもしれません。ただ、上のグラフのうちの上のパネルに見られる通り、後方6か月移動平均のトレンドで見て、方向性として足踏みの右肩下がりであるのは明らかですが、受注の水準としてはまだかなり高いレベルにあることも忘れるべきではありません。平たい言葉を使えば、統計の対象となっている工場の稼働水準はまだかなり高いといえますし、受注元企業の設備投資意欲も先細りかもしれませんが、まだそれなりの水準をキープしている感触です。もっとも、先々月の9月統計公表時に明らかにされた2018年10~12月期見通しでは、四半期ベースでのコア機械受注は前期比+3.6%増の28003.5億円が見込まれていましたから、月次ベースでは9300億円を軽く上回るレベルに比較すると、11月実績の8631億円はかなり低い水準である、との見方も成り立ちます。また、先行きについては、私は先行指標としての外需を参考にしているんですが、2018年10月+15.5%増、11月+18.5%増と、上のグラフの下のパネルに見られる通りジャンプしています。米中間の貿易摩擦の動向が気にかかりますが、外需は堅調のように見える一方で、内需はオリンピック・パラリンピック需要のピークアウトと10月からの消費税率引き上げで年央からは景気動向は不透明です。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、7~10月は+3.0%を続けていましたが、先月統計の11月が+2.3%と上昇幅を縮小し、直近の12月統計ではとうとう+1.5%まで上昇幅が半減してしまいました。季節調整していない前月比で国内物価は11月から12月にかけて前月比で▲0.6%の下落を示しましたが、品目別の寄与度で見てガソリンや軽油などの石油・石炭製品が▲0.5%と大きな部分を占めますし、PPIのうちの輸入物価は同じ前月比で▲3.4%下落し、同じく寄与度で石油・石炭・天然ガスが▲3.11%に上ります。上のグラフのうちの一番下のパネルに円建て輸入物価のうちの原油を取り上げていますが、まだ前年同月比ではプラスですが、前年同月比上昇率では昨年年央2018年7月にピークアウトし、指数の水準でも昨年2018年11月にピークアウトしたんではないかと私は見ています。私だけでなく、日銀当局も物価は石油価格の動向に左右されることは認めているようです。
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2019年01月15日 (火) 21:19:00

先週と今週の経済指標に関する雑感

私はいくつかのシンクタンクのエコノミスト、特にマクロを担当するエコノミストと交流があった時期もあり、シンクタンクのサイトは定期的に拝見しているんですが、いくつか興味深いリポートがありましたので、簡単に取り上げておきたいと思います。

まず、第一生命経済研のサイトに先週の景気動向指数を取り上げたリポートがあり、私の見方と同じで、3か月後方移動平均の動向から最短で12月統計で基調判断が上方修正されて「改善」に戻る可能性を指摘しつつ、最後の結論として「基調判断が上方修正されるかどうかは五分五分」と指摘しています。私の見方にほぼほぼ一致しているような気がしました。

次に、大和総研が昨年2018年12月26日付けで「AIを活用した経済指標予測の公表について」と題したお知らせをアップしていて、人工知能(AI)を活用した経済指標予測モデルを開発したので、エコノミストによる予測業務をこれに置き換えると表明しています。実際に予測を出す指標は、機械受注(船舶・電力を除く民需、いわゆるコア機械受注)、失業率、有効求人倍率(一般職業紹介状況)、国内企業物価指数(企業物価指数)、第三次産業活動指数の5指標とされています。早速、先週1月11日に明日公表予定の機械受注など、AI経済指標予想として以下の通り明らかにされています。
AI経済指標予想
  • 【コア機械受注】(11月)前月比0.5%、前月実績同7.6%、発表日1月16日
  • 【国内企業物価指数】(12月)前月比-0.5%、前月実績同-0.3%、発表日1月16日
  • 【第3次産業活動指数】(11月)前月比-0.8%、前月実績同1.9%、発表日1月16日


第3次産業活動指数は遅行指標なので、私はあまり興味ないんですが、明日の機械受注と企業物価の公表がとても楽しみです。
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2019年01月14日 (月) 17:42:00

ニッセイ基礎研リポート「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」を読む

今日は本年最初の3連休最終日なんですが、先週金曜日の1月11日にニッセイ基礎研から「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ニッセイ基礎研のサイトからリポートの要旨のうち3点目だけを引用すると以下の通りです。

要旨
GWが10連休となったことにより、祝日数は4月が1日、5月が2日増えることになった。4/30~5/1が平日だった場合と比べると、鉱工業生産指数が▲0.95%、第3次産業活動指数が▲0.34%、全産業活動指数が▲0.41%押し下げられる。2019年4、5月の全産業活動指数の落ち込みをGDPに換算すると、2019年4-6月期の実質GDPは▲5,267億円(▲0.4%)減少する。


ということで、以下のグラフが示されています。

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このリポートの要旨の1点目でも「祝日が増えることによって、旅行業界を中心に景気の押し上げ効果が期待されているが、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制されることも懸念される。」と指摘しているように、ごく単純にいって、お休みが増えれば需要が増加する一方で供給は減少する、ということになります。短期的には、作り置きして在庫が可能な財貨は、ひょっとしたら、需要に応じて消費が増加する可能性がある一方で、在庫のできないサービスについては需要に応じた生産ができない可能性もあります。もちろん、長期休暇後には反動が生じる可能性も否定できません。供給面からはお休みが増えれば供給は単純に減ります。
しかし、長期的に歴史をさらに長い目で見ると、おそらく、日米をはじめとする先進国においては、我が国の高度成長期が典型ですが、終戦直後から1970年代前半くらいまでは需要が旺盛で、作れば売れる、すなわち、供給がGDPを決めていた面が強い一方で、1980年代くらいから現時点までは、生産力が大いに増強されて消費がかなりの程度に飽和しつつあり、需要が生産をけん引してGDPを決める、という側面が強くなったように私は考えています。短期的なGW10連休ならニッセイ基礎研のリポートが正しくてGDPにはマイナスのインパクトを生じる可能性が高いと私自身も考えますが、より長い目で見ると、働き方改革によるワークライフ・バランスの改善とか、より需要を喚起する休日の増加の視点も忘れるべきではありません。
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2019年01月11日 (金) 23:43:00

大きく悪化した景気ウォッチャーと黒字が続く経常収支!

本日、内閣府から昨年2018年12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から同じく昨年2018年11月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から前月差▲3.0ポイント低下の48.0を記録した一方で、先行き判断DIは▲3.7ポイント低下の48.5となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+7572億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の街角景気、先行き指数2カ月ぶり悪化 基調判断を下方修正
内閣府が11日発表した2018年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は48.0と、前の月から3.0ポイント低下(悪化)した。悪化は3カ月ぶり。2~3カ月後を占う先行き判断指数は48.5と、前の月から3.7ポイント低下した。昨年末の株価下落や世界経済の先行き不透明感が景気実感に反映された。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」に下方修正した。基調判断の下方修正は2018年5月以来7カ月ぶり。
現状判断指数を部門別にみると家計動向が3.0ポイント低下、企業動向が2.7ポイント低下、雇用が3.5ポイント低下といずれも悪化した。家計動向では「忘年会シーズンにもかかわらず夜は週末以外はどちらかといえば振るわない。週末も例年より悪い」(北陸のタクシー運転手)といった声が聞かれた。企業動向でも12月中に住宅ローン減税の拡充などが発表されたことで住宅関連に様子見の動きが見られるといった声があった。
先行き判断指数の部門別も、家計動向、企業動向、雇用とも低下した。株価下落で「国内富裕層の動きが鈍くなる」(南関東の百貨店)などの声があった。住宅関連でも株価下落により資産効果が失われることを懸念する声があった。企業動向では世界情勢の不透明感や人手不足などを懸念する声が多い。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」とし、先行きについて「海外情勢や金融資本市場の動向等に対する懸念がみられる」とした。
経常黒字、11月43.5%減 貿易収支が赤字に転じる
財務省が11日発表した2018年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は7572億円の黒字だった。黒字は53カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて43.5%縮小した。黒字額が前年同月比で減少するのは5カ月連続。原油高による輸入増を背景に貿易収支が赤字に転じたことが響いた。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆4388億円の黒字だった。海外子会社から受け取る配当金など直接投資収益が伸び、黒字額は8.2%増加した。
輸送や旅行といった取引の収支を示すサービス収支は121億円の黒字だった。輸送収支の赤字額拡大が響き、黒字額は前年同月の189億円に比べて縮小した。一方、旅行収支は訪日外国人の増加を背景に1723億円の黒字と11月としての過去最高を記録した。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5591億円の赤字(前年同月は1991億円の黒字)だった。原油価格の上昇で原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、輸入額が全体で13.5%増加した。船舶や有機化合物など輸出も全体で1.9%伸びたが、輸入の増加が上回った。


なるべく短めの記事を選んだつもりなんですが、それでも2つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーについては、現状判断DIが3か月ぶりに悪化し、統計作成官庁である内閣府では「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる。先行きについては、(以下略)」と下線部の一服感を加えて、景気判断は半ノッチの下方修正と私は受け止めています。「景気判断理由集」をパラパラと読むと、消費の弱さが目につきますし、衣料のように暖冬を理由に上げている場合もある一方で、株価下落や景気全般の悪化などのマクロ経済動向も上げられています。先行きでは、米中貿易摩擦とともに10月の消費税率の引き上げも懸念材料となっているように私は感じました。今週火曜日に公表された消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドであるのに対して、景気ウォッチャーは供給サイドの消費者マインドを指標ですから、いわゆる「消費者の財布のひもが固い」といった趣旨の表現が「理由集」にいくつか散見されています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。まず、上のグラフから明らかな通り、2017年102~12月期くらいを直近のピークにして経常収支の黒字幅はジワジワと縮小を見せていましたが、季節調整済の系列では11月の経常収支は黒字幅が拡大しました。しかし、これも上のグラフの黒い部分の積み上げ棒グラフで示された貿易収支は赤字のままですので、赤い棒グラフの1次所得収支が黒字を拡大させており、要するに、ドル金利が上昇しているわけです。先行きについては、原油価格の低下に伴う輸入額の減少と先進国や中国の経済停滞に起因する輸出額の減少とが同時に施行しており、いかにも景気が停滞しているような縮小均衡っぽい動きの中で、どちらの縮小効果が大きいか、ということになります。
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2019年01月10日 (木) 19:52:00

足踏み続く景気動向指数と日銀「さくらリポート」やいかに?

