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2018年10月19日 (金) 23:11:00

消費者物価(CPI)上昇率はエネルギー価格上昇により+1%に到達!

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや上昇幅を拡大して+1.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の全国消費者物価、1.0%上昇 原油高でエネルギー価格が上昇
総務省が19日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.3と前年同月比1.0%上昇した。上昇は21カ月連続。原油高の影響で、エネルギー価格が上昇した。
上昇率が1%台となるのは今年2月以来。総務省は「緩やかな上昇傾向は変わらない」とみている。
生鮮食品を除く総合では、上昇は全体の50.9%にあたる266品目だった。電気代やガソリン代が上がった。秋冬物の衣料品の価格も、前年に比べて上昇した。
下落は186品目、横ばいは71品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.7と1.2%上昇した。8月の天候不順でトマトなど生鮮野菜が値上がりした。一部乳製品も引き続き高い。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは101.1と前年同月比0.4%上昇した。欧州向け旅行が好調で、外国パック旅行費が上昇した。
ただ、携帯電話の通信料は下落率が拡大した。大手通信会社の割安な料金プランの導入に加え、格安スマートフォン事業者が実質的な値下げを実施した。生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIの上昇幅は8月(0.4%上昇)と同水準にとどまった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは前月比で同水準だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、コアCPIの前年同月比上昇率で+1.0%でしたので、ジャストミートしました。企業物価についても同様の理由、すなわち、国際商品市況における石油価格の上昇の影響などから、7月、8月、9月と3か月連続での企業物価のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+3%を記録する一方で、消費者物価(CPI)の上昇ペースもやや加速しています。ただ、物価上昇がマイナスを続けるデフレ脱却はまだしも、日銀のインフレ目標である+2%とはまだ差があります。加えて、物価動向について考えるべき点が2点あります。第1に、先行き物価の動向については、先々月のブログで取り上げたように、携帯電話通信料の4割引き下げ、さらに、教育の無償化により物価上昇幅が大きく下振れする可能性があります。この点は先々月8月24日付けのブログで詳しく論じています。第2に、エコノミストはついつい日銀の物価目標のターゲットである生鮮食品を除くコアCPI上昇率に目が行きがちなんですが、実は、台風などの自然災害もあって、家計が実際に直面する生鮮食品を含むヘッドラインのCPI上昇率はコアCPI上昇率よりも高い点は忘れるべきではありません。すなわち、ヘッドラインCPI上昇率は8月+1.3%、9月+1.2%となっています。別の観点から、グラフは省略しますが、9月の前年同月比で見て、ぜいたく品に近い選択的支出に相当する物価上昇が+0.3%であるのに対して、国民生活に必要度合いの高い基礎的支出に相当する物価上昇が+2.1%となっており、また、月間1回程度以上購入する財・サービスの上昇率が+3.1%と月間1回程度未満の+0.8%を上回っており、おそらく、生活実感として物価上昇が統計よりも大きく受け取られている可能性が大きいんではないか、と私は懸念しています。もしそうだと仮定すれば、生活実感の物価上昇の高さに起因して消費が伸び悩む可能性もあります。この懸念を払しょくする必要十分条件は、物価統計とは別の次元ながら、賃金の上昇であることはいうまでもありません。
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2018年10月18日 (木) 19:56:00

22か月振りに輸出が前年比マイナスを記録した9月の貿易統計について考える!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.2%減の6兆7266億円、輸入額は+17.0%増の6兆5871億円、差引き貿易収支は+1396億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の輸出、22カ月ぶり減 自動車や通信機など振るわず 貿易統計
財務省が18日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1396億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測(中央値は528億円の赤字)に対して3カ月ぶりの黒字となったが、前年同月と比べた黒字額は78.7%減少した。自動車や通信機などが振るわず、輸出が22カ月ぶりに減少した。原油高を背景にした輸入額の増加も続いた。
輸出額は前年同月比1.2%減の6兆7266億円だった。オーストラリア向け自動車や中国向け通信機などのマイナス寄与度が大きかった。米国向けの鉄鋼も大幅に減少した。
輸入額は同7.0%増の6兆5871億円。6カ月連続で増加した。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が伸びた。原粗油の円建て輸入単価は49.7%上昇した。
財務省の担当者は「台風21号による関西国際空港(関空)の閉鎖で貨物輸送に影響が出た」と説明した。同省によると、関空の同月の輸出額は58.0%減の2336億円、輸入額は70.8%減の1061億円だった。
9月の対米国の貿易収支は5903億円の黒字で、黒字額は4.0%減少した。減少は3カ月連続。輸出は建設用・鉱山用機械などが振るわず0.2%減、輸入は原粗油やLNGなどが伸びて3.1%増となった。
対中国の貿易収支は3702億円の赤字だった。輸出は1.7%減と7カ月ぶりに減少した。
9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=111円13銭。前年同月に比べて1.5%円安・ドル高に振れた。
同時に発表した2018年度4~9月の貿易収支は2220億円の黒字だった。ただ、黒字額は前年同期に比べ88.1%減少した。輸出は半導体等製造装置などの伸びで5.2%増、輸入は原油高などを背景に10.0%増となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、輸出額がマイナスで輸入額はプラスながら、差し引きの貿易収支は3か月振りの黒字を記録しています。ただ、上のグラフの下のパネルの季節調整済みの系列で見れば、輸出入ともに前月から減少しているのが見て取れます。もちろん、米中間の貿易摩擦に伴う世界貿易の縮小が早くも我が国の貿易に現れた、というわけでもないんでしょうが、世界的に先進国経済が景気拡大局面の成熟化が進み拡大テンポがかなり低下している、ハッキリいえば、景気後退が近づいている可能性がある、というのは事実なんだろうと受け止めています。そして、その唯一の原因ではないでしょうが、少なくとも、世界的な貿易摩擦が世界景気の下振れリスクをより大きくしているのも事実であろうと考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の統計で見て、輸出がほぼ2年振り、すなわち、22か月振りに前年比マイナスを記録しています。先月の貿易統計を取り上げたブログでは「21ヶ月連続で前年比で伸びています」と書いた記憶がありますが、とうとうその連続の伸びも終わったわけです。上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。

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最後に、貿易統計ともやや関係して、一昨日10月16日に世界経済フォーラムから 2018 Global Competitiveness Index 4.0 が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされていますが、上の画像はトップ10を世界経済フォーラムのインフォグラフィックスから引用しています。米国、シンガポール、ドイツ、スイスに次いで、我が国は世界競争力ランキングの5位に入っています。
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2018年10月17日 (水) 19:47:00

ピュー・リサーチによる米国中間選挙前の世論調査結果やいかに?

来月の米国中間選挙 Midterm を前に、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから一昨日10月15日付けで、Little Partisan Agreement on the Pressing Problems Facing the U.S. と題する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。タイトル通りに、トランプ米国大統領の与党共和党と野党民主党の間で、米国の直面する課題に対する合意は余りないようです。以下、ピュー・リサーチのサイトから両党の候補者を明記して比較したグラフをいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから With few exceptions, wide partisan differences over the seriousness of problems facing the United States を引用しています。すなわち、米国の直面する課題のうちで重要と考えるものを上げてあります。上から4項目、すなわち、マイノリティの扱い、気候変動、銃犯罪、貧富の格差、さらに、一番下の違法移民の計5項目で両党の候補者の間で 'very big' problem と考える差が50%超と大きくなっています。もちろん、上の4項目は民主党候補が重要と考える一方で、一番下の違法移民だけは共和党候補の方が重要と捉えています。また、差は大きくないんですが、薬物中毒、連邦政府赤字、テロなどでは共和党候補が民主党候補を上回って重要視しているのが見て取れます。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisan differences in self-described identities and affiliations を引用しています。すなわち、候補者自分自身のアイデンティティや所属です。やはり目立つのが、一番上のライフル協会への指示で、共和党候補者が民主党候補者を大きく上回っており、逆に、一番下のフェミニストという点では民主党候補者が共和党候補者を大きく上回っています。米国の伝統的な価値の保有とか典型的米国人と自分自身を位置付けている候補者は、やや共和党が民主党を上回っているものの、いずれも50%を超えていて多数派といえます。他方、既婚者が私の感覚では少ないような気がしますし、典型的米国人はもっと毎週教会に通っているのかと思っていました。

今回の調査結果では、候補者だけでなく両党の支持者の属性などについても分析していて、"Wide education divide among Democratic voters in shares saying it really matters who wins in 2018" すなわち、民主党支持者の間では高学歴になるほど今回の米国中間選挙の重要性が高いと考えている、などの結果が明らかにされています。いつもの通り、経済評論のブログに分類しておきます。
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2018年10月16日 (火) 21:08:00

ニッセイ基礎研「中期経済見通し (2018-2028年度)」を読む!

先週金曜日の10月12日にニッセイ基礎研から「中期経済見通し (2018~2028 年度)」と題するリポートが明らかにされています。文字通りの約10年間の中期予想なんですが、政府の名目GDP600兆円はやや後ズレしつつも2023年度に達成される一方で、日銀の物価目標である+2%には期間中に到達しない、と示唆しています。まず、やや長くなりますが、リポートから分析結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 2008年秋のリーマン・ショックをきっかけとした世界金融危機が発生してから10年が経過した。先進国のGDPギャップは2018年には10年ぶりにプラスに転じる見込みだが、潜在成長率はリーマン前の水準を回復しておらず、世界経済が完全に復調したとはいえない。
  2. 今後10年間の世界経済は3%台半ばから後半の成長が続くと予想するが、米中貿易戦争が激化し、世界的に保護主義的な政策が広がった場合には、世界経済が大きく落ち込むリスクがある。
  3. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、女性、高齢者の労働力率の上昇、外国人労働力の拡大から労働力人口は増加が続いている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2028年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均と同程度の伸びになると予想する。名目GDPの伸びは平均2.0%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。デフレに戻る可能性は低いが、日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいだろう。


ということで、リポートの全容はほぼ上の要旨に尽くされているんですが、私自身の興味の範囲で、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから、ヘッドラインとなる実質GDP成長率の推移のグラフを引用すると上の通りです。なお、消費税率については2019年10月に10%に、2025年4月に12%に、それぞれ引き上げられることを想定しています。2012年度と2025年度に小さな成長率の低迷があるのは、前者は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後の反動であり、2025年度は消費税率引き上げの影響です。リポートにも、予測期間である10年間の実質GDPの平均成長率は+1.0%と明記しています。ですから、おおむね潜在成長率に近い水準での実績成長率と私は受け止めています。グラフは引用しないものの、潜在成長率についてもリポートに示されており、足元から予測期間中ほぼほぼ+1%近傍であると見込んでいます。

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次に、リポートから、名目GDPと実質GDPの予測のグラフを引用すると上の通りです。名目GDPに着目すると、足元の2018年度から3年間の名目成長率は平均1.8%と見込まれており、10年間の予測期間では名目GDP成長率は平均+2.0%と予想し、名目GDP600兆円の達成は2020年ころという政府目標から2023年度までずれ込むものの、名目GDP600兆円には到達するものと見通しています。まあ、当然です。

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他方、日銀物価目標のコアCPI上昇率+2.0%は予測期間内には達成できず、10年間のコア消費者物価上昇率は平均+1.3%を見込んでいます。リポートから、消費者物価(生鮮食品を除く総合)の予測のグラフを引用すると上の通りです。東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年度にはGDPギャップは+1%程度にまで達するものの、その翌年2021年度の反動によるマイナス成長で需給バランスが悪化するという予想となっています。

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最後に、リポートから、経常収支の推移のグラフを引用すると上の通りです。これは私の信念みたいなものですが、私は高齢化の進展とともに経常収支は必ず赤字化すると考えています。この私の見方が裏付けられており、来年度の2019年度から貿易収支が赤字化し始め、予測期間終盤2027年度から小幅ながら経常収支は赤字化すると予想しています。

最後に、いつもニッセイ基礎研のリポートと私が意見が合うのは消費低迷の原因であり、今回のリポートでも p.12 の日本経済の見通しの冒頭ページ第3パラで「消費低迷長期化の理由として、家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄が挙げられることも多いが、これは消費停滞の主因ではない。直近(2016年度)の家計の可処分所得は現行のGDP統計で遡ることができる1994年度よりも2.3兆円少ない。一方、2017年度の家計消費支出の水準は1994年度よりも10%以上高く、このことは家計が貯蓄を減らして消費にまわしていることを意味する。消費低迷の主因は可処分所得の伸び悩みにあると考えられる。」と指摘しています。私もまったくその通りだと考えています。
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2018年10月12日 (金) 21:26:00

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週火曜日10月9日に帝国データバンクから「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。年度上半期の9月までの件数や負債総額などが入手可能となっています。負債総額は減少しているものの、倒産件数は前年同期比+40.7%の大幅増を示し、2年連続で前年同期を上回っており、2013年度の調査開始以降で半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた昨年2017年度(114件)を上回るペースで倒産が発生しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円にのぼった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は27件、「木造建築工事」は26件、「労働者派遣」は21件と続いた
  5. 都道府県別の5年半累計では、「東京都」が62件(2018年度上半期13件、前年同期5件)で突出している


pdfの全文リポートもアップされており、図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポートから人手不足倒産の件数を引用しています。見れば明らかなんですが、2018年度上半期の人手不足倒産は76件発生しており、負債総額は110億42百万円に上っています。この期間で、負債総額は前年同期から▲42.3%の減少を示しているものの、倒産件数は+40.7%の大幅増を記録しています。帝国データバンクでは、2013年度から人手不足倒産の記録を取り始めているんらしいんですが、2018年度上半期までの5年半の期間で、人手不足倒産は累計447件、負債総額は946億95百万円に上っています。

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2013年度からの5年半の期間の人手不足倒産を産業別に見ると、累計の最多は建設業で148件、33.1%となっていて、サービス業が132件、29.5%でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めています。上のグラフは、リポートから5年半の期間でのもう少し細かい業種細分類別上位10業種を取り上げています。何となく判る気がするんですが、道路貨物運送が累計で38件で最多となっています。通販市場の拡大などで配送需要が高まる中、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化に陥り、倒産に至ったケースが目立つようです。続いて、老人福祉事業は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から5年半で27件発生しています。

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最後に、上のグラフは、リポートから5年半の累計で見た都道府県別の人手不足倒産の件数を示しています。こういった経済事案では規模に連動する場合が多く、東京都がトップなのは当然という気もします。少子高齢化の進行により、人手不足はこの先も一定の期間に渡って継続する可能性が高く、それなりの経営努力が求められるとはいえ、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、人手不足に対応しきれない場合は市場から退出することとなります。すべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
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2018年10月11日 (木) 20:41:00

高止まりする石油価格の影響で企業物価の国内物価上昇率は+3%が続く!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じかつ3か月連続で同じ上昇率を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 原油相場が上昇
日銀が11日発表した9月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.0となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。伸び率は8月確報から横ばいで、21カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比26.4%上昇した。鉄鋼が同3.9%、金属製品は同3.1%上昇した。
一方、非鉄金属は同1.7%下落した。米中間の貿易摩擦の激化に伴い、需要が押し下げられるとの懸念が背景にある。
今後の企業物価動向については「米中間の貿易摩擦に収束の兆しが見えず、需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。


続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は9月統計でも7~8月と同じ+3.0%でした。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。例えば、上のグラフのうち一番下のパネルではPPIのコンポーネントである輸入物価の原油価格の指数と前年同月比上昇率をプロットしていて、指数も上昇率も直近では7月がピークだったんですが、まだ9月統計で指数と上昇率ともに高止まりしているのが現状です。ごく一般的にいってながら、PPIは消費者物価(CPI)よりも国際的な動向の影響を強く受けますので、国際商品市況を別にしても、引用した記事にもある通り、米中間の貿易摩擦をはじめとする貿易動向の影響が価格面でどのように現れるのか、やや気がかりです。貿易摩擦の影響については、関税を引き上げた当該国ではその輸入品が当然に国内で価格が上昇する一方で、当該国以外では需給が緩んで価格下落につながる可能性が高いと私は考えていますが、加えて、先日取り上げた国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し」で指摘しているように、貿易摩擦の激化は世界全体の成長率を下振れさせる可能性が高く、その面から需給関係を緩和させてさらに価格下落の方向に圧力がかかる可能性がありますし、もちろん、個別の国によっては、貿易構造や産業構造などに起因して、いろいろと複雑な要素があります。
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2018年10月10日 (水) 19:43:00

2か月連続で増加した機械受注は基調判断を上方改定!

