2018年04月05日 (木) 19:22:00

エン・ジャパンによる「適性テストの結果から見る 2018年度新入社員の特徴と育成ポイント」やいかに?

採用された新入社員が4月にいっせいに職場に入り、その特徴がいろんな場で取りざたされているところかと想像していますが、エン・ジャパンから3月27日に「適性テストの結果から見る 2018年度新入社員の特徴と育成ポイント」と題する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。私は一向に詳しくないんですが、3Eテストを2018年度の新卒採用で受検した学生から、500名を抽出して統計処理した結果のようです。なお、サブタイトルとして、極めて明確に調査結果をサマライズし、「慎重に空気を読み、出る杭になりたがらない。安定的なキャリアと私生活重視」となっていたりもします。まず、エン・ジャパンのサイトから、2015年と2018年のテスト結果の変化を簡単に取りまとめた結果を引用すると以下の通りです。

テスト結果の変化 (2015年と2018年)
性格特性
低下 - 「主体性」「外向性」
仕事へのスタンス
上昇 - 「安定指向」「私生活重視」
低下 - 「行動性」「競争性」「野心性」「仕事の負荷量に対するストレス耐性」「アントレプレナー」「チャレンジャー」


ということで、2018年度の新入社員に対する育成ポイントとして、以下の3点を上げています。
  1. コンディションを把握し、自主的な報連相を促す。
  2. 理不尽さを排除し、具体的な目標設定の提示を。
  3. 将来のキャリアプランと重ね、新たなミッションを任せる。


2018年度新入社員の3Eテスト受検結果について、2015年の結果と重ね合わせた詳細グラフをpdfの全文リポートから引用すると以下の通りです。

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テスト結果からは、繰り返しになりますが、性格的には、出る杭になりたがらず、場の空気を慎重に読み、調和を保つことに長けている可能性が指摘されており、仕事に対しては、安定的なキャリア形成を第1に考え、将来を見据えたスキルアップ習得を重視しつつ、プライベートな時間を大切にし、仕事はほどほどに取り組む傾向がある可能性が示唆されています。さて、いかに応用すべきでしょうか?
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2018年04月04日 (水) 19:17:00

マクロミルの「2018年ゴールデンウィーク調査」結果やいかに?

プライベートでは週末に下の倅の下宿先アパートに行って日帰りしたり、お仕事では年度末と年度初めのバタバタだったり、の時期を何とか乗り切って、そろそろゴールデンウィークの休暇予定に目が向く余裕ができ始めました。やや旧聞に属する話題ながら、マクロミルから3月27日に「2018年ゴールデンウィーク調査」の結果が明らかにされています。まず、調査結果の概要につき、マクロミルのサイトから3点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2018年のゴールデンウィーク、最大「4連休」が最多の44%、「9連休」は11%。
    理想と現実には3日間のギャップあり。現実は平均「4.3連休」に対し、理想は平均「7.7連休」
  • 働く男女のゴールデンウィーク、平均予算は32,972円。
    過ごし方1位は「睡眠」41%、外出予定は「買い物」4割、「日帰り旅行」「泊りの国内旅行」が2割
  • ゴールデンウィークに向け、4割が事前消費「あり」。
    項目は、「乗車券や、ツアー・施設等のチケット」や「ファッション・身だしなみ」など


なかなか、的確かつ包括的によく取りまとめられている気がします。ゴールデンウィークといえば、年末年始やお盆を含む夏休みなどとともに、1年の中でいくつかある「消費が活発な時期」といえ、エコノミストとしてはお休みだけでなく消費動向とも併せて気にかかるところです。マクロミルのサイトから、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークの最大連休日数 のグラフを引用すると上の通りです。TOPICSにもあった通り、圧倒的なピークは4日の44.0%となっていますが、その次のピークはそれほど高くないとしても10.5%で9連休というのがあります。4日というのは、単純に考えると、5月3日から6日なんだろうという気がしますが、週休2日で土曜日を休むことが出来て、今年2018年の場合は5月1~2日に休暇が取れれば、4月28日スタートで5月6日までが9連休となります。ただ、TOPICSで引用した最初の項目にあった通り、理想の休暇日数の7.7連休に対して、現実は4.3連休だそうですから。働き方改革の真っ最中とはいえ、まだまだ理想と現実のギャップは大きいと言えます。

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次に、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークの過ごし方 上位7位 のグラフを引用すると上の通りです。睡眠と買物がツートップとなっています。それから、グラフには現れませんが、海外旅行は2%だそうです。実は、私もどちらかといえば睡眠派であり、睡眠に加えるに、7番目のスポーツもアリではないかと考えていますが、まあ、エコノミストの立場からいえば、睡眠は消費の拡大ひいてはGDPの成長には貢献が低いかもしれません。でも、睡眠を除いてほかの6項目は、それぞれに違いは当然あるとしても、消費の伸びを高めてGDPの成長に寄与しそうな気がします。

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次に、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークに向けた事前消費内容 上位7位 のグラフを引用すると上の通りです。大きく分けて、乗車券やツアー・施設等のチケットとファッション・身だしなみ、となっています。事前消費かどうかは定かではないものの、お金を使う予定がある人について平均予算は32,972円だそうです。大きいと見るか、小さいと見るかは、ビミョーなところかもしれません。
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2018年04月03日 (火) 23:14:00

ニッセイ基礎研「医療費は各年齢でどれくらいかかるものなの?」に見る年齢別の医療費やいかに?

昨日の4月2日付けで、ニッセイ基礎研から「医療費は各年齢でどれくらいかかるものなの?」というタイトルのリポートが明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。なかなか興味深いところであり、国民1人当たり年間医療費は33.3万円、生涯医療費は2,700万円となっています。単純に割り算すると平均寿命の81歳ということになりますが、もちろん、年齢により医療費は大きく異なるところ、10代後半から20代前半を底にしたU字型のカーブがクッキリと描き出されています。

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まず、ニッセイ基礎研のサイトから 図表1. 1人当たり医療費 [1年間] を引用すると上のグラフの通りです。5歳きざみで表章されています。そして、グラフから明らかな通り、平均で見た国民1人当たり年間医療費は33.3万円なんですが、それにほぼ相応する年代は、実は、私の属する55-59歳であり、60歳以降はものすごい勢いで医療費が上昇します。極めて大雑把に、50代後半で平均レベルの後、70代前半で平均の2倍、80代前半では3倍に達する医療費を要するとの結果が示されています。
さらに、これらの年間医療費の累積額である2015年度の生涯医療費は、男女平均で2,700万円、すなわち、女性は2,822万円、男性は2,584万円となっています。女性の方が平均寿命が長いので当然やや高額になっています。なお、グラフは引用しないものの、生涯医療費2,700万円に対して、50代後半までの累積医療費は1,000万円に達しない一方で、70代前半で1,500万円を超え、80代前半で2,000万円に達しています。まあ、リポートでも指摘していますが、50歳に達すると、生活習慣病を発症しやすくなったり、特に女性を中心に更年期障害が生じたりしますし、65歳からは医療サービスの利用が本格化します。なお、生涯医療費の約6割(男性は56%、女性は60%)は65歳以上の期間で、約4割(男性は36%、女性は44%)は75歳以上にかかることも明らかにしています。高齢化が進む中で、医療費をいかに抑制するかは、エコノミストの狭い料簡かもしれませんが、財政の健全性確保の観点からも重要です。
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2018年04月02日 (月) 19:38:00

日銀短観は総じて企業マインドの高さを示すも先行き不透明感も!

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは昨年2017年12月調査から▲2ポイント低下して+24を記録し、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比▲0.7%の減少と日銀短観としてはかなり高いところから始まっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

日銀短観、2年ぶり悪化 原材料高・人手不足で見通しも慎重
日銀が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス24だった。前回2017年12月調査(プラス26)から2ポイント悪化した。悪化は2016年3月調査以来、8四半期ぶりとなる。原材料価格の高騰や金融市場の混乱が響いた。鉄鋼や非鉄金属などの悪化が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス25も下回った。回答期間は2月26日~3月30日で、回収基準日は3月12日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス20と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス22)も下回った。米国の保護主義的な通商政策や株安・円高などを背景に慎重な見通しが多かった。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109円66銭。17年度の実績見通しは110円67銭だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回を2ポイント下回った。悪化は16年9月調査以来、6四半期ぶり。人手不足が響いた。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。
中小企業は製造業が横ばいのプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス10だった。先行きはいずれも悪化を見込む。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス22となり、前回(マイナス19)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、26年ぶりのマイナス幅となった。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比2.3%増と、市場予想の中央値(0.6%増)を上回った。
大企業・製造業の販売価格DIはプラス4と前回のプラス1から上昇した。販売価格判断DIは、販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。


やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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繰り返しになりますが、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは昨年12月調査の+26から▲2ポイント悪化して+24を示し、先行きについてはさらに▲4ポイント低下する見込みとなっています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは大企業製造業で+25でしたので、わずかに下振れました。12月調査から3月調査にかけての変化幅を見て、大企業製造業で業況判断DIが大きく低下したのは化学と鉄鋼であり、ともに▲9ポイントの低下幅を記録しました。ただし、機械類でははん用機械はむしろ+7ポイント、そして、生産用機械は+8ポイント、とそれぞれ改善を示しており、先行きの低下幅もともに▲1ポイントにとどまっています。また、我が国リーディング産業のひとつである自動車も+2の改善です。ですから、大企業の中で、素材業種は12月調査から3月にかけて▲5ポイントの悪化を示し、さらに先行きは▲8ポイントの低下を見込む一方で、組立業種は12月から3月までの悪化が▲1ポイントにとどまり、先行きも▲2ポイントの悪化しか見込まれていません。不動産以外は総じて悪化した非製造業とはかなり異なる特徴を見せていると見られ、その背景には円高や国際的な貿易戦争のおそれ、さらに、株価の下落による全般的なマインド悪化に加えて、国際商品市況における商品価格の上昇を忘れるべきではないと私は考えています。ただ、国際商品市況の上昇は中国をはじめとする新興国の景気拡大とコインの裏表の観もあり、評価が難しいところです。最後に、得体の知れない地政学的な北朝鮮リスクは、米朝首脳会談の設定により、かなりの程度に和らいだものと私は考えています。総じて見て、一部に「景気の変調」を主張する見方もある中で、単なる表現上の問題かもしれませんが、「景気変調」とまではいわないとしても、景気循環の中で景気のステージが成熟化しつつあり、その意味で、モメンタムが低下していることは事実だろうと感じています。加えて、国際的な貿易戦争や米国の金融政策動向など、先行き不透明感も生じ始めています。ただ、中小企業と中堅企業の非製造業の業況判断DIが、小幅ながら改善を続けていますので、国内での景気拡大の波及が続いていることを示唆しており、大企業レベルから中小企業まで景気回復・拡大を波及させるために、もう少し景気拡大局面を継続させる必要がありそうな気がします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画は3月調査では実施されていませんが、各種報道によれば、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まっています。昨年度2017年度の設備投資計画は、前回12月調査よりもやや下方修正されたものの、3月調査の実績見込みでは+4.0%増となっており、その2017年度が▲1.3%で3月調査をスタートさせていることを考えると、日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、3月調査はほぼほぼ必ず前年度比マイナスで始まり、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるような気がするんですが、人手不足や企業業績も考慮に入れて、今年度2018年度の設備投資は期待してよさそうです。
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2018年03月30日 (金) 22:57:00

増産ながら物足りない鉱工業生産指数(IIP)と悪化したものの完全雇用に近い雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも2月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から+4.1%の増産を示し、失業率は前月から0.1%ポイント上昇しつつも2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からやや低下したものの1.58倍と高い倍率を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、2月は前月比4.1%上昇 自動車・土木建機が寄与
経済産業省が30日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて4.1%上昇し、103.4だった。上昇は2カ月ぶり。自動車や土木建設機械の生産の増加が寄与した。ただ、「1月の落ち込みに対する上昇幅としては物足りない」として経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に据え置いた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(5.0%上昇)は下回った。
1月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、3業種が低下した。米国向け自動車輸出が好調で、輸送機械工業が10.3%上昇した。土木建設機械が伸び、はん用・生産用・業務用機械工業も3.6%上昇した。一方で石油・石炭製品工業は2.4%低下した。
出荷指数は前月比2.2%上昇の100.4だった。在庫指数は0.9%上昇の109.9、在庫率指数は0.1%低下の114.1だった。経産省は「出荷の回復の勢いは弱い」としている。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた3月の製造工業生産予測指数は前月比0.9%の上昇となった。前回予測(2.7%の低下)を大きく上回った。はん用・生産用・業務用機械工業や化学工業が伸びる見通し。4月の予測指数は5.2%上昇だった。
失業率2.5%、求人倍率は1.58倍 2月統計
総務省が30日公表した労働力調査によると、2月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で前月比で0.1ポイント悪化した。悪化は17年5月以来9カ月ぶり。総務省は1月に雪の影響で失業率が大きく低下した反動が出たとしている。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント低下し1.58倍だった。
完全失業率は働く意欲のある人で職がなく求職活動をしている人の割合を指す。求人があっても職種や年齢などで条件があわない「ミスマッチ失業」は3%程度とされ、0.1ポイント悪化してもなお完全雇用状態にある。
就業者は6578万人で前年同月比で151万人増えた。有効求人倍率は12年9月以来、5年5カ月ぶりに低下したが、引き続き1970年代以来の高い水準にある。企業では人材の確保が難しく、人手不足が深刻になっている。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は15.0%だった。
正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍で前月と同水準で1倍を超えた。新規求人数を産業別にみると、自動車関連が好調な製造業で前年同月比5.4%増えたほか、3月が繁忙期になる運輸・郵便業で6.6%増えた。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値で+5.0%の増産、予測レンジの下限でも+3.9%の増産でしたので、実績の+4.1%の増産も、製造工業生産予測調査の2月+9.0%ッ像は当然に届かないとしても、かなり物足りない結果と私は受け止めています。もちろん、1月の減産の大きな要因は中華圏の春節によるカレンダー要因というのは当然としても、それだけだと2月生産で戻ってもよさそうなものですが、物足りない結果というのは別の何らかの要因が作用していると考えるべきで、私は円高に振れた為替要因も無視できないと指摘しておきたいと思います。製造工業生産予測調査の3月予測は+0.9%増で、4月が+5.2%増ですから、実績に対してやや過大評価する傾向のある指標とはいえ、13月期は生産にやや一服感が出た一方で、4月以降の伸びに期待すべきだという気もします。ただ、先行きについては、世界経済の回復・拡大につれて、また、国内要因としては人手不足に起因する省力化投資や合理化投資も期待できることから、我が国の生産は持ち直しの動きが続くものと私は考えています。ただ、先行きリスクはいずれも米国に起因し、ひとつは通商政策動向であり、もうひとつは金政策動向です。米国の通商政策が世界貿易の停滞を招いたり、利上げによる米国経済の下押し圧力は、我が国生産の下振れリスクにつながる可能性があります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。小幅な変動とはいえ、失業率は上昇し、有効求人倍率は低下したわけですから、ほぼほぼ完全雇用に近い労働市場動向の中で、さらなる指標の改善は難しい、というか、完全雇用の定義に近い意味でこれ以上の失業率の低下などは望めない水準に達したのかもしれません。しかしながら、本日の雇用統計では明らかではありませんが、毎月勤労統計などを見る限り、労働市場はまだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、完全雇用には達していない可能性がある、と私は考えています。他方で、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしているのではないかと私は考えています。そうは言っても、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなく今春闘では個人当たりの賃上げも何とか実現して欲しいと思います。
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2018年03月29日 (木) 19:38:00

商業販売統計の小売販売は緩やかな持ち直しが続く!

本日、経済産業省から2月の商業販売統計が公表されています。商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.6%増の10兆9630億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は+0.4%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の小売販売額、前年比1.6%増 4カ月連続プラス
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、2月の小売販売額は前年同月比1.6%増の10兆9630億円だった。前年実績を上回るのは4カ月連続。原油高で石油製品の販売額が伸びた。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いた。
業種別では、燃料小売業が12.7%増と伸びが目立った。スマートフォンや高付加価値家電の販売が堅調で、機械器具小売業も4.6%増えた。訪日外国人向けなど化粧品販売も好調で、医薬品・化粧品小売業は2.3%増だった。一方、自動車小売業は2.1%減少した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.5%増の1兆4565億円だった。既存店ベースも0.6%増だった。スーパーで野菜や畜産類など食料品の販売が増えた。
コンビニエンスストアの販売額は1.6%増の8675億円だった。加熱式たばこやファストフードの販売が伸びた。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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ということで、消費の代理変数である小売業販売は4か月連続で前年同月比プラスを続けているものの、2月の+1.6%増は消費者物価のヘッドライン上昇率である+1.5%とそれほど違わない伸びですので、バスケットが異なることから単純な比較は困難とはいえ、実質の伸びはかなり小さいと受け止めています。でも、各種報道によれば、4月からは生鮮野菜の価格なども落ち着きを取り戻す方向にあるようで、株価への連動性が高いマインドはやや懸念残るものの、春闘に代表される賃上げ次第では、緩やかながらプラスの伸びを継続する可能性が十分あると私は考えています。
なお、小売業販売を季節調整していない原系列の統計に基づいて前年同月比で少し詳しく業種別に見ると、燃料小売業が+12.7%の増加、機械器具小売業が+4.6%の増加、飲食料品小売業が+2.3%の増加、医薬品・化粧品小売業が+2.3%の増加、となった一方、先月からマイナスに転じた自動車小売業がマイナス幅を拡大して▲2.1%の減少となっています。ただ、燃料小売業の販売増は国際商品市況における石油価格の上昇に起因する物価上昇の寄与を含みますので、過大に評価すべきではありません。他方、機械器具小売業の伸びが家電などの耐久消費財に支えられている点は評価されるべきです。また、医薬品・化粧品小売業の販売増がインバウンド消費の寄与を含んでいる点も、各地で観察されている事実と整合的ではないかという気がします。なお、政府観光局による訪日外国人数の統計によれば、今年2018年2月は中華圏の春節が含まれていることもあって、250.9万人で前年同月比+23.3%となり、2月としては過去最高を記録しています。
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2018年03月28日 (水) 19:26:00

来週4月2日に公表予定の日銀短観予想やいかに?