本日、内閣府から昨年2018年11月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲0.3ポイント下降して99.3を、CI一致指数も▲1.9ポイント下降して103.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 10月の大幅上昇の反動
内閣府が10日発表した2018年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント低下の103.0だった。低下は2カ月ぶり。9月は台風などの災害で生産や出荷が落ち込んだが、10月は挽回生産などで前月比で大幅な上昇となっていた。11月は「10月の反動が出た」とみている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列すべてが指数のマイナスに影響した。
鉱工業用生産財出荷指数や生産指数(鉱工業)などのマイナスが目立った。10月に大きく上向いた鉄鋼や電子部品などが11月は反動で落ち込んだ。商業販売額も振るわなかった。内閣府は「9月から自然災害の影響で振れが大きくなっていたが、今後は落ち着いていくだろう」としている。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.3ポイント低下の99.3と2カ月ぶりに低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.4ポイント上昇の104.0だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数、特に、CI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高いのは従来から指摘している通りですが、最近の動向については、9月には自然災害に起因する供給制約や物流の停滞などから下降を示した後、10月にはその9月の落ち込みからの復旧が見られて大きくジャンプしたんですが、11月指数はまたまたその反動により下降を示しています。引用した記事にもある通り、CI一致指数に用いられている7系列がすべてマイナスを記録しています。すなわち、寄与度の順で見て、鉱工業用生産財出荷指数▲0.59、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.41、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.33、商業販売額(小売業)(前年同月比)▲0.29、生産指数(鉱工業)▲0.21などとなっています。そして、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「足踏み」で据え置きとなっているんですが、上方改定されると仮定すれば1ノッチ上の景気判断は「拡大」ですから、3か月連続で3か月後方移動平均がプラスに転じなければなりません。10~11月は2か月連続で3か月後方移動平均がプラスを示していて、もしも、これまた仮定のお話ですが、12月統計で3か月後方移動平均がプラスを付ければ、基調判断は「拡大」に戻る可能性があります。そうなれば、いままでも、何回か、このブログでお示ししたように、現在の景気拡大局面が今年2019年1月まで継続すれば、米国のサブプライム・バブルに対応する戦後最長の景気拡大期間72か月を超える計算です。あるいは、このまま足踏みが続いたり、むしろ、景気悪化の方向に動く可能性もないわけではないと私は考えており、いずれにせよ、現時点で利用可能な情報だけからは、確たる判断を下すことは私には出来ません。

最後に、日銀から「さくらリポート」が公表されています。全国9地域のうち、北海道と中国地方の2地域の景気判断を前回の2018年10月調査から引き上げた一方で、ほかの7地域は据え置かれています。なお、全地域の景気判断に「拡大」あるいは「回復」の表現が入っていたりします。以下の通りです。

 【2018年10月判断】前回との比較【2019年1月判断】
北海道基調としては緩やかに回復しているものの、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力がみられている基調としては緩やかに回復しており、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力は緩和を続けている
東北緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
北陸拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿台風21号による経済活動面への影響がみられるものの、緩やかに拡大している緩やかな拡大を続けている
中国平成30年7月豪雨によりダメージを受けたものの、社会インフラの復旧等に伴い、豪雨の影響が低減する中で、基調としては緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国回復している回復している
九州・沖縄しっかりとした足取りで、緩やかに拡大しているしっかりとした足取りで、緩やかに拡大している
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2019年01月09日 (水) 19:26:00

統計として疑問あるも毎月勤労統計から何が読み取れるか?

本日、厚生労働省から昨年2018年11月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ねたんですが、足元では同一ベースで統計を作成しているとのことです。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+2.0%増の28万3607円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年11月の名目賃金、前年比2.0%増 増加は16カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が9日発表した2018年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、11月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.0%増の28万3607円だった。増加は16カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.6%増の24万4981円だった。残業代など所定外給与は1.1%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は9.7%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は1.1%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1134円。パートタイム労働者比率は0.31ポイント低下の30.71%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
毎月勤労統計は、一部の対象について調査手法が規定と異なっていたことが明らかになっている。厚労省は原因について「調査中」とするとともに、11月分については「調査手法は変えていない」としている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。

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引用した記事の最後のパラにも見られる通り、何分、統計としての信頼性が著しく毀損した統計ですので簡単に我が国雇用の方向性だけコメントしておきたいと思います。まず、景気に敏感な所定外労働時間については、ほぼ生産とシンクロして増減していおり、全体として、2014年の消費税率引き上げ後はほぼ横ばいで推移しています。消費増税が経済の停滞をもたらした点は疑いありません。賃金については、かなり完全雇用に近い労働市場動向のため、最近時点でようやく本格的な上昇が始まったと考えてよさそうです。しかし、まだ前年同月比で+1%を少し上回ったところであり、消費者物価(CPI)の上昇率を十分に上回る段階には達していません。その意味で、消費拡大には力不足の気がします。最後に、完全雇用に近いとはいえ、まだ、フルタイムよりもパートの伸びが高い状況であり、正社員の有効求人倍率が1倍を超えているとはいえ、より安定した雇用の実現がまだ課題といえます。半年余り先の消費税率引き上げに向けて、まだ雇用の拡大が十分かどうか、私は自信が持てないところです。

最後にどうでもいいことながら、私もその昔に統計局の担当課長として、毎月の統計公表の記者会見をやっていた経験があるんですが、今日の毎月勤労統計の公表会見なんて、ホントに針のむしろもかくや、というカンジだったのではないかと勝手に想像しています。
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2019年01月08日 (火) 23:53:00

2年1か月振りの低水準まで低下した消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2018年12月の消費者態度指数が公表されています。季節調整済の系列で見て前月から▲0.2ポイント低下して42.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の消費者態度指数、2年1カ月ぶり低水準 食品価格上昇
内閣府が8日発表した2018年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の42.7と3カ月連続で低下した。指数は16年11月以来、2年1カ月ぶりの低水準だった。内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「暮らし向き」が0.2ポイント低下し40.6と4カ月連続で低下した。冷凍食品などの価格やエネルギー価格が上昇しているほか、世界経済の先行き懸念が影響した。「収入の増え方」は0.1ポイント低下の41.7、雇用環境は0.8ポイント低下の45.8だった。一方、「耐久消費財の買い時判断」は0.4ポイント上昇の42.8だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は、株式相場の下落を反映し40.9と前月から1.7ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.3ポイント低い83.2%だった。「低下する」は0.3ポイント高い4.0%、「変わらない」は1.0ポイント高い10.8%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は12月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6309世帯、回答率は75.1%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、例月に比べてとても長い記事に仕上げています。続いて、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、「耐久消費財の買い時判断」は+0.4ポイント上昇したものの、「雇用環境」が▲0.8ポイント、「暮らし向き」が▲0.2ポイント、「収入の増え方」が▲0.1ポイント、それぞれ低下となっています。特に、人手不足が雇用統計などで明らかであるにもかかわらず、雇用環境に関するマインドが大きく低下した点は気がかりです。引用した記事によれば、統計作成官庁である内閣府ではエネルギーや食品の価格上昇に対する消費者の懸念を要因として上げているようですが、消費者態度指数のコンポーネントではなく外数ながら、「資産価値」に関する意識指標は前月差で▲1.7ポイント低下していますので、米国発の株価をはじめとする金融資産価格の乱高下、というか、不安定な金融市場動向が消費者マインドに影響を及ぼしている可能性があるんではないか、と私は考えています。また、これも、引用した記事にある通り、消費者態度指数の2018年12月の水準である42.7は、2016年11月に記録した41.0から2年1か月振りの低い水準なんですが、DIですので水準で見るのは必ずしも適切ではなく、むしろ、2017年11月から2018年1月の3か月連続で記録した44.6を直近のピークにして、ほぼほぼ1年に渡って下がり続けている方向性が、今後、どこまで続くのかを見る必要があります。おそらく、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーは今年10月からの消費税率の引き上げ直前の駆け込み需要のころには上昇する可能性が高いと私は考えている一方で、需要サイドのマインド指標である消費者態度指数は、ひょっとしたら、下がり続ける可能性も否定できませんし、もちろん、景気ウォッチャーも消費者態度指数も10月の消費税率引き上げ以降は大きく低下することは確実です。賃上げが十分でないことからマインドだけで消費を牽引するのはサステイナビリティに欠けると、従来からこのブログで主張していましたが、財政的なサポートが手厚いとはいえ、消費税率引き上げを半年余り先に控えて、消費の動向が懸念されます。
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2018年12月28日 (金) 23:28:00

足踏み続く鉱工業生産指数(IIP)と伸びが鈍化しつつある商業販売統計と完全雇用に近い雇用統計!