本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比で見て、7月+11.0%の大幅増に続いて、8月も+6.8%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、8月6.8%増 基調判断「持ち直しの動き」
市場予想上回る

内閣府が10日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.8%増の9815億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4.2%減だった。
うち製造業は6.6%増、非製造業は6.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は12.6%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは7月の2ケタ増の反動減を織り込んで、8月は▲4.2%減と見込んでいたんですが、実績では逆に+6.8%増とかなりの伸びを示しており、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」を削除して「持ち直しの動き」に半ノッチ上方改定しています。基調判断のかいていは4か月振りだそうです。産業別に見て詳細はともかく、大くくりで、7月のコア機械受注2ケタ増のうち、製造業・非製造業とも2ケタ増を示し、加えて、8月の+6.8%増も製造業・非製造業とも+6%増ですから、決して、特殊要因による一時的な増加などの偏った受注増との印象はありません。また、7~9月期の見通しは前期比▲0.3%の見込みとなっているんですが、一定の反動減が予想される9月統計が前月比▲20%を超えるくらいの減少であってもこの見込みを超える計算になり、達成はほぼ確実な状況となっています。基本的に、日銀短観の設備投資計画に見られるように、人手不足などを背景に企業の設備投資の意欲は旺盛であり、機械受注統計のクセとして単月で振れの激しい点を差し引けば、引き続き、機械受注は緩やかながら増加のトレンドにあるものと私は考えています。
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2018年10月09日 (火) 23:22:00

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し」は貿易摩擦により成長率を下方修

今週末からインドネシアのバリ島で開催されるIMF世銀総会を前に、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook, October 2018 が公表されています。pdfの全文リポートもアップされています。今年2018年の世界経済の成長率は、7月の「世界経済見通し改定」から▲0.2%ポイント下方修正して+3.7%と見込んでいます。

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まず、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。なお、上の画像をクリックすると、別タブでリポート pp.14-15 の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したファイルが開きます。ということで、Exective Summary の書き出しは、"The steady expansion under way since mid-2016 continues, with global growth for 2018-19 projected to remain at its 2017 level. At the same time, however, the expansion has become less balanced and may have peaked in some major economies." となっていて、景気局面が成熟化からピークアウトに達しつつある可能性を示唆しています。成長率見通しについては、繰り返しになりますが、世界経済の成長率については、4月の「世界経済見通し」、7月の「世界経済見通し改定」でも、2018年、2019年ともに+3.9%から、今回の最新見通しでは▲0.2%ポイント下方修正されて、+3.7%と見込まれています。米中間の貿易摩擦の影響により成長率が下振れすると見込まれています。他方、我が国成長率については、今年2018年は4月時点の+1.2%が、7月には+1.0%に下方修正された後、今回の10月見通しでは+1.1%に上方修正されています。ついでながら、2来年2019年の我が国の成長率見通しは一貫して+0.9%と見込まれています。今年よりも低下するのは、2019年10月からの消費増税を織り込んでいるからです。

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さて、世界経済の成長率が下方修正された主因は、米中間の貿易摩擦の激化なんですが、貿易摩擦を5つのシナリオ別に実質GDPの乖離により計測した結果が上のグラフの通りです。リポート p.35 Scenario Figure 1. Real GDP in Trade Tensions Scenario を引用しています。黄色い自動車などの関税引き上げあたりからは、ほぼ、どの国も得をしない、ということになりそうなのですが、さすがに、米中両国では中国のダメージの方が大きく、また、米国よりもNAFTAメンバーのダメージの方が大きくなりそうな試算です。我が国と欧州は世界全体と大きな差はなさそうにも見えます。

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内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下して48.6を、先行き判断DIも▲0.1ポイント低下して51.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8384億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。
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2018年10月06日 (土) 08:21:00

米国雇用統計で雇用者増は鈍るも失業率は半世紀ぶりの低水準を記録!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+134千人増と、市場の事前コンセンサスだった+180千人の増加という予想を大きく下回って伸びが鈍化した一方で、失業率は前月とからさらに低下して3.7%となり、1969年12月の3.5%以来、約半世紀ぶりの低い水準を記録しました。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added 134,000 jobs in September, unemployment falls to nearly 50-year low
Unemployment fell to a nearly 50-year low in September even as employers added a disappointing 134,000 jobs amid increasing worker shortages and possible effects from Hurricane Florence.
The unemployment rate fell from 3.9 percent to 3.7 percent, lowest since December 1969, the Labor Department said Friday. The rate is calculated from a separate survey of households than the job growth figure.
Economists had estimated 185,000 new jobs were created last month, according to a Bloomberg survey.
Goldman Sachs expected the hurricane to reduce employment by 33,000 in the Carolinas. But Morgan Stanley said the storm likely affected too limited of an area and struck too late during the week of Labor's survey to have a meaningful impact. Workers are counted as employed as long as they show up for any part of their pay period.
Yet employment in leisure and hospitality, which includes hotels and restaurants, fell 17,000 last month, suggesting the storm was a factor.
"The headline payroll number is a weather story," Ian Shepherdson, chief economist of Pantheon Macroeconomics, wrote in a note to clients.
The number of workers across the country who stayed home because of weather increased by 276,000 last month on a non-seasonally adjusted basis, compared to a median 7,000 rise over the past 10 September jobs report, says Jim O'Sullivan, chief US economist of High Frequency Economics.
Still another wrinkle is that Labor tends to undercount September employment in its initial estimate and revise it up later, O'Sullivan says.
On the positive side, payroll increases for July and August were revised by a total 87,000. July's gain was raised from 147,000 to 165,000 and August's from 201,000 to 270,000. That largely offsets the weak September showing.
Meanwhile, the labor market faces other challenges. Businesses are having a harder time finding qualified job candidates. Many analysts expect the crunch to slow hiring in the months ahead despite strong economic growth.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、9月の米国非農業部門雇用者増は8月の+270千人増から大きく鈍化して+134千人増にとどまった一方で、失業率は8月の3.9%からさらに低下して3.7%と約半世紀振りの低い水準を記録しています。雇用者増の鈍化と失業率の低下は一見して非整合的な動きなんですが、ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的といえます。そして、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。もちろん、個人消費支出(PCE)デフレータは8月に前年同月比+2.2%まで上昇幅を拡大しており、物価上昇圧力も増しています。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げを継続して対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。
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2018年10月05日 (金) 23:38:00

改善が続く景気動向指数と13か月連続の賃金上昇が続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.5ポイント上昇して104.4を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇して117.5を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%増の27万6366円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 自動車出荷など改善
内閣府が5日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント上昇の117.5だった。上昇は4カ月ぶり。自動車や半導体製造装置の出荷が改善した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列のうち5系列が指数を押し上げた。耐久財消費財出荷指数が乗用車と二輪車の改善で上昇した。投資財出荷指数も半導体製造装置の好調を背景にプラスに寄与した。小売業の商業販売額も猛暑の影響でコンビニエンスストアの飲食料品を中心に増加した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は23カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.5ポイント上昇の104.4と3カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント上昇の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
8月の名目賃金、前年比0.9%増 増加は13カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が5日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、8月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万6366円だった。増加は13カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.4%増の24万3809円だった。残業代など所定外給与は1.0%増。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.4%減だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.6%減だった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1137円。パートタイム労働者比率は横ばいの30.70%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています

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CI先行指数は3か月振りの上昇、CI一致指数も4か月振りの上昇を示し、CI一致指数は3か月後方移動平均、7か月後方移動平均とも前月のマイナスから上昇に転じています。従って、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正される条件は、かなり機械的ながら、3か月後方移動平均の符号がマイナスかつマイナス幅が1か月、2か月、3か月の累積で1標準偏差以上ということですので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いており、23か月連続の「改善」となっています。なお、CI一致指数のうち、プラス寄与は大きい順に、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)となっており、逆に、マイナス寄与の絶対値が大きい順に並べると、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が上げられています。また、CI先行指数でプラし寄与が大きいのは最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数です。景気動向指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、いずれにせよ、景気拡大は5年半を超えて6年に近づきつつあり、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、9月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて日を改めてアップしたいと思います。
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2018年10月04日 (木) 19:42:00

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」分析編を読む!!

昨日、国際通貨基金(IMF)から来週のIMF世銀総会に向けて、「世界経済見通し」分析編 World Economic Outlook, October 2018: Analytical Chapters が公表されています。少し長くなりますが、章ごとのタイトルとサマリーを IMF のサイトから引用すると以下の通りです。

Chapter 2: The Global Recovery 10 Years after the 2008 Financial Meltdown
This chapter takes stock of the global economic recovery a decade after the 2008 financial crisis. Output losses after the crisis appear to be persistent, irrespective of whether a country suffered a banking crisis in 2007-08. Sluggish investment was a key channel through which these losses registered, accompanied by long-lasting capital and total factor productivity shortfalls relative to precrisis trends. Policy choices preceding the crisis and in its immediate aftermath influenced postcrisis variation in output. Underscoring the importance of macroprudential policies and effective supervision, countries with greater financial vulnerabilities in the precrisis years suffered larger output losses after the crisis. Countries with stronger precrisis fiscal positions and those with more flexible exchange rate regimes experienced smaller losses. Unprecedented and exceptional policy actions taken after the crisis helped mitigate countries’ postcrisis output losses.
Chapter 3: Challenges for Monetary Policy in Emerging Economies as Global Financial Conditions Normalize
Inflation in emerging market and developing economies since the mid-2000s has, on average, been low and stable. This chapter investigates whether these recent gains in inflation performance are sustainable as global financial conditions normalize. The findings are as follows: first, despite the overall stability, sizable heterogeneity in inflation performance and in variability of longer-term inflation expectations remains among emerging markets. Second, changes in longer-term inflation expectations are the main determinant of inflation, while external conditions play a more limited role, suggesting that domestic, not global, factors are the main contributor to the recent gains in inflation performance. Third, further improvements in the extent of anchoring of inflation expectations can significantly improve economic resilience to adverse external shocks in emerging markets. Anchoring reduces inflation persistence and limits the pass-through of currency depreciations to domestic prices, allowing monetary policy to focus more on smoothing fluctuations in output.


お手も長くなりましたので、これだけでもういいんではないかという気もしますが、国際機関のリポートに注目するのはこのブログの特徴のひとつでもありますし、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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この第2章では、リーマン・ショック後の10年を振り返って、直後の景気後退 Great Recession が現時点まで継続的な影響を有している、と指摘しています。すなわち、1982年の世界的な景気後退の際には、購買力平価で換算して世界GDP46パーセントを占める48国が景気後退によるGDPの低下を経験したのに対して、2008年のリーマン・ショック後の2009年には世界経済の⅔に当たる91国がGDPを減少させた、としています。上のグラフはリポート p.73 から Figure 2.1. Correlation of GDP Deviations between Periods (Percent) を引用しています。景気後退直後と現時点に近い期間でのGDPの乖離がの相関係数が0.9ほどですので、ほぼ一致しているといえます。要するに、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ国は今でも落ちたまま回復し切れていない、ということになります。

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第3章では、2000年代半ばまでのディスインフレ期を経て、現在の米国金利引上げに象徴されるような金融政策の正常化が進んでいる時期に、インフレの落ち着きのサステイナビリティを検証しています。長期的なインフレ期待が実際の各国のインフレ率のバラツキにつながる一方で、インフレ率が落ち着いたままの水準を続け、為替のパススルーが限定的であれば、金融政策はマクロ経済の安定化政策に割り当てる余地が出来る、と指摘しています。なお、上のグラフはリポート p.73 から Figure 3.1. Headline Consumer Price Index Inflation (Percent) を引用しています。2004年でディスインフレが終了し、その後、直近の2015年以降では、新興国が引き続きディスインフレが継続している一方で、先進国が少しずつジワジワとインフレ率を上昇させていて、金融政策の正常化を進める必要性が大きくなったのが見て取れます。
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2018年10月03日 (水) 20:11:00

楽天インサイト「副業に関する調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週9月27日に、楽天インサイトから「副業に関する調査」の結果が明らかにされています。私は公務員なので副業は原則として許されていないんですが、この調査結果では、有職者の約3割が副業経験あり、副業未経験者の約4割が今後副業をする意向、という結果が示されていたりします。

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まず、グラフは引用しませんが、副業経験については、「現在副業をしている」と回答した人は14.1%、「過去に副業をしたことがある」は16.6%、「副業をしたことがない」は69.3%となり、現在と過去で約3割が副業を経験したことがあるという結果になっています。その上で、上のグラフは副業内容の回答結果を楽天インサイトのサイトから引用しています。「投資(株式、不動産、仮想通貨など)」(13.5%)と回答した人が最も多く、次いで「接客・販売」(9.9%)、「不動産運用」(9.2%)、「ネットオークション・フリマアプリによる販売」(9.2%)が多くなっています。また、これもグラフは引用しませんが、現在副業をしている人に、副業をしている理由を聞いたところ、「給料が足りないため」(47.5%)と回答した人がもっとも多いとの結果に続いて、「趣味、生きがいのため」(36.9%)、「仕事がなくなったときの保険のため」(17.7%)となっています。加えて、会社の人(同僚・上司・人事)が副業をしていることを知っているかどうかについては、「知っている」が54.6%と過半に上っています。公務員の私にはちょっとびっくりです。

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最後に、上のグラフは現在副業をしていない理由楽天インサイトのサイトから引用しています。「体力的に余裕がないから」、「時間がないから」、「やりたい副業がないから」、「会社で禁止されているから」などが上げられています。私はどれにも当てはまるような気がします。ただし、もう半年足らずで定年退職ですから、一気に収入ゼロに陥ることは避けたく、そろそろ年明けくらいになったら、副業ならぬ次の働き口を探し始めたいとは考えています。
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2018年10月02日 (火) 23:19:00

4か月振りに上昇した消費者態度指数は反転したと考えるべきか?

本日、内閣府から9月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.1ポイント上昇して43.4を示しています。4か月ぶりに前月を上回っています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の消費者態度指数、4カ月ぶり改善 基調判断据え置き
内閣府が2日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比0.1ポイント上昇の43.4と4カ月ぶりに上昇した。「耐久消費財の買い時判断」に関する指標が改善した。内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「耐久消費財の買い時判断」が42.4と前月比0.4ポイント上昇した。新型「iPhone(アイフォーン)」の発売が影響したとみられる。「収入の増え方」も41.9と0.1ポイント上昇した。
一方、「暮らし向き」の指標は41.5と0.2ポイント低下した。地震や台風の被害があった北海道や近畿で悪化が目立った。
「雇用環境」は横ばいの47.7だった。消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は0.8ポイント高い43.4となった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.1ポイント高い81.7だった。「低下する」は0.2ポイント高い3.4%、「変わらない」は0.7ポイント低い12.2%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は9月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6130世帯、回答率は73.0%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、、「耐久消費財の買い時判断」が+0.4ポイント上昇し42.4、「収入の増え方」が+0.1ポイント上昇し41.9 となった一方で、「暮らし向き」が▲0.2ポイント低下し41.5、「雇用環境」が変わらず47.7となっています。最近半年余りの動向でも、直近のピークは昨年2017年11月から今年2018年1月の3か月連続で44.6で横ばいを示した後、先月まで緩やかに低下した後、9月はわずかながら上昇したものの、最近までの低下傾向が反転したのかどうかは現時点では何ともいえない気がします。9月調査の日銀短観に反映された企業マインドは、ヘッドラインの大企業製造業で見る限り、3四半期連続で下げているのは昨日取り上げたばかりです。ということで、直近の消費者マインドの低下については、西日本豪雨といった災害の影響も反映しているんでしょうが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では9月の消費者マインドの基調判断を「弱い動きがみられる」と、8月統計の公表時に半ノッチ下方修正したままで据え置いています。
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2018年10月01日 (月) 21:29:00

3四半期連続で大企業製造業の業況判断DIが悪化した9月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から9月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは6月調査から▲2ポイント低下して+19を記録した一方で、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+8.5%の増加と6月調査の+7.9%の増加からさらに上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業・製造業の景況感3期連続悪化 日銀短観
日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス19だった。前回6月調査のプラス21から2ポイント悪化した。悪化は3四半期連続だった。3四半期連続の悪化は、2007年12月調査から09年3月調査までの6四半期連続の悪化以来となる。台風21号や北海道地震など相次いだ自然災害や、原材料価格の上昇などが業況感を下押しした。石油・石炭製品や窯業・土石製品、繊維などの悪化が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス21を下回った。回答期間は8月27日~9月28日で、回収基準日は9月10日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と横ばいの見通し。市場予想の中央値(プラス20)を下回った。先行きについては米国と主要国との貿易摩擦が激化するとの懸念が根強く、生産用機械などに慎重な雰囲気が残っている。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=107円40銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス22と前回を2ポイント下回った。業況感の悪化は16年9月調査以来8四半期ぶり。台風や地震など自然災害の影響と、それを背景とした国内外の旅行客の減少、人手不足による人件費の上昇などコスト増が逆風となった。3カ月先のDIは横ばいのプラス22だった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回(マイナス21)から一段と低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。1992年調査(マイナス24)以来およそ26年ぶりのマイナス幅だった。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比13.4%増と、市場予想の中央値(14.2%増)を下回ったものの、6月調査からの修正率は小幅にとどまった。収益の増加傾向を受けた企業の設備投資意欲は強く、人手不足を背景にした省力化投資の需要も追い風となった。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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9月調査の日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIについて、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+21でしたので、やや下振れしたんですが、主因は石油価格の上昇ないし高止まりではないか、と私は考えています。というのは、大企業製造業を業種別に見て、6月調査から9月調査への悪化幅が大きい順に並べると、石油・石炭製品▲11ポイント、窯業土石製品▲11ポイント、繊維も同じく▲11ポイント、非鉄金属▲8ポイントなどとなっており、加工業種が6月調査から9月調査へ変化なしの保合いなのに対して、素材産業が▲6ポイントの悪化を示しています。大企業レベルでは、電気機械と自動車という我が国主力産業がともに9月調では6月調査から+1ポイントの業況感改善を示していたりします。他方、非製造業では典型的に地震や豪雨などの自然災害の影響が出やすい産業で悪化が大きくなっています。すなわち、物品賃貸▲9ポイント、電気・ガス▲6ポイント、不動産と対事業所サービスがともに▲5ポイントなどです。先週9月27日に取り上げたニッセイ基礎研のリポートでは、「9月に発生した自然災害による景況感への下押し圧力も限定的」とのことだったんですが、その前の西日本豪雨はそれなりのインパクトあったかもしれません。もちろん、米中間の貿易摩擦を含めて世界経済の先行きの減速懸念というのが製造業・非製造業の景況感悪化の背景にあるんでしょうが、それ以上に、というか、市場の事前コンセンサス以上に日銀短観の景況感が悪化したのは石油価格の高騰である可能性を指摘しておきたいと思います。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画は9月調査では実施されていませんが、各種報道によれば、あるいは、本日の内定式に行って来た我が家の上の倅に聞いても、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まった後、6月調査では+7.9%増に大きく上方改定され、9月調査ではさらに+8.5%まで高まっています。上のグラフを見ても判る通り、9月調査の設備投資計画の伸び率はこのところはせいぜい+6%強くらいでしたので、今年2018年度の設備投資計画はかなり高い伸びを見込んでいると考えるべきであり、特に、別の日経の記事では、「貿易戦争の影響で設備投資を具体的に先送りしたという事例はほとんどない」との日銀の発言を引用しており、もともと、企業の手元にあるキャッシュフローは潤沢な上に、失業率が2%台前半まで低下した人手不足へ対応した合理化・省力化投資需要の高まり、加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、今年度2018年度の設備投資は期待してよさそうです。
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2018年09月28日 (金) 23:42:00