来週4月2日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2018年度の設備投資計画に着目しています。ただし、第一生命経済研は2017年度の設備投資計画の予想しか示さず、また、三菱総研はいつもの通り設備投資計画の予想を出していませんので、この2機関は適当です。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (最近)+25
+23
<n.a.>
n.a.
日本総研+24
+24
<▲3.8%>
2018年度の設備投資計画では、全規模・全産業ベースで前年度比▲3.8%と、2017年度の同期調査(▲1.3%)に比べやや慎重な出だしとなると予想。もっとも、2017年度の設備投資が比較的高水準で着地すると見込まれることを勘案すれば、2018年度の設備投資動向も堅調と判断可能な水準。2018年入り後の金融市場の不安定化、米国トランプ政権の保護主義色の強い通商政策などが設備投資意欲の下押しに作用する一方、既存設備の維持・更新投資、人手不足を背景とした合理化・省力化投資を中心に、設備投資需要は引き続き堅調。内外経済の底堅い拡大や、TPP11の署名を受けた輸出環境の改善期待なども下支えとなり、先行き、例年の足取りに沿って、上方修正されていく見通し。
大和総研+25
+25
<▲5.1>
2018年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比▲5.1%とマイナス成長を予想する。ただし、これは、3月調査において企業が翌年度の設備投資計画を控えめに回答するという「統計上のクセ」があることを反映したものにすぎず、マイナス幅自体は概ね例年並みになると想定した。また、日本では3月決算の企業が多く、年度決算発表前に公表される3月日銀短観において来年度見通しの数字を回答することが難しいという実情があるため、2018年度の数字自体にはあまり意味がない点に留意したい。
みずほ総研+27
+25
<▲0.3%>
2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比▲0.3%と予想する。例年通り、3月調査時点で設備投資計画が定まっていない中小企業がマイナスの伸びとなり、全体を押し下げるだろう。とくに中小企業・非製造業が人件費の上昇が重石となり、資金繰りの面からも設備投資に慎重姿勢をとる可能性がある。一方、大企業は、製造業、非製造業ともに、例年と比べても高い伸びを予想する。製造業は、需要が堅調な半導体関連を中心に高めの設備投資計画が策定されるとみている。非製造業は、人手不足を背景とした省力化投資やインバウンド対応、五輪関連投資の継続に加え、通信業の5G(第5世代移動通信システム)投資が本格化することから、前年比プラスの伸びを予想する。
ニッセイ基礎研+24
+24
<▲5.0%>
2018年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2017年度計画比で5.0%減を予想している。例年3月調査の段階ではまだ計画が固まっていないことから前年割れでスタートする傾向が極めて強いため、マイナス自体にあまり意味はなく、近年の3月調査との比較が重要になる。今回は、円高の進行や米保護主義への警戒等を受けて、近年の3月調査での伸び率をやや下回る慎重な計画が示されると見ている。
第一生命経済研+24
+23
<n.a.>
日銀短観2018年3月調査では、大企業・製造業の業況判断DIが24と前回(12月調査25)に比べて△1ポイント悪化する見通しである
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+26
+26
<大企業全産業▲0.4%>
2018年度の計画については、大企業では例年通りゼロ近傍からのスタートとなるだろう。需要が緩やかに増加する一方で、人手不足感は引き続き非常に強く、加えて人件費は上昇している。機械への投資の重要度は一層高まっており、6月以降の調査では上方修正されていくと考えられる。中小企業については、3月時点では多くの企業で来年度の計画が定まっていないと考えられ、例年通り大幅なマイナスからのスタートとなるだろう。
三菱総研+27
+25
<n.a.>
製造業の業況判断DI(大企業)は、+27%ポイント(2017年12月調査から1%ポイント上昇)と予測する。
富士通総研+26
+24
<▲4.4%>
2018年度の設備投資計画は、2017年度の同じ時期よりはやや弱い計画になると考えられる。


まず、設備投資計画に入る前に、上のテーブルに取りまとめられている業況判断DIについて概観しておくと、小幅に改善・悪化が見受けられるんですが、極めて大雑把には横ばい圏内と見ることが出来ようかと思います。ただ、回収基準日は3月半ばではないかと想像するんですが、今月後半に噴出した攪乱的な情報、米国トランプ政権の保護主義的な措置の公表とそれに伴う株価の下落、あるいは、我が国における公文書管理問題などの政治的な混乱がどの程度盛り込まれているかは不明です。ひょっとしたら、景況感の実感はさらに低下している可能性があります。ただ、米国の保護主義の高まりやそれに対応した関係各国における貿易戦争じみた応酬措置が中長期的な影響を及ぼすことは確実ながら、株価変動などを別にすれば、足元の経済実態がにわかに悪化するわけでもないような気もします。もちろん、短観はマインド調査ですので、そういった先行きの変動に対する見通しは重要な役割を果たします。さらに、目を設備投資計画に転じると、昨年のこの時期の設備投資計画が全規模全産業で▲1.4%減で始まり、一昨年は▲4.8%で始まったことを考え合わせると、私は昨年の出だしがかなり高かったと考えており、一昨年の通常パターン周辺に戻る可能性が高いと考えています。すなわち、設備投資計画は▲5%近辺がいい見当ではないかと思います。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから設備投資計画の動向を引用しています。

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2018年03月27日 (火) 19:51:00

企業向けサービス物価(SPPI)はやや上昇率を縮小させつつも56か月連続のプラス!

本日、日銀から2月の企業向けサービス物価指数 (SPPI)が公表されています。前月からやや上昇幅を縮小しつつも+0.6%を記録しています。プラスの上昇は56か月、すなわち、4年8か月連続です。まず、朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格指数が上昇 4年8カ月連続
日本銀行が27日に発表した2月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100、速報)は、前年同月より0.6%高い103.9だった。前年を上回るのは4年8カ月連続だが、上げ幅は2カ月連続で縮んだ。
人手不足で「土木建築サービス」など人件費が上がり、全体の上昇は続いている。一方で、1月にあった大型の自動車広告がなくなり、「新聞広告」が前年より2.6%下がるなど、「広告」の下落で上げ幅が縮んだ。


簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、SPPIは引き続き堅調な推移を見せています。SPPIのうち、私は景気とかなり密接な関係を持つ広告について注目していて、前年同月比で見て1月は+1.4%の上昇を示した後、2月は前月の大きな上昇の反動もあって▲0.4%と下落しました。引用した記事にある通り、1月の大型の自動車広告の反動のようです。ただ、新聞広告▲2.6%、雑誌広告▲1.0%は下落したものの、インターネット広告は逆に+1.8%の上昇を記録しています。また、人手不足の影響が強いといわれている運輸・郵便は昨年2017年半ばから継続的に+1%を上回る上昇率を示しており、最近でも1月+1.4%、2月+1.2%を記録しています。同様に、いくつか他の項目でも人手不足の影響が見られ、諸サービスのうちの労働者派遣サービスも1月+1.8%、2月+1.4%の、また、土木建築サービスも1月+2.9%、2月+1.1%のそれぞれ上昇となっています。
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2018年03月26日 (月) 19:56:00

クルートジョブズによるアルバイト・パートと派遣スタッフの賃金動向やいかに?

今週金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の1月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の2月度平均時給は前年同月より20円増加の1,021円となり、特に、人で不足の影響からか、「フード系」では過去最高額を更新しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、一昨年2016年9月から昨年2017年8月までの12か月ではマイナスを記録する月の方が多かったくらいですが、昨年2017年9月からはふたたびそれなりのプラス幅を記録するように回帰しており、2月は前年同月比で+1.8%上昇し、1,643円に達しています。引き続き、非正規雇用の求人は堅調と考えてよさそうです。
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2018年03月25日 (日) 19:14:00

オープン戦最終戦は相変わらずの貧打で終わり、いよいよ東京ドームの開幕戦へ!!

  RHE
阪  神000000010 120
オリックス000001000 170


オープン戦最終戦のオリックス戦は相変わらずの貧打で終わりました。実は、8回までしか見ていないんですが、まあ、結果は同じようなもんだったんでしょう。
いよいよ今週金曜日は東京ドームの巨人戦でペナントレースの開幕です。

今季は優勝目指して、
がんばれタイガース!
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2018年03月23日 (金) 22:57:00

とうとう前年同月比上昇率が+1%に達したコア消費者物価(CPI)をどう見るか?

本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI)が公表されています。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月からわずかながら上昇幅を高めて+1.0%に達しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の全国消費者物価1.0%上昇 電気代やガソリンが押し上げ
総務省が23日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.6と前年同月比1.0%上昇した。プラスは14カ月連続で、消費増税の影響を除いたベースで、2014年8月(1.1%上昇)以来3年6カ月ぶりの上昇率となる。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.0%上昇だった。電気代やガソリンなどエネルギー品目が引き続き押し上げた。
生鮮食品を除く総合では、全体の57.6%にあたる301品目が上昇し、169品目が下落した。横ばいは53品目だった。生鮮食品を除く総合指数を季節調整して前月と比べると0.1%上昇だった。
生鮮食品を含む総合は101.3と1.5%上昇した。キャベツやミカン、マグロなどの高騰が背景で、消費増税の影響を除いたベースで14年6月(1.6%上昇)以来3年8カ月ぶりの高水準だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.8と前年同月比0.5%上昇した。中国の春節(旧正月)が2月にずれ込んだ影響で宿泊料が上昇した。平昌冬季五輪の開催に伴い、外国パック旅行費も上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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昨年2017年年央くらいからエネルギー価格の上昇に伴って、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの上昇率もジリジリと上昇幅を拡大し、昨年11月から今年2018年1月まで3か月連続で+0.9%を記録した後、とうとう2月には+1.0%に達しました。ただ、上のグラフに見られる通り、私の雑な計算による寄与度でみる限り、+1%のコアCPI上昇率のうち、半分強の+0.53%の寄与がエネルギー価格から出ています。加えるに、+0.28%の寄与が生鮮食品を除く食料から、サービスから+0.16%、最後にコア財から+0.04%となります。なお、サービス以外の消費財のうち、電機製品などの耐久消費財と衣類などの半耐久消費財はともに、前年同月比上昇率が+0.3%であるのに対して、食料などの非耐久消費財が突出して上昇率が高く、+3.6%を示しています。前月に書いた購入頻度別とか、基礎的・選択的支出別とかのグラフは示しませんが、先月から傾向は変わらず、購入頻度が高い財サービス、また、基礎的な消費支出にかかる物価上昇が大きくなっていますから、全体の+1%の上昇率よりも、国民生活の中でより大きな物価上昇の実感がある可能性があります。加えて、もっとも重要なポイントと私が考えるのは、賃金上昇が小幅にとどまる中で、今年の賃上げが伸び悩むなら、2018年は実質賃金の上昇率がマイナスを記録する恐れもあります。

先週3月16日の「月例経済報告」では「消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。」と久し振りに判断を引き上げましたし、単純に+1%の物価上昇だけを見ると、デフレ脱却宣言もあるいは可能な物価上昇に達した気もします。ただ、まだまだ未達の日銀の物価目標に加えて、実質賃金の動向などを考え合せると、デフレ脱却宣言を政府が出すことが可能かどうか、なかなか難しい判断になるような気がします。
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2018年03月22日 (木) 19:22:00

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2030年までの労働力人口・労働投入量の予測」やいかに?

足元から将来に向けて中長期的な経済活動への制約として労働力不足が上げられていますが、やや旧聞に属する話題ながら、先週3月12日付けで三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「2030年までの労働力人口・労働投入量の予測」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。10年余り先の2030年くらいまでの期間では、労働力人口が減少に向かう中で、女性や高齢者の労働参加率が上昇することから就業者や雇用者数は大きな減少を示さず、その裏側で失業率が3%を大きく割り込んで2030年には2.1%まで低下するものの、非正規比率の上昇などにより1人当たり労働時間が減少することから、総労働投入量としては2029年にはリーマン・ショック後に落ち込んだ水準を下回るまで減少する、と見込まれています。供給サイドにおける重要なトピックを定量的にかなり先まで見通しています。リポートから大量にグラフを引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 図表5 労働力人口の見通し を引用すると上の通りです。15~64歳の労働力人口は減少を続け、2017年から2030年にかけて▲237万人減少する一方で、中年層を中心とする女性や男女を問わず65歳以上の高齢層の労働参加率の上昇により相殺されるという背景で、労働力人口は現状の2017年まで増加基調が続いた上に、2023年まではグラフに見られる通り、ほぼほぼ横ばいが続き、さすがに2024年から減少に転じ、それでも、2030年の労働力人口は6693万人と2017年の6720万人をわずか▲27万人下回る水準にとどまる、と見込まれています。もちろん、

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次に、リポートから 図表6 就業者数の見通し を引用すると上の通りです。見れば明らかな通り、先ほど示した労働力人口よりもさらに減少幅が小さく、というか、ほとんど減少を示さず、2017年から2030年にかけて就業者数はほぼ横ばいと見込まれています。すなわち、繰り返しになりますが、労働力人口が2017年から2030年にかけて▲27万人減少するのに対し、就業者数は同期間で逆に+23万人増加すると予想されていたりします。そのカラクリは次の失業率見通しで明らかにされます。

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ということで、次に、リポートから 図表7 失業率の見通し を引用すると上の通りです。足元で失業率は3%を下回り、予測最終年にかけてさらに低下を続け、2030年に失業率は2.1%にまで低下すると見込まれています。この背景は、それなりのイノベーションが想定されており、すなわち、「労働条件の改善やテレワークの普及、人材派遣・マッチングシステムの高度化、技術革新による職業の垣根の撤廃・ハードルの低下などによってミスマッチによる失業が減少」する、という前提になっています。おそらく、経済合理性などの観点から、こういったイノベーションが進むのは確かであろうと私も同意しますが、逆に、こういったイノベーションが進まなければ、失業率は低下せず就業者も増加せずに、人手不足がさらに悪化する可能性も否定できない、ということなのかもしれません。

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次に、リポートから 図表12 非正規雇用者比率の見通し (全体) を引用すると上の通りです。労働投入量の算出は極めて単純に就業者数に1人当たりの労働時間を乗じて求められますから、ここからは1人当たりの労働時間の方向を考えることとなり、まず、ここ20~30年くらいでじわじわと進んだ非正規化の流れを見通したのが上のグラフです。もちろん、女性や65歳以上の高齢層の労働力化が進みますので非正規比率が高まる分も考え合わせると、非正規比率はさらに上昇することは容易に想像され、リポートでは2017年の37.3%から、2020年には38.2%、2030年には42.9%まで上昇すると見込んでいます。

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次に、リポートから 図表13 1人当たりの年間労働時間の見通し を引用すると上の通りです。先ほどの非正規雇用者比率の上昇もあり、グラフから明らかな通り、先行きはほぼほぼ一貫して1人当たり労働時間の減少が続き、それでも、2022年までは緩やかな減少にとどまります。しかし、その後は非正規雇用者比率の上昇とともに加速するため、2030年の平均労働時間は1689.4時間と、2016年の1742.0時間から▲52.6時間の減少を示すと見込まれています。

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最後に、リポートから 図表14 総労働投入量の見通し を引用すると上の通りです。リポートに従えば、2022年くらいまでの期間は女性と高齢者の活躍によって労働力不足をそれほど心配しなくてもよいという見通しになっていますが、こういった仮定や前提の下であっても、労働投入量が減少していくことは避けられず、2029年にはリーマン・ショック後に落ち込んだ水準を下回るまで減少すると見込まれています。

いっぱいグラフを引用して長くなってしまいましたが、最後に、女性や高齢者の労働参加を進めても、また、リポートで前提しているようなミスマッチによる失業が減少したとしても、2023年以降には労働投入量の減少が本格化する可能性が示されています。まあ、当たり前の結論ながら、生産性のさらなる上昇などにより、自然単位での労働投入の減少を効率単位でどこまで抑制するか、が重要な論点になるだろうと考えられます。
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2018年03月20日 (火) 20:12:00

帝国データバンクによる「2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

賃金上昇は見られないものの、失業率や有効求人倍率に現れた人手不足の状況が一段と深刻化を増す中、先週3月14日付けで帝国データバンクから「2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、長くなりますが、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は65.9%と、4年連続で6割を超え、リーマン・ショック前の2008年度(2008年3月調査)を上回った。特に「大企業」(84.0%)の採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。「中小企業」(61.3%)の採用予定も2年連続で増加し、11年ぶりに6割を超えた。正社員の採用意欲は上向いており、中小企業にも広がりを見せている
  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は52.4%と3年ぶりに増加、非正社員に対する採用意欲は強まってきた。特に、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「娯楽サービス」「飲食料品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
  3. 2018年度の正社員比率は企業の20.7%が2017年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(51.5%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
  4. 従業員の働き方に対する取り組みでは、「長時間労働の是正」が46.3%でトップ。次いで、「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」がいずれも4割台で続いた。本調査から、従業員の働き方を変えるための6つのポイントが浮上した(1.心身の健康維持に向けた取り組み、2.仕事と家庭の両立に向けた取り組み、3.多様な人材を生かす取り組み、4.人材育成への取り組み、5.柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み、6.公正な賃金制度構築への取り組み


もう少し手短に要約して欲しい気もしますが、以下では、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 正社員の採用予定の有無 について問うた結果を時系列で並べたのが上のグラフです。調査結果概要では、2018年度はリーマン・ショック前の水準超えとなっていますが、あくまで2008年調査結果の62.2%を超えたわけであって、リーマン・ショック直前の2007年調査結果の水準である67.4%にはまだ達しないわけで、2018年調査結果はその間に落ちる65.9%となります。でも、ひょっとしたて、現在の景気拡大がもう1年継続すると仮定すれば、来年の調査結果ではホントの正真正銘でリーマン・ショック前の水準を上回りそうな気もします。ただし、逆から見て、正社員最異様予定がないと回答したのはわずかに23.5%であり、これは、正真正銘リーマン・ショック前を下回ります。いずれにせよ、正社員採用の意欲は極めて高い事実が浮き彫りになっています。もっとも、グラフは引用しませんが、非正社員採用の意欲も極めて高くなっているのも忘れるべきではありません。

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ということで、次に、リポートから 正社員比率の動向 について問うた結果が上のグラフです。まあ、正社員比率は上昇すると見込む企業が多くなっているわけです。その要因については、業容拡大への対応が 1番目の理由として上げられており51.5%と半数を超えました。次いで、退職による欠員の補充が37.3%、技術承継などを目的とした正社員雇用の増加が31.3%で続いたほか、非正社員から正社員への雇用形態の転換も28.3%の企業が要因に上げていました。

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最後に、政府の働き方改革に対応して、リポートから 従業員の働き方に対する取り組み状況 について問うた結果が上のテーブルです。複数回答の結果上位10位までですが、長時間労働の是正(時間外労働の上限規制など)、賃金の引き上げ(賃金規定の整備・改定など)、有給休暇の取得促進、人材育成の強化(研修、OJTなど)などが上げられています。1位の労働時間とともに、2位に賃金が入っているとは思いませんでした。
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2018年03月19日 (月) 22:44:00

輸出数量が減少した貿易統計について考える!