本日は御用納めの官庁年内最後の営業日であり、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.1%の減産を示し、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.4%増の12兆1280億円、季節調整済み指数の前月比は▲1.0%減を示しています。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率も前月から+0.01ポイント改善して1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。まず、3つの統計を取り上げますので長くなりますが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

11月の鉱工業生産、1.1%低下 生産予測は慎重
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比1.1%低下の104.7だった。低下は2カ月ぶり。10月に自然災害の影響から大幅に回復した業種の低下が全体を押し下げた。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.9%低下)は上回った。
経産省は生産指数自体は比較的高い水準にあるとして、基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」を維持した。
業種別では、15業種中8業種で低下した。10月に上昇した「汎用・業務用機械工業」の低下による影響が大きかった。コンベヤー、一般用蒸気タービン、水管ボイラーなどが低下した。
出荷指数は1.4%低下の103.1と2カ月ぶりに低下した。汎用・業務用機械工業のほか、自動車工業、電気・情報通信機械工業など11業種が低下した。
在庫指数は0.2%上昇の101.5だった。石油・石炭製品工業など8業種で上昇した。
製造工業生産予測調査によると、12月は2.2%上昇、1月は0.8%の低下だった。この数値について、予測誤差の加工を施した試算値は、12月が前月比0.7%低下だった。1月の低下見込みと合わせて、「向こう2カ月の生産予測はやや慎重なものとなっている」(経産省)という。
11月の小売販売額、1.4%増 石油製品の価格上昇続く
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、11月の小売販売額は前年同月比1.4%増の12兆1280億円だった。前年実績を上回るのは13カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が8.1%増と伸びが目立った。原油高による石油製品の価格上昇が続いた。自動車小売業は5.3%増。新型普通車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は4.6%増となった。一方、機械器具小売業は3.9%減。スマートフォンの販売が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で1.7%減の1兆6423億円だった。既存店ベースは2.2%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.0%増の9716億円だった。
有効求人1.63倍、人手不足で2カ月ぶり改善
厚生労働省が28日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇し、1.63倍だった。改善は2カ月ぶり。高水準が続き、人手不足を背景に企業の強い採用意欲を表している。総務省が同日発表した11月の完全失業率(同)は2.5%と0.1ポイント悪化した。ただ依然として働く意思のある人なら働ける「完全雇用」と呼べる状況が続いている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍と前月と同水準だった。
有効求人倍率は10月に8カ月ぶりに悪化したものの、11月は持ち直した。新規求人(原数値)は96万6635人と前年同月比で2.6%増えた。特に建設業(7.1%増)、運輸業、郵便業(5.2%増)、医療、福祉(5.1%増)などの採用意欲が強い。
雇用の先行指標となる新規求人倍率(季節調整値)は2.40倍で前年と同水準だった。
完全失業率は2カ月連続の悪化となった。雇用環境が改善するなか、自発的に仕事を辞め、よりよい賃金や待遇の職を探す動きが活発になっている。
求人があっても職種や勤務地など条件が合わずに発生する「ミスマッチ失業率」は3%程度とされ、3%を下回れば完全雇用状態にあるといえる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で▲1.9%の減産が見込まれていましたから、減産幅は小さいとの受け止めも少なくないようですが、製造工業生産予測調査では12月が+2.2%の増産となっているものの、予測誤差を含む試算では▲0.7%の減産が見込まれており、1月も減産見込みですから、先行きは不透明です。特に、来年2019年は中華圏の春節が2月5日から始まりますので、景気が回復しつつある中国の動向が気にかかるところです。産業別に少し詳しく見ると、9月の自然災害で減産あるいは停滞し、逆に、10月の「挽回生産」で増産した業種が11月統計では落ちています。すなわち、汎用・業務用機械工業や電気・情報通信機械工業などです。繰り返しになりますが、先行きも生産や出荷は弱そうなんですが、例えば、11月統計で生産▲1.1%の減産、出荷も▲1.4%の低下ながら、在庫は前月から+0.2%しか増えておらず、出荷との相対比である在庫率は逆に▲1.8%の低下を示していますから、在庫が積みあがって生産に調整圧力がかかる段階には達していないと私は考えています。ですから、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「緩やかな持ち直し」で据え置いたのではなかろうかと想像しています。いずれにせよ、中華圏の主節がかく乱要因ですから、来年2019年2月の実績が出るまでは、なかなか先が見通せない不透明感が残るような気はします。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は鉱工業生産指数(IIP)のグラフと同じく景気後退期です。ということで、小売販売額については、ヘッドラインの季節調整していない原系列の統計での前年同月比ではプラスを1年超で続けているものの、季節調整済の系列の前月比ではマイナスを記録し、そろそろ慎重な判断を要する段階に達しつつあるような気もします。特に、今年2018年8~10月には原系列の前年同月比で+2%超の伸びを記録しましたが、商業販売統計の小売業販売額は名目の売り上げであり、現時点で、ほぼほぼ+1%近くに達している消費者物価(CPI)上昇率を考え合わせれば、11月統計の+1.4%の伸びはギリギリで実質プラス、という感じがしなくもなく、今後、国際商品市況における石油価格の低下とともに国内物価が上昇率を低下させ始めると、小売売上額も同時に停滞しそうな気もします。ただ、鉱工業生産・出荷には年明け早々の中華圏の春節がかく乱要因になる一方で、商業販売統計の小売業販売額については来年2019年10月の消費税率の引き上げが消費のかく乱要因であることは確実です。消費税率引き上げ直前の駆け込み需要とその後の反動減の大きさは、財政政策をはじめとして各種の、というか手厚過ぎるくらいの措置が講じられているとはいえ、何とも測りがたいところです。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は、これまた同じく、景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同じ1.13倍と、昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年以上に渡って1倍を超えて推移しています。こういった政府統計からも、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
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2018年12月26日 (水) 19:56:00

リクルートジョブズによる11月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

明後日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、11月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の11月度平均時給は前年同月より+2.7%、27円増加の1,052円となり、2006年1月の調査開始以来過去最高を更新しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+41円、増減率+3.9%)、「製造・物流・清掃系」(+32円、+3.2%)、 「販売・サービス系」(+28円、+2.8%) 、「フード系」(+23円、+2.3%)など全職種で前年同月比プラス、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアで前年同月比・前月比ともプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、直近の2018年9~10月は前年同月比でマイナスを続けたものの、11月統計では前年同月より18円増加、増減率+1.1%を示しています。職種別に詳しく見ると、前年同月から保合いの「クリエイティブ系」以外の「IT・技術系」(前年同月比増減額+46円、増減率+2.3%)、「オフィスワーク系」(同+34円、+2.3%)、「医療介護・教育系」(同+32円、+2.3%)、「営業・販売・サービス系」(同+3円、+0.2%)の4職種がプラスとなった一方で、前月比は「クリエイティブ系」も含めて全職種がプラスを示しています。まあ、年末を控えた11月ですから、季節調整していない前月比の結果は少し割り引いて考える必要があるのかもしれません。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用には注視が必要、と考えるエコノミストもいそうな気がします。
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2018年12月25日 (火) 21:55:00

6か月連続で+1%以上の上昇率を続ける企業向けサービス価格指数(SPPI)!

本日、日銀から11月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て前月からややプラス幅を縮小しつつも6か月連続の+1%以上の+1.2%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、11月1.2%上昇
日銀が25日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.5で、前年同月比1.2%上昇した。上昇は65カ月連続。伸び率は10月確報(1.3%上昇)からやや鈍化したが、高い伸びが続いており、前月比でも0.2%上昇した。
人件費の上昇を背景に、労働者派遣サービスなど人材関連の上昇が目立った。広告のうち新聞広告が前年同月比12.1%上昇(10月は8.0%上昇)となった。紙面削減の影響で紙面あたり単価が上昇した。半面、運輸・郵便のうち外航貨物輸送が前年同月比11.9%上昇(10月は16.5%上昇)と伸び悩んだ。


シンプルながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は今年2018年6月から6か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、今年度に入ってから、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていることになります。しかも、私の見る限り、消費者物価指数(CPI)がかなりの程度にエネルギー価格の動向に依存しているのに対して、SPPIについては人手不足による賃金動向に従った動きでしょうから、品目別には毎月のように上昇品目が変化しているように見えます。野球に例えれば、日替わりヒーローということになります。本日公表の11月統計について少し詳しく見ると、前年同月比で見て、運輸・郵便と情報開発とリース・レンタルの大類別が上昇幅を下げたんですが、いずれもまだプラスを維持しており、特に、運輸・郵便は+2%を超えています。ただし、運輸・郵便についてはエネルギー価格の影響が現れていると考えるべきであり、石油価格の下落とともに上昇幅は縮小するものと私は予想しています。他方、上昇幅を拡大したのが景気に敏感な広告です。10月の+1.5%から11月には+2.7%を記録しています。引用した記事にもある通り、テレビ広告とインターネット広告の寄与が大きく、特に、インターネット広告は10月のマイナスから11月にはプラスに回帰しています。そして、相変わらず、人手不足の影響は、土木建築サービス+3.4%、警備+3.5%、労働者派遣サービス+2.8%などのを含む大類別でいえば諸サービス+1.3%に現れています。
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2018年12月21日 (金) 20:55:00

消費者物価指数(CPI)上昇率はエネルギーの寄与縮小するも+0.9%の上昇率!

本日、総務省統計局から11月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや上昇幅を縮小して+0.9%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の全国消費者物価、0.9%上昇 エネルギーの寄与度が縮小
総務省が21日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.6と前年同月比0.9%上昇した。上昇は23カ月連続。10月(1.0%上昇)に比べて伸び率が縮小した。エネルギー関連項目が引き続き押し上げに寄与したものの、足元の原油安を背景に寄与度は前月に比べて低下した。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.0%上昇だった。生鮮食品を除く総合を季節調整して前月と比べると横ばいだった。生鮮食品を除く総合では、全体の52.8%にあたる276品目が上昇した。下落は178品目、横ばいは69品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.3と前年同月比0.3%上昇した。外食など生鮮食品を除く食料の上昇が目立った。たばこ税の増税に伴い、たばこも上昇した。
生鮮食品を含む総合は101.8と0.8%上昇した。伸び率は前月(1.4%上昇)に比べて縮小した。前年よりも気温が高く推移した影響で、レタスやホウレンソウといった生鮮野菜が下落した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+1.0%と見込まれていましたので、やや下振れした印象がありますが、国際商品市況における石油価格の動向に影響された結果ですので、まあ、こんなもんかという気もします。例えば、生鮮食品を含む総合のベースの前年同月比上昇率で見て、ガソリンの寄与度が10月には+0.36%ありましたが、11月には+0.26%まで縮小し、寄与度差は▲0.09%となっています。灯油も同様に寄与度差が▲0.01%あり、石油製品全体での下振れ要因となっていますから、生鮮食品を除くコアCPI上昇率の縮小幅▲0.1%をほぼほぼすべて石油製品価格が説明しています。ただし、1点だけ補足すると、11月の全国CPI前年同月比上昇率は前月から▲0.1%縮小しましたが、東京都区部CPIについては11月上昇率は前月から変わりありません。これは、東京が全国に先行しているというよりは、ガソリンのウェイトの違いではなかろうかと私は受け止めています。ですから、先行きについても、石油価格の動向が参考になります。私自身は、日経新聞電子版の商品欄のドバイ原油をチラチラと見ているだけで、データとして体系的に観察しているわけではないものの、10月上旬にはバレル80ドルをラクに超えていたんですが、今朝の時点では50ドル台半ばから前半にまで下落を示しています。私がいくつかのシンクタンクのリポートなどを拝見した範囲でも、来年半ばにかけて石油価格の全国CPIへの寄与度はゼロ近辺まで低下するとした予想も少なくありません。もちろん、石油価格動向に従って我が国の物価上昇率も低下する可能性があります。来年2019年10月からの消費増税に伴う景気対策では、かなり手厚い税制出動が見込まれていますので、消費増税で需要がショックを受けて需給ギャップが拡大し、これに起因してさらに物価が下振れする恐れは小さいと私自身は考えていますが、物価動向はこの先も上昇幅を拡大するとは考えにくいため、日銀がどこまでフォワード・ルッキングに金融政策運営をするかを私は注目しています。
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2018年12月20日 (木) 22:01:00

世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数」に見る我が国の男女格差やいかに?

