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2018年08月16日 (木) 20:26:00

またしても赤字を記録した7月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+3.9%増の6兆7474億円、輸入額も+14.6%増の6兆9786億円、差引き貿易収支は▲2312億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易収支、2312億円の赤字 輸出の伸び悩み響く
財務省が16日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2312億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出の伸びが限定的だったうえ、中東からの原油の輸入が増え、輸入額の増加が上回った。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(500億円の赤字)に比べて赤字額が大きかった。
輸出額は前年同月比3.9%増の6兆7474億円だった。20カ月連続で増加した。韓国向けの重油に加え、アジア向けの半導体製造装置や半導体部品の輸出が好調だった。
輸入額は14.6%増の6兆9786億円だった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原油や、アイルランドからの医薬品が大幅に増加した。原油の円建て輸入単価は56.2%上昇した。
7月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110円78銭。前年同月に比べて1.5%円高・ドル安に振れた。
7月の対米国の貿易収支は5027億円の黒字で、黒字額は22.1%減少した。減少は2カ月ぶり。2カ月連続で輸出額が減ったことが響いた。前年に好調だった反動で、自動車や自動車部品の輸出が減った。鉄鋼の輸出も減少した。半面、航空機エンジンや液化石油ガス(LPG)の輸入が増えた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲448億円でしたし、レンジの下限でも▲1990億円でしたから、実績値の▲2312億円の赤字というのはやや大きい赤字、と私は受け止めています。そして、この7月貿易赤字の要因を考えると、輸出サイドでは輸出数量の停滞、特に米国向け輸出数量の減少、そして、輸入サイドでは輸入価格の上昇、ということになろうかと思います。季節調整していない原系列の貿易指数の前年同月比で見て、輸出数量は年度明けから、4月+7.2%、5月+6.4%の後、6月+3.2%に続いて、7月はさらに落ちて+0.8%を記録しています。特に米国向け輸出数量は7月▲4.8%に落ち込んでいます。一方、輸入価格は同じ時期に4月+3.8%上昇、5月+7.0%、6月+7.4%から、とうとう7月には+10.2%の上昇に達しています。基本的に、国際商品市況における石油価格をはじめとする一次産品の価格上昇が主因であろうと考えられます。ただ、今月から貿易指数が2015年基準に改定され、今月末の確報公表時まで接続指数が明らかではなく、いつもの輸出のグラフは書けませんでした。この先、世界的な貿易摩擦の激化や通商政策の動向に伴って、年明けくらいから我が国の輸出も何らかの影響を受ける可能性が高い、というのがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスかもしれません。
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2018年08月15日 (水) 19:39:00

マクロミル・ホノテ「第4回 災害や防災に関する定点調査」の結果やいかに?

異常気象による災害や数十年振りの天候が毎年のように起こっている中で、マクロミル・ホノテから先週8月7日(火)に「第4回 災害や防災に関する定点調査」の結果が明らかにされています。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを4点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • "恐れている災害"、「豪雨、洪水」が急上昇。しかし1位は依然、圧倒的に「地震」
  • 94%が、"5年以内に日本で大災害が起きる"と回答。起きると思う災害で、上昇傾向なのは
    「豪雨、洪水」「土砂災害」、そして「中長期の天候災害」。この夏の猛暑も影響?
  • 大災害への不安が高まる一方、防災意識はほとんど変わらず
  • ペットの防災、飼い主の実施率は6割


最後のペットの防災については、誠に申し訳ないながら、私はそれほど興味ないんですが、いくつか、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから引用していますが、恐れている災害について、過去3回の調査結果をプロットして比較しています。従来からもっとも恐れられている災害は「地震」であり、96%とほぼ全員が回答しています。続いて2位は前回の調査より13%ポイントも上昇した「豪雨、洪水」の67%でした。また、「土砂災害」も、前々回と比較すると10%ポイント上昇しています。西日本豪雨の影響などからか、豪雨、洪水、土砂災害などへの恐怖感が高まっているように見受けられます。

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続いて、「この先5年以内に、国内で生命や社会生活に大きな被害をもたらす大災害が起きると思うか」との質問に対して94%が「起きると思う」と回答したところ、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから引用していますが、起きると思う大災害の上位7位をプロットしています。見れば明らかですが、1位は「地震」で90%、次いで「豪雨、洪水」62%、「土砂災害」40%、「津波」36%と続きます。前回の今年2018年2月調査よりもスコアが軒並み上昇しており、特に「豪雨、洪水」と「土砂災害」で上昇幅が大きく、西日本豪雨の影響なのかもしれません。

最後に、グラフは引用しませんが、今回の調査でも、大災害に対する恐怖や不安が高まる一方で、防災を「意識している (『とても意識している』と『やや意識している』の合計)」と回答した人は61%という結果で、前回の調査の59%から特に上昇したわけでもなく、「防災意識はほとんど変わらず」と結論しています。私自身をかえりみて判る気もします。
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2018年08月14日 (火) 19:27:00

あおぞら銀行「シニアのリアル調査」結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週8月9日(木)にあおぞら銀行から「シニアのリアル調査」の結果が明らかにされています。あおぞら銀行によれば、日本の60代を中心とするチャレンジ精神旺盛でアクティブな世代を「Brilliant60s=輝ける60代」と名付け、ポジティブな人生をおくるサポートをすべく、シニア層のお客さまへの資産運用コンサルティングに注力しているところ、コアとなる全国の55~74歳の男女約2,000名を対象にした調査だそうです。実は、私も今年は還暦で来月に60歳に達しますので、一端なりとも少し見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから、季節に合わせて「お盆玉」の認知度に関する質問の結果を最近3年間でプロットしたものです。シニアでもまだ40%に達しない認知度ですから、私が知らなくてもしょうがないところですが、「お盆玉」とは語感から軽く想像されるように、お盆の時期に子や孫にあげるお小遣いのことです。統計局で消費統計を担当していたエコノミストとして恥ずかしながら、私はこのリポートを見るまで知りませんでした。グラフは引用しませんが、最近3年間では軽く5,000円を超えているようです。

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次に、上のグラフはリポートから、孫のために購入したことのあるものを引用しています。見れば明らかで、1位に節句の人形が53.0%でもっとも多く、次いで2位にランドセル46.3%、3位に自転車30.5%が続いています。私は孫がまだいませんので判りませんが、確かに、ウチの倅どもに端午の節句の武者人形が送られてきたことは記憶していて、毎年、それなりの季節には飾っています。

シニアに片足が入り始めたという観点からは、それほど参考にはなりませんでしたが、一般的なシニア消費の一端、いわゆる孫消費については大いに参考になった気がします。これだけシニア=高齢者が豊かで現役世代への移転があるんですから、社会保障給付を少し考えればいいような気もします。世代間不公平を是正する必要は明らかです。
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2018年08月13日 (月) 21:41:00

第一生命経済研「天変地異が日本経済に及ぼす影響」やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週8月7日(火)に、第一生命経済研から「天変地異が日本経済に及ぼす影響」と題するリポートが明らかにされています。タイトルはキャッチーなんですが、地震などの天災も分析の対象に入っているものの、実は、主たる部分は気象と消費の関係に着目している感もあります。ただ、私のようなエコノミストの目から見て、天災はもちろん、気候条件は経済外要因として片づけてしまいがちでしたので、それなりに目を啓かせてくれるような気もします。グラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから夏季に当たる7~9月期の日照時間と家計消費の関係を引用しています。基本的に、消費と日照時間と気温の関係を初歩的な最小二乗法(OLS)を用いた消費関数で推計しようと試みているんですが、その結果として、過去20年のデータを用いた推計パラメータから、7~9月期の日照時間が全国平均で+10%増加すると、同時期の家計消費支出が+0.51%程度押し上げられることになり、これを気温に換算すれば、7~9月期の平均気温が全国平均で+1℃上昇すると、同時期の日照時間が+10.5%増加する関係があることから、家計消費支出を約+3,186億円(+0.54%)程度押し上げる、との結論を示しています。気温が高くて日照時間が長ければ消費は上振れする、という経験的な事実を確認できるように私は受け止めています。

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すでに爆買いの段階は終息しつつあるような気もしますが、インバウンド消費と天変地異の関係も気にかかるところで、上のグラフはリポートから非居住者家計の直接購入額と訪日外客消費の関係を引用しています。ここでは消費ではなく需要項目別では輸出ということになりますが、天変地異に起因するインバウンド消費の変動については、豪雨被害や大阪北部地震の悪影響といった潜在的な押し下げリスクを指摘しています。

最後に、このリポートでは、最初に指摘した通り、かなり初歩的な推計手法を用いていて、気温や日照時間と消費の間にリニアな関係を想定していますが、私は今年のような猛暑を目にして quadratic な関係を想定すべきではないか、すなわち、気温/日照時間と消費は単純な正の相関ではなく、逆U字型の関係があり、ある気温までは正の相関を保ちつつ、反転して気温が高過ぎると消費にマイナスの影響を及ぼし始める転換点がある可能性を忘れるべきではないと考えます。実証していませんので、直観的な思考結果に過ぎませんが、その転換点を探るためには、単純にリニアな関係を想定するのではなく、消費関数に気温/日照時間の二乗項を入れるなどの工夫が必要そうな気がします。
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2018年08月10日 (金) 20:18:00

4-6月期GDP統計1次QEはプラス成長に回帰し年率+1.9%の高い伸び!

本日、内閣府から昨年2018年4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+1.9%を記録しました。マイナス成長だった1~3月期から2四半期振りのプラス成長でリバウンド効果もあって、かなり高い成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2期ぶりプラス成長 4~6月GDP1.9%増、内需が拡大
内閣府が10日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では1.9%増だった。プラスは2四半期ぶり。1~3月期は年率換算で0.9%減だった。個人消費や設備投資など内需が拡大した。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.3%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.4%増、年率では1.7%増だった。名目も2四半期ぶりにプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.6%分の押し上げ、外需の寄与度は0.1%分のマイナスだった。項目別にみると、個人消費が0.7%増と、2四半期ぶりにプラスだった。天候不順や生鮮野菜の高騰で1~3月期に落ち込んだ反動が出た。
輸出は0.2%増、輸入は1.0%増だった。米国と欧州連合(EU)向けが伸びた。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は1.3%増と、7四半期連続でプラスだった。省力化投資や研究開発など企業の設備投資需要が高まった。
住宅投資は2.7%減。貸家着工の低迷が響いた。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.0%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%のプラスだった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/4-62017/7-92017/10-122018/1-32018/4-6
国内総生産GDP+0.5+0.6+0.2▲0.2+0.5
民間消費+0.8▲0.7+0.3▲0.2+0.7
民間住宅+1.3▲1.3▲3.0▲2.3▲2.7
民間設備+0.5+1.2+0.8+0.5+1.3
民間在庫 *(▲0.1)(+0.4)(+0.1)(▲0.2)(+0.0)
公的需要+1.4▲0.5▲0.1▲0.1+0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(▲0.3)(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)
輸出+0.2+2.1+2.1+0.6+0.2
輸入+1.9▲1.5+3.3+0.2+1.0
国内総所得 (GDI)+0.7+0.6▲0.0▲0.5+0.4
国民総所得 (GNI)+0.6+0.8▲0.0▲0.7+0.7
名目GDP+0.8+0.8+0.3▲0.4+0.4
雇用者報酬 (実質)+0.5+0.7▲0.2+1.2+1.9
GDPデフレータ▲0.3+0.1+0.1+0.5+0.1
内需デフレータ+0.4+0.5+0.6+0.9+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率による予想レンジは+0.5~+2.5%となっており、かなり予測の上限に近い印象です。ただし、1~3月期と4~6月期をならして年半期ベースで考えると、2017年下半期から2018年上半期への前期比成長率は+0.1%にしか過ぎず、4~6月期の高成長はリバウンドの要素が強いとすれば、我が国経済が踊り場局面から脱して潜在成長率水準に回帰した、とまではいえない可能性もあります。ただ、住宅投資こそマイナスを続けているものの、消費は力強くリバウンドしてプラスを記録し、設備投資も伸びを続けているわけですから、2017年10~12月期から3四半期に渡ってゼロ近傍の寄与度を続けている外需に代わって内需主導の成長が実現できていることも事実です。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費なわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。インバウンド消費も順調な拡大を続けているものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大局面は終了に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、雇用者報酬が順調に伸びを示しています。人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

先行きの成長についても、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦がリスクとして上げられるものの、日本経済は緩やかな拡大基調を継続するものと私は期待しています。なお、最後に、本日日銀から公表された企業物価 (PPI) については、国際商品市況における石油価格の上昇を受けて、ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+3%を超えたんですが、諸般の事情により今夜のブログでは割愛します。悪しからず。
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2018年08月09日 (木) 19:52:00

2か月連続で前月比マイナスを記録した機械受注の先行きやいかに?

本日、内閣府から6月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て5月が前月比▲3.7%減の9,079億円の後、6月も前月比▲8.8%減の8,276億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の機械受注8.8%減 内閣府、基調判断引き下げ
内閣府が9日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比8.8%減の8276億円だった。2カ月連続で減少した。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、1年1カ月ぶりに下方修正した。
6月の受注額は製造業が15.9%減の3818億円だった。減少は3カ月ぶり。17業種のうち13業種が減少した。電気機械や化学工業が押し下げた。非製造業は7.0%減の4454億円。減少は6カ月ぶり。建設業などの減少が目立った。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.3%増だった。
4~6月期は前期比2.2%増の2兆6786億円だった。増加は4四半期連続で、四半期ベースでは2008年4~6月(2兆8217億円)以来の高水準だった。製造業が5.5%増とけん引した。非製造業は0.4%減だった。
7~9月期は前期比0.3%減の見通し。製造業は5.0%増、非製造業は3.7%減を見込む。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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5月統計では、コア機械受注が製造業と船舶・電力を除く非製造業を合わせて前月比▲3.7%減ながら、製造業が+1.3%増、船舶・電力を除く非製造業も+0.2%増、という季節調整の綾で不思議な結果だったんですが、6月は明確に製造業▲15.9%減、船舶・電力を除く非製造業▲7.0%減、この2つを合計したコア機械受注▲8.8%減と、判りやすい結果となっていて、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と下方修正しています。ただし、四半期ベースの4~6月期で見ると、4月の大きなプラスがゲタを履いて前期比+2.2%増となっています。他方、7~9月期見通しでは▲0.3%減にとどまるとの見込みが示されています。コア機械受注の5~6月の2か月連続の前月比マイナスは4月の大きなプラスに対する反動の要素もありますし、基調判断を変更するのはもう少し待ってもよかった気もします。
いずれにせよ、先行きの機械受注については、人手不足に対応した合理化や省力化投資、さらに、東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備などにも牽引され、緩やかな増加が続くと私は考えています。もちろん、船舶・電力を除いたコア機械受注で見ても、もともと変動の激しい指標ですので、単月で大きなプラスやマイナスを示すこともあるでしょうし、2か月連続でマイナスを記録することもあろうかと予想しますが、方向としては横ばいから緩やかな増加の傾向であることは蓋然性高く、決して一本調子でマイナスに向かうことはない、と考えています。
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2018年08月08日 (水) 20:27:00