本日、財務省から12月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+1.8%増の6兆4630億円、輸入額も+16.5%増の6兆4596億円、差引き貿易収支は;34億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易黒字34億円 2カ月ぶり黒字も春節要因で前年比大幅減
財務省が19日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は34億円の黒字だった。ハイブリッド(HV)車の輸出が大きく伸び、2カ月ぶりに貿易黒字に転じた。ただ資源高に春節(旧正月)要因が加わったことで黒字幅は前年同月(8045億円)から大幅に縮小した。
輸出額は前年同月比1.8%増の6兆4630億円だった。15カ月連続で増加した。米国向けのHV車のほか、南米の仏領ギアナ向けの人工衛星、中国向けの金属加工機械がけん引した。地域別に見ると、米国向けは1兆2762億円と4.3%増加。欧州連合(EU)向けも11.5%増えたが、中国を含むアジア向けは3.2%減少した。
輸入額は16.5%増の6兆4596億円だった。14カ月連続で前年実績を上回った。中国から衣類の輸入が伸びたほか、資源価格の上昇を受けてオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)や韓国からの灯油の輸入も増加した。アジアからの輸入額は26.5%、米国からは5.2%ぞれぞれ増えた。
対中国でみると輸出は9.7%減少したが、輸入は39.2%増と大幅に伸びた。毎年、春節のある月は中国向けの輸出が控えられる一方で中国からの輸入が増える傾向にある。今年の春節は2月16日で、前年は1月末だった。財務省は「春節が(黒字幅の縮小に)影響した」とみている。
税関長公示レートは1ドル=109.26円だった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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ということで、先月の貿易統計を取り上げた記事でも書いたところですが、引用した記事にもある通り、毎年1~2月は中華圏の春節効果で大きなスイングが見られますので、何とも評価が下しがたいところ、2月の貿易統計では季節調整していない原系列の統計では小幅に貿易黒字を記録したものの、季節調整済みの系列では貿易収支は赤字を計上しています。上のグラフの通りです。2011年3月の震災に伴う原発停止に起因してエネルギー輸入が急増したために貿易収支が赤字化し、季節調整済み系列で見る限り、大雑把に2015年10月まで赤字が継続し、2015年11月から直近の2018年1月まで貿易黒字が計上されていたんですが、2月統計では季節調整済みの系列で見て久々の貿易赤字でした。米国のセンサス局法による季節調整ですから、中華圏の春節をどこまで季節調整し切れているかは不明ですが、私の想像によれば、季節調整もかなり攪乱されている可能性が高いと受け止めています。季節調整済みの系列では、1月が+3523億円の貿易黒字、2月が▲2015億円の赤字ですから、今年に入ってからの2か月をならして見れば各月で数百億円の黒字、という形になります。現状での日本企業の国際競争力の実情という気もします。というのは、次のパラでもう少し詳しく展開しますが、資源高で燃料輸入の金額がかさんでいることに加えて、為替で円高が進んでいるからです。

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ということで、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。グラフを見る限り、先進国の経済動向は真ん中のパネルで見るOECD加盟国の先行指標の前年同月比がやや右下がりに転じていて、2月の我が国からの輸出数量が前年同月比で▲2.1%の減少を記録しています。もちろん、春節効果により中国に対する輸出数量が大きく攪乱され、前年同月比で見て今年2018年1月の中国向け輸出数量は+27.6%と大きく伸びた後、2月は▲13.6%と落ち込んでいたりします。ただ、輸入サイドの燃料価格の高騰とともに、上のグラフを見ても、輸出の増勢が鈍化しているのは明らかですし、特にその主因は輸出数量の伸びの鈍化にあります。輸出数量の伸び鈍化の要因のひとつとして、為替の円高進行が輸出の伸びを抑制している点は忘れるべきではありません。税関長公示の2月末から3月初めの円ドル為替を見ると、昨年2017年2月26日~3月4日の期間で113.84円だったのが、今年2018年2月25日~3月3日では107.03円に、5%超の円高となっています。為替の動向については相場モノですので、基本的にランダム・ウォークすると私は考えており、何とも見通しがたいところですが、もうすぐ、米国の公開市場委員会(FOMC)も始まりますし、金融政策の動向が注目されることはいうまでもありません。ただ、2月統計については為替要因もあって輸出数量がやや減少を示しましたが、先進国をはじめとする世界経済の回復・拡大の足取りはしっかりしており、所得要因から見れば、我が国の輸出も緩やかに増加を続けるものと私は期待しています。
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2018年03月16日 (金) 21:41:00

東洋経済オンライン「社会貢献におカネを出す」100社ランキングやいかに?

3月に入って、大学生の就活が始まっていますが、我が家の上の倅はちょうど就活学年に当たるものの、まあ、そこそこいい大学に通っているせいか、集団説明会なんぞには出ることもなく、自分の希望会社の説明会をセレクションの上、パラパラと出かけているようです。そういった中で、東洋経済オンラインにて会社選択のひとつの指標なのかどうか、「社会貢献におカネを出す」100社ランキングが明らかにされています。ランキング50位までは、絶対額と経常利益に対する比率、それぞれ、下のテーブル画像の通りです。

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まず、上のテーブル画像は社会貢献支出額が大きい企業ランキング(1-50位)を東洋経済オンラインのサイトから引用しています。見れば明らかな通り、トヨタ自動車が他社を圧倒しています。2016年だけでなく、過年度の2014年度216.9億円、2015年度253.8億円もダントツです。本業に極めて密接に関係した交通安全教室のほか、音楽を通じた地域文化振興、公募制の「トヨタ環境活動助成プログラム」などの環境保護活動支援なども充実しているようです。

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ただし、トヨタ自動車の場合、企業規模が大きいから社会貢献支出も大きい、という面があり、上のテーブル画像は経常利益に対する比率で見た社会貢献支出比率が高い企業ランキング(1-50位)を東洋経済オンラインのサイトから引用しています。見れば明らかな通り、トップはサンメッセ8.13%です。本社が岐阜県大垣市にある総合印刷業中堅です。3年平均の経常利益2.0億円に対して1700万円を支出しています。経団連が1990年に設立した1%(ワンパーセント)クラブでは法人企業では経常利益の、また、個人では可処分所得の、それぞれの1%を目安に社会貢献活動に支出することを呼びかけていて、今回のランキングでは、画像は取り上げませんでしたが、89位の三菱商事1.00%までがこれに該当します。2017年末時点で、東証上場企業は一部上場の2,072社をはじめとして、合計3,600社を越えますが、その3%に満たないわけです。ステークホルダーの中でも、まず賃上げにて雇用者に還元すべきと私は考えていますが、法人企業の利益剰余金は2017年10-~12月期で417兆円を超える水準に達しているところ、賃上げや社会貢献支出などを通じた利益の還元にもっと積極的な企業行動が求められるんではないでしょうか。
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2018年03月15日 (木) 21:32:00

総務省統計局による消費動向指数(CTI)とはどんな経済指標か?

やや旧聞に属する話題ですが、3月9日に総務省統計局からミクロとマクロの消費動向指数(CTI)の公表が開始されています。総務省統計局のホームページにアップされている世帯消費動向指数=CTIミクロと総消費動向指数=CTIマクロのそれぞれの推計方法に関するメモから概要を1項目ずつ引用すると以下の通りです。

CTIミクロの概要
世帯消費動向指数(CTIミクロ)は,我が国における世帯の消費支出の平均額の推移を示す指数であり,家計調査,家計消費状況調査及び家計消費単身モニター調査の結果を合成した支出金額により作成している。
CTIマクロの概要
総消費動向指数(CTIマクロ)は,我が国における世帯全体の消費支出総額(GDP統計の家計最終消費支出に相当)の推移を推測する指数であり,当月の消費支出総額について基準年(2015年)の消費支出総額の平均月額を100とする指数で表したものである。


ということで、世帯消費動向指数=CTIミクロについては、総務省統計局が従来から作成している家計調査と家計消費状況調査に加えて、昨年2017年厚から試験調査として実施されている家計消費単身モニター調査の3指標を単身世帯と2人以上世帯のそれぞれで、傾向スコアによる補正や世帯の属性情報に基づくロジスティック回帰モデルによる分布の補正などを行いつつ合成する、すなわち、何らかの加重平均ではないかと私は想像しています。これは決定論的な指標です。他方、総消費動向指数=CTIマクロについては、ストック=ワトソン型の景気動向指標と同じで確率論的なアプローチを取っており、名目値については世帯消費動向指数=CTIミクロと商業動態統計調査の小売業計とサービス産業動向調査のサービス産業計の3指標を説明変数に、また、実質値については世帯消費動向指数=CTIミクロと第三次産業活動指数の広義対個人サービスと鉱工業生産指数の消費財全計の3指標を説明変数に、それぞれ状態空間表現したモデルを組んでカルマン・フィルターで最尤法に基づいて説いているようです。まあ、これだけで理解できる人はかなりのレベルだという気もしますし、にわかに通常のビジネスパーソンが理解するのは難しそうな気もしますが、私もかみ砕いて表現できるだけの能力もありません。

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ということで、ともに月次で利用可能なデータなんですが、世帯消費動向指数=CTIミクロについては昨年2017年1月からのデータしか公表されておらず、15年余り前の2002年にさかのぼって利用可能な総消費動向指数=CTIマクロのグラフを書いてみました。上の通りです。私はサボってしまいましたが、知り合いのエコノミストの書いたグラフを拝見したところ、四半期データにしてGDPベースの消費と並べると、かなりフィットはいいようです。
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2018年03月14日 (水) 19:26:00

「OECDエコノミック・アウトルック中間報告」による日本経済の先行き見通しやいかに?

日本時間の昨日、経済協力開発機構(OECD)から「OECDエコノミック・アウトルック中間報告」OECD Interim Economic Outlook, March 2018 が公表されています。副題は Getting stronger, but tensions are rising とされており、その昔に流行った言い回しのcautious optimismを私は思い出してしまいました。ヘッドラインとなる経済成長率は昨年2017年11月時点から全般的に上方修正され、世界経済の成長率見通しは2018年は前回見通しの+3.7%から+3.9%に、2019年も+3.6%から+3.9%に、それぞれ上方改定され、日本の経済見通しについても2018年は+1.2%から+1.5%に、2019年は+1.0%から+1.1%に、それぞれ上方修正されています。まず、長くなりますが、OECDのプレス向けのプレゼン資料p.2からKey messagesを7点引用すると以下の通りです。

Key messages
  • The expansion is set to continue and strengthen
  • Trade and private investment are bouncing back
  • New fiscal stimulus in the United States and Germany will further boost short-term growth
  • Inflation is set to rise slowly
  • Interest rate normalisation may create tensions, with high debt and asset prices key vulnerabilities
  • An escalation of trade tensions would be damaging for growth and jobs
  • Structural and fiscal policies should focus on improving medium-term inclusive growth


続いて、成長率を総括的にテーブルにしたのが以下の画像です。プレス向けのプレゼン資料p.4にもありますが、OECDのサイトにもあり、後者から引用しています。

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ということで、OECDのリポートの表現を借りれば、米国における減税措置と支出増に加えて、ドイツにおける財政刺激策が世界経済の上方修正の背景となる要因 "new tax reductions and spending increases in the United States and additional fiscal stimulus in Germany are key factors behind the upward revision to global growth prospects" ということになります。ただし、中期の成長見通しは従来と同じで脆弱 "medium-term growth prospects remain much weaker than prior" とも指摘し、加えて、間接的ながら、通商問題にも言及し、ルールに基づく国際通商システムが成長と雇用の支持につながる "safeguarding the rules-based international trading system will help to support growth and jobs" と主張しています。後は通常通りに、ゆっくりとした金融政策正常化、財政政策や構造政策の適切な運用が雇用を拡大し長期にわたる包摂的成長を実現する、との政策提言を行っています。

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なお、本日、内閣府から1月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+8.2%増の8723億円を記録しています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
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2018年03月13日 (火) 20:13:00

企業物価(PPI)は円高で上昇率を縮小させつつも2月の国内物価は+2.5%の上昇!

本日、日銀から2月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を縮小して+2.5%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の企業物価指数、前年比2.5%上昇 伸び率は円高で鈍化
日銀が13日発表した2月の企業物価指数(2015年=100)は100.3で前年同月比2.5%上昇した。上昇は14カ月連続だが、伸び率は3カ月連続で縮小した。市場予想の中央値(2.6%上昇)も下回った。外国為替市場の円高基調で、円ベースでの原油価格の上昇が抑えられたことが、指数の伸び鈍化につながった。
前月比では横ばいだった。ポリエチレンなどの化学製品や鉄鋼製品の価格が上昇した一方、石油・石炭製品や非鉄金属などの価格が下落した。
米国の利上げ加速観測などを背景にした市場のリスク回避ムードに伴い、非鉄金属など国際商品相場の上昇が一服している。「商品市況が悪化すれば国内の取引価格に波及する可能性もある」(日銀の調査統計局)という。
円ベースの輸出物価は前年同月比で0.8%上昇した。前月比では円高基調を受けて1.1%下落した。
円ベースの輸入物価は前年同月比で4.4%上昇した。前月比では0.1%下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは381品目、下落は248品目だった。下落品目と上昇品目の差は133品目で、1月(確報値)の131品目から拡大した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の上昇率は、前年同月比で見て昨年2017年10~12月に+3.5%をつけた後、12月+3.0%、今年2018年1月+2.7%、そして、本日公表され直近で統計が利用可能な2月+2.5%と徐々に上昇幅を縮小させています。特に、今年に入ってからは円高に振れた為替の影響も無視できず、ドル円為替相場について前月比で見ると、1月▲1.9%、2月▲2.6%の円高が急速に進んでいます。輸入物価のウェイトの¼強を占める石油・石炭・天然ガスは2月の前年同月比で見て、円ベースでは+13.6%の上昇と1月の+13.7%と変わりない上昇率でしたが、実は、契約通貨ベースでは+18.8%の上昇を記録しており、上昇幅で▲5%ポイントくらいの縮小が見られます。国内物価ベースでも、石油・石炭製品の+11.6%の上昇をはじめ、非鉄金属の+8.6%、鉄鋼の+6.1%のそれぞれの上昇など、資源や素材を中心にした物価上昇ですが、上のグラフのうちの下のパネルの需要段階別の物価上昇率に見られるように、素原材料の上昇幅が中間財段階では抑えられ、さらに、最終財ではさらに上昇幅が小さくなる、という構図は従来から変わりありません。企業努力によりコスト削減を実施して川下に物価上昇が波及しないような構造と言えますが、川上の資源や素材の値上がりを川下に転嫁しにくい、とも言えそうです。ある意味で、賃金などで価格上昇の圧縮を図るんではなく、デフレ脱却により値上がりが転嫁しやすい構造になるのも賃上げのためには必要なのかもしれません。
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2018年03月12日 (月) 23:14:00

法人企業景気予測調査に見る企業部門の好調さは先行きも続くのか?