去る12月17日、世界経済フォーラムから「世界ジェンダー・ギャップ報告2018」The Global Gender Gap Report 2018 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。ジェンダー・ギャップ指数で見た男女格差で、我が国は世界110位と2017年の114位から順位を上げたとはいえ、先進国の中では大きく遅れている現状が改めて明らかにされています。諸般の事情により、今夜は帰宅が遅くなりましたので、ジェンダー・ギャップ指数に関するグラフをリポートからいくつか引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.8 Figure 1: Gender gap by country, 2018 を引用すると上の通りです。一番上のアイスランド、ノルウェイ、スエーデンから始まって、真ん中少し下に濃い色の帯があって、Global Average が示してあります。その下12-3番目くらいが我が日本です。繰り返しになりますが、昨年の114位からやや順位を上げたとはいえ、今年もまだ110位です。中国よりも、インドよりも下位に甘んじています。

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ということで、リポート pp.139-40 Country Profiles から日本のレーダーチャートを引用すると上の通りです。教育や健康はまずまずなんですが、特に、Political empowerment のスコアが悪いのが下位に甘んじている大きな要因です。議会における女性のプレゼンスも低いんですが、最近50年で女性が国家のトップを務めたスコアはゼロだったりします。
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2018年12月19日 (水) 20:11:00

石油価格上昇のため2か月連続で貿易赤字を記録した貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から11月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+0.1%増の6兆9276億円、輸入額は+12.5%増の7兆6649億円、差引き貿易収支は▲7373億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の貿易収支、7373億円の赤字 原油高で輸出増
財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7373億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。輸出入ともに増加したが、原粗油を中心に輸入の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は5796億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比0.1%増の6兆9276億円だった。増加は2カ月連続。船舶の大幅な増加がけん引したほか、有機化合物も伸びた。半導体等製造装置や通信機は減少した。
輸入額は12.5%増の7兆6649億円。8カ月連続で増加した。サウジアラビアから原粗油の輸入が増加した。液化天然ガス(LNG)や石油製品も増えた。11月の原粗油の円建て輸入単価は40.8%上昇した。
11月の対米国の貿易収支は6234億円の黒字で、黒字額は5.4%減少した。減少は5カ月連続。輸出は1.6%増、輸入は8.1%増だった。対中国の貿易収支は5031億円の赤字だった。
11月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=112円99銭。前年同月に比べて0.5%円高・ドル安に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にもある通り、a target="_blank" href="https://www.nikkei.com/article/DGXLMSE2QET16_U8A211C1000000/" title="11月輸入超過額、5898億円・QUICK調査">日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲6000億円弱の貿易赤字が見込まれていましたので、やや赤字幅が大きい印象もあるんですが、基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇に伴う輸入額の増加に起因する貿易赤字だと私は認識しているんですが、もちろん、輸出の伸びが大きく鈍化していることも忘れるべきではありません。輸出については別途考えるとして、石油価格については、ニッセイ基礎研のリポートなどから私が知りえた情報では、ドバイ原油価格は11-12月にかけて低下を示しているハズなんですが、本邦到着ベースではまだ高値が続いているようで、1-2か月のラグがあるようです。ですから、利用可能な限りの情報を総合すれば、原油価格に起因する輸入額の増加は、おそらく、11月がピークとなる可能性が高い、と私は見込んでいます。ひとつのエビデンスとしては、上のグラフの季節調整していない原系列でも、季節調整済でも、赤い折れ線の輸入額が10月から11月にかけて、ほぼ横ばいないし下向きになっている点が上げられます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、輸入額の増加がそろそろピークアウトする可能性が高い一方で、輸出についてはさらに減速が強まった印象があります。9月の自然災害による供給面や物流面での制約から輸出数量が前年比で減少した後、10月にはリバウンドもあってプラスに転じましたが、11月の輸出数量は再び前年度月比でマイナスを記録しています。加えて需要面を考えれば、ここ数か月、上のOECD先行指数の1か月リードのグラフに即していえば、先進国の需要が下向きで今年2018年年央から前年比でマイナスに下落する一方で、中国では逆に年後半から上向きになったとはいえ、まだ伸び率としては前年比マイナスを続けているわけですから、我が国の輸出に対する需要要因としてはかなり弱くなっていることは事実です。今後は、自然災害の供給面での影響はほぼほぼ脱したとはいえ、需要面で、上向きの中国の持続力がどれくらいで、しかも、米国との貿易摩擦の影響がどのタイミングでどれくらいの大きさで出るのか、先進国の下向きの需要がどこで下げ止まるのか、といった複雑な要因を考えあわせる必要があります。ただ、直感的には需要要因から我が国輸出の伸びはさらに減速する可能性が高い、と私は考えています。ただし、それ以上に輸出額の減少が大きい可能性は残されています。
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2018年12月18日 (火) 23:26:00

インテージによる「2018年好調カテゴリーランキング」の売れ筋やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、ほぼ1週間前の12月12日にインテージから「2018年好調カテゴリーランキング」が明らかにされています。サバ缶とサラダチキンがともに前年比約1.5倍で1~2位を占めました。12月2日付けのこのブログで取り上げたSMBCコンサルティングのヒット商品番付とはまた違った角度から、最近の時流を的確に反映しているような気もします。グラフとともに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の棒グラフはインテージのサイトから 購入額の伸び を引用しています。見れば明らかなんですが、サラダチキンとサバ缶が飛び抜けており、前年比で1.5倍を記録しています。さらに無糖炭酸水、ビネガードリンクと続く今年のランキングの特徴は「健康志向」と「手軽さ」ではないかとインテージでは分析しています。体によいものを、あまり手を加えず摂取できるという2つの機能を盛り込んだカテゴリーのようです。でも、私が疑問に思うのは無糖炭酸水です。外国ではガス入りのミネラルウォーターということになるんですが、手軽であることはいいとして、健康志向なのかどうかは疑問です。私はチリに駐在していたころにガス入りのミネラルウォーターを愛飲していましたが、それは、ガス入りにしておくとごまかしが利かないからであって、それほどおいしくも、健康的でもないような気がします。まあ、好みの問題です。

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次に、上の棒グラフはインテージのサイトから サラダチキンとサバ缶の市場規模と商品数の推移 を引用しています。サラダチキンについては、プレーンから始まり、ハーブ、カレー、ゆず胡椒など味のバラエティが増加して、当然ながら、商品数も伸びています。サラダチキンもサバ缶も、売り上げが伸びて商品数が伸びる、との好循環に入っているわけです。企業も商品開発に熱心取り組んでいるのだろうと想像されます。

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最後に、上の棒グラフはインテージのサイトから 購入率と購入金額の伸び を引用しています。見れば判る通り、男女別年代別になっています。直感的には、女性は横に伸びて購入率が高まる一方で、男性は縦に伸びて購入金額が増加している印象です。女性は特に30代から60代までの家庭で料理をしている層の購入率が高まっており、女性だけでなく家族の一員であると考えられる男性にも消費量の増加が波及しているような気がします。

繰り返しになりますが、12月2日付けのこのブログで取り上げたSMBCコンサルティングのヒット商品番付ほど、何といいますか、華やかにビジネス界の注目を集めた商品ではないとはいえ、家庭の食生活で近年大いに幅を利かせ始めたサラダチキンとサバ缶に関する興味深い数量的エビデンスであったと思います。
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2018年12月17日 (月) 23:28:00

そろそろ苦手な忘年会シーズンが始まる!

そろそろ、今週あたりから忘年会シーズンが本格化ます。私はそれなりに酒は飲むんですが、忘年会はやや苦手だったりします。実は、私は忘年会の頻度や豪華さなどで、その時点の景気のひとつの目安として、それなりに注視しているんですが、今年は昨年ほどよくないと見ました。ただし、ご同様の指標となる年末のカレンダーや手帳の配布は堅調です。さて、我が国景気動向やいかに。
下の画像は今年に入ってからの私のボディマス指数(BMI)です。7月下旬の梅雨明けのころからの猛暑効果で体重が落ちて、しばらく、そのままだったんですが、12月に入ってからスパイクしているのは、おそらく、何らかのイベントで飲み食いしたんではなかろうかと思います。

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やや無理やりに「経済評論のブログ」に分類しておきます。
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2018年12月14日 (金) 23:42:00

日銀短観は底堅い企業マインドを示し設備投資計画は上方修正!

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から変わらず+19を記録した一方で、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+10.4%の増加と9月調査の+8.5%からさらに上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月日銀短観、大企業・製造業DIは横ばいのプラス19 市場予想上回る
日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス19だった。前回9月調査から横ばいだった。
企業収益の拡大傾向や7~9月期の自然災害の悪影響の一巡や復興需要などが支えとなった。造船・重機等のほか、石油・石炭製品の改善が目立った。半面、海外需要や設備投資の鈍化を受けて生産用機械や業務用機械が悪化した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス17を上回った。回答期間は11月13日~12月13日で、回収基準日は11月28日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス15と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス16)を下回った。米中貿易摩擦に対する警戒感が聞かれ、海外需要の先行きに対する不透明感が強かった。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109円41銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。前回(107円40銭)からは円安方向に修正された。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス24と前回を2ポイント上回った。改善は2期ぶり。国内消費は堅調に推移しており、景況感が改善した。業種別では通信や不動産などが改善した。3カ月先のDIは4ポイント悪化のプラス20だった。人手不足や人件費の上昇などが重荷となった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回と同じだった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比14.3%増と、市場予想の中央値(12.5%増)を上回った。前回(13.4%増)から上方修正した。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、引用した記事にもある通り、企業の景況感は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを上回りました。今年春ごろから、企業マインドはやや下降気味と私は考えていたんですが、意外と堅調ないし底堅いと評価できようかと考えています。その要因としては、国際商品市況における石油価格がようやく頭打ちとなって、まだまだ原油価格は高いものの、さらに先行き上昇するという雰囲気ではなくなった点と、9月にやや集中した自然災害の悪影響が一巡したことが大きな要因と私は受け止めています。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。入管法改正による外国人材の受け入れについても、まだ未確定な要素が大きいと受け止めている企業が多そうです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まった後、6月調査では+7.9%増に大きく上方改定され、9月調査ではさらに+8.5%まで高まった後、今日発表の12月調査では+10.4%まで上方改定されています。上のグラフを見ても判る通り、6月調査以降の今年2018年度の設備投資計画はかなり高い伸びを見込んでいてる、というか、ここ数年の設備投資計画をぶっち切りで上回っています。もともと、企業の手元にあるキャッシュフローは潤沢な上に、失業率が2%台前半まで低下した人手不足へ対応した合理化・省力化投資需要の高まり、加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、今年度2018年度の設備投資は大いに期待できそうです。
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2018年12月13日 (木) 19:44:00

明日公表予定の日銀短観予想やいかに?

