FC2ブログ

2018年12月08日 (土) 09:12:00

11月米国雇用統計は完全雇用に近い水準を示しFEDの利上げをサポートするか?

日本時間の昨夜、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+155千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人程度の増加という予想をやや下回って伸びが原則したものの、失業率は前月と同じ3.7%を示し、約半世紀ぶりの低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 155,000 jobs in November
U.S. employers added a disappointing 155,000 jobs in November as hiring slowed amid worker shortages, the country's trade fight with China and wild stock market swings.
The unemployment rate was unchanged at a near half-century low of 3.7 percent, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 199,000 jobs were added last month. Also, employment additions for September and October were revised down by a modest 12,000.
Many analysts expected hiring to slow in November after robust job gains of well over 200,000 the prior month. That total was likely inflated by a rebound in the Carolinas after Hurricane Florence idled workers and curtailed payrolls in September.
Other crosscurrents were also at work last month. Winter storms in the Northeast and Midwest likely reduced employment by about 20,000, Goldman Sachs estimated. Meanwhile, Capital Economics expected a modest bounce-back in job growth in the Florida panhandle after Hurricane Michael tempered October advances but the research firm reckoned the bump would be offset by the effects of the California wildfires.
More broadly, monthly job increases have been surprisingly strong this year, averaging more than 200,000, despite a historically low unemployment rate that's leading to widespread worker shortages.
Some economists expect the brisk pace to slow. The 10 percent tariff the Trump administration slapped on $250 billion in Chinese imports has dinged business confidence and the recent truce between the two nations came after Labor's November jobs survey.
Business optimism also may have been dampened by the stock market's mid-November sell-off and the sputtering global economy. Initial jobless claims, which largely reflect layoffs, have drifted higher in recent months.
Average hourly earnings rose 6 cents to $27.35, leaving the annual gain unchanged at a nine-year high of 3.1 percent.
Employers are likely to continue to bump up wages as they increasingly struggle to find qualified workers. That could lead the Federal Reserve to raise interest rates faster to head off a run-up in inflation. The Fed is expected to raise its key short-term interest rate later this month for the fourth time this year.


とても長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

photo


まず、非農業部門雇用者の伸びですが、10月実績の237千人から減速し、市場予想の190千人程度も下回って、155千人にとどまりましたが、それでも労働市場がほぼ完全雇用にあるわけですから、労働の供給サイドでは人手不足で、雇用者の伸びが鈍化するのは当然、との受け止めもありますので、USA Today のように失望感を示すエコノミストは少ないように私は受け止めています。また、失業率も3か月連続で3.7%を記録し、1969年以来ほぼ半世紀ぶりの低い水準にあります。米国連邦準備制度理事会(FED)の連邦公開市場委員会(FOMC)のカレンダーでは今月12月の17~18にFOMCが開催される予定となっているところ、今年2018年内4回目の利上げが決定されるとの見方が有力となっており、先物市場では75%近い折り込みとなっています。ですから、注目はむしろ来年2019年以降の利上げペースとなっており、従来は、FEDでは2020年まで金融引き締めを続けて、政策金利であるFFレートを3.5%くらいまで引き上げるシナリオを描いてきたわけなんですが、金利上昇によるドル高が貿易摩擦の激化の中で、想定以上に輸出の伸びを鈍化させる可能性もあり、トランプ政権の圧力も勘案して、FEDがどのような判断を示すかに注目が集まっています。ただ、クリスマス商戦を見る限り、米国景気はまだまだ拡大を続ける方向にあることも確かですので、金融政策の舵取りが難しくなってきていることも事実です。

photo


最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ2か月連続で+3%超の上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、10年振りに近い+3%超の賃金上昇ですから、12月FOMCでの追加利上げは賃金上昇からも十分に正当化されると私は考えています。他方で、繰り返しになりますが、トランプ政権からの風圧もかなり強く、FEDによる金融政策の舵取りも難しそうです。
Entry No.5972  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年12月07日 (金) 23:12:00

自然災害による供給制約を脱して上昇した景気動向指数と名目賃金上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも10月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.9ポイント上昇の100.5を、CI一致指数も+2.9ポイント上昇の104.5を、それぞれ記録しています。ともに2か月振りの上昇ですまた、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.5%増の27万1333円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の景気動向指数 2カ月ぶり上昇 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した10月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が104.5と2カ月ぶりに上昇した。前月からの上昇幅は2.9ポイントで、1989年3月以来の大きさだった。9月に相次いだ自然災害の制約が解消され、消費や生産、輸出など幅広い分野で数値が上向いた。
景気の基調判断は「足踏みを示している」と前月から据え置いた。「改善」に上方修正されるには、指数の月々の変動をならした「3カ月後方移動平均」が3カ月以上連続して上昇する必要がある。9月には「改善」から「足踏み」に24カ月ぶりに判断が変更された。
一致指数の算出に使う9つの統計のうち、速報段階で公表されている7つのなかで6つがプラスに寄与した。寄与度が大きかったのは生産関連で、自動車やスマートフォン部品などの生産が増えた。数カ月後の景気を示す先行指数は2カ月ぶりに上昇に転じた。
10月の名目賃金、前年比1.5%増 増加は15カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、10月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の27万1333円だった。増加は15カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増の24万4509円だった。残業代など所定外給与は1.9%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は6.8%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.1%減だった。名目賃金は増加したが、消費者物価指数が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1136円。パートタイム労働者比率は0.05ポイント上昇の30.98%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

photo


まず、中身に入る前に、今日の公表から景気動向指数は、内閣府のお知らせ通り、2015年=100に基準年を改定されています。従って、上のグラフも従来のものに比べて、少し印象が異なるかもしれません。ということで、9月の自然災害に起因する供給制約や物流の停滞から復旧が見られ10月のCI一致指数は大きくジャンプしました。引用した記事にもある通り、前月差上昇幅+2.9ポイントは1989年3月以来の大きさを記録しています。プラスの寄与度で見て大きい順に、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、投資財出荷額(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数となっています。これまた、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は2か月連続で「足踏み」となっているんですが、上方改定されると仮定すれば1ノッチ上の景気判断は「拡大」ですから、3か月連続で3か月後方移動平均がプラスに転じなければならず、10月統計はまだ1と月目なもので最短で12月統計を待って「拡大」に戻るかどうかが基調判断変更の基準となると私は受け止めています。いままでも、何回か、このブログでお示ししたように、現在の景気拡大局面が来年2019年1月まで継続すれば、米国のサブプライム・バブルに対応する戦後最長の景気拡大期間72か月を超える計算です。もちろん、単純に景気が拡張しているか後退しているかどうかの2項判断ですから、景気拡大の実感乏しいのは広く認識されている通りであり、私自身は主として賃金上昇が鈍いことが大きな要因のひとつを考えています。

photo


続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は自然災害による供給制約からの復旧ととともに鉱工業生産指数(IIP)に連動して10月は上昇しており、賃金もそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きです。季節調整していない名目賃金指数の前年同月比上昇率が+1.5%ですから、消費者物価(CPI)上昇率とほぼ均衡しています。さすがに、世上いわれているように人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、それなりに賃金上昇の圧力は大きいと私は受け止めています。
Entry No.5971  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年12月06日 (木) 19:52:00

来週月曜日に公表予定の7-9月期2次QE予想は下方修正か?

月曜日に公表された法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日の12月10日に今年2018年7~9月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。もっとも、2次QEですので法人企業統計のオマケの扱いも少なくなく、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、みずほ総研と第一生命経済研と伊藤忠経済研は長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.3%
(▲1.2%)
n.a.
日本総研▲0.5%
(▲2.1%)
7~9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率▲2.1%(前期比▲0.5%)と1次QE(前期比年率▲1.2%、前期比▲0.3%)から下方修正される見込み。
大和総研▲0.4%
(▲1.8%)
2018年7-9月期GDP二次速報(12月10日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲1.8%と、2四半期ぶりのマイナス成長となった一次速報(同▲1.2%)から下方修正されると予想する。
みずほ総研▲0.5%
(▲1.9%)
今後の日本経済については、良好な雇用環境を背景に消費が底堅く推移するほか、省人化投資ニーズの顕在化により、設備投資も堅調な推移を見込んでいる。ただし、中国経済の減速やIT需要のピークアウトを受けて、輸出の伸びは減速し、景気回復のテンポは鈍化する見通しだ。
また、当面のリスクとして、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。現時点では、日本経済への影響は限定的なものにとどまっているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、日本に間接的ながら景気下押し圧力として働く可能性がある。また、米国が自動車への追加関税を強行した場合、自動車の輸出低下に留まらず、関連産業への波及、雇用を通じた消費への影響がでる恐れも十分にある。そのほか、不確実性の高まりが企業の投資マインドの下押し材料になる懸念もあり、その点でも留意が必要だろう。
ニッセイ基礎研▲0.4%
(▲1.5%)
12/10公表予定の18年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.4%(前期比年率▲1.5%)となり、1次速報の前期比▲0.3%(前期比年率▲1.2%)から下方修正されると予測する。
設備投資は前期比▲0.2%から同▲1.5%へと下方修正されるだろう。
第一生命経済研▲0.5%
(▲2.1%)
設備投資が足元で変調をきたしているという評価は妥当ではないだろう。人手不足に対応した合理化・省力化投資の拡大、インバウンド対応等による建設投資需要の増加、根強い研究開発投資需要など設備投資を取り巻く環境は良好である。日銀短観等の各種アンケート調査でも18年度の設備投資計画は非常に強く、企業の設備投資意欲の強さが示されている。7-9月期の減少は一時的で、10-12月期は再び増加する可能性が高い。設備投資は先行きも景気の下支え役として貢献するだろう。
伊藤忠経済研▲0.4%
(▲1.7%)
7~9月期のGDPが本予測の通り修正されたとしても、自然災害による一時的なマイナス成長という評価は変わらず、10~12月期には個人消費や輸出の持ち直しによりプラス成長に転じよう。実際に10月の小売販売や輸出数量指数、訪日外国人数など、個人消費や輸出の関連指標は復調している1。前期比マイナスに転じた設備投資は循環的なピークが近づいている可能性が高いものの、今年度補正予算での追加を受けて公共投資は増加に転じるとみられるほか、前回より小規模ながらも年明け後は消費増税を控えた駆け込み需要が出始めよう。そのため、今後の景気は、消費増税までは緩やかな拡大が続くと見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.5%
(▲2.1%)
12月10日に内閣府から公表される2018年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比▲0.5%(年率換算▲2.1%)と1次速報値の同▲0.3%(同▲1.2%)から下方修正される見込みである。
三菱総研▲0.4%
(▲1.6%)
2018年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比▲0.4%(年率▲1.6%)と、1次速報値(同▲0.3%(年率▲1.2%))から下方修正を予測する。


上のテーブルを見れば明らかな通り、各シンクタンク軒並み1次QEの前期比年率▲1.2%から下方修正の予想で足並みがそろっています。その要因は、今週月曜日に公表された法人企業統計、特に設備投資ではなかろうかと私は想像しています。おおむね、上のテーブルの線はいいところで、私は▲2%に達するまで下方修正されることはないだろうと直観的にみていますが、web上にオープンな情報ではなくニューズレターでちょうだいしている某証券会社のエコノミストの中には、▲3%を超える大幅な下方修正を示唆している予想もありました。ひょっとしたら、証券会社の予想は何の営業かによってポジション・トークをしている場合があったりするんでしょうか。私にはよく判りませんが、債券営業のサポートをしているエコノミストは経済見通しを悪い方向で出して金利は上がらず債券価格は上昇との方向を示唆するのに対し、株式営業サポートのエコノミストは景気上向きの予想を出して株価上昇の方向を示唆する、というジョークを聞いた記憶もあります。あまり上品なジョークではないんですが、当たっているのかいないのか、何ともビミョーなところです。
ということで、最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。

photo
Entry No.5970  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年12月05日 (水) 21:12:00

来年2019年後半に景気後退の可能性はあるか?

昨日、12月4日付けで第一生命経済研から「2019年の経済展望」と題するリポートが明らかにされています。

photo


そのリポートの中の pp.5-6 で、2019年秋以降の景気後退局面入りの可能性を示唆しています。10月1日からの消費税率引き上げは、引き上げ幅が+2%ポイントで、家計負担も年2.2兆円にとどまる上に、私が報道で接する限りでも、(1)キャッシュレス決済によるポイント還元、(2)プレミアム付商品券、(3)住宅購入支援、(4)自動車購入支援、などの増税対策も実施されることから、全体としての家計負担はさらに小さくなる一方で、東京オリンピックの建設需要のピークは大会開催の1年前の2019年夏ころになる可能性があり、加えて、米中貿易摩擦やその結果としての中国をはじめとする新興国経済の減速などにより、我が国経済も下振れリスクとして影響を受ける可能性を示唆しています。なお、上のグラフはリポートから消費増税前後の家計の負担額と東京五輪前後の経済成長率を引用しています。
何度もこのブログでも主張している通り、景気拡大局面は後半戦に入っている可能性が高く、もっとも早ければこのリポートが示唆するくらいのタイミングで景気転換点を迎える可能性は無視できないと私も考えています。そして、早期の景気後退局面入りを回避するためには、適切な政策対応もさることながら、我が国企業の賃上げがもっとも効果的な気がします。ひいては、賃上げはデフレ脱却や国民にとっても実感ある景気拡大に多いに資するんではないか、と私は期待しています。
Entry No.5969  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年12月03日 (月) 23:41:00

内部留保は積み上がるものの労働分配率が高まらない法人企業統計!!

本日、財務省から7~9月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は8四半期連続の増収で前年同期比+6.0%増の358兆8846億円、経常利益も9四半期連続の増益で+2.2%増の18兆2847億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+5.1%増、非製造業が+4.2%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+4.5%増の11兆2784億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比▲4.0%減となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月期の設備投資、8四半期連続増 生産能力増強などで 法人企業統計
財務省が3日発表した2018年7~9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.5%増の11兆2784億円だった。増加は8四半期連続。製造業で自動車向け素材の生産能力増強や建設機械向け投資が堅調だった。全産業ベースの経常利益は前年同期比2.2%増の18兆2847億円で、9四半期連続の増益だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で4.0%減と5四半期ぶりに減少した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は5.1%増加した。化学産業で自動車向け素材の生産能力を増強したほか、建設機械向け投資も寄与した。非製造業は4.2%増加した。オフィスビルの再開発や通信設備投資などの分野が増加した。
「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は、製造業が季節調整済み前期比5.3%減、非製造業が3.3%減だった。
全産業ベースの経常利益は、製造業が1.6%減と2期ぶりにマイナスとなった。情報通信機械業で研究開発費が増加したほか、金属製品業で原材料や燃料などのコスト増が響いた。非製造業は4.6%増だった。情報通信業で端末の販売価格が上昇した。
売上高は6.0%増の358兆8846億円と8四半期連続で増収となった。製造業は4.3%増だった。車載向け半導体部品や半導体製造装置、建設機械の販売が増加した。非製造業は6.6%増だった。販売価格が上昇した卸売業や小売業、大型工事が増えた建設業などが増加した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計した。今回の18年7~9月期の結果は、内閣府が10日発表する同期間のGDP改定値に反映される。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


上のグラフのうちの上のパネルで季節調整済みの系列の売上げと経常利益を見て、やや私も戸惑ったんですが、この7~9月期は広く認識されているように、豪雨、台風、地震など相次ぐ自然災害が経済活動を阻害して、先月公表された7~9月期1次QEでもGDPはマイナス成長を記録し、そのほか鉱工業生産指数などの経済統計も同様の傾向にあったんですが、法人企業統計では経常利益こそ前期から低下したものの、売上げは伸びており、売上げと経常利益で乖離が生じています。同様に、下のパネルに見られる通り、設備投資は経常利益と同じ方向、つまり、前期から減少を記録しています。基本的に、統計に表れていないながら、売上げについては原油高などの価格転嫁が進み、実質ベースでは売り上げも低下している可能性があるのではないか、と想像しています。繰り返しになりますが、価格の統計からはこの事実は読み取れませんので、単なる私の想像です。いずれにせよ、季節調整済みの統計を見ている限りでは、売上げが伸びたのは謎として除外すると、経常利益と設備投資は前期からマイナスを示しているんですが、基本的に、7~9月期は自然災害による停滞が見られただけであり、緩やかな回復基調が継続していることは企業活動についても同じであると、私は受け止めています。ただ、このブログで何度も繰り返しましたが、景気循環の拡大局面が後半に入っていることも事実ですので、それなりに注意する必要はいうまでもありません。

photo


続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞し底ばっており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

最後に、本日の法人企業統計を基に、いわゆる2次QEが来週月曜日の12月10日に内閣府から公表される予定となっています。1次QEでは季節調整済みの系列の前期比▲0.3%、前期比年率▲1.2%の成長率が、私の直感的な印象ながら、設備投資を中心に2次QEで下方修正される、と予想しています。これまた、直観的に何の根拠もなく、下方改定幅はかなり大きく、▲2%近くか、ひょっとしたら、▲3%を下回るかもしれないという気がします。
Entry No.5967  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月30日 (金) 23:39:00

大きな増産を記録した鉱工業生産指数(IIP)と小幅に悪化したものの完全雇用に近い水準が続く雇用統計!!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP) が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、内閣府から11月の消費者態度指数が公表されています。鉱工業生産指数と雇用統計は10月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.9%の増産を示し、失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの2.4%と低い水準にあり、有効求人倍率も前月から▲0.02ポイント低下の1.62倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。消費者態度指数は前月から▲0.1ポイント低下して42.9を記録し、まだ反転の兆しも見えません。まず、3つの統計を取り上げますので長くなりますが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