ようやく4か月振りの増産となった鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計と雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲0.1%の減産を示し、小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.5%増の12兆4140億円となり、失業率は前月から▲0.1%ポイント上昇したものの、依然として2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに0.01ポイント上昇して1.63倍と、これまた、高い倍率を続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、0.7%上昇 基調判断は据え置き
経済産業省が28日発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて0.7%上昇し、103.0だった。上昇は4カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.5%上昇)を下回った。経産省は8月の生産の基調判断を「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に据え置いた。
生産指数は15業種のうち10業種が前月から上昇した。輸送機械工業は前月比5.2%増。はん用・生産用・業務用機械工業は5.6%増だった。一方、低下は5業種だった。電子部品・デバイス工業は8.8%減となった。上昇した業種が多いものの、「8月初旬段階の生産計画値から下方修正となり、当時想定された伸びを下回った」(経産省)。
出荷指数は前月比2.1%上昇し101.9。在庫指数は0.4%低下の110.7、在庫率指数は2.2%低下の114.4だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた9月の製造工業生産予測指数は前月比2.7%の上昇となった。10月の予測指数は1.7%上昇だった。
8月の小売販売額、2.7%増 石油製品の価格上昇
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、8月の小売販売額は前年同月比2.7%増の11兆8120億円だった。前年実績を上回るのは10カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が15.4%増と伸びが目立った。原油高を背景に石油製品の価格が上昇した。飲食料品小売業は2.8%増。野菜の価格高騰が影響した。一方、機械器具小売業は1.1%減。デジタルカメラやテレビが不調だった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.6%増の1兆5750億円だった。既存店ベースは0.1%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.2%増の1兆745億円だった。
8月の完全失業率2.4% 男性が改善で3カ月ぶり低下
総務省が28日発表した8月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月比0.1ポイント低下した。男性の完全失業者数の減少が寄与し、3カ月ぶりに低下した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.5%だった。
完全失業率を男女別にみると、男性が2.5%と前月比0.2ポイント低下した。女性は前月と同水準の2.3%だった。
完全失業者数(季節調整値)は167万人と前月比5万人減少した。男性は6万人減、女性は1万人増だった。自己都合による「自発的な離職」は2万人減で、勤め先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は前月と同数だった。
就業者数(季節調整値)は26万人増の6662万人だった。非労働力人口は24万人減の4259万人となった。
総務省は雇用動向について「着実に改善している」との見方を示した。
有効求人倍率1.63倍 8月、求職者減り高水準維持
厚生労働省が28日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍だった。1974年1月(1.64倍)以来の高水準だった。求人が増えた一方で、堅調な雇用環境から求職者が減った。QUICKがまとめた市場予想の平均の中心値(1.63倍)と同じだった。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.34倍と前月比0.08ポイント低下した。
企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、運輸業と郵便業が前年同月比8.0%増えた。製造業は5.9%増となった。一方、教育・学習支援業は5.6%減った。
正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月と同水準だった。調査開始(2004年11月)以来最高の水準を維持している。


いくつかの統計を並べましたので、とても長くなってしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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季節調整済みの生産指数の前月比で見て、ようやく4か月ぶりに前月比プラスの増産を記録しましたが、5月▲0.2%減、6月は西日本豪雨でやっぱり▲1.8%減、7月も▲0.2%減と来ての8月+0.7%増ですから、かなり力強さに欠けるとの見方も仕方ないという気がします。国内にあっては天候不順・気象災害や地震、海外での先進国景気のスローダウンなど、国内の設備投資を除いて需要要因としては悪条件が続いている気がします。さらに、先行きについても製造工業生産予測調査に従えば、9月は+2.7%、10月も+1.7%との増産が続くとの結果とはいえ、上振れバイアスの大きい予測指数ですので、試算値としては9月+0.2%増との結果が示されています。7~9が月の生産がマイナスとの予想がもっぱらです。加えて、本格化し始めた米中の関税率引き上げによる貿易戦争の影響も来年あたりから出始めるとすれば、景気は成熟化局面からさらに反転する可能性も出てきます。来年は10月に消費税率引き上げが予定されており、その直前に駆け込み需要があることはかなり確実で、消費税率引き上げとともに景気後退局面入りという可能性も十分に考えられるシナリオのような気がします。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。ということで、消費の代理変数である小売販売額は増加が続いています。季節調整していない前年同月比で+2.7%増、季節調整済み指数の前月比で+0.9%増です。もちろん、増加寄与の一部は価格による名目値の上昇であり、これは国際商品市況における石油価格の上昇に起因します。典型的には、燃料小売業の前年同月比+15.4%増が上げられます。しかし、グラフなどは引用しませんが、本日、総務省統計局から公表された東京都区部の9月中旬速報による消費者物価(CPI)のうちの生鮮食品を除くコアCPI上昇率が+1.0%でしたので、ベースが異なるとはいえ、商業販売統計の小売販売額から見て実質の消費もプラスであろうことが強く推察されます。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同じ1.13倍と1倍を超えて推移しています。単なる偶然でしょうが、失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月と同じ結果となり、一見して雇用の改善がストップしたかの誤解を生みかねませんが、これだけ人で不足の高水準が続いているんですから、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
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2018年09月27日 (木) 19:33:00

9月調査の日銀短観予想に見る設備投資計画は空前の伸び率か?

来週10月1日の公表を前に、シンクタンクなどから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2018年度の設備投資計画に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+21
+24
<+7.9%>
n.a.
日本総研+22
+24
<+10.3%>
大企業・製造業は、前回調査対比+1.8%ポイントの上方修正を予想。企業収益の拡大を背景に、例年に比べやや強めの足取りとなる見込み。大企業・非製造業は同+1.2%ポイントと、上方修正を予想。都心部での再開発事業や宿泊施設などの建設投資が引き続き堅調に推移する見込み。
一方、中小企業は、全産業ベースで前年度比▲4.9%と、前回調査対比+7.9%ポイントの上方修正を予想。キャッシュフローが潤沢ななか、老朽化した既存設備の維持・更新投資、人手不足を背景とした合理化・省力化投資の需要が下支えとなり、例年の足取りに沿った推移となる見込み。
総じて先行きの設備投資は堅調を維持する見通し。海外情勢の不透明感が重石となるものの、底堅い設備投資需要を背景に、例年に比べやや強めの足取りとなる見通し。
大和総研+21
+22
<+8.8%>
大企業全産業は前年度比+13.6%と、前回(同+13.6%)から横ばいになると見込む。前回調査において、製造業と非製造業がともに過去の修正パターンを大きく上回ったことから、今回は例年の修正パターンより弱くなると予想した。高水準の企業収益を背景に、更新・改修投資、合理化・省力化投資、新製品の能力増強投資が計画されているとみられる。さらに、例年の修正パターンに比べて、「不動産」「運輸・郵便」「宿泊・飲食サービス」の計画が強かったことから、物流拠点、オフィス、宿泊施設の建設などが計画されている可能性も指摘できる。
中小企業全産業は前年度比▲7.5%となり、業種別には、製造業が同+9.2%、非製造業が同▲15.5%になると予想した。製造業の前年度比の水準は例年の修正パターンより高く、引き続き強気の見通しが維持される見込みだ。非製造業では、大幅なマイナスが続いているが、これは例年の修正パターン並みの結果であり、現在のところ懸念する必要はないと考える。
みずほ総研+21
+23
<+10.9%>
製造業については、全体的にIoT化や人手不足への対応が設備投資を押し上げよう。また、自動化運転など、業種ごとに前向きな投資がみられることもプラスになると考えられる。
非製造業は、製造業と同様に人手不足を背景とした自動化・省力化投資需要が高まっていることに加え、オリンピック・都市関連開発の建設投資やインバウンド対応投資が引き続き行われていくだろう。
ニッセイ基礎研+22
+22
<+10.5%>
今回の短観で最も注目されるテーマは「設備投資の強さは維持されるか」という点だ。既述の通り、前回6月調査時点では、今年度設備投資計画において極めて高い伸び率が示されていた。前回調査時点でも既に貿易摩擦激化への懸念が燻っていたが、堅調な内外経済動向や企業収益増加による投資余力改善、人手不足という追い風の影響が勝ったためと考えられる。米トランプ政権の強硬な交渉姿勢によって、その後も貿易摩擦はエスカレートする方向にあるが、引き続き例年の同時期と比べて遜色ない上方修正が行われるかが焦点となる。
既述のとおり、例年以上の上方修正が予想されるが、もしも、それに反して抑制的な結果となれば、貿易摩擦激化への懸念から、企業の間で設備投資計画に様子見や先送りの動きが出始めている可能性を示唆することになるだろう。
第一生命経済研+22
+22
<大企業製造業+18.0%>
9月短観でも、中小企業の設備投資はマイナス計画の上積みが続くだろう。大企業も、経常利益計画が上方修正されるのを受けて、高めの計画が維持されるだろう。短観では、そうした前向きの変化を確認することも大きな役割となる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+23
+22
<大企業全産業+13.8%>
2018年度の大企業の設備投資計画は、9月調査時点では例年大きく見直されることはないため、今回も6月調査並みの高い計画となる見込みである。企業の設備投資意欲の強さが維持されていることを確認することになろう。
製造業では前年比+17.0%、非製造業では同+12.0%と、いずれも2ケタの増加計画が示されると予想する。製造業では、人手不足への対応や生産性向上のための投資に対するニーズが強いうえ、足元では能力増強のための投資も増えつつあると考えられる。非製造業でも、人手不足への対応のための情報化投資の増加や、東京オリンピック関連のインフラ投資への需要の高まりが押上げ要因になると考えられる。
三菱総研+21
+23
<+10.1%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+10.1%と予測する。生産性向上を目的とする情報化関連投資に加え、老朽化する設備の維持・更新投資、人手不足の深刻化を背景とする自動化・省力化投資などへのニーズの高まりが、企業の設備投資計画の押し上げ要因となろう。
富士通総研+21
+23
<+9.1%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比9.1%と、6月調査から上方修正されると見込まれる。高水準の企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。景気拡大長期化に伴い、能力増強投資が行われているほか、人手不足を補う省力化投資に対する企業の意欲も衰えていない。また、IoT関連の投資拡大も顕著になっている。2018年度の設備投資計画は、大企業を中心に6月調査で過去の平均を大幅に上回ったが、9月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。


ということで、私が他も含めて拝見した範囲で、大雑把に、大企業製造業については業況判断DIが上向く可能性がある一方で、逆に、大企業非製造業は悪化する可能性を示唆するリポートも少なくない印象でした。最大公約数的には、製造業が海外経済、特に、米国経済の堅調さを背景にした輸出の伸びと企業収益に支えられた設備投資に基づく拡大を期待できる一方で、非製造業については天候不順や大阪北部地震によるインバウンド消費の伸び悩み、人手不足に起因するコストアップによりやや業況感を悪化させている可能性があります。ただ、上のテーブルを見ても判る通り、各シンクタンクとも業況感は大企業においては製造業・非製造業とも6月調査から大きな変化はない上に、20を超える高い水準にあると見込んでいます。
加えて、設備投資計画は全規模全産業で+10%増の2ケタ増を予想する向きもあり、ほぼ空前の計画ではないかと私は思います。私の手元には2007年3月調査以来の設備投資計画を残してあるんですが、リーマン・ショック後の2009年度がマイナスの2ケタ減の計画となっているほか、ここ10年余りで設備投資計画が2ケタ増になったことはありません。でも、ヘッドラインとして引用したニッセイ基礎研のリポートにあるように、「例年以上の上方修正が予想されるが、もしも、それに反して抑制的な結果となれば」というのも気にかかるところです。ただ、北海道地震などの自然災害も懸念されるものの、大きな下振れ材料にはならない可能性があるようで、すなわち、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用していますが、上のパネルはフツーに業況判断DIの推移を示している一方で、下のパネルは東日本大震災直後の業況判断D.I.をプロットしており、回収された時期について地震発生前後で分割して集計した場合でも、足元の景況感下振れは限定的であった、と結論しています。

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2018年09月26日 (水) 19:28:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフの賃金動向やいかに?

明後日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の8月の調査結果を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+2.4%、25円増加の1,039円となり、職種別では、「販売・サービス系」前年同月比+3.1%、「製造・物流・清掃系」+2.9%、「フード系」+2.8%など全職種で前年同月比プラスなど、全職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、一時期は前年同月比マイナスを記録する月もありましたが、最近では2017年9月から12か月連続でプラスを続けていて、8月は+15円、+0.9%増の1,643円に達しています。最近では、人材確保のために正社員の求人も増加し、正社員有効求人倍率が1倍を超えているんですが、ご同様に、パート・アルバイトや派遣スタッフの求人も堅調と考えてよさそうです。
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2018年09月25日 (火) 21:19:00

企業向けサービス物価(SPPI)上昇率はやや加速して+1.3%に到達!!

本日、日銀から8月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。いずれも統計です。前年同月比上昇率でSPPI上昇率は前月と同じから少し加速して+1.3%を示しています。国際運輸を除く、コアSPPIの上昇率も+1.2%とやや上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の企業向けサービス価格、前年比1.3%上昇 人件費上昇や広告の伸びで
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.9で、前年同月比1.3%の上昇となった。伸び率は7月の1.1%から拡大し、消費増税の影響を受けた時期を除くと、1992年12月(1.3%上昇)以来、25年8カ月ぶりの高い伸び率だった。人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが続き、特にシステム関連の人材不足が顕著だった。指数が上昇するのは62カ月連続となった。指数は前月比では変わらずだった。
職業紹介サービスや労働者派遣サービスなどで高い伸びが続いた。新聞広告は前年同月比9.7%上昇(7月は5.7%上昇)、雑誌広告は4.3%上昇(同1.1%上昇)と上げ幅を拡大した。一時的に出稿意欲が回復したことに加え、紙面あたり単価の上昇が寄与した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは84品目、下落は26品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は58品目で前月の57品目から拡大した。差し引きでのプラスは21カ月連続となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、SPPIは62か月連続の前年比プラスを示し、さらに前月統計からも上昇率がわずかながら加速しています。7月統計では前年同月比で+1.1%の上昇率に対して、8月統計では+1.3%ですから、この+0.2%ポイントの上昇幅の拡大に対して、寄与したのが広告、情報通信、不動産です。広告は新聞広告・テレビ広告・雑誌広告の3つの小分類がすべてプラス寄与となり、合計で+0.05%ポイントの寄与を示し、情報通信でもソフトウェア開発など+0.02%ポイントの寄与、不動産も事務所賃貸など+0.02%ポイントの寄与でした。他方、土木建築サービスなどの諸サービスは▲0.02%ポイントのマイナス寄与を示しています。ですから、8月統計単月の特徴ながら、引用した記事のタイトルとは少し実感が異なり、景気敏感サービスについては前年同月比でプラス寄与を示し、人件費が上昇しているといわれているサービスでマイナス寄与となっています。もっとも、土木建築サービスについては、前年比前月差寄与でマイナスを示しているだけであり、7月統計での+3.6%の前年同月比上昇率から8月には+3.0%にやや上昇幅を縮小したとはいえ、引き続き高い上昇率を記録していることは変わりありません。

別件ですが、10月のIMF世銀総会を前に、IMF「世界経済見通し」World Ecocnomic Outlook の分析編 Analytical Chapters が10月3日に公表とアナウンスされています。章別タイトルは以下のようになっており、リーマン・ショック後の10年を振り返る、及び、米国利上げなどを背景に金融正常化の時期における新興国金融政策のあり方、となっています。また、利用可能になった時点で、日を改めて取り上げたいと思います。
Ch 2
The Global Recovery 10 Years after the 2008 Financial Meltdown
Ch 3
Challenges for Monetary Policy in Emerging Economies as Global Financial Conditions Normalize
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2018年09月23日 (日) 15:27:00

クラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」やいかに?

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例年通り、10月上旬はノーベル賞ウィークとなります。ノーベル財団のサイトには以下の発表予定が明らかにされています。
10月1日
医学生理学賞
10月2日
物理学賞
10月3日
化学賞
10月5日
平和賞
10月8日
経済学賞


例年は木曜日が文学賞の公表なんですが、今年についてはご存じの通り、来年2019年に今年の授賞者も含めて公表される運びとなっています。
ということで、ノーベル賞の科学部門、すなわち、医学生理学賞、物理学賞、化学賞、経済学賞の4部門に相当するクラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」が9月20日に明らかにされています。経済学賞については、以下の3組5人が受賞の栄誉に浴しています。

  • Manuel Arellano, CEMFI, Madrid, Spain, and Stephen R. Bond, Oxford University, UK, for contributions to panel data analysis, especially the Arellano-Bond estimator. This method exploits time patterns in panel data to estimate the economic response to a change in a policy or other variable, while controlling for permanent unobserved confounding variation.
  • Wesley M. Cohen, Duke University, Durham, NC, and Daniel A. Levinthal, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, for their introduction and development of the concept of absorptive capacity (i.e., the ability of firms to evaluate, assimilate, and apply external knowledge) and its contribution to advancing our understanding of the innovative performance of firms, industries and nations.
  • David M. Kreps, Stanford University, Stanford, CA, for contributions to dynamic economic phenomena, in choice theory, finance, game theory, and organization theory.