豪雨被害で低下した景気ウォッチャーと貿易黒字が縮小する経常収支!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲1.5ポイント低下して46.6を、先行き判断DIも▲1.0ポイント低下して49.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆1756億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状指数が1年10カ月ぶり低水準 家計の悪化目立つ
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は46.6と、前の月から1.5ポイント低下(悪化)した。2016年9月(44.3)以来の低水準となった。低下は2カ月ぶり。家計動向の悪化が目立った。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、平成30年7月豪雨によるマインド面の下押しもあり、引き続き一服感がみられる」とした。
現状判断指数を部門別にみると、家計動向が44.8と前の月から2.1ポイント低下した。16年9月(44.2)以来の低水準。猛暑の影響で、レストランやテーマパークで客足が伸びなやみ、飲食関連とサービス関連が低下した。
半面、猛暑の影響で関連商品の売れ行きが伸びた小売関連は上昇した。
企業動向は49.0と前の月から0.2ポイント低下した。製造業は、大手自動車メーカーの輸出が好調で上昇したものの、非製造業が低下した。人件費や燃料費の上昇で、輸送業で採算悪化が目立った。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.0で前の月から1.0ポイント低下した。低下は2カ月ぶりで、17年3月(48.5)以来の低水準。家計動向と企業動向が悪化した。
家計動向は1.3ポイント悪化の48.4だった。企業動向も1.0ポイント悪化した。7月の西日本豪雨や猛暑の影響で食品の価格が上昇し、販売や採算に影響することへの懸念が強い。
今回の調査では、7月に起きた西日本豪雨の影響をまとめた。地域別の現状判断指数では、被害が目立った中国で41.2と前の月に比べて6.5ポイント低下した。四国も44.1と5.6ポイント悪化した。
豪雨に関するコメントは、現状で207件、先行きで166件と6月に比べて大きく増えた。中国の木材木製品製造業は「交通網の遮断や取引先の被害などで受注や工期が遅れ気味」と指摘した。近畿の都市型ホテルからは「豪雨や台風によるキャンセルも相次ぎ、売り上げに影響を与えている」との声があった。
6月の経常収支、1兆1756億円の黒字 48カ月連続黒字
財務省が8日発表した6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆1756億円の黒字だった。黒字は48カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆1760億円の黒字だった。
貿易収支は8205億円の黒字、第1次所得収支は5876億円の黒字だった。
同時に発表した2018年1~6月の経常収支は10兆8411億円の黒字、貿易収支は1兆8150億円の黒字だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でも、とても長くなってしまいました。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーについては、6月統計で下げ止まりに向かう方向感が出たし、私自身は「下げ止まりつつある印象」を感じたんですが、7月統計でも現状判断DI、先行き判断DIとも▲1ポイント以上の大きな落ち込みと低い水準を記録しています。ただ、統計作成官庁である内閣府では7月豪雨によるマインド面の下押しを強調しており、「緩やかな回復基調が続いている」とした基調判断の根幹部分は据え置いています。同時に、引用した記事にもある通り、「景気ウォッチャー調査における『平成30年7月豪雨』の影響」と題するリポートを明らかにし、地域別現状判断DIでは、中国地方で前月差▲6.5ポイント低下の41.2を、四国地方で▲5.6ポイント低下の44.1を、それぞれ記録し、豪雨被害の影響が比較的大きかった地域において、DIの大幅な低下がみられたこと、さらに、豪雨に関連するコメント数は現状で207件、先行きで166件となっており、中国、四国地域のみならず全国にわたって影響がみられたこと、などを上げるとともに、加えて、定性的には景気の先行きに関するコメントから、消費マインド・自粛ムードへの懸念、農産物の値上がりに対する懸念、復旧・復興に向けた動きへの期待、そして最後に、その他(風評被害、インフラ被害等)の4項目を拾っています。ただ、私は天候要因によるマインドの一時的な低下は、確かにあり得るものの、同時に、7月は気温が高い状態が続いた猛暑でもあり、これが野菜などの価格上昇をもたらした可能性もあります。景気が天候に振り回されている印象なんですが、いくぶんなりとも地球規模での気候変動の影響なんでしょうか?

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスとここまで近接するとは少し驚きでした。先月は貿易黒字が大きく縮小して、国際商品市況における石油や一次産品価格の上昇に伴う輸入額の伸びが大きくて、輸出も伸びてはいるものの、結果的に差引き貿易黒字が縮小している、という感触です。先行き、米中の貿易戦争で対外収支はそれなりの影響を受けそうな気もしますが、このブログで7月24日に取り上げた大和総研のリポートのように、それほど大きな影響ではない、とする見方もあります。
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2018年08月07日 (火) 23:12:00

景気拡大が5年半を超えた景気動向指数と名目賃金の上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.7ポイント下降して105.2を、CI一致指数も▲0.5ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+3.6%増の44万8,919円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、2カ月連続低下 生産など悪化
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.5ポイント低下の116.3だった。低下は2カ月連続。市場予想の中央値は0.6ポイント低下だった。生産や卸売業の販売額が軟調だった。
指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち4系列が指数を押し下げた。半導体製造装置の部品調達が遅れた影響などで鉱工業生産指数が落ち込んだ。卸売業の商業販売額が低調だったこともマイナスに寄与した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は21カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指標は1.7ポイント低下の105.2となり、3カ月ぶりに低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は2.3ポイント低下の115.6だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
名目賃金6月3.6%増 増加は11カ月連続
厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、6月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比3.6%増の44万8919円だった。増加は11カ月連続で、1997年1月以来21年5カ月ぶりの高水準。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増。残業代など所定外給与は3.5%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は7.0%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は2.8%増だった。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.8%上昇したが、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.8%増の1133円。パートタイム労働者比率は0.43ポイント低い30.22%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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CI一致指数・先行指数とも下降を示し、特に、CI一致指数は2か月連続の下降となりますが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「改善」で据え置かれています。というのも、3か月後方移動平均は、まだ、+0.10ポイント上昇しており、3か月連続の上昇を示しているからです。「改善」の次の景気局面を示す基調判断は「足踏み」なんですが、当月の前月差がマイナスで、かつ、3か月後方移動平均がマイナス、しかも、マイナス幅が標準偏差分以上との基準となっているからです。6月のCI一致指数の前月差▲0.5ポイント下降のうち、プラス寄与だったのは商業販売額(小売業)(前年同月比)と有効求人倍率と耐久消費財出荷指数の3系列であり、残りの4系列はマイナス寄与となっています。特に大きいのは、生産指数(鉱工業)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)と投資財出荷指数(除輸送機械)となっています。同じく前月差▲1.7ポイント下降のCI先行指数に対するマイナス寄与で大きい系列は、新設住宅着工床面積、鉱工業生産生産財在庫指数、中小企業売上げ見通しDIなどが上げられます。繰り返しになりますが、もしも、内閣府の基調判断通りに景気が拡大しているのだと仮定すれば、2012年11月を谷とする現在の景気拡張期間は67か月、すなわち、5年半を超えたことになります。気の早いことながら、戦後最長の景気拡大期間は今世紀に入ってからのサブプライム・バブル景気であり、2002年1月を底として2008年2月を山とする6年余りの73か月間ですから、現在の景気拡大期はあと半年6か月で戦後最長に並ぶことになります。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、引用した記事に見られるように、今月統計は賃金に集中したいんですが、ちょっとびっくりの賃金上昇幅でした。実は、細い方のグラフは左軸の+3%に収まり切らずに突き抜けています。すなわち、季節調整していない原系列の統計で、名目賃金6月+3.6%増であり、1997年1月以来21年5か月振りの上昇幅だそうです。6月ですからボーナス月の印象もあり、所定内給与は+1.3%増、所定外給与は+3.5%増、所定内給与と所定外給与を合わせたきまって支給する給与は+1.5%増、加えて、特別に支払われた給与は+7.0%増ですから、ボーナスに当たる特別給与の寄与が少なくないわけで、それはそれで景気敏感な賃金部分ではありますが、消費に貢献する恒常所得ではない可能性もありますし、逆に、日常の買い物ではない比較的高額な耐久消費財に回る可能性もあります。猛暑も消費に影響するかもしれません。何とも判断の難しいところです。取りあえず、エコノミストのごまかし方の常道として、来月の統計を見てみたい気がします。
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2018年08月06日 (月) 23:28:00

金曜日公表予定の4-6月期1次QEはプラス成長に回帰か?

先週火曜日7月31日の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、今週金曜日の8月10日に今年2018年4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の7~9月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。テーブル下部の三菱UFJリサーチ&コンサルティングをのぞいて、ほとんどのシンクタンクが明示的に先行き経済を取り上げています。なお、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.1%
(+0.5%)
今後を展望すると、再び潜在成長率を上回る成長に戻っていく見通し。良好な雇用・所得環境を背景に個人消費の伸びが高まるほか、企業業績の改善を受けて設備投資も回復が持続。米国発の貿易摩擦が一段と深刻化しない限り、内需主導の堅調な景気回復が続く見通し。
大和総研+0.3%
(+1.4%)
4-6月期の成長率はプラスに転じたとみているが、前期と均してみれば横ばい圏での推移である。先行きの日本経済は、踊り場局面から徐々に回復に転じよう。これまで、輸出は、①米国を中心とした在庫循環上の回復、②共産党大会を控えた中国経済の加速、③財政緊縮から拡張への移行に伴う欧州経済の回復、により加速してきたが、2018年に入りこれらの効果は一旦消失した。内需についても、自動車を中心とした耐久財の買い替えサイクルが昨年末以降消失している。他方で、主要輸出先における天候不順の影響が一巡し、米国における減税効果の発現も期待されている。日本経済は、こうしたプラス・マイナスの材料が入り混じりながら推移していくだろう。
みずほ総研+0.4%
(+1.6%)
7~9月期以降の景気も回復が続くだろう。中国向けの産業用ロボットや減税の追い風を受ける米国向けの資本財などを中心に、輸出は緩やかな増加が続こう。堅調な投資マインドを背景に、国内の設備投資は年前半と比べて増勢を強める可能性が強い。個人消費については、労働需給の一段のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが押し上げ要因となる一方、エネルギー価格の上昇が実質所得の下押し要因となり、回復ペースは緩やかなものにとどまるとみている。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+1.0%)
現時点では、7-9月期の実質GDPは民間消費、設備投資に加え、住宅投資も増加に転じることから、前期比年率1%台の成長を予想している。先行きの景気のリスク要因は、米中貿易摩擦の激化により、2018年に入り増勢ペースが鈍化している輸出が失速することである。
第一生命経済研 +0.2%
(+1.0%)
先行きについては、こうした鈍化の動きに歯止めがかかると予想している。様々な不安を抱えながらも世界経済は米国を牽引役として引き続き底堅く推移しており、輸出の減速は一時的とみるのが妥当と思われる。先行きは海外経済の拡大に伴う輸出の増加が期待できることに加え、好調さが持続する設備投資も景気の下支え役として寄与するとみられ、企業部門主導の景気回復の構図は崩れていない。個人消費についても、力強さこそみられないが、雇用、賃金の増加が続くなか、景気の足を引っ張る事態は避けられるだろう。7-9月期以降は潜在成長率を上回る成長が続く可能性が高いと予想している。
伊藤忠経済研+0.5%
(+2.0%)
今後についても、輸出は米国発の貿易摩擦が今以上の拡大を免れれば海外景気の拡大を背景に増勢を維持するとみられ、企業の設備投資も業績改善を背景とする積極的な計画が実行に移りつつあることが先行指標の機械受注で確認されており、個人消費も賃金が底上げされ夏のボーナスが増加する下で猛暑などをきっかけに徐々に回復に向かうと見込まれる。政治的・地政学的リスクには引き続き警戒が必要であるが、日本経済はデフレ脱却に不可欠な自律的回復を再び取り戻しつつあると考えられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.3%)
2018年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%(年率換算+1.3%)とプラスに転じたと予想される。1~3月期のマイナス成長は一時的であり、景気回復が続いていることが確認されるであろう。もっとも、前期にマイナスだったことへの反動を考慮すると、力強さには欠ける。


ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率で+1%を少し上回るくらいの予想が示されています。前期比による予想レンジは+0.1~+0.6%となっており、インプリシットにマイナス成長を見込む機関はなくすべてがプラス成長の予想、ということです。なお、どうでもいいことながら、もっとも低い頴娃町立予想は上のテーブルに示されている日本総研の前期比+0.1%のようです。その日本総研も含めて、1~3月期に景気の踊り場を迎えマイナス成長を記録した日本経済も、4~6月期にはプラス成長に回帰すると見込んでおり、背景としては米国経済の回復と世界経済の順調な拡大により我が国からの輸出が伸びる、ということなんですが、逆に、米国トランプ政権発の貿易摩擦の拡大が先行きリスクとして上げられています。また、足元の4~6月期の成長も含めて、先行きの成長率の見方については、潜在成長率を上回るとの見方とともに、1~3月期のマイナス成長からのリバウンドとしては力強さに欠ける、との見方が入り混じっているような気がします。現在の猛暑の影響も不確定です。
下のグラフは、いつものニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2018年08月04日 (土) 08:18:00

堅調な米国雇用統計により来月の利上げは確実か?

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+157千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を下回った一方で、失業率は前月から▲0.1%ポイント上低下して3.9%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事の最初の5パラを引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 157,000 jobs in July but unemployment fell to 3.9%
Hiring slowed in July as employers added 157,000 jobs in a possible sign that worker shortages and widening U.S. trade spats are starting to damp employment gains.
The unemployment rate fell from 4% to 3.9%, close to its 18-year low, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 192,000 payroll gains.
As a result of the low unemployment rate, more businesses are struggling to find workers, especially with the economy growing at the fastest pace in three years in the April-June period. Yet monthly job growth has averaged more than 200,000 this year, up from 182,000 in 2017, in part because the worker-friendly labor market has drawn in more Americans on the sidelines. That also has kept unemployment from falling more quickly.
But many economists believe that shadow labor supply will soon run thin, tempering job growth and pushing unemployment lower.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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USA Today の記事のタイトルが "disappointing 157,000 jobs" としているように、やや物足りない雇用増だったんですが、7月統計に先立つ5月が+244千人増から+268千人像に、また、6月が+213千人増から+248千人増に、それぞれ情報修正されていますから、3か月くらいでならしてみれば、各月で軽く+200千人増となりますから、米国の雇用は十分に堅調と考えるべきです。7月の雇用増が市場の事前コンセンサスを下回ってやや小幅にとどまった理由として、労働市場が完全雇用に近づいて企業が求人をかけても応募者が十分に集まらない、とさえウワサされています。米国連邦準備制度理事会(FED)では、つい先日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送りつつも、"The Committee expects that further gradual increases in the target range for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion of economic activity" とステートメントに明記しており、今回くらいの雇用増の減速では利上げを見送るとは考えられず、9月25-26日に開催される次回FOMCで利上げが実施されるのはほぼ確実と見られます。例えば、Wall Street Journal の記事のタイトルは "July Jobs Report Likely to Keep Fed on Track for Next Rate Increase" だったりします。ただし、先行きリスクがないわけではなく、貿易戦争に突入する気配が気がかりであることはいうまでもありません。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、7月は前年同月比で+2.7%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、当然に利上げで対応すべきなのはいうまでもありません。
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2018年08月03日 (金) 21:21:00

本日公表された「経済財政白書」のナナメ読み!

本日、内閣府から「経済財政白書」の今年度版が公表されています。副題は「今、Society 5.0 の経済へ」となっていて、この副題に対応するのが第3章です。なお、第3章以外は、第1章は景気回復の現状、と課題と題され、昔からの経済の現状分析に当てられており、トピックを扱った以降の章のうち、第2章は人生100年時代の人材と働き方、とのタイトルで、技術革新による業務の代替の可能性や働き方の変化、あるいは、それに対応したリカレント教育などを分析しています。日経新聞の記事ではこの第2章に着目していて、「AI人材投資で生産性2割向上 経財白書」といったタイトルの記事が報道されていたりしました。そこで、というわけでもないんですが、私のこのブログでは、勝手ながら、白書の副題にミートした第3章「Society 5.0」に向けた行動変化、からいくつか図表を引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、「経済財政白書」第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化 p.247 から AI技術関連特許の保有数シェア (2012年~14年) を引用しています。我が国は韓国や米国を抑えて、OECD加盟国のトップシェアを誇っていて、ほかにも、グラフは引用しませんが、製造業の付加価値に対するロボット(2015年のストック額)の比率も、ドイツを抑えて韓国に続きOECDで2位につけているなど、イノベーションの源泉となる基礎力を有する一方で、企業の開業率や廃業率などで見た起業家精神や企業の新陳代謝などの面でイノベーションへの適応力が低い、と白書は結論しています。

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続いて、上のグラフは、「経済財政白書」第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化 p.235 から 電子決済の家計最終消費支出に対する割合 を引用しています。企業レベルで、我が国においてクラウドサービスを利用する企業の割合は44.6%と、OECD平均の24.8%を大きく上回っており、フィンランド、スェーデンに次いでOECD加盟国中3位だったりする一方で、上のグラフのように、電子決済についてはひどく遅れていたりして、「Society 5.0」や第4次産業革命に向けたイノベーションが進展している一方で、我が国は活用に一部遅れも見られる、と白書では結論しています。

最初のパラにも書きましたが、日経記事を補完するメディアとして、私のこのブログなんぞは貧弱この上ないんですが、一応、「経済財政白書」を公表当日に取り上げておくのも意味あるんではないか、と考えています。
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2018年08月02日 (木) 19:55:00

インテージによる「職場の冷房温度実態」調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、7月20日付けで調査会社のインテージから「職場の冷房温度実態」調査の結果が明らかにされています。猛暑といわれている今夏の職場の冷房事情の一端がうかがわれます。いくつかグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、インテージのサイトから 職場の夏場の室温の感じ方 のグラフを引用しています。男女とも「ちょうどいい」は少数派であり、暑いと感じたり、寒いと感じたりしています。私はほぼほぼちょうどいいなんですが、自分自身の体調などのコンディションにもよって寒く感じる時があります。暑く感じることはほとんどありません。役所のオフィスですので、普通の企業よりは節電目的で冷房の設定温度は高めではないか、と一般に思われており、私自身の経験からも、シンクタンクの同僚エコノミストを訪れたりすると、少なくともそう感じられる場合が圧倒的に多いです。

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次に、インテージのサイトから 職場の「暑さ対策」/「冷房対策」として利用しているグッズ のグラフを引用しています。私自身はうちわを愛用しており、ターミナル駅周辺で無料配布しているようなうちわを外出時には持って歩くことも少なくありません。ただ、職場の冷房対策ではなく、あくまで外出用品です。それから、寒く感じる際の冷房対策は圧倒的にカーディガンです。何と、3着も持っていたりしますが、職場で着用に及ぶことはそれほどなく、むしろ、持って歩いて飲食店などが寒い時に羽織るケースがほとんどです。ひざかけは持っていますが、夏場の冷房対策ではなく、冬場の寒さ対策で使います。

役所のオフィスでも、暑さ対策として、上のグラフにも現れる汗ふきシートを使っている同僚を見かけます。私もマネをしようかと思わないでもありませんが、今のところは手が出ていません。
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2018年08月01日 (水) 19:41:00

ライムライトによる「デジタルライフスタイルに関する調査 - 2018年」やいかに?