10月の鉱工業生産、2.9%上昇 基調判断を上方修正
経済産業省が30日発表した10月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて2.9%上昇の105.9だった。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.2%上昇)を上回った。経産省は10月の生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に上方修正した。
生産指数は15業種のうち13業種で前月を上回った。業種別に見ると、コンベヤや水管ボイラなど汎用・業務用機械工業が最も上昇に寄与した。電子部品・デバイス工業はスマートフォン向けに使われるアクティブ型液晶パネル(中・小型)の生産が好調だった。自動車工業は国内向けの普通乗用車や小型乗用車の生産が増えた。
出荷指数は前月比5.4%上昇し106.6。在庫指数は1.4%低下の101.2、在庫率指数は7.4%低下の97.4だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた11月の製造工業生産予測指数は前月比0.6%の上昇となった。12月の予測指数は2.2%上昇だった。
10月求人倍率8カ月ぶり低下 1.62倍、なお高水準
厚生労働省が30日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月を0.02ポイント下回り1.62倍だった。8カ月ぶりに低下したが、水準そのものはなお高い。総務省が同日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント悪化し2.4%だった。よりよい条件を求め、自発的に職を探す人が増えている。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント下がり1.13倍だった。
求人倍率が下がったのは、9月の自然災害で滞った求職活動が再開され、求職者が増えたため。新規求職の申込件数は前年同月から3.0%増え42万2089件だった。
10月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で3カ月ぶりに悪化した。完全失業者数(同)が8万人増えて168万人になったことが影響した。特に男性で自発的に仕事を辞め、よりよい条件の職を探す動きが活発になった。15~64歳の男女合計の就業率は前月から0.1ポイント上昇し77.4%。女性の就業率は70.5%で、いずれも過去最高を更新した。
人口が減る一方、働く人の数は増えている。就業者数は6725万人と、2カ月連続で過去最多を更新した。高齢者や主婦に加え、アルバイトで働く若者が増えた。
求人があっても職種や年齢などで条件があわない「ミスマッチ失業」は3%程度とされる。失業率が3%を下回ると完全雇用状態にあるといえる。潜在的な労働力の掘り起こしがいっそう重要になってくる。
11月の消費者態度指数、前月比0.1ポイント低下の42.9
内閣府が30日発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.1ポイント低下の42.9だった。内閣府は消費者心理の判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、真ん中は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。そして、一番下のパネルは、後述のように、今回の統計では基準改定がなされていますので、旧来の2010年基準指数と新しい2015年基準指数を並べてプロットしてみました。どちらも、2015年=100となるように基準化されています。

photo


まず、このブログでは注目していませんが、9月確報の公表時点から統計の基準が2015年基準に改定されています。すなわち、生産や出荷などの指数の基準年が2010年=100から2015年=100になったわけです。ウェイト算定年次はもちろん、業種分類や採用品目が変更されています。この基準改定に関する詳細は経済産業省のホームページに関連情報がアップされていますが、概要だけ軽く触れると、付加価値額ベースの生産指数の10,000分比のウェイトで、食料品・たばこ工業(613.9→1313.8)が倍増したのをはじめ、汎用・業務用機械工業(571.9→728.6)がウェイトを増加させている一方で、電気・情報通信機械工業(1121.1→839.3)や電子部品・デバイス工業(818.6→580.8)が低下を見せています。食料品のウェイト倍増というのは、なかなか想像できませんでした。ただ、食料品・たばこ工業は速報時には算入されませんので、確報時に大きく修正される可能性が高まった可能性はあり、その点は注意が必要です。
そして、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.2%の増産でしたから、軽くこれを上回りました。基本的には、9月の豪雨・台風・地震といった自然災害に伴う供給制約や物流の停滞からの自然な復旧であると私は受け止めています。要するに、俗にいうところの「挽回生産」なわけです。従って、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を前月の「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」から「生産は緩やかに持ち直している」に上方改定しています。ただ、製造工業生産予測調査を見ると、11月生産は10月統計公表時の▲0.8%の減産から上方修正されたとはいえ、本日の11月統計公表時でも+0.6%の増産にとどまっていますので、プラスの上方バイアスを持つ製造工業生産予測調査のクセを修正すると、▲3.1~▲1.1のレンジで減産となる可能性が高いと推計されています。そうであっても、7~9月期GDPはマイナス成長でしたが、10~12月期GDPはプラス成長に回帰する可能性が高いと私は受け止めています。

photo


失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月から悪化した結果を示していますが、依然として雇用指標はかなり完全雇用に近い水準にあり、そろそろ賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

photo


消費者態度指数の4つのコンポーネントについて、前月差で少し詳しく見ると、、「暮らし向き」が▲0.6ポイント低下、「雇用環境」が▲0.2ポイント低下した一方、「収入の増え方」は+0.5ポイント上昇、「耐久消費財の買い時判断」は前月と変わらず、となっています。収入が増えながら暮らし向きが悪化する、というのはよく理解できないところですし、自然災害による生鮮食品価格も落ち着きに向かっているわけですから、なおさらです。消費者態度指数は今年2018年1月の44.6から今年はほぼ一貫して低下を続けているわけですが、12月の冬のボーナスの後に反転する可能性はあるんでしょうか。
Entry No.5964  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月29日 (木) 20:12:00

燃料価格の上昇により10月商業販売統計の小売販売額は増加!!

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.5%増の11兆9280億円、季節調整済み指数の前月比は+1.2%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額、前年比3.5%増 石油製品の価格上昇で
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、10月の小売販売額は前年同月比3.5%増の11兆9280億円だった。前年実績を上回るのは12カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」に据え置いた。
業種別では燃料小売業が14.7%増と伸びが目立った。原油高による石油製品の価格上昇が続いた。自動車小売業は6.6%増。新型普通車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は6.2%増となった。一方、織物・衣服・身の回り品小売業は0.4%減。気温が高く冬物衣料が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で0.2%減の1兆5862億円だった。既存店ベースは0.8%減だった。コンビニエンスストアの販売額は横ばいの9986億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo


ということで、引用した記事もある通り、昨年11月から12か月連続で小売販売額は前値同月比プラスを続けており、その12か月の中でも直近2018年10月統計の+3.5%増は、昨年2017年12月の3.6%に次いで大きな伸びを示しています。加えて、上のグラフを見ても理解できる通り、季節調整していない系列の前年同月比で見ても、季節調整済みの指数で見ても、今年2018年5月から伸びがグングンと高まっています。ただ、商業販売統計は名目ですから最近の消費者物価(CPI)の動向にも左右される部分があり、実は、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率が、今年2018年5月の+0.7%を直近の底として、上昇幅を拡大させているのにも、ある程度は、相関していると考えるべきであり、引用した記事の石油製品価格の上昇にシンクロして小売販売額が伸びている、という見方も成り立ちます。燃料小売業の販売額を季節調整していない原系列の統計で見ると、昨年2017年11月から1兆円の大台に乗せ、今年2018年3月の+7.1%増を唯一の例外として、昨年2017年11月から、これまた、12か月のうちの11か月で前年同月比2ケタ増を記録しています。来週公表される総務省統計局の家計調査の結果も気がかりなんですが、物価上昇を考慮した実質の消費の伸びは、少なくとも、CPI上昇率がプラスなわけですから、名目消費の伸びよりも小さいと考えるべきです。国際的にも、例えば、本日2018年11月29日付けの日経新聞経済教室で主張されている通り、アベノミクスの下で日本経済は好調に推移している一方で、家計消費が伸び悩んでいるのはパズルである、という結論になりそうな気がします。日経新聞経済教室では、アベノミクスにより円安が進んで輸出企業が利益が増えた一方で、輸入価格の上昇に消費者がが直面し、家計から輸出企業に所得が移転した一方で、企業部門が賃金や投資に資金を回さないため、賃上げが進まず労働分配率が低下する、という流れを提示しています。輸出企業の利益が賃金上昇の形で家計に還元されないわけです。従って、私を含む多くのエコノミストの考えでは、日本では賃上げとそれに伴う消費の拡大が喫緊の課題であり、景気の観点からも、デフレ脱却のためにも、賃上げの必要性は大きいといわざるを得ません。

最後に、今年の米国のクリスマス商戦 Holiday Shopping 最近5日間の売上げが全米小売業協会 (NRF) から明らかにされているようです。NRF のサイトにはプレスリリースを発見できなかったので、参照したニュースメディアのサイトだけ、以下に示しておきます。今年の米国年末商戦の序盤戦はやや期待外れ、という印象かもしれません。

Entry No.5963  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月28日 (水) 21:28:00

リクルートジョブズによる9月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

明日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の10月の調査結果を見ておきたいと思います。

photo


ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の10月度平均時給は前年同月より+2.6%、26円増加の1,047円となり、2006年1月の統計開始以来の最高値を記録しています。職種別では「製造・物流・清掃系」前年同月比+3.0%、「事務系」+2.9%、「販売・サービス系」+2.7%、「フード系」+2.3%など、全職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、最近では2017年9月から12か月連続でプラスを続けた後、9月が▲4円、▲0.2%減の1,640円の後、直近の10月は▲13円、▲0.8%減の1,639円と続落しています。ただし、職種別に詳しく見ると、「オフィスワーク系」、「営業・販売・サービス系」、「IT・技術系」、「クリエイティブ系」、「医療介護・教育系」の5職種のうち、「IT・技術系」と「クリエイティブ系」が前年同月比でマイナスと落ち込み、地域別では東海、関西はプラスなのに対して、首都圏がマイナスを記録しています。マイナスとなった「IT・技術系」をさらに詳しく見ると、運用管理・保守が▲3.4%減と特に低下が大きく、また、カテゴリ全体では初任給アップの「医療介護・教育系」でも看護師・准看護師は▲11.4%減と大きな低下を見せています。全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めていますが、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規から雇用に陰りが見え始めた、と受け止めるエコノミストもいそうな気がします。
Entry No.5962  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月27日 (火) 23:12:00

テレビ広告の価格上昇により企業向けサービス物価(SPPI)は+1.3%の上昇!!

本日、日銀から10月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て前月からややプラス幅を拡大して+1.3%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の企業向けサービス価格、前年比1.3%上昇 テレビ広告が伸びる
日銀が27日発表した10月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.3で、前年同月比で1.3%上昇した。伸び率は9月確報と比べて0.2ポイント拡大した。自然災害の影響で先延ばしされていたテレビのスポット広告が伸びた。人手不足による人件費の上昇も価格を押し上げた。
前年同月比での上昇は64カ月連続となる。テレビ広告は9月に前年同月比でマイナスだったが10月はプラスに転じた。人件費上昇の影響で労働者派遣サービスや警備、土木建築サービスなどの価格も上昇した。冬場のエネルギー需要の増加に備えた動きから、外航タンカーなど外航貨物輸送も値上がりした。
ただテレビのスポット広告は振れが大きいため、日銀は「来月以降も今月程度の伸びが持続するかは明かではない」(調査統計局)との見方を示した。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち前年比で価格が上昇したのは79品目、下落したのは30品目だった。上昇から下落を引いた差は49品目。差し引きでのプラスは23カ月連続となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


ここ半年ほどのヘッドラインSPPIの前年同月比で見て、4月+1.0%、5月+0.9%、6月+1.1%、7月も+1.1%、8月に+1.3%に高まった後、9月は自然災害などもあって+1.1%、そして、10月も+1.3%を記録しています。10月直近の上昇率については、引用した記事にもある通り、自然災害の影響で先送りされていたテレビ広告が9月の▲3.6%の下落から10月には+0.9%に盛り返し、広告全体でも9月の▲0.4%の下落から10月には+1.6%の上昇となっています。そして、相変わらず、人手不足の影響は、土木建築サービス+3.3%、警備+4.3%、労働者派遣サービス+2.4%などに現れています。
直接、SPPIに関係するものではなく、むしろ、消費者物価指数(CPI)の方の話題かもしれませんが、昨日、総務省の有識者会議、正式名称は「モバイル市場の競争環境に関する研究会」に置かれた「ICTサービス安心・安全研究会」と「消費者保護ルールの検証に関するWG」の合同会合が開催され、「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」案が示されています。通信料金の適正化に向けた提言なんですが、2年縛りや4年縛りといった長期契約で端末代を割り引くといった手法が通信料の高止まりを招いているとし、通信料と端末代の完全分離を要請しつつ、シンプルで分かりやすい料金プランの実現を目指すとしており、通信料金の動向が注目されるところです。以下に、「緊急提言」案のリンクを置いておきます。ご参考まで。
Entry No.5961  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月26日 (月) 23:12:00

大阪万博EXPO25の経済効果は約2兆円?

広く報じられている通り、2025年に大阪夢洲にて万博EXPO25の開催が決定されました。「経済効果2兆円!」と報じているメディアが多いように見受けられるんですが、私の知る限り、万博だけでなくカジノなどの統合型リゾート(IR)も含めての試算で、しかも、1年近くも前に明らかにされた結果ながら、日本総研の2.6兆円がもっとも大きい万博の経済効果試算のような気がします。ということで、下の画像は、日本総研のリポート「夢洲における万博・IR (カジノを含む統合型リゾート) の概要と課題について」 p.9 から (図表7) 政府・大阪市見通しをベースとした経済効果試算 のテーブルを引用しています。今夜は遅くなったので簡単に済ませておきます。

photo
Entry No.5960  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月23日 (金) 08:22:00

今年の米国のクリスマス商戦やいかに?

昨日は米国では Thanksgiving Day の休日であり、今日11月23日はいわゆる Black Friday です。米国小売業協会では、すでに、10月3日の時点で「クリスマス商戦は4.3~4.8%の伸び」"NRF forecasts holiday sales will increase between 4.3 and 4.8 percent" で、売上げは $717.45 billion to $720.89 billion に達するとの予測を明らかにしています。そして、先週11月16日には Thanksgiving Day から Cyber Monday までの5日間の日次の売上を以下のグラフのように予想しています。休暇明けの売上げ速報は11月27日に明らかにされるようです。果たして、今年の米国のクリスマス商戦やいかに?

photo
Entry No.5956  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月22日 (木) 20:28:00

OECD「経済見通し」は米中貿易摩擦で経済成長率を下方修正!

日本時間の昨夜、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し 2018年11月」OECD Economic Outlook November 2018 が公表されています。このブログでは、こういった国際機関のリポートを取り上げるのをひとつの特徴としていますので、プレスリリース資料からグラフなどをいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います

photo


まず、上の画像はプレスリリース資料から p.25 Key messages を引用しています。見れば明らかなんですが、世界経済の成長が減速しており、米中の貿易摩擦に伴う関税率の引き上げが先行きリスクを高めていることから、自由貿易の維持強化を図る必要を主張しています。まあ、各種のメディア報道もそうですし、多くのビジネスマン・エコノミストの共通認識ではないかと私は思います。

photo


次に、上の画像はプレスリリース資料から p.4 Real GDP growth revised down のグラフを引用しています。要するに、世界経済の成長率が下方修正されているわけです。今年2018年の世界経済の成長率は5月の前回の「経済見通し」では+3.8%、9月の「中間経済見通し」では+3.7%に下方修正された後、昨日公表の「経済見通し」では+3.5%にさらに下方修正されました。来年2019年についてもご同様で、5月の前回の「経済見通し」では+3.9%、9月の「中間経済見通し」では+3.7%に下方修正された後、昨日公表の「経済見通し」では+3.5%にさらに下方修正されています。我が国の成長率についてもまったく同じような傾向を示しており、今年2018年は5月の前回の「経済見通し」と9月の「中間経済見通し」ではともに+1.2%と見込まれていましたが、昨日公表の「経済見通し」では+0.9%に下方修正されています。少なくとも我が国の成長率については、先週公表されたGDP統計1次QEで自然災害などの影響により7~9月期の成長率がマイナスとなった発射台の成長率の低下が大きな要因なんでしょうが、来年2019年についても、5月の前回の「経済見通し」と9月の「中間経済見通し」ではともに+1.2%と見込まれていましたが、昨日公表の「経済見通し」では+1.0%に下方修正されています。ただし、東京オリンピック・パラリンピックの開催されるさ来年2020年の成長率は+1.9%と高まると見込まれています。

photo


次に、上の画像はプレスリリース資料から p.13 Tariff hikes act as a brake on GDP growth のグラフを引用しています。世界経済の成長率の下方修正を招いた最大の要因のひとつである米中間の貿易摩擦に起因する関税率の引き上げが成長率に及ぼす影響を試算した結果がプロットされています。凡例にあるように、第1段階の青の部分は2018年9月までの追加関税引き上げの影響、第2段階の紫の部分が、米国が中国からの2,000億ドルの輸入に対して追加関税を現行の10%から25%に引き上げ、加えて、中国が米国からの600億ドルの輸入に対して報復措置を取った場合、第3段階のオレンジの部分が、加えて、一次産品を除くすべての米中二国間貿易に対し、2019年7月以降に25%の追加関税が課された場合、さらに、第4段階として、投資リスクプレミアムが不確実性の高まりに応じて上昇する場合、などを前提した試算結果です。ただし、この分析では、関税引上げによる負担の大部分は物価上昇を通じ米国の消費者に転嫁されると想定されているようなんですが、中国側の価格設定行動次第で中国の輸出業者及び生産者が負担をこうむる結果になる場合もある、と指摘されています。我が国への影響は明示されていないんですが、私のこのブログでは、今年2018年7月24日付けの記事で大和総研のリポート2本、「米中通商戦争はそんなに悪い話なのか?」「続・米中通商戦争のインパクト試算」を引用して、結論としては、日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない、との見方も紹介しています。

photo


次に、上の画像はプレスリリース資料から p.15 A slowdown in China would weigh on growth across the world のグラフを引用しています。関税率の引き上げの影響に関しては、我が国は明示的にグラフに取り込まれていなかったんですが、さすがに上のグラフに見る通り、中国経済の減速の影響については、米欧よりも我が国成長率へのマイナスの影響が方が大きい、すなわち、2%ポイントの中国の需要減少のショックに対して、我が国の成長率は▲0.2%を超える影響を受ける、と分析されています。

photo


最後に、目を国内経済に転じると、本日、総務省統計局から10月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月と同じ+1.0%を示しています。国際商品市況における石油価格などのエネルギーの値上がりに起因する物価上昇と私は受け止めています。いつものグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。
Entry No.5955  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月20日 (火) 22:56:00