本日、財務省から1~3月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は7~9月期の+5.1の後、10~12月期にはを+6.2記録し、先行きについては、来年2018年1~3月期は+5.2に、また、4~6月期は+0.5と、それぞれプラスを維持すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感、3期連続プラス 1~3月
半導体や設備投資好調

財務省と内閣府が12日発表した法人企業景気予測調査によると、1~3月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス3.3だった。半導体需要の増加や活発な設備投資などを背景に3四半期連続でプラスを維持した。財務省は企業の景況感について「緩やかな回復基調が続いている」とする判断を据え置いた。
指数は自社の景況が前期に比べ「上昇」したとの回答割合から「下降」の割合を引いた値。調査基準日は2月15日で、資本金1千万円以上の企業1万2811社から回答を得た。
大企業のうち製造業はプラス2.9だった。国内外で建設機械や半導体製造装置の需要が増え、生産用機械器具製造業の景況感が大きく改善した。汎用機械器具製造業はファクトリーオートメーション(FA)向けを中心に好調だった。
非製造業はプラス3.4だった。都市部の再開発が活発になるなか建設業の景況感が上向いたほか、情報通信業ではシステム開発や広告収入が増えた。
大企業(全産業)の先行き4~6月期の見通しはプラス0.3、7~9月期はプラス5.8となった。一方、中小企業(全産業)の景況感は1~3月期はマイナス9.9と落ち込んだものの、4~6月期がマイナス2.6、7~9月期がマイナス1.6と依然マイナスではあるが、徐々に改善する見通しだ。
2018年度の設備投資見通しは17年度に比べ6.5%減だった。17年度(見込み)が前年度に比べ5.0%増となるなど高水準だったことから反動を想定する見方が多いようだ。17年度は自動車向けやスマートフォン(スマホ)向けの素材・部品の生産能力を増強する投資が相次いだほか、鉄道の安全対策投資や複合施設の建設も活発だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業部門については、先日公表された法人企業統計に示されたリーマン・ショック前を軽く上回る経常収支に見られる通り、ハードデータでは好調を維持していることが明らかで、マインドのソフトデータについても、昨年12月の日銀短観でも私は「満月の欠けたるところもなし」と形容したんですが、法人企業景気予測調査の景況判断BSIでも先行き上昇超となっています。今回調査結果で明らかとなった7~9月期については、大企業だけでなく、中堅企業でもBSIは軒並みプラスであり、中小企業でもマイナス幅がどんどん縮小していくと見込まれています。景況感以外のBSIについては、引き続き、雇用に関する従業員数判断BSIでは人手不足が明らかとなっています。すなわち、今年2018年3月末の現状判断で、大企業が過剰に対する不足超21.9、同じく、中堅企業34.8、中小企業31.9となっていて、採用しやすい大企業よりも中堅・中小企業で人手不足感が広がっているように見受けられます。最後に、私が注目している設備投資計画は、全産業ベースで2017年度で前年度比+5.0%増と、前回調査の+3.4%増から上方修正されました。人手不足にも対応して、設備投資も増加する方向にあるようです。ただし、2018年度についてはまだ計画が固まっていないのか、▲6.5%減を見込んでいます。
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2018年03月10日 (土) 08:11:00

300千人超の雇用増を記録した米国雇用統計により3月利上げは確実か?

日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+313千人増と、市場の事前コンセンサスだった+200千人くらいの増加という予想を大きく上回り、失業率も前月と同じ4.1%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added booming 313K jobs in Feb.
U.S. employers added a blockbuster 313,000 jobs in February as the hot labor market showed no sign of cooling despite persistent worker shortages.
The unemployment rate, which is calculated from a differnt survey, was unchanged at 4.1%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 205,000 job gains. Many predicted that unseasonably warm weather and light snowfall would boost employment, particularly in industries such as retail, restaurants and construction.
Average hourly earnings rose 4 cents to 26.75, pushing down the annual increase to 2.6% from January’s 2.9%. The drop suggests that January’s big increase was an anomaly caused by a sharp decline in average weekly hours as a result of harsh weather and a nasty flu season.
The jump in January was the largest in nearly nine years. It appeared to signal that growing competition among employers for fewer available workers was finally leading to stronger wage growth. But what seemed like good news triggered a massive market sell-off as investors feared it would prompt faster interest rate hikes by the Federal Reserve to head off excessive inflation. Higher rates for bonds make stocks less attractive.
February's pullback in wages could ease investor worries and boost markets.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、1月の+239千人の雇用増の後、繰り返しになりますが、2月は+313千人増と、ちょっとびっくりするくらいの雇用の増加を記録しています。引用した記事にもある通り、ブルームバーグなどでは+205千人と、大雑把に米国の雇用の好調さのひとつのメルクマールとなる+200千人増周辺が市場の事前コンセンサスだったんですが、これを大きく上回っての+300千人超の雇用増です。米国の雇用は極めて堅調と考えるべきです。設備投資が好調で建設業が+61千人の雇用増を示し、トランプ大統領が重視する製造業でも+31千人増、これまた好調な消費を反映して小売業でも+50.3千人増と、産業別に見ても軒並み雇用増を記録しています。
従って、3月20-21日に予定されている米国連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げが極めて濃厚になったと、私を含めた多くののエコノミストやアナリストは受け止めています。というか、文句なしでしょう。2月5日に就任したばかりのパウエル米国連邦準備制度理事会(FED)新議長の下での最初のFOMCが追加利上げの決定で幕を開けるということになります。むしろ、今後は利上げのペースに注目が集まることになりそうです。すなわち、昨年暮れの段階から2018年は年3回の利上げペースが予告されていましたが、パウエル新議長の下で、年4回の利上げの可能性が取り沙汰されることになりそうです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、2月は前年同月比で+2.6%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、+2%の物価目標を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であるのかもしれません。
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2018年03月09日 (金) 20:29:00

2か月連続で実質賃金が減少した毎月勤労統計から何が読み取れるか?

本日、厚生労働省から1月の毎月勤労統計が公表されています。名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.7%増の27万1640円を示していますが、物価上昇を差し引いた実質賃金は2か月連続で減少し、1月は▲0.9%減となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の実質賃金0.9%減 半年ぶりの大幅減
厚生労働省が9日公表した毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた1月の実質賃金は前年同月に比べて0.9%減った。減少は2カ月連続で、半年ぶりの減少幅だった。物価上昇が実質でみた賃金を押し下げた。1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万1640円で、前年同月比0.7%増加した。
名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与は23万8811円で、前年同月比0.2%増加した。基本給を雇用形態別にみると、フルタイム労働者は0.5%増、パートタイム労働者の時間あたり給与は2.7%増と堅調。残業代を示す所定外給与は全労働者で1万9315円と、前年同月と同水準だった。
ただ、1月は生鮮食品などの価格が上昇し、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く)が前年同月比で1.7%上がった。上昇幅は15年3月以来2年10カ月ぶり。消費者の実感覚に近い実質賃金は減少した。
1月はパートタイム労働者の比率が前年同月に比べて0.33ポイント増と大幅に増え、賃金全体に下押し圧力となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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上のグラフのうちでも、一番上のパネルの所定外労働時間は鉱工業生産の動向と整合的に1月統計では減少しています。しかしながら、引用した記事にもあるように、毎月勤労統計で注目すべきは、最近では、賃金なわけですが、昨年2017年12月と今年2018年1月の2か月連続で実質賃金が減少しています。原因としてはいくつか考えられるところ、ひとつには物価上昇です。消費者物価(CPI)のうち、生鮮食品を除くコアCPIの1月の上昇率は+0.9%でしたが、生鮮食品を含むヘッドラインのCPI上昇率は+1.4%ですし、実質賃金上昇率を算出するためのデフレートに用いる持家の帰属家賃を除く総合は+1.7%の上昇率となっています。コアCPI上昇率以外のヘッドラインと持家の帰属家賃を除く総合については、エネルギー価格の上昇と天候要因による野菜の値上がりなどにより1月は前月12月から、それぞれ+0.3%ポイント上昇幅が拡大しており、逆から見て、なかなか上がらない実質賃金の下押し圧力となっています。名目賃金は長らく+1%を上回る上昇を継続したことはなく、物価の方が+1%を上回る上昇を示せば、明らかに実質賃金は減少となります。ただ、デフレ脱却のこの時期には、こういった実質賃金の下落を通じた雇用の拡大が需給ギャップの縮小をもたらし、長い目で見て賃金上昇につながる、と考えられるのも事実です。もうひとつはパートタイム雇用比率の上昇です。引用した記事にもある通り、パートタイム比率は前年同月と比べて+0.33%ポイント上昇しており、上のグラフの4枚目の一番下のパネルでも、1月統計でパートタイム雇用の大きな増加が確認できます。賃金水準の低いパートタイム雇用の増加は雇用者全体の平均賃金の下押し圧力となります。

毎月勤労統計調査の1月統計だけをもって判断するのは早計かもしれませんが、これだけ人手不足がクローズアップされている中で、それでも上がらない賃金の動きには改めてデフレの厳しさを感じざるを得ません。
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2018年03月08日 (木) 19:28:00

大きく上方修正された2017年10-12月期GDP統計2次QEから何を読み取るか?

本日、内閣府から昨年2017年10~12月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.4%、年率では+1.6%を記録しました。先月公表された8四半期連続のプラス成長で、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率を上皮る成長率で、しかも内需主導の成長でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP、年率1.6%増に上方修正 10-12月 設備投資が上振れ
内閣府が8日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.6%増だった。速報値(前期比0.1%増、年率0.5%増)から大幅に上方修正した。民間企業の設備投資が想定より好調だったほか、在庫の積み増しも全体を押し上げた。
プラス成長は16年1~3月期から8四半期連続で、約28年ぶりの長さとなる。物価変動の影響を加味し、生活実感に近いとされる名目GDPは前期比0.3%増(速報値は0.0%減)、年率では1.1%増(同0.1%減)だった。
設備投資は実質で前期比1.0%増と、速報段階の0.7%増から上振れした。製造業で半導体関連を中心に生産能力を引き上げる動きが広がったほか、人手不足で需要が高まっているファクトリーオートメーション(FA)機器を生産する設備の導入が相次いだ。財務省の法人企業統計での実績値を反映した。
民間在庫は速報値ではGDPを0.1ポイント押し下げていたが、在庫の増加幅が拡大したことで、改定値では0.1ポイントの押し上げに転じた。原油や天然ガス、鉄鋼など原材料在庫が増えたことも寄与した。在庫が増えると付加価値を生んだとみなされ、FDPの押し上げ要因となる。
このほか実質GDPの項目別をみると、住宅投資(2.6%減)や公共投資(0.2%減)が上方修正された。個人消費は前期比0.5%増と速報段階から変更はなかった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需が速報値(プラス0.1ポイント)から上ぶれし、プラス0.4ポイントとなった。輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.0ポイントで変わらなかった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期比プラス0.1%(速報値はプラス0.0%)だった。
同時に発表した2017年暦年のGDP改定値は、実質で前年比1.7%増(速報値は1.6%増)だった。名目では同1.5%増(同1.4%増)だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/10-122017/1-32017/4-62017/7-92017/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.3+0.5+0.6+0.6+0.1+0.4
民間消費+0.1+0.5+0.8+0.2+0.5+0.5
民間住宅+0.8+1.2+0.9▲1.7▲2.7▲2.6
民間設備+1.5+0.2+1.2+1.0+0.7+1.0
民間在庫 *(▲0.2)(+0.1)(▲0.1)(+0.4)(▲0.1)(+0.1)
公的需要▲0.6+0.1+1.2▲0.5▲0.2▲0.0
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.4)(+0.9)(+0.1)(+0.1)(+0.4)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.3)(+0.5)(▲0.0)(▲0.0)
輸出+2.7+2.0+0.0+2.1+2.4+2.4
輸入+0.6+1.7+1.9▲1.2+2.9+2.9
国内総所得 (GDI)▲0.0+0.1+0.8+0.5▲0.2+0.0
国民総所得 (GNI)▲0.0+0.3+0.8+0.7▲0.3▲0.0
名目GDP+0.2+0.3+0.9+0.7▲0.0+0.3
雇用者報酬+0.1▲0.2+1.1+0.6▲0.4▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲0.8▲0.3+0.2+0.0+0.1
内需デフレータ▲0.4+0.0+0.4+0.5+0.5+0.6


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2017年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が8四半期連続でプラスを示し、赤い消費と水色の設備投資と灰色の在庫といった内需項目がプラスの寄与を記録している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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まず、年率成長率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのが中心値で+0.8%で、レンジでも年率+0.6~+1.7%でしたので、ほぼレンジの上限ですから、かなり大きな上振れだったといえます。その主要な要因は企業部門であり、引用した記事にもある通り、あるいは、上のテーブルにも見られる通り、需要項目としては設備投資と在庫増です。年率にしていない前期比で、設備投資の寄与度が+0.1%、在庫が+0.2%、それぞれの寄与度が上方修正されており、この2つの需要項目だけでGDP前期比成長率の1次QE+0.1%から2次QEの+0.4%の0.3%ポイントの差をすべて説明できてしまいます。1次QEと2次QEの差として、もちろん、法人企業統計をはじめとして、利用可能でなかった統計が利用可能となったわけですが、昨年2017年10~12月期の時間の経過とともに企業部門が上向いた可能性も無視できません。他方、家計部門は1次QEの時点と2次QEとで大きな差はなく、引き続き、つましい消費生活を送っている、という評価が成り立つのかもしれません。消費に対する私の評価としては、リーマン・ショックのあった2009年以降、政策動向から、ある意味で、消費を押し上げてきたエコカー減税や家電エコポイント制度、あるいは、消費増税前の駆け込みによる需要の先食いの悪影響が一昨年2016年くらいからようやく緩和し、耐久財の買い替えサイクルが戻って来たように感じていますが、ひとつには天候要因や国際商品市況の動向などに起因して、生鮮野菜やガソリン価格などが値上がりし、物価が上昇する中で賃上げが進まず、10~12月期の実質雇用者報酬は前期比で▲0.4%減となっていて、物価上昇と鈍い賃上げの狭間で消費が力強さに欠ける結果となっています。そして、家計の所得が伸び悩み、消費に停滞感があることから、8四半期連続のプラス成長の果実が企業部門に独占されて家計部門に及んでいないのが実感なき成長の大きな原因であると私は考えています。今春闘における本格的な賃上げが望まれるゆえんです。

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後にグラフを取り上げていますが、本日は、財務省から1月の経常収支も公表されています。季節調整していない原系列の統計で1月には+6074億円の経常黒字を計上しており、かなりの大きさに達しています。上のグラフは、季節調整された四半期データに基づいて経常収支対GDP比の推移をプロットしています。米国のトランプ政権が鉄鋼やアルミに対する高率関税を適用すると示唆して、それに対応する中国や欧州では報復も可能性なしとせず通商政策が世界的に注目される中、実は、中国だけでなく我が国の対外黒字もかなりの大きさに積み上がっている点は留意する必要があります。我が国の経常収支対GDP比は最近時点では+4%を超えて推移しています。

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最後に、本日、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、財務省から1月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲1.3ポイント低下して48.6を、先行き判断DIも▲1.0ポイント低下して51.4を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+6074億円の黒字を計上しています。いつものグラフだけ、上の通り示しておきます。
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2018年03月07日 (水) 19:41:00

CI一致指数が大きく下降した景気動向指数は景気拡大局面の終わりを示唆するのか?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月比▲1.8ポイント下降して104.8を、CI一致指数は▲5.7ポイント下降して114.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の景気一致指数、4カ月ぶりマイナス 「改善」は維持
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比5.7ポイント下落し、114.0となった。4カ月ぶりのマイナスで、生産や出荷など企業部門の指標が悪化した。内閣府は景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
CIを構成する指標のうち、前月と比較可能な7つの指標すべてが低下要因になった。中でも鉱工業生産や生産財出荷指数の下落寄与度が大きい。自動車や機械など幅広い品目で前月まで高い伸びが続いた反動が出た。中国の旧正月(春節)が前年と時期がずれたことが要因とみられる。一部地域では大雪の影響も出たもようだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に判断する基調判断を、16年10月以降続く「改善を示している」との判断のまま据え置いた。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「現実の経済活動はこれほど落ち込んでいない。1~2月は春節などでもともと季節調整が難しい」と見る。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出し、月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。前の月からの指数の変化で景気の「向き」を示し、水準で「勢い」をみることができる。1月の下落幅は東日本大震災があった11年3月(7.0ポイント低下)以来の大きさだった。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月より1.8ポイント低下し、104.8となった。前月と比較可能な9つの指標のうち、在庫など5つの指標が指数の低下要因となった


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、東日本大震災が起きた2011年3月の▲7.0ポイントの下降以来、CI一致指数は最近にない大きな下降を示しましたが、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」に据え置いています。というのは、1月の鉱工業生産指数(IIP)が中華圏の春節の影響などにより、大きな減産を示したカレンダー要因を考慮しているのではないか、と私は想像しています。例えば、上に示したグラフのうちの上のパネルにプロットしたCI一致指数の形があまりに1週間前の鉱工業生産指数(IIP)に似ているのが見て取れるかと思います。前月統計から▲1ポイントを超える大きな下降の寄与度を示したCI一致地数のコンポーネントが3項目あり、生産指数(鉱工業)▲1.36、鉱工業用生産財出荷指数▲1.34、耐久消費財出荷指数▲1.22と、いずれも鉱工業生産指数のうちの生産、出荷の項目です。この3項目の寄与度を合計すれば、それだけで前月差▲5.7ポイントのうちの半分超の▲4ポイント近くに達してしまいます。また、CI先行指数の▲1.8ポイントの下降の、これまた半分超の寄与を示しているのが新規求人数(除学卒)であり、これだけで▲0.98の寄与があります。しかも、先週3月2日に雇用統計を取り上げた際に明記した通り、雇用の先行指標のうち新規求人数は大きく低下している一方で、新規求人倍率はそこまで大きな低下ではありませんでしたから、何か、統計のあやのようなものを感じてしまいます。
いずれにせよ、明日公表予定の昨年2017年10~12月期のGDP統計2次QEをはじめとして、昨年12月までの経済指標は明らかに景気の回復・拡大を示している一方で、今年2018年1月から一揆に景気拡大が終了して景気後退局面に入った可能性は、まあゼロではないとしても、まだかなり小さいのではないかと私は考えています。例えば、帝国データバンクのTDB景気動向調査では2018年1月の景気DIは8か月連続の改善を示した後に、2月の景気DIが悪化したりしています。もちろん、日本経済研究センターの景気後退確率などのほかの指標も見てみたい気がしますが、直観的には、景気動向指数のCI一致指数が1月に大きく下降したのは、中華圏の春節によるカレンダー要因の可能性の方が大きいような気もしますので、もう少し先の2~3月、あるいは、さらに先の4月以降の統計も見つつ、ならして景気を判断する必要がありそうに思えてなりません。
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2018年03月06日 (火) 21:22:00

明後日公表予定の2017年10-12月期GDP速報2次QE予想やいかに?