ニュースで流れたのが6月終わりだったと記憶していますので、かなり旧聞に属する話題ですが、デジタルコンテンツ配信技術会社のライムライト・ネットワークスから「デジタルライフスタイルに関する調査 - 2018年」の結果が明らかにされています。先進国とアジア新興国・途上国であるフランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、マレーシア、シンガポール、韓国、英国、米国の18歳以上の回答者5,000人を対象にアンケート調査を実施しており、日本はかなりデジタル化が遅れている、という結果が示されています。私自身の興味の範囲で、いくつかテーブルを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから、新聞の入手に関する質問の回答結果を引用すると上のテーブルの通りです。宅配のシステムが発達しているからか、調査対象国の中で唯一日本では新聞のハードコピーを購入が過半に達しています。ハードコピー購入比率が30%に達しているのも他にはドイツだけですし、しかも、日本ではオンラインで読む比率が他国と比較してもメチャメチャに低いのが読み取れます。私自身はハードコピーとオンラインの「どちらも派」なんですが、先進国の中では、というよりも、アジアの新興国と比べても、新聞というメジャーなメディアへの接し方が、日本ではデジタルになっていないのが伺えます。

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次に、リポートから、書籍の入手に関する質問の回答結果を引用すると上のテーブルの通りです。新聞の入手ほど日本が極端に他国と比較してデジタル化が遅れているとは見えませんが、ここでも、よく似た傾向が現れています。新聞の入手と違って、「オンラインで読む」という選択肢がないようですが、調査対象各国の中で日本は電子書籍の割合がもっとも低くて、ハードコピーの割合がもっとも高いとの結果が示されています。私自身については、書籍は購入せず図書館で借りるケースが多いんですが、ハードコピーで読むことしかしておらず、電子書籍は無料で「もらった」場合とかの例外的な位置づけだったりします。

新聞や書籍以外にも、ビデオ視聴や音楽は世界的にストリーミングに移行しているんですが、日本ではDVDの購入・レンタルやオーディオCDの購入も多い、とか、スマートスピーカーの普及率は日本が最低、といった結果が示されています。でも、リポートを明らかにした調査会社では、結論で「逆に、今後伸びる余地が大きい」との非常なポジティブ・シンキングをしていたりします。ご参考まで。
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2018年07月31日 (火) 19:39:00

2か月連続で減産の鉱工業生産指数(IIP)と改善続く雇用統計と消費者態度指数!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP) が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、内閣府から消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計は6月の統計であり、消費者態度指数だけは6月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲2.1%の減産を示し、失業率は前月から▲0.2%ポイント上昇したものの、依然として2.4%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに0.02ポイント上昇して1.62倍と、これまた、高い倍率を示しています。また、消費者態度指数は前月から▲0.2ポイント低下して43.5を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産、前月比2.1%低下 半導体製造装置の生産後ずれ
経済産業省が31日発表した6月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて2.1%低下し、102.2だった。低下は2カ月連続。半導体製造装置などを含む「はん用・生産用・業務用機械工業」が大きく低下した。
QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.4%低下)を下回った。経産省がまとめた6月の先行き試算値(0.1%低下)も大幅に下回った。
生産指数は15業種のうち12業種が前月から低下した。「はん用・生産用・業務用機械工業」は、フラットパネルディスプレーの製造装置などで、納期が後ずれとなり生産が低下したという。
半面、上昇は3業種だった。半導体を含む「電子部品・デバイス工業」が上昇した。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「半導体市場は今後も一定の伸びは続くが、昨年からの大幅な拡大は一服した」と指摘していた。
経産省は6月の生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に据え置いた。
出荷指数は前月比0.2%低下の101.3だった。在庫指数は1.8%低下の111.5、在庫率指数は2.4%上昇の116.6だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた7月の製造工業生産予測指数は前月比2.7%の上昇となった。
経産省は「一部メーカーの生産計画は西日本豪雨の影響をまだ織り込みきれていない。一般的には下振れする可能性もありうる」として、先行きを慎重に見ている。
8月の予測指数は3.8%上昇だった。
6月の有効求人倍率1.62倍、0.02ポイント上昇 44年ぶり高水準続く
厚生労働省が31日発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.62倍で、前月から0.02ポイント上昇した。44年ぶりの高水準が続く。人手不足から正社員の求人が増えた。総務省が発表した6月の完全失業率は2.4%で0.2ポイント上昇した。良い条件を求めて転職する人が増えた結果で、雇用情勢は改善基調を維持している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に、企業から何件の求人があるかを示す。6月は求職者が減る一方、求人数は増えた。有効求人倍率が1.6倍に達したのは2カ月連続。1974年1月以来だ。
求人倍率が高くなるほど、求職者は仕事を見つけやすく、企業は採用が難しくなる。新規求人は建設業や医療・福祉、製造業などで増えた。
企業は人手不足から待遇の良い正社員の採用を増やしている。6月の正社員有効求人倍率は1.13倍で0.03ポイント上昇し、過去最高を更新した。
失業率の上昇は4カ月ぶり。自己都合による離職(季節調整値)が7万人増えた影響が大きい。総務省は「人手不足を背景により良い条件を求める人が増えている」と分析している。
完全失業者数は168万人。前年同月に比べ24万人減った。
7月の消費者態度指数、2カ月連続低下 西日本豪雨など響く
内閣府が31日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比0.2ポイント低下の43.5だった。低下は2カ月連続。「暮らし向き」などの指標が悪化した。内閣府は消費者心理の基調判断を「弱含んでいる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「暮らし向き」が41.6と0.3ポイント低下した。生鮮野菜や生活必需品の値上げが消費者心理を冷やした。中国・四国地方など豪雨被害が大きかった地域で悪化が目立った。「雇用環境」と「耐久消費財の買い時判断」の指標も低下した。
一方で「収入の増え方」の指標は上昇した。改善は5カ月ぶり。消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は43.1と0.1ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.2ポイント低い81.5%だった。「低下する」は0.2ポイント高い3.5%、「変わらない」は0.1ポイント低い12.5%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。
調査基準日は7月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6064世帯、回答率は72.2%だった。


とても長くなってしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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鉱工業生産は5月に続いて6月も2か月連続の減産となりました。もともと、6月の生産について製造工業生産予測調査で見ると、5月統計公表時には▲0.8%の減産で、6月統計公表時でも+0.4%とわずかな増産に止まると見込まれていて、直近の日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも▲0.4%の減産でしたから、減産である点についてはまあいいとしても、▲2.1%の減産幅は少し驚きだったかもしれません。業種別では、はん用・生産用・業務用機械工業や医薬品を除く化学工業の減少が目立っています。引用した記事にもある通り、はん用・生産用・業務用機械工業ではフラットパネルディスプレーの製造装置などで納期が後ズレしたようです。また、品目別では半導体製造装置などが減少に寄与しているんですが、半導体製造装置は6月輸出においても減少しており、外需の停滞もしくは供給制約の可能性があると受け止めています。先行きについては、製造工業生産予測調査で7月が+2.7%、8月が+3.8%のぞれぞれ増産と見込まれていますが、下振れしやすい指標ですので、7月で+0.2%程度の増産との試算が示されています。6月統計の2か月連続かつ単月でも大きな落ち込みに対して、ややリバウンドが小さいんではないかという気がしないでもありません。公表された指標が多いので、在庫循環図は示しませんが、第1象限で45度線をを越えたり越えなかったりしたあたりでウロウロしています。かなり景気局面が成熟していることも事実であろうと考えています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。失業率がやや上昇したものの、2%台半ばくらいまで上下する可能性は十分あると私は考えており、統計的にも、自己都合による離職が増えた影響が大きく、引用した記事にもある通り、「人手不足を背景により良い条件を求める人が増えている」ことが失業率上昇の一因である可能性が高いと受け止めています。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も1.13倍と1倍を超えて推移しており、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくらなんでも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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最後に、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、「収入の増え方」が+0.4ポイント上昇したものの、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.7ポイント、「暮らし向き」が▲0.3ポイント、「雇用環境」が▲0.3ポイント、それぞれ低下となっています。最近半年余りの動向でも、直近のピークは昨年2017年11月から今年2018年1月の3か月連続で44.6で横ばいを示した後、最近時点まで緩やかに低下傾向にあるように見えます。直近の消費者マインドの低下については、西日本豪雨といった災害の影響も反映しているんでしょうが、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「弱含んでいる」で据え置いています。
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2018年07月30日 (月) 21:11:00

商業販売統計の小売販売額は8か月連続で前値実績を上回る!

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.8%増の11兆7750億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は+1.5%増をそれぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額、前年比1.8%増 判断は据え置き
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、6月の小売販売額は前年同月比1.8%増の11兆7750億円だった。前年実績を上回るのは8カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が16.7%増と伸びが目立った。原油高を背景に石油製品の価格が上昇した。飲食料品小売業は1.5%増。畜産品や総菜の売り上げが好調だった。
一方、自動車小売業は5.1%減だった。普通車や小型車の販売が振るわなかった。織物・衣服・身の回り品小売業は2.1%減。中旬に気温が一時低下し、夏物衣料の販売が伸び悩んだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で2.1%増の1兆6030億円だった。既存店ベースは1.5%増だった。コンビニエンスストアの販売額は2.5%増の9978億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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繰り返しになりますが、小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.8%増を、また、季節調整済みの系列の前月比は+1.5%増を、それぞれ記録していますので、ヘッドラインの6月全国消費者物価指数上昇率+0.7%を軽く上回って、もちろん、カバレッジが大きく異なるとはいえ、実質消費の方もプラスであったのであろうと考えられます。ただし、前年同月比でもっとも大きく伸びているのが燃料小売業の+16.7%ですから、エネルギー価格高騰の影響は明らかです。他には、電機製品などが含まれる機械器具小売業が+5.4%、医薬品・化粧品小売業が+3.9%を示しており、他方、自動車小売業は5か月連続の前年割れとなっており、前年比で▲5.1%となりました。また、グラフやテーブルはありませんが、四半期ベースの季節調整済み指数の前期比を見ると、今年2018年1~3月期は天候不順による野菜価格の上昇などもあって消費は振るわず、前期比▲0.6%とマイナスを記録しましたが、4~6月期は+0.5%とリバウンドを示しており、来週8月10日に公表される4~6月期GDP統計、いわゆる1次QEにはこういった数字が反映されるものと考えています。
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2018年07月27日 (金) 23:29:00

シェアリング・エコノミーの市場規模やいかに?

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最近拡大を示しているシェアリング・エコノミーの市場規模を内閣府経済社会総合研究所が推計しています。新聞各紙にも広く取り上げられていたように記憶しています。スペースのシェアはいわゆる民泊であり、airbnbなどのマッチングによるものですし、上のテーブルにはありませんが、世界的にはUberなどによる移動のシェア、すなわち、ライドシェアもあるものの、我が国の現状では白タク規制により除外されているようです。他方、我が国独自のモノのシェア、すなわち、メルカリなどは中古品売買がほとんどですから、GDP統計には含まれません。でも、約5,000億円という規模はあくまでSNA上の生産額であり、GDPのような付加価値ということになれば中間投入を差し引く必要があるため、さらにこの5,000億円から規模が小さくなるんでしょうが、2016年時点とはいえ少し小さいかな、という気がしないでもありません。いずれにせよ、エコノミストの目から見ても、シェアリング・エコノミーは注目の分野であることは間違いありません。
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2018年07月26日 (木) 20:22:00

6月統計で企業向けサービス物価(SPPI)上昇率+1.2%は25年振りの高さを記録!

本日、日銀から6月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。前月からさらに上昇幅を拡大して+1.2%を記録しています。プラスの上昇は60か月、すなわち、ちょうど5年になります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業向けサービス価格、前年比1.2%上昇 約25年ぶりの伸び率
日銀が26日に発表した6月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.8と、前年同月比で1.2%上昇した。消費増税の影響を受けた時期を除くと、1993年1月以来、約25年ぶりの高い伸び率だった。幅広い産業で、人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが広がった。
土木建築サービスや労働者派遣サービスなどで、人件費の上昇を価格に転嫁する動きが目立った。上昇は60カ月連続。
指数は前月比では0.2%上昇した。製造業などからの受注増により、ソフトウエア開発で値上げが進んだ。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは75品目、下落は32品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は43品目で前月の45品目からは縮小した。


いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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今年4月以降の統計を見て、私は年度替わりのタイミングで各企業が上手に価格引き上げ交渉を終えた、と実感していたんですが、その後も本日公表の6月統計までジワジワと上昇幅を拡大し、とうとう+1.2%に達しました。引用した記事にもある通り、消費増税の影響を受けた時期を除くと、バブル崩壊から少し経った1993年1月以来四半世紀振りの高い伸び率を記録したことになります。大分類・小分類で見ると、人手不足を主因として、相変わらず、運輸・郵便が前年比で+2.2%の上昇を示しており、その中で、特に上昇率が高いというわけではないんですが、いかにも人手不足の影響を受けていそうな分類としては、道路貨物輸送が+3.6%の上昇となっています。また、景気に敏感な広告の上昇率は5月統計のマイナスから6月にはゼロを記録しています。同じく、低金利の影響を受けやすいリース・レンタルも今年2018年3月からマイナスが3か月続いていましたが、6月統計ではゼロとなっています。

私の単なる感想に近いんですが、今日発表の企業向けサービス物価指数 (SPPI) や先日公表された企業物価 (PPI) は、いわゆる B to B の取引であり、B to C の消費者物価 (CPI) よりも人手不足を主因とする価格転嫁を受け入れやすいようです。
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2018年07月25日 (水) 22:07:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフの賃金動向やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の6月の調査結果を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の6月度平均時給は前年同月より+1.9%、+19円増加の1,031円となり、職種別では、「販売・サービス系」、「製造・物流・清掃系」、「専門職系」など、全職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、一時期は前年同月比マイナスを記録する月もありましたが、最近では2017年9月からプラスを続けていて、6月は+18円、+1.1%増の1,638円に達しています。最近では、人材確保のために正社員の求人も増加し、正社員有効求人倍率が1倍を超えているんですが、ご同様に、非正規雇用の求人も堅調と考えてよさそうです。
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2018年07月24日 (火) 21:42:00

米中貿易戦争の経済的影響やいかに?