帝国データバンク「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、11月14日付けで帝国データバンクから「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。もともと、2015年10月に消費税率10%へと引き上げられる予定でしたが、2014年11月と2016年6月の2度に渡って消費税率引き上げは延期され、現在、来年2019年10月の消費税率10%への引き上げを実施する予定となっているのは広く知られている通りです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 消費税率10%への引き上げ、「予定どおり実施すべき」と考える企業が43.3%となった。「延期」「現行維持」「引き下げ」など2019年10月の引き上げに否定的な見方をする企業も計43.1%となり、二分する結果となった
  2. 企業活動への影響、「(業績に)マイナスの影響がある」(34.2%)と「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせると企業の55.1%が懸念。特に『小売』は81.2%に達する企業がマイナス影響を見込む
  3. 軽減税率導入への対応、「軽減税率制度の内容の確認」が41.8%でトップ。以下、「影響が生じる事務の確認」(36.7%)、「会計システム等の導入・改修・入れ替え」(23.5%)が続く
  4. 政府に優先的に取り組んでほしい政策は、「景気対策」が67.8%で突出。以下、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が3割台で続く


かなり詳細な調査結果の要約ですので、これ以上の情報は必要なさそうな気もしますが、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


まず、リポートから 消費税率の引き上げに対する企業の見解 に関するグラフを引用すると上の通りです。「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」が43.3%となった一方で、「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の24.5%が続いたほか、「時期を延期して実施するべき」(12.0%)や「消費税率を引き下げるべき」(6.6%)を含めて、予定通りの消費税率引き上げに否定的な企業の割合が計43.1%となり、予定どおり実施すべきと考える企業と二分する結果が示されています。ただ、グラフの引用はしませんが、企業規模別の結果では、規模が大きいほど「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」の割合が高く、逆に、規模が小さいほど「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の割合が高くなっています。

photo


次に、リポートから 消費税率引き上げにより「マイナスの影響がある」割合を業界別に取りまとめたグラフを引用すると上の通りです。全体では、「(業績に)マイナスの影響がある」が34.2%、また、「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせて、企業の半数超となる55.1%が消費税率引き上げにより企業活動にマイナスの影響がある見通しを持っており、企業活動に「影響はない」(27.6%)を大きく上回っています。上の業界別のグラフから、「小売」で特にマイナスの影響を見込む割合が高くなっていることが読み取れます。このマイナスの影響に対して、グラフは引用しませんが、政府に優先的に取り組んでほしい政策を複数回答で質問したところ、「景気対策」が67.8%となり、突出してトップとなっています。次いで、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が30%超で続いています。
Entry No.5953  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月19日 (月) 23:26:00

貿易赤字を記録した10月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から10月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+8.2%増の7兆2434億円、輸入額は+19.9%増の7兆6927億円、差引き貿易収支は▲4493億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の貿易収支、4493億円の赤字 原油高で輸入増える
財務省が19日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4493億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出入ともに増加したが、中東からの原油輸入の増加を背景に輸入額の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は488億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比8.2%増の7兆2434億円だった。増加は2カ月ぶり。米国向け自動車や船舶エンジンがけん引した。
輸入額は19.9%増の7兆6927億円。7カ月連続で増加した。原油高を背景にサウジアラビアから原粗油の輸入が増えた。アジアからの輸入額は17.2%増の3兆7577億円となり、過去最大だった。
10月の対米国の貿易収支は5734億円の黒字で、黒字額は11.0%減少した。減少は4カ月連続。輸出は11.6%増、輸入は34.3%伸びた。
10月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=112円90銭。前年同月に比べて0.4%円安・ドル高に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

photo


繰り返すになりますが、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいていますので、2か月振りの貿易赤字ということなんですが、季節調整済みの系列で見ると4か月連続の赤字ですし、2018年に入ってから1月から10月までの10か月間で6か月が貿易赤字を出していることになります。輸出入額ともに増加を示していますが、特に、輸入額が増加しているのは国際商品市況における石油価格の値上がりに起因しています。ですから、産油国からの輸入額をいくつか見ると、いずれも季節調整していない原系列の統計で見て、中東からの鉱物性燃料の輸入額は+33.1%増、ロシアも同様に+31.0%増を記録しています。ただし、輸出額については9月の自然災害に伴う供給制約や物流の停滞を10月は克服して、反動増も含めて増加を示しています。季節調整済みの系列をプロットした上のグラフのうちの下のパネルで見ても、青いラインの輸出額がやや横ばいになって停滞を示しつつあります。輸出額の停滞については次のグラフの後に引き続き取り上げます。

photo


輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。季節調整済みの系列の統計で見て、輸出がかなり横ばいになって来ているのは、上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。どうでもいいことながら、先進国経済で景気拡大局面の成熟化が進んでいる、ということで、我が国の景気局面もご同様といえます。また、世間の注目を引いている米中間の貿易摩擦ですが、少なくとも、10月統計でその影響が現れているとは私はまだ考えていません。
Entry No.5952  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月13日 (火) 21:22:00

2018年冬のボーナスは増えるのか?

先週までに、例年のシンクタンク4社から年末ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想と聞いたことがあり、ベースが少し違っている可能性があります。注意が必要です。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研39.3万円
(+3.3%)
72.2万円
(+5.9%)
今冬の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+3.3%と、年末賞与としては2年連続のプラスとなる見込み。
背景には、2018年度上期の好調な企業収益。個人消費、設備投資など内需の持ち直しのほか、販売価格の引き上げにより売上が増加。一方で、変動費の抑制など収益体質の強化も進んだため、売上の増加が利益の拡大に結びつきやすい構造に。
大企業の雇用が大きく増加したことも、一人当たり賞与の押し上げに作用する見込み。製造業、情報通信業など、もともと支給水準の高い業種の正規雇用者が増加し、全体をけん引。
第一生命経済研(+4.2%)n.a.民間企業の2018年冬のボーナス支給額を前年比+4.2%と予想する。夏(前年比+4.7%)に続いて高い伸びになるだろう。ただし、毎月勤労統計では、サンプルの入れ替えやサンプルを加重平均する際のウエイト更新の影響に伴って2018年1月以降に断層が生じており、実態よりも伸び率が大幅に上振れていることに注意が必要である。実態としては、18年夏が前年比+2.1%程度だったとみられ、冬については+1.9%になると予測している。
(途中略)
7-9月期の個人消費は、台風、地震といった自然災害が相次ぎ、外出機会が抑制されたことが下押し要因になったことに加え、野菜価格やエネルギー価格の上昇も痛手となり、低調な推移となった。10-12月期については、こうした下押しからの反動に加え、冬のボーナス増も後押しとなることから、個人消費は再び増加に転じると予想される。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング39.2万円
(+3.0%)
72.4万円
(+6.3%)
2018年冬の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上) のボーナスは、企業業績の拡大が続き、労働需給が極めてタイトな状況下で、前年比+3.0%と堅調に増加すると予測する。
雇用者数の増加が続いており、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる。冬のボーナスの支給労働者数は4,,217万人(前年比+1.3%)に増加し、支給労働者割合も83.5%(前年差+0.2%ポイント)に上昇しよう。また、ボーナスの支給総額は16.5兆円(前年比+4.4%)に増加する見通しである。夏に続き、冬も支給総額が高い伸びとなることは、今後の個人消費にとってプラス材料である。
みずほ総研38.8万円
(+2.0%)
76.6万円
(▲0.7%)
民間企業・公務員を合わせた冬季ボーナスの支給総額は、前年比+2.4%(前年: 同;3.1%)と増加基調を維持するだろう。上記の通り公務員の支給総額は減少が見込まれるものの、民間企業の堅調な伸びがけん引する公算である。ボーナス支給総額の拡大による家計の所得環境の改善は、個人消費に対する当面の下支え要因となろう。
ただし、消費者マインドの動向を表す消費者態度指数が引き続き弱含んでいることを踏まえると、今冬はボーナス支給総額の増加ほど消費が拡大しない可能性がある。消費者マインドが弱含む一因と考えられるのが、物価上昇である。物価面では、今後、ガソリン価格の上昇ペースが徐々に鈍化していくとみられる一方、電気代の伸びが拡大するとみられ、物価の基調を示すコア消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比+1%前後の上昇傾向を続けると見られる。こうした物価上昇による実質所得の目減りが、家計の積極的な消費拡大を抑制する要因となろう。


ほぼ今冬の年末ボーナスは1人あたりでも、支給総額でも、民間企業でも、公務員でも、それなりの増加を示しそうなコンセンサスがありそうです。しかし、ボーナスが増加する一方で、上のテーブルに取り上げたシンクタンク4機関の消費に対する考えがビミョーに違っていることが読み取れます。日本総研はボーナスから消費への波及についてはコメントしていないのに対して、第一生命経済研と三菱リサーチ&コンサルティングはボーナス増は消費にプラスとの見方を示しているものの、みずほ総研は消費者マインドの動向も引きつつ、物価上昇から実質所得の目減りにより消費が抑制される可能性を示唆しています。確かに、日本では、長らく見られた雇用慣行として長期雇用と年功賃金があって、かなりの程度に恒常所得仮説が成り立っており、残業やボーナスと消費の関係はそれほど相関は大きくない、ないし、やや不安定であるというのが従来からの定説です。もちろん、こういった雇用慣行は大きく変化しており、どこまで従来の見方が成り立つのかも何ともいえないところです。ただ、一般論としてボーナスの増加が消費にマイナスの相関を持つとは考えられないわけですから、1年弱に迫った消費増税も考え合わせて、それなりの消費への効果を見込んでいるエコノミストも少なくないと私は考えています。
下のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから引用しています。

photo
Entry No.5950  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月12日 (月) 22:41:00

引き続き+3%近い上昇率を続ける企業物価(PPI)!

本日、日銀から10月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.9%と前月から少し上昇率が縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の企業物価指数、前年比2.9%上昇 石油製品の値上がりで
日銀が12日発表した10月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.3となり、2014年11月(102.4)以来、約4年ぶりの高水準となった。前年同月に比べて2.9%上昇し、伸び率は9月確報からやや鈍化したが、22カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から9月の原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比25.5%上昇した。鉄鋼が同4.7%、化学製品は同3.7%上昇した。一方で、非鉄金属は同3.0%下落した。米中間の貿易摩擦への懸念が下押し要因となった。
今後の企業物価動向については「足元で原油価格が大きく下落しているほか、米中貿易摩擦の影響が需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。


いつもながら、包括的によく取りまとめられている気がします。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は7~9月の3か月連続の+3.0%から少しだけ上昇幅を縮小させて+2.9%を記録しまた。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。中国をはじめとするエネルギー消費型の途上国や新興国経済の成長回帰に加え、米国のイラン制裁への懸念から石油価格が上昇しています。上のグラフの一番下のパネルに見られる通り、輸入物価のうちの原油については、指数のレベルでも、前年同月比上昇率でも、引き続き高い水準となっています。他方で、米中の貿易摩擦の影響もチラホラ垣間見え、国内物価のコンポーネントでは非鉄金属がマイナス幅を拡大したのに加え、金属製品も上昇幅を縮小させており、同時に、輸入物価では金属・同製品の前年同月比が9月の+0.4%上昇から10月は▲2.6%の下落に転じています。ただ、どこまでが米中貿易摩擦によるものかは、現時点では明確には判りかねます。いつも、このブログで私が主張している通り、我が国の物価は日銀金融政策動向よりも国際商品市況における一次産品価格の動向により敏感に反応するようです。
Entry No.5949  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月09日 (金) 20:08:00

来週11月14日に公表予定の7-9月期GDP統計1次QE予想やいかに?

先週公表の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週水曜日の11月14日に今年2018年7~9月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。ほとんどのシンクタンクで、7~9月期が自然災害などに起因する供給や物流の制約からマイナスないし大きく減速と予想している一方で、10~12月期以降は緩やかな成長軌道に戻ると見込んでいます。しかしながら、下2つの三菱系シンクタンクは明示的に先行き経済を取り上げていませんでした。大和総研とみずほ総研は超長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。なお、大和総研は引用した後に、さらに公共投資と輸出の需要項目が続くんですが、省略してしまいました。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.5%
(▲2.1%)
当面を展望すると、自然災害による悪影響は徐々に解消に向かっていることから、高めのプラス成長に復する見通し。10月の鉱工業生産予測調査では増産が計画されているほか、機械受注も回復基調が持続しており、10~12月期の設備投資の増加を示唆。個人消費についても、賃金上昇ペースの加速を背景に、持ち直す見込み。もっとも、世界的な貿易摩擦の深刻化や中国経済の減速懸念が強まっているため、輸出の鈍化や企業マインドの悪化には留意が必要。
大和総研▲0.4%
(▲1.6%)
日本経済は、踊り場局面から徐々に回復し、緩やかな成長が続くとみている。
まず、個人消費は一進一退が続くと見込む。労働需給の一段のタイト化に伴う雇用者報酬の増加が個人消費の下支え要因となろう。ただし、人手不足に伴う賃金上昇を、賃金カーブのフラット化や残業削減によって企業が相殺することにより、雇用者報酬の増加ペースが鈍る可能性には注意を払っておく必要がある。
住宅投資は、2019年10 月の消費増税を見据えた駆け込み需要が徐々に顕在化することにより、一旦持ち直すとみている。もっともこれは単純な需要の先食いであり、消費増税実施後の反動減を拡大させる効果も同時に予想される。ただし、住宅エコポイントの導入や住宅ローン減税・すまい給付金の拡充が行われることになれば、住宅投資の駆け込み・反動減もいくらか緩和されるだろう。
設備投資は緩やかな増加を予想する。円高懸念は一旦後退し、企業の潤沢なフリーキャッシュフローが下支えの要因となろう。また、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、研究開発投資は拡大基調を維持するだろう。ただし、資本ストック循環の成熟化や一部のサプライヤーの供給制約などにより、増加ペースは緩やかなものに留まるだろう。
みずほ総研▲0.3%
(▲1.3%)
10~12月期以降の景気は再び回復基調に復する見通しだ。7~9月期の景気下押し要因となった自然災害からの復旧は順調に進んでおり、今後は消費・輸出への下押し圧力は解消するとみている。
個人消費については、労働需給のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが実質所得の押し上げ要因となる見通しだ。ただし、エネルギー価格の上昇が実質所得の下押し要因となり、回復ペースは緩やかにとどまるとみている。設備投資は良好な投資マインドを背景に、堅調な推移が続くだろう。輸出は、中国経済にやや減速感はみられるものの、米国を中心に世界経済全体では回復基調が続くとみられ、今後は持ち直す見通しだ。ただしこれまで輸出のけん引役となっていたIT需要はすでにピークアウト感が出てきており、輸出の伸びは緩やかにとどまるだろう。
リスク要因としては、当面、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。現時点では、日本経済への影響は限定的なものにとどまっているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、日本に間接的ながら景気下押し圧力として働く可能性がある。また、米国が自動車への追加関税を強行した場合、自動車の輸出低下に留まらず、関連産業への波及、雇用を通じた消費への影響がでる恐れも十分にある。そのほか、不確実性の高まりが企業の投資マインドの下押し材料になる懸念もあり、その点でも留意が必要だろう。
ニッセイ基礎研▲0.2%
(▲0.8%)
2018年7-9月期のマイナス成長は、4-6月期の高成長の反動や自然災害に伴う供給制約によるところも大きいが、輸出は基調として2018年に入り減速している。現時点では、10-12月期は供給制約の緩和に伴い民間消費、設備投資、輸出がいずれも増加に転じることから、年率1%程度とされる潜在成長率を上回る成長になると予想しているが、米中貿易戦争が一段と激化するようなことがあれば、輸出の失速を起点として景気が後退局面入りするリスクが高まるだろう。
第一生命経済研 ▲0.2%
(▲0.7%)
7-9月期のマイナス成長は、基本的には前期からの反動や自然災害といった一時的要因によるところが大きいとみられる。10-12月期には自然災害の悪影響が徐々に解消され、挽回生産の動きも生じることから反動増が予想され、潜在成長率をはっきり上回る成長となる可能性が高いとみられる。均してみれば、企業部門を牽引役とした景気の回復傾向に変化はないとみて良いだろう。ただ、ひとつ気がかりなのは輸出の動向である。7-9月期の輸出は自然災害による供給制約やインバウンド需要の減少により下押しされたが、それ以外に、海外経済の景気拡大ペースが鈍化していることも影響していると思われる。米国経済を牽引役に世界経済は回復を続けているという評価は変わらないが、他地域では減速が目立つ状況になっており、回復のモメンタムは鈍化している。世界経済の動向次第では、10-12月期の反発力が思いのほか鈍くなるリスクがあることに注意が必要だろう。
伊藤忠経済研+0.0%
(+0.1%)
輸出落ち込みの主因である関西空港の台風被害は概ね復旧しており、米中貿易摩擦による影響も当面は限定的なため、輸出は今後、持ち直すとみられる。設備投資も、企業の積極的な計画や増勢を強める先行指標から判断する限り、少なくとも当面は高水準を維持しよう。個人消費も、賃金の上昇を背景に底堅く推移するとみられ、10~12月期以降はデフレ脱却に向けて緩やかな回復を取り戻すと見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.3%
(▲1.0%)
2018年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比-0.3%(年率換算-1.0%)と2四半期ぶりにマイナスに転じたと予想される。マイナス成長の主な要因は天候不順と災害の発生による一時的な下押し圧力の強まりによるものであり、景気回復の動きが途絶えているわけではないが、これら一時的な下振れ要因を除いても回復の勢いは鈍化している可能性がある。
三菱総研▲0.2%
(▲0.7%)
2018年7-9月期の実質GDPは、季節調整済前期比▲0.2%(年率▲0.7%)と、2四半期ぶりのマイナス成長を予測する。背景には、4-6月期の高い伸びの反動に加え、相次いだ自然災害の悪影響がある。


上のテーブルを見れば一目瞭然なんですが、7~9月期はマイナス成長を予想するシンクタンクが多くなっています。私の実感としては年率で▲1%に達しないくらいのマイナス成長で、第一生命経済研やニッセイ基礎研などが仕上がりの数字としては、いいセン行っているような気がします。そして、各シンクタンクとも一様に主張している通り、7~9月期のマイナス成長は台風や地震といった自然災害に起因する供給面や物流の制約が大きな要因であり、そういったマイナス要因の想定されない10~12月期以降については、緩やかな成長パスに戻る、と見込まれています。そして、先行きの下振れリスクとしては、海外要因が上げられており、盛んに報道されている米中間の貿易摩擦・貿易戦争が我が国の場合、輸出の減速を招く可能性が指摘されています。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のサイトから引用しています。

photo
Entry No.5945  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月08日 (木) 19:39:00

自然災害により大きく減少した9月の機械受注と回復に転じた10月の景気ウォッチャーと貿易収支が赤字になった経常収支!