功績については、最初のアレジャーノ教授とボンド教授は、パネルデータ分析のうちのアレジャーノ・ボンド推計と呼ばれるダイナミックパネル推計手法の開発、次のコーエン教授とレビンソール教授は、研究開発などにおける吸収能力をイノベーションに活かすとの概念、最後のクレプス教授は、不完備情報の動学ゲーム理論、に対するそれぞれの貢献と私は受け止めています。まあ、研究所の同僚などとお話をしないでもなかったんですが、クレプス教授のゲーム理論について私は詳しくないものの、アレジャーノ・ボンド推計なんて1990年ころに開発されていますし、吸収能力 absorptive capacity についても原著論文は大昔の1990年ではなかったかと記憶しています。ノーベル賞も経済学賞については、そんなものかもしれません。

最後に、今年のノーベル経済学賞の私の予想は、新々貿易理論のメリッツ教授ということにいておきますが、アレジャーノ教授とボンド教授もとても親しみを覚えています。
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2018年09月21日 (金) 20:14:00

世界経済の成長率見通しが下方修正された OECD 「中間経済見通し」やいかに?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から「中間経済見通し」OECD Interim Economic Outlook が公表されています。副題は High uncertainty weighing on global growth となっており、5月に公表された「経済見通し」と比較して、世界経済の成長率がやや下方修正されています。しかし、我が国経済については今年2018年と来年2019年とも+1.2%成長で据え置かれています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、プレゼンテーション・スライドの p.2 から Key messages を引用すると以下の通りです。なお、どうでもいいことながら、p.24 の最後のスライドも同じ Key messages になっています。

Key messages
  • Global growth is peaking and is less synchronised
    • Global growth should plateau at 3.7% in 2018 and 2019
    • The job market has recovered but slack remains and wage growth is disappointing
  • Risks are intensifying, uncertainty is widespread
    • Rising trade restrictions risk hurting jobs and living standards
    • Tightened financial conditions increase stress on a number of EMEs
    • Political risks could prevent Europe from thriving
    • Ten years after the crisis, some financial risks have built up again
  • Policies should aim to enhance resilience, productivity and inclusiveness
    • Reduce policy uncertainty, especially for trade, to support confidence and investment
    • Review fiscal policy to react in case of a downturn and prioritise investment
    • Implement reforms to boost long
      -term productivity and opportunities for all


やや長くなりましたが、利上げを継続する米国金融政策の動向や米中間の貿易摩擦の高まり、さらに、雇用を増加させ生産性を向上させるための構造政策など、いろいろな論点が提示されているんですが、私のブログは国際機関のリポートに着目するのもひとつの特徴であり、景気局面と成長率見通しに関してグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、スライドの順番は前後しますが、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.5 から成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。今年5月の「経済見通し」と比較して、世界各国がおしなべて成長率の下方修正されている中で、我が国と中国については成長率見通しが据え置かれています。サウジアラビアが上方修正されているのは国際商品市況における石油価格の上昇を反映したものですが、左側の先進国ではかなり多くの国が下方修正されている中で、右側に並べられたG20のうちで新興国や途上国では、決して多くはないものの、上方修正されている国も見受けられます。ということで、現在の世界経済の景気局面について、リポートでは、"The expansion may now have peaked." と表現されています。

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加えて、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.3 から景気局面に関して、成長率がピークアウトしつつあり、各地域でシンクロしなくなったとのグラフを引用すると上の通りです。左側の棒グラフは成長率の停滞を示し、右側は成長率のばらつきが表されています。利上げ継続の観測が強い米国経済については、成長率は日欧と比較して高いながらも徐々に低下すると見込まれている一方で、我が国の成長率は低いながらも安定的に推移すると予想されており、欧州経済はその間を行く、といったところでしょうか。

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最後に、目を国内に転じると、本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月統計から緩やかに加速して+0.9%を記録しています。いつものグラフは上の通りであり、折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。
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2018年09月20日 (木) 21:43:00

敬老の日は何歳からが対象なのか?

今週月曜日9月17日は敬老の日の祝日でした。私は誕生日が9月14日で、その昔は敬老の日は9月15日に固定されていましたので、敬老の日の前に必ず年を取ることになっていました。今年は特に還暦の60歳の誕生日を終えて敬老の日が来ましたので、そろそろ私も「敬老」される年齢に達したような気がしなくもなく、加えて、キャリコネ・ニュースで「62歳の父親に『敬老の日ギフト』贈ったら『まだ老人じゃない』とブチギレ 何歳になったら祝っていいの?」なんてのも見て、それとなく調べてみると、9月12日付けでビデオリサーチひと研究所から「『敬老の日』の対象は68歳から」と題するリポートが明らかにされています。5年前より1.2歳上昇したらしいです。pdfの全文リポートもアップされています。

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上のグラフは、ビデオリサーチのサイトから、「敬老の日」の対象は何歳から? という問いに対する回答結果をプロットしたグラフを引用しています。そして、結果は、15~74歳の調査対象者全体の平均値は「68.3歳」でした。2013年の調査の結果と比べると、約+1.2歳上がっているそうです。右のグラフは回答者の年代別の結果なんですが、大雑把に、自分の年齢が上がれば敬老の日の対象年齢も上がる、と捉えているようで、その中で、若い世代でも66~67歳くらいからを敬老の日の対象と考えているようですので、少なくとも成りたて60歳の私は対象外のような気がして、やや安心していたりします。

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この調査では、「敬老の日」の対象だけでなく、いろんな呼称についてのイメージ年齢も聞いているようで、上のグラフは、ビデオリサーチのサイトから、呼称からイメージされる年齢ゾーン のグラフを引用しています。40代初めから60代初めは「おじさん」と「おばさん」で、60代末から「おじいさん」と「おばあさん」になるようです。私がもうすぐ達するであろう60代半ばは、どちらなのか不明なんですが、まあ、見た目や動作などから、どちらかに区分されるんだろうという気はします。

まったく別の経済に関する話題を2つ取り上げておくと、まず、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間評価」OECD Interim Economic Outlook が本日夕刻に公表されています。世界経済の成長率はやや下方修正されましたが、我が国の成長率は5月見通しから変更なしで、今年2018年来年2019年とも+1.2%成長が見込まれています。次に、10月に入ればノーベル賞の発表がありますが、本日午後に、ノーベル賞との相関が高いクラリベイト・アナリティクス「引用栄誉賞」が明らかにされています。ノーベル賞と同じように、医学・生理学、物理学、化学、経済学の各分野で日本人も含めて何人か上げられています。どちらも公表されたばかりですので私の方でフォローが追いつかず、日を改めて取り上げたいと思います。
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2018年09月19日 (水) 23:22:00

2か月連続で赤字を計上した貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+6.6%増の6兆6916億円、輸入額も+15.4%増の7兆1362億円、差引き貿易収支は▲4446億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の貿易収支、4446億円の赤字 原油高で輸入額膨らむ
財務省が19日発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4446億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。輸出入ともに増えたが、原油高を背景に中東からの原油輸入額が増え、輸入額の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4477億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比6.6%増の6兆6916億円だった。増加は21カ月連続。中国向けの半導体等製造装置やベルギー向け自動車が伸びた。パナマ向け船舶も増加に寄与した。
輸入額は15.4%増の7兆1362億円。アラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が伸びた。原油の円建て輸入単価は57.8%上昇した。
8月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=111円33銭。前年同月に比べて0.5%円安・ドル高に振れた。
8月の対米国の貿易収支は4558億円の黒字で、黒字額は14.5%減少した。減少は2カ月連続。医薬品などが伸びたことで輸出は5.3%増加した。輸入は航空機類などの影響で21.5%増だった。対米国の自動車輸出は金額ベースで1.5%減少した。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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上のグラフを見て理解できる通り、輸出入とも増加している中での2か月連続での貿易赤字ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも▲4,550億円の赤字との結果が出ていましたから、大きなサプライズもなく、輸出額の増加を輸入額の増加が上回った結果です。その輸入額の増加も、国際商品市況における石油価格の上昇に起因しています。すなわち、季節調整していない原系列の統計で見て、原粗油の輸入数量は8月統計では前年同月比で+1.1%増にとどまっていたのに対して、輸入額の方は+59.6%増を示しています。この伸び率の差は価格の上昇ということになります。輸出は伸び率がやや落ちてきているとはいえ、引用した記事にもある通り、21か月連続で前年比で伸びています。国際商品市況の動向については、我が国がかなりの程度に小国になって影響力を及ぼせないわけですから、やや同しようもないと私は受け止めています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。OECD先行指数に基づく海外の需要動向を見ると、中国では上り坂、先進国の集まりであるOECD加盟国では下り坂となっています。ただ、今週あたりから米中間のいわゆる貿易戦争が本格化し始めており、この両国への輸出の割合が高い我が国としては、今後の世界貿易の行方が気になるところです。大いに気になります。どのようなリパーカッションがあるかは私には想像もできません。
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2018年09月16日 (日) 15:26:00

最新刊のエコノミスト誌の Education spending の元統計やいかに?

最新号のエコノミスト誌に Education spending と題して、OECD諸国ではGDP比で平均的に5%くらい教育費に支出している "OECD countries spent an average of 5% of GDP on education in 2015." との書き出しで始まる記事があるんですが、なぜか、その記事に引用されたグラフには日本が含まれていません。
私のこのブログではOECDなどの国際機関のリポートを取り上げるのをひとつの特徴としており、私自身も国際派のエコノミストとしてそれなりに詳しくなくもないわけですから、9月11日に公表されたばかりの OECD Education at a Glance 2018 であろうと当たりをつけてリポートを確認すると、p.258 に Figure C2.1. Total expenditure on educational institutions as a percentage of GDP (2015) と題して以下のグラフがありました。

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エコノミスト誌のグラフは高等教育 Tertiary education への教育費支出だけなんですが、リポート p.258 にはトータルの教育費支出のGDP比があります。やっぱり、日本はOECD平均からはかなり見劣りがしています。引退世代への手厚い給付のために、現役世代や子供や家庭や教育への目配りが行き届いていないおそれがあるんではないかと私は危惧しています。
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2018年09月13日 (木) 19:52:00

大型案件受注で大きく伸びた機械受注と上昇幅がやや鈍化した企業物価!

本日、内閣府から7月の機械受注が、また、日銀から8月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+11.0%増の9,186億円を示し、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じ上昇幅を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、7月11.0%増 製造業・非製造業とも伸びる
内閣府が13日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比11.0%増の9186億円だった。増加は3カ月ぶりで、伸び率は2016年1月以来の大きさだった。製造業、非製造業ともに受注額が伸びた。
7月の受注額は製造業が11.8%増の4268億円だった。増加は2カ月ぶり。17業種のうち12業種が増加した。化学工業やはん用・生産用機械などの受注が伸びた。
非製造業は10.9%増の4941億円。2カ月ぶりに増加した。通信業や運輸業・郵便業などの受注が伸びた。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は13.9%増だった。
官公需の受注額は前月比57.0%増の3587億円と比較可能な05年4月以降で2番目の高水準だった。防衛関連などで大型案件があった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。7~9月期の「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整値)の見通しは前期比0.3%減となっている。
8月の企業物価、前年比3.0%上昇 原油高など背景、上昇傾向は一服
日銀が13日に発表した8月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.7で前年同月比3.0%上昇した。指数が前年実績を上回るのは20カ月連続。春先から続く原油高による化学製品の価格上昇などが押し上げた。
前月比では横ばいだった。調査統計局によると「米中の貿易摩擦問題への警戒感や新興国経済への懸念から、銅などの資源価格が下落した」といい、指数の上昇傾向は一服しつつある。
円ベースの輸出物価は前年同月比で2.9%上昇、前月比では0.3%下落した。輸入物価は前年同月比で12.2%上昇。前月比では0.6%下落した。ともに前月比での下落は5カ月ぶり。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示し、消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは406品目、下落は263品目だった。上昇品目と下落品目の差は143で、7月の確報値の153から減った。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、コア機械受注については、前月統計が2ケタ減でしたので、ある程度の反発は予想されており、例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは中心値で前月比+5.5%増となっていて、レンジでも上限は+9.0%増でしたので、この上限を上回る大きな伸びとなっています。ただし、最近数か月はかなり荒っぽい動きを示しており、季節調整済のコア機械受注の前月比で見て、4月に+10.1%増の後、5月▲3.7%減と6月▲8.8%減で4月の大きなプラスは吹っ飛び、7月は▲11.0%増で5~6月のマイナスをカバーする、という2~3か月ごとに大きなプラスが出ては、その後は反動減もあってマイナスが続く、というとても細かい周期性があります。大型案件の受注が生じるという経済活動の実態を統計が表しているということなんでしょうが、それなら、毎月の統計にはせずに四半期で調査するという方法もアリなのかもしれません。取りあえず、7月の受注では、引用した記事にもある通り、防衛関連で大型案件の受注があった、ということのようですから、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「持ち直しの動きに足踏み」で据え置いています。先月の統計発表時に同時に公表された7~9月期コア機械受注の見通しは前期比▲0.3%減ですが、マイナス見通しの四半期スタートの7月の結果としてはまずまず堅調な滑り出しと私は受け止めています。先行きについても、9月1日に公表された4~6月期の設備投資のような大きな増加は続かないと私は予想していますが、人手不足を背景に設備投資は引き続き緩やかな増加を示すものと期待しています。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのうち国際商品市況の影響を強く受ける石油・石炭製品が7月の前年同月比+26.2%上昇に続いて、8月も+25.3%の上昇と、引き続き国内物価上昇を牽引しています。石油価格ほどではありませんが、同様の素材関連として、化学製品+4.8%や鉄鋼+4.1%などの上昇もやや大きくなっています。私は中国の景気回復の足取りがそこまで、というか、国際商品市況における石油価格をここまで押し上げるだけの伸びを見せるとは思わなかったんですが、中国をはじめとする新興国の景気回復以外の要因で石油価格が上昇しているように思えてなりません。そして、我が国の物価は金融政策動向よりもエネルギー価格に敏感に反応しているようです。他方で、国内物価の前年同月比上昇率で見て、4月+2.0%の後、5月+2.6%、6月+2.8%、7月+3.0%に続いて8月も7月と同じ+3.0%ですから、企業物価の上昇率はやや鈍化しつつある、という見方もできるような気がします。
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2018年09月11日 (火) 20:12:00

4-6月期2次QEは設備投資を中心に1次QEから上方改定され年率+3.0%の高成長!

昨日は、和歌山で開催された経済統計学会の全国研究大会での学会発表のためフォローし切れなかったんですが、内閣府から4~6月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。1次QEの前期比年率+1.9%成長から2次QEでは+3.0%成長に大きく上方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期実質GDP、年率3.0%増に上方修正
内閣府が10日発表した2018年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比0.7%増、年率換算で3.0%増だった。速報値(年率1.9%増)から大幅な上方修正で、成長率が年率3%を超えるのは16年1~3月期以来の9四半期ぶりだ。民間企業の設備投資が速報段階から大幅に上振れした。
4~6月期の内外需の寄与度をみると内需が0.9%分の押し上げ寄与となり、内需主導の成長を示した。内需の前期比でみた伸び率は15年1~3月期以来の13四半期ぶりの大きさとなった。一方、外需は0.1%分の押し下げ寄与となった。
内需のうち民間企業の設備投資は実質で前期比3.1%増と、速報値の1.3%増から大きく上振れした。財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計で設備投資額の前年同期比伸び率は約11年ぶりの大きさとなった。運輸・郵便や電気、化学の設備投資が堅調だった。
GDPの6割を占める個人消費は0.7%増と速報値から横ばい。18年1~3月期の0.2%減からプラス成長に戻した。伸び率は17年4~6月期(0.8%増)以来となる1年ぶりの高い水準だ。自動車がけん引し、飲食サービスも小幅に上方修正に寄与した。
民間住宅は2.4%減と、速報値の2.7%減からマイナス幅が縮小した。不動産仲介手数料が上方改定となった。
民間在庫のGDPに対する寄与度は0.0%と速報値から横ばい。4~6月期は在庫の積み増しや取り崩しに対するGDPへの寄与度は軽微だった。
生活実感に近いとされる名目GDPの改定値は0.7%増、年率で2.8%増。名目ベースでも速報値の年率1.7%増から大幅な上方修正で、17年7~9月期(3.2%増)以来の高い水準だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/4-62017/7-92017/10-122018/1-32018/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.6+0.2▲0.2+0.5+0.7
民間消費+0.8▲0.7+0.3▲0.2+0.7+0.7
民間住宅+1.3▲1.4▲3.0▲2.5▲2.7▲2.4
民間設備+0.1+1.3+0.9+0.3+1.3+3.1
民間在庫 *(▲0.1)(+0.4)(+0.2)(▲0.2)(+0.0)(+0.0)
公的需要+1.4▲0.5▲0.1▲0.1+0.2+0.2
内需寄与度 *(+0.8)(+0.0)(+0.4)(▲0.3)(+0.6)(+0.9)
外需寄与度 *(▲0.3)(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)
輸出+0.2+2.1+2.1+0.6+0.2+0.2
輸入+1.9▲1.5+3.3+0.2+1.0+0.9
国内総所得 (GDI)+0.6+0.6+0.0▲0.5+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)+0.5+0.8▲0.0▲0.7+0.7+1.0
名目GDP+0.8+0.8+0.3▲0.4+0.4+0.7
雇用者報酬+0.6+0.7▲0.2+1.2+1.9+1.8
GDPデフレータ▲0.3+0.1+0.1+0.5+0.1+0.1
内需デフレータ+0.4+0.5+0.6+0.9+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスで大きく寄与している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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テーブルとグラフを見れば明らかなんですが、1次QEから2次QEへの変更の大きなポイントは設備投資です。法人企業統計に沿った上方改定といえます。その他の需要項目に関しては、住宅津市がややマイナス幅を縮小改定されたものの、大きね変更はなく、この設備投資の情報改定が内需寄与度を押し上げて高成長をもたらしたといえます。ただ、足元の7~9月期についてはプラス成長を維持することすら危うい、と大きのエコノミストは見込んでいるようです。すなわち、景気局面そのものがかなり成熟化しているという自律的な要因のほかに、猛暑は別としても、豪雨や台風に北海道地震といった災害がこの期間に目白押しで、マインドの悪化や外出の手控えから消費需要を押し下げたり、あるいは、生産や物流などの供給面からの影響も含め、景気にはマイナス材料となった可能性が高いと私は受け止めています。その意味で、4~6月期GDPの高成長は過去の数字かもしれません。加えて、さらに先行きの成長についても、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦がリスクとして上げられます。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費なわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。インバウンド消費も順調な拡大を続けているものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大局面は終了に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、雇用者報酬が順調に伸びを示しています。人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

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最後に、昨日は4~6月期GDP統計2次QEだけでなく、景気ウォッチャーと経常収支も公表されていますが、景気ウォッチャーのグラフだけ上にお示ししておきます。いずれも季節調整済の系列で見て、現状判断DIは前月差+2.1ポイント上昇の48.7を、先行き判断DIは前月差+2.4ポイント上昇の51.4を、それぞれ示しています。
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2018年09月10日 (月) 19:39:00

経済統計学会でシェアリング・エコノミーに関して学会発表をする!