米中の貿易戦争について、大和総研から2本ほどリポートが明らかにされています。6月21日付けの「米中通商戦争はそんなに悪い話なのか?」と7月20日付けの「続・米中通商戦争のインパクト試算」です。結論としては、日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない、ということで、特に、続編では国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し改定見通し」と比較して、国際機関の影響分析は大き過ぎる、と指摘しています。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、「米中通商戦争はそんなに悪い話なのか?」から 関税の影響試算 (総括版) を引用すると上の通りです。「米中財政支出なし」、すなわち、関税によって増加した政府収入を政府支出として還元しないケースでGDPへの影響で見ると、米国経済へのマイナス・インパクトが▲0.06%、中国が▲0.10%なのに対して、我が国へはわずかに▲0.01%にしか過ぎません。関税によって増加した政府収入を政府支出として還元するケースでは、我が国への影響はほぼほぼありません。なお、大和総研のマクロ・モデルの概要については、関税率の上昇が相対的な国際競争力を変動させる結果として輸出入を変動させると同時に、輸入物価の上昇に伴う実質可処分所得の減少を通じて個人消費に下押し圧力をもたらし、結果として落ち込んだ国内生産に応じて設備投資も抑制される構造となっている、と紹介されています。

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続いて、「続・米中通商戦争のインパクト試算」から 各関税措置が貿易コストと世界経済に与える影響試算一覧 の表を引用すると上の通りです。経済協力開発機構(OECD)と国際通貨基金(IMF)といった国際機関の試算結果が示されています。極めて重大な結果を示していると私は考えるんですが、リポートによれば、大和総研は今回の米中関税引き上げに伴う世界の貿易コストの上昇率を0.26%と試算している一方で、国際機関による試算の前提は10%の貿易コスト上昇となっており、この貿易コスト上昇に関する前提の差が結果の差につながっている、とリポートでは指摘しています。もっとも、リポートでも指摘していますが、IMFがG-20に向けて明らかにした G-20 Surveillance Note では、少し修正して、"Tariffs on their own have a smaller effect on global GDP, with a maximum loss of about 0.1 percent relative to the baseline." と、世界GDPへの影響は最大でも▲0.1%と試算しています。

メゾスコピックに見て、個別には影響の大きい産業や業界、あるいは、地域があるのかもしれませんが、大騒ぎしている割には、マクロの世界経済や日本経済への影響は小さいのかもしれません。
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2018年07月23日 (月) 23:28:00

猛暑の経済効果とその反動やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、第一生命経済研から7月17日に「日本経済にも厳しい猛暑」と題して、猛暑の一時的特需とその後の反動減について取りまとめたリポートが明らかにされています。図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、猛暑に当たる時期の一般的な猛暑効果としては、リポートには「過去の猛暑で恩恵を受けた業界」が上の通り示されており、本文中でも、飲料関連需要の高まりやビアガーデン等の盛況が考えられるとし、コンビニをはじめ、小売業界の売上高も猛暑効果で季節商材の動きが活発化することについても期待が示されています。また、外食売上高以外にも、飲料や家電向けを中心にダンボールの販売量も増加が予想され、ドリンク剤やスキンケアの売上好調により製薬関連でも猛暑は追い風となると考えられます。乳製品やアイスクリームの好調推移が期待される乳業関連も猛暑効果は大きく、化粧品関連でも季節商材の好調が目立つところです。逆に、ガス関連は猛暑で需要が減り、医療用医薬品はお年寄りの通院が遠のくこと等により猛暑がマイナスに作用する可能性もある、と指摘しています。
そして、リポートでは、気温も含めた消費関数と輸入関数が推計されており、7~9月期の日照時間が+10%増加すると家計消費支出が+0.39%程度押し上げられ、また、気温に換算すれば、平均気温が+1℃上昇すると、同時期の家計消費支出を約+2,884億円(+0.5%)押し上げる、との試算結果が示されています。

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ただし、猛暑効果の反動もあるとして、リポートには「記録的猛暑後はマイナス成長のジンクス」のグラフが上の通り示されており、本文中でも、猛暑効果により売上を伸ばす財・サービスは暑さを凌ぐためにやむなく出費するものが多く、したがって、今年も猛暑効果で夏に過剰な出費がなされれば、秋口以降は家計が節約モードに入ることが予想されるため、秋以降は注意が必要、と指摘しています。
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2018年07月20日 (金) 23:14:00

18か月連続のプラスを記録した消費者物価(CPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月からやや上昇幅を拡大し+0.8%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の全国消費者物価、0.8%上昇 エネルギー高が影響
総務省が20日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.0と前年同月比0.8%上昇した。上昇は18カ月連続。原油高によるエネルギー価格の上昇が影響した。ただ、エネルギー以外の品目は上昇幅が限られ、物価上昇の勢いは鈍化している。
生鮮食品を除く総合では、全体の52.2%にあたる273品目が上昇した。ガソリン価格や都市ガス代が上昇した。ただ5月に比べると上昇品目数は減少した。
下落は183品目だった。安売り規制による価格上昇の効果が一巡し、ビールなど酒類が下落した。横ばいは67品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.9と0.7%上昇した。まぐろなど生鮮魚介類が値上がりした。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは100.9と前年同月比0.2%の上昇にとどまった。診療代や外国パック旅行費は上昇したものの、通信料が下落した。NTTドコモが5月に新たな携帯電話料金プランを導入したため。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIが前月比で0.1%低下した。物価上昇の勢いは一段と鈍化している。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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ということで、国際商品市況における石油価格の上昇を受けたCPIの上昇幅拡大であり、引用した記事にもある通り、エネルギーを除けば物価上昇は限定的と私も考えています。上のグラフに反映されている私の独自計算による寄与度では、6月のコアCPI上昇率+0.8%のうちエネルギー寄与度が+0.56%と7割を占めます。生鮮食品を除く食料が+0.18%ですので、この食料とエネルギーの除く総合で定義されるコアコアCPIの上昇率は、上のグラフでは赤い折れ線グラフでプロットしてあるところ、ほぼほぼゼロにまで低下しています。ただ、このブログでは旧来の食料とエネルギーを除く総合でコアコアCPIを定義していますが、最近の統計局の定義では、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」となっているようですので、来月あたりからは、このブログでも変更いたしたいと予定しています。脱線してしまいましたが、物価上昇率に話を戻すと、日銀の企業向けサービス物価(SPPI)を見ている限りでは、年度替わりの4月に価格改定がスムーズに進んだような印象だったんですが、この46月期の消費者物価(CPI)を見ると、そうでもない気がします。B to B では価格転嫁がそれなりに理解されるものの、B to C ではまだ消費者の財布のひもは堅い、といったところなのかもしれません。
繰り返しになるものの、石油をはじめとするエネルギー価格に牽引された物価上昇であり、CPIのフレーム外ながら、日銀の企業物価(PPI)や企業向けサービス物価(SPPI)の輸入物価や素原材料からジワジワと中間財や最終財に、そして、消費者物価に波及が見られるものの、コストプッシュの物価上昇で実体経済への影響が懸念される上に、政府のデフレ脱却はともかく、日銀の2%の物価目標からはほど遠く、ホントに石油価格からの波及によるコストプッシュだけで物価が上昇するのがデフレ脱却といえるのかどうか、やや疑問に感じないでもありませんが、いまさら「いいインフレ」と「悪いインフレ」を区別するのも気が引けています。
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2018年07月19日 (木) 20:38:00

2か月振りに黒字を記録した貿易統計の評価やいかに?

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+6.7%増の7兆524億円、輸入額も+2.5%増の6兆3310億円、差引き貿易収支は+7214億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易収支2カ月ぶり黒字 6月7214億円、中国輸出好調
1-6月は5期連続黒字

財務省が19日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7214億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶりで黒字額は66.5%増加した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(5342億円の黒字)を上回った。輸出入ともに増加したが、中国向けの好調を背景に輸出の伸びが上回った。
輸出額は前年同月比6.7%増の7兆524億円だった。19カ月連続で増加した。中国向けの原動機や半導体等電子部品が伸びた。
輸入額は2.5%増の6兆3310億円。原油高を背景に中東から原粗油が増加した。原油の円建て輸入単価は45.0%上昇した。南アフリカから非鉄金属の輸入が伸びたことも寄与した。
6月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=109.86円。前年同月に比べて0.9%円高・ドル安に振れた。
対米国の貿易収支は5903億円の黒字で、黒字額は0.5%増加した。増加は2カ月ぶり。輸出入ともに減少したが、輸入減の影響が上回った。対米輸出の減少は17カ月ぶりとなる。
同時に発表した2018年1~6月の貿易収支は6067億円の黒字だった。黒字は半期ベースで5期連続だが、エネルギー関連の輸入増が響き、黒字額は前年同期比39.9%減少した。
輸出額は6.2%増の40兆1305億円で、上半期としては08年以来の高水準となった。自動車や半導体等製造装置が伸びた。輸入額は7.5%増の39兆5238億円。原粗油や液化天然ガス(LNG)が増加した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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上のグラフを見ても、例えば、下のパネルの季節調整済み系列で見ても、最近時点ではかなりグラフがギザギザになっており、細かな変動があることが読み取れます。特に、輸入額については国際商品市況の変動に連動している可能性が高いと私は受け止めています。ただ、大雑把に見て、輸入額は国際商品市況の上昇とともに緩やかに増加を示している一方で、輸出はかなり横ばいに近くなっています。その輸入の増加傾向についても、もっとも直近で利用可能な6月統計で、原油及び粗油の輸入額は季節調整していない原系列の前年同月比で+20.2%の増加を見せているものの、数量ベースでは逆に▲17.1%の減少を示しており、輸入については、製品輸入は別かもしれませんが、特にエネルギーや非鉄金属などの素原材料の動向については、国際商品市況における価格動向に伴う名目値の変動であり、数量ベースでは大きな変動ではない、というか、むしろ原油及び粗油については価格と数量が逆に動く場合すらある、ということが出来ます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。OECD先行指数に基づく海外の需要動向を見ると、中国では上り坂、先進国の集まりであるOECD加盟国では下り坂となっています。2017年のデータに基づいて極めて大雑把にいって、アジアへの輸出が年間43兆円、そのうち中国向けが15兆円、先進国が北米の16兆円と西欧の9兆円を合わせて25兆円ですから、最近時点での貿易収支を見る限り、上向きの中国需要動向と伸び悩む先進国需要がその時々によって我が国輸出に影響を及ぼしている、ということになります。もちろん、中長期的には米国を起点とする貿易制限的な通商政策、いよいよ始まりそうな貿易戦争のゆくえも気にかかるところです。
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2018年07月18日 (水) 20:12:00

OECD "The Long View: Scenarios for the World Economy to 2060" に見る超長期世界経済シナリオやいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、7月12日に経済協力開発機構(OECD)から "The Long View: Scenarios for the World Economy to 2060" (OECD Economic Policy Papers No.22) と題する超長期世界経済シナリオが公表されています。キチンとした参照文献としての表示は以下の通りです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。



現時点での3%台半ばの成長率は徐々に低下して、特に、中国の世界経済の成長への寄与が縮小し、2060年には2%強に達する見込みですが、先進国とインド+中国といった新興国の成長への寄与のバランスが、ある意味で、よくなる、というか、イーブンに近づいたりもします。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポート p.8 から Figure 1. The baseline scenario in a snapshot のうちの地域別と生産要素別のそれぞれの寄与度をプロットしています。すべてベースライン・シナリオなんですが、上のパネルから明らかな通り、世界経済の成長率は現在の+3%台半ばから2060年ころには+2%強にゆっくりと低下して行きますが、先進国の集まりであるOECD加盟国やインドの寄与度は、それほど大きく低下しない一方で、中国の寄与度が大きく低下するのが読み取れます。加えて、下のパネルからは、労働者1人当たりの資本装備率や労働の効率性については大きな変化ないものの、インプット側の労働投入の寄与が2040年ころからマイナスに転じるのが見て取れます。

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次に、上のグラフはリポート p.14 から Figure 3. Trend real GDP per capita growth, per cent のうちのOECDとBRICSのそれぞれの寄与度をプロットしています。縦軸のスケールが異なるので注意が必要で、すべてベースライン・シナリオなんですが、基本は世界経済の成長率と同じで、インプット側の労働の寄与が小さくなってマイナス化する一方で、資本装備率と労働の効率性による成長が続くんですが、後者の寄与の方が大きくなっています。テーブルの引用はしませんが、国別で潜在的な1人当たりGDPの伸び率は p.15 Table 1. The sources of potential real GDP per capita growth in the baseline scenario で示されています。2018~30年と2030~60年の2期間という極めて大雑把な括りながら、日本に着目すると、両方の期間で日本の潜在的な1人当たりGDPの伸び率はそれぞれ+1.4%と+1.8%であり、そのうちの労働の効率性の寄与が+1.1%と+1.4%、資本装備率の寄与は+0.2%と+0.7%、労働の効率性と資本装備率を足すと1人当たりGDPの伸び率を超えますので、人口減少、というか、労働投入の減少がマイナス寄与しているわけです。

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第1章の導入部と第2章でのベースライン・シナリオの提示を受けて、第3章から第6章の4章をかけて代替シナリオが分析されていて、第6章では自由貿易の重要性を論じているんですが、 上のグラフはリポート p.45 Figure 26. Impact of rising trade protectionism on world trend real GDP per capita を引用しています。いずれもベースライン・シナリオと比較していて、上のパネルが成長率の差、下がGDP水準の差です。貿易自由化が逆戻りして1990年の平均的な輸入関税に戻ると、世界全体の平均で長期的な1人当たりGDPが▲14%押し下げられ、もっとも大きな影響を受ける国々では▲15~20%下がる、と試算されています。また、第6章以外については、第3章では新興国の組織改革をはじめとする構造改革、第4章では先進国の生活水準と構造改革、第5章ではOECD加盟国における財政のサステイナビリティ、がそれぞれ取り上げられています。グラフは引用しませんが、第3章 p.23 Figure 6. Impact of governance reform, convergence in educational attainment and import tariff reductions on real GDP per capita in the BRIICS - decomposition by component では、こういったグラフのタイトルに当たる改革がなされれば、2060年時点でBRICS各国の1人当たりGDPがベースライン・シナリオに比べて+30~50%の上振れとなる、なんて結果が示されていたりします。

2060年をひとつのターゲットにした超長期シナリオの分析ということで、2060年といえば、もしも私が生きていると仮定すれば100歳を超えており、個人としてはこれらの結果を目にすることはかなり困難なところなんですが、それでも、エコノミストとしては興味あるところです。
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2018年07月17日 (火) 19:28:00

国際通貨基金「世界経済見通し改訂見通し」 IMF World Economic Outlook Update やいかに?

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改訂見通し」IMF World Economic Outlook Update, 2018 July が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。リポートの副題は Less Even Expansion, Rising Trade Tensions となっていて、貿易戦争が前面に押し出されていたりします。それほど注目されていなくても、国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴のひとつですので、簡単に見ておきたいと思います。

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IMF のブログサイトから引用した成長率の総括表は上の通りです。世界経済の成長率は2018~19年ともに+3.9%が予想されており、4月時点から変更ありません。ただ、我が国については、発射台の1~3月期の成長率が低かったものですから、2018年の成長率については▲0.2%の下方修正で+1.0%を見込み、2019年は消費増税もあって+0.9%とさらに低い成長を予想しています。
加えて、同じブログサイトから、いくつか印象的な点を引用すると、まず、先行きリスクとしては、世界経済の成長にとって短期的に最も大きな脅威となるのは、現在の貿易摩擦が激化するリスクであり、貿易摩擦が激化すると、センチメントや資産価格、投資に負の影響が生じる、"the risk that current trade tensions escalate further - with adverse effects on confidence, asset prices, and investment - is the greatest near-term threat to global growth." と指摘しています。そして、モデルから、現在脅しに使われている貿易政策が実際に実行され、その結果企業のセンチメントが悪化した場合、世界のGDPは2020年までに現在の予測値を0.5%下回る可能性が示唆されている、"Our modeling suggests that if current trade policy threats are realized and business confidence falls as a result, global output could be about 0.5 percent below current projections by 2020." との試算結果も示しています。
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2018年07月16日 (月) 11:09:00

帝国データバンク「保護貿易に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

7月12日付けで、帝国データバンクから「保護貿易に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 企業の56.9%が日本全体にとって「自由貿易」が望ましいとする一方、国内産業保護を含む「保護貿易」が望ましいとする企業は9.9%にとどまる。他方、自社の属する業界にとっては「自由貿易」が望ましいが43.0%に低下、「保護貿易」は13.1%に上昇
  2. 保護貿易主義による政策が世界的な広がりをみせた場合、自社の業績に「マイナスの影響」があるは28.7%、「プラスの影響」は2.5%にとどまる。また、「どちらともいえない」は38.5%、「影響はない」は12.7%だった
  3. 現在までに、保護貿易主義の高まりについて対応策を実施している企業は0.5%。「対応を検討中」(4.4%)と合わせても、何らかの対応を実施・検討している企業は4.9%にとどまる
  4. 実施・検討している対応策では、「情報収集・分析の強化」が57.0%でトップ。次いで、「仕入先企業の見直し」(32.0%)、「販売計画の見直し」(28.8%)、「自社の商品やサービスの種類・内容の見直し」(26.9%)、「生産計画の見直し」(20.8%)が続く
  5. 「生産計画の見直し」を行っている企業が主に実施・検討している内容は「国内生産の拡大」が30.6%。「販売計画の見直し」では「国内向け販売の拡大」が46.3%。生産・販売計画の見直しは「国内」の拡大を図る傾向


ま、常識的な結果ではないでしょうか。日本経済全体について考えると自由貿易が望ましい一方で、自社業界については保護貿易が望ましい割合がチョッピリ上がり、保護所議が広がるとマイナスの影響がプラスを大きく上回る、従って、国内生産や国内販売の拡大を目指す、ということなんだろうと思います。最後に、リポートから 自社業績への影響 のグラフを以下に引用しておきます。

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米国でのトランプ大統領の当選や欧州各国でのポピュリズムの台頭など、内向きで通商制限的な政策が志向されてきており、実際に米国では関税率が引き上げられ、さらに、その対象国における報復措置の発動が懸念されるなど、保護主義的で通商制限的な政策が着々と実施され、貿易戦争につながる恐れが高まっています。我が国産業界でも何らかの対応が進むのかもしれません。
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2018年07月15日 (日) 14:57:00

東京商工リサーチによる「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果やいかに?