本日、内閣府から機械受注景気ウォッチャーが、また、財務省から経常収支が、それぞれ公表されています。機械受注と経常収支は9月の統計であり、景気ウォッチャーだけ10月の統計です。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比▲18.3%減の8022億円を示しています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.9ポイント上昇して49.5を記録した一方で、先行き判断DIは全角黒三角 ▲0.7ポイント下降して50.6となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8216億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の機械受注、前月比18.3%減 市場予想10.1%減
内閣府が8日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比18.3%減の8022億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は10.1%減だった。
うち製造業は17.3%減、非製造業は17.1%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は7.0%減だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」とした。
7~9月期の四半期ベースは前期比0.9%増だった。10~12月期は3.6%増の見通し。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
10月の街角景気、現状判断指数は2カ月ぶり改善
内閣府が8日発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は49.5で、前の月に比べて0.9ポイント上昇(改善)した。改善は2カ月ぶり。家計動向が改善した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.6で0.7ポイント低下した。低下は2カ月連続。企業動向、雇用が悪化した。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」に据え置いた。
9月の経常収支、1兆8216億円の黒字 51カ月連続黒字
財務省が8日発表した9月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆8216億円の黒字だった。黒字は51カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆7860億円の黒字だった。
貿易収支は3233億円の黒字、第1次所得収支は1兆6945億円の黒字だった。


なるべく短めの記事を選んだつもりなんですが、それでも3つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比▲10%ほどの減、レンジでも▲15.0~▲6.4%でしたので下限を突き抜けて、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である内閣府による基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と、単月ながらただし書きをつける必要が感じられるほどの落ち込みでした。業種別でも、製造業・非製造業ともに2ケタ減を記録しています。ただ、四半期でならして見ると、7~9月期の前期比+0.9%増とやや減速した後、10~12月期は+3.6%増と増加率を拡大する見込みとなっています。2017年7~9月期から、見通しの2017年10~12月期まで無理やりにカウントすれば、四半期ベースでは6四半期連続で前期比プラスということになりそうです。9月統計の大きな前期比マイナスについては、このところ、判で押したように自然災害の影響といえます。供給面の制約に加えて、関空などの流通面からも生産が停滞したと考えるべきです。ですから、10月以降の統計を見れば、需要が想定される通りに緩やかに増加している限り、この機械受注をはじめとして各種の経済指標はそれなりの回復を示すと私は期待しています。機械受注のような生産サイドの統計は、さらに、いわゆる「挽回生産」によって短期的には上振れすることもめずらしくありません。ですから、大型案件の受注に伴って、機械受注はもともと単月での振れの激しい指標ですし、少なくとも、9月統計だけでは趨勢的な判断は難しい気がします。他方で、これだけ落ち込みが大きく、市場のコンセンサスを大きく超えれば、基調判断にも何らかの反映が必要、ということなのかもしれません。私も統計局出向の経験がありますので、こういった役所の対応はそれなりに理解は出来ます。

photo


続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。同じ内閣府の統計ながら、消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドを代表しているのに対して、この景気ウォッチャーは供給サイドの消費者マインドを色濃く反映しています。ですから、季節調整済みの系列の現状判断DIの前月差で見て、9月は自然災害の影響などで、わずかながら▲0.1ポイントの下降を示したものの、直近の10月には+0.9ポイントの上昇を記録しました。特に家計動向関連、さらのその中の住宅関連と飲食関連などが大きな前月差プラスとなっています。ですから、9月の自然災害に起因するマインド低下は10月には回復している可能性が高いと私は受け止めています。もっとも、これも季節調整済みの先行き判断DIについては、9月10月と2か月連続で下降を示しました。特に、9月は家計動向関連がほぼほぼ横ばいだったのに対して、企業動向関連が製造業関連・非製造業関連ともに大きな前月差マイナスを記録しています。やや複雑な動きながら、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」に据え置いています。

photo


続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。まず、9月の貿易収支は赤字を計上しています。すなわち、節調整済みの統計で見て、震災後の貿易赤字から黒字に転換したのが2013年10月であり、その後、一貫して貿易黒字を計上していたところ、今年2018年2月は、おそらく、中華圏の春節効果で久し振りに赤字となりましたが、2018年9月統計ではそれ以来の貿易赤字となっています。季節調整していない原系列の統計ではまだ貿易収支は黒字ですので、メディアなどではそれほど注目されていないものの、自然災害に伴う供給制約の国内要因に加えて、先進国経済の減速という海外要因に伴う我が国からの輸出の停滞が大きかったと私は考えていますが、さらに、国際商品市況における石油価格の上昇による輸入額の増加もあり、この先も、貿易収支は赤字を計上する月が増えそうな気がします。もちろん、上のグラフでは赤い積み上げ棒グラフで示されている1次所得収支の黒字が大きいことから、刑事う収支が赤字になることは、少なくとも現時点では考えにくいものの、米中間の貿易摩擦も含めて貿易動向は注意が必要かもしれません。
Entry No.5943  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月07日 (水) 19:38:00

基調判断が「足踏み」に下方修正された景気動向指数と賃金上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも9月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲0.6ポイント下降して103.9を、CI一致指数も▲2.1ポイント下降して114.6を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.1%増の27万256円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の景気一致指数が低下 基調判断を下方修正、災害の影響などで
内閣府が7日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.1ポイント低下の114.6だった。低下は2カ月ぶり。内閣府は「台風や北海道地震などの影響が大きく出た」としている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に下方修正した。基調判断の下方修正は3年4カ月ぶりで、「足踏みを示している」との表現を用いるのは2年ぶり。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列全てが指数のマイナスに寄与した。
鉄鋼や輸送機械が振るわなかった鉱工業用生産財出荷指数のマイナスが大きく影響した。災害による工場の稼働停止などで乗用車・二輪車がマイナスとなった耐久消費財出荷指数の低下も指数を押し下げた。物流網に混乱が生じたことで商業販売額(卸売業)も低下した。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.6ポイント低下の103.9と2カ月ぶりに下落した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は1.4ポイント上昇の119.8だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
9月の名目賃金、前年比1.1%増 増加は14カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、9月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.1%増の27万256円だった。増加は14カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.8%増の24万4054円だった。残業代など所定外給与は0.4%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は13.3%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%減だった。名目賃金は増加したが、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.1%増の1136円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低下の30.63%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

photo


まず、景気動向指数は、CI先行指数もCI一致指数もともに前月差で下降し、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正されました。内閣府の発表資料によれば、基調判断の基準として、足踏みに下方修正するばあいは、当月の前月差がマイナスであり、3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、1か月、2か月または3か月の累積マイナス幅が1標準偏差分以上の場合に適用されることとされています。そして、「改善」と「足踏み」の先は、「局面変化」ということになりますから、事後的に判断される景気の山がその前の数か月にあった可能性が高い、とされています。来週には7~9月期GDP統計速報、いわゆる1次QEが公表される予定となっており、出来れば今週中にもシンクタンクの予想を取りまとめるつもりですが、7~9月期成長率はマイナスとの予想が強くなっています。ただ、そのマイナス成長の要因は自然災害による供給制約や物流面での問題であり、その後の10~12月期には緩やかな景気回復軌道に復する可能性も見込まれています。ですので、景気動向指数の9月統計だけからすでに景気の転換点を過ぎている可能性を高いと判断するのは少し早計かもしれません。なお、9月統計ではCI一致指数の構成系列は押しなべてマイナス寄与を示していますが、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などが絶対値で大きく寄与しています。

photo


続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。
Entry No.5942  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月06日 (火) 23:14:00

マクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「2018年スポーツマーケティング基礎調査」やいかに?

10月29日に、マクロミル三菱UFJリサーチ&コンサルティングの共同企画として「2018年スポーツマーケティング基礎調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートがアップされており、調査結果概要を7点引用すると以下の通りです。


  • スポーツ参加市場規模は約2.5兆円。
  • スタジアム観戦の支出額は年間38,423円で昨年より12.8%増。
  • スポーツ人気で野球とサッカーとの差が縮まる。自分で行うスポーツはウォーキング、ジョギング、水泳など年配層でも続けられる手軽なスポーツが人気。
  • プロ野球ファン人口は2,775万人で昨年比微減。ワールドカップでベスト16となったサッカー日本代表のファンは3,324万人で昨年比401万人増の一方、Jリーグファン人口は1,154万人で微増にとどまる。
    B.LEAGUEファン人口は603万人、Vリーグファン人口は416万人。
  • スポーツブランドではナイキ、アディダスが根強い人気。若年層ではアンダーアーマーの人気上昇。
  • 好きなスポーツ選手は米大リーグで活躍した大谷選手が1位、フィギュアスケート羽生選手が2位。
    全米オープンテニスで優勝した大坂選手が大躍進。
  • eスポーツの認知は全体の1/4。オリンピック種目への導入に対しては、反対が25.9%と賛成の15.1%を10ポイント以上上回った。


いずれもごもっともで納得できる結果かという気がします。私は週末に水泳をしていますが、還暦を迎えて、まさに、「年配層でも続けられる手軽なスポーツ」ということが出来ます。また、スポーツブランドとしてはアディダズが好きです。昨年2017年のリポートでは、野球人気が盛り返し始めているという結果が示されていましたが、今年のプロ野球ファン人口は微減に終わったようです。プロ野球ファン人口のテーブルをひとつだけ引用すると以下の通りです。

プロ野球球団ファン人口
2017年2018年
阪神タイガース438万人641万人
読売ジャイアンツ577万人504万人
広島東洋カープ415万人244万人


これを見て、やや調査結果の信頼性が低下したような気がします。昨年から今年にかけて、我がタイガーズはファン人口を減らして、ジャイアンツは横ばいか微増、広島カープは増やした、というのが私の実感です。監督交代にも現れています。10月15日付けのブログでプロ野球機構(NPB)から明らかにされた観客動員数などの統計を取り上げたブログでも、そうなっています。
今夜は遅くなりましたので、これだけにとどめます。
Entry No.5941  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月05日 (月) 21:26:00

@nifty何でも調査団による「自転車についてのアンケート・ランキング 第2弾」やいかに?

私は週末に自転車に乗って周辺自治体の図書館を回って、読書のための本を借りたり返却したりしているんですが、おそらく、体力的にはややキツい可能性はあるものの、時間的・金銭的には効率よく回れていると自負しています。そんな折に、や野球分に属する話題ながら、10月26日に、@nifty何でも調査団から「自転車についてのアンケート・ランキング 第2弾」の結果が明らかにされています。興味ある2つのテーマに関するグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


まず、上のグラフは@nifty何でも調査団のサイトから自転車を使用する頻度に関する質問への回答結果です。【週に1回以上】は男性34.1%、女性31.1%で男性の方が多くなっています。でも、【毎日】の割合は、男性9.3%に対し、女性は13.4%と、こちらは女性の割合のほうが高くなっています。まあ、私は週に1~2回ですかね。ほぼほぼ⅓が週1回以上自転車に乗っているようです。

photo


次に、上のグラフは@nifty何でも調査団のサイトから自転車のタイプに関する質問への回答結果です。ギアのあるなしを通じて、ママチャリなどのシティサイクルが半分近くを占めます。最近、よく見かけるんですが、電動アシスト付き自転車6%ほどに過ぎません。私はマウンテンバイクに乗っているんですが、マウンテンバイク・クロスバイク・ロードバイクのスポーツサイクルは合わせて10%強といったところでしょうか。
Entry No.5940  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月02日 (金) 23:42:00

中間選挙直前の10月米国雇用統計は好調な労働市場を反映し利上げをサポート!

本日、米国労働省から10月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+250千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190~+200千人の増加という予想を大きく上回って伸びが加速し、失業率も前月と同じ3.7%を示し、約半世紀ぶりの低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を4パラ引用すると以下の通りです。

Economy adds robust 250,000 jobs in October in last employment report before election
The economy added a healthy 250,000 jobs in October, the Labor Department said Friday in the last employment report before midterm elections that President Trump has cast as a critical referendum on his stewardship of the economy.
The unemployment rate was unchanged at a near 50-year low of 3.7 percent. Annual wage growth topped 3 percent for the first time in nine years.
Economists had estimated 200,000 jobs were added last month, according to a Bloomberg survey.
Trump has boasted that low unemployment is a result of the cuts to taxes and regulations championed by his administration, and warned ominously that electing Democrats would reverse the gains.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

photo


ということで、中間選挙を間近に控えた10月米国雇用統計は、トランプ政権与党共和党に追い風をもたらすくらい出来過ぎの内容で、雇用者は増加し失業率も半世紀振りの低い水準を保っています。このブログでは、先月の米国雇用統計公表の際に、「ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的、」と書きましたが、+250千人の雇用増ということはまだ労働力のスラックはあった、ということなのかもしれません。それはともかく、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。FEDは年内にもう一度の利上げを見込んでいますので、12月18~19日に開催予定のの米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるのはほぼほぼ確実と私は考えています。

photo


最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、10年振りに近い+3%超の賃金上昇ですから、12月FOMCでの追加利上げは賃金上昇からも十分に正当化されると私は考えています。
Entry No.5937  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年11月01日 (木) 19:27:00

マクロミル・ホノテによる「AIに置き換わる職業」に関する世論調査結果やいかに?

先週木曜日の10月25日にネット調査大手のマクロミルから「AIに置き換わる職業」に関する世論調査の結果が明らかにされています。専門家の見識によるキチンとした精査を経たテクニカルな結果ではなく、あくまで、世論調査結果であって、人々がどのように想像しているか、ですので、どこまで当てになるかどうかは別にして、世間一般のイメージのようなものは、ほのかに伝わって来るような気がします。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを4点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • AI導入を進めるべき職業は「工場作業員」54%、必ず人間が行うべき職業は「医師」57%
  • クリエイティビティを要する「ミュージシャン」「小説家」は、6割強が“AIに置き換わらない”と予想
  • 「労働力の確保」に期待する人が7割弱、一方で「雇用喪失」の心配も5割
  • 66%がAIの普及を「歓迎すべき」


その昔の2015年12月に、野村総研が英国オックスフォード大学のオズボーン准教授やフレイ博士との共同研究により、コンピューター技術による代替確率を試算した結果があり、「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」と、その逆の「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」が明らかにされていたりするわけで、そういった専門家の分析結果ではなく、あくまで、一般人を対象にした世論調査結果なんですが、それなりに、世間一般の雰囲気をよく捉えているような気もします。いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


マクロミル・ホノテのサイトから、AIに置き換わると思う職業・置き換わらないと思う職業 上位5位 のテーブルを引用すると上の通りです。実は、グラフの引用はしていませんが、この前に、AI導入を進めるべき職業とAIの導入が望まれていない職業のアンケート結果が示されており、そこで「進めるべき」と「望まれていない」それぞれの職業が上位に来ています。まあ、要するに、実際にどうなるかの予想ではなく、べき論に基づいた結果といえそうです。そこは世論調査らしいといえます。

photo


次に、マクロミル・ホノテのサイトから、AIの普及は歓迎すべきことだと思うか の回答結果のグラフを引用すると上の通りです。実は、私はそれほど楽観的ではないんですが、上のグラフに見られる通り、「歓迎すべき」と「まあまあ歓迎すべき」を合わせると⅔ほどに達しますので、世論調査結果ではおおむね好意的に受け入れられそうな雰囲気が感じられると私は考えています。
Entry No.5936  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月31日 (水) 19:55:00

またまた減産を示す鉱工業生産指数(IIP)と反転しない消費者態度指数と成長率・物価見通しが下方修正された日銀「展望リポート」!