先週木曜日3月1日の法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の3月8日に昨年2017年10~12月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。しかしながら、何分、2次QEですので、法人企業統計のオマケの扱いだったりして、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くなく、みずほ総研と第一生命経済研だけでした。しかも、みずほ総研はタイトルこそ「2018年も緩やかな景気回復が続く見込み」としているんですが、ヘッドラインに取り上げた通り中身は1月の鉱工業生産指数(IIP)からお話が始まっていて、まあ、確かに今年に入っての足元の経済情勢なんですが、やや怪しげでした。いずれにせよ、この2機関は2パラずつ引用しているほか、他機関のリポートについてもより詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.1%
(+0.5%)
n.a.
日本総研+0.2%
(0.7%)
10~12月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資が下方修正となる一方、設備投資、在庫変動は上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+0.7%(前期比+0.2%)と1次QE(前期比年率+0.5%、前期比+0.1%)から小幅上方修正される見込み。
大和総研+0.3%
(+1.0%)
10-12月期GDP二次速報(3月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.0%(一次速報: 同+0.5%)と、一次速報から上方修正されると予想する。基礎統計の直近値の反映により公共投資のマイナス幅が縮小するほか、需要側統計の法人企業統計の結果を受けて設備投資は上方修正される見込みだ。
みずほ総研+0.1%
(+0.6%)
1月の鉱工業生産は前月比▲6.6%と大幅な落ち込みを記録したが、元々1月は自動車産業をはじめとする工場の稼働日数や中華圏の春節休暇の影響で、季節調整値でも振れやすい傾向があることに留意が必要だ。実際、2月の予測指数は、1月に大きく減産した輸送機械工業を中心に、前月比で+9.0%(補正値でも+4.7%)と大幅な増産計画となっている。IT関連財や一般機械類を中心に輸出が増勢が続き、設備投資は五輪関係や省力化投資も加わって回復基調を辿ると見込まれるなど、景気の回復基調は維持されるだろう。ただし、個人消費については、堅調な雇用・所得情勢が下支えする一方、食料品やガソリンといった生活必需品の価格上昇や、大雪などの天候要因が逆風となり、当面力強さを欠きそうだ。
株価の乱高下は足元では落ち着きつつあるが、為替が円高に振れるなど、金融市場発の下ぶれリスクには依然として留意が必要だ。中国における構造改革の足取りや、北朝鮮情勢を中心とする地政学リスクにも引き続き目配りが欠かせない。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.8%)
3/8公表予定の17年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率 0.8%)となり、1次速報の前期比0.1%(前期比年率 0.5%)から若干上方修正されると予測する。設備投資は下方修正されるが、民間消費、民間在庫変動、公的固定資本形成の上方修正がその影響を上回るだろう。
第一生命経済研+0.3%
(+1.0%)
GDP以外の経済指標においても10-12月期は良好なものが多く、景気は好調な推移が続いていると判断して良いだろう。
先行きについても、世界経済の拡大に伴う輸出の増加と好調な企業業績を背景にした設備投資の持ち直し傾向は続くとみられる。景気を取り巻く環境は良好であり、今後も景気は改善を続ける可能性が高い。
伊藤忠経済研+0.2%
(+1.0%)
2017年10~12月期の実質GDP成長率は2次速報で前期比+0.2%(年率+1.0%)へ小幅上方修正されると予想。設備投資のほか、公共投資や民間在庫も若干上方修正される見込み。潜在成長率程度の成長となり、デフレ脱却に向けた底堅い拡大が確認されよう。引き続き円高の企業業績への影響が懸念されるが、労働分配率の底入れは明るい材料。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.8%)
2017年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.2%(年率換算+0.8%)と1次速報値の同+0.1%(同+0.5%)からわずかに上方修正される見込みである。
三菱総研+0.1%
(+0.4%)
2017年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.4%)と8四半期連続のプラス成長を予測する。外需は若干のマイナス寄与となるものの、内需は消費・設備投資を中心に底堅く推移した。


上のテーブルを眺める限り、最終行の三菱総研を除いて、すべての機関で先月公表の1次QEの推計値である前期比+0.1%、年率+0.5%をやや上回る予想となっています。すなわち、三菱総研も含めて+0%台半ばから+1%くらいまでのレンジであり、ビミョーなところながら、潜在成長率並みといえそうです。法人企業統計のサンプル替えの影響を強調するニッセイ基礎研を除いて、設備投資は法人企業統計の結果を受けて上方改定される一方で、個人消費は1次QEから大きな変更なく、引き続き消費は冴えない展開ながら、設備投資の上振れが2次QEでの上方修正の大きな要因と指摘されています。下方修正を見込む三菱総研も含めて、8四半期連続、つまり2年間一貫してプラス成長が続き、第一生命経済研のリポートが指摘するように、GDP統計以外の経済指標も足元で好調を維持継続しており、設備投資が上向くのであれば、我が国経済の回復・拡大はもう少し続くものと考えてよさそうです。他方で、先行きリスクを考えると、上に引用したリポートではまったく触れられておらず、もちろん、目先のお話しではないかもしれませんが、米国トランプ政権の通商政策の動向が上げられます。鉄鋼やアルミに中国からの輸入品だけでなく日欧の同盟国からの輸入品にも高関税を課し、欧州政府も貿易戦争も辞さずとの姿勢と報じられています。減税政策が強く支持されてきた一方で、いよいよ、トランプ政権の通商政策リスクが顕在化するんでしょうか。
下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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2018年03月05日 (月) 21:32:00

就活が始まり「東大生1800人が選ぶ、就職注目企業ランキング」やいかに?

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先週は雇用統計を取り上げ、1月の失業率が何と2.4%まで低下しているわけで、人手不足が一段と進んでいる中、2019年春卒業の大学生などに対する企業の就職説明会などのいわゆる就活が3月から開始されました。実は、我が家の上の倅がまさに該当しますので、私も親として興味を持って目配りをしていたりします。
ということで、就職・転職のための企業リサーチサイトVorkersから、2019就活調査レポート第1弾として「東大生1800人が選ぶ、就職注目企業ランキング」が明らかにされています。上のテーブルの通りで、Vorkersのサイトから引用していますが、コンサルと外資系が注目されているように見受けられます。正月休みに就活について倅と話をしたところ、ハードワークのゆえにコンサルはイヤ、といっていましたので、実に私の倅らしいと大いに親子のつながりを感じてしまった記憶があります。
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2018年03月02日 (金) 20:42:00

ほぼほぼ完全雇用を示す1月の雇用統計からデフレ脱却を考える!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも1月の統計です。失業率は前月から大きく▲0.3%ポイント低下して2.4%を示した一方で、有効求人倍率は前月と同じ1.59倍となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の完全失業率2.4% 24年9カ月ぶり低水準
完全雇用状態続く

総務省が2日公表した労働力調査によると、1月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で1993年4月以来24年9カ月ぶりの低い水準となった。雇用環境の改善で失業者が減った。前月比0.3ポイント改善し、総務省は「非常に大きな改善となった」としている。厚生労働省が同日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.59倍だった。
完全失業率は働く意欲のある人のうち、職がなく求職活動をしている人の割合を指す。求人があっても職種や年齢などの条件で折り合わずにおきる「ミスマッチ失業」は3%程度とされる。1月は3%を大きく割り込み、働く意志のある人なら誰でも働ける完全雇用状態にあるといえる。
失業率の内訳をみると、失業して仕事を探している完全失業者数は前年同月比で38万人と大幅に減った。減少幅は14年8月以来約3年ぶり。
ハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、1974年1月以来の高水準だ。労働需要は依然として高い。就業者数は6562万人で前年同月比で92万人増加した。
就業者を産業別にみると、飲食・宿泊サービス業で前年同月比23万人増加した。そのほか教育・学習支援業(18万人増)や情報通信業(10万人増)で増加が目立った。
企業は人材の確保が難しく、人手不足が深刻になっている。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は14.7%だった。ハローワークを通さない求職は含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
将来の人手不足を見越して長期間雇える正社員の雇用を増やす企業も多い。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍で前月と同様、高水準だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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上に並べた3枚のグラフについて、失業率が景気動向に対して遅行指標、有効求人倍率が一致指標、新規求人が先行指標と、多くのエコノミストは認識しており、先行指標の新規求人数が大きく下げたのはやや気がかりですが、私がこのブログで示している新規求人数は下げた一方で、新規求人倍率をチェックすると上のグラフほどは下げていませんから、やや先行きに懸念を残しつつも、失業率の大きな下げに注目する論調が現時点では主流ではないかという気がします。ということで、失業率はもちろん、有効求人倍率もかなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同水準で1.07倍と1倍を上回って推移しています。ただし、今日の雇用統計には含まれていませんが、繰り返しこのブログで指摘している通り、毎月勤労統計などを見る限り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない可能性がある、と私は考えています。ですから、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。少なくとも、失業率が2%台前半に入ったということは、かなりその遊休スラックの限界に近づいた事実を示している可能性があります。加えて、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、株高ほどではないとしても、それなりに消費者マインドを下支えしているのではないかと私は考えています。ただし、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなく今春闘では個人当たりの賃上げも何とか実現して欲しいと思います。
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2018年03月01日 (木) 19:54:00

企業部門の好調さを示す法人企業統計と消費者マインドが落ち続ける消費者態度指数!

本日、財務省から昨年2017年10~12月期の法人企業統計が、また、内閣府から今年2018年2月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。まず、法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は5四半期連続の増収で前年同期比+5.9%増の358兆2061億円、経常利益も6四半期連続の増益で+0.9%増の20兆9410億円、設備投資は製造業で+6.5%増、非製造業で+3.0%増となり、製造業が牽引する形で、全産業では+4.3%増の11兆4000億円を記録しています。一般に内部留保と呼ばれる利益剰余金は前年同期比+11.2%増の417兆2895億円に上っています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比+3.1%増の10兆7928億円となっています。また、消費者態度指数は前月から▲0.4ポイント低下して2月は44.3を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10~12月期の設備投資5四半期連続プラス 法人企業統計
財務省が1日発表した2017年10~12月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.3%増の11兆4000億円だった。プラスは5四半期連続。国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で3.1%増と2四半期連続で増加した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は6.5%増加した。スマートフォン(スマホ)に使う半導体の需要増などを背景に情報通信機械業で生産能力を増強する動きが旺盛だった。非製造業は3.0%増えた。運輸業で船舶や航空機の取得が増えたほか、物品賃貸業でリース資産が増加した。「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は製造業が季節調整済み前期比7.7%増、非製造業が0.6%増だった。
全産業ベースの経常利益は前年同期比で0.9%増の20兆9410億円だった。増益は6四半期連続。製造業が2.5%伸びた半面、非製造業は0.0%減とわずかに前年実績を下回り、2四半期連続のマイナスとなった。建設業で好調だった前年の反動が出たほか、小売業で出店費用などコストが増えた。
売上高は5.9%増の358兆2061億円と5四半期連続で増収となった。製造業は4.7%、非製造業が6.4%それぞれ増えた。中国などで建設機械や半導体製造装置の売れ行きが好調だったほか、石油製品の値上がりも寄与した。小売業ではインバウンド(訪日外国人)需要を取り込んだ。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の17年10~12月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。
2月の消費者態度指数が低下 野菜・ガソリン値上がりで、基調判断引き下げ
内閣府が1日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は44.3と前月に比べ0.4%低下した。葉物野菜やガソリンが値上がりするなか、上旬の株価急落も重なって消費者心理が悪化した。内閣府は基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「足踏みがみられる」に下方修正した。
指数低下は2カ月ぶり。消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下。「収入の増え方」は上昇した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.1ポイント低い81.3%となり、7カ月ぶりに前月を下回った。「変わらない」は6カ月ぶりに、「低下する」は2カ月ぶりに、それぞれ増加に転じた。
基調判断は前月、「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正したばかり。内閣府の経済社会総合研究所は「指数の水準自体は高く、悲観するような動きではない」と分析している。
調査基準日は2018年2月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5919世帯(回答率70.5%)だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えれば「ゼロ」になる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとかなり長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、2017年10~12月期の売上高経常利益率は製造業が7.4%、非製造業が5.2%を記録しています。資本金別でも、10億円以上の上場企業クラスが8.0%に対して、1億円~10億円が4.4%、1億円以下でも4.2%と、低金利時代の利子率を軽く上回る水準を記録しています。国内経済も着実に回復・拡大を示している景気の現状に加えて、世界経済が順調に回復・拡大を見せていることから、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については一昨年2016年年央くらいを底に明らかに上向きに転じ、昨年2017年は年間を通じてこの流れが継続していることが確認できたと思います。また、設備投資についてもかなり伸びが本格化して来た印象です。季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は2017年10~12月期に前期比で3.1%増でしたが、製造業で+7.7%増、非製造業で+0.6%増を示しており、利益率が高い製造業の方で投資の伸び率が高くなっており、為替がまだ円安水準にあったことも影響している可能性があります。もっとも、現下の人手不足の影響は非製造業においてより大きいと考えられますので、今後は非製造業でも設備投資が活発化する可能性が大いにあります。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、2017年7~9月期に少し足踏みを見せたものの、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。また、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、春闘の賃上げを政府から要請することもさることながら、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。ですから、もしも裁量労働制が労働時間の短縮につながらずに企業利益を増加させるだけに寄与するのだとすれば、むしろ、労働時間を短縮して実効性の面から企業のキャッシュを雇用者に配分するような政策が必要なのかもしれません。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、2月統計を前月差で詳しく見ると、上昇したのは「収入の増え方」だけで+0.3の上昇となったほか、「雇用環境」が▲1.0ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.5ポイント低下、「暮らし向き」が▲0.4ポイント低下をそれぞれ示しています。ただ、「雇用環境」については、前月差では最も大きく低下を示したものの、指数の水準では48.7であり、コンポーネントの中でもっとも高くなっています。直近のピークは2017年11月の44.9であり、そこからジワジワと指数は低下を続けており、2月統計の公表に当たって、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しのテンポが緩やか」から「足踏み」に下方修正しています。先月1月統計の公表時には「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やか」に下方修正したところですので、2か月連続の下方修正となります。その理由として、引用した記事のタイトルでは、野菜・ガソリン値上がりがクローズアップされていますが、むしろ、私は米国市場発の株安の影響の方が大きいんではないかと考えていて、どこまで消費者マインドの基調が変化したかは疑問だと考えていますが、内閣府では1月に続いて2月も消費者マインドの基調が変化した可能性が高いと考えているようです。

本日発表の法人企業統計などを基に、来週3月8日には内閣府から2017年10~12月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。また、日を改めて取りまとめたいと思います。
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2018年02月28日 (水) 19:43:00

大きな減産となった鉱工業生産指数(IIP)とやや停滞を示す商業販売統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも1月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から▲6.6%の減産を示し、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.6%増の11兆7700億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は▲1.8%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産1月6.6%低下 4カ月ぶりマイナス
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は99.5と、前月に比べ6.6%低下した。低下は4カ月ぶり。自動車や土木建設機械などの生産が振るわなかった。経産省は基調判断を「持ち直している」から「緩やかな持ち直し」に引き下げた。
生産指数はQUICKがまとめた民間予測の中央値(4.0%低下)も下回った。低下幅は東日本大震災が起きた2011年3月(16.5%低下)以来の大きさ。基調判断の引き下げは、15年8月に前月の「一進一退」から「弱含み」にして以来、2年5カ月ぶりとなる。
全15業種のすべてで前月比マイナスだった。低下が目立ったのは輸送機械工業で14.1%低下した。北米での自動車販売の鈍化などを背景に乗用車や自動車部品の生産が落ち込んだ。汎用・生産用・業務用機械工業も7.8%低下。ショベル系掘削機械や金属工作機械などが振るわなかった。
出荷指数は5.6%低下の98.3だった。在庫指数は0.6%低下の108.8。在庫率指数は3.0%上昇の113.8だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では2月が9.0%上昇、3月は2.7%低下だった。
1月の小売販売額、前年比1.6%増 3カ月連続プラス
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、1月の小売業販売額は前年同月比1.6%増の11兆7700億円だった。前年実績を上回るのは3カ月連続。原油高で石油製品の価格が上昇。天候不順による野菜の値上がりも影響した。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いた。
業種別では、燃料小売業が11.2%増と伸びが目立った。飲食料品小売業も2.0%増えた。一方、自動車小売業は0.3%減少。新型車の投入が一巡し、18カ月ぶりに前年割れとなった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1兆6828億円と前年同月に比べ0.5%増えた。既存店ベースも0.5%増だった。
コンビニエンスストアの販売額は9323億円と1.8%伸びた。加熱式タバコやプリペイドカードが好調だった。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値で▲4.0%の減産、予測レンジの下限でも▲5.3%の減産でしたので、その下限を突き抜けた大きなマイナスと受け止めています。ただ、製造工業生産予測調査では2月が+9.0%の増産と見込んでおり、実績ではやや下振れしがちな指標である上に、3月が▲2.7%の減産と見込まれているとはいえ、短期に1月減産のかなりの部分を取り戻す、という計算が成り立ちます。いずれにせよ、引用した記事では注目していませんが、中華圏の春節が2月16日に当たったカレンダー要因が生産の大きな振れに影響を及ぼしているようです。私が役所の仕事を始めた1980年代前半にはほぼほぼ考えられなかったことですが、中国をはじめとする中華圏経済がプレゼンスを高めている結果であることは間違いありません。ですから、2月生産の実績を見てみたい気が私はするんですが、統計作成官庁の経済産業省では気が早いというか、何というか、基調判断を「持ち直し」から「緩やかな持ち直し」に引き下げています。ただ、繰り返しになりますが、私は2月の統計も見たい気がします。というのも、1月統計では生産▲6.6%の減産、出荷も▲5.6%の低下を示しているうち、この生産と出荷に共通して、業種別では輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業が低下業種に上げられている一方で、2月の製造工業生産予測調査では、はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業が、やや並びが異なるとはいえ、上げられており、1~2月をならして見れば、統計公表のたびに経済実態の見方をアタフタと変更する必要はない可能性も否定できません。もちろん、直観的には1~3月期に生産はマイナスをつけそうな気もします。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。ということで、小売販売額は前年同月比で+1.6%増ながら、消費者物価が生鮮食品を除くコアCPIで+0.9%、ヘッドラインで+1.4%、持ち家の帰属家賃を除く総合で+1.7%のそれぞれ上昇を示していますから、実質値への変換は家計調査と違ってバスケットのウェイトが違うので簡単ではないものの、ほぼゼロくらいの感じで私は受け止めています。東京でも積雪が見られた天候要因のほかに、生鮮食品の値上がりによる実質所得の低下や伸び悩みが下押し要因となったと私は考えています。ただ、基調としては緩やかな回復・拡大が続いていて、先行きも引き続き緩やかな回復・拡大が継続するものと私は見込んでいます。春闘で政府の目論見通りに3%賃上げがなされれば、消費はさらに回復・拡大を続けると見込まれますが、賃上げ率がこれに達しない可能性も大いにあります。消費のさらなる増加のためには賃上げによる所得のサポートが欠かせませんし、賃上げは生鮮食品などの価格の上昇を埋め合わせ、さらに、デフレ脱却につながるわけですから、ある程度の賃上げの実現が待たれるところです。
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2018年02月27日 (火) 21:26:00

1年を経てプレミアム・フライデーは何をもたらしたか?