今週金曜日14日の公表を明日に控えて、シンクタンクから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+19
+22
<+8.5%>
n.a.
日本総研+21
+23
<+9.3%>
先行き(2019年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比▲1%ポイントの低下を予想。雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費の持ち直しが期待されるほか、政府の消費増税対策への期待感が景況感の下支えに作用。もっとも、中国経済の減速や、米国トランプ政権の保護主義姿勢の強まりなど、海外情勢の先行き不透明感が重石となり、慎重な姿勢が残る見通し。
大和総研+19
+21
<+9.1%>
2018年の業況感は、生産活動の足踏み、コスト上昇、貿易戦争懸念、自然災害などの要因から、悪化傾向が続いた。しかし、少なくとも自然災害の悪影響は一巡している。また、先行きを見通しても、原油価格下落に伴う交易条件の改善は好材料となる。また、2019年度の懸案事項であった消費増税の影響は、財政拡張によって大部分が相殺されるとみられる。業況感の悪化モメンタムは一旦緩和する公算が大きい。
みずほ総研+18
+22
<+7.5%>
先行きの製造業・業況判断DIは小幅な悪化を予測する。
中国経済の減速や米中貿易摩擦などの要因から、世界経済の減速懸念が広がっており、企業マインドを下押しするとみている。加えて、年明けには日米間で物品貿易協定(TAG)に関する議論が本格化するとみられる。仮に自動車に関税がかかった場合、自動車だけでなくそれ以外のあらゆる業種に影響が出る恐れがあり、TAGを巡る状況次第では、今後の企業景況感を更に押し下げかねない点には注意が必要だ。
非製造業については、先行き堅調な推移を見込む。冬季賞与や良好な雇用環境を背景に個人消費は回復するとみられ、小売業やサービス業の業況は改善するだろう。また、オリンピックやインバウンド対応需要も、引き続き改善の押し上げに寄与するとみている。ただし、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇が引き続き下押し要因となり、改善は限定的となるだろう。
ニッセイ基礎研+16
+20
<+8.3%>
先行きの景況感も幅広く悪化すると予想。製造業では、海外経済減速や貿易摩擦激化に対する懸念が示されそうだ。米中貿易摩擦の終結は依然として見通せないうえ、来年初からは日米通商交渉が開始され、米政権による対日圧力が強まることが想定される。非製造業もインバウンドを通じて世界経済との繋がりが強まっているだけに海外情勢への警戒が現れやすいほか、人手不足深刻化に対する懸念も現れそうだ。
第一生命経済研+17
+21
<大企業製造業+15.6%>
先行きの予想は、貿易戦争の深刻化によって、さらに△2ポイントの悪化を見込む。Quick短観の月次データでは、11・12月の落ち込みは大きい。その水準は、2017年初の水準まで落ちてきている。筆者の予想では、そこまで極端な変化を織り込まなかったが、もしかすると△2ポイントよりも大きく下振れすることが起きるかもしれない。予想よりも変化する可能性があるとすれば、より下向きへの変化があり得るとみている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+18
+22
<大企業全産業+13.1%>
日銀短観(2018年12月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、小幅ながら4四半期連続の悪化となり、前回調査(2018年9月調査)から1ポイント悪化の18になると予測する。
三菱総研+19
+17
<+8.2%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は+16%ポイント、非製造業は+20%ポイントと、いずれも業況悪化を予測する。国内経済は堅調持続が予想されるものの、保護主義化の連鎖が、金融市場や貿易・投資を通じて日本経済に波及するリスクには警戒が必要であり、企業マインドの重石となるであろう。
富士通総研+17
+21
<+9.2%>
景況感は製造業、非製造業とも悪化すると予想される。大企業製造業の業況判断DIは今回調査で17と9月調査から2ポイント悪化、大企業非製造業の業況判断DIは今回調査で21と9月調査比1ポイント悪化すると見込まれる。先行きについては、人手不足や世界経済の不透明感から、製造業、非製造業とも悪化すると考えられる。


見れば明らかな通り、日本総研を例外と見なせば、景況感については小幅に悪化との予想が中心となっています。ただ、9月の台風や豪雨などの自然災害によるマインド悪化はほぼほぼ出尽くし感もあるようで、国内要因としては企業マインドはさらに悪化することは見込まれていません。とくに、私のようなリフレ派のエコノミストからすれば、期間的な意味で日銀短観のスコープ外なのかもしれませんが、来年10月からの消費増税については、まだ織り込まれていない、というか、むしろ消費増税直前の駆け込み需要の方が企業にとっては注目点なのかもしれません。ただ、米中間の貿易摩擦に加えて中国をはじめとする世界経済の減速などの海外要因については、先行き企業マインドを悪化させる要因が山盛りの印象です。少し前までは、海外要因は輸出を通じて製造業への影響が中心で、ある意味では、今でもそうなのかもしれませんが、非製造業についても世界経済の減速が特に中国に現れていることからインバウンド消費を通じて世界経済との結びつきが、以前に比べて、かなり大きく感じられているようですし、国内要因ながら人手不足が進み、来年2019年4月から施行される入管法改正の影響が読めないだけに、懸念材料となる可能性もあります。また、今年度2018年度の設備投資計画については、9月調査からの改定幅は小さいながら、上振れと下振れがいずれもあり得る、との結果が示されています。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから 業況判断DIの予想 のテーブルを引用しています。

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2018年12月12日 (水) 20:12:00

9月の自然災害からのリバウンドが物足りない機械受注と上昇幅が縮小した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から10月の機械受注が、また、日銀から11月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比+7.6%増の8632億円を示しています。また、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.3%と前月の+3.0%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の機械受注7.6%増、2カ月ぶり増も基調判断は下方修正
内閣府が12日発表した10月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比7.6%増の8632億円だった。増加は2カ月ぶり。製造業、非製造業ともに受注額が増えたが、QUICKがまとめた民間予測の中央値(10%増)を下回った。
内閣府は「3カ月移動平均でならしてみると、2カ月連続で減少している」として、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正した。基調判断を下方修正するのは今年6月以来、4カ月ぶり。「受注額は高い水準にあるが、10月の戻りが弱く、方向感としては足踏みがみられる」(内閣府)という。
10月の受注額は製造業が12.3%増の4226億円だった。増加は2カ月ぶり。17業種のうち12業種が増加した。石油製品・石炭製品の受注が増えたほか、自動車・同付属品で工作機械などの受注が増えた。
非製造業も2カ月ぶりに増え、4.5%増の4537億円だった。電力業で発電機などの受注が増えた。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は4.5%増だった。
11月の企業物価指数、前月比で8カ月ぶり下落 原油下落の影響
日銀が12日発表した11月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.1で、前年同月に比べて2.3%上昇した。23カ月連続で前年同月を上回ったが、10月確報値(3.0%上昇)からは鈍化した。前月比では0.3%下落と、8カ月ぶりに下落に転じた。
10月から11月にかけて原油相場が下落した影響が出た。米中間の貿易摩擦に対する懸念も重荷となった。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比14.8%上昇したが、10月確報値(24.9%上昇)から大幅に鈍化した。また、非鉄金属が前年比3.6%下落したことも影響した。
今後の企業物価動向について、日銀は「原油価格の下落が続けばより広範囲で下押ししやすいほか、米中貿易摩擦の影響が出始めており、注視したい」(調査統計局)との見方を示した。


長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの前月比で見て+10.3%増でしたので、やや物足りない結果と私も受け止めています。9月は台風や豪雨といった自然災害による供給制約や物流停滞のため、前月比で▲17.8%減でしたからリバウンドもやや弱い気がします。ただ、いわゆる「挽回生産」がもう少し続く可能性もありますので、統計作成官庁である内閣府で基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正したのは、そこまでする必要があるか、という気がしないでもありません。もちろん、上のグラフの上のパネルに見られる通り、私の計算による6か月後方移動平均で見たトレンドでもまだ下向きですし、引用した記事にもある通り、3か月移動平均でもご同様のようです。他方で、10~12月期のコア機械受注見通し+3.6%については、9月実績の発射台がかなり低い点を別にすれば、10月の滑り出しはまずまずと評価できます。月曜日に公表された7~9月期GDP統計では設備投資が前期比マイナスに振れましたが、先行きについては、少なくとも来年10月からの消費増税までは緩やかな増加が期待できるだけに、機械受注も堅調に推移すると考えるべきです。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。ヘッドラインの国内物価を前年同月比で見ると、7月から10月まで+3.0%を4か月連続で記録した後、11月は+2.3%と上昇幅を縮小させています。大きな要因は国際商品市況における石油価格の動向なんですが、国内物価のコンポーネントで1,000分の59.5のウェイトを持つ石油・石炭製品の前年同月比上昇率は10月の+24.9%から11月は+14.5%と、まだ2ケタの上昇率であるものの大きく低下しています。季節調整されていない原系列の指数の前月比ながら、石油・石炭製品に加えて、化学製品や金属製品などの素材についても下落を示しています。ただし、円建て輸入物価の石油・石炭・天然ガスは10月上昇率の+36.7%から11月の+35.2%にしか上昇幅が縮小しておらず、やや不思議な気もします。それはともかく、こういった石油価格やそれに連動する財の価格とともに、引用した記事の最後のパラにあるように、日銀では米中貿易摩擦の影響も出始めている、と指摘しており、物価の基調が弱いのであれば、金融政策で何らかの追加緩和が模索される可能性も否定できません。ただ、私がかねてからこのブログで主張しているように、我が国の物価動向は、日銀金融政策よりも国際商品市況における一次産品の価格動向により敏感に反応するような気がしないでもありません。
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2018年12月11日 (火) 23:38:00

法人企業景気予測調査に見る景況感と設備投資動向の乖離は何が原因か?