一昨日の7月13日に東京商工リサーチから2018年3月期決算における「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果が明らかにされています。人様の懐具合なのかもしれませんが、とても興味深くて、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、東京商工リサーチのサイトから役員報酬1億円以上開示企業のグラフを引用すると上の通りです。役員報酬額1億円以上の個別開示は2010年3月期から開始されていますが、2018年3月期では企業数は240社、人数は538人に上り、社数は前年を17社、人数は前年を72人それぞれ上回り、役員報酬1億円以上の社数・人数とも過去最高を更新しています。

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まず、東京商工リサーチのサイトから2018年3月期役員報酬額ランキングのテーブルを引用すると上の通りです。役員報酬の最高額はソニーの平井一夫前社長(現会長)の27億1,300万円で、前年より17億9,900万円増加、歴代5位の報酬額でした。報酬内訳は、基本報酬2億4,400万円、業績連動報酬6億4,700万円、ストックオプション4億900万円(付与数20万株)のほか、2018年4月の社長退任に伴う株式退職金11億8,200万円があります。私のようなサラリーマンには驚くばかりの金額です。続いて、2位はソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で20億1,500万円(前年24億2,700万円)、3位は同社マルセロ・クラウレCOOで13億8,200万円(前年開示なし)、4位は同社ラジーブ・ミスラ副社長で12億3,400万円(前年開示なし)と、ソフトバンクグループの3人が名を連ね、5位は武田薬品工業のクリストフウェバー社長の12億1,700万円(前年10億4,800万円)でした。ソニーの平井会長を除いて、上位5人のうち4人は外国人役員が占めています。私には関係のない世界なんだろうという気がします。
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2018年07月13日 (金) 21:14:00

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週月曜日の7月9日に、帝国データバンクから今年上半期の「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされており、失業率が大きく低下するとともに、有効求人倍率が上昇し、正社員の有効求人倍率も1倍を超えて推移するなど、労働市場の需給は逼迫し人で不足が深刻になる中、極めて興味深い結果が示されています。まず、リポートから調査結果(要旨)を5点引用すると以下の通りです。

調査結果(要旨)
  1. 2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生し、負債総額は106億7700万円となった。件数は3年連続で前年同期を上回り、調査開始(2013年1月)以降、半期ベースで最多となり、年間合計で初めて100件を超えた2017年(106件)を上回る勢いとなった
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が38件と過半を占め、前年同期(19件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比26.7%の増加で、最多の19件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が29件(2018年上半期は7件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は26件、「木造建築工事」は23件、「受託開発ソフトウエア」は19件と続いた
  5. 都道府県別の5年間累計では、「東京都」が55件(うち2018年上半期は9件、前年同期5件)と突出している


以下のように、私の興味の範囲ながら、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは人手不足倒産の件数の推移を示しています。2013~15年の3年間は、大雑把に、上半期30件台で年間を通じて70件程度だったんですが、107件を記録した2017年から増加を示して、今年2018年上半期は半期の1~6月で70件に達しています。これらの負債総額は106億7700万円に上り、件数としては半期ごとに前年同期を上回るような勢いです。

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次に、上のグラフは2013年から直近2018年上半期までの5年半累計での倒産件数の上位業種です。細分類になっているようです。通常の産業別では、5年半累計の最多は建設業の139件(構成比33.3%)であり、これに続くのがサービス業123件(29.5%)となり、この2業種で全体の62.8%を占めています。より細かくは上のグラフの通りであり、道路貨物運送29件、老人福祉事業26件、木造建築工事23件、などとなっています。世間一般でいわれている実感通りの結果ではないかと私は受け止めています。

私はエコノミストですので、必ずしも技術には詳しくなく、世間でいわれているようなAIやロボットの活用がどこまで人で不足の労働力を代替できるのか、よく判っていませんが、経済的に冷たく考えれば、人口減少社会の我が国において、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、従って、労働力に対してそれなりの待遇を持って雇用することが出来なければ、そういった企業は、カギカッコ付きながら「非効率」とみなされて市場から退出することとなります。そのすべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
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2018年07月12日 (木) 21:56:00

JTBによる「2018年夏休みの旅行動向」やいかに?

ちょうど1週間前の先週木曜日7月5日にJTBから「2018年夏休みの旅行動向」が明らかにされています。海の日の前日7月15日から8月31日が対象期間です。海外旅行人数は前年比+4.1%増の283万人と過去最高が見込まれる一方で、国内旅行人数は前年並みと予想され、ボーナスは増加も旅行への支出は控えめで、国内は家族で帰省、海外はハワイ・近場アジアが人気、との結果です。
JTBのリポートから2018年夏休みの旅行人数、旅行平均費用、旅行消費額の推計を取りまとめた(表1)を引用すると以下の通りです。

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この夏休みの旅行動向に関する調査は、1969年に調査を開始して以来、50回目だそうです。ご参考まで。
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2018年07月11日 (水) 20:28:00

前月統計からの反動減が思ったほどでもない機械受注と石油価格に連れて上昇する企業物価(PPI)!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、日銀から6月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.7%減の9,079億円を記録しており、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.8%と前月から上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3.7%減 2カ月ぶり減少
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比3.7%減の9079億円だった。減少は2カ月ぶり。4月にあった造船業からの内燃機関の大型案件の受注がなくなった反動が出た。
内閣府は基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
5月の受注額は製造業が1.3%増の4538億円だった。水準としては2008年6月以来の高水準だった。
17業種のうち、5業種が増加した。「化学工業」からの化学機械や風水力機械の受注が増え、受注額は14年7月以来の高水準だった。「電気機械」から、電子計算機などの受注も多かった。
非製造業は0.2%増の4787億円だった。増加は5カ月連続。「建設業」から建設機械の注文が増加した。「運輸業・郵便業」から鉄道車両や道路車両の受注も増えた。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は16.5%増だった。
「統計上、季節調整は需要者別で行っているため、全体の季節調整値とは一致しない」(内閣府)という。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比7.1%増となっている。
6月の企業物価指数、前年比2.8%上昇 原油価格の上昇で
日銀が11日発表した6月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.3で前年同月比2.8%上昇した。前年実績を上回るのは18カ月連続。上昇率は5月の確報値(2.7%上昇)から拡大した。原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品が値上がりし、全体を押し上げた。前月比では0.2%上昇した。
米国が5月に発表したイランへの経済制裁の再開を背景に原油高が進み、ガソリンや軽油の価格が上昇した。中国の環境規制を受け、化学製品の価格も上昇した。
円ベースの輸出物価は前年同月比で3.5%上昇した。前月比では0.1%上昇した。輸入物価は前年同月比で10.5%上昇した。前月比では1.8%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは403品目、下落したのは260品目だった。上昇品目と下落品目の差は143と5月(確報値)の131品目から増えた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注について、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが前月比▲5.7%減でしたので、実績が▲3.7%減とはいえ、決して悲観する見方が広がったわけではありません。加えて、記事にもあるように、もともと4~6月期の見通しは前期比+7.1%増と集計されていて、実は、私はかなり高い伸びなもので実現できるかどうか疑問だったんですが、ひょっとしたら達成できそうな雰囲気もあります。先行指標となる外需も、上のグラフに見られる通り、堅調に推移しています。地合いは強く機械受注は堅調と見ているエコノミストも多そうです。先行きについては、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に向けて設備投資の緩やかな増加が見込まれますが、加えて、人手不足に対応した合理化・省力化投資の増加が想定される一方で、中長期的には、供給制約がどこまで深刻化するか、また、米国に端を発する貿易戦争の様相を呈してきた貿易制限的な通商制約の世界的な高まりが我が国の輸出を通じて、ご個まで機械受注に影響を及ぼすか、おそらく、それなりのネガティブなインパクトあるものと思われますが、にわかには測り難いものがあります。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのうち国内物価の前月比上昇率+0.2%に対する寄与として、石油・石炭製品が+0.15%と圧倒的な大きさを占め、続いて、電力・都市ガス・水道の+0.03%、非鉄金属と化学製品も同じく+0.03%を示すなど、典型的に、エネルギー価格や国際商品市況の上昇に起因した物価上昇と私は受け止めています。ただ、先月の統計公表時には、石油価格は5月の中下旬がピークの可能性があると指摘したんですが、私の見方が間違っていたようで、まだもう少し石油価格は上昇しそうです。私は中国の景気回復の足取りがそこまで、というか、国際商品市況における石油価格をここまで押し上げるだけの伸びを見せるとは思わなかったんですが、中国をはじめとする新興国の景気回復以外の要因で石油価格が上昇しているように思えてなりません。そして、我が国の物価動向は金融政策動向よりもエネルギー価格に敏感に反応しているようです。
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2018年07月10日 (火) 21:12:00

東洋経済オンラインによる「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングやいかに?

先週の木曜日7月5日付けで東洋経済オンラインから「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングの結果が明らかにされています。その頭文字を取ってESGとも略称される分野を重視している企業のランキングで、先行き伸びしろが大きいかもしれない、とマーケットなどで見なされているところです。ということで、以下のテーブルは東洋経済オンラインのサイトから引用しています。

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2018年07月09日 (月) 22:41:00

ようやく下げ止まりに向かう景気ウオッチャーと黒字の続く経常収支!

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.0ポイント上昇して48.1を、先行き判断DIも+0.8ポイント上昇して50.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆9383億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、現状指数が2カ月ぶり上昇 家計動向が改善
内閣府が9日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は48.1と、前の月から1.0ポイント上昇(改善)した。上昇は2カ月ぶり。家計動向関連が改善した。
内閣府は「緩やかな回復基調が続いているもののの、一服感がみられる」と基調判断を据え置いた。
現状判断指数を部門別にみると、家計動向が46.9と前の月から1.7ポイント上昇した。住宅展示場への来場者が増えたとみられ、住宅関連が改善した。「映像家電の売り上げは大型インチを中心に伸びている」(四国の家電量販店)といい、小売り関連も上昇した。
一方、企業動向は49.2と前の月から0.9ポイント低下した。部品が調達できないなど供給制約が厳しく、一般機械業、輸送用機械業などが悪化した。「原油高騰で利益が圧迫されている」(北陸の輸送業)との見方も根強い。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.0で前の月から0.8ポイント上昇した。上昇は2カ月ぶり。家計動向と企業動向が改善した。
家計動向は1.3ポイント改善の49.7だった。猛暑で、飲料や季節家電の販売が伸びるとの期待が強い。「今年は暑くなるとの長期予報もあり、エアコンや冷蔵庫に前年とは違う売り上げが期待される」(東海の家電量販店)。企業動向も、新車販売の増加への期待から製造業を中心に改善した。
半面、雇用動向は2.9ポイント低下の51.8だった。人手不足の厳しさを指摘する声が目立つ。
今回の調査では、近畿地方を中心に6月におきた大阪北部地震の影響を指摘するコメントが増えた。現状判断では「地震以降、来客数が減少している」(近畿の一般レストラン)などのコメントがあった。ただ、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.1ポイント上昇し、改善幅は全国を上回った。
5月の経常黒字、11年ぶり高水準 第1次所得収支は過去最高
財務省が9日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆9383億円の黒字だった。黒字は47カ月連続。黒字額は前年同月に比べて14.5%拡大し、5月としては2007年(2兆1242億円の黒字)以来11年ぶりの高水準となった。第1次所得収支が単月としての最高額を記録した。
海外企業から受け取る配当金や債券の利子を示す第1次所得収支は2兆3980億円の黒字だった。黒字額は23.2%拡大し、比較可能な1985年以降では単月ベースとして最高だった。海外子会社から受け取る配当金など直接投資収益が大きく伸びた。
輸送や旅行といった取引の収支を示すサービス収支は423億円の黒字。輸送収支の赤字幅拡大が響き、黒字額は縮小した。一方で訪日外国人の増加を背景に旅行収支は2113億円の黒字となった。
貿易収支は3038億円の赤字(前年同月は1084億円の赤字)だった。輸入額は13.7%増の6兆6271億円だった。原油高を背景に原粗油の輸入が増えた。輸出額は10.6%増の6兆3232億円。自動車や半導体等製造装置が好調だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でも、とても長くなってしまいました。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウオッチャーは、昨年2017年10~12月期を直近のピークに、今年2018年1~3月期の景気の踊り場を背景に低下を続けていたんですが、6月になってようやく家計や雇用を主たるエンジンとして下げ止まりつつある印象を私は受けています。6月統計については、企業動向関連は製造業・非製造業ともに前月から低下を示しましたが、他方、家計動向関連のうちの高r関連や住宅関連の上昇から、指数全体は上向いています。ただし、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」で据え置いています。マインドが下げ止まりから上向きに転ずるかどうかも、もう少し見極める必要がある、ということなのだろうと受け止めています。また、最近の自然災害、すなわち、大阪北部地震や直近の豪雨災害などの影響は、インバウンドへのインパクトも含めて、まだ十分には織り込まれておらず、関東甲信の早い梅雨明けについても同様の感触を私は持っています。いくつかの景気判断理由を見ても、今夏の天候を前提条件に上げている意見も見受けられ、景気は天気の影響が大きく、物価は国際商品市況の影響下にある、といったところなのかもしれません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。上のグラフを見ても明らかな通り、5月の経常収支の大きな特徴のひとつは貿易収支の黒字が大きく縮小した点です。引用した記事には季節調整していない原系列の統計で貿易収支は赤字と出ていますが、季節調整済みの統計でも5月の貿易収支は黒字ながら大きく縮小しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の値上がりに起因すると考えていますが、原粗油については季節調整済みの系列は公表されていないので、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、原粗油の輸入額は1,514億円に上り前年比は+28.7%増なんですが、数量はわずかに+0.4%の伸びにとどまっています。その差は価格上昇ということになります。いずれにせよ、我が国が長期に景気回復・拡大を続けているのも輸入増加の要因のひとつであり、決して悲観視する必要はないものと私は受け止めています。

 【2018年4月判断】前回との比較【2018年7月判断】
北海道緩やかに回復している緩やかに回復している
東北緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
北陸拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿安定したペースで緩やかに拡大している一部に地震の影響がみられるものの、緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国回復している回復している
九州・沖縄しっかりとした足取りで、緩やかに拡大しているしっかりとした足取りで、緩やかに拡大している


最後に、日銀支店長会議で明らかにされた「さくらリポート」は上の通りです。各地域の景気判断はなぜか前回からすべて横ばいです。ご参考まで。
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2018年07月07日 (土) 08:24:00

米国雇用統計に見る堅調な雇用は貿易戦争でどうなるか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+213千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を上回った一方で、失業率は前月から0.2%ポイント上昇したものの4.0%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事の最初の7パラを引用すると以下の通りです。