昨年2017年2月24日(金)に始まってから、先週2月23日(金)でプレミアム・フライデーは1年を経過しました。これを受けてインテージから「プレミアムフライデー施行から1年、定着はいかに?」と題する調査結果が先週2月20日に明らかにされています。1年前の同様の調査との比較が可能となっています。私はそれほど興味はないんですが、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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1年前と比べて、さすがにプレミアム・フライデーの認知率は大きく向上しました。1年前は「知らない」が30%を超えていたんですが、最近時点では3%ほどにとどまります。ただし、グラフの引用は省略しますが、勤務先におけるプレミアム・フライデーの実施あるいは奨励に関する状況を聞いてみると、「奨励・実施している」と回答したのは最近時点でも11.0%にとどまっています。1年前調査では、プレミアム・フライデー初回が勤務先で「奨励された」または「実施された」と回答した人の合計が10.5%だったことを考えると、1年を経過してもほとんど奨励や実施の割合は伸びておらず、制度自体は認知されつつも、実際に早帰りがしやすい環境にある人はほとんど増えていない現状が調査結果から浮き彫りにされています。また、これもグラフの引用は省略しますが、プレミアム・フライデーの早帰り状況については、1月末までの12回のプレミアム・フライデーのうち1回でも早帰りをしたことがあるのは、わずかに8.3%であり、逆から考えると、90%超の人は1回も早帰りをしなかったことになります。昨年2017年2月24日(金)の初回実施時に早帰りを実行した人は3.7%でしたので、倍増を超えていますから確かに増加しているとはいえ、まだまだ幅広い普及にはほど遠いようです。

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そして、上のグラフはプレミアムフライデーの勤務先における奨励・実施状況と当日の早帰り状況について、企業規模別にみたものです。奨励・実施も、早帰りの実行も、いずれも割合はかなり低いとはいえ、1,000人以上規模の大企業に大きく偏った印象を受けるのは私だけでしょうか。

私はプレミアム・フライデーについては、実施当初は、雇用の安定した正規職員が早帰りをして、非正規職員が小売り店や飲食店などで対応に当たるという姿をイメージしないでもなかったんですが、どうも、切り分けるポイントは正規と非正規ではなく、大企業と中小企業だったのかもしれません。ただし、この調査結果を基に知り合いのエコノミストと少し雑談をしていると、一般的な常識を当てはめれば、いずれにせよ高所得者の消費の方がより大きく増加したのだとすれば、あくまでその仮定の下では、所得の再分配には効果があった可能性がある、という点を示唆されてしまいました。そうなのかもしれません。
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2018年02月26日 (月) 21:12:00

リクルートジョブズによる非正規雇用の賃金動向調査結果やいかに?

今週金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の1月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き2%を超えてで堅調に推移していて、特に1月統計では1,019円と前月からは低下したものの、高い水準を維持し続けています一方で、派遣スタッフの平均時給は、一昨年2016年9月から昨年2017年8月までの12か月ではマイナスを記録する月の方が多かったくらいですが、昨年2017年9月からはふたたびそれなりのプラス幅を記録していて、1月は前年同月比で+2.6%上昇し、1,654円に達しています。引き続き、非正規雇用の求人は堅調と考えてよさそうです。
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2018年02月23日 (金) 23:23:00

2018年に入ってともに+1%近い上昇率を続ける消費者物価(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも1月の統計です。どちらも前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+0.9%を、また、SPPI上昇率は前月からやや上昇幅を縮小して+0.7%を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の全国消費者物価0.9%上昇 エネルギーが押し上げ
総務省が23日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.4と前年同月比0.9%上昇した。プラスは13カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.8%上昇)を上回った。電気代や石油製品などエネルギー品目が押し上げた。17年12月は0.9%上昇だった。
生鮮食品を除く総合では、全体の58.5%にあたる306品目が上昇し、165品目が下落した。横ばいは52品目だった。生鮮食品を除く総合指数を季節調整した前月比でみると0.2%上昇だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.7と前年同月比0.4%上昇した。安売り規制の影響でビールなど酒類が上昇した。婦人用コートなど衣服及び履物も押し上げに寄与した。
生鮮食品を含む総合は101.3と1.4%上昇した。消費増税の影響を除くと2014年7月(1.4%上昇)以来の高水準だった。天候不順や不漁でレタス、ミカン、マグロなどが高騰し、指数を押し上げた。
政府が進める統計改革の一環で、総務省は全国CPIの公表を今回から1週間早めた。調査項目として「格安スマホ通信料」「SIMフリー端末」「加熱式たばこ」の3点を加えた。総務省統計局は新品目に「価格は安定しており、指数への影響は限定的」との見方を示した。
1月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 テレビ広告が堅調
日銀が23日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.7%上昇した。テレビ広告が堅調だった。人手不足を背景にソフトウエア開発や土木建築サービスの価格も上昇した。前月比では0.6%下落した。
テレビ広告は年始にあった人気の映画の放送が寄与した。前年と比較して積極化した仮想通貨の広告も価格上昇につながった。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは80品目、下落は31品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は49品目だった。
宅配便など道路貨物輸送関連の価格は伸び悩んだ。ただ「これまでの値上げ幅が落ち着いてきたものの、上昇トレンドは変わっていない」(調査統計局)という。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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昨年2017年12月統計に続いて、今年2018年1月もコアCPI上昇率は+0.9%を記録し、エコノミストの間では早ければ2月にも+1%に達し、場合によってはデフレ脱却宣言も遠くない、との憶測が飛び交っていますが、それでも日銀のインフレ目標の+2%にはほど遠く、しかも、エネルギー価格に伴う物価上昇ですから、コスト・プッシュの要因が強く働いていると考えられ、どこまでが順調な景気回復・拡大に基づくディマンド・プルなのかは疑問が残ります。私は決して「悪い物価上昇とよい物価上昇」を区別しようと思いませんが、少しくらいは考えてみる必要もありそうです。すなわち、石油価格などのエネルギー価格の上昇に牽引された物価上昇では、実質所得の減少につながる場合があると考えるべきですが、逆に、同じコスト・プッシュでも石油価格をはじめとするエネルギー価格ではなく、賃上げによる賃金に起因する物価上昇であれば、所得の増加が伴うので物価上昇による実質所得の低下は小幅で済むのはいうまでもありません。いずれにせよ、賃上げ動向次第で政府がデフレ脱却宣言を発する可能性があることは可能性なしとしません。

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エネルギー価格に牽引された物価上昇ということで、少し違う角度から消費者物価上昇率を考えてみたのが上のグラフです。いずれも前年同月比の上昇率で、上のパネルは購入頻度別に見た物価上昇率、月1回程度以上と未満のそれそれの上昇率であり、下のパネルは基礎的・選択的支出別の物価上昇率です。なお、基礎的支出と選択的支出の定義については、ホンワカと理解できるところですが、「消費者物価指数のしくみと見方」pp.35-36 で解説されています。ということで、グラフから明らかな通り、頻度高く購入する品目、また、基礎的な支出に当てる必需品の物価上昇率が最近時点で高く、しかも、ここ2~3か月で急上昇を示していることから、どうも国民一般には物価上昇が実感としては統計以上に感じられている可能性があるんではないかと懸念しています。

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最後に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPIも引き続き堅調な推移を見せています。特に、1月には景気動向と密接な関係を持つと考えられる広告が、前年同月比で+1.4%の上昇、前年比寄与度前月差でも大きな寄与を示しています。引き続き、人手不足を背景として企業向けサービス物価もプラスを続けそうです。
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2018年02月22日 (木) 19:28:00

ジャパンネット銀行によるシェアリングサービスに関する調査結果やいかに?

先週金曜日2月16日付けの記事に、私はエコノミストとして、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味がある、と書きましたが、2月15日付けでジャパンネット銀行から「ミレニアル世代の "シェア消費" 事情は?」と題する利用意向・利用実態を調査した結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ジャパンネット銀行のサイトから調査結果トピックスを3点引用すると以下の通りです。

調査結果トピックス
  1. ミレニアル世代のシェアサービスに対する興味・関心
    場所・モノ・交通手段...3分野のシェアサービスについて、利用実態・利用意向を調査
    利用に関心を持つミレニアル世代は6割超、受容度は親世代の約3倍に!
  2. ミレニアル世代にとってのシェアサービスの魅力
    ミレニアル世代にとって、シェアサービスは「お得」で「合理的」な、賢い選択
    「他ユーザーとの交流のきっかけになる」の声も半数超え
  3. シェアサービスと親和性が高い、ミレニアル世代の消費傾向
    「モノをあまり持ちたくない」「合理性を重視する」「体験・つながりを大事にしたい」...
    ミレニアル世代の消費傾向は、シェアサービスの特性とリンクする部分が多数


私のような中年を対象にした調査ではなく、2000年以降に成人あるいは社会人になるミレニアル世代対象の調査です。米国などではシェアリング・エコノミーの牽引役はミレニアル世代であるといわれており、ややバイアスあるものの、我が国でもそれなりに興味深い結果が出ています。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の利用意向 の画像を引用すると上の通りです。各分野の利用意向とは、「すでに利用している」と「ぜひ利用したいと思う」と「機会があれば利用したいと思う」の合計ですから、濃淡はあるんでしょうが、まずまず利用意向としては高い方ではないかという気がします。ただし、欧米先進国などで考えられているシェアリング・エコノミーとはやや定義がズレているような気がします。私が考えるシェアリング・エコノミーとは、事業者がインターネット上にマッチングのためのプラットフォームを設置し、それによって消費者同士が、すなわち、CtoC で取引がなされ、その仲介手数料がプラットフォーム企業の収益になる、というもので、最初に書いた通り、Airbnb とか Uber などが典型です。でも、上の画像の各分野の1位から3位までを見る限り、極めて伝統的で従来型の貸衣装とか、レンタカーなども「シェアリング・サービス」と称してマーケティングを行っているような気がします。かつて、電気製品で何でもかんでも「ファジー」を付けたマーケティングがありましたが、そういった売込み上のテクニックと化しているのかもしれません。

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次に、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の考え方 のグラフを引用すると上の通りです。「シェアサービスを利用するのは賢い選択だと思う」と答えた人は66%と約7割に上り、ほかにも、「シェアサービスは経済的だと思う」(77%)、「シェアサービスは合理的だと思う」(73%)と答えた人も、それぞれ7割を超えています。そのバックグラウンドとして、「モノをあまり持ちたくない」(51%)、「お金を使うときには合理性を重視するほうだ」(66%)、「モノよりも体験や人とのつながりを大事にしたい」(51%)などの結果も示されており、消費に対する意識がシェアリング・エコノミーとの親和性高いとの結果が示されています。

やや、本来のシェアリング・エコノミーを一部に誤解しつつ、売込み上のテクニックのように見えなくもありませんが、ミレニアル世代に対するシェアリング・サービスの浸透度はそれなりに高い結果が示されているように受け止めました。私は、たぶん、こういったシェアリング・サービスは利用する機会は少ないような気がしますが、エコノミストとして消費や経済への影響を考えたいと思っています。
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2018年02月21日 (水) 21:42:00

帝国データバンクによる「2018年度の賃金動向に関する企業の意識調査」やいかに?

春闘における賃上げ3%の政府目標(?)が掲げられている中で、先週2月15日付けで帝国データバンクから「2018年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。まだまだ不十分との意見もあるでしょうが、少しは期待できる内容かという気もします。まず、調査結果(要旨)を帝国データバンクのサイトから4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は56.5%と過去最高を更新。前回調査(2017年度見込み、2017年1月実施)を5.3ポイント上回った。「ない」は18.4%にとどまり、2018年度の賃金改善は概ね改善傾向にある。
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベア45.4%(前年度比5.1ポイント増)、賞与(一時金)31.8%(同3.0ポイント増)。ベア・賞与(一時金)とも過去最高を更新
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が8割に迫る79.7%と4年連続で増加。人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。「自社の業績拡大」(47.0%)が5年ぶりに増大するなど、上位5項目はいずれも前年を上回った。改善しない理由は、「自社の業績低迷」(55.6%)が4年ぶりに5割台へ低下。「人的投資の増強」(20.2%)は横ばいで推移した一方、「内部留保の増強」(17.9%)は3年連続で増加
  4. 2018年度の総人件費は平均2.84%増加する見込み。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約3.7兆円(平均2.65%)増加すると試算される


やや長くなってしまいましたが、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートからベースアップと賞与(一時金)に分けて、賃金改善の具体的内容について問うた結果のグラフは上の通りです。賃金改善を予定している企業はまだまだ少数で50%を割り込んでいるとはいえ、昨年度と比べてベアが5.1%ポイント、賞与が3.0%ポイント、それぞれ増加を示しており、いずれも過去最高だそうです。そして、賃金を改善する実施する理由としては、複数回答制で、「労働力の定着・確保」の79.7%がもっとも高く、ここ3年間でジワジワと割合が拡大しています。逆に、賃金を改善しない理由としては、「自社の業績低迷」が55.6%とトップとなっていますが、ここ3年間でジワジワと割合を下げています。

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私は、我が国の賃金が1人当たりでは上がる余地が小さいと考え始めてから、雇用の増加、しかも、正規雇用の増加と賃金上昇のかけ合せたマクロでの総人件費が消費に効いてくることから、マクロでの賃金動向にも目を配っているところ、次に、リポートから 2018年度の総人件費見通し のグラフを引用すると以下の通りです。ここ3年間で総人件費が増加する企業の割合が高くなってきており、逆に、減少の割合が低下しているのが読み取れます。ホントは、1人当たり賃金の上昇が加わって、物価上昇への圧力となるのがさらに望ましいような気もしますが、取りあえず、現時点では実感薄い景気回復・拡大の要因のひとつは消費の伸び悩みだと私は受け止めていますので、その消費の原資となるマクロでの総所得が伸びる方向にあるのは評価できるのではないかと考えています。
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2018年02月20日 (火) 20:24:00

連合総研による「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」結果やいかに?

先週2月16日付けで、連合総研から「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」の結果が明らかにされています。ネット調査であり、調査対象は加盟組合員だけでなく、働く男女1,000名の有効サンプルを集計したとされています。まず、リポートから調査結果の概要を6点引用すると以下の通りです。


  • AIのイメージ1位「記憶力や情報量が多い」
    臨機応変な対応や創造性の能力は、苦手なイメージ
  • AI導入で「自分の仕事が変わる」と3人に2人が予想
  • AIの導入で仕事は楽になる?それとも負担が増える?
    4割半ばが「仕事が楽になる」と予想
  • AI導入で労働時間がどう変わる? 2割半ばが「減る」と予想
    減少予想は「運輸」「金融・保険」で高く、AI導入で長時間労働の緩和に期待
  • AIの活用で「勤務先が維持・成長・発展する」と考える人は約6割
  • AIが導入されたら現在のスキル・知識で対応できる? 「できないと思う」が7割弱
    AIに関する知識やスキルに自信のない人が多いという結果


ということで、とても興味あるテーマですので、図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、グラフは引用しませんが、AIに対する認知度ですが、「意味をよく知っている」は31.5%、「言葉自体は聞いたことがある」が57.8%と、合わせて9割近い認知度を示しており、男女差は大きくないものの、わずかに男性の方が認知度高く、年齢的には20代から60代以上まで大雑把に90%近くで大差ありません。
これも図表は引用しませんが、「記憶力や情報量が多い」で76.8%、「ミスが少なく正確な判断ができる」が67.5%、「複数の事象を把握・対応ができる」が64.2%、「経験にもとづいた対応ができる」が61.4%で続いており、記憶力や正確性、マルチタスク能力などに優れているとの印象が持たれている一方で、臨機応変な対応や創造性の能力については他に比べて優れているとイメージしている人が少ないようです。私が印象的だったのは、業種別に、「ミスが少なく正確な判断ができる」や「複数の事象を把握・対応ができる」とのイメージを持っている人の割合がもっとも高かったのは金融・保険業だった点で、それぞれ約8割に上っています。

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まず、リポートから 今後、AIが普及することに対してどう思うか に関するグラフを引用すると上の通りです。先ほどの正確性などに対する期待が大きかった金融・保険業で、期待感ももっとも高く70%超を示しています。建設業や飲食・宿泊業などの人手不足の影響大きい業種では期待度は決して高くなく、逆に、公務等で不安感がもっとも大きく20%に達しています。公務員のひとりとして判る気もします。

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次に、リポートから 今後、自分の勤務先が、AIの活用によって、維持・成長できると思うか に関するグラフを引用すると上の通りです。何と、AIを活用しても縮小したり、存続も難しいとする回答も一定割合あって、「維持・成長・発展が見込める」と一括されている割合が60%にとどまっています。私の実感としてはかなり悲観派が多い気もします。その背景として、これもグラフは引用しませんが、冒頭の調査結果概要にあるように、AIに関して現在のスキル・技術で対応できると思うか聞いたところ、「できると思う」は32.7%、「できないと思う」は67.3%で、後者が圧倒的多数でした。このあたりが今後のAI化推進の阻害要因のひとつになるのかもしれません。
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2018年02月19日 (月) 23:41:00

1月貿易統計の大きな赤字は先行き日本経済の悲観材料か?