本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は今年2018年10~12月期+4.3の後、先行き来年2019年1~3月期には+4.7と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月大企業景況感、プラス4.3 建材・自動車向け好調
財務省と内閣府が11日発表した法人企業景気予測調査によると、10~12月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス4.3(7~9月期はプラス3.8)となった。プラスは2四半期連続。建材や自動車向けの需要が好調だった。
大企業のうち非製造業はプラス3.7(7~9月期はプラス2.4)。卸売業で建材向けの需要が好調だった。鉄鋼やエネルギーの販売価格上昇も寄与した。製造業はプラス5.5(7~9月期はプラス6.5)だった。化学工業で自動車向けの需要が増えた。
先行き2019年1~3月期の見通しは大企業全産業でプラス4.7だった。製造業がプラス4.2、非製造業がプラス5.0だった。4~6月期の見通しは全産業でプラス1.4だった。
18年度の設備投資は前年度比9.1%増となる見通し。前回調査(9.9%増)から小幅に下方修正した。19年度の設備投資見通しを見ると、大企業で「増加」が「減少」を上回った。
18年度の経常利益の見通しは0.4%増と前回調査(0.4%減)から上方修正した。
財務省と内閣府は企業の景況感について「政府の月例経済報告で『景気は緩やかに回復している』という判断が示されているが、そうした経済全体の傾向を反映した動き」としている。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は11月15日時点で、資本金1000万円以上の企業1万2895社が回答した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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今回の結果は、上のグラフの景況感とテーブルの引用はしませんが設備投資計画で企業マインドが乖離しているように見える点に絞って考えたいと思います。まず、結論から明らかにすると、景況感については、足元の今年2018年10~12月期から先行き2019年1~3月期の見通しは上向くわけで、今週金曜日公表予定のの日銀短観も見てみたい気はしますが、この法人企業景気予測調査については2018年4~6月期にマイナスをつけた後に上昇に転じており、統計の特性からして1期くらいリードを取るとしても、今年2018年年央くらいが企業マインドの一時的な底だったのかもしれません。日銀短観で確認したいと思いますが、景況感に現れる企業マインドは目先は上向きなのかもしれません。ただ、設備投資計画は下方修正されていますから、もっと長い期間を考えると、設備投資につながるような長期的なマインドは決して上向きではないように見えます。このあたりの乖離はビミョーな違いながら直観的にはあり得るところで、短期的に目先の景況感は決して悪くないものの、設備投資に現れるようなもう少し先の長い企業マインドはそれほど楽観できない、というふうに取りまとめられるのではないかと私は考えています。

いずれにせよ、今週金曜日に日銀短観が公表され、企業マインドの決定版のような統計ですので、さらに詳細な情報が明らかになることと期待しています。その前に、明日か明後日にでも各シンクタンクの日銀短観予想を取りまとめておきたいと予定しています。
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2018年12月10日 (月) 19:18:00

大きく下方修正された7-9月期GDP統計2次QEから景気の現状をどう見るか?

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。1次QEの前期比年率▲0.3%のマイナス成長から2次QEでは▲0.6%と大きく下方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP、年率2.5%減に下方修正 7-9月改定値
内閣府が10日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.5%減だった。速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.5%減、年率2.0%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%減(速報値は0.3%減)、年率は2.7%減(同1.1%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.2%減(同0.1%減)、住宅投資は0.7%増(同0.6%増)、設備投資は2.8%減(同0.2%減)、公共投資は2.0%減(同1.9%減)。民間在庫の寄与度はプラス0.0ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.5ポイント(同マイナス0.2ポイント)、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.1ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてマイナス0.3%(同マイナス0.3%)だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/7-92017/10-122018/1-32018/4-62018/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.7+0.4▲0.30.7▲0.3▲0.6
民間消費▲0.8+0.4▲0.3+0.7▲0.1▲0.2
民間住宅▲1.8▲3.3▲2.1▲1.9+0.6+0.7
民間設備+1.7+1.1+0.4+2.8▲0.2▲2.8
民間在庫 *(+0.4)(+0.2)(▲0.2)(+0.0)(▲0.1)(+0.0)
公的需要▲0.3▲0.1+0.0▲0.0▲0.2▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.5)(▲0.4)(+0.8)(▲0.2)(▲0.5)
外需寄与度 *(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.1)
輸出+2.7+2.1+0.5+0.3▲1.8▲1.8
輸入▲1.0+3.1+0.2+1.0▲+1.4▲+1.4
国内総所得 (GDI)+0.8+0.1▲0.6+0.6▲0.6▲0.9
国民総所得 (GNI)+1.0▲0.1▲0.8+0.9▲0.7▲1.0
名目GDP+1.0+0.5▲0.6+0.5▲0.3▲0.7
雇用者報酬+0.9▲0.4+1.0+1.6▲0.5▲0.4
GDPデフレータ+0.2+0.1+0.5+0.0▲0.3▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.6+0.9+0.5+0.7+0.7


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年7~9月期の最新データでは、前期比成長率がマイナスを示し、特に、水色の設備投資がマイナス寄与が大きいのが見て取れます。

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基本的には、7~9月期GDP2次QEのマイナス成長幅の拡大は、自然災害に伴う供給面の制約、物流の停滞などに起因し、それが企業マインドや消費者マインドを冷やした結果であり、足元の10~12月期にはこれらの制約や停滞を脱して我が国経済は緩やかながら回復ないし拡大の軌道に回帰する、というエコノミストのコンセンサスは特に変更を必要としない結果であった、と私は受け止めています。特に、1次QEからの下方修正の主因は法人企業統計にの結果を受けた設備投資の下振れであることは明らかで、上のグラフでも設備投資の水色の積上げ棒グラフが大きなマイナスを示していることが読み取れます。同時に、1次QEから2次QEへの修正については、消費が小幅に下方修正され、住宅投資がこれも小幅に上方修正されています。
ただ、現時点での我が国の景気認識として、足元の今年2018年10~12月期にはプラス成長に回帰するとはいえ、ちょうど1年前の2017年10~12月期くらいからの実質成長率を見ると、2017年10~12月期+0.4%の後に2018年1~3月期が▲0.3%、4~6月期に+0.7%とプラス成長に回帰した後、本日公表の7~9月期にはまたまた▲0.6%とマイナス成長と、プラスとマイナスが交互に並んでおり、2016年1~3月期から2017年10~12月期までまる2年8四半期に渡ってプラス成長を継続していたころの拡大局面とは異なり、やや景気の踊り場的な認識を持っているエコノミストも少なくないと私は考えています。もちろん、この踊り場からそのまま景気後退局面に入るとは、私は必ずしも考えていませんが、先々週の12月5日付けの記事では「来年2019年後半に景気後退の可能性はあるか?」とのタイトルで、来年後半にも景気転換点が来る可能性も無視できないとのリポートを紹介したところです。いずれにせよ、景気拡大局面は後半に入っていることは忘れるべきではありません。そして、その現状認識の下で、来年2019年10月からの消費増税の影響を正しく評価する必要があることはいうまでもありません。

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最後に、本日は7~9月期GDP統計2次QEだけでなく、11月の景気ウォッチャーが内閣府から、また、10月の経常収支が財務省から、同時に公表されています。いつものグラフだけ上に示しておきます。景気ウォッチャーは季節調整済の系列で見て、現状判断DIは前月差+1.5ポイント上昇の51.0を、先行き判断DIは前月差+1.6ポイント上昇の52.2を、それぞれ示しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆3099億円の黒字を記録しています。
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2018年12月08日 (土) 09:12:00

11月米国雇用統計は完全雇用に近い水準を示しFEDの利上げをサポートするか?

日本時間の昨夜、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+155千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人程度の増加という予想をやや下回って伸びが原則したものの、失業率は前月と同じ3.7%を示し、約半世紀ぶりの低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 155,000 jobs in November
U.S. employers added a disappointing 155,000 jobs in November as hiring slowed amid worker shortages, the country's trade fight with China and wild stock market swings.
The unemployment rate was unchanged at a near half-century low of 3.7 percent, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 199,000 jobs were added last month. Also, employment additions for September and October were revised down by a modest 12,000.
Many analysts expected hiring to slow in November after robust job gains of well over 200,000 the prior month. That total was likely inflated by a rebound in the Carolinas after Hurricane Florence idled workers and curtailed payrolls in September.
Other crosscurrents were also at work last month. Winter storms in the Northeast and Midwest likely reduced employment by about 20,000, Goldman Sachs estimated. Meanwhile, Capital Economics expected a modest bounce-back in job growth in the Florida panhandle after Hurricane Michael tempered October advances but the research firm reckoned the bump would be offset by the effects of the California wildfires.
More broadly, monthly job increases have been surprisingly strong this year, averaging more than 200,000, despite a historically low unemployment rate that's leading to widespread worker shortages.
Some economists expect the brisk pace to slow. The 10 percent tariff the Trump administration slapped on $250 billion in Chinese imports has dinged business confidence and the recent truce between the two nations came after Labor's November jobs survey.
Business optimism also may have been dampened by the stock market's mid-November sell-off and the sputtering global economy. Initial jobless claims, which largely reflect layoffs, have drifted higher in recent months.
Average hourly earnings rose 6 cents to $27.35, leaving the annual gain unchanged at a nine-year high of 3.1 percent.
Employers are likely to continue to bump up wages as they increasingly struggle to find qualified workers. That could lead the Federal Reserve to raise interest rates faster to head off a run-up in inflation. The Fed is expected to raise its key short-term interest rate later this month for the fourth time this year.