June jobs report: U.S. economy adds 213,000 jobs but unemployment rises to 4%
Employment growth was strong for a second consecutive month in June as the economy added 213,000 jobs despite worker shortages and mounting U.S. trade tensions.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey, rose from an 18-year low of 3.8% to 4% as 600,000 Americans, including many discouraged workers on the sidelines, streamed into a favorable job market, the Labor Department said Friday.
Economists expected 195,000 payroll gains, according to a Bloomberg survey.
Many experts have expected job gains to slow because the low employment rate is making it harder for firms to find workers. Also, President Donald Trump has slapped tariffs on imports that have provoked tit-for-tat countermeasures by other countries in an escalating trade war that's starting to unnerve U.S. corporations.
But before Friday's report, monthly additions have averaged about 200,000 this year. And Goldman Sachs says the tight labor market tends to boost hiring in June as companies aggressively target students and graduates.
Average hourly earnings increased 5 cents to $26.98, keeping the annual increase unchanged at 2.7 percent. Pay hikes haven't picked up as much as anticipated in light of the historically low jobless rate, but economists expect annual gains to reach 3 percent by the end of the year.
An acceleration in pay increases could prompt the Federal Reserve to raise interest rates more sharply to head off a spike in inflation. The unchanged 2.7 percent rise in June helps keep the Fed on a gradual path of rate hikes.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、6月の雇用は前月から+213千人増加し、5月の+244千人増と合わせて2か月連続で+200千人増を超え、最近3か月の4~6月の月平均で+200千人増を超えています。失業率は前月からやや上昇して4.0%を記録しましたが、引き続き低水準にあり、米国連邦準備制度理事会(FED)では年内にも3%台半ばにまで低下する可能性が取り沙汰されていると報じられています。要するに、目先のスコープでは米国の雇用は極めて堅調であり、雇用が悪化する見込みは議論されていません。ですから、現時点では今年から来年にかけて年間3回程度の利上げペースが見込まれていて、現状では雇用統計から利上げペースに変更を加える可能性はないと考えるべきですが、他方、貿易戦争と呼ばれるような輸入制限や関税率引き上げなどの通商制限的な政策が導入されれば、目先は米国内での生産が増加することから雇用がさらに拡大する可能性はあるものの、諸外国からの報復措置も考慮すれば、雇用への中長期的な影響は不透明と考えるべきです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、6月は前年同月比で+2.6%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、+2%の物価目標を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であると考えるのが妥当かもしれません。
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2018年07月06日 (金) 23:23:00

6年半の景気拡大を示す景気動向指数とようやく賃金上昇が始まった毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+0.7ポイント上昇して106.9を、CI一致指数は▲1.4ポイント下降して116.1を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+2.1%増の27万5443円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の景気一致指数、4カ月ぶり低下 輸送機器関連など悪化
内閣府が6日発表した5月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント低下の116.1となった。低下は4カ月ぶり。市場予想の中央値(1.4ポイント低下)と一致した。輸送機械の生産や出荷が軟調だったことが響いた。
指数を構成する9系列のうち、速報段階で算出対象となる6系列が指数を押し下げた。前月まで好調だった輸送機器の動きが鈍り、鉱工業生産指数などが落ち込んだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は20カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指標は0.7ポイント上昇の106.9となり、2カ月連続で上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は1.5ポイント上昇の118.8だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
実質賃金1.3%増 5月、1年10カ月ぶり高水準
厚生労働省が6日発表した5月の毎月勤労統計(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月から1.3%増えた。1年10カ月ぶりの高水準だ。人手不足で人材の確保が難しいなか、つなぎ留めるために給与を引き上げている。
名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は2.1%増の27万5443円。伸び率は14年11カ月ぶりの高水準となった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は1.5%増え24万4175円となった。残業代など所定外給与は1.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は14.6%増加した。
賃金が上昇したのは、名目賃金のなかで比重の高い基本給が増えているためだ。厚労省は「特に正社員で基本給が引き上げられている」と指摘する。5月に入り、ベースアップによる賃上げなどが寄与したとみられる。
春季労使交渉による賃上げの効果が浸透するのは6~7月になる。連合の集計によると、賃上げを要求した企業の労使妥結は5月末の時点で約8割。妥結時期に応じて7月ごろまでに賃金に反映される見込みだ。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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景気動向指数について、CI一致指数を中心に見ると、今年1月に前月差▲3.9ポイント下降してドカンと落ちた後、2~4月は前月からプラスを続けた後、5月は前月差でマイナスとなりました。5月統計については、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数がこの順で大きなマイナス寄与を示しました。7か月後方移動平均の前月差は今年2018年に入ってからプラスとマイナスが交互に出現しており、偶数月がプラスで奇数月がマイナスとなっています。特に、今年2018年1~3月期は景気の踊り場で、やや軟調な経済指標が続いたわけですが、4月からはそれなりの景気回復軌道に復したように私は感じていたんですが、まだもう少し時間が景気回復軌道への回帰にはかかりそうな気もしますし、同時に、景気拡大局面が長期に継続して自律的な景気の成熟化の段階に差しかかっているのかもしれません。もちろん、貿易戦争のとば口に立ったかのような海外経済の先行きも気にかかるところです。いずれにせよ、機械的に求められる基調判断は20か月連続の「改善」で据え置かれており、4月まで景気拡大が続いているとすれば、2012年11月を谷とする現在の景気拡張期間は66か月、すなわち、5年半に達したことになります。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。上のグラフのうちでも、一番上のパネルの所定外労働時間は鉱工業生産の動向と整合的です。引用した記事にもあるように、毎月勤労統計で注目すべきは、最近では、賃金なわけですが、季節調整していない原系列の統計の賃金指数で見て、今年に入ってからかなり力強く前年比プラスを続けているのは事実ですし、今年2018年3月に続いて5月にも+2%の上昇率に達しています。上のグラフの中でも、賃金に関する2枚のパネルは、昨年後半あたりから増加幅が大きくなっていることが読み取れると思います。日本経済がデフレを脱して物価が上昇し始め、それにつれて賃金も増加を始めることにより、いわゆる経済の好循環の中で解決されるんだと私は認識しているんですが、いかんせん、ものすごく長いタイムラグを持っているようで、なかなかそういった経済の好循環が目に見える形で明らかにならない恨みはあります。
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2018年07月05日 (木) 20:11:00

シェアリング志向が強いのはどういう人々か?

先週6月25日付けで、ニッセイ基礎研から「シェアリング志向が強いのは誰?」というタイトルでリポートが明らかにされています。pdf の全文リポートもアップロードされています。シェアリング・エコノミーは考え方にもよりますが、従来の伝統的サービスの低価格帯を担い、いわば、「節約志向」の賜物とも考えられているところ、どうも、シェアリング志向が強そうなのは我が家のような家計かもしれないと考え始めています。私のお仕事の方でも、日本経済学会の春季大会の特別セッションにて、「シェアリング・エコノミー計測の論点」と題して学会発表をしてきたところですので、それなりに接点もあり、グラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポートから 図表4 職業別に見た「中古・シェア」志向の強さ を引用しています。見れば明らかな通り、「中古・シェア」志向の強さは男女とも学生が1位、公務員が2位、という結果が示されています。我が家は、女房は別にして、大阪に下宿している下の倅も含めて、私と倅2人は公務員と学生です。まあ、学生は職業というよりも、年代的な属性もあって「中古・シェア」志向が強い可能性はありますが、リポートでは、学生は「できるだけネット」や「中古品でも気にしない」が、また、公務員は「中古品でも気にしない」が、それぞれ「中古・シェア」志向の強さにつながっていると分析しています。ただし、学生と公務員では「中古品でも気にしない」背景は異なるとし、学生はネット購買を好み、ネットの口コミなど多くの情報を見た上で中古品でも気にしない一方で、公務員は堅実・慎重な消費態度から中古品でも気にしない、との見方を示しています。他方、我が家にもいる専業主婦については、家計の節約意識などからか、できるだけレンタルやシェアを利用する意識がやや高いものの、ネットの個人間売買には抵抗が強い、との解釈です。
1万人を対象にした調査結果を基にした分析だそうですので、それなりの代表性は期待できるものの、もちろん、我が家にピッタリと当てはまるかどうかは別問題です。いずれにせよ、なかなか興味深い結果だと受け止めています。
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2018年07月04日 (水) 19:41:00

我が国家計の資産分布は先進各国で比べて不平等なのか?

経済協力開発機構(OECD)から、先月6月21日付けで以下の学術論文が公表されています。

Balestra, Carlotta and Richard Tonkin (2018) "Inequalities in household wealth across OECD countries: Evidence from the OECD Wealth Distribution Database," OECD Statistics Working Papers 2018/01, OECD, June 2018

要するに、OECDの資産分布データベースを基に、加盟各国の家計資産の分布の不平等の度合いをリポートしています。一応、学術論文なんでしょうが、小難しい計量経済学の手法で分析を加えたというよりは、データベースから記述統計を抜き出したリポートに近いと私は受け止めています。OECDのデータベースを中心に置きながら、クレディ・スイスの Credit Suisse Global Wealth Report とか、World Inequality Report との比較も試みています。グラフを引用しつつ、国際比較で我が国の家計資産の不平等の度合いが先進各国と比較してどの程度かを簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、ペーパーの p.10 Figure 2.1. Mean net wealth per household and per person を引用しています。家計当たりの純資産残高でソートしてあり、ルクセンブルク、米国、英国の順となっていて、我が国における家計当たりの純資産残高はOECD加盟国27か国中の9番目であり、加盟国平均よりやや多くなっています。日本経済もやや落ちぶれたとはいえ、まだまだ資産残高では平均より上位につけています。

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次に、上のテーブルは、ペーパーの p.15 Table 2.1. Selected indicators of the distribution of household net wealth を引用しています。ボトム40%のシェアやボトム60%のシェアの起きさで我が国を上回る国はいくつかありますが、逆に、トップ10%のシェア、トップ5%のシェア、トップ1%のシェア、の3項目で見ると、OECD加盟国中で我が国家計はかなり資産分布が平等に見えます。トップ家計のシェアが我が国より低いのはスロバキアくらいで、同等なのもギリシアくらいです。このテーブルの次のページに Table 2.2. Top wealth shares across different international databases も示されていて、クレディ・スイスのデータベースによる比較も利用可能なんですが、いずれにせよ、我が国の家計資産の集中度は先進各国の中で比較してそれほど高くない、という結果が明らかにされています。

通常のエコノミストの感覚でいえば、フローの所得の不平等が積み上がって、このリポートに示されているようなストックの資産の不平等が出来上がるわけですから、フローの所得よりもストックの資産の不平等のほうがより不平等の度合いが大きいと考えるべきです。従って、本リポートの記述統計から、我が国のフローの所得の不平等の度合いは、ストックの資産の不平等とともに、歴史的に見て最近時点で格差や不平等はかなり高まってきている可能性は否定できないものの、繰り返しになりますが、他の先進各国と横断的に比較すれば、高齢化が進んでいる割にはそれほど我が国家計資産の不平等は大きくない、といえるのではないかと私は受け止めています。
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2018年07月02日 (月) 22:42:00

本日公表の6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から▲3ポイント低下して+21を記録した一方で、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+7.9%の増加と3月調査の▲0.7%減から大きく上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景況感、大企業製造業2期連続の悪化 非製造業は改善
日銀が2日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス21だった。前回3月調査のプラス24から3ポイント悪化した。悪化は2四半期連続となる。2期連続の悪化は2012年12月調査以来5年半ぶり。人件費や資材価格の上昇によるコスト高が景況感を下押しした。石油・石炭製品や木材・木製品、自動車などの悪化が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。6月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス22を下回った。回答期間は5月29日~6月29日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス21と横ばいの見通し。市場予想の中央値(プラス20)を上回った。米国と主要国との貿易摩擦に対する懸念が一部に聞かれ、先行き見通しの重荷になった。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=107円26銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス24と前回を1ポイント上回った。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス21だった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス21となり、前回(マイナス22)から低下幅が縮まった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもの。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比13.6%増と、市場予想の中央値(9.3%増)を上回った。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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日銀短観のヘッドラインは大企業製造業の業況判断DIですから、6月調査の短観は企業マインドが悪化した、ということになりますが、他方、大企業非製造業の業況判断DIはわずかながら上向いていますので、全体としての判断は難しいt頃です。しかも、DIの方向性だけでなく、水準まで考え合わせると、現時点ではかなりの高水準にあり、大企業だけでなく中堅企業と中小企業の製造業・非製造業も業況判断DIがプラスを示していますので、決して景況が悪いというわけではなく、水準として景況はいいながらも、方向として悪化に向かっている、という段階なわけです。私の解釈としては、国内経済がかなり好調な一方で、世界経済が米中貿易戦争の開始前夜の様相を呈して来て、従って、輸出への依存の差が製造業と非製造業の景況感の分かれ目に当たっている可能性があります。好調な国内経済を対象としている製造業と不透明感残る世界経済への輸出に一部なりとも依存する製造業の差が業況マインドに出ている可能性があると思います。加えて、国際商品市況における石油や一次産品価格の上昇のため、製造業の業況感が悪化している面もあります。もちろん、長期に拡大を続けた我が国の景気が成熟化し、非製造業よりはやや先行性ある製造業で景況感の悪化が見え始めた、ということも十分考えられます。これは3月調査の短観が公表された時点でも指摘していた点です。いずれにせよ、現時点で、私は決定的な見方が出来かねています。私以外でも、解釈を試みようとしているエコノミストの元来の見方、例えば、楽観派とか悲観派とか、の見方が色濃く出そうな気もします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画は3月調査では実施されていませんが、各種報道によれば、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まった後、6月調査では+7.9%増に大きく上方改定されています。上のグラフを見ても判る通り、6月調査の設備投資計画はこのところはせいぜい+4%増くらいでしたので、今年2018年度の設備投資計画はかなり高い伸びを見込んでいると考えるべきであり、特に、引用した記事にもある通り、大企業に限れば大企業全産業で前年度比+13.6%増と、2ケタ増を見込んでいます。もともと、企業の手元にあるキャッシュフローは潤沢な上に、失業率が2%台前半まで低下した人手不足へ対応した合理化・省力化投資需要の高まり、加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、今年度2018年度の設備投資は期待してよさそうです。
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2018年06月29日 (金) 22:57:00

小幅減産の鉱工業生産指数(IIP)とほぼ完全雇用を示す雇用統計と弱含み続く消費者態度指数!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP) が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、内閣府から消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計は5月の統計であり、消費者態度指数だけは6月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲0.2%の減産を示し、失業率は前月からさらに▲0.3%ポイント低下して1992年以来の2.2%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇して1.60倍と、これまた1974年以来の高い倍率を示しています。また、消費者態度指数は前月から▲0.Ⅰポイント低下して43.7を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産、半導体関連が小幅上昇 市場「需要は依然弱い」
経済産業省が29日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は104.4で前月比0.2%低下したが、市場の注目度の高い半導体関連(電子部品・デバイス工業)は前月比3.4%増(前年同月比3.2%増)と小幅に上昇した。
モス型半導体集積回路(メモリ)やアクティブ型液晶素子(大型)などの生産増が寄与した。経済産業省によると「海外向けの輸出が伸びた」という。
もっとも市場では「世界的に需要が弱い状況は依然変わっていない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との指摘もある。電子部品・デバイス工業は4月が5.7%と大きな低下だったため、「小幅に戻しただけ」(同)との見方だ。
在庫も積み上がっている。5月の生産者在庫率(季節調整値)は前月比5.4%上昇の144.1となった。高水準の在庫はこの先の生産の重しになる。6月の製造工業生産予測指数は1.2%の低下を見込んでいる。
求人倍率44年ぶり高水準 5月1.60倍、正社員は最高
厚生労働省が29日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.60倍で、前月から0.01ポイント上昇し44年4カ月ぶりの高水準となった。うち正社員は過去最高を更新した。総務省が29日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は2.2%と、25年7カ月ぶりの低水準。働く意思のある人なら働ける「完全雇用」の状況が続いている。
有効求人倍率は、全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍で、前の月から0.01ポイント上昇し、過去最高となった。企業が優秀な人材を厚待遇で囲い込むため、正社員採用を増やしていることが背景にある。
新規求人は96万2465人で、前年同月比5.5%増えた。産業別では製造業(9.2%増)や建設業(8.8%増)で伸びが目立った。厚労省は生産が緩やかに回復し、人手を確保する動きが広がっていると指摘している。
求人に対して実際に職に就いた人の比率を示す充足率(季節調整値)は14.7%となり、4月と比べて0.4ポイント上昇した。企業の採用効率は改善したが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
総務省が29日公表した5月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.2%で、4月から0.3ポイント下がった。失業者が減り、就業者数が比較可能な1953年以降で最多の6698万人となり、失業率を押し下げた。男性の正規雇用が増えるなどした影響が大きい。
完全失業率は働きたいのに職がなく求職活動をしている人の比率。求人があっても勤務地など条件が合わない「ミスマッチ失業率」は3%程度とされる。2017年初めから3%以下の「完全雇用」状態が続いている。
6月の消費者態度指数、2カ月ぶり低下 暮らし向きなど悪化
内閣府が29日発表した6月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の43.7だった。低下は2カ月ぶり。「暮らし向き」などの指標が悪化した。内閣府は消費者心理の基調判断は「弱含んでいる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「暮らし向き」が41.9と0.2ポイント低下した。一部日用品などの値上げが消費者心理を冷やした。「収入の増え方」と「耐久消費財の買い時判断」も悪化した。
一方で、雇用情勢の改善を背景に「雇用環境」は48.3と0.1ポイント上昇した。消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は前月と比べて0.1ポイント低い43.2だった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.4ポイント低い81.7%だった。「低下する」は0.1ポイント高い3.3%、「変わらない」は0.2ポイント高い12.6%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は6月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は5987世帯、回答率は71.3%だった。