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+12.2%増の6兆856億円、輸入額も+7.9%増の7兆290億円、差引き貿易収支は▲9434億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易収支、8カ月ぶり赤字 9434億円、原油高で輸入増
財務省が19日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9434億円の赤字(前年同月は1兆919億円の赤字)だった。貿易赤字は8カ月ぶり。原油相場の高止まりが続き、輸入が増加した。
輸入額は7.9%増の7兆290億円だった。13カ月連続で増加した。原油や液化天然ガス(LNG)など資源価格上昇の影響を受けた品目が全体を押し上げたほか、医薬品の輸入も増えた。対中国の輸入額は3.3%減少したが、11カ月連続の貿易赤字だった。対米国の輸入額は9.4%増加し、貿易黒字幅は2カ月連続で縮小した。
輸出額は前年同月比12.2%増の6兆856億円と、14カ月連続でプラスだった。地域別に見ると、アジア向け輸出は3兆3503億円と16.0%増えた。このうち中国向けは30.8%増の1兆1600億円で、いずれも1月としては過去最高だった。輸出全体の増加に寄与したのは、中国向けのハイブリッド(HV)車や車両用エンジン、IC製造装置などだった。
中国は毎年、春節(旧正月)前に輸入を絞る傾向がある。1月の中国向け輸出額の伸び率が高かったのは春節の時期の違いが影響した面がある。今年の春節は2月16日だったため「対中輸出への影響は2月にずれこむ可能性がある」(財務省)という。
税関長公示レートは1ドル=112.47円。前年同月に比べ3.4%円高にふれた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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毎年、この1~2月の季節になると、いかんともしがたく貿易統計の輸出額には中華圏の春節の影響が現れます。春節は、昨年2017年は1月28日、今年2018年は2月16日でしたので、月が違うと季節調整すらままならず、前年同月比で見ても大きなバイアスがかかりかねません。ただ、輸入額は我が国経済の回復・拡大と国際商品市況における石油価格の上昇により着実に増加を示しています。もっとも、NY市場における原油価格は、貿易統計の1月ではなく2月の現時点で、1バレル60ドルを少し超えたくらいのレンジですので、かなり上昇したとはいえ、それほどムチャな水準ではありません。そして、上のグラフの季節調整済みの系列の方の下のパネルに見られる通り、傾向を見る目的で引用している季節調整済みの系列ではまだ貿易収支は黒字であり、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを下回り、大差ありませんから、原系列統計での貿易赤字をもって悲観材料とは考えられません。ただ、ひとつだけ、為替相場については、最近時点でも円高に振れていることから、例えば、最近の株式市場の乱高下などを見るにつけ、貿易にとどまらず、株価やマインド面も含めて為替の影響は大きいと、改めて感じています。

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輸出の動向については、繰り返しになるものの、春節効果による振れが大きく、それだけ我が国輸出に対する中国経済の影響度合いが大きくなったことを実感します。最近時点では、特に昨年2017年12月と直近統計の今年2018年1月には、為替相場における円高の影響から輸出価格上昇の抑制が観察されましたが、輸出数量の方で伸びを確保しているのがグラフから見て取れます。一番上のパネルです。輸出の先行きについては、中国をはじめとする新興国や先進国ともに世界経済が緩やかに回復・拡大する中で、我が国輸出も堅調に推移するものと見込んでいます。ただし、もう一度確認ですが、為替相場が安定的に推移するという前提の下ですので、米国が金融政策の正常化を進めて米国金利の動向が不透明な中で、為替だけは相場モノでもあり先が見通せません。
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2018年02月18日 (日) 16:26:00

英国『エコノミスト』誌のガラスの天井指数 = glass-ceiling index やいかに?

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毎年3月8日は International Women's Day であり、今年のテーマは PRESS for progress だそうです。第2インターナショナルを起源とする社会民主主義的な要素を持つ記念日ですが、この3月8日を前にして、英国『エコノミスト』誌が、上に引用したような Environment for working women のランキングを明らかにしています。The Economist's glass-ceiling index と名付けているようです。やっぱり、我が国はこういった分野は遅れているんでしょうね。
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2018年02月16日 (金) 21:17:00

MM総研による「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果やいかに?

ここ数年、シェアリング・エコノミーの利用が広がっています。Airbnb や Uber などのプラットフォーム企業がマッチングをして、CtoC で空き部屋のシェアリングや自動車による移動のシェアリング、あるいは、日本でいえばココナラなどのスキルのシェアリングが注目されています。もっとも、ココナラのサイトを見る限り、スキルのシェアというよりは、イラストを売っているに近い気もしないでもありません。
こういった中で、MM総研から先週2月6日付けで「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果が明らかにされています。まず、MM総研のサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

  • フリマアプリ・オークションサイトの利用率は38.0%、年代別には20代が47.6%でトップを占め、スマートフォン利用と親密性が高い
  • 購入品目1位は「衣類・服飾品」、次いで「チケット・クーポン」「コスメ・香水・美容」「タレントグッズ・アニメグッズ」「PC・タブレット」と続く
  • フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位


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まず、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトの利用有無 を引用しています。出品か購入か、いずれか一方しかしない人を含めて40%近い人がフリマアプリやオークションサイトの利用をしており、決して無視できない割合といえます。グラフは省略していますが、年代別には、特に20代では47.6%と半数近い割合で利用しており、フリマアプリやオークションサイトがいわゆる「スマホ世代」に広く浸透していることがうかがえます。同時に、50代以上でも30.8%が利用しており、いろんな年代に渡って、男女ともに利用実態が幅広いことが確認できます。

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次に、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトでの購入品目 を引用しています。この裏側では出品も同じようになっていると想像されます。「衣類・服飾品」がトップになった背景にはフリマアプリの多くが「ファッションアイテム」に注力していることも後押ししている可能性が指摘されます。2位の「チケット・クーポン」は、ライブやスポーツ観戦チケットなどがメインですが、株主優待券や抽選の応募券、割引チケットなどもあるようで、私なんぞが新橋あたりで買い物するリアルのチケット・ショップと変わりないようです。また、3位の「コスメ・香水・美容」で特徴的なのは、使い残しの出品が多いことが指摘されています。自分用にいったん買ったものながら、さまざまな理由から容器にまだ8~9割残っているものを出品するのだということで、購入者側も格安のためテスターとして試すケースもあるようです。

私はフリマアプリというよりも、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味があり、それなりに研究もしようと考えていますが、企業から大量生産品などとして市場に供給される製品やサービスに比べて、シェアリング・エコノミーのような C to C の場合は市場における情報の非対称性が問題になる可能性があると考えています。アカロフ教授がノーベル経済学賞を受賞した中古車市場のレモンとピーチです。さらに、フリマのように中古品を出品するとなれば、この非対称性がさらに大きくなる可能性もあるわけで、これもテーブルの引用は省略しますが、この調査では、フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位、との結果も示されており、メディアにメルカリがよくない意味で取り上げられるケースが散見されるのも、こういった情報の非対称性に起因している可能性があるような気がしてなりません。
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2018年02月15日 (木) 19:58:00

2017年12月統計で大きな減少を示した機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から昨年2017年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲11.9%減の7926億円と大きなマイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の機械受注、前月比11.9%減 17年は5年ぶり減少
内閣府が15日発表した2017年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比11.9%減の7926億円だった。減少は3カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値(2.9%減)を大きく下回った。製造業と非製造業がともに減少した。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」とした。
製造業の受注額は3648億円と前月比13.3%減少した。減少は2カ月連続。原子力原動機の反動減などによる「非鉄金属」が大幅な減少が響いた。非製造業は7.3%減の4457億円。3カ月ぶりに減少した。運搬機械など「卸売業・小売業」などが減少した。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.0%減だった。
併せて公表した2017年10~12月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は2兆5427億円と前期比0.1%減少した。内閣府が前月時点で示していた17年10~12月期見通しは3.5%減だった。
17年の船舶・電力を除いた民需の受注額は10兆1431億円と前年比1.1%減少した。減少は5年ぶり。非製造業は5.1%減の5兆6817億円と3年ぶりに減少した。一方で製造業は4.2%増の4兆4828億円と2年ぶりに増加した。
18年1~3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は0.6%増の見通し。製造業が5.7%減、非製造業が7.4%増とみている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの中心値は前月比で▲2.9%減であり、レンジの下限でも▲7.5%減でしたので、2ケタ減はかなり大きいと受け止めています。ただ、報道などでは明らかではありませんが、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「持ち直しの動き」と総括しつつ、12月統計のイレギュラーさを浮き彫りにした表現を加えていますから、何らかの特殊要因で大幅減がもたらされたのかもしれません。です。いずれにせよ、2017年12月統計の大幅減をどう見るかには、いくつかの解釈が可能かと受け止めています。加えて、その先行きをどう予想するか、もいくつかの見込みがあり得ます。第1に、単純にイレギュラーな特殊要因による大幅減として、基調は「持ち直しの動き」で変わりないとの解釈です。根拠のひとつは2018年1~3月期のコア機械受注の見通しが前期比で+0.6%と増加を示している点です。第2に、為替要因を重視し、特に、足元での円高傾向から先行きを悲観視する見方です。根拠のひとつは、12月統計の前期比でコア機械受注のうち、船舶・電力を除く非製造業が▲7.3%減を示したのに対し、製造業は▲13.3%減であったからであり、2018年1~3月期見通しでも、製造業は前期比マイナス、船舶・電力を除く非製造業はプラスと見込まれています。第3に、足元は楽観しつつ、2019年以降くらいに消費増税の実施と資本ストックの循環要因から設備投資が減速する、という見方です。実は、私自身はこの第3の見方にやや近く、2019年10月の消費増税と2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催後の設備投資は明らかに減速すると予想しています。2019年後半よりはもう1年オリンピック・パラリンピックで需要が支えられる可能性が高いものの、2020年後半には明らかに設備投資は減速すると考えるべきです。ただ、足元や目先については、為替要因が小さいならば、まだ一進一退ないし横ばい圏内の動きを続けるものと考えています。もちろん、為替要因はかなり大きい可能性もあります。それなりのボラティリティを持つ相場モノの予想は私には出来ません。

最後に、四半期データが利用可能になりましたし、先行き四半期である2018年1~3月期見通しも明らかにされています。いつもでしたら、四半期データである達成率のグラフをお示しするんですが、引き続き、エコノミストの経験則である景気転換ラインである90%は超えていません。2017年7~9月期99.0%の後、10~12月期には103.1%となっています。念のため。
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2018年02月14日 (水) 19:39:00

2017年10-12月期GDP統計1次QEは8四半期連続のプラス成長!

本日、内閣府から昨年2017年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.1%、年率では+0.5%を記録しました。8四半期連続のプラス成長で内需主導ながら、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率に達しない成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年10~12月GDP、年率0.5%増 内需けん引
内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増、年率換算では0.5%増だった。プラスは8四半期連続で、同じ基準で数値をさかのぼることができる1980年以降では約28年ぶりの長さ。輸入の伸びで外需は振るわなかったが、個人消費や設備投資など内需の伸びで補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.2%増で、年率では0.9%増だった。生活実感に近い名目GDPは前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
前期比で0.1%増となった実質GDPをけん引したのは内需で、0.1%分の押し上げ効果があった。個人消費は0.5%増と、2四半期ぶりにプラスだった。設備投資は0.7%増と、5四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減。民間在庫の変動は成長率を0.1%分押し下げた。
外需は0.0%分の押し下げ効果があった。輸出は2.4%増、輸入は2.9%増だった。半導体製造装置などが好調でアジア向けを中心に輸出が拡大したが、輸入も増加した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%上昇した。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%上昇した。
同時に発表した17年通年のGDPは実質で前年比1.6%増、生活実感に近い名目で1.4%増だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/10-122017/1-32017/4-62017/7-92017/10-12
国内総生産GDP+0.4+0.3+0.6+0.6+0.1
民間消費+0.1+0.3+0.9▲0.6+0.5
民間住宅+0.8+1.2+0.9▲1.5▲2.7
民間設備+1.6+0.1+1.2+1.0+0.7
民間在庫 *(▲0.1)(▲0.0)(▲0.1)(+0.4)(▲0.1)
公的需要▲0.5+0.1+1.2▲0.5▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.3)(+0.5)(▲0.0)
輸出+2.7+2.0+0.0+2.1+2.4
輸入+0.6+1.7+1.9▲1.2+2.9
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.1+0.8+0.5▲0.2
国民総所得 (GNI)+0.1+0.1+0.9+0.7▲0.3
名目GDP+0.4+0.1+0.9+0.6▲0.0
雇用者報酬 (実質)+0.1▲0.2+1.1+0.6▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲0.8▲0.3+0.2+0.0
内需デフレータ▲0.4+0.0+0.4+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2017年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が8四半期連続でプラスを示し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)や灰色の在庫がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値が前期比+0.2%成長、年率では+0.9%だったわけで、何人かのエコノミストも「物足りない」感を表明しているようですが、すでに、1次QE予想を取りまとめた先週金曜日2月9日付けの記事で指摘しておいたように、この市場の事前コンセンサスは高過ぎます。ただ、成長率の水準として素直に見ても、潜在成長率をやや下回るくらいですから、市場の事前コンセンサスと比較して、というよりは、潜在成長率と比べて、やや物足りない成長であった、ということは出来るかもしれません。また、あくまで言い訳ですが、私の実感は前期比でマイナスとなったGDIやGNIの所得面に起因しているのかもしれません。繰り返しになりますが、苦しい言い訳です。他方、ちゃんと数字を見ると、昨年2017年年央は4~6月期も7~9月期もともに前期比で+0.6%、前期比年率ではともに+2.0%を超える高成長を続けており、2017年通年でも前年比で+1.4%成長でしたから、10~12月期にこの程度の下振れはあり得る許容範囲だという気がしないでもありません。特に、天候条件などに起因する部分が小さくなさそうな印象ですので、なおさらです。10~12月期の成長を牽引した消費については、4~6月期に大きなプラスを記録した後、7~9月期にマイナスとなり、また、10~12月期にプラスに戻るなど、矢荒っぽい動きですが、天候要因もあって、ならして見る必要があるというのは私の従来からの主張です。住宅投資はやや下向き加減の動きながら、設備投資はジワジワと増勢を加速させる可能性もあります。在庫投資は成長にはマイナス寄与ながら、在庫調整が進んでいると考えるべきです。ただ、輸出の動向については為替がやや円高に振れていることもあり、先行きは注視する必要があります。そして、何といっても、金融市場の動向には不透明感が残ります。米国の長期金利の動向や、もちろん、為替動向など、相場モノだけに見通しがたいものがありますが、我が国の金融政策がさらに緩和を進めることがどこまでできるのか、私にはよく判りませんので、不透明感は不透明感として残るような気がします。

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今回の2017年10~12月期1次QEで着目したのは物価の動向です。すなわち、上のグラフは少し長めのスパンでデフレータの上昇率をプロットしています。GDPデフレータ、国内需要デフレータ、消費デフレータです。消費者物価(CPI)などと同じように、いずれのデフレータも季節調整していない原系列のデフレータの前年同期比を取っています。GDPデフレータの動きで注意すべきなのは、企業物価(PPI)や消費者物価(CPI)と違って、輸入物価が控除項目となることです。ですから、石油価格が上昇して輸入デフレータが上昇すると、他の条件にして同じであれば、GDPデフレータは下落します。そのため、2017年10~12月期にはGDPデフレータ上昇率はゼロでしたが、消費デフレータや国内需要デフレータが上昇し、同時に輸入デフレータも上昇してのキャンセルアウトの面もあります。例えば、2017年10~12月期には輸入デフレータは+8.4%の上昇を示しています。しかし、それを加味しても、消費デフレータと国内需要デフレータについては2017年年初から、GDPデフレータについても2017年年央から、上昇率がマイナスの下落からプラスに反転し、少しずつ上昇幅を拡大しているのが見て取れると思います。ホームメード・インフレにつながる動きと私は受け止めています。今春闘に本格的な賃上げが実現されれば、デフレ脱却が加速するのではないかと期待しています。
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2018年02月13日 (火) 22:27:00

企業物価(PPI)は上昇率を縮小させつつもヘッドラインの国内物価は+2.7%の上昇を記録!

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を縮小して+2.7%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業物価指数、前年比2.7%上昇 原油高で
日銀が13日に発表した1月の企業物価指数(2015年=100)は100.3で前年同月比2.7%上昇した。前年実績を上回るのは13カ月連続。上昇率は市場予想の中央値と同じだった。原油高で石油関連商品の価格が上昇した。
前月比では0.3%上昇した。ガソリンや軽油といった石油・石炭製品やエチレンなどの化学製品、銅やアルミニウムなどの非鉄金属や鉄鋼の価格が上がった。
円ベースの輸出物価は前年同月比で1.8%上昇した。前月比での輸出物価は円高で0.4%下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年同月比で上昇したのは390品目、242品目が下落した。下落品目と上昇品目の差は148で、2017年12月(確報値)の126品目から拡大した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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前年同月比で+2.7%の上昇率を示した1月の国内物価のうち、特に高い上昇率、すなわち、2桁の上昇率を示した品目は、石油・石炭製品+12.3%と非鉄金属+10.5%となっています。もちろん、石油・石炭製品は輸入物価から波及しているわけで、企業物価のうちの輸入物価では1月の上昇率で見て、石油・石炭・天然ガスが+13.6%、金属・同製品が+12.2%の上昇となっています。しかし、輸入物価のうち、原油については昨年2017年12月+34.0%の後、今年1月には+15.3%まで上昇率が鈍化してきており、国際商品市況における石油価格次第ながら、何度かこのブログで書いたように、石油価格が牽引する物価上昇がどこまで続くかは疑問なしとしません。ただ、引用した記事の最後の部分にあるように、品目数で見て上昇品目がジワジワと増加を示しており、それだけ物価上昇の裾野が広がっているともいえます。単なるエネルギー価格の波及なのか、それとも金融政策による物価の押し上げ効果なのか、現段階では判断が難しいところですが、賃上げによる消費のサポートがあれば、需給両面からさらに物価上昇につながりやすくなるのはいうまでもありません。
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2018年02月09日 (金) 21:43:00

来週公表予定の2017年10-12月期1次QE予想やいかに?