昨日夕刻に東京を発ち和歌山に向かい、今日午前中の経済統計学会全国研究大会にて「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究」に関する学会発表をしてきました。このテーマでの学会発表は6月の日本経済学会に続いて2回目です。注目いただいているのは有り難い限りですが、今回の学会は役所の研究所の同僚と大挙して押し寄せて、計5セッションを連続で独占したりしました。まあ、そういう時もあります。今日の午後には和歌山を出て、先ほど帰宅しました。
私は京都出身で、京都駅から南に近鉄で10駅ほどのところに、大学生活まで過ごした両親の実家がありましたので、京都から先は、特に大阪を越えると長旅に感じます。新幹線で京都から新大阪まで十数分、さらに和歌山まで特急で1時間ほどなんですが、長く感じました。年齢的に疲れやすいのかもしれません。日経BP社から出版されているロバート J. ゴードン教授の『アメリカ経済 成長の終焉』上下巻各500ページ余りを持って行きましたが、往復で読み切ってしまいました。

4~6月期のGDP統計2次QEが公表されたりしていますが、まだ詳細は見ていません。日を改めて取り上げたいと思います。
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2018年09月08日 (土) 08:33:00

8月米国雇用統計の雇用者増は再び加速しFEDは金利引上げを継続するのか?

日本時間の昨夜、米国労働省から8月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+201千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を上回った一方で、失業率は前月と同じ3.9%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

Jobs report: Employers added 201,000 jobs in August
Hiring rebounded in August as employers added 201,000 jobs and the labor market continued to defy worker shortages and U.S. trade battles. Yearly wage growth hit a nine-year high.
The unemployment rate was unchanged at 3.9 percent, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 195,000 payroll gains.
On the downside, employment increases for June and July were revised down by a total 50,000. June's gain was lowered from 248,000 to 208,000 and July's from 157,000 to 147,000. Still, monthly gains for the year are averaging a robust 207,000.
Hiring can be volatile in August as teachers and other employees return to work after summer lulls. That makes it more challenging for Labor to adjust the employment totals to account for seasonal variations. In recent years, Labor has revised up its initial estimates for August, often significantly. Goldman Sachs reckons the measurement glitch reduced last month's job count by at least 40,000.
Other economists, though, have expected payroll growth to slow as employers increasingly struggle to find available workers now that the jobless rate has dipped below 4%. So far this year, the labor market has shrugged off the worker shortages, turning out an average of more than 200,000 job gains a month, up from 182,000 in 2017. That may be due to a pool of discouraged and other workers who had been on the sidelines, but some experts believe that supply will soon run thin.
Trade tensions also could have dented business confidence and dampened hiring last month, Goldman Sachs says. In early July, the Trump administration slapped tariffs on $34 billion in Chinese imports and announced a proposed list of tariffs on another $200 billion in Chinese goods.
Average hourly earnings rose 10 cents to $27.16. And so wages were up 2.9 percent from a year earlier, up from 2.7% in July and the biggest annual jump since 2009. The large increase could indicate that wage growth is finally picking up more rapidly amid an intense competition for workers.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の雇用が堅調です。先月7月こそ非農業部門雇用者の伸びが+200千人を下回って+147千人にとどまりましたが、その前の6月の+208千人と同様、8月も+201千人を記録し、米国連邦準備制度理事会(FED)が一定の目安と見ているといわれる+200千人増の水準を回復しましたし、失業率も4%を下回って7~8月は+3.9%を続けています。この雇用統計の数字を見る限り、FEDが利上げを継続するのに何の障害もなさそうで、現に、先月のジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演 Monetary Policy in a Changing Economy では "As the most recent FOMC statement indicates, if the strong growth in income and jobs continues, further gradual increases in the target range for the federal funds rate will likely be appropriate." と利上げ継続が表明されています。ただ、「内憂外患」と申しましょうかで、国内的にはトランプ大統領が利上げに猛反対しています。8月統計では製造業雇用が久し振りに前月から減少しましたので、これも政権の利上げ反対姿勢を強める可能性があります。加えて、典型的にはトルコとアルゼンティンなんですが、通貨が大きく減価しています。このため、他の新興国や途上国などでも米国の利上げ幅を超える利上げを迫られる場合があり、世界的な金融市場の不安定な動きにつながりかねません。このあたりのバランスをどう考えるのか、利上げの継続かあるいは一時停止か、米国の金融政策当局の判断が注目されます。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、8月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げで対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。
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2018年09月07日 (金) 21:43:00

「拡大」の基調判断続く景気動向指数と賃金上昇が見られ始めた毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.1ポイント下降して103.5を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.5%増の37万6338円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、3カ月連続低下 自動車出荷など悪化
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の116.3だった。低下は3カ月連続。市場予想の中央値は0.7ポイント低下だった。自動車関連の出荷が悪化した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち6系列が指数を押し下げた。耐久消費財出荷指数が乗用車と二輪車の悪化を受けて低下した。鉱工業用生産財出荷指数も、北米向けの鉄鋼輸出が減少した影響でマイナスに寄与した。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は22カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.1ポイント低下の103.5と2カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント低下の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
7月の名目賃金、1.5%増 増加は12カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、7月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の37万6338円だった。増加は12カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.0%増の24万5010円だった。残業代など所定外給与は1.9%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は2.4%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1130円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低い30.53%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した開示にもある通り、CI先行指数が2か月連続で、CI一致指数に至っては3か月連続で前月から下降を示しているんですが、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「改善」で据え置いており、22か月連続の「改善」となっています。CI一致指数のうち、プラス寄与は商業販売額(卸売業)(前年同月比)くらいのもので、マイナス寄与は絶対値の大きい順に、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断が「改善」から「足踏み」に変化する際は、3か月後方移動平均がマイナスに転じ、さらに、マイナス幅が1標準偏差以上、という定義なんですが、3か月後方移動平均を見ると、4~6月は3か月連続でプラスを示したんですが、7月はマイナスに転じ▲0.40を記録しています。でも、まだ標準偏差の幅には達していない、ということなのだと私は理解しています。景気拡大は5年半を越えましたので、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。CI一致指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、最近の生産の動向から考えて、ある意味で、当然の結果かもしれません。また、CI先行指数についても、プラス寄与は新設住宅床面積くらいで、その他は軒並みマイナス寄与を示しています。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、8月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて明日早くにアップしたいと思います。
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2018年09月06日 (木) 19:28:00

来週公表の4-6月期2次QEの成長率は大幅な上方改定か?

今週月曜日9月3日の法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日の9月10日に今年2018年4~6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の7~9月期から、この先の2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。しかしながら、明示的に先行き経済を取り上げているのはみずほ総研だけで、伊藤忠経済研は少し違う角度から注目していました。みずほ総研は超長めに、伊藤忠経済研も少し長めに、それぞれ引用してあります。なにせ、2次QEですから法人企業統計のオマケの扱いの場合もあったりします。なお、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.5%
(+1.9%)
n.a.
日本総研+0.5%
(+2.1%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+2.1%(前期比+0.5%)と1次QE(前期比年率+1.9%、前期比+0.5%)から上方修正される見込み。
大和総研+0.7%
(+2.9%)
4-6月期GDP二次速報(9月10日公表予定)では、実質GDP 成長率が前期比年率+2.9%(一次速報: +1.9%)と、一次速報から大幅に上方修正されると予想する。
みずほ総研+0.7%
(+2.6%)
足元の経済指標をみると、7月の輸出・鉱工業生産は弱含んでいる。自動車輸出の落ち込みが北九州や中国・四国地方の税関で目立っていること、鉄鋼業の減産幅が東日本大震災以来の大きさとなったことなどから、西日本豪雨や台風の影響も大きかったとみられる。7月の水準が低いため、7~9月期の鉱工業生産は減産となる可能性が出てきたが、在庫調整圧力が一方的に高まっている状況ではなく、回復基調が途切れたとみるのは早計だろう。なお、猛暑については、7月のコンビニ・家電販売の押し上げには寄与した一方、外出の手控えを招いた面もあり、消費全体への影響は限定的だったようだ。
当面のリスクとしては、貿易摩擦の行方に最も注意が必要だ。不確実性の高まりが企業の投資計画を阻害することが懸念されるほか、米国が自動車・部品への追加関税を強行した場合、インパクトは各段に大きくなる。日本から米国へ輸出されている車・部品に単純計算で1兆円以上の負担となる上、現地生産車であっても、部品の内製化率は6割程度にとどまると試算され、関税賦課による部品コストの上昇が避けられない。自動車メーカーの負担増を通じ、日本国内の投資や雇用にも悪影響が生じることになろう。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.5%)
9/10公表予定の18年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.5%)となり、1次速報の前期比0.5%(前期比年率1.9%)から上方修正されると予測する。
第一生命経済研 +0.6%
(+2.4%)
2018年4-6月期実質GDP(2次速報)を前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と予想する。設備投資の上方修正を主因として、GDP成長率は1次速報の前期比年率+1.9%から上方修正されるだろう。
伊藤忠経済研+0.6%
(+2.5%)
労働分配率の低下は、人件費の増加が業績改善に追い付いていないだけであり、最近のタイトな労働需給を踏まえると、今後は冬のボーナス増加などの形で人件費が増加、労働分配率が上昇するとみて良いだろう。そうなれば、企業業績の改善が家計所得を押し上げ、個人消費の拡大がさらなる業績改善に結び付く自律的な景気拡大の動きが一段と強まることになる。
米中貿易摩擦や新興国通貨の混乱、Brexitなど、海外には不確実性を高める要因が多数あるが、国内経済は自律的な景気拡大に向けた足場固めが進んでいるようである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.8%
(+3.0%)
2018年4~6月期の実質GDP成長率(2 次速報値)は、前期比+0.8%(年率換算+3.0%)と1次速報値の同+0.5%(同+1.9%)から上方修正される見込みである。景気が順調に回復していることが改めて示されことになりそうだ。
三菱総研+0.8%
(+3.2%)
2018年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.8%(年率+3.2%)と、1次速報値(同+0.5%(年率+1.9%))から上方修正を予測します。


ということで、取り上げたすべてのシンクタンクで2次QEは1次QEからの上方改定を予測しています。そして、1次QEがそもそも年率+1.9%成長でしたので、+2%を超える成長率予想となっています。下の三菱系2機関は+3%成長すら視野に入れているようです。需要項目別にはテーブルを示していませんが、主要な変更点は設備投資であり、法人企業統計に従って上方改定される、ということになりそうです。個人消費と外需については大きな変更はなく、在庫については増加を予想するシンクタンクもありますが、私自身は変更なしないし下方修正を見込んでいます。ということで、外需寄与度が1次QEから大きな変更なくマイナスのままで、消費がプラスのままでこれも大きな変更なく、設備投資が上方改定されますから、パッと見では内需主導の高成長、ということになりそうです。先行きについては、伊藤忠経済研のように企業収益から雇用者所得が増加し、さらに消費の拡大につながる、という楽観論もありますが、みずほ総研のように海外経済の貿易摩擦にリスクを見出すシンクタンクもあります。わたしも、先行きリスクは下振れの方が強いんではないかと考えています。ですから、どこまで、4~6月期の内需主導の高成長を評価するかは、先行きリスクとの兼ね合いもあるんではないかと思わないでもありません。
下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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2018年09月05日 (水) 19:42:00

ブリニョルフソン教授らによる機械翻訳 AI による経済効果の研究成果やいかに?

8月20日の週に、全米経済研究所 (NBER) からブリニョルフソン教授らによる機械翻訳 AI による経済効果研究のワーキングペーパー "Does Machine Translation Affect International Trade? Evidence from a Large Digital Platform" が明らかにされています。引用文献を詳細に記すと以下の通りです。



人工知能のうち、機械翻訳 (Machine Translation) によって、どれだけの経済効果があったか、について定量的な分析結果を示しています。どのような分析をしたかというと、eBay に導入された eMT (eBay Machine Translation) がどれだけ米国の輸出を増加させたかについて差の差 (DiD) 分析を実施し、ラテンアメリカへの米国の輸出を17.5%増加させた、と結論しています。以下で簡単にグラフを引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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まず、機械翻訳が導入された前後のラテンアメリカとその他地域への eBay を通じた米国からの輸出の推移です。直観的なグラフの印象として、機械翻訳導入前には大きな差はなかった一方で、機械翻訳を導入してから、その他地域向けに比較してラテンアメリカ向けの eBay を通じた輸出が順調に増加しているのが見て取れます。このラテンアメリカ向け輸出の増加が機械翻訳の効果であった可能性がうかがえます。

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同時に、これも状況証拠なんですが、上のグラフは輸出品目のタイトルの文字数による増加割合をみています。機械翻訳の効果がより大きいのは、短いタイトルではなく長いタイトルの可能性があるわけで、そのことがグラフから実感できるのではないかと思います。私自身は南米はチリで外交官をした経験がありますので、スペイン語をそれなりに理解し、英語とスペイン語の両方でよく似た単語の場合とまったく異なる場合を知っていますが、当然ながら、短いタイトルだと英語のままで理解できても長いタイトルの輸出品だと、もっとしっかりと確認する必要があるわけで、機械翻訳の効果がより大きくなるとの仮説はもっともだと受け止めています。

もちろん、学術論文ですから、グラフのシェイプだけで判断しているわけではなく、繰り返しになりますが、差の差 (DiD) 分析により定量的な把握を試みています。詳細には、冒頭に引用先のリンクを置いておきましたので、ご興味ある向きは論文を読んでみるのも一案かもしれません。
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2018年09月03日 (月) 21:23:00

史上最強の収益力で内部留保が積み上がる法人企業統計調査!