とても長くなってしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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生産については、5月統計では▲0.2%と4か月振りの減産となりましたが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲1%を超える減産幅が予想されていましたし、製造工業生産予測調査では6月+0.4%、7月+0.8%の増産が見込まれていますので、製造工業生産予測調査の上振れバイアスを考慮するとしても、決して悲観すべき内容ではないと私は受け止めています。加えて、1~3月期には天候不順などもあって、生産も▲1.3%の減産を記録しましたが、4~6月期には、6月の製造工業生産予測指数の結果に含まれる予測誤差を含めても前期比+2%前後の増産に転じる計算になります。ただ、グラフは示していませんが、在庫調整には進展が見られていません。というのは、生産は前月比▲0.2%の減産にとどまっていますが、出荷が▲1.6%減を記録しているからです。輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業で出荷が低下しており、結果的に、鉄鋼業、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業などで在庫が増加していると報告されています。特に、電子部品・デバイス工業では先行き在庫調整の圧力がかかる可能性があります。単純に生産の傾向だけでは評価し切れない部分です。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。失業率がとうとう2%そこそこに低下して来ています。グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も1.10倍と1倍を超えて推移しており、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくらなんでも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、2%台前半の失業率が続くかどうかは不明であり、2%台半ばくらいまで上下する可能性は十分あります。賃金については、、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。しかしながら、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなく個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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さらに、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、「暮らし向き」が▲0.2ポイントの低下、「収入の増え方」が▲0.2ポイントの低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.1ポイントの低下の一方、「雇用環境」が+0.1ポイントの上昇を示しています。賃金上昇が鈍くて「収入の増え方」が前月差マイナスを示した一方で、「雇用環境」はプラスであり、5月の雇用統計とも整合的です。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「弱含んでいる」で据え置いています。

鉱工業生産から見る限り、1~3月期はGDP統計でもマイナス成長でしたが、4~6月期にはプラス成長に回帰しそうです。これで賃上げが加われば、さらにいいセン行くんではないかという気がします。
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2018年06月28日 (木) 19:54:00

商業販売統計の小売販売額は7か月連続で前値実績を上回る!

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.6%増の11兆8370億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は▲1.7%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の小売販売額、前年比0.6%増 判断は据え置き
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、5月の小売販売額は前年同月比0.6%増の11兆8370億円だった。前年実績を上回るのは7カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では、燃料小売業が13.4%増と伸びが目立った。石油製品の価格上昇が要因。飲食料品小売業は0.8%増。肉類や総菜が好調だった。
一方、自動車小売業は2.8%減だった。普通車や小型車の販売が振るわなかった。織物・衣服・身の回り品小売業は4.1%減少した。5月上旬の天候不順で夏物衣服が伸び悩んだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.4%減の1兆5664億円だった。既存店ベースは2.0%減だった。コンビニエンスストアの販売額は0.1%増の9979億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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小売販売額については、季節調整していない原系列で見て昨年2017年11月から7か月連続の前年比プラスを記録していますが、多くのエコノミストが注目している季節調整済みの系列については、今年2018年に入ってから1~3月期には悪天候に起因する生鮮食品の値上がりなどにより足踏み状態にあった一方で、4月には前月比で+1.3%増を記録し、4~6月期の四半期はいいスタートを切った、と先月のブログに書いたんですが、5月が▲1.7%減ですから、元の木阿弥です。ですから、原系列の前年比プラスにもかかわらず、季節調整済み系列の統計も見て、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「横ばい傾向」で据え置いています。特に、季節調整済みの系列の前月比で見て、5月の悪天候で衣類の販売が振るわず、織物・衣服・身の回り品小売業が前月比▲3.4%減を記録し、4月に前月比+5.3%増を見せた自動車小売業も5月は▲1.1%減と落ち込みました。国際商品市況における石油価格の上昇に伴って燃料小売業が前月比+1.6%とプラスになったほかは、軒並み前月比マイナスとなりました。
参考情報ながら、この商業販売統計ではサービスの比重が極めて低くなっていますので、本日公表の統計からは情報を得られませんが、5月のゴールデンウィークの天候条件、すなわち、雨と低温については、どこまでサービス消費に影響を及ぼしているか、また、6月中旬の大阪府北部地震の影響など、トピック的にはややサービス消費にはネガな要素が目につき、私は気にしているところです。
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2018年06月27日 (水) 19:52:00

6月調査の日銀短観予想やいかに?

来週7月2日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2018年度の設備投資計画に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。どうでもいいことながら、前回まで設備投資計画の予想を出していなかった三菱総研が、今回からページ数も倍増の2ページとして設備投資計画の予想も出すようになりました。私のような利用者サイドでは結構なことなんですが、一部のエコノミストが酷使されているのかもしれません。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+24
+23
<▲0.7>
n.a.
日本総研+23
+23
<+4.5%>
2018年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比+4.5%と、前回調査対比+5.0%の上方修正を予想。キャッシュフローが潤沢ななか、既存設備の維持・更新投資、人手不足を背景とした合理化・省力化投資を中心に、設備投資需要も引き続き堅調。とりわけ、中小企業・製造業では、6月時点としては異例のプラス計画となるなど、設備投資に対する前向き姿勢が鮮明に。
大和総研+22
+23
<+2.9>
2018年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+2.9%と、前回の3月日銀短観(同▲0.7%)から上方修正されると予想した。6月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、高水準の企業収益が設備投資に対して引き続きプラスに作用する一方で、2018年に入ってからのグロ―バル金融市場の動揺や米中貿易摩擦の激化、さらには人件費などのコスト上昇を背景とする先行きの業績不透明感が重石となり、概ね例年の修正パターン並みの結果になると想定した。前年度比や修正パターンを総じてみると、6月日銀短観で見る日本企業の設備投資計画は堅調な内容になると想定する。
みずほ総研+22
+23
<+5.1%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比+5.1%と、3月調査(▲0.7%)から上方修正され、例年よりも高めの伸びを予想する。
製造業については、海外経済の回復に伴い老朽設備を切り替える更新投資が見込まれるほか、IoT化や人手不足などを背景に、半導体製造装置や産業用ロボットへの設備投資意欲も高まるとみられる。非製造業については、製造業と同様に人手不足を背景とした自動化・省力化投資需要が高まっていることに加え、オリンピックに向けた建設投資やインバウンド対応投資が引き続き行われていくだろう。
ニッセイ基礎研+22
+24
<+4.2%>
2018年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比4.2%増と予想(前回調査時点では前年比0.7%減)。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が極めて強い。また、最近の設備投資関連指標は、良好な企業収益を受けた投資余力の改善や人手不足に伴う省力化投資などが追い風となり、概ね改善を示していることから、実勢としても底堅い投資スタンスが維持されていると見込まれる。従って、前回調査に続いて例年と比べて高めの伸び率が示されるだろう。
なお、貿易摩擦への懸念は設備投資計画の抑制要因になり得るが、事態は未だ流動的であり、今のところ計画への影響は限定的と見ている。
第一生命経済研+20
+21
<大企業製造業+13.8%>
2018年度の設備投資は、3月調査の時点から底堅かった。大企業・非製造業は例年3月はマイナス計画なのに、3月は0.8%増であった。このプラス幅は、6月はより拡大するだろう。大企業・製造業は、元々2桁の伸びになる傾向があり、今回もその流れを引き継ぐとみられる。中小企業も、製造業がより好調となるだろう。
マクロの設備投資は、1-3月に少し弱めとなったが、相対的には企業のキャッシュフローが安定して増える中で、その一定部分が振り向けられるかたちになるだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+23
+24
<大企業全産業+9.7%>
2018年度の大企業の設備投資計画は、製造業では前年比+16.0%、非製造業では同+6.0%と、増加計画がさらに上方修正される見込みである。いずれもこの時期に年度の設備投資計画が確定することから上方修正される傾向があるが、それを勘案しても上積み額が大きい。製造業では、人手不足への対応や生産性向上のための投資に対するニーズが強く、足元でも機械受注が増加している。非製造業でも、人手不足への対応のための情報化投資の増加や、東京オリンピック関連需要の高まりが押上げ要因になっていると考えられる。
中小企業については、製造業は前年比+5.0%、非製造業が同-20.0%と、ともに上方修正が見込まれる。例年、計画は調査を経るごとに上方修正される傾向があるが、製造業の計画が6月調査時点でプラスとなるのは、前年の水準が低く、アベノミクスへの期待が高まった2013年度以来である。非製造業は例年並みのペースで上方修正されるであろう。
三菱総研+23
+23
<+4.2%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+4.2%と予測する。生産性向上を目的とする情報化関連投資に加え、老朽化する設備の維持・更新投資、人手不足の深刻化を背景とする自動化・省力化投資などへのニーズの高まりが、企業の設備投資計画の押し上げ要因となろう。
富士通総研+22
+22
<+3.7%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比3.7%と、3月調査から上方修正されると見込まれる。高水準の企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。景気拡大長期化に伴い、能力増強投資が行われているほか、人手不足を補う省力化投資に対する企業の意欲も衰えていない。また、IoT関連の投資拡大も顕著になっている。2018年度の設備投資計画は、大企業を中心に3月調査で過去の平均を上回る水準からスタートしたが、6月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。


ということで、多くの機関が企業マインドの低下を予測しています。そして、大企業に限ってなのかもしれませんが、非製造業よりも製造業の低下幅の方がより大きい、というのも緩やかながらコンセンサスがありそうです。大企業レベルでは非製造業の景況感の低下は見られない、むしろ上向く可能性すら示唆されているように私は受け止めています。大企業製造業の景況感の低下幅もそれほぼ大きいわけでもなく、どこまで悲観的な受止めをするかは、むしろ、受け止める方のスタンスを反映している部分も考慮すべきかもしれないと思うくらいです。そして、私の注目する設備投資については、ほぼほぼ一致して6月調査で大きく上方修正されると見ています。特に、大企業製造業では2ケタ増が見込まれており、短観の統計のクセとして6月調査での上方改定がありますが、例年並み、もしくは、例年を超える上方改定を見込む期間が多くなっています。
下の画像はニッセイ基礎研のリポートから全規模全産業の設備投資計画のグラフを引用しています。

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2018年06月26日 (火) 22:36:00

企業向けサービス物価 (SPPI) は先月に続き+1%の上昇!

本日、日銀から5月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。前月と同じ上昇幅を維持しつつ+1.0%を記録しています。プラスの上昇は59か月、すなわち、5年近くになります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、1.0%上昇人件費上昇や原油高が波及
日銀が26日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.6と、前年同月比で1.0%上昇した。上昇は59カ月連続。設計などの土木建築サービスと外航貨物輸送を中心に、人手不足や原油高に伴うコスト増を取引価格に転嫁する動きが強まった。
製造業の設備投資意欲の高まりでソフトウエア開発の受託料金も上昇した。このほか化粧品メーカーや旅行会社の出稿増で新聞広告の価格も上がった。
一方で指数は前月比では0.1%下落した。ホテルの新規開業による供給増で宿泊サービスの価格が下落したことが響いた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは80品目、下落は33品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は47品目で前月の53品目から縮小した。


簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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先月のSPPI公表の時点でも指摘したんですが、4月速報では前年同月比上昇率が+0.9%で、4月確報になって+1.0%、さらに、今日公表の5月速報も同じく+1.0%ですから、制度的な要因として、年度初めの4月にいくつかの値上げが実行されたことが容易に想像できます。さらに、4月速報時点で前年同月比マイナスを記録した広告、さらに、前年比保合いだった情報通信が4月確報でプラスに転じています。ただ、リース・レンタルだけは4月確報でもマイナスのままです。ということで、繰り返しになりますが、4月の年度初めの時点で価格改定が進んだことが読み取れ、背景として、デフレ・マインドの払拭が進んだ可能性が高いのではないか、と私はとても好意的に受け止めています。引き続き、5月も+1.0%の上昇率を記録し、特に、運輸・郵便は石油価格の上昇も相まって前年同月比+2.3%と高い上昇率となっています。ただ、景気に敏感な広告が4月速報に続いて5月速報でも前年同月比▲0.6%を記録していますが、来月の確報でどのように改定されるか、また、好調な滑り出しを見せたワールドカップ・サッカーに一部なりとも連動する広告の価格動向についても、来月の統計公表時に確認したいと思います。
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2018年06月25日 (月) 21:19:00

今年の株主総会集中日は今週木曜日の6月28日!

東証から、3月期決算会社株主総会情報が明らかにされており、今年の株主総会集中日は6月28日で30.9%と、昨年2017年の29.6%かややや反転しています。東証のサイトからグラフを引用すると、以下の通りです。

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集中度のピークだった1995年の96.2%から20年余りかけて徐々に低下を示してきましたが、大和総研のリポート「株主総会集中率の低下に限界感」などによれば、30%程度が低下の限度ではないか、と議論されています。ご参考まで。
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2018年06月22日 (金) 23:14:00

エネルギー価格の上昇により消費者物価 (CPI) 上昇率は17か月連続でプラスを記録!

本日、総務省統計局から5月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+0.7%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の全国消費者物価0.7%上昇 伸び幅は横ばい
総務省が22日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.0と前年同月比0.7%上昇した。原油高でガソリン価格や電気代が上昇したものの、携帯電話の通信料などが下落し、上昇幅は前月比で横ばいにとどまった。
生鮮食品を除く総合では、全体の53.7%にあたる281品目(4月は282品目)が上昇し、178品目が下落した。横ばいは64品目だった。上昇は17カ月連続となったものの、上昇の勢いは鈍い。
生鮮食品を含む総合は101.0と0.7%上昇した。まぐろやたこなど生鮮魚介類が値上がりした。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは101.1と前年同月比0.3%上昇した。人件費などの上昇で、回転ずしや焼き肉など外食代が上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、コアCPIの前年同月比上昇率で+0.7%でしたので、ジャストミートし市場に何らサプライズはありませんでした。今年2018年2月にコアCPI上昇率が+1.0%に達してから、ジワジワと上昇幅が縮小し、4~5月には+0.7%にまで達しています。ですから、1~3月期には天候条件にともなう生鮮食品の価格上昇もあった一方で、現時点では一時ほどは物価上昇の痛みのようなものは家計は感じていない可能性もあり、消費に対しては家計の過度の節約志向の緩和を通じてプラスの効果を及ぼす可能性が十分ある、と私は考えています。ただ、同時に、日銀のインフレ目標である2%からはかなり遠いという実感もあります。

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5月のコアCPI上昇率+0.7%は、あくまでマクロのレベルの話であり、家計の直面する物価の実感とはやや差がある可能性も私は感じ始めています。すなわち、上のグラフは上のパネルから順に、一番上が基礎的・選択的支出別消費者物価上昇率、そして、下の2枚は購入頻度別消費者物価上昇率なんですが、真ん中のパネルが月間1回程度以上と未満、一番下のパネルが頻繁(年間15回以上)とまれ(年間0.5回未満)のそれぞれのグラフです。見れば明らかなんですが、2017年以降くらいの最近時点では、選択的支出よりも基礎的支出の上昇率が高く、購入頻度の高い品目の方が上昇率が高くなっています。ですから、家計が実際に直面する買い物の際の物価上昇率の実感はマクロ+0.7%上昇より高い可能性が十分あります。それにしては、賃金上昇が物足りませんので、マクロの物価上昇が生鮮食品価格の高騰の落ち着きなど含めて、物価上昇率が低下し始めたにしては、家計の消費への効果がマクロの物価上昇率の落ち着きほどには現れない可能性も否定できません。日銀の物価目標に達しない現状も良し悪しかもしれません。
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2018年06月21日 (木) 19:58:00

楽天コミュニケーションズによる「民泊運営事業者向け意識調査結果」やいかに?