本日、経済産業省から9月の鉱工業生産指数(IIP) が公表されています。季節調整済みの系列で前月から▲1.1%の減産を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7-9月の鉱工業生産、2期ぶり低下 自然災害が響く
経済産業省が31日発表した2018年7~9月期の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前期比1.6%低下し、102.1だった。低下は2期ぶり。自然災害の影響で出荷が伸びなやみ、生産を抑える動きが広がった。
低下率は1~3月期(1.3%)を上回り、14年4~6月期(3.0%)以来の大きさだった。7月の西日本豪雨や9月の台風などの自然災害が響いた。経産省は「このまま明確な低下傾向になるのか懸念される」としている。
9月の鉱工業生産指数速報値は前月比1.1%低下し、101.4だった。低下は2カ月ぶりで、速報値としては18年1月(100.7)以来の低水準だった。
QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.3%低下)を大きく下回った。
9月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から低下し、4業種が上昇した。
鉄道車両など輸送機械工業が2.5%減、フラットパネル・ディスプレイ製造装置などはん用・生産用・業務用機械工業が1.4%減だった。鉄鋼業も3.6%減。
一方、化粧品など化学工業は2.0%増だった。橋梁など金属製品工業は2.3%増えた。
出荷指数は前月比3.0%低下の98.5だった。台風などの影響で内航海運が止まるなどし、出荷が滞った。
在庫指数は2.3%上昇の113.3だった。上昇は4カ月ぶり。生産の減少に比べ出荷減が大きく、在庫が積み上がった。在庫率指数は7.8%上昇の123.5だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた10月の製造工業生産予測指数は前月比6.0%の上昇となった。災害の影響からの反動増を見込むため、経産省は生産の基調判断を「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に据え置いた。
ただ、10月は例年予測が上振れしやすい。予測指数を補正した経産省の試算値は0.9%の上昇にとどまった。11月の予測指数は10月の予測指数に比べ0.8%低下を見込む。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

photo


まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲0.3%の減産でしたから、実績として▲1.1%の減産はやや大きいと私は受け止めています。ただ、その分、ということなんでしょうが、先月の統計公表時に10月の製造工業生産予測調査は1.7%の増産と出ていましたが、今月は+6.0%の増産に大きく上方修正されています。9月実績値は供給面で自然災害がマイナスに影響し、すなわち、台風21号の列島縦断に加えて、北海道の地震に起因する電力供給の制約があり、さらに、台風21号に続いて24号でも関西空港が閉鎖されるという物流面での影響もありました。業種別では輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業などがマイナスの減産を示していますが、我が国のリーディング・インダストリーである自動車については北海道地震による供給制約に加えて、外需に関して9月はEUで自動車燃費基準の変更があり、8月の駆け込みの反動で新車登録数が激減したことも需要面で下方圧力として影響が出たといわれています。ただし、はん用・生産用・業務用機械工業については、先行き設備投資需要から機械受注が高い水準を続けており、それほど大きな懸念はなさそうと私は受け止めています。なお、10月の製造工業生産予測調査の+6.0%増は、予測誤差について加工を行った試算によれば+0.9%の増産と予想され、今月の減産にほぼ匹敵すると考えてよさそうです。また、四半期でならして見ても、4~6月期の前期比+1.3%の増産の後、7~9月期は▲1.6%の減産となっています。

photo


9月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。久し振りだという気がします。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2018年7~9月期の下向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せていて、内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越え、さらに第4象限に突っ込むと、「意図せざる在庫増」から「在庫調整・在庫減らし局面」にはいったと見なされて、景気の山を越えた可能性が示唆されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、あくまでたぶんですが、景気拡大の前半期と考えているエコノミストはとても少ない一方で、景気後退への転換点が迫っていると考えるエコノミストはそれなりにいそうな気もします。ついでながら、11月14日に公表予定の7~9月期のGDP統計の予想がそろそろ出始めていますが、マイナス成長の予想が多そうな気が私はしています。

photo


鉱工業生産指数(IIP)を離れて、本日、内閣府から10月の消費者態度指数が公表されています。▲0.4ポイント低下して43.0を記録しています。消費者マインドは先月から反転した可能性があると思っていたんですが、ガソリン高や株安が消費者心理を冷やした可能性があります。少し詳しく見ると、4項目のコンポーネントのうち、「雇用環境」、「収入の増え方」及び「暮らし向き」の3項目が前月から低下しています。いつものグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2018年度+1.3~+1.5
<+1.4>
+0.9~+1.0
<+0.9>
 7月時点の見通し+1.3~+1.5
<+1.5>
+1.0~+1.2
<+1.1>
 2019年度+0.8~+0.9
<+0.8>
+1.8~+2.0
<+1.9>
+1.3~+1.5
<+1.4>
 7月時点の見通し+0.7~+0.9
<+0.8>
+1.8~+2.1
<+2.0>
+1.3~+1.6
<+1.5>
 2020年度+0.6~+0.9
<+0.8>
+1.9~+2.1
<+2.0>
+1.4~+1.6
<+1.5>
 7月時点の見通し+0.6~+0.9
<+0.8>
+1.9~+2.1
<+2.1>
+1.4~+1.6
<+1.6>


最後に、本日、日銀から「展望リポート」が公表されています。2018~2020年度の政策委員の大勢見通しは上のテーブルの通りです。3か月前の7月時点の見通しから一部に少し下方修正されています。ただし、景気判断については「緩やかに拡大している」と据え置いています。
Entry No.5935  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月30日 (火) 23:42:00

完全雇用に近い9月の雇用統計をどう見るか?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも9月の統計です。失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.3%と1974年以来の低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに▲0.01ポイント上昇して1.64倍と、これまた、高い倍率を続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の有効求人倍率1.64倍、正社員は過去最高
厚生労働省が30日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇し1.64倍となった。1974年1月(1.64倍)以来の高水準で、人手不足感が強い状況が続いている。今まで働いていなかった人の就労も進み、総務省が同日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の2.3%だった。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。1.6倍台となるのは5カ月連続。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で過去最高となった。
新規求職者数は前年同月から14.9%減り35万2638人だった。就労が進み、新たに仕事を探す人が減少した。
企業も求人を減らしている。新規求人数は同6.6%減少の93万1362人だった。北海道胆振東部地震の影響で訪日客数が落ち込んだことなどから、採用を控える動きが出たとみられる。
9月の完全失業率は2.3%で2カ月連続で改善した。15~64歳の男女の就業者の比率は前月から0.3ポイント上昇し77.3%。女性の就業率は70.3%で、いずれも過去最高を更新した。
人口が減る一方、働く人の数は増えている。就業者数は6715万人と過去最多を更新した。高齢者や主婦などで働く人が増えた。完全失業者の数は162万人と前年同月から28万人減少。会社都合や自発的な離職が減っているとみられる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月から+0.01ポイント上昇して1.14倍とこのところ1倍を超えて推移しています。

photo


失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月から改善した結果を示し、政府統計からも、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
もっとも、フィリップス曲線に沿った議論に基づいて、日銀の物価目標である+2%に達するには、さらに長期の景気拡大が必要との見方もあります。すなわち、先週10月22日付けで第一生命経済研究所の「内生インフレはこれから」と題するリポートを取り上げましたが、その後、「航続時間長めの機体が手に入れば」と題するリポートでは、「米国の景気循環は後半から終盤に到達していると考えるのが自然だが、2022年頃まで現在の景気拡大が持続すれば、2%物価目標の達成が現実味を帯びてくる可能性がある。」と数年先までの日米両国における景気拡大継続の必要性に言及しています。黒田総裁の下で日銀が異次元緩和を始めたのが2013年でしたから、それくらい長期に渡るデフレ退治が必要なのかもしれません。
Entry No.5934  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月29日 (月) 22:57:00

小売販売の基調判断が上方修正された9月の商業販売統計をどう見るか?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.1%増の11兆5280億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。


9月の小売販売額、前年比2.1%増 原油高で石油製品の上昇続く
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、9月の小売販売額は前年同月比2.1%増の11兆5280億円だった。前年実績を上回るのは11カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。
業種別では燃料小売業が13.0%増と伸びが目立った。原油高を背景に、石油製品の価格上昇が続いている。飲食料品小売業は2.1%増。野菜の価格上昇が押し上げたほか、総菜の販売も好調だった。
一方、自動車小売業は0.2%減。小型車や軽自動車の販売が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で1.1%増の1兆5136億円だった。既存店ベースは0.4%増だった。スーパーで主力の食品の販売が伸びた。
コンビニエンスストアの販売額は4.5%増の1兆222億円だった。10月の値上げ前の駆け込み需要で、たばこの販売が大幅に増えた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo


小売販売額についてもう少し詳しく見ると、繰り返しになりますが、季節調整していない統計で見て9月は前年同月比+2.1%増の11兆5280億円、季節調整済み指数で前月比▲0.2%減を示しています。四半期統計でならして季節調整済み指数の前期比を見ると、今年に入ってから、2018年1~3月期に▲0.6%減を記録した後、4~6月期には+0.4%と盛り返し、7~9には+1.0%に達しています。生鮮食品を除くコア消費者物価の上昇率が前年同月比で+1%程度ですから、四半期ベースでその¼としても、緩やかながら前期比プラスを記録していると判断してよさそうです。ですから、引用した記事にもある通り、9月の季節調整済み指数が前月比マイナスになっているにもかかわらず、3か月後方移動平均を重視すて決めている雰囲気のある基調判断を「横ばい傾向にある」から「緩やかに持ち直している」に明確に1ノッチ上方修正したのも最近の傾向を踏まえれば、十分に考えられるところです。ただ、最近時点では国際商品市況の石油価格の高騰に起因する部分が少なくなく、例えば、燃料小売業の販売額が季節調整していない統計の前年同月比で見て、昨年2017年11月からほぼほぼ2ケタ増を記録しています。例外は今年2018年3月の+7.1%増だけです。国際商品市況での石油の価格の高騰が一巡すれば、燃料の小売販売も伸び率を低下させる可能性が十分ある、と考えた方がいいかもしれません。加えて、消費者マインドの動向が気にかかりますが、明後日に10月の消費者態度指数が公表予定です。今年2018年6~8月に3か月連続で低下した後、9月はわずかながら上昇に転じています。豪雨や台風や地震などの自然災害によってダメージを受けていた消費者マインドなんですが、10月統計以降も注目です。
Entry No.5933  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月26日 (金) 21:11:00

東洋経済オンラインによる「入社が難しい有名企業トップ200ランキング」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、10月12日付けの東洋経済オンラインに「入社が難しい有名企業トップ200ランキング」が明らかにされています。ざっくりいうと、今年の各大学・学部の難易度について、医学部と歯学部を除いて平均した値を各大学の難易度とし、大学別の就職者数の加重平均で入社難易度を算出しています。要するに、東大とかの入試難易度の高い学生が多く就職すれば、その会社の入社難易度も高くなるわけです。東洋経済オンラインのサイトから1位から50位までの画像を引用すると以下の通りです。

photo


トップテンのうち商社のビッグ5で半分を占めています。40年近く前の私の学生時代から、こんな感じだったかもしれません。マスメディアや出版社なども上位を占めている印象です。三菱と三井の不動産会社も上位に食い込んでいます。トップ20に広げても製造業は富士フィルムとAGC(旧・旭硝子)くらいのもので、こういった企業ランキングでは必ずトヨタ自動車がトップ、ではないにしても、上位に入ると、私は勝手に想像していただけに少しびっくりしています。さて、我が家の上の倅が内定をもらった会社のランキングやいかに?
Entry No.5930  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月25日 (木) 19:56:00

やや上昇幅を縮小させつつも+1%超を続ける企業向けサービス物価上昇率!

本日、日銀から9月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率でSPPI上昇率は前月から小幅に縮小して+1.2%を示しています。国際運輸を除く、コアSPPIの上昇率も+1.0%とやや上昇幅を縮小しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業向けサービス価格、前年比で上昇続く 人手不足背景に
日銀が25日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.0となり、前年同月比1.2%上昇した。伸び率は8月確報から0.1ポイント縮まった。テレビ広告への出稿意欲が盛り上がりを欠き広告関連が振るわなかったほか、北海道地震など自然災害の影響で宿泊サービスが上昇幅を縮めたことが影響した。
もっとも、人手不足を背景とした人件費上昇の圧力は引き続き強い。指数が前年比で上昇するのは63カ月連続だった。四半期でみると7~9月期は1.2%上昇と、消費増税の影響を受けた時期を除けば、1993年1~3月期以来、およそ25年ぶりの高い伸び率だった。日銀は「基調は引き続きしっかりしている」(調査統計局)と判断している。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは82品目、下落は27品目だった。上昇から下落を引いた差は55品目となり、差し引きでのプラスは22カ月連続となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


引用した記事にもある通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)が前年同月比でプラスを記録するのは63か月連続、すなわち、5年超ということになります。しかも、4月統計で+1.0%に達してから、その次の5月統計こそ+0.9%に逆戻りしましたが、6月統計以降は直近の9月統計まで4か月連続で+1%超の上昇を続けています。その上、エネルギー価格上昇の影響を受けやすい国際運輸を除くコアSPPIの上昇率がヘッドラインを下回っていますから、エネルギー価格の影響を受けた上昇というよりも、人手不足に起因する物価上昇という色彩が強く感じられます。特に、大類別ベースでは運輸・郵便が引き続き+2%超の上昇率を示し、小類別ベースでも諸サービスのうちの土木建築サービス、労働者派遣サービス、警備などが高い上昇率を示しています。他方で、単月の結果ながら、8月に前年同月比で+1.1%を記録していた広告が9月には▲0.4%に落ちています。景気敏感産業だけに、やや気がかりではあります。景気循環局面としては、世界経済レベルながらピークを越えた可能性が指摘されている中で、我が国景気の持続性も気がかりではあるものの、少子高齢化などの人口動態要因により人手不足は長期化する可能性もあり、SPPI上昇率も高めの推移を続ける可能性が高い、と私は考えています。
Entry No.5929  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月24日 (水) 19:55:00

マクロミル・ホノテによる「脱プラスチックに関する意識調査」の結果やいかに?

昨日、10月23日付けでネット調査大手のマクロミル・ホノテから「脱プラスチックに関する意識調査」の結果が明らかにされています。プラスチックなどのポリマーは自然界では分解されませんから、従来より、プラごみは問題視されていたんですが、昨年末、世界のプラスチック廃棄物の約6割を輸入していた中国が輸入禁止に踏み切り、これまでプラスチック廃棄物のほとんどを中国に輸出していた各国ではその対応に追われ始めています。もちろん、我が国も例外ではありません。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを3点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 「ごみの分別」87%が実施。4人に1人が普段から「割り箸やストロー」を断る
  • 不要・過剰だと思う使い捨てプラスチック製品、1位「外包装フィルム」57%
  • 多少不便でも、環境に影響があるパッケージ・製品は"必要ない"、54%


私から見てとても重要かつ興味深いテーマですので、マクロミル・ホノテのサイトからいくつかグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


まず、マクロミル・ホノテのサイトから、普段の生活で行っていること の棒グラフを引用すると上の通りです。私の目から見て、いくつか不思議な点があります。まず、最上位のごみの分別なんですが、100%であるべきところ、かなり大きく下回っているようです。それから、エコバッグを使っているにもかかわらず、レジ袋を断らない人が一定の割合に上っているようです。割り箸やストローを断る人の割合がこれくらいだと、大手チェーン店はともかく、個人経営の飲食店では割り箸やストローを置かない、という判断は難しそうな気もします。それから、グラフは引用しませんが、性別年代別に割り箸やストローを断る人の割合を細かく見ると、女性の方が断る割合が高く、また、大雑把に年齢が上がるほど断る割合が上がっています。そうかもしれません。

photo


次に、マクロミル・ホノテのサイトから、不要・過剰だと思う、プラスチック製のパッケージ・使い捨て製品 の棒グラフを引用すると上の通りです。調査票を細かく見ていないので何ともいえませんが、レジ袋は不要という選択肢はなかったんでしょうか、それとも、選択肢にはあったものの選ばれなかったんでしょうか。よく判りませんが、最初に引用したグラフでマイボトルが入っているので、ラベルだけでなくペットボトルそのものは不要とも思えるんですが、これは選択肢に入っていなかったような気がします。

photo


最後に、マクロミル・ホノテのサイトから、不要・過剰だと思う、環境配慮に取り組む企業や製品・パッケージに対するイメージや考え のグラフを引用すると上の通りです。私の従来からの主張の通り、省エネなどのように環境配慮でお得な結果が得られる場合はいいんですが、環境配慮のコストを負担するまでの覚悟、というか、それなりの環境保護への身銭を切った貢献をできるかどうか、が、重要さを増す地球環境保護や気候変動の防止に必要だと考えるべきです。しかし、この結果から、何が読み取れるかはやや不安が残ります。
Entry No.5928  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月23日 (火) 21:12:00

リクルートジョブズによる9月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の9月の調査結果を見ておきたいと思います。

photo


ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の9月度平均時給は前年同月より+2.4%、24円増加の1,036円となり、職種別では、「販売・サービス系」+3.3%、「製造・物流・清掃系」+2.9%、「事務系」+2.5%など、すべての職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、最近では2017年9月から12か月連続でプラスを続けた後、9月は▲4円、▲0.2%減の1,640円を記録しています。ただし、職種別に詳しく見ると、「オフィスワーク系」、「営業・販売・サービス系」、「IT・技術系」、「クリエイティブ系」、「医療介護・教育系」の5職種のうち、確かに、「営業・販売・サービス系」と「クリエイティブ系」でいずれも▲0.3%減となっているものの、どうも、時給の絶対水準が低い「医療介護・教育系」ウェイトが増加しているシンプソン効果のような気もします。ですから、最近では、人材確保のために正社員の求人も増加し、正社員有効求人倍率が1倍を超えているんですが、ご同様に、パート・アルバイトや派遣スタッフの求人も堅調と考えてよさそうです。
Entry No.5927  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月22日 (月) 23:33:00

フィリップス曲線に沿った物価上昇は始まるか?

先週金曜日の10月19日、第一生命経済研究所から「内生インフレはこれから」と題するリポートが明らかにされています。
9月の全国消費者物価指数(CPI)が総務省統計局から公表された直後のリポートで、労働集約的なサービスにやや重点を置きつつも、「失業率とインフレ率の関係を示すフィリップスカーブは死んだとも言われているが、最近は僅かながら生体反応が認められつつあり、失業率が2%近傍まで低下する頃に、それがはっきりとしてくるだろう。その場合、フィリップス曲線に沿って賃金・物価は加速度的な上昇が見込まれる。」と指摘し、最初にお示ししたようなタイトルをつけています。

photo


その根拠のひとつは、フィリップス曲線が失業率2.5%付近で屈折するという実証的な洞察であり、少し前の9月26日付けのリポート「2%目標達成が近づく日」では、上のグラフが示されています。ただ、私自身は少し前まで屈折点は+3%近傍ではないか、という気もしていました。そして、もうひとつの2%目標達成の根拠、というか、現時点で達成されていない根拠のひとつとして、25-34歳の失業率が高いことも一因として上げています。
先週取り上げたニッセイ基礎研「中期経済見通し (2018~2028 年度)」では、約10年間の予測期間内には日銀物価目標+2%は達成できない、との結論でしたが、どちらのシンクタンクも、経済分析に当たってはバックグラウンドに何らかのモデルを置いているわけで、そのモデルが異なっているということでしょうから、物価目標+2%が達成されるかされないかは、すぐれて実証的な解決を見ることとなるような気がします。
Entry No.5926  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月19日 (金) 23:11:00

消費者物価(CPI)上昇率はエネルギー価格上昇により+1%に到達!