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は7四半期連続の増収で前年同期比5.1%増の344兆6149億円、経常利益も8四半期連続の増益で+17.9%増の26兆4011億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+19.8%増、非製造業が+9.2%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+12.8%増の10兆6613億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比+6.9%増となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期の経常利益、過去最高 製造業がけん引、法人企業統計
財務省が3日発表した2018年4~6月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比12.8%増の10兆6613億円だった。増加は7四半期連続。製造業で生産能力投資が活発だった。全産業ベースの経常利益は前年同期比17.9%増の26兆4011億円だった。増益は8四半期連続で、調査が始まった1954年4~6月期以来、過去最高となった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で6.9%増と4四半期連続で増加した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は19.8%増加した。半導体や半導体製造装置向け部品の生産能力投資が増えた。非製造業は9.2%増加した。運輸業で駅周辺の再開発が活発だった。
「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は製造業が季節調整済み前期比11.0%増、非製造業が4.7%増だった。
経常利益の内訳は製造業が27.5%増だった。自動車向け半導体製品の販売が堅調。非製造業は純粋持ち株会社の受取配当金が増加し12.4%増だった。情報通信業ではクラウド関連サービスが好調だった。
売上高は5.1%増の344兆6149億円と7四半期連続で増収となった。製造業は6.7%増だった。自動車や産業用機械向け電子部品、輸出用半導体製造装置、建設機械が伸びた。非製造業は4.5%増。資源価格の上昇で販売価格が上がった。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計した。今回の18年4~6月期の結果は、内閣府が10日発表する同期間のGDP改定値に反映される。
同時に発表した2017年度の法人企業統計によると、3月末時点の金融業と保険業を除く全産業の「内部留保」にあたる利益剰余金は、前年比9.9%増の446兆4844億円だった。調査開始以来、過去最高を更新した。
金融業と保険業を除く全産業の売上高は前年比6.1%増の1544兆1428億円、経常利益は11.4%増の83兆5543億円だった。経常利益は8年連続の増益で過去最高となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代後半の消費税率引上げ直前の駆け込み需要の見られた1997年1~3月期のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整済みの系列で見て、1~3月期の国内経済停滞の後、4~6月期は踊り場を脱しつつあり、季節調整済みの前期比で見て、売上高の伸びは+1.8%と低い伸び率となった一方で、経常利益は前期比+16.9%増を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については一昨年2016年年央くらいを底に明らかに上向きに転じ、昨年2017年は年間を通じてこの流れが継続していることが確認できたと思います。また、設備投資についても徐々に伸びが本格化して来た印象です。これも季節調整済みの系列で見て、人手不足を反映して全産業ベースの設備投資は4~6月期に+6.9%増と伸びを高めました。業種別は季節調整していない原系列統計の前年同月比しか明らかにされていませんが、引用した記事にもある通り、製造業では、半導体や半導体製造装置向け部品の生産能力投資が増えた生産用機械が+64.9%増、また、非製造業でも、運輸業で駅周辺の再開発が活発だったことなどから運輸業、郵便業で+44.6%増を記録しています。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞し底ばっており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

最後に、本日の法人企業統計を基に、いわゆる2次QEが来週月曜日の9月10日に内閣府から公表される予定となっています。1次QEでは季節調整済みの系列の前期比+0.5%、前期比年率1.9%の成長率が、私の直感的な印象ながら、設備投資を中心に2次QEで上方修正される、しかも、かなり大幅な上方修正の可能性が高いと受け止めています。
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2018年08月31日 (金) 23:12:00

3か月連続で減産を記録した鉱工業生産指数(IIP)と人手不足続く雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP) が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲0.1%の減産を示し、失業率は前月から▲0.1%ポイント上昇したものの、依然として2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに0.01ポイント上昇して1.63倍と、これまた、高い倍率を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の鉱工業生産、3カ月連続低下 4年ぶり
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて0.1%低下し、102.4だった。低下は3カ月連続。生産指数の3カ月連続低下は14年6~8月以来およそ4年ぶり。自動車や鉄鋼の生産が落ち込んだのが影響した。
QUICKがまとめた民間予測の中心値(0.3%上昇)を下回った。経産省がまとめた7月の先行き試算値(2.7%上昇)も大きく下回った。
経産省は7月の生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」から「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に下方修正した。
生産指数は15業種のうち8業種が前月から低下した。輸送機械工業は4.2%減だった。欧米向け自動車輸出が低迷したうえ、7月の西日本豪雨の影響で自動車部品などの生産が落ち込んだ。
「はん用・生産用・業務用機械工業」は2.1%減だった。半導体製造装置などの生産は増えたものの、建設用機械の落ち込みを補えなかった。建設用機械は西日本豪雨の影響で、部品供給が滞ったという。
鉄鋼業は5.0%減となった。米国による追加関税の影響で、鉄鋼輸出が落ち込んでいるため。米国向けの出荷割合が高い普通鉄鋼帯や鋼半製品などの生産が減った。
半面、上昇は7業種だった。化学工業が5.9%増、半導体部品など「電子部品・デバイス工業」は1.8%増だった。ノートパソコンなど情報通信機械工業は7.6%増えた。
出荷指数は前月比1.9%低下し99.9と、18年1月以来の低水準だった。普通自動車などの出荷の落ち込みが響いた。在庫指数は0.2%低下の111.2、在庫率指数は0.4%上昇の117.0だった。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた8月の製造工業生産予測指数は前月比5.6%の上昇となった。ただ、経産省がまとめた上方修正バイアスを除いた先行きの試算値は1.2%の上昇にとどまる。
9月の予測指数は0.5%上昇だった。
7月の求人倍率1.63倍に上昇、失業率は0.1ポイント悪化
厚生労働省が31日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍で、前月から0.01ポイント上昇した。正社員の求人が引き続き増えているためで、44年ぶりの高水準が続く。また、総務省が発表した7月の完全失業率は2.5%で、0.1ポイントの悪化。良い条件を求めて転職する人が増えた結果で、雇用情勢は改善の傾向を維持している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に、企業から何件の求人があるかを示す。有効求人倍率が1.6倍に達したのは3カ月連続だ。7月は非正規の求人が減ったため全体の求人数は減少した。一方で求職者数も減ったことから求人倍率は上昇した。厚労省は「求人数の減少は一時的」とみている。
求人倍率が高くなるほど、求職者は仕事を見つけやすく、企業は採用が難しくなる。新規求人は建設業や医療・福祉、製造業などで増えた。
企業は人手不足から待遇の良い正社員の求人を増やしている。7月の正社員有効求人倍率は1.13倍で、過去最高だった6月に並んだ。
失業率の悪化は2カ月連続。新たな求職者(季節調整値)が3万人増えた影響が大きい。総務省は「人手不足を背景に、今まで働いていなかった人が求職するようになった」と分析している。
完全失業者数は172万人。前年同月に比べ19万人減った。


いくつかの統計を並べましたので、とても長くなってしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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当然に7月の生産は増産が予想されていて、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、わずかとはいえ前月比で+0.3%の増産が見込まれていました。しかし、予測レンジの下限は▲0.6%でしたので、プラスとマイナスの違いでやや大きく見えなくもないんですが、横ばい圏内という見方も出来そうな気がします。そして、7月減産の大きな要因のひとつとして西日本豪雨の影響が上げられています。部品供給の停滞としては、自動車と建設機械が上げられています。そして、7月生産が減産に終わったものですから、8月に大きな増産が見込まれています。すなわち、製造工業生産予測指数は8月の増産を前月比+5.6%と見込み、上方修正バイアスを除いた試算値でも+1.2%と予想しています。この+1.2%の数字については、は3か月連続で前月比減産、実績を上げれば、5月▲0.2%、6月▲1.8%に次いで直近統計の7月▲0.1%ですから、簡単な累計では3か月で▲2%を超えており、増産幅としてはやや小さく感じられなくもありません。しかも、今日で終わる8月についても、災害の発生としてはともかく、異常気象という点では大きな違いはなく、一部の地域で最高気温が40℃を超えたこともありましたし、何といっても、台風発生数は9コ、そのうち日本列島に接近した台風は7コに上りました。農産物価格だけでなく、工業製品の生産や出荷にも天候が影響し始めたのかもしれません。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。失業率がやや上昇したものの、2%台半ばくらいまで上下する可能性は十分あると私は考えており、統計的にも、自己都合による離職が増えた影響が大きく、引用した記事にもある通り、「良い条件を求めて転職する人が増えた」ことが失業率上昇の一因である可能性が高いと受け止めています。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も1.13倍と1倍を超えて推移し、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
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2018年08月30日 (木) 20:11:00

商業販売統計の小売販売額は9か月連続で前年実績を上回る!

本日、経済産業省から7月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.5%増の12兆4140億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は+0.1%増をそれぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の小売販売額、前年比1.5%増 石油製品の価格上昇で
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、7月の小売販売額は前年同月比1.5%増の12兆4140億円だった。前年実績を上回るのは9カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が17.5%増と伸びが目立った。原油高で石油製品の価格が上昇した。飲食料品小売業は1.3%増にとどまった。天候不順で野菜の価格が上昇したほか、総菜の販売が伸びた。
一方、織物・衣服・身の回り品小売業は3.8%減だった。豪雨など天候不順で客数が減少した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.0%減の1兆7002億円だった。減少は2カ月ぶり。豪雨や猛暑などの天候不順で客足が落ちた百貨店での販売が振るわなかった。
百貨店でセールを6月に前倒ししたことも響いた。既存店ベースは1.6%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は1.3%増の1兆900億円だった。食品や加熱式たばこの販売が伸びた


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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繰り返しになりますが、この記事のタイトル通り、商業販売統計のうちでGDP統計の消費の先行指標となる小売販売額は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、9か月連続で前年実績を上回っていますので、私の評価としては異常気象にもかかわらず小売販売額はそれなりに堅調な伸びを見せていると受け止めています。ただ、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「横ばい傾向にある小売業販売」で据え置いています。というのも、基調判断では季節調整済み指数の前月比が、私の見ている範囲で、判断基準としているようです。ですから、経済産業省の基調判断では、「季節調整済指数前月比は0.1%の上昇となった。後方3か月移動平均で前月比をみると▲0.1%の低下となった。」と季節調整済み系列の、それも、3か月後方移動平均も含めた判断基準で基調判断を行っているような表現をしています。これに合わせて、というわけでもないんですが、季節調整済み系列の後方3か月移動平均の前月比を個別の業種ごとに見ると、燃料小売業が+1.9%の増加を示している一方で、織物・衣服・身の回り品小売業が▲1.1%の減少、各種商品小売業(百貨店・総合スーパー)が▲0.8%の減少となっています。加えて、季節調整していない原系列の前年同月比というトラディショナルな数字を見ると、引用した記事にもある通り、燃料小売業が+17.5%増と伸びが目立っています。これは国際商品市況における石油価格の上昇に起因する名目値での増加の部分が大きいと考えるべきです。ただ、小売販売額の合計では前年同月比で+1.5%増ですから、購入のバスケットが異なるとはいえ、消費者物価(CPI)上昇率を上回っていますので、実質消費もプラスの伸びを示している可能性が高いと考えられ、繰り返しになりますが、小売販売額は堅調な推移との評価をすべきであろうと私は受け止めています。
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2018年08月29日 (水) 20:55:00

3か月連続で低下した消費者態度指数について考える!

本日、内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲0.2ポイント低下して43.3を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の消費者態度指数、0.2ポイント低下 基調判断4カ月ぶり下げ
内閣府が29日発表した8月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数は前月比0.2ポイント低下の43.3と、3カ月連続で低下した。「収入の増え方」などの指標が悪化した。内閣府は消費者心理の基調判断を「弱い動きがみられる」に下方修正した。下方修正は4カ月ぶり。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「収入の増え方」が41.8と0.4ポイント低下した。低下は2カ月ぶり。前月にボーナスの影響で上昇した反動が出た。「雇用環境」と「耐久消費財の買い時判断」も低下した。
一方、「暮らし向き」の指標は0.1ポイント高い41.7と3カ月ぶりに上昇した。消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は株安を背景に0.5ポイント低い42.6だった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.1ポイント高い81.6%だった。「低下する」は0.3ポイント低い3.2%、「変わらない」は0.4ポイント高い12.9%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は8月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6047世帯、回答率は72.0%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、「暮らし向き」が+0.1ポイント上昇したものの、「収入の増え方」が▲0.4ポイント、「雇用環境」が▲0.3ポイント、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.2ポイント、それぞれ低下となっています。これらコンポーネントを総合した消費者態度指数の最近半年余りの動向でも、直近のピークは昨年2017年11月から今年2018年1月の3か月連続で44.6で横ばいを示した後、最近時点まで緩やかに低下傾向にあるように見えます。直近の消費者マインドの低下については、引用した記事にもある通り、6~7月のボーナスの反動で8月には収入が伸び悩んだ印象があったほか、少し前の豪雨災害や災害クラスの猛暑などの天候の影響、特に野菜などの価格高騰なども反映しているんでしょうが、それにしても弱い動きだと私は受け止めています。従って、統計作成官庁の内閣府では基調判断を先月までの「弱含んでいる」から「弱い動きがみられる」と、さらに半ノッチ下方修正しています。
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2018年08月28日 (火) 20:14:00

第一生命経済研リポート「携帯料金4割引き下げの家計への影響」やいかに?

先週金曜日8月24日に消費者物価指数(CPI)が総務省統計局から公表された際に少し取り上げましたが、携帯電話の料金4割引き下げに関して第一生命経済研から「携帯料金4割引き下げの家計への影響」と題するリポートが明らかにされています。結論として、国民1人当たり▲2万円強、家計全体では▲2.6兆円程度の負担軽減につながり、来年2019年10月からの消費税率の+2%ポイントの引き上げによる家計の負担増+2.2兆円程度との試算を上回る負担減となる可能性が示唆されています。
特に、私が注目しているのは、年代別や世代別に考えて、携帯電話料金の負担が大きい、逆から言えば、携帯電話料金引き下げの恩恵が大きいのが高齢・引退世代でなはなく、若年世代や勤労世代である点です。以下のグラフはリポートから消費税率の引き上げによる負担増と携帯電話料金引き下げによる負担減を年代別と年収階層別で分析しています。

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総務省統計局による「家計調査」のデータを基にした分析のようですが、消費税率引き上げに軽減税率実施を加えた総負担増から携帯電話料金4割引き下げによる負担減を差し引いて「純負担」と呼ぶとすれば、見れば明らかなように、若い世代ほど純負担のマイナス幅が大きく、60歳以上世代では逆に純負担がプラスとなります。また、年収階層別では350万円未満層と1250万円以上層でプラスの負担増との試算結果が出ていますが、その間の中間所得階層では純負担はマイナスです。350万円未満層で純負担増が生じるのは気にかかるところですが、59歳以下層で純負担マイナスとなるのは、高齢・引退世代に偏った優遇措置が講じられてきた我が国社会保障政策に棹差して、なかなか画期的な政策なのかもしれません。
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2018年08月27日 (月) 21:42:00

リクルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフの賃金動向やいかに?

金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の7月の調査結果を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+2.4%、24円増加の1,035円となり、職種別では、「販売・サービス系」、「製造・物流・清掃系」、「フード系」など、全職種で前年同月比プラスとなり、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、一時期は前年同月比マイナスを記録する月もありましたが、最近では2017年9月からプラスを続けていて、7月は+13円、+0.8%増の1,648円に達しています。最近では、人材確保のために正社員の求人も増加し、正社員有効求人倍率が1倍を超えているんですが、ご同様に、非正規雇用の求人も堅調と考えてよさそうです。
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2018年08月24日 (金) 23:26:00

引き続きプラスを続ける消費者物価(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。いずれも7月の統計です。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+0.8%を記録しており、SPPI上昇率も前月と同じ+1.1%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の全国消費者物価、0.8%上昇 食品やガソリンの上昇が影響
総務省が24日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が100.9と前年同月比0.8%上昇した。上昇は19カ月連続。乳製品や飲食店向けビールなど食品のほか、ガソリンの上昇が押し上げた。
生鮮食品を除く総合では、全体の51.4%にあたる269品目が上昇した。原油高を受け、エネルギー関連品目が上昇した。
下落は187品目だった。NTTドコモの料金プランの見直しで、携帯電話の通信料が下落した。一部の家電も値下がりした。横ばいは67品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.0と0.9%上昇した。6月から7月にかけての天候不順できゅうりやキャベツなど生鮮野菜が値上がりした。世界的な需要拡大を映したたこの価格上昇も目立った。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは100.9と前年同月比0.3%上昇した。宿泊料のほか、授業料など教育費の上昇が影響した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは前月比で0.1%上昇した。
7月の企業向けサービス価格、前年比1.1%上昇 人件費の上昇などで
日銀が24日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.9で、前年同月比1.1%の上昇となった。伸び率は6月から横ばいだったが、消費増税の影響を受けた時期を除くと、6月に続いて1993年3月以来、約25年ぶりの高い水準となる。幅広い産業で、人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが続いた。上昇は61カ月連続。
土木建築サービス、プラントエンジニアリング、労働者派遣サービスなどで高い伸びが続いた。指数上昇に寄与したのは運輸・郵便だった。国際航空貨物輸送が、一部路線の運休による需給逼迫のほか、燃油サーチャージの上昇もあって前年同月比19.7%上昇した。一方、宿泊サービスは西日本豪雨や大阪府北部地震の影響で上昇率が鈍化した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは80品目、下落は29品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は51品目で、前月の48品目から拡大した。差し引きでのプラスは20カ月連続となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、コアCPIの前年同月比上昇率で+0.9%でしたので、小幅に下回りましたが、大きく外れはしませんでした。企業物価については輸入物価と国内物価が国際商品市況における石油価格の上昇の影響などから、やや上昇幅を拡大し、7月の企業物価のうち国内物価の前年同月比上昇率が+3%を超える一方で、消費者物価(CPI)の上昇ペースは加速せず、デフレ脱却はまだしも、日銀のインフレ目標である+2%とは差があります。ということで、マクロの物価上昇は引き続き力強さに欠けるんですが、最近、多くのエコノミストが注目しているのは来年2019年10月の消費税率引き上げに際しての個別品目のマイクロな物価動向、中でも、政府の影響下にある公共料金のうちの携帯電話通信料の引き下げと教育費の無料化の動向です。前者の携帯電話通信料は全国のウェイトが1万分の215、東京でも177あります。他方、生鮮食品のウェイトが396ですから、菅官房長官の発言にあったように、携帯電話通信料が4割引き下げられると、全国コアCPIの上昇率を▲1%近く引き下げる効果があり、現在のプラスの上昇率は吹っ飛んでしまいます。加えて、教育の無償化については、幼児教育・保育及び大学など高等教育のそれぞれの無償化、さらに、私立高等学校授業料の実質無償化、といった教育無償化が消費税率引き上げの2019年10月から翌2020年4月にかけて実施されることが議論されています。制度的に複雑な実施となり、例えば、大学など高等教育の無償化については対象が住民税非課税世帯に限定されたり、私立高校の授業料が実質無償化されるのは年収590万円未満世帯に限定されたりするので、計算は複雑で教育のうちの授業料等の228のウェイトに相当する料金がすべてゼロになるわけではありませんが、知り合いのエコノミストのいくつかの試算を見ている限りでは、やっぱり、全国コアCPIの上昇率を▲0.5%近く引き下げる効果が示されており、合せて▲1.2~1.4%くらいの引き下げ効果が見込まれています。国際商品市況における石油価格上昇の追い風に乗っても、なお、+1%に届くか届かないかのコアCPI上昇率しかない現状で、これらの引き下げ効果を生ずる制度改革が実施されるとすれば、日銀のインフレ目標達成がまたまた遠のくことになるような気がします。

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次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。これまた、CPIと同じで石油閣下うの上昇に連動するような形で運輸・郵便が前年同月比上昇率で+2.4%、景気に敏感な広告も+0.4%などが前年同月比寄与度の前月差で見てもSPPIの上昇をけん引している印象です。他にも、引用した記事にある通り、土木建築サービス、プラントエンジニアリング、労働者派遣サービスなどが人手不足を背景に高い上昇率を示しています。
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2018年08月23日 (木) 19:43:00

雇用保護規制を緩和すると何が起こるのか?