先週金曜日の6月15日から、都道府県への届け出を義務付け、年間180日以内との規定を盛り込んだ住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されていますが、6月13日付けで楽天コミュニケーションズから「民泊運営事業者向け意識調査結果」が明らかにされています。事業者向けのアンケート調査ということで、サンプル数が300と極めて少なく誤差が大きそうな気もしますが、注目のシェアリング・エコノミーの主要分野ですので、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、楽天コミュニケーションズのサイトから 今後、運営物件数を増やしたいか の結果を引用しています。「大幅に増やす」と「増やす」という回答は合わせて47.3%となり、民泊物件オーナーの半数近くが運営拡大を予定していることが明らかとなっています。6月15日付けの日経新聞のサイトでは、「民泊市場、低調の船出」と題して、Airbnb のサイトのリスティング民泊登録物件数が62千件から25千件に大きく減少した、なんぞと報じられていたりするんですが、「減らす」と「大幅に減らす」は合わせても10%しかありません。まさか、と思いますが、いわゆる「ヤミ民泊」に流れたりするんでしょうか。

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次に、上のグラフは、楽天コミュニケーションズのサイトから 180日を超える場合の活用方法 の結果を引用しています。見れば明らかな通り、ウィークリーマンション、スペース、マンスリーマンション、として貸し出しをするというのが大きな割合を占めています。ほかに、民泊運営におけるオーナーの不安として、「騒音問題など近隣とのトラブル」、「鍵の受け渡し」などが上げられていますが、これらは、楽天コミュニケーションズの「あんしんステイIoT」のサービスを売り込むための宣伝文句だという気がします。インターネット上の無料の情報はかなりの程度に宣伝を含むものだということを改めて実感しました。
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2018年06月20日 (水) 19:39:00

ゴールドマン・サックスの予想するワールドカップ・サッカー優勝チームやいかに?

ワールドカップ2018ロシア大会が開幕し、昨夜は我が日本代表がコロンビアに快勝して興奮冷めやらぬところですが、いくつかの報道でも取り上げられている通り、人工知能 AI を用いたゴールドマン・サックスによるワールドカップ・サッカー優勝チームの予想 The World Cup and Economics 2018 が話題になっています。AI を用いて100万回のシミュレーションを行ったという触れ込みで、以下に引用したテーブルのように、ブラジルの優勝確率 18.5%、フランス11.3%、ドイツ 10.7%、ポルトガル9.4%、スペイン 8.2% などと予想しています。ちなみに、我が日本の優勝確率はわずかに 0.4% とはじき出されていおり、さらに、予選リーグ H 組で日本は0勝1引き分け2敗でセネガルとともに予選敗退と予想されていますが、すでにコロンビアを破って勝ち点3を上げており、ゴールドマン・サックスの予想は綻びを見せています。

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実は、前回2014年ブラジル大会の際にも、ゴールドマン・サックスは同じように The World Cup and Economics 2014 において、AI ではなく統計モデルからブラジルの優勝確率 48.5% という圧倒的な数字を明らかにしていましたが、結果は優勝確率 11.4% と3番手につけたドイツが優勝しました。さて、どこまで当てに出来ますことやら。一応、「経済評論のブログ」に分類しておきます。
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2018年06月19日 (火) 23:27:00

大阪北部地震の震度6弱の地域に企業は3万8,322社 (東京商工リサーチ調べ) !

昨日2018年6月18日付けの東京商工リサートのサイトによれば、大阪北部地震により震度6弱が観測された大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市に企業は3万8,322社が存在しており、産業別の内訳は以下の通りです。これも同じサイトから引用しています。

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これだけでは、全国平均と比較した特徴は不明なんですが、大阪市北区は大阪高裁や地裁があり、法律事務所や司法書士事務所が多い、といわれています。また、東京商工リサートのサイトでは、「個人企業まで含めた資本金1億円未満の中小・零細企業は3万7,755社(同98.5%)に達する」ことを明らかにしています。中小・零細企業は、大企業ほど外部ショックに耐久力がないケースが少なくないと考えられ、東京商工リサーチでも「外的要因への対応力も弱い」と指摘しています。
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2018年06月18日 (月) 22:41:00

赤字を記録した5月の貿易統計は原油高の影響か?

本日、財務省から5月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+8.1%増の6兆3233億円、輸入額も+14.0%増の6兆9016億円、差引き貿易収支は▲5783億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の貿易収支、3カ月ぶり赤字 原油高などで
財務省が18日発表した5月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5783億円の赤字だった。赤字は3カ月ぶり。前年同月に比べて赤字額は2.8倍になった。輸出入ともに増加したが、原油高などを背景に輸入の伸びが上回った。
輸入額は14.0%増の6兆9016億円だった。2カ月連続で増加し、5月としては過去最高となった。原油価格の上昇を受けて原粗油が増加。航空機類や医薬品といった品目の伸びも寄与した。
輸入額を国・地域別でみると、米国、欧州連合(EU)、アジア、中国がそれぞれ5月としての最高額を記録した。原粗油の輸入額は前年同月比28.6%増の6794億円。円建ての輸入通関単価は28.1%上昇した。
輸出額は8.1%増の6兆3233億円。18カ月連続で増加した。自動車や半導体等製造装置の増加がけん引した。
5月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=109.08円。前年同月に比べて2.1%円高・ドル安方向に振れた。
対米国の貿易収支は3407億円の黒字で黒字額は17.3%減少した。減少は2カ月ぶり。対EUは1238億円の赤字、対アジアは3459億円の黒字、対中国は2802億円の赤字だった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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上のグラフを見ても判る通り、今年に入ってから、輸出額と輸入額がかなり近接して来ており、従って、貿易収支は黒字になったり、赤字になったりと、決して、従来のように黒字一辺倒とか、赤字一辺倒という形にはなっていません。そして、下のパネルの季節調整済み系列のグラフを見る限り、赤い折れ線の輸入額の伸びが続いている一方で、青い折れ線の輸出額が伸び悩んでいることが貿易収支の動向に寄与していることは明らかです。輸入の増加が続いているのは国際商品市況における石油価格の上昇が要因となっており、例えば、もっとも直近で利用可能な5月統計で、原油及び粗油の輸入額は季節調整していない原系列の前年同月比で+28.6%の増加を見せているものの、数量の伸びはわずかに+0.4%にしか過ぎません。大部分が国際商品市況における石油価格動向に伴う名目値の変動であり、数量ベースでは大きな変動ではない、ということが出来ます。ただし、引用した記事にもある通り、ジワジワと円高が進行しており、輸出入に対する為替の影響が出始めている可能性も否定できません。

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ということで、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出については、今年になってから中華圏の春節効果により大きな変動があった後、OECD先行指数に基づく海外の需要動向を見ると、中国では上り坂、OECD加盟国では下り坂となっています。5月の貿易統計については、4月に船舶の大型案件があった反動を指摘するエコノミストもいますが、2017年のデータに基づいて極めて大雑把にいって、アジアへの輸出が年間43兆円、そのうち中国向けが15兆円、先進国が北米の16兆円と西欧の9兆円を合わせて25兆円ですから、最近時点での貿易収支を見る限り、上向きの中国需要動向と伸び悩む先進国需要がその時々によって我が国輸出に影響を及ぼしている、ということになります。もちろん、中長期的には米国を起点とする貿易制限的な通商政策の方向性も気にかかるところです。
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2018年06月17日 (日) 14:52:00

米朝首脳会談に関する海外論調やいかに?

世紀の米朝首脳会談が6月12日に開催されて、私も専門外ながらそれなりに注目していたんですが、いくつか海外論調を集めてみました。あくまで、自分自身の覚書のためながら、ご参考まで。



まったくのついでながら、Wall Street Journal のサイトが報じたG7サミットでのトランプ米国大統領の安倍総理に対する暴言は以下の通りです。報じられた記事の関連するパラだけ引用しています。

The U.S. president jarred some with blunt observations. At one point, Mr. Trump brought up migration as a big problem for Europe and then told Mr. Abe, "Shinzo, you don't have this problem, but I can send you 25 million Mexicans and you'll be out of office very soon," according to the senior EU official who was in the room. A sense of irritation with Mr. Trump could be felt, "but everyone tried to be rational and calm," the person said.
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2018年06月14日 (木) 19:55:00

博報堂生活総研「家族30年変化」調査結果の第1弾夫婦の力関係の変化やいかに?

6月11日に博報堂生活総研から「家族30年変化」調査の結果として第1弾の夫婦の力関係の変化が明らかにされています。まあ、ブログのタイトルですから「いかに?」としてしまったんですが、リポートの副題は「妻は強く、夫は弱くなった30年」とされており、夫婦間の力関係はこの30年で明らかに夫から妻にシフトしています。わざわざ調査するまでもないという気もしますが、簡単に図表を引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、博報堂生活総研のリポートから、この30年間における 家庭の総合的な決定権 の推移をプロットしています。30年前の1988年は「主に夫」が72.4%で、「主に妻」が10.1%だったんですが、今年2018年には「主に夫」が38.7%に低下する一方で、「主に妻」が30.3%に上昇しています。ついでながら、グラフの引用は控えますが、年代別では「妻が30代以下」の夫婦で、今回2018年調査ではじめて「妻 > 夫」の逆転が生じ、「主に妻」が36.0%に対し、「主に夫」が33.3%を記録しています。ほかに、家庭の事柄の決定権として、妻が働きに出ることの決定権、親と同居することの決定権、子どもの名前の決定権、子どもを何人生むかの決定権、夫の友人・知人を家へ招くことの決定権、妻の友人・知人を家へ招くことの決定権がりぽーとされており、また、理想の夫婦像と現実の夫婦像のそれぞれについて、亭主関白/友達夫婦/カカア天下の構成比の30年間の推移、さらに、夫婦の依存意識などについての結果が報告されています。調査結果はとてもリアルで現実感あふれるものとなっていると感じるのは私だけではないような気がします。
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2018年06月13日 (水) 19:57:00

マクロミルによる「新社会人の意識調査 (2018年)」の結果やいかに?

毎年、新入社員の意識調査についてはいくつか参照しているんですが、マクロミルの「新社会人の意識調査 (2018年)」について、簡単に取り上げておきたいと思います。まず、マクロミルのサイトからTOPICSを5点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 新社会人の59%が、"第1希望"に就職。過去11年間で最高
  • 就職先へのイメージ、入社前と「ギャップがあった」44%。ギャップの内容で最多が「残業が多い」
  • 3割超が、"就職先がブラック企業ではないか"と感じたこと「あり」
  • 管理職以上の役職志望率、新社会人全体では62%。男性は79%、女性は45%
  • 理想の職場を各ランキングの1位から再現! 社長「内村光良」、上司・先輩「城島茂」、同期「大谷翔平」、後輩「神木隆之介」


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いくつかマクロミルのサイトから図表を引用すると、上の折れ線グラフは 第1希望への就職率 をプロットしています。一昨年2016年の50.5%や昨年2017年の50.0%から、今年2018年は58.5%に大きくジャンプしています。リーマン・ショック直前の2008年よりも高い水準です。ここ何年か就活は人手不足の売り手市場といわれてきましたが、特に今年2018年は第1志望への就職率にそれが現れているようです。

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次に、マクロミルのサイトから 就職先に対する、入社前のイメージとギャップ内容 上位5位 を引用すると上のグラフの通りです。「残業が多い」で28.7%、次いで、「仕事がつまらない」と「給与が少ない」がともに25.3%、「有給休暇が取得しづらい」20.7%、「研修内容が不十分」19.5%と続いています。

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次に、マクロミルのサイトから 勤め先が「ブラック企業ではないか」と感じた経験の有無 のグラフを引用すると上の通りです。最近2年間、すなわち、2017-18年で社会的関心の高まりとともに30%を超えるようになっています。
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2018年06月12日 (火) 22:56:00

堅調な企業マインドを反映する法人企業景気予測調査と石油価格につられて上昇幅を拡大した企業物価!

本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が、また、日銀から5月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期の+3.3の後、4~6月期には▲2.0とマイナスを記録していますが、先行きについては、7~9月期は+6.9に、また、10~12月期は+7.9と、それぞれプラスに戻ってそのプラス幅を拡大すると見通されており、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.7%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月の大企業景況感、マイナス2.0 7-9月はプラス6.9
財務省と内閣府が12日発表した法人企業景気予測調査によると、4~6月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス2.0だった。マイナスは4四半期ぶり。前回調査の1~3月期はプラス3.3だった。
先行き7~9月期の見通しはプラス6.9となった。4~6月期は大企業のうち、製造業がマイナス3.2で、非製造業はマイナス1.4だった。中小企業の全産業はマイナス10.6だった。
2018年度の設備投資見通しは前年度比5.4%増だった。設備投資見通しは前回調査では6.5%減となっていた。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。
5月の企業物価指数、前年比2.7%上昇 原油高が押し上げ
日銀が12日発表した5月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.1で前年同月比2.7%上昇した。前年実績を上回るのは17カ月連続。上昇率は4月の確報値(2.1%上昇)から拡大し、1月以来の高水準だった。原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品が値上がりし、全体を押し上げた。前月比では0.6%上昇した。
原油高で電力・都市ガス・水道のほか、化学製品の価格も上昇した。アルミニウム価格の上昇でアルミニウム合金など非鉄金属の価格も上昇した。
円ベースの輸出物価は前年同月比で2.4%上昇した。前月比では1.1%上昇した。輸入物価は前年同月比で6.5%上昇した。前月比では2.7%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは401品目、下落したのは254品目だった。上昇品目と下落品目の差は147と4月(確報値)の124品目から増えた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、繰り返しになりますが、統計のヘッドラインとなる景況判断BSIについては、4~6月期には▲2.0とマイナスを記録しました。前回調査から4~6月期にはプラス幅を大きく縮小させる元の予想されていましたし、先行きについては、7~9月期は+6.9に、また、10~12月期は+7.9と、それぞれプラスに戻ってそのプラス幅を拡大すると見通されているわけですので、ハードデータ的に1~3月期の景気が冴えなかったのがマインドのソフトデータに反映されたのではないかと私は受け止めています。その他のマインドデータで興味あるところは、まず、6月末の時点における雇用に関しては不足超が大企業で18.8%、中堅企業が33.1%、中小企業が29.5%となっており、製造業と非製造業の差は大きくありませんが、規模別には中堅・中小企業が大企業に比べて採用に苦労しているのが読み取れます。また、設備投資計画については、全規模全産業でソフトウェアを含み土地を除くベースで、前回調査では今年2018年度は▲6.5%減と見込まれていたところ、今回調査では投資計画が固まって来たのか、+5.4%増に大きく上方修正されています。ほとんどが製造業のプラスで、非製造業は昨年並みという計画となっています。7月に入れば6月調査の日銀短観が明らかになりますが、引き続き、年度後半にかけて企業マインドは堅調と考えてよさそうです。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比上昇率で見て、4月確報の+2.1%から5月速報では+2.7%と上昇幅を拡大しています。3月4月と国内物価上昇率は+2.1%が続き、基本的に、為替が円高に振れた影響と私は考えていたんですが、5月については逆に円安の進行と国際商品市況における石油価格上昇の影響が大きいと考えるべきです。季節調整していない前月比上昇率で見ても、国内物価のうち上昇幅が大きいのは、ガソリンなどの石油・石炭製品+0.28%、電力・都市ガス・水道とキシレンなどの化学製品の+0.10%となっています。また、国内物価以外でも石油価格の影響の強い輸入物価上昇率は円ベースの前年同月比で見て、3月+1.7%、4月+5.0%のぞれぞれ上昇から、5月には+6.5%までプラス幅を拡大しています。もっとも、円安も石油価格上昇も足元では5月中下旬には反転の兆しを見せており、金融政策動向よりもよっぽど物価への影響力の強い石油価格の動向には目が離せません。
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