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや上昇幅を拡大して+1.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の全国消費者物価、1.0%上昇 原油高でエネルギー価格が上昇
総務省が19日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.3と前年同月比1.0%上昇した。上昇は21カ月連続。原油高の影響で、エネルギー価格が上昇した。
上昇率が1%台となるのは今年2月以来。総務省は「緩やかな上昇傾向は変わらない」とみている。
生鮮食品を除く総合では、上昇は全体の50.9%にあたる266品目だった。電気代やガソリン代が上がった。秋冬物の衣料品の価格も、前年に比べて上昇した。
下落は186品目、横ばいは71品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.7と1.2%上昇した。8月の天候不順でトマトなど生鮮野菜が値上がりした。一部乳製品も引き続き高い。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは101.1と前年同月比0.4%上昇した。欧州向け旅行が好調で、外国パック旅行費が上昇した。
ただ、携帯電話の通信料は下落率が拡大した。大手通信会社の割安な料金プランの導入に加え、格安スマートフォン事業者が実質的な値下げを実施した。生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIの上昇幅は8月(0.4%上昇)と同水準にとどまった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは前月比で同水準だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

photo


まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、コアCPIの前年同月比上昇率で+1.0%でしたので、ジャストミートしました。企業物価についても同様の理由、すなわち、国際商品市況における石油価格の上昇の影響などから、7月、8月、9月と3か月連続での企業物価のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+3%を記録する一方で、消費者物価(CPI)の上昇ペースもやや加速しています。ただ、物価上昇がマイナスを続けるデフレ脱却はまだしも、日銀のインフレ目標である+2%とはまだ差があります。加えて、物価動向について考えるべき点が2点あります。第1に、先行き物価の動向については、先々月のブログで取り上げたように、携帯電話通信料の4割引き下げ、さらに、教育の無償化により物価上昇幅が大きく下振れする可能性があります。この点は先々月8月24日付けのブログで詳しく論じています。第2に、エコノミストはついつい日銀の物価目標のターゲットである生鮮食品を除くコアCPI上昇率に目が行きがちなんですが、実は、台風などの自然災害もあって、家計が実際に直面する生鮮食品を含むヘッドラインのCPI上昇率はコアCPI上昇率よりも高い点は忘れるべきではありません。すなわち、ヘッドラインCPI上昇率は8月+1.3%、9月+1.2%となっています。別の観点から、グラフは省略しますが、9月の前年同月比で見て、ぜいたく品に近い選択的支出に相当する物価上昇が+0.3%であるのに対して、国民生活に必要度合いの高い基礎的支出に相当する物価上昇が+2.1%となっており、また、月間1回程度以上購入する財・サービスの上昇率が+3.1%と月間1回程度未満の+0.8%を上回っており、おそらく、生活実感として物価上昇が統計よりも大きく受け取られている可能性が大きいんではないか、と私は懸念しています。もしそうだと仮定すれば、生活実感の物価上昇の高さに起因して消費が伸び悩む可能性もあります。この懸念を払しょくする必要十分条件は、物価統計とは別の次元ながら、賃金の上昇であることはいうまでもありません。
Entry No.5923  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月18日 (木) 19:56:00

22か月振りに輸出が前年比マイナスを記録した9月の貿易統計について考える!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.2%減の6兆7266億円、輸入額は+17.0%増の6兆5871億円、差引き貿易収支は+1396億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の輸出、22カ月ぶり減 自動車や通信機など振るわず 貿易統計
財務省が18日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1396億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測(中央値は528億円の赤字)に対して3カ月ぶりの黒字となったが、前年同月と比べた黒字額は78.7%減少した。自動車や通信機などが振るわず、輸出が22カ月ぶりに減少した。原油高を背景にした輸入額の増加も続いた。
輸出額は前年同月比1.2%減の6兆7266億円だった。オーストラリア向け自動車や中国向け通信機などのマイナス寄与度が大きかった。米国向けの鉄鋼も大幅に減少した。
輸入額は同7.0%増の6兆5871億円。6カ月連続で増加した。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が伸びた。原粗油の円建て輸入単価は49.7%上昇した。
財務省の担当者は「台風21号による関西国際空港(関空)の閉鎖で貨物輸送に影響が出た」と説明した。同省によると、関空の同月の輸出額は58.0%減の2336億円、輸入額は70.8%減の1061億円だった。
9月の対米国の貿易収支は5903億円の黒字で、黒字額は4.0%減少した。減少は3カ月連続。輸出は建設用・鉱山用機械などが振るわず0.2%減、輸入は原粗油やLNGなどが伸びて3.1%増となった。
対中国の貿易収支は3702億円の赤字だった。輸出は1.7%減と7カ月ぶりに減少した。
9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=111円13銭。前年同月に比べて1.5%円安・ドル高に振れた。
同時に発表した2018年度4~9月の貿易収支は2220億円の黒字だった。ただ、黒字額は前年同期に比べ88.1%減少した。輸出は半導体等製造装置などの伸びで5.2%増、輸入は原油高などを背景に10.0%増となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

photo


引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、輸出額がマイナスで輸入額はプラスながら、差し引きの貿易収支は3か月振りの黒字を記録しています。ただ、上のグラフの下のパネルの季節調整済みの系列で見れば、輸出入ともに前月から減少しているのが見て取れます。もちろん、米中間の貿易摩擦に伴う世界貿易の縮小が早くも我が国の貿易に現れた、というわけでもないんでしょうが、世界的に先進国経済が景気拡大局面の成熟化が進み拡大テンポがかなり低下している、ハッキリいえば、景気後退が近づいている可能性がある、というのは事実なんだろうと受け止めています。そして、その唯一の原因ではないでしょうが、少なくとも、世界的な貿易摩擦が世界景気の下振れリスクをより大きくしているのも事実であろうと考えるべきです。

photo


輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の統計で見て、輸出がほぼ2年振り、すなわち、22か月振りに前年比マイナスを記録しています。先月の貿易統計を取り上げたブログでは「21ヶ月連続で前年比で伸びています」と書いた記憶がありますが、とうとうその連続の伸びも終わったわけです。上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。

photo


最後に、貿易統計ともやや関係して、一昨日10月16日に世界経済フォーラムから 2018 Global Competitiveness Index 4.0 が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされていますが、上の画像はトップ10を世界経済フォーラムのインフォグラフィックスから引用しています。米国、シンガポール、ドイツ、スイスに次いで、我が国は世界競争力ランキングの5位に入っています。
Entry No.5922  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月17日 (水) 19:47:00

ピュー・リサーチによる米国中間選挙前の世論調査結果やいかに?

来月の米国中間選挙 Midterm を前に、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから一昨日10月15日付けで、Little Partisan Agreement on the Pressing Problems Facing the U.S. と題する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。タイトル通りに、トランプ米国大統領の与党共和党と野党民主党の間で、米国の直面する課題に対する合意は余りないようです。以下、ピュー・リサーチのサイトから両党の候補者を明記して比較したグラフをいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから With few exceptions, wide partisan differences over the seriousness of problems facing the United States を引用しています。すなわち、米国の直面する課題のうちで重要と考えるものを上げてあります。上から4項目、すなわち、マイノリティの扱い、気候変動、銃犯罪、貧富の格差、さらに、一番下の違法移民の計5項目で両党の候補者の間で 'very big' problem と考える差が50%超と大きくなっています。もちろん、上の4項目は民主党候補が重要と考える一方で、一番下の違法移民だけは共和党候補の方が重要と捉えています。また、差は大きくないんですが、薬物中毒、連邦政府赤字、テロなどでは共和党候補が民主党候補を上回って重要視しているのが見て取れます。

photo


次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisan differences in self-described identities and affiliations を引用しています。すなわち、候補者自分自身のアイデンティティや所属です。やはり目立つのが、一番上のライフル協会への指示で、共和党候補者が民主党候補者を大きく上回っており、逆に、一番下のフェミニストという点では民主党候補者が共和党候補者を大きく上回っています。米国の伝統的な価値の保有とか典型的米国人と自分自身を位置付けている候補者は、やや共和党が民主党を上回っているものの、いずれも50%を超えていて多数派といえます。他方、既婚者が私の感覚では少ないような気がしますし、典型的米国人はもっと毎週教会に通っているのかと思っていました。

今回の調査結果では、候補者だけでなく両党の支持者の属性などについても分析していて、"Wide education divide among Democratic voters in shares saying it really matters who wins in 2018" すなわち、民主党支持者の間では高学歴になるほど今回の米国中間選挙の重要性が高いと考えている、などの結果が明らかにされています。いつもの通り、経済評論のブログに分類しておきます。
Entry No.5921  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月16日 (火) 21:08:00

ニッセイ基礎研「中期経済見通し (2018-2028年度)」を読む!

先週金曜日の10月12日にニッセイ基礎研から「中期経済見通し (2018~2028 年度)」と題するリポートが明らかにされています。文字通りの約10年間の中期予想なんですが、政府の名目GDP600兆円はやや後ズレしつつも2023年度に達成される一方で、日銀の物価目標である+2%には期間中に到達しない、と示唆しています。まず、やや長くなりますが、リポートから分析結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 2008年秋のリーマン・ショックをきっかけとした世界金融危機が発生してから10年が経過した。先進国のGDPギャップは2018年には10年ぶりにプラスに転じる見込みだが、潜在成長率はリーマン前の水準を回復しておらず、世界経済が完全に復調したとはいえない。
  2. 今後10年間の世界経済は3%台半ばから後半の成長が続くと予想するが、米中貿易戦争が激化し、世界的に保護主義的な政策が広がった場合には、世界経済が大きく落ち込むリスクがある。
  3. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、女性、高齢者の労働力率の上昇、外国人労働力の拡大から労働力人口は増加が続いている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2028年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均と同程度の伸びになると予想する。名目GDPの伸びは平均2.0%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。デフレに戻る可能性は低いが、日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいだろう。


ということで、リポートの全容はほぼ上の要旨に尽くされているんですが、私自身の興味の範囲で、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


まず、リポートから、ヘッドラインとなる実質GDP成長率の推移のグラフを引用すると上の通りです。なお、消費税率については2019年10月に10%に、2025年4月に12%に、それぞれ引き上げられることを想定しています。2012年度と2025年度に小さな成長率の低迷があるのは、前者は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後の反動であり、2025年度は消費税率引き上げの影響です。リポートにも、予測期間である10年間の実質GDPの平均成長率は+1.0%と明記しています。ですから、おおむね潜在成長率に近い水準での実績成長率と私は受け止めています。グラフは引用しないものの、潜在成長率についてもリポートに示されており、足元から予測期間中ほぼほぼ+1%近傍であると見込んでいます。

photo


次に、リポートから、名目GDPと実質GDPの予測のグラフを引用すると上の通りです。名目GDPに着目すると、足元の2018年度から3年間の名目成長率は平均1.8%と見込まれており、10年間の予測期間では名目GDP成長率は平均+2.0%と予想し、名目GDP600兆円の達成は2020年ころという政府目標から2023年度までずれ込むものの、名目GDP600兆円には到達するものと見通しています。まあ、当然です。

photo


他方、日銀物価目標のコアCPI上昇率+2.0%は予測期間内には達成できず、10年間のコア消費者物価上昇率は平均+1.3%を見込んでいます。リポートから、消費者物価(生鮮食品を除く総合)の予測のグラフを引用すると上の通りです。東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年度にはGDPギャップは+1%程度にまで達するものの、その翌年2021年度の反動によるマイナス成長で需給バランスが悪化するという予想となっています。

photo


最後に、リポートから、経常収支の推移のグラフを引用すると上の通りです。これは私の信念みたいなものですが、私は高齢化の進展とともに経常収支は必ず赤字化すると考えています。この私の見方が裏付けられており、来年度の2019年度から貿易収支が赤字化し始め、予測期間終盤2027年度から小幅ながら経常収支は赤字化すると予想しています。

最後に、いつもニッセイ基礎研のリポートと私が意見が合うのは消費低迷の原因であり、今回のリポートでも p.12 の日本経済の見通しの冒頭ページ第3パラで「消費低迷長期化の理由として、家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄が挙げられることも多いが、これは消費停滞の主因ではない。直近(2016年度)の家計の可処分所得は現行のGDP統計で遡ることができる1994年度よりも2.3兆円少ない。一方、2017年度の家計消費支出の水準は1994年度よりも10%以上高く、このことは家計が貯蓄を減らして消費にまわしていることを意味する。消費低迷の主因は可処分所得の伸び悩みにあると考えられる。」と指摘しています。私もまったくその通りだと考えています。
Entry No.5920  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月12日 (金) 21:26:00

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週火曜日10月9日に帝国データバンクから「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。年度上半期の9月までの件数や負債総額などが入手可能となっています。負債総額は減少しているものの、倒産件数は前年同期比+40.7%の大幅増を示し、2年連続で前年同期を上回っており、2013年度の調査開始以降で半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた昨年2017年度(114件)を上回るペースで倒産が発生しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円にのぼった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は27件、「木造建築工事」は26件、「労働者派遣」は21件と続いた
  5. 都道府県別の5年半累計では、「東京都」が62件(2018年度上半期13件、前年同期5件)で突出している


pdfの全文リポートもアップされており、図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


上のグラフは、リポートから人手不足倒産の件数を引用しています。見れば明らかなんですが、2018年度上半期の人手不足倒産は76件発生しており、負債総額は110億42百万円に上っています。この期間で、負債総額は前年同期から▲42.3%の減少を示しているものの、倒産件数は+40.7%の大幅増を記録しています。帝国データバンクでは、2013年度から人手不足倒産の記録を取り始めているんらしいんですが、2018年度上半期までの5年半の期間で、人手不足倒産は累計447件、負債総額は946億95百万円に上っています。

photo


2013年度からの5年半の期間の人手不足倒産を産業別に見ると、累計の最多は建設業で148件、33.1%となっていて、サービス業が132件、29.5%でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めています。上のグラフは、リポートから5年半の期間でのもう少し細かい業種細分類別上位10業種を取り上げています。何となく判る気がするんですが、道路貨物運送が累計で38件で最多となっています。通販市場の拡大などで配送需要が高まる中、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化に陥り、倒産に至ったケースが目立つようです。続いて、老人福祉事業は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から5年半で27件発生しています。

photo


最後に、上のグラフは、リポートから5年半の累計で見た都道府県別の人手不足倒産の件数を示しています。こういった経済事案では規模に連動する場合が多く、東京都がトップなのは当然という気もします。少子高齢化の進行により、人手不足はこの先も一定の期間に渡って継続する可能性が高く、それなりの経営努力が求められるとはいえ、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、人手不足に対応しきれない場合は市場から退出することとなります。すべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
Entry No.5916  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月11日 (木) 20:41:00

高止まりする石油価格の影響で企業物価の国内物価上昇率は+3%が続く!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じかつ3か月連続で同じ上昇率を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 原油相場が上昇
日銀が11日発表した9月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.0となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。伸び率は8月確報から横ばいで、21カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比26.4%上昇した。鉄鋼が同3.9%、金属製品は同3.1%上昇した。
一方、非鉄金属は同1.7%下落した。米中間の貿易摩擦の激化に伴い、需要が押し下げられるとの懸念が背景にある。
今後の企業物価動向については「米中間の貿易摩擦に収束の兆しが見えず、需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。


続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は9月統計でも7~8月と同じ+3.0%でした。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。例えば、上のグラフのうち一番下のパネルではPPIのコンポーネントである輸入物価の原油価格の指数と前年同月比上昇率をプロットしていて、指数も上昇率も直近では7月がピークだったんですが、まだ9月統計で指数と上昇率ともに高止まりしているのが現状です。ごく一般的にいってながら、PPIは消費者物価(CPI)よりも国際的な動向の影響を強く受けますので、国際商品市況を別にしても、引用した記事にもある通り、米中間の貿易摩擦をはじめとする貿易動向の影響が価格面でどのように現れるのか、やや気がかりです。貿易摩擦の影響については、関税を引き上げた当該国ではその輸入品が当然に国内で価格が上昇する一方で、当該国以外では需給が緩んで価格下落につながる可能性が高いと私は考えていますが、加えて、先日取り上げた国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し」で指摘しているように、貿易摩擦の激化は世界全体の成長率を下振れさせる可能性が高く、その面から需給関係を緩和させてさらに価格下落の方向に圧力がかかる可能性がありますし、もちろん、個別の国によっては、貿易構造や産業構造などに起因して、いろいろと複雑な要素があります。
Entry No.5914  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月10日 (水) 19:43:00

2か月連続で増加した機械受注は基調判断を上方改定!