ちょうど1週間前の8月16日付けで、国際通貨基金(IMF)のスタッフによる以下の学術論文が公表されています。



タイトルからかなり明らかなんですが、1990年代初頭から先進国において傾向的に労働分配率が低下しているという定型化された事実につき分析を行っています。先進国26国の1970-2015年における主要な雇用保護法制に関する改革 ("major reforms to employment protection legislation") のデータセットを構築し、こういった改革に対する労働分配率の反応を分析しています。複雑なモデルや差の差分析 (differences-in-differences) などといった推計方法の計量経済学的な詳細については省略して、極めて安直に結論だけを引用すると、「先進国において雇用保護規制の緩和は15パーセントに相当する平均的な労働分配率の低下に寄与した可能性がある」("job protection deregulation may have contributed about 15 percent to the average labor share decline in advanced economies") と指摘しています。
下のグラフは、この論文の p.34 Figure 1. Cumulative Changes in Country Labor Shares Around Reform Years を引用しています。改革実施前後の-2年~+5年における労働分配率の変化をプロットしています。凡例の通り、緑色が改革実施国、赤が現状維持国です。

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詳細は論文そのものを読むしかないんですが、格差の観点も含めて、ピケティ教授が展開した R > G の利子率が成長率を上回るため格差が広がったり労働分配率が低下したりする、という見方のほかにも、こういった制度論的な規制緩和の労働分配率低下効果は直観的には私の理解ととてもよくマッチします。ただ、そうでない方も多そうな気もします。歪ませて神学論争に発展させることなく、科学的客観的な分析が要請されます。
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2018年08月22日 (水) 19:24:00

東洋経済オンラインによる「学生に勧めたい大手企業」ランキング50社やいかに?

最近の学生諸君の就活事情は私にはよく理解できていない気がするんですが、東洋経済オンラインにおいて、8月14日付けで「学生に勧めたい大手企業」ランキング50社の結果が明らかにされています。東洋経済オンライのサイトから引用すると以下の通りです。

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467大学のキャリアセンターの担当者が回答している、ということで、見ればそのまんまなんですが、トップ5くらいに運輸系の企業が多く見かけます。ただ、テーブルにはされていませんが、同時にキャリアセンターに「学生に人気の業種」を5つ聞いているそうで、その結果、1位は公務員の28.3%、次いで2位が銀行18.6%、教員17.8%のトップスリーとなっていて、以下、食品、サービス、商社、情報と続くということです。業種と個別企業の選好は必ずしも一致しないとはいえ、それよりも、学生の人気とキャリアセンター担当者のオススメの差が出ているような気もします。私はバブル経済前の採用で、しかも公務員ですから、21世紀の就活の実情は詳しくないものの、我が家の2人の大学生の倅どもの行く末は気になります。
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2018年08月21日 (火) 21:38:00

帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

昨夜に続いて、女性登用に関する話題なんですが、8月14日付けで帝国データバンクから「女性登用に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 女性管理職がいない企業は48.4%と半数近くにのぼる一方、「30%以上」とする企業は6.8%で徐々に増加し、女性管理職の割合は平均7.2%と前年比0.3ポイント上昇。また、従業員全体の女性割合は平均24.9%で同0.3ポイント上昇、役員は平均9.7%で同0.4ポイント上昇
  2. 未上場企業の女性管理職割合は平均7.2%、上場企業は平均5.1%。女性管理職割合は未上場企業が上場企業より2.1ポイント高い
  3. 女性管理職が5年前より増加したと回答した企業は21.6%だった一方、今後、自社の女性管理職割合が増えると見込む企業は24.6%。女性役員割合では、5年前より増加した企業は8.2%、今後、増加すると見込む企業は7.5%
  4. 女性の活用や登用について「社内人材の活用・登用を進めている」企業は43.1%で4割を超えている一方、「社外からの活用・登用を進めている」企業は12.7%。その効果は「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が67.6%でトップ。以下、「女性の労働観が変化してきた」「多様な働き方が促進された」「従業員のモチベーションが上がった」「女性を登用したことで業務が円滑に進んだ」が続く。特に、従業員数の多い企業で効果を高く実感する傾向


かなり詳細なサマリーなので、特に付け加えることもないんですが、グラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポートから 女性の割合 (従業員・管理職・役員) を引用しています。従業員数は別にして、管理職や役員で全員が男性という企業の比率はジワジワと低下しているのが見て取れます。調査対象企業数は各年でビミョーに異なるものの、ほぼほぼ1万者ですから、誤差はそれほど大きくないものと期待してよさそうです。ただ、社内・社外を問わず女性の活用・登用を進めている企業は48.4%となっており、これが多いと見るか、少ないと見るかはビミョーなところなんですが、私の実感としては、まだまだ女性登用が天井にぶつかったとは思いませんので、やや低いんではないかという気がしています。
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2018年08月20日 (月) 21:29:00

joy.net 「東京医大入試での女子一律減点、医師たちはこう考える」の結果やいかに?

私は大学教員2年間だけ出向の形ながら経験し、日本の制度の中でかなりの程度に公平性が確保されているもののひとつに大学入試を考えていたんですが、その私の考えに大きな疑問を投げかける問題として、東京医大入試での女子受験者の一律減点が報じられました。この問題につき、joy.net で「東京医大入試での女子一律減点、医師たちはこう考える」と題して簡単なアンケートが実施され、結果が8月3日付けで明らかにされています。私から見て、その結果にも驚くべきものがありました。まず、アンケート調査の結果グラフを joy.net のサイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかな通り、「理解できる」が18.4%もあって、これに「ある程度は理解できる」の46.6%と合わせると、実に65%もの医師が東京医大の対応に一定の理解を示しています。実に驚くべき結果です。回答者は全員医師で、わずかに103人ですから大きな誤差が含まれている可能性が高い上に、回答者の男女の性別は明らかではありません。でも、私が回答するとすれば、明らかに「理解できない」でしょうから、医師の世界はかなり特殊なのか、という気もします。加えて、こういった医師の意識を背景に東京医大で女子受験者の一律減点が実施されていたのかもしれません。いずれにせよ、大学入試の公平性とともに、医師の世界の常識も疑わせる結果ではないか、と私は受け止めています。
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2018年08月16日 (木) 20:26:00

またしても赤字を記録した7月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+3.9%増の6兆7474億円、輸入額も+14.6%増の6兆9786億円、差引き貿易収支は▲2312億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易収支、2312億円の赤字 輸出の伸び悩み響く
財務省が16日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2312億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出の伸びが限定的だったうえ、中東からの原油の輸入が増え、輸入額の増加が上回った。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(500億円の赤字)に比べて赤字額が大きかった。
輸出額は前年同月比3.9%増の6兆7474億円だった。20カ月連続で増加した。韓国向けの重油に加え、アジア向けの半導体製造装置や半導体部品の輸出が好調だった。
輸入額は14.6%増の6兆9786億円だった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原油や、アイルランドからの医薬品が大幅に増加した。原油の円建て輸入単価は56.2%上昇した。
7月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110円78銭。前年同月に比べて1.5%円高・ドル安に振れた。
7月の対米国の貿易収支は5027億円の黒字で、黒字額は22.1%減少した。減少は2カ月ぶり。2カ月連続で輸出額が減ったことが響いた。前年に好調だった反動で、自動車や自動車部品の輸出が減った。鉄鋼の輸出も減少した。半面、航空機エンジンや液化石油ガス(LPG)の輸入が増えた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲448億円でしたし、レンジの下限でも▲1990億円でしたから、実績値の▲2312億円の赤字というのはやや大きい赤字、と私は受け止めています。そして、この7月貿易赤字の要因を考えると、輸出サイドでは輸出数量の停滞、特に米国向け輸出数量の減少、そして、輸入サイドでは輸入価格の上昇、ということになろうかと思います。季節調整していない原系列の貿易指数の前年同月比で見て、輸出数量は年度明けから、4月+7.2%、5月+6.4%の後、6月+3.2%に続いて、7月はさらに落ちて+0.8%を記録しています。特に米国向け輸出数量は7月▲4.8%に落ち込んでいます。一方、輸入価格は同じ時期に4月+3.8%上昇、5月+7.0%、6月+7.4%から、とうとう7月には+10.2%の上昇に達しています。基本的に、国際商品市況における石油価格をはじめとする一次産品の価格上昇が主因であろうと考えられます。ただ、今月から貿易指数が2015年基準に改定され、今月末の確報公表時まで接続指数が明らかではなく、いつもの輸出のグラフは書けませんでした。この先、世界的な貿易摩擦の激化や通商政策の動向に伴って、年明けくらいから我が国の輸出も何らかの影響を受ける可能性が高い、というのがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスかもしれません。
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2018年08月15日 (水) 19:39:00

マクロミル・ホノテ「第4回 災害や防災に関する定点調査」の結果やいかに?

異常気象による災害や数十年振りの天候が毎年のように起こっている中で、マクロミル・ホノテから先週8月7日(火)に「第4回 災害や防災に関する定点調査」の結果が明らかにされています。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを4点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • "恐れている災害"、「豪雨、洪水」が急上昇。しかし1位は依然、圧倒的に「地震」
  • 94%が、"5年以内に日本で大災害が起きる"と回答。起きると思う災害で、上昇傾向なのは
    「豪雨、洪水」「土砂災害」、そして「中長期の天候災害」。この夏の猛暑も影響?
  • 大災害への不安が高まる一方、防災意識はほとんど変わらず
  • ペットの防災、飼い主の実施率は6割


最後のペットの防災については、誠に申し訳ないながら、私はそれほど興味ないんですが、いくつか、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから引用していますが、恐れている災害について、過去3回の調査結果をプロットして比較しています。従来からもっとも恐れられている災害は「地震」であり、96%とほぼ全員が回答しています。続いて2位は前回の調査より13%ポイントも上昇した「豪雨、洪水」の67%でした。また、「土砂災害」も、前々回と比較すると10%ポイント上昇しています。西日本豪雨の影響などからか、豪雨、洪水、土砂災害などへの恐怖感が高まっているように見受けられます。

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続いて、「この先5年以内に、国内で生命や社会生活に大きな被害をもたらす大災害が起きると思うか」との質問に対して94%が「起きると思う」と回答したところ、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから引用していますが、起きると思う大災害の上位7位をプロットしています。見れば明らかですが、1位は「地震」で90%、次いで「豪雨、洪水」62%、「土砂災害」40%、「津波」36%と続きます。前回の今年2018年2月調査よりもスコアが軒並み上昇しており、特に「豪雨、洪水」と「土砂災害」で上昇幅が大きく、西日本豪雨の影響なのかもしれません。

最後に、グラフは引用しませんが、今回の調査でも、大災害に対する恐怖や不安が高まる一方で、防災を「意識している (『とても意識している』と『やや意識している』の合計)」と回答した人は61%という結果で、前回の調査の59%から特に上昇したわけでもなく、「防災意識はほとんど変わらず」と結論しています。私自身をかえりみて判る気もします。
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2018年08月14日 (火) 19:27:00

あおぞら銀行「シニアのリアル調査」結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週8月9日(木)にあおぞら銀行から「シニアのリアル調査」の結果が明らかにされています。あおぞら銀行によれば、日本の60代を中心とするチャレンジ精神旺盛でアクティブな世代を「Brilliant60s=輝ける60代」と名付け、ポジティブな人生をおくるサポートをすべく、シニア層のお客さまへの資産運用コンサルティングに注力しているところ、コアとなる全国の55~74歳の男女約2,000名を対象にした調査だそうです。実は、私も今年は還暦で来月に60歳に達しますので、一端なりとも少し見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから、季節に合わせて「お盆玉」の認知度に関する質問の結果を最近3年間でプロットしたものです。シニアでもまだ40%に達しない認知度ですから、私が知らなくてもしょうがないところですが、「お盆玉」とは語感から軽く想像されるように、お盆の時期に子や孫にあげるお小遣いのことです。統計局で消費統計を担当していたエコノミストとして恥ずかしながら、私はこのリポートを見るまで知りませんでした。グラフは引用しませんが、最近3年間では軽く5,000円を超えているようです。

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次に、上のグラフはリポートから、孫のために購入したことのあるものを引用しています。見れば明らかで、1位に節句の人形が53.0%でもっとも多く、次いで2位にランドセル46.3%、3位に自転車30.5%が続いています。私は孫がまだいませんので判りませんが、確かに、ウチの倅どもに端午の節句の武者人形が送られてきたことは記憶していて、毎年、それなりの季節には飾っています。

シニアに片足が入り始めたという観点からは、それほど参考にはなりませんでしたが、一般的なシニア消費の一端、いわゆる孫消費については大いに参考になった気がします。これだけシニア=高齢者が豊かで現役世代への移転があるんですから、社会保障給付を少し考えればいいような気もします。世代間不公平を是正する必要は明らかです。
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2018年08月13日 (月) 21:41:00

第一生命経済研「天変地異が日本経済に及ぼす影響」やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週8月7日(火)に、第一生命経済研から「天変地異が日本経済に及ぼす影響」と題するリポートが明らかにされています。タイトルはキャッチーなんですが、地震などの天災も分析の対象に入っているものの、実は、主たる部分は気象と消費の関係に着目している感もあります。ただ、私のようなエコノミストの目から見て、天災はもちろん、気候条件は経済外要因として片づけてしまいがちでしたので、それなりに目を啓かせてくれるような気もします。グラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから夏季に当たる7~9月期の日照時間と家計消費の関係を引用しています。基本的に、消費と日照時間と気温の関係を初歩的な最小二乗法(OLS)を用いた消費関数で推計しようと試みているんですが、その結果として、過去20年のデータを用いた推計パラメータから、7~9月期の日照時間が全国平均で+10%増加すると、同時期の家計消費支出が+0.51%程度押し上げられることになり、これを気温に換算すれば、7~9月期の平均気温が全国平均で+1℃上昇すると、同時期の日照時間が+10.5%増加する関係があることから、家計消費支出を約+3,186億円(+0.54%)程度押し上げる、との結論を示しています。気温が高くて日照時間が長ければ消費は上振れする、という経験的な事実を確認できるように私は受け止めています。

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すでに爆買いの段階は終息しつつあるような気もしますが、インバウンド消費と天変地異の関係も気にかかるところで、上のグラフはリポートから非居住者家計の直接購入額と訪日外客消費の関係を引用しています。ここでは消費ではなく需要項目別では輸出ということになりますが、天変地異に起因するインバウンド消費の変動については、豪雨被害や大阪北部地震の悪影響といった潜在的な押し下げリスクを指摘しています。

最後に、このリポートでは、最初に指摘した通り、かなり初歩的な推計手法を用いていて、気温や日照時間と消費の間にリニアな関係を想定していますが、私は今年のような猛暑を目にして quadratic な関係を想定すべきではないか、すなわち、気温/日照時間と消費は単純な正の相関ではなく、逆U字型の関係があり、ある気温までは正の相関を保ちつつ、反転して気温が高過ぎると消費にマイナスの影響を及ぼし始める転換点がある可能性を忘れるべきではないと考えます。実証していませんので、直観的な思考結果に過ぎませんが、その転換点を探るためには、単純にリニアな関係を想定するのではなく、消費関数に気温/日照時間の二乗項を入れるなどの工夫が必要そうな気がします。
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2018年08月10日 (金) 20:18:00

4-6月期GDP統計1次QEはプラス成長に回帰し年率+1.9%の高い伸び!