とても長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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まず、非農業部門雇用者の伸びですが、10月実績の237千人から減速し、市場予想の190千人程度も下回って、155千人にとどまりましたが、それでも労働市場がほぼ完全雇用にあるわけですから、労働の供給サイドでは人手不足で、雇用者の伸びが鈍化するのは当然、との受け止めもありますので、USA Today のように失望感を示すエコノミストは少ないように私は受け止めています。また、失業率も3か月連続で3.7%を記録し、1969年以来ほぼ半世紀ぶりの低い水準にあります。米国連邦準備制度理事会(FED)の連邦公開市場委員会(FOMC)のカレンダーでは今月12月の17~18にFOMCが開催される予定となっているところ、今年2018年内4回目の利上げが決定されるとの見方が有力となっており、先物市場では75%近い折り込みとなっています。ですから、注目はむしろ来年2019年以降の利上げペースとなっており、従来は、FEDでは2020年まで金融引き締めを続けて、政策金利であるFFレートを3.5%くらいまで引き上げるシナリオを描いてきたわけなんですが、金利上昇によるドル高が貿易摩擦の激化の中で、想定以上に輸出の伸びを鈍化させる可能性もあり、トランプ政権の圧力も勘案して、FEDがどのような判断を示すかに注目が集まっています。ただ、クリスマス商戦を見る限り、米国景気はまだまだ拡大を続ける方向にあることも確かですので、金融政策の舵取りが難しくなってきていることも事実です。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ2か月連続で+3%超の上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、10年振りに近い+3%超の賃金上昇ですから、12月FOMCでの追加利上げは賃金上昇からも十分に正当化されると私は考えています。他方で、繰り返しになりますが、トランプ政権からの風圧もかなり強く、FEDによる金融政策の舵取りも難しそうです。
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2018年12月07日 (金) 23:12:00

自然災害による供給制約を脱して上昇した景気動向指数と名目賃金上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも10月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.9ポイント上昇の100.5を、CI一致指数も+2.9ポイント上昇の104.5を、それぞれ記録しています。ともに2か月振りの上昇ですまた、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.5%増の27万1333円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の景気動向指数 2カ月ぶり上昇 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した10月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が104.5と2カ月ぶりに上昇した。前月からの上昇幅は2.9ポイントで、1989年3月以来の大きさだった。9月に相次いだ自然災害の制約が解消され、消費や生産、輸出など幅広い分野で数値が上向いた。
景気の基調判断は「足踏みを示している」と前月から据え置いた。「改善」に上方修正されるには、指数の月々の変動をならした「3カ月後方移動平均」が3カ月以上連続して上昇する必要がある。9月には「改善」から「足踏み」に24カ月ぶりに判断が変更された。
一致指数の算出に使う9つの統計のうち、速報段階で公表されている7つのなかで6つがプラスに寄与した。寄与度が大きかったのは生産関連で、自動車やスマートフォン部品などの生産が増えた。数カ月後の景気を示す先行指数は2カ月ぶりに上昇に転じた。
10月の名目賃金、前年比1.5%増 増加は15カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、10月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の27万1333円だった。増加は15カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増の24万4509円だった。残業代など所定外給与は1.9%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は6.8%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.1%減だった。名目賃金は増加したが、消費者物価指数が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1136円。パートタイム労働者比率は0.05ポイント上昇の30.98%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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まず、中身に入る前に、今日の公表から景気動向指数は、内閣府のお知らせ通り、2015年=100に基準年を改定されています。従って、上のグラフも従来のものに比べて、少し印象が異なるかもしれません。ということで、9月の自然災害に起因する供給制約や物流の停滞から復旧が見られ10月のCI一致指数は大きくジャンプしました。引用した記事にもある通り、前月差上昇幅+2.9ポイントは1989年3月以来の大きさを記録しています。プラスの寄与度で見て大きい順に、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、投資財出荷額(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数となっています。これまた、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は2か月連続で「足踏み」となっているんですが、上方改定されると仮定すれば1ノッチ上の景気判断は「拡大」ですから、3か月連続で3か月後方移動平均がプラスに転じなければならず、10月統計はまだ1と月目なもので最短で12月統計を待って「拡大」に戻るかどうかが基調判断変更の基準となると私は受け止めています。いままでも、何回か、このブログでお示ししたように、現在の景気拡大局面が来年2019年1月まで継続すれば、米国のサブプライム・バブルに対応する戦後最長の景気拡大期間72か月を超える計算です。もちろん、単純に景気が拡張しているか後退しているかどうかの2項判断ですから、景気拡大の実感乏しいのは広く認識されている通りであり、私自身は主として賃金上昇が鈍いことが大きな要因のひとつを考えています。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は自然災害による供給制約からの復旧ととともに鉱工業生産指数(IIP)に連動して10月は上昇しており、賃金もそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きです。季節調整していない名目賃金指数の前年同月比上昇率が+1.5%ですから、消費者物価(CPI)上昇率とほぼ均衡しています。さすがに、世上いわれているように人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、それなりに賃金上昇の圧力は大きいと私は受け止めています。
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2018年12月06日 (木) 19:52:00

来週月曜日に公表予定の7-9月期2次QE予想は下方修正か?

月曜日に公表された法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日の12月10日に今年2018年7~9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。もっとも、2次QEですので法人企業統計のオマケの扱いも少なくなく、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、みずほ総研と第一生命経済研と伊藤忠経済研は長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.3%
(▲1.2%)
n.a.
日本総研▲0.5%
(▲2.1%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率▲2.1%(前期比▲0.5%)と1次QE(前期比年率▲1.2%、前期比▲0.3%)から下方修正される見込み。
大和総研▲0.4%
(▲1.8%)
2018年7-9月期GDP二次速報(12月10日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲1.8%と、2四半期ぶりのマイナス成長となった一次速報(同▲1.2%)から下方修正されると予想する。
みずほ総研▲0.5%
(▲1.9%)
今後の日本経済については、良好な雇用環境を背景に消費が底堅く推移するほか、省人化投資ニーズの顕在化により、設備投資も堅調な推移を見込んでいる。ただし、中国経済の減速やIT需要のピークアウトを受けて、輸出の伸びは減速し、景気回復のテンポは鈍化する見通しだ。
また、当面のリスクとして、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。現時点では、日本経済への影響は限定的なものにとどまっているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、日本に間接的ながら景気下押し圧力として働く可能性がある。また、米国が自動車への追加関税を強行した場合、自動車の輸出低下に留まらず、関連産業への波及、雇用を通じた消費への影響がでる恐れも十分にある。そのほか、不確実性の高まりが企業の投資マインドの下押し材料になる懸念もあり、その点でも留意が必要だろう。
ニッセイ基礎研▲0.4%
(▲1.5%)
12/10公表予定の18年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.4%(前期比年率▲1.5%)となり、1次速報の前期比▲0.3%(前期比年率▲1.2%)から下方修正されると予測する。
設備投資は前期比▲0.2%から同▲1.5%へと下方修正されるだろう。
第一生命経済研▲0.5%
(▲2.1%)
設備投資が足元で変調をきたしているという評価は妥当ではないだろう。人手不足に対応した合理化・省力化投資の拡大、インバウンド対応等による建設投資需要の増加、根強い研究開発投資需要など設備投資を取り巻く環境は良好である。日銀短観等の各種アンケート調査でも18年度の設備投資計画は非常に強く、企業の設備投資意欲の強さが示されている。7-9月期の減少は一時的で、10-12月期は再び増加する可能性が高い。設備投資は先行きも景気の下支え役として貢献するだろう。
伊藤忠経済研▲0.4%
(▲1.7%)
7~9月期のGDPが本予測の通り修正されたとしても、自然災害による一時的なマイナス成長という評価は変わらず、10~12月期には個人消費や輸出の持ち直しによりプラス成長に転じよう。実際に10月の小売販売や輸出数量指数、訪日外国人数など、個人消費や輸出の関連指標は復調している1。前期比マイナスに転じた設備投資は循環的なピークが近づいている可能性が高いものの、今年度補正予算での追加を受けて公共投資は増加に転じるとみられるほか、前回より小規模ながらも年明け後は消費増税を控えた駆け込み需要が出始めよう。そのため、今後の景気は、消費増税までは緩やかな拡大が続くと見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.5%
(▲2.1%)
12月10日に内閣府から公表される2018年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比▲0.5%(年率換算▲2.1%)と1次速報値の同▲0.3%(同▲1.2%)から下方修正される見込みである。
三菱総研▲0.4%
(▲1.6%)
2018年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比▲0.4%(年率▲1.6%)と、1次速報値(同▲0.3%(年率▲1.2%))から下方修正を予測する。


上のテーブルを見れば明らかな通り、各シンクタンク軒並み1次QEの前期比年率▲1.2%から下方修正の予想で足並みがそろっています。その要因は、今週月曜日に公表された法人企業統計、特に設備投資ではなかろうかと私は想像しています。おおむね、上のテーブルの線はいいところで、私は▲2%に達するまで下方修正されることはないだろうと直観的にみていますが、web上にオープンな情報ではなくニューズレターでちょうだいしている某証券会社のエコノミストの中には、▲3%を超える大幅な下方修正を示唆している予想もありました。ひょっとしたら、証券会社の予想は何の営業かによってポジション・トークをしている場合があったりするんでしょうか。私にはよく判りませんが、債券営業のサポートをしているエコノミストは経済見通しを悪い方向で出して金利は上がらず債券価格は上昇との方向を示唆するのに対し、株式営業サポートのエコノミストは景気上向きの予想を出して株価上昇の方向を示唆する、というジョークを聞いた記憶もあります。あまり上品なジョークではないんですが、当たっているのかいないのか、何ともビミョーなところです。
ということで、最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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2018年12月05日 (水) 21:12:00

来年2019年後半に景気後退の可能性はあるか?