本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比で見て、7月+11.0%の大幅増に続いて、8月も+6.8%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、8月6.8%増 基調判断「持ち直しの動き」
市場予想上回る

内閣府が10日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.8%増の9815億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4.2%減だった。
うち製造業は6.6%増、非製造業は6.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は12.6%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは7月の2ケタ増の反動減を織り込んで、8月は▲4.2%減と見込んでいたんですが、実績では逆に+6.8%増とかなりの伸びを示しており、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」を削除して「持ち直しの動き」に半ノッチ上方改定しています。基調判断のかいていは4か月振りだそうです。産業別に見て詳細はともかく、大くくりで、7月のコア機械受注2ケタ増のうち、製造業・非製造業とも2ケタ増を示し、加えて、8月の+6.8%増も製造業・非製造業とも+6%増ですから、決して、特殊要因による一時的な増加などの偏った受注増との印象はありません。また、7~9月期の見通しは前期比▲0.3%の見込みとなっているんですが、一定の反動減が予想される9月統計が前月比▲20%を超えるくらいの減少であってもこの見込みを超える計算になり、達成はほぼ確実な状況となっています。基本的に、日銀短観の設備投資計画に見られるように、人手不足などを背景に企業の設備投資の意欲は旺盛であり、機械受注統計のクセとして単月で振れの激しい点を差し引けば、引き続き、機械受注は緩やかながら増加のトレンドにあるものと私は考えています。
Entry No.5913  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月09日 (火) 23:22:00

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し」は貿易摩擦により成長率を下方修

今週末からインドネシアのバリ島で開催されるIMF世銀総会を前に、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook, October 2018 が公表されています。pdfの全文リポートもアップされています。今年2018年の世界経済の成長率は、7月の「世界経済見通し改定」から▲0.2%ポイント下方修正して+3.7%と見込んでいます。

photo


まず、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。なお、上の画像をクリックすると、別タブでリポート pp.14-15 の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したファイルが開きます。ということで、Exective Summary の書き出しは、"The steady expansion under way since mid-2016 continues, with global growth for 2018-19 projected to remain at its 2017 level. At the same time, however, the expansion has become less balanced and may have peaked in some major economies." となっていて、景気局面が成熟化からピークアウトに達しつつある可能性を示唆しています。成長率見通しについては、繰り返しになりますが、世界経済の成長率については、4月の「世界経済見通し」、7月の「世界経済見通し改定」でも、2018年、2019年ともに+3.9%から、今回の最新見通しでは▲0.2%ポイント下方修正されて、+3.7%と見込まれています。米中間の貿易摩擦の影響により成長率が下振れすると見込まれています。他方、我が国成長率については、今年2018年は4月時点の+1.2%が、7月には+1.0%に下方修正された後、今回の10月見通しでは+1.1%に上方修正されています。ついでながら、2来年2019年の我が国の成長率見通しは一貫して+0.9%と見込まれています。今年よりも低下するのは、2019年10月からの消費増税を織り込んでいるからです。

photo


さて、世界経済の成長率が下方修正された主因は、米中間の貿易摩擦の激化なんですが、貿易摩擦を5つのシナリオ別に実質GDPの乖離により計測した結果が上のグラフの通りです。リポート p.35 Scenario Figure 1. Real GDP in Trade Tensions Scenario を引用しています。黄色い自動車などの関税引き上げあたりからは、ほぼ、どの国も得をしない、ということになりそうなのですが、さすがに、米中両国では中国のダメージの方が大きく、また、米国よりもNAFTAメンバーのダメージの方が大きくなりそうな試算です。我が国と欧州は世界全体と大きな差はなさそうにも見えます。

photo


内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下して48.6を、先行き判断DIも▲0.1ポイント低下して51.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8384億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。
Entry No.5912  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月06日 (土) 08:21:00

米国雇用統計で雇用者増は鈍るも失業率は半世紀ぶりの低水準を記録!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+134千人増と、市場の事前コンセンサスだった+180千人の増加という予想を大きく下回って伸びが鈍化した一方で、失業率は前月とからさらに低下して3.7%となり、1969年12月の3.5%以来、約半世紀ぶりの低い水準を記録しました。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added 134,000 jobs in September, unemployment falls to nearly 50-year low
Unemployment fell to a nearly 50-year low in September even as employers added a disappointing 134,000 jobs amid increasing worker shortages and possible effects from Hurricane Florence.
The unemployment rate fell from 3.9 percent to 3.7 percent, lowest since December 1969, the Labor Department said Friday. The rate is calculated from a separate survey of households than the job growth figure.
Economists had estimated 185,000 new jobs were created last month, according to a Bloomberg survey.
Goldman Sachs expected the hurricane to reduce employment by 33,000 in the Carolinas. But Morgan Stanley said the storm likely affected too limited of an area and struck too late during the week of Labor's survey to have a meaningful impact. Workers are counted as employed as long as they show up for any part of their pay period.
Yet employment in leisure and hospitality, which includes hotels and restaurants, fell 17,000 last month, suggesting the storm was a factor.
"The headline payroll number is a weather story," Ian Shepherdson, chief economist of Pantheon Macroeconomics, wrote in a note to clients.
The number of workers across the country who stayed home because of weather increased by 276,000 last month on a non-seasonally adjusted basis, compared to a median 7,000 rise over the past 10 September jobs report, says Jim O'Sullivan, chief US economist of High Frequency Economics.
Still another wrinkle is that Labor tends to undercount September employment in its initial estimate and revise it up later, O'Sullivan says.
On the positive side, payroll increases for July and August were revised by a total 87,000. July's gain was raised from 147,000 to 165,000 and August's from 201,000 to 270,000. That largely offsets the weak September showing.
Meanwhile, the labor market faces other challenges. Businesses are having a harder time finding qualified job candidates. Many analysts expect the crunch to slow hiring in the months ahead despite strong economic growth.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

photo


繰り返しになりますが、9月の米国非農業部門雇用者増は8月の+270千人増から大きく鈍化して+134千人増にとどまった一方で、失業率は8月の3.9%からさらに低下して3.7%と約半世紀振りの低い水準を記録しています。雇用者増の鈍化と失業率の低下は一見して非整合的な動きなんですが、ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的といえます。そして、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。もちろん、個人消費支出(PCE)デフレータは8月に前年同月比+2.2%まで上昇幅を拡大しており、物価上昇圧力も増しています。

photo


最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げを継続して対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。
Entry No.5909  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月05日 (金) 23:38:00

改善が続く景気動向指数と13か月連続の賃金上昇が続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.5ポイント上昇して104.4を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇して117.5を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%増の27万6366円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 自動車出荷など改善
内閣府が5日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント上昇の117.5だった。上昇は4カ月ぶり。自動車や半導体製造装置の出荷が改善した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列のうち5系列が指数を押し上げた。耐久財消費財出荷指数が乗用車と二輪車の改善で上昇した。投資財出荷指数も半導体製造装置の好調を背景にプラスに寄与した。小売業の商業販売額も猛暑の影響でコンビニエンスストアの飲食料品を中心に増加した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は23カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.5ポイント上昇の104.4と3カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント上昇の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
8月の名目賃金、前年比0.9%増 増加は13カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が5日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、8月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万6366円だった。増加は13カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.4%増の24万3809円だった。残業代など所定外給与は1.0%増。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.4%減だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.6%減だった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1137円。パートタイム労働者比率は横ばいの30.70%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています

photo


CI先行指数は3か月振りの上昇、CI一致指数も4か月振りの上昇を示し、CI一致指数は3か月後方移動平均、7か月後方移動平均とも前月のマイナスから上昇に転じています。従って、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正される条件は、かなり機械的ながら、3か月後方移動平均の符号がマイナスかつマイナス幅が1か月、2か月、3か月の累積で1標準偏差以上ということですので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いており、23か月連続の「改善」となっています。なお、CI一致指数のうち、プラス寄与は大きい順に、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)となっており、逆に、マイナス寄与の絶対値が大きい順に並べると、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が上げられています。また、CI先行指数でプラし寄与が大きいのは最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数です。景気動向指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、いずれにせよ、景気拡大は5年半を超えて6年に近づきつつあり、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。

photo


続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、9月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて日を改めてアップしたいと思います。
Entry No.5908  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月04日 (木) 19:42:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」分析編を読む!!

昨日、国際通貨基金(IMF)から来週のIMF世銀総会に向けて、「世界経済見通し」分析編 World Economic Outlook, October 2018: Analytical Chapters が公表されています。少し長くなりますが、章ごとのタイトルとサマリーを IMF のサイトから引用すると以下の通りです。

Chapter 2: The Global Recovery 10 Years after the 2008 Financial Meltdown
This chapter takes stock of the global economic recovery a decade after the 2008 financial crisis. Output losses after the crisis appear to be persistent, irrespective of whether a country suffered a banking crisis in 2007-08. Sluggish investment was a key channel through which these losses registered, accompanied by long-lasting capital and total factor productivity shortfalls relative to precrisis trends. Policy choices preceding the crisis and in its immediate aftermath influenced postcrisis variation in output. Underscoring the importance of macroprudential policies and effective supervision, countries with greater financial vulnerabilities in the precrisis years suffered larger output losses after the crisis. Countries with stronger precrisis fiscal positions and those with more flexible exchange rate regimes experienced smaller losses. Unprecedented and exceptional policy actions taken after the crisis helped mitigate countries’ postcrisis output losses.
Chapter 3: Challenges for Monetary Policy in Emerging Economies as Global Financial Conditions Normalize
Inflation in emerging market and developing economies since the mid-2000s has, on average, been low and stable. This chapter investigates whether these recent gains in inflation performance are sustainable as global financial conditions normalize. The findings are as follows: first, despite the overall stability, sizable heterogeneity in inflation performance and in variability of longer-term inflation expectations remains among emerging markets. Second, changes in longer-term inflation expectations are the main determinant of inflation, while external conditions play a more limited role, suggesting that domestic, not global, factors are the main contributor to the recent gains in inflation performance. Third, further improvements in the extent of anchoring of inflation expectations can significantly improve economic resilience to adverse external shocks in emerging markets. Anchoring reduces inflation persistence and limits the pass-through of currency depreciations to domestic prices, allowing monetary policy to focus more on smoothing fluctuations in output.


お手も長くなりましたので、これだけでもういいんではないかという気もしますが、国際機関のリポートに注目するのはこのブログの特徴のひとつでもありますし、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo


この第2章では、リーマン・ショック後の10年を振り返って、直後の景気後退 Great Recession が現時点まで継続的な影響を有している、と指摘しています。すなわち、1982年の世界的な景気後退の際には、購買力平価で換算して世界GDP46パーセントを占める48国が景気後退によるGDPの低下を経験したのに対して、2008年のリーマン・ショック後の2009年には世界経済の⅔に当たる91国がGDPを減少させた、としています。上のグラフはリポート p.73 から Figure 2.1. Correlation of GDP Deviations between Periods (Percent) を引用しています。景気後退直後と現時点に近い期間でのGDPの乖離がの相関係数が0.9ほどですので、ほぼ一致しているといえます。要するに、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ国は今でも落ちたまま回復し切れていない、ということになります。

photo


第3章では、2000年代半ばまでのディスインフレ期を経て、現在の米国金利引上げに象徴されるような金融政策の正常化が進んでいる時期に、インフレの落ち着きのサステイナビリティを検証しています。長期的なインフレ期待が実際の各国のインフレ率のバラツキにつながる一方で、インフレ率が落ち着いたままの水準を続け、為替のパススルーが限定的であれば、金融政策はマクロ経済の安定化政策に割り当てる余地が出来る、と指摘しています。なお、上のグラフはリポート p.73 から Figure 3.1. Headline Consumer Price Index Inflation (Percent) を引用しています。2004年でディスインフレが終了し、その後、直近の2015年以降では、新興国が引き続きディスインフレが継続している一方で、先進国が少しずつジワジワとインフレ率を上昇させていて、金融政策の正常化を進める必要性が大きくなったのが見て取れます。
Entry No.5906  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月03日 (水) 20:11:00

楽天インサイト「副業に関する調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週9月27日に、楽天インサイトから「副業に関する調査」の結果が明らかにされています。私は公務員なので副業は原則として許されていないんですが、この調査結果では、有職者の約3割が副業経験あり、副業未経験者の約4割が今後副業をする意向、という結果が示されていたりします。

photo


まず、グラフは引用しませんが、副業経験については、「現在副業をしている」と回答した人は14.1%、「過去に副業をしたことがある」は16.6%、「副業をしたことがない」は69.3%となり、現在と過去で約3割が副業を経験したことがあるという結果になっています。その上で、上のグラフは副業内容の回答結果を楽天インサイトのサイトから引用しています。「投資(株式、不動産、仮想通貨など)」(13.5%)と回答した人が最も多く、次いで「接客・販売」(9.9%)、「不動産運用」(9.2%)、「ネットオークション・フリマアプリによる販売」(9.2%)が多くなっています。また、これもグラフは引用しませんが、現在副業をしている人に、副業をしている理由を聞いたところ、「給料が足りないため」(47.5%)と回答した人がもっとも多いとの結果に続いて、「趣味、生きがいのため」(36.9%)、「仕事がなくなったときの保険のため」(17.7%)となっています。加えて、会社の人(同僚・上司・人事)が副業をしていることを知っているかどうかについては、「知っている」が54.6%と過半に上っています。公務員の私にはちょっとびっくりです。

photo


最後に、上のグラフは現在副業をしていない理由楽天インサイトのサイトから引用しています。「体力的に余裕がないから」、「時間がないから」、「やりたい副業がないから」、「会社で禁止されているから」などが上げられています。私はどれにも当てはまるような気がします。ただし、もう半年足らずで定年退職ですから、一気に収入ゼロに陥ることは避けたく、そろそろ年明けくらいになったら、副業ならぬ次の働き口を探し始めたいとは考えています。
Entry No.5905  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月02日 (火) 23:19:00

4か月振りに上昇した消費者態度指数は反転したと考えるべきか?

本日、内閣府から9月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.1ポイント上昇して43.4を示しています。4か月ぶりに前月を上回っています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の消費者態度指数、4カ月ぶり改善 基調判断据え置き
内閣府が2日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比0.1ポイント上昇の43.4と4カ月ぶりに上昇した。「耐久消費財の買い時判断」に関する指標が改善した。内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「耐久消費財の買い時判断」が42.4と前月比0.4ポイント上昇した。新型「iPhone(アイフォーン)」の発売が影響したとみられる。「収入の増え方」も41.9と0.1ポイント上昇した。
一方、「暮らし向き」の指標は41.5と0.2ポイント低下した。地震や台風の被害があった北海道や近畿で悪化が目立った。
「雇用環境」は横ばいの47.7だった。消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は0.8ポイント高い43.4となった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.1ポイント高い81.7だった。「低下する」は0.2ポイント高い3.4%、「変わらない」は0.7ポイント低い12.2%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は9月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6130世帯、回答率は73.0%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、、「耐久消費財の買い時判断」が+0.4ポイント上昇し42.4、「収入の増え方」が+0.1ポイント上昇し41.9 となった一方で、「暮らし向き」が▲0.2ポイント低下し41.5、「雇用環境」が変わらず47.7となっています。最近半年余りの動向でも、直近のピークは昨年2017年11月から今年2018年1月の3か月連続で44.6で横ばいを示した後、先月まで緩やかに低下した後、9月はわずかながら上昇したものの、最近までの低下傾向が反転したのかどうかは現時点では何ともいえない気がします。9月調査の日銀短観に反映された企業マインドは、ヘッドラインの大企業製造業で見る限り、3四半期連続で下げているのは昨日取り上げたばかりです。ということで、直近の消費者マインドの低下については、西日本豪雨といった災害の影響も反映しているんでしょうが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では9月の消費者マインドの基調判断を「弱い動きがみられる」と、8月統計の公表時に半ノッチ下方修正したままで据え置いています。
Entry No.5904  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年10月01日 (月) 21:29:00

3四半期連続で大企業製造業の業況判断DIが悪化した9月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から9月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは6月調査から▲2ポイント低下して+19を記録した一方で、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+8.5%の増加と6月調査の+7.9%の増加からさらに上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業・製造業の景況感3期連続悪化 日銀短観
日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス19だった。前回6月調査のプラス21から2ポイント悪化した。悪化は3四半期連続だった。3四半期連続の悪化は、2007年12月調査から09年3月調査までの6四半期連続の悪化以来となる。台風21号や北海道地震など相次いだ自然災害や、原材料価格の上昇などが業況感を下押しした。石油・石炭製品や窯業・土石製品、繊維などの悪化が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス21を下回った。回答期間は8月27日~9月28日で、回収基準日は9月10日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と横ばいの見通し。市場予想の中央値(プラス20)を下回った。先行きについては米国と主要国との貿易摩擦が激化するとの懸念が根強く、生産用機械などに慎重な雰囲気が残っている。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=107円40銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス22と前回を2ポイント下回った。業況感の悪化は16年9月調査以来8四半期ぶり。台風や地震など自然災害の影響と、それを背景とした国内外の旅行客の減少、人手不足による人件費の上昇などコスト増が逆風となった。3カ月先のDIは横ばいのプラス22だった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回(マイナス21)から一段と低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。1992年調査(マイナス24)以来およそ26年ぶりのマイナス幅だった。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比13.4%増と、市場予想の中央値(14.2%増)を下回ったものの、6月調査からの修正率は小幅にとどまった。収益の増加傾向を受けた企業の設備投資意欲は強く、人手不足を背景にした省力化投資の需要も追い風となった。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

photo


9月調査の日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIについて、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+21でしたので、やや下振れしたんですが、主因は石油価格の上昇ないし高止まりではないか、と私は考えています。というのは、大企業製造業を業種別に見て、6月調査から9月調査への悪化幅が大きい順に並べると、石油・石炭製品▲11ポイント、窯業土石製品▲11ポイント、繊維も同じく▲11ポイント、非鉄金属▲8ポイントなどとなっており、加工業種が6月調査から9月調査へ変化なしの保合いなのに対して、素材産業が▲6ポイントの悪化を示しています。大企業レベルでは、電気機械と自動車という我が国主力産業がともに9月調では6月調査から+1ポイントの業況感改善を示していたりします。他方、非製造業では典型的に地震や豪雨などの自然災害の影響が出やすい産業で悪化が大きくなっています。すなわち、物品賃貸▲9ポイント、電気・ガス▲6ポイント、不動産と対事業所サービスがともに▲5ポイントなどです。先週9月27日に取り上げたニッセイ基礎研のリポートでは、「9月に発生した自然災害による景況感への下押し圧力も限定的」とのことだったんですが、その前の西日本豪雨はそれなりのインパクトあったかもしれません。もちろん、米中間の貿易摩擦を含めて世界経済の先行きの減速懸念というのが製造業・非製造業の景況感悪化の背景にあるんでしょうが、それ以上に、というか、市場の事前コンセンサス以上に日銀短観の景況感が悪化したのは石油価格の高騰である可能性を指摘しておきたいと思います。

photo


続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画は9月調査では実施されていませんが、各種報道によれば、あるいは、本日の内定式に行って来た我が家の上の倅に聞いても、就活は売り手市場が続くようです。

photo



最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まった後、6月調査では+7.9%増に大きく上方改定され、9月調査ではさらに+8.5%まで高まっています。上のグラフを見ても判る通り、9月調査の設備投資計画の伸び率はこのところはせいぜい+6%強くらいでしたので、今年2018年度の設備投資計画はかなり高い伸びを見込んでいると考えるべきであり、特に、別の日経の記事では、「貿易戦争の影響で設備投資を具体的に先送りしたという事例はほとんどない」との日銀の発言を引用しており、もともと、企業の手元にあるキャッシュフローは潤沢な上に、失業率が2%台前半まで低下した人手不足へ対応した合理化・省力化投資需要の高まり、加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、今年度2018年度の設備投資は期待してよさそうです。
Entry No.5903  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年09月28日 (金) 23:42:00