本日、内閣府から昨年2018年4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+1.9%を記録しました。マイナス成長だった1~3月期から2四半期振りのプラス成長でリバウンド効果もあって、かなり高い成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2期ぶりプラス成長 4~6月GDP1.9%増、内需が拡大
内閣府が10日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では1.9%増だった。プラスは2四半期ぶり。1~3月期は年率換算で0.9%減だった。個人消費や設備投資など内需が拡大した。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.3%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.4%増、年率では1.7%増だった。名目も2四半期ぶりにプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が0.6%分の押し上げ、外需の寄与度は0.1%分のマイナスだった。項目別にみると、個人消費が0.7%増と、2四半期ぶりにプラスだった。天候不順や生鮮野菜の高騰で1~3月期に落ち込んだ反動が出た。
輸出は0.2%増、輸入は1.0%増だった。米国と欧州連合(EU)向けが伸びた。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は1.3%増と、7四半期連続でプラスだった。省力化投資や研究開発など企業の設備投資需要が高まった。
住宅投資は2.7%減。貸家着工の低迷が響いた。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.0%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%のプラスだった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/4-62017/7-92017/10-122018/1-32018/4-6
国内総生産GDP+0.5+0.6+0.2▲0.2+0.5
民間消費+0.8▲0.7+0.3▲0.2+0.7
民間住宅+1.3▲1.3▲3.0▲2.3▲2.7
民間設備+0.5+1.2+0.8+0.5+1.3
民間在庫 *(▲0.1)(+0.4)(+0.1)(▲0.2)(+0.0)
公的需要+1.4▲0.5▲0.1▲0.1+0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(▲0.3)(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)
輸出+0.2+2.1+2.1+0.6+0.2
輸入+1.9▲1.5+3.3+0.2+1.0
国内総所得 (GDI)+0.7+0.6▲0.0▲0.5+0.4
国民総所得 (GNI)+0.6+0.8▲0.0▲0.7+0.7
名目GDP+0.8+0.8+0.3▲0.4+0.4
雇用者報酬 (実質)+0.5+0.7▲0.2+1.2+1.9
GDPデフレータ▲0.3+0.1+0.1+0.5+0.1
内需デフレータ+0.4+0.5+0.6+0.9+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率による予想レンジは+0.5~+2.5%となっており、かなり予測の上限に近い印象です。ただし、1~3月期と4~6月期をならして年半期ベースで考えると、2017年下半期から2018年上半期への前期比成長率は+0.1%にしか過ぎず、4~6月期の高成長はリバウンドの要素が強いとすれば、我が国経済が踊り場局面から脱して潜在成長率水準に回帰した、とまではいえない可能性もあります。ただ、住宅投資こそマイナスを続けているものの、消費は力強くリバウンドしてプラスを記録し、設備投資も伸びを続けているわけですから、2017年10~12月期から3四半期に渡ってゼロ近傍の寄与度を続けている外需に代わって内需主導の成長が実現できていることも事実です。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費なわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。インバウンド消費も順調な拡大を続けているものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大局面は終了に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、雇用者報酬が順調に伸びを示しています。人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

先行きの成長についても、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦がリスクとして上げられるものの、日本経済は緩やかな拡大基調を継続するものと私は期待しています。なお、最後に、本日日銀から公表された企業物価 (PPI) については、国際商品市況における石油価格の上昇を受けて、ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+3%を超えたんですが、諸般の事情により今夜のブログでは割愛します。悪しからず。
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2018年08月09日 (木) 19:52:00

2か月連続で前月比マイナスを記録した機械受注の先行きやいかに?

本日、内閣府から6月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て5月が前月比▲3.7%減の9,079億円の後、6月も前月比▲8.8%減の8,276億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の機械受注8.8%減 内閣府、基調判断引き下げ
内閣府が9日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比8.8%減の8276億円だった。2カ月連続で減少した。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、1年1カ月ぶりに下方修正した。
6月の受注額は製造業が15.9%減の3818億円だった。減少は3カ月ぶり。17業種のうち13業種が減少した。電気機械や化学工業が押し下げた。非製造業は7.0%減の4454億円。減少は6カ月ぶり。建設業などの減少が目立った。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.3%増だった。
4~6月期は前期比2.2%増の2兆6786億円だった。増加は4四半期連続で、四半期ベースでは2008年4~6月(2兆8217億円)以来の高水準だった。製造業が5.5%増とけん引した。非製造業は0.4%減だった。
7~9月期は前期比0.3%減の見通し。製造業は5.0%増、非製造業は3.7%減を見込む。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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5月統計では、コア機械受注が製造業と船舶・電力を除く非製造業を合わせて前月比▲3.7%減ながら、製造業が+1.3%増、船舶・電力を除く非製造業も+0.2%増、という季節調整の綾で不思議な結果だったんですが、6月は明確に製造業▲15.9%減、船舶・電力を除く非製造業▲7.0%減、この2つを合計したコア機械受注▲8.8%減と、判りやすい結果となっていて、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と下方修正しています。ただし、四半期ベースの4~6月期で見ると、4月の大きなプラスがゲタを履いて前期比+2.2%増となっています。他方、7~9月期見通しでは▲0.3%減にとどまるとの見込みが示されています。コア機械受注の5~6月の2か月連続の前月比マイナスは4月の大きなプラスに対する反動の要素もありますし、基調判断を変更するのはもう少し待ってもよかった気もします。
いずれにせよ、先行きの機械受注については、人手不足に対応した合理化や省力化投資、さらに、東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備などにも牽引され、緩やかな増加が続くと私は考えています。もちろん、船舶・電力を除いたコア機械受注で見ても、もともと変動の激しい指標ですので、単月で大きなプラスやマイナスを示すこともあるでしょうし、2か月連続でマイナスを記録することもあろうかと予想しますが、方向としては横ばいから緩やかな増加の傾向であることは蓋然性高く、決して一本調子でマイナスに向かうことはない、と考えています。
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2018年08月08日 (水) 20:27:00

豪雨被害で低下した景気ウォッチャーと貿易黒字が縮小する経常収支!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲1.5ポイント低下して46.6を、先行き判断DIも▲1.0ポイント低下して49.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆1756億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状指数が1年10カ月ぶり低水準 家計の悪化目立つ
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は46.6と、前の月から1.5ポイント低下(悪化)した。2016年9月(44.3)以来の低水準となった。低下は2カ月ぶり。家計動向の悪化が目立った。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、平成30年7月豪雨によるマインド面の下押しもあり、引き続き一服感がみられる」とした。
現状判断指数を部門別にみると、家計動向が44.8と前の月から2.1ポイント低下した。16年9月(44.2)以来の低水準。猛暑の影響で、レストランやテーマパークで客足が伸びなやみ、飲食関連とサービス関連が低下した。
半面、猛暑の影響で関連商品の売れ行きが伸びた小売関連は上昇した。
企業動向は49.0と前の月から0.2ポイント低下した。製造業は、大手自動車メーカーの輸出が好調で上昇したものの、非製造業が低下した。人件費や燃料費の上昇で、輸送業で採算悪化が目立った。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.0で前の月から1.0ポイント低下した。低下は2カ月ぶりで、17年3月(48.5)以来の低水準。家計動向と企業動向が悪化した。
家計動向は1.3ポイント悪化の48.4だった。企業動向も1.0ポイント悪化した。7月の西日本豪雨や猛暑の影響で食品の価格が上昇し、販売や採算に影響することへの懸念が強い。
今回の調査では、7月に起きた西日本豪雨の影響をまとめた。地域別の現状判断指数では、被害が目立った中国で41.2と前の月に比べて6.5ポイント低下した。四国も44.1と5.6ポイント悪化した。
豪雨に関するコメントは、現状で207件、先行きで166件と6月に比べて大きく増えた。中国の木材木製品製造業は「交通網の遮断や取引先の被害などで受注や工期が遅れ気味」と指摘した。近畿の都市型ホテルからは「豪雨や台風によるキャンセルも相次ぎ、売り上げに影響を与えている」との声があった。
6月の経常収支、1兆1756億円の黒字 48カ月連続黒字
財務省が8日発表した6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆1756億円の黒字だった。黒字は48カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆1760億円の黒字だった。
貿易収支は8205億円の黒字、第1次所得収支は5876億円の黒字だった。
同時に発表した2018年1~6月の経常収支は10兆8411億円の黒字、貿易収支は1兆8150億円の黒字だった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でも、とても長くなってしまいました。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーについては、6月統計で下げ止まりに向かう方向感が出たし、私自身は「下げ止まりつつある印象」を感じたんですが、7月統計でも現状判断DI、先行き判断DIとも▲1ポイント以上の大きな落ち込みと低い水準を記録しています。ただ、統計作成官庁である内閣府では7月豪雨によるマインド面の下押しを強調しており、「緩やかな回復基調が続いている」とした基調判断の根幹部分は据え置いています。同時に、引用した記事にもある通り、「景気ウォッチャー調査における『平成30年7月豪雨』の影響」と題するリポートを明らかにし、地域別現状判断DIでは、中国地方で前月差▲6.5ポイント低下の41.2を、四国地方で▲5.6ポイント低下の44.1を、それぞれ記録し、豪雨被害の影響が比較的大きかった地域において、DIの大幅な低下がみられたこと、さらに、豪雨に関連するコメント数は現状で207件、先行きで166件となっており、中国、四国地域のみならず全国にわたって影響がみられたこと、などを上げるとともに、加えて、定性的には景気の先行きに関するコメントから、消費マインド・自粛ムードへの懸念、農産物の値上がりに対する懸念、復旧・復興に向けた動きへの期待、そして最後に、その他(風評被害、インフラ被害等)の4項目を拾っています。ただ、私は天候要因によるマインドの一時的な低下は、確かにあり得るものの、同時に、7月は気温が高い状態が続いた猛暑でもあり、これが野菜などの価格上昇をもたらした可能性もあります。景気が天候に振り回されている印象なんですが、いくぶんなりとも地球規模での気候変動の影響なんでしょうか?

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスとここまで近接するとは少し驚きでした。先月は貿易黒字が大きく縮小して、国際商品市況における石油や一次産品価格の上昇に伴う輸入額の伸びが大きくて、輸出も伸びてはいるものの、結果的に差引き貿易黒字が縮小している、という感触です。先行き、米中の貿易戦争で対外収支はそれなりの影響を受けそうな気もしますが、このブログで7月24日に取り上げた大和総研のリポートのように、それほど大きな影響ではない、とする見方もあります。
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2018年08月07日 (火) 23:12:00

景気拡大が5年半を超えた景気動向指数と名目賃金の上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.7ポイント下降して105.2を、CI一致指数も▲0.5ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+3.6%増の44万8,919円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、2カ月連続低下 生産など悪化
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.5ポイント低下の116.3だった。低下は2カ月連続。市場予想の中央値は0.6ポイント低下だった。生産や卸売業の販売額が軟調だった。
指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち4系列が指数を押し下げた。半導体製造装置の部品調達が遅れた影響などで鉱工業生産指数が落ち込んだ。卸売業の商業販売額が低調だったこともマイナスに寄与した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は21カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指標は1.7ポイント低下の105.2となり、3カ月ぶりに低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は2.3ポイント低下の115.6だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
名目賃金6月3.6%増 増加は11カ月連続
厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、6月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比3.6%増の44万8919円だった。増加は11カ月連続で、1997年1月以来21年5カ月ぶりの高水準。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増。残業代など所定外給与は3.5%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は7.0%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は2.8%増だった。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.8%上昇したが、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.8%増の1133円。パートタイム労働者比率は0.43ポイント低い30.22%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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CI一致指数・先行指数とも下降を示し、特に、CI一致指数は2か月連続の下降となりますが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「改善」で据え置かれています。というのも、3か月後方移動平均は、まだ、+0.10ポイント上昇しており、3か月連続の上昇を示しているからです。「改善」の次の景気局面を示す基調判断は「足踏み」なんですが、当月の前月差がマイナスで、かつ、3か月後方移動平均がマイナス、しかも、マイナス幅が標準偏差分以上との基準となっているからです。6月のCI一致指数の前月差▲0.5ポイント下降のうち、プラス寄与だったのは商業販売額(小売業)(前年同月比)と有効求人倍率と耐久消費財出荷指数の3系列であり、残りの4系列はマイナス寄与となっています。特に大きいのは、生産指数(鉱工業)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)と投資財出荷指数(除輸送機械)となっています。同じく前月差▲1.7ポイント下降のCI先行指数に対するマイナス寄与で大きい系列は、新設住宅着工床面積、鉱工業生産生産財在庫指数、中小企業売上げ見通しDIなどが上げられます。繰り返しになりますが、もしも、内閣府の基調判断通りに景気が拡大しているのだと仮定すれば、2012年11月を谷とする現在の景気拡張期間は67か月、すなわち、5年半を超えたことになります。気の早いことながら、戦後最長の景気拡大期間は今世紀に入ってからのサブプライム・バブル景気であり、2002年1月を底として2008年2月を山とする6年余りの73か月間ですから、現在の景気拡大期はあと半年6か月で戦後最長に並ぶことになります。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、引用した記事に見られるように、今月統計は賃金に集中したいんですが、ちょっとびっくりの賃金上昇幅でした。実は、細い方のグラフは左軸の+3%に収まり切らずに突き抜けています。すなわち、季節調整していない原系列の統計で、名目賃金6月+3.6%増であり、1997年1月以来21年5か月振りの上昇幅だそうです。6月ですからボーナス月の印象もあり、所定内給与は+1.3%増、所定外給与は+3.5%増、所定内給与と所定外給与を合わせたきまって支給する給与は+1.5%増、加えて、特別に支払われた給与は+7.0%増ですから、ボーナスに当たる特別給与の寄与が少なくないわけで、それはそれで景気敏感な賃金部分ではありますが、消費に貢献する恒常所得ではない可能性もありますし、逆に、日常の買い物ではない比較的高額な耐久消費財に回る可能性もあります。猛暑も消費に影響するかもしれません。何とも判断の難しいところです。取りあえず、エコノミストのごまかし方の常道として、来月の統計を見てみたい気がします。
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2018年08月06日 (月) 23:28:00

金曜日公表予定の4-6月期1次QEはプラス成長に回帰か?

先週火曜日7月31日の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、今週金曜日の8月10日に今年2018年4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の7~9月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。テーブル下部の三菱UFJリサーチ&コンサルティングをのぞいて、ほとんどのシンクタンクが明示的に先行き経済を取り上げています。なお、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.1%
(+0.5%)
今後を展望すると、再び潜在成長率を上回る成長に戻っていく見通し。良好な雇用・所得環境を背景に個人消費の伸びが高まるほか、企業業績の改善を受けて設備投資も回復が持続。米国発の貿易摩擦が一段と深刻化しない限り、内需主導の堅調な景気回復が続く見通し。
大和総研+0.3%
(+1.4%)
4-6月期の成長率はプラスに転じたとみているが、前期と均してみれば横ばい圏での推移である。先行きの日本経済は、踊り場局面から徐々に回復に転じよう。これまで、輸出は、①米国を中心とした在庫循環上の回復、②共産党大会を控えた中国経済の加速、③財政緊縮から拡張への移行に伴う欧州経済の回復、により加速してきたが、2018年に入りこれらの効果は一旦消失した。内需についても、自動車を中心とした耐久財の買い替えサイクルが昨年末以降消失している。他方で、主要輸出先における天候不順の影響が一巡し、米国における減税効果の発現も期待されている。日本経済は、こうしたプラス・マイナスの材料が入り混じりながら推移していくだろう。
みずほ総研+0.4%
(+1.6%)
7~9月期以降の景気も回復が続くだろう。中国向けの産業用ロボットや減税の追い風を受ける米国向けの資本財などを中心に、輸出は緩やかな増加が続こう。堅調な投資マインドを背景に、国内の設備投資は年前半と比べて増勢を強める可能性が強い。個人消費については、労働需給の一段のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが押し上げ要因となる一方、エネルギー価格の上昇が実質所得の下押し要因となり、回復ペースは緩やかなものにとどまるとみている。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+1.0%)
現時点では、7-9月期の実質GDPは民間消費、設備投資に加え、住宅投資も増加に転じることから、前期比年率1%台の成長を予想している。先行きの景気のリスク要因は、米中貿易摩擦の激化により、2018年に入り増勢ペースが鈍化している輸出が失速することである。
第一生命経済研 +0.2%
(+1.0%)
先行きについては、こうした鈍化の動きに歯止めがかかると予想している。様々な不安を抱えながらも世界経済は米国を牽引役として引き続き底堅く推移しており、輸出の減速は一時的とみるのが妥当と思われる。先行きは海外経済の拡大に伴う輸出の増加が期待できることに加え、好調さが持続する設備投資も景気の下支え役として寄与するとみられ、企業部門主導の景気回復の構図は崩れていない。個人消費についても、力強さこそみられないが、雇用、賃金の増加が続くなか、景気の足を引っ張る事態は避けられるだろう。7-9月期以降は潜在成長率を上回る成長が続く可能性が高いと予想している。
伊藤忠経済研+0.5%
(+2.0%)
今後についても、輸出は米国発の貿易摩擦が今以上の拡大を免れれば海外景気の拡大を背景に増勢を維持するとみられ、企業の設備投資も業績改善を背景とする積極的な計画が実行に移りつつあることが先行指標の機械受注で確認されており、個人消費も賃金が底上げされ夏のボーナスが増加する下で猛暑などをきっかけに徐々に回復に向かうと見込まれる。政治的・地政学的リスクには引き続き警戒が必要であるが、日本経済はデフレ脱却に不可欠な自律的回復を再び取り戻しつつあると考えられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.3%)
2018年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%(年率換算+1.3%)とプラスに転じたと予想される。1~3月期のマイナス成長は一時的であり、景気回復が続いていることが確認されるであろう。もっとも、前期にマイナスだったことへの反動を考慮すると、力強さには欠ける。


ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率で+1%を少し上回るくらいの予想が示されています。前期比による予想レンジは+0.1~+0.6%となっており、インプリシットにマイナス成長を見込む機関はなくすべてがプラス成長の予想、ということです。なお、どうでもいいことながら、もっとも低い頴娃町立予想は上のテーブルに示されている日本総研の前期比+0.1%のようです。その日本総研も含めて、1~3月期に景気の踊り場を迎えマイナス成長を記録した日本経済も、4~6月期にはプラス成長に回帰すると見込んでおり、背景としては米国経済の回復と世界経済の順調な拡大により我が国からの輸出が伸びる、ということなんですが、逆に、米国トランプ政権発の貿易摩擦の拡大が先行きリスクとして上げられています。また、足元の4~6月期の成長も含めて、先行きの成長率の見方については、潜在成長率を上回るとの見方とともに、1~3月期のマイナス成長からのリバウンドとしては力強さに欠ける、との見方が入り混じっているような気がします。現在の猛暑の影響も不確定です。
下のグラフは、いつものニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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