昨日、12月4日付けで第一生命経済研から「2019年の経済展望」と題するリポートが明らかにされています。

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そのリポートの中の pp.5-6 で、2019年秋以降の景気後退局面入りの可能性を示唆しています。10月1日からの消費税率引き上げは、引き上げ幅が+2%ポイントで、家計負担も年2.2兆円にとどまる上に、私が報道で接する限りでも、(1)キャッシュレス決済によるポイント還元、(2)プレミアム付商品券、(3)住宅購入支援、(4)自動車購入支援、などの増税対策も実施されることから、全体としての家計負担はさらに小さくなる一方で、東京オリンピックの建設需要のピークは大会開催の1年前の2019年夏ころになる可能性があり、加えて、米中貿易摩擦やその結果としての中国をはじめとする新興国経済の減速などにより、我が国経済も下振れリスクとして影響を受ける可能性を示唆しています。なお、上のグラフはリポートから消費増税前後の家計の負担額と東京五輪前後の経済成長率を引用しています。
何度もこのブログでも主張している通り、景気拡大局面は後半戦に入っている可能性が高く、もっとも早ければこのリポートが示唆するくらいのタイミングで景気転換点を迎える可能性は無視できないと私も考えています。そして、早期の景気後退局面入りを回避するためには、適切な政策対応もさることながら、我が国企業の賃上げがもっとも効果的な気がします。ひいては、賃上げはデフレ脱却や国民にとっても実感ある景気拡大に多いに資するんではないか、と私は期待しています。
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2018年12月03日 (月) 23:41:00

内部留保は積み上がるものの労働分配率が高まらない法人企業統計!!

本日、財務省から7~9月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は8四半期連続の増収で前年同期比+6.0%増の358兆8846億円、経常利益も9四半期連続の増益で+2.2%増の18兆2847億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+5.1%増、非製造業が+4.2%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+4.5%増の11兆2784億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比▲4.0%減となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月期の設備投資、8四半期連続増 生産能力増強などで 法人企業統計
財務省が3日発表した2018年7~9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.5%増の11兆2784億円だった。増加は8四半期連続。製造業で自動車向け素材の生産能力増強や建設機械向け投資が堅調だった。全産業ベースの経常利益は前年同期比2.2%増の18兆2847億円で、9四半期連続の増益だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で4.0%減と5四半期ぶりに減少した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は5.1%増加した。化学産業で自動車向け素材の生産能力を増強したほか、建設機械向け投資も寄与した。非製造業は4.2%増加した。オフィスビルの再開発や通信設備投資などの分野が増加した。
「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は、製造業が季節調整済み前期比5.3%減、非製造業が3.3%減だった。
全産業ベースの経常利益は、製造業が1.6%減と2期ぶりにマイナスとなった。情報通信機械業で研究開発費が増加したほか、金属製品業で原材料や燃料などのコスト増が響いた。非製造業は4.6%増だった。情報通信業で端末の販売価格が上昇した。
売上高は6.0%増の358兆8846億円と8四半期連続で増収となった。製造業は4.3%増だった。車載向け半導体部品や半導体製造装置、建設機械の販売が増加した。非製造業は6.6%増だった。販売価格が上昇した卸売業や小売業、大型工事が増えた建設業などが増加した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計した。今回の18年7~9月期の結果は、内閣府が10日発表する同期間のGDP改定値に反映される。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルで季節調整済みの系列の売上げと経常利益を見て、やや私も戸惑ったんですが、この7~9月期は広く認識されているように、豪雨、台風、地震など相次ぐ自然災害が経済活動を阻害して、先月公表された7~9月期1次QEでもGDPはマイナス成長を記録し、そのほか鉱工業生産指数などの経済統計も同様の傾向にあったんですが、法人企業統計では経常利益こそ前期から低下したものの、売上げは伸びており、売上げと経常利益で乖離が生じています。同様に、下のパネルに見られる通り、設備投資は経常利益と同じ方向、つまり、前期から減少を記録しています。基本的に、統計に表れていないながら、売上げについては原油高などの価格転嫁が進み、実質ベースでは売り上げも低下している可能性があるのではないか、と想像しています。繰り返しになりますが、価格の統計からはこの事実は読み取れませんので、単なる私の想像です。いずれにせよ、季節調整済みの統計を見ている限りでは、売上げが伸びたのは謎として除外すると、経常利益と設備投資は前期からマイナスを示しているんですが、基本的に、7~9月期は自然災害による停滞が見られただけであり、緩やかな回復基調が継続していることは企業活動についても同じであると、私は受け止めています。ただ、このブログで何度も繰り返しましたが、景気循環の拡大局面が後半に入っていることも事実ですので、それなりに注意する必要はいうまでもありません。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞し底ばっており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

最後に、本日の法人企業統計を基に、いわゆる2次QEが来週月曜日の12月10日に内閣府から公表される予定となっています。1次QEでは季節調整済みの系列の前期比▲0.3%、前期比年率▲1.2%の成長率が、私の直感的な印象ながら、設備投資を中心に2次QEで下方修正される、と予想しています。これまた、直観的に何の根拠もなく、下方改定幅はかなり大きく、▲2%近くか、ひょっとしたら、▲3%を下回るかもしれないという気がします。
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2018年11月30日 (金) 23:39:00

大きな増産を記録した鉱工業生産指数(IIP)と小幅に悪化したものの完全雇用に近い水準が続く雇用統計!!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP) が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。鉱工業生産指数と雇用統計は10月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.9%の増産を示し、失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの2.4%と低い水準にあり、有効求人倍率も前月から▲0.02ポイント低下の1.62倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。消費者態度指数は前月から▲0.1ポイント低下して42.9を記録し、まだ反転の兆しも見えません。まず、3つの統計を取り上げますので長くなりますが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

10月の鉱工業生産、2.9%上昇 基調判断を上方修正
経済産業省が30日発表した10月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて2.9%上昇の105.9だった。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.2%上昇)を上回った。経産省は10月の生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に上方修正した。
生産指数は15業種のうち13業種で前月を上回った。業種別に見ると、コンベヤや水管ボイラなど汎用・業務用機械工業が最も上昇に寄与した。電子部品・デバイス工業はスマートフォン向けに使われるアクティブ型液晶パネル(中・小型)の生産が好調だった。自動車工業は国内向けの普通乗用車や小型乗用車の生産が増えた。
出荷指数は前月比5.4%上昇し106.6。在庫指数は1.4%低下の101.2、在庫率指数は7.4%低下の97.4だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた11月の製造工業生産予測指数は前月比0.6%の上昇となった。12月の予測指数は2.2%上昇だった。
10月求人倍率8カ月ぶり低下 1.62倍、なお高水準
厚生労働省が30日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月を0.02ポイント下回り1.62倍だった。8カ月ぶりに低下したが、水準そのものはなお高い。総務省が同日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント悪化し2.4%だった。よりよい条件を求め、自発的に職を探す人が増えている。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント下がり1.13倍だった。
求人倍率が下がったのは、9月の自然災害で滞った求職活動が再開され、求職者が増えたため。新規求職の申込件数は前年同月から3.0%増え42万2089件だった。
10月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で3カ月ぶりに悪化した。完全失業者数(同)が8万人増えて168万人になったことが影響した。特に男性で自発的に仕事を辞め、よりよい条件の職を探す動きが活発になった。15~64歳の男女合計の就業率は前月から0.1ポイント上昇し77.4%。女性の就業率は70.5%で、いずれも過去最高を更新した。
人口が減る一方、働く人の数は増えている。就業者数は6725万人と、2カ月連続で過去最多を更新した。高齢者や主婦に加え、アルバイトで働く若者が増えた。
求人があっても職種や年齢などで条件があわない「ミスマッチ失業」は3%程度とされる。失業率が3%を下回ると完全雇用状態にあるといえる。潜在的な労働力の掘り起こしがいっそう重要になってくる。
11月の消費者態度指数、前月比0.1ポイント低下の42.9
内閣府が30日発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.1ポイント低下の42.9だった。内閣府は消費者心理の判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、真ん中は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。そして、一番下のパネルは、後述のように、今回の統計では基準改定がなされていますので、旧来の2010年基準指数と新しい2015年基準指数を並べてプロットしてみました。どちらも、2015年=100となるように基準化されています。

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まず、このブログでは注目していませんが、9月確報の公表時点から統計の基準が2015年基準に改定されています。すなわち、生産や出荷などの指数の基準年が2010年=100から2015年=100になったわけです。ウェイト算定年次はもちろん、業種分類や採用品目が変更されています。この基準改定に関する詳細は経済産業省のホームページに関連情報がアップされていますが、概要だけ軽く触れると、付加価値額ベースの生産指数の10,000分比のウェイトで、食料品・たばこ工業(613.9→1313.8)が倍増したのをはじめ、汎用・業務用機械工業(571.9→728.6)がウェイトを増加させている一方で、電気・情報通信機械工業(1121.1→839.3)や電子部品・デバイス工業(818.6→580.8)が低下を見せています。食料品のウェイト倍増というのは、なかなか想像できませんでした。ただ、食料品・たばこ工業は速報時には算入されませんので、確報時に大きく修正される可能性が高まった可能性はあり、その点は注意が必要です。
そして、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.2%の増産でしたから、軽くこれを上回りました。基本的には、9月の豪雨・台風・地震といった自然災害に伴う供給制約や物流の停滞からの自然な復旧であると私は受け止めています。要するに、俗にいうところの「挽回生産」なわけです。従って、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を前月の「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」から「生産は緩やかに持ち直している」に上方改定しています。ただ、製造工業生産予測調査を見ると、11月生産は10月統計公表時の▲0.8%の減産から上方修正されたとはいえ、本日の11月統計公表時でも+0.6%の増産にとどまっていますので、プラスの上方バイアスを持つ製造工業生産予測調査のクセを修正すると、▲3.1~▲1.1のレンジで減産となる可能性が高いと推計されています。そうであっても、7~9月期GDPはマイナス成長でしたが、10~12月期GDPはプラス成長に回帰する可能性が高いと私は受け止めています。

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失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月から悪化した結果を示していますが、依然として雇用指標はかなり完全雇用に近い水準にあり、そろそろ賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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消費者態度指数の4つのコンポーネントについて、前月差で少し詳しく見ると、、「暮らし向き」が▲0.6ポイント低下、「雇用環境」が▲0.2ポイント低下した一方、「収入の増え方」は+0.5ポイント上昇、「耐久消費財の買い時判断」は前月と変わらず、となっています。収入が増えながら暮らし向きが悪化する、というのはよく理解できないところですし、自然災害による生鮮食品価格も落ち着きに向かっているわけですから、なおさらです。消費者態度指数は今年2018年1月の44.6から今年はほぼ一貫して低下を続けているわけですが、12月の冬のボーナスの後に反転する可能性はあるんでしょうか。
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