ようやく4か月振りの増産となった鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計と雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲0.1%の減産を示し、小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.5%増の12兆4140億円となり、失業率は前月から▲0.1%ポイント上昇したものの、依然として2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに0.01ポイント上昇して1.63倍と、これまた、高い倍率を続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、0.7%上昇 基調判断は据え置き
経済産業省が28日発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて0.7%上昇し、103.0だった。上昇は4カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.5%上昇)を下回った。経産省は8月の生産の基調判断を「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に据え置いた。
生産指数は15業種のうち10業種が前月から上昇した。輸送機械工業は前月比5.2%増。はん用・生産用・業務用機械工業は5.6%増だった。一方、低下は5業種だった。電子部品・デバイス工業は8.8%減となった。上昇した業種が多いものの、「8月初旬段階の生産計画値から下方修正となり、当時想定された伸びを下回った」(経産省)。
出荷指数は前月比2.1%上昇し101.9。在庫指数は0.4%低下の110.7、在庫率指数は2.2%低下の114.4だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた9月の製造工業生産予測指数は前月比2.7%の上昇となった。10月の予測指数は1.7%上昇だった。
8月の小売販売額、2.7%増 石油製品の価格上昇
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、8月の小売販売額は前年同月比2.7%増の11兆8120億円だった。前年実績を上回るのは10カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が15.4%増と伸びが目立った。原油高を背景に石油製品の価格が上昇した。飲食料品小売業は2.8%増。野菜の価格高騰が影響した。一方、機械器具小売業は1.1%減。デジタルカメラやテレビが不調だった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.6%増の1兆5750億円だった。既存店ベースは0.1%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.2%増の1兆745億円だった。
8月の完全失業率2.4% 男性が改善で3カ月ぶり低下
総務省が28日発表した8月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月比0.1ポイント低下した。男性の完全失業者数の減少が寄与し、3カ月ぶりに低下した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.5%だった。
完全失業率を男女別にみると、男性が2.5%と前月比0.2ポイント低下した。女性は前月と同水準の2.3%だった。
完全失業者数(季節調整値)は167万人と前月比5万人減少した。男性は6万人減、女性は1万人増だった。自己都合による「自発的な離職」は2万人減で、勤め先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は前月と同数だった。
就業者数(季節調整値)は26万人増の6662万人だった。非労働力人口は24万人減の4259万人となった。
総務省は雇用動向について「着実に改善している」との見方を示した。
有効求人倍率1.63倍 8月、求職者減り高水準維持
厚生労働省が28日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍だった。1974年1月(1.64倍)以来の高水準だった。求人が増えた一方で、堅調な雇用環境から求職者が減った。QUICKがまとめた市場予想の平均の中心値(1.63倍)と同じだった。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.34倍と前月比0.08ポイント低下した。
企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、運輸業と郵便業が前年同月比8.0%増えた。製造業は5.9%増となった。一方、教育・学習支援業は5.6%減った。
正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月と同水準だった。調査開始(2004年11月)以来最高の水準を維持している。


いくつかの統計を並べましたので、とても長くなってしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

photo


季節調整済みの生産指数の前月比で見て、ようやく4か月ぶりに前月比プラスの増産を記録しましたが、5月▲0.2%減、6月は西日本豪雨でやっぱり▲1.8%減、7月も▲0.2%減と来ての8月+0.7%増ですから、かなり力強さに欠けるとの見方も仕方ないという気がします。国内にあっては天候不順・気象災害や地震、海外での先進国景気のスローダウンなど、国内の設備投資を除いて需要要因としては悪条件が続いている気がします。さらに、先行きについても製造工業生産予測調査に従えば、9月は+2.7%、10月も+1.7%との増産が続くとの結果とはいえ、上振れバイアスの大きい予測指数ですので、試算値としては9月+0.2%増との結果が示されています。7~9が月の生産がマイナスとの予想がもっぱらです。加えて、本格化し始めた米中の関税率引き上げによる貿易戦争の影響も来年あたりから出始めるとすれば、景気は成熟化局面からさらに反転する可能性も出てきます。来年は10月に消費税率引き上げが予定されており、その直前に駆け込み需要があることはかなり確実で、消費税率引き上げとともに景気後退局面入りという可能性も十分に考えられるシナリオのような気がします。

photo


続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。ということで、消費の代理変数である小売販売額は増加が続いています。季節調整していない前年同月比で+2.7%増、季節調整済み指数の前月比で+0.9%増です。もちろん、増加寄与の一部は価格による名目値の上昇であり、これは国際商品市況における石油価格の上昇に起因します。典型的には、燃料小売業の前年同月比+15.4%増が上げられます。しかし、グラフなどは引用しませんが、本日、総務省統計局から公表された東京都区部の9月中旬速報による消費者物価(CPI)のうちの生鮮食品を除くコアCPI上昇率が+1.0%でしたので、ベースが異なるとはいえ、商業販売統計の小売販売額から見て実質の消費もプラスであろうことが強く推察されます。

photo


続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同じ1.13倍と1倍を超えて推移しています。単なる偶然でしょうが、失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月と同じ結果となり、一見して雇用の改善がストップしたかの誤解を生みかねませんが、これだけ人で不足の高水準が続いているんですから、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
Entry No.5900  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年09月27日 (木) 19:33:00

9月調査の日銀短観予想に見る設備投資計画は空前の伸び率か?

来週10月1日の公表を前に、シンクタンクなどから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2018年度の設備投資計画に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+21
+24
<+7.9%>
n.a.
日本総研+22
+24
<+10.3%>
大企業・製造業は、前回調査対比+1.8%ポイントの上方修正を予想。企業収益の拡大を背景に、例年に比べやや強めの足取りとなる見込み。大企業・非製造業は同+1.2%ポイントと、上方修正を予想。都心部での再開発事業や宿泊施設などの建設投資が引き続き堅調に推移する見込み。
一方、中小企業は、全産業ベースで前年度比▲4.9%と、前回調査対比+7.9%ポイントの上方修正を予想。キャッシュフローが潤沢ななか、老朽化した既存設備の維持・更新投資、人手不足を背景とした合理化・省力化投資の需要が下支えとなり、例年の足取りに沿った推移となる見込み。
総じて先行きの設備投資は堅調を維持する見通し。海外情勢の不透明感が重石となるものの、底堅い設備投資需要を背景に、例年に比べやや強めの足取りとなる見通し。
大和総研+21
+22
<+8.8%>
大企業全産業は前年度比+13.6%と、前回(同+13.6%)から横ばいになると見込む。前回調査において、製造業と非製造業がともに過去の修正パターンを大きく上回ったことから、今回は例年の修正パターンより弱くなると予想した。高水準の企業収益を背景に、更新・改修投資、合理化・省力化投資、新製品の能力増強投資が計画されているとみられる。さらに、例年の修正パターンに比べて、「不動産」「運輸・郵便」「宿泊・飲食サービス」の計画が強かったことから、物流拠点、オフィス、宿泊施設の建設などが計画されている可能性も指摘できる。
中小企業全産業は前年度比▲7.5%となり、業種別には、製造業が同+9.2%、非製造業が同▲15.5%になると予想した。製造業の前年度比の水準は例年の修正パターンより高く、引き続き強気の見通しが維持される見込みだ。非製造業では、大幅なマイナスが続いているが、これは例年の修正パターン並みの結果であり、現在のところ懸念する必要はないと考える。
みずほ総研+21
+23
<+10.9%>
製造業については、全体的にIoT化や人手不足への対応が設備投資を押し上げよう。また、自動化運転など、業種ごとに前向きな投資がみられることもプラスになると考えられる。
非製造業は、製造業と同様に人手不足を背景とした自動化・省力化投資需要が高まっていることに加え、オリンピック・都市関連開発の建設投資やインバウンド対応投資が引き続き行われていくだろう。
ニッセイ基礎研+22
+22
<+10.5%>
今回の短観で最も注目されるテーマは「設備投資の強さは維持されるか」という点だ。既述の通り、前回6月調査時点では、今年度設備投資計画において極めて高い伸び率が示されていた。前回調査時点でも既に貿易摩擦激化への懸念が燻っていたが、堅調な内外経済動向や企業収益増加による投資余力改善、人手不足という追い風の影響が勝ったためと考えられる。米トランプ政権の強硬な交渉姿勢によって、その後も貿易摩擦はエスカレートする方向にあるが、引き続き例年の同時期と比べて遜色ない上方修正が行われるかが焦点となる。
既述のとおり、例年以上の上方修正が予想されるが、もしも、それに反して抑制的な結果となれば、貿易摩擦激化への懸念から、企業の間で設備投資計画に様子見や先送りの動きが出始めている可能性を示唆することになるだろう。
第一生命経済研+22
+22
<大企業製造業+18.0%>
9月短観でも、中小企業の設備投資はマイナス計画の上積みが続くだろう。大企業も、経常利益計画が上方修正されるのを受けて、高めの計画が維持されるだろう。短観では、そうした前向きの変化を確認することも大きな役割となる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+23
+22
<大企業全産業+13.8%>
2018年度の大企業の設備投資計画は、9月調査時点では例年大きく見直されることはないため、今回も6月調査並みの高い計画となる見込みである。企業の設備投資意欲の強さが維持されていることを確認することになろう。
製造業では前年比+17.0%、非製造業では同+12.0%と、いずれも2ケタの増加計画が示されると予想する。製造業では、人手不足への対応や生産性向上のための投資に対するニーズが強いうえ、足元では能力増強のための投資も増えつつあると考えられる。非製造業でも、人手不足への対応のための情報化投資の増加や、東京オリンピック関連のインフラ投資への需要の高まりが押上げ要因になると考えられる。
三菱総研+21
+23
<+10.1%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+10.1%と予測する。生産性向上を目的とする情報化関連投資に加え、老朽化する設備の維持・更新投資、人手不足の深刻化を背景とする自動化・省力化投資などへのニーズの高まりが、企業の設備投資計画の押し上げ要因となろう。
富士通総研+21
+23
<+9.1%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比9.1%と、6月調査から上方修正されると見込まれる。高水準の企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。景気拡大長期化に伴い、能力増強投資が行われているほか、人手不足を補う省力化投資に対する企業の意欲も衰えていない。また、IoT関連の投資拡大も顕著になっている。2018年度の設備投資計画は、大企業を中心に6月調査で過去の平均を大幅に上回ったが、9月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。


ということで、私が他も含めて拝見した範囲で、大雑把に、大企業製造業については業況判断DIが上向く可能性がある一方で、逆に、大企業非製造業は悪化する可能性を示唆するリポートも少なくない印象でした。最大公約数的には、製造業が海外経済、特に、米国経済の堅調さを背景にした輸出の伸びと企業収益に支えられた設備投資に基づく拡大を期待できる一方で、非製造業については天候不順や大阪北部地震によるインバウンド消費の伸び悩み、人手不足に起因するコストアップによりやや業況感を悪化させている可能性があります。ただ、上のテーブルを見ても判る通り、各シンクタンクとも業況感は大企業においては製造業・非製造業とも6月調査から大きな変化はない上に、20を超える高い水準にあると見込んでいます。
加えて、設備投資計画は全規模全産業で+10%増の2ケタ増を予想する向きもあり、ほぼ空前の計画ではないかと私は思います。私の手元には2007年3月調査以来の設備投資計画を残してあるんですが、リーマン・ショック後の2009年度がマイナスの2ケタ減の計画となっているほか、ここ10年余りで設備投資計画が2ケタ増になったことはありません。でも、ヘッドラインとして引用したニッセイ基礎研のリポートにあるように、「例年以上の上方修正が予想されるが、もしも、それに反して抑制的な結果となれば」というのも気にかかるところです。ただ、北海道地震などの自然災害も懸念されるものの、大きな下振れ材料にはならない可能性があるようで、すなわち、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用していますが、上のパネルはフツーに業況判断DIの推移を示している一方で、下のパネルは東日本大震災直後の業況判断D.I.をプロットしており、回収された時期について地震発生前後で分割して集計した場合でも、足元の景況感下振れは限定的であった、と結論しています。

photo
Entry No.5898  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年09月26日 (水) 19:28:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフの賃金動向やいかに?

明後日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の8月の調査結果を見ておきたいと思います。

photo


ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+2.4%、25円増加の1,039円となり、職種別では、「販売・サービス系」前年同月比+3.1%、「製造・物流・清掃系」+2.9%、「フード系」+2.8%など全職種で前年同月比プラスなど、全職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、一時期は前年同月比マイナスを記録する月もありましたが、最近では2017年9月から12か月連続でプラスを続けていて、8月は+15円、+0.9%増の1,643円に達しています。最近では、人材確保のために正社員の求人も増加し、正社員有効求人倍率が1倍を超えているんですが、ご同様に、パート・アルバイトや派遣スタッフの求人も堅調と考えてよさそうです。
Entry No.5896  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年09月25日 (火) 21:19:00

企業向けサービス物価(SPPI)上昇率はやや加速して+1.3%に到達!!

本日、日銀から8月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。いずれも統計です。前年同月比上昇率でSPPI上昇率は前月と同じから少し加速して+1.3%を示しています。国際運輸を除く、コアSPPIの上昇率も+1.2%とやや上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前年比1.3%上昇 人件費上昇や広告の伸びで
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.9で、前年同月比1.3%の上昇となった。伸び率は7月の1.1%から拡大し、消費増税の影響を受けた時期を除くと、1992年12月(1.3%上昇)以来、25年8カ月ぶりの高い伸び率だった。人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが続き、特にシステム関連の人材不足が顕著だった。指数が上昇するのは62カ月連続となった。指数は前月比では変わらずだった。
職業紹介サービスや労働者派遣サービスなどで高い伸びが続いた。新聞広告は前年同月比9.7%上昇(7月は5.7%上昇)、雑誌広告は4.3%上昇(同1.1%上昇)と上げ幅を拡大した。一時的に出稿意欲が回復したことに加え、紙面あたり単価の上昇が寄与した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは84品目、下落は26品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は58品目で前月の57品目から拡大した。差し引きでのプラスは21カ月連続となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo


引用した記事にもある通り、SPPIは62か月連続の前年比プラスを示し、さらに前月統計からも上昇率がわずかながら加速しています。7月統計では前年同月比で+1.1%の上昇率に対して、8月統計では+1.3%ですから、この+0.2%ポイントの上昇幅の拡大に対して、寄与したのが広告、情報通信、不動産です。広告は新聞広告・テレビ広告・雑誌広告の3つの小分類がすべてプラス寄与となり、合計で+0.05%ポイントの寄与を示し、情報通信でもソフトウェア開発など+0.02%ポイントの寄与、不動産も事務所賃貸など+0.02%ポイントの寄与でした。他方、土木建築サービスなどの諸サービスは▲0.02%ポイントのマイナス寄与を示しています。ですから、8月統計単月の特徴ながら、引用した記事のタイトルとは少し実感が異なり、景気敏感サービスについては前年同月比でプラス寄与を示し、人件費が上昇しているといわれているサービスでマイナス寄与となっています。もっとも、土木建築サービスについては、前年比前月差寄与でマイナスを示しているだけであり、7月統計での+3.6%の前年同月比上昇率から8月には+3.0%にやや上昇幅を縮小したとはいえ、引き続き高い上昇率を記録していることは変わりありません。

別件ですが、10月のIMF世銀総会を前に、IMF「世界経済見通し」World Ecocnomic Outlook の分析編 Analytical Chapters が10月3日に公表とアナウンスされています。章別タイトルは以下のようになっており、リーマン・ショック後の10年を振り返る、及び、米国利上げなどを背景に金融正常化の時期における新興国金融政策のあり方、となっています。また、利用可能になった時点で、日を改めて取り上げたいと思います。
Ch 2
The Global Recovery 10 Years after the 2008 Financial Meltdown
Ch 3
Challenges for Monetary Policy in Emerging Economies as Global Financial Conditions Normalize
Entry No.5895  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑

2018年09月23日 (日) 15:27:00

クラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」やいかに?

photo


例年通り、10月上旬はノーベル賞ウィークとなります。ノーベル財団のサイトには以下の発表予定が明らかにされています。
10月1日
医学生理学賞
10月2日
物理学賞
10月3日
化学賞
10月5日
平和賞
10月8日
経済学賞


例年は木曜日が文学賞の公表なんですが、今年についてはご存じの通り、来年2019年に今年の授賞者も含めて公表される運びとなっています。
ということで、ノーベル賞の科学部門、すなわち、医学生理学賞、物理学賞、化学賞、経済学賞の4部門に相当するクラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」が9月20日に明らかにされています。経済学賞については、以下の3組5人が受賞の栄誉に浴しています。

  • Manuel Arellano, CEMFI, Madrid, Spain, and Stephen R. Bond, Oxford University, UK, for contributions to panel data analysis, especially the Arellano-Bond estimator. This method exploits time patterns in panel data to estimate the economic response to a change in a policy or other variable, while controlling for permanent unobserved confounding variation.
  • Wesley M. Cohen, Duke University, Durham, NC, and Daniel A. Levinthal, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, for their introduction and development of the concept of absorptive capacity (i.e., the ability of firms to evaluate, assimilate, and apply external knowledge) and its contribution to advancing our understanding of the innovative performance of firms, industries and nations.
  • David M. Kreps, Stanford University, Stanford, CA, for contributions to dynamic economic phenomena, in choice theory, finance, game theory, and organization theory.


功績については、最初のアレジャーノ教授とボンド教授は、パネルデータ分析のうちのアレジャーノ・ボンド推計と呼ばれるダイナミックパネル推計手法の開発、次のコーエン教授とレビンソール教授は、研究開発などにおける吸収能力をイノベーションに活かすとの概念、最後のクレプス教授は、不完備情報の動学ゲーム理論、に対するそれぞれの貢献と私は受け止めています。まあ、研究所の同僚などとお話をしないでもなかったんですが、クレプス教授のゲーム理論について私は詳しくないものの、アレジャーノ・ボンド推計なんて1990年ころに開発されていますし、吸収能力 absorptive capacity についても原著論文は大昔の1990年ではなかったかと記憶しています。ノーベル賞も経済学賞については、そんなものかもしれません。

最後に、今年のノーベル経済学賞の私の予想は、新々貿易理論のメリッツ教授ということにいておきますが、アレジャーノ教授とボンド教授もとても親しみを覚えています。
Entry No.5893  |  経済評論の日記  |  コメント(0)  |  トラックバック(0)  |  to page top ↑
 | BLOG TOP |  OLDER ≫