先週水曜日1月31日の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週の2月14日に昨年2017年10~12月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクはかなり多く、特にみずほ総研は詳細でしたので超長めに引用しています。もう1機関、三菱UFJリサーチ&コンサルティングも長めの引用となっていますが、その理由については後ほど取り上げます。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.3%
(+1.0%)
2018年1~3月期を展望すると、食料品やエネルギー価格の上昇による消費者マインドの悪化などが下押し要因となるものの、高水準の企業業績を背景に、工場新設や機械投資などが下支えすることで、緩やかな回復基調が持続する見込み。
大和総研+0.3%
(+1.0%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、FedやECBの出口戦略に伴う外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.2%
(+1.0%)
2018年の日本経済を展望すると、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くとともに、内需も底堅く推移し、日本経済は緩やかな回復基調を維持するとみている。項目別にみると、輸出は、新型iPhoneによる大きな押し上げ効果は期待薄となったものの、データセンターや車載向け半導体、半導体製造装置等の需要拡大が引き続き押し上げ要因となるだろう。実際、機械輸出に先行する傾向のある海外からの機械受注は、昨春以来高い伸びを維持している。設備投資は、五輪関係や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、回復基調を維持するだろう。個人消費については、堅調な雇用・所得情勢や株高が追い風となろう。ただし、このところ食料品やガソリンといった生活必需品の価格が上昇していることから、家計の節約志向の強まりには注意が必要だ。
リスク要因に目を向けると、世界的な資産価格の調整や円高の進行など金融市場が大きく変動すれば、不確実性の上昇を通じて実体経済に悪影響を及ぼすことになるだろう。中国における構造改革(不動産投機の抑制や過剰債務の調整)の進展も、その舵取り次第では景気が下振れする可能性がある。北朝鮮情勢の悪化など、地政学リスクにも引き続き留意が必要だ。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.8%)
先行きについても、海外経済の回復に伴う輸出の増加、企業収益の改善を背景とした設備投資の回復が続くことが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。当面は企業部門(輸出+設備投資)主導の経済成長が続く可能性が高い。
第一生命経済研+0.2%
(+0.8%)
先行きについても、景気は好調に推移するとみられる。米国を中心として海外経済が回復傾向を続けるとみられるなか、輸出は増加基調で推移する可能性が高いことに加え、設備投資も企業収益の増加や高水準の企業マインドを受けて増加傾向が続き、景気を押し上げる。1-3月期以降は再び成長率が高まることが予想される。
伊藤忠経済研+0.2%
(+0.8%)
10~12月期は内閣府が試算する潜在成長率1.1%を下回ることになるが、既に需給ギャップは7~9月期時点で需要が供給力をGDP比0.7%上回っており、10~12月期においてもGDP比0.6%程度の需要超過状態が見込まれる。したがって、デフレ脱却に向けて前進はしないが後退したわけでもない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.0%
(+0.0%)
ゼロ成長となる原因は、第一に、個人消費が小幅ながら2四半期連続で前期比マイナスとなることである。10月に天候不順の影響で落ち込んだ後は持ち直しているが、落ち込みを埋めるまでには至っていない。また、物価が上昇していることも、実質値の押し下げに寄与したとみられる。第二に、住宅投資、公共投資がすでにピークアウトしており、いずれも2四半期連続で前期比マイナスとなると見込まれる。さらに、スマートフォンなど情報通信機械を中心に輸入が堅調に増加すると予想される。最後に、在庫投資の寄与度が7~9月期に急拡大した反動により、マイナス寄与に転じる可能性がある。
三菱総研+0.1%
(+0.4%)
2017年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.4%)と8四半期連続のプラス成長を予測する。外需は若干のマイナス寄与となるものの、内需は消費・設備投資を中心に底堅く推移した。


ということで、下の方にある三菱系2機関を別とすれば、引き続き、+1%もしくはそれに近い成長率で、8四半期連続のプラス成長を記録するものと見込まれています。需要項目別に詳しく見ても、昨年2017年7~9月期にマイナスを記録した消費もプラスに戻り、設備投資もプラスを続ける、という形で、内需中心の成長という望ましい姿が示されているように思います。ただ、成長率そのものは2017年4~6月期や7~9月期のような年率+2%超からは大きく縮小するものの、我が国経済の潜在成長率からみれば十分な伸びを確保するとの見込みです。かなり多くのエコノミストのコンセンサスは以上のようなものではないか、と私は考えていますが、実は、私自身はそれほどプラス成長に自信を持っているわけではありません。さすがに、大きなマイナス成長とは思いませんが、かなりゼロ成長に近い、もしくは、マイナス成長の可能性も排除できない、と考えています。理由はそれぞれに薄弱なんですが、第1に消費がどこまでの伸びを示すか自信がありません。野菜などの値上がりで実質消費がマイナスになった可能性すら考えられないでもない、と婉曲な表現ながら、消費が前期からの反動も含めて増加を示すかどうかに疑問を持ちます。第2に住宅投資のマイナス幅が大きい可能性です。あまり根拠ありません。第3に在庫がマイナスになる可能性です。これも、あまり根拠ありません。もっとも、在庫がマイナスになるのは在庫調整がさらに進展するという評価も出来るのではないかと思います。いずれにせよ、繰り返しになりますが、それほど強い根拠ではないですし、著名なシンクタンクに所属するエコノミストであれば躊躇するような異端の見方かもしれませんが、ゼロないし小さなマイナス成長の可能性もあり得る点は忘れるべきではない、と私は考えています。その意味で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのヘッドラインを少し長めに引用してあります。ご参考まで。
最後に、下のグラフは、いつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。たぶん、仕上がりはこんなもんだろうという気はします。

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2018年02月08日 (木) 20:41:00

2か月連続で悪化した景気ウォッチャーと黒字の続く経常収支をどう見るか!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2017年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲4.0ポイント低下して49.9を、先行き判断DIも▲0.3ポイント低下して52.4を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+7972億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、現状判断指数が50を下回る 大雪と寒波の影響
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比4.0ポイント低下の49.9と2カ月連続で悪化した。節目の50を下回ったのは2017年7月以来、6カ月ぶり。低下幅は消費税を増税した2014年4月以来、3年9カ月ぶりの大きさだった。大雪や寒波の影響で小売りが苦戦した。
内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」から、「緩やかな回復基調が続いている」へ引き下げた。判断引き下げは17年1月以来となる。
部門別にみると家計動向が4.5ポイント低下の47.8となった。そのうち大雪の影響や気温低下で小売関連が5.4ポイント低下したのが目立った。企業動向も3.1ポイント低下、雇用も2.8ポイント低下した。
街角では家計動向について、飲食店から「大雪の影響で県外からの予約はキャンセルが殺到し、隣県からのマイカーによる来店が途絶えた」(北陸の高級レストラン)との声があった。ガソリン価格や野菜価格の上昇も重荷で「消費者のマインドは冷え切っている」(東北のスーパー)との声も出た。企業動向も「寒さが厳しく客足が鈍い。受注量が減少し、積雪の影響で運送遅延による返品も発生しており厳しい状況」(中国の食料品製造業)との指摘があった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.3ポイント低下の52.4と3カ月連続で悪化した。雇用が3.0ポイント低下の55.1、家計動向は0.2ポイント低下の51.8となった。一方、企業動向は0.6ポイント上昇の53.0だった。
17年12月の経常収支、7972億円の黒字 17年は10年ぶり高水準
財務省が8日発表した2017年12月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は7972億円の黒字だった。黒字は42カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて28.5%減少した。貿易黒字の減少が響いた。17年の経常収支は21兆8742億円の黒字と07年以来10年ぶりの高水準だった。
17年12月の貿易収支は5389億円の黒字で、黒字額は33.4%減少した。原粗油や通信機などの輸入が伸び、輸入全体で14.6%増加。自動車や半導体製造装置の好調で輸出も8.8%伸びたが、輸入の影響が上回った。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は6148億円の黒字、10.1%減少した。第1次所得収支の黒字が対前年同月で減少するのは10カ月ぶり。海外株主への配当金の支払いが増加するなど証券投資収益の赤字が拡大した。
サービス収支は2045億円の赤字と前年同月(2886億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支の黒字額が12月として過去最高となったことが貢献した。
同時に発表した2017年の国際収支状況によると、経常収支は21兆8742億円の黒字だった。黒字額は07年(24兆9490億円)以来10年ぶりの高水準だった。海外子会社から受け取る配当金の増加で第1次所得収支が黒字幅を拡大したことが寄与した。
17年のサービス収支は7061億円の赤字と比較可能な1996年以降で最小の赤字となった。旅行収支が1兆7626億円の黒字と過去最大だったことが追い風となった。


いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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今年1月統計の季節調整済みの系列で見て、景気ウォッチャーのうちの現状判断DIが大きく低下したのは、引用した記事の通り、天候要因が大きいとはいえ少し驚きました。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIともそれなりに大きな低下を示しているんですが、昨年2017年12月統計から今年1月にかけての低下幅を見ると、やはり、というか、何というか、家計動向関連DIが▲4.5ともっとも大きく低下し、企業動向関連DIは▲3.1に、雇用関連DIも▲2.8の低下に、それぞれとどまっています。まあ、企業動向関連DIも雇用関連DIも、いずれも大きな低下ではありますが、家計動向関連DIが最大となっています。加えて、先行き判断DIでは、家計動向関連DIが▲0.2と低下を示した一方で、企業動向関連DIは+0.6と、むしろ上昇していたりします。企業部門に比較して、家計部門の停滞感が大きくなっていると考えるべきです。昨夜も景気動向指数と毎月勤労統計を取り上げた際に主張した点ですが、景気拡大の実感が乏しい理由は賃上げによる所得の増加がほとんどなく、消費拡大が実現していないのが大きな原因のひとつであろうと考えられますし、景気拡大局面も後半に達した現段階で、相対的に好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転することにより、景気回復・拡大をさらに確実にし長期化することが出来るのではないかと私は考えています。なお、誠についでながら、今週に入ってからの世界同時株安については、大きな反発なくこのまま推移すれば、我が国の企業マインドや消費者マインドには確実に下押し圧力を加えるものと私は推測しています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。先月11月統計の際には、季節調整済みの系列の統計ではサービス収支のうちの知的財産権等使用料の動きにより経常黒字の縮小がもたらされたことを明らかにしましたが、今月12月統計ではどこをどう見ても貿易黒字の縮小が謙譲黒字の縮小をもたらしているようです。すなわち、経常黒字は11月の+1兆7,005億円から12月には+1兆4,796億円に、▲2200億円超縮小しているところ、貿易黒字はそれ以上に、11月の+5,074億円から12月の+2,302億円へと、▲2770億円超の縮小を見せています。輸入の増加が主な要因であり、季節調整済みの系列で見た輸入は2017年7月の5兆8,087億円を底として、8月5兆8,494億円、9月5兆8,755億円、10月6兆1,433億円、11月6兆5,873億円、12月6兆7,326億円と増加を示しています。単純に見れば、国際商品市況における石油価格などの上昇が一因ですが、我が国が長期に景気回復・拡大を続けているのも輸入増加の要因のひとつであり、決して悲観視する必要はないものと私は考えています。引用した記事にもある通り、2017年通年の経常黒字は+21.9兆円であり、前年2016年の+20.3兆円を上回っています。
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2018年02月07日 (水) 19:56:00

さらに上昇した景気動向指数と賃金上昇が物価に追いつかない実態を明らかにした毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも、昨年2017年12月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+2.8ポイント上昇して120.7を、CI一致指数+は▲0.3ポイント下降して107.9を、それぞれ記録した一方で、毎月勤労統計の名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.7%増の55万1222円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の景気一致指数、2.8ポイント上昇
内閣府が7日発表した2017年12月の景気動向指数(CI、2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.8ポイント上昇の120.7だった。数カ月先の景気を示す先行指数は0.3ポイント低下の107.9。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。
実質賃金、12月は0.5%減 17年は2年ぶり減少 毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した2017年12月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.5%減少した。減少は2カ月ぶり。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比1.3%上昇し、賃金の伸びを抑えた。17年の実質賃金は前年比0.2%減となり、1年ぶりに減少した。
12月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.7%増の55万1222円と5カ月連続で増加した。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.6%増、残業代など所定外給与は0.9%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.7%伸びた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.1%増の1117円だった。パートタイム労働者比率は0.04ポイント高い31.23%となった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
同時に発表した17年の実質賃金は前年比0.2%減と2年ぶりに減少した。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増となったものの、消費者物価指数が0.6%上昇した。
所定内給与は0.4%増、所定外給与は0.4%増、特別に支払われた給与は0.4%増だった。パートタイム労働者の時間あたり給与は2.4%増の1110円となり過去最高となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、CI一致指数に対するプラス寄与度で大きかった系列を順に上げると、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)などとなっています。何と、現時点では昨年2017年12月の一致指数についてはすべてがプラス寄与であり、マイナス寄与の系列はありません。CI先行指数では、マイナス寄与では中小企業売上げ見通しDI、マネーストック(M2)(前年同月比)、新設住宅着工床面積などが上げられ、プラス寄与では新規求人数(除学卒)、最終需要財在庫率指数、日経商品指数(42種総合)などがあります。2017年12月までで、現在の2012年11月を底とする第16循環の現在の景気拡張局面は61か月に達し、高度成長期の1965年11月から1970年7月までの57か月続いた「いざなぎ景気」を超えて、戦後最長の景気拡大期間を記録した米国のサブプライム・バブルに対応した第15循環の景気拡張期の73か月に、あとちょうど1年=12か月と迫っています。ただ、米国のサブプライム・バブルに対応した第15循環の景気拡張期に比べて、現在の景気拡張局面は2014年4月からの消費税率引き上げや2015年年末から2016年年初にかけての新興国経済の減速の影響などがあって、景気動向指数が下降を示す景気の踊り場が多かったような気がします。そのあたりは、上の示したグラフに加えて、日本経済研究センターが昨年2017年5月から提供を始めた景気後退確率のグラフなどからも読み取れます。また、長期に及んでいる割には、景気拡大の実感が乏しい理由は賃上げによる所得の増加がほとんどなく消費拡大が実現していないのが大きな原因のひとつであろうと私は考えています。まさか、高度成長期のような2ケタ成長を目指すべきとの意見はほとんどないものと受け止めており、従って、景気拡大の果実を国民に均霑するためには、企業サイドで内部留保を溜め込むのではなく、賃金上昇という形で国民に広く還元する必要があるといえます。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。賃金に着目すると、上のグラフのうちの2番目のパネルに見られる通り、現金給与総額は前年同月比+0.7%増の55万1222円と5か月連続で増加したものの、生鮮野菜などの値上がりなどによる物価上昇が+1.3%あって、実質賃金は減少を記録しています。また、引用した記事にもある通り、2017年を通じても実質賃金はマイナスでした。もちろん、デフレ脱却の初期局面では、物価上昇が賃上げを上回って実質賃金が低下することから雇用増がもたらされる、というのが教科書的な理解ながら、そろそろ、この人手不足が続く中で賃金の上昇がここまで抑え込まれているのは不可解ともいえます。ただ、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えますから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性があり、同時に、所得の安定性も向上して消費に向かいやすくなる可能性も出始めているんではないかと期待しています。
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2018年02月06日 (火) 19:39:00

ダイヤモンド・オンラインによる「AI導入でリストラが進みやすい上場企業ランキング」やいかに?

昨日2月5日付けで、ダイヤモンド・オンラインにて「AI導入でリストラが進みやすい上場企業ランキング」が明らかにされています。2045年ともいわれるシンギュラリティの年に向かって、これからAI化やロボットの利用などが一気に加速し雇用が奪われる可能性も取り沙汰されています。私個人としては、そんなころまで命長らえる自身は毛頭ありませんが、エコノミストとしては興味あるところです。

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ということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから引用したテーブルと算出方法は上の通りです。算出方法はまず第1に、AI関連キーワードについて、この1年間において、それぞれの単語に関連する記事が企業ごとにどれだけ出たのかを調査し、記事が多ければ多いほど、AIやロボット化に関する取り組みが進んでいるとし、第2に、AI化が出来ているのはトップが強い権限を持ったオーナー系企業が多いことから、在任期間が長く強い影響力を持つ社長とか、持ち株比率の高いオーナー的経営者の存在を見て、第3に、従業員数が多いところこそがAI化の余地があると想定し、第4に、EBITDA=利払い前・税引き前・減価償却前利益で計測した稼ぐ力も加味して、実際に投資までつなげられるのかを考慮した、としています。7位のオプティムと10位のインベスターズクラウドはよく知らないんですが、それら以外はトップのトヨタ自動車をはじめとして、いかにも学生諸君が就職先として希望しそうな企業だという気もします。さて、シンギュラリティの2045年までに、どこまで正解が明らかになっていますことやら、エコノミストとして、また、就活を間近に控えた大学生の父親として、とても興味深いところです。
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2018年02月05日 (月) 21:56:00

東洋経済オンラインによる「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング」やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、1月29日付けの東洋経済オンラインにおいて「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング」が明らかにされています。我が家の上の倅も3月には就活を開始してエントリー・シートを準備したりしているようですので、昨年も同時期に同じ特集を取り上げているんですが、やや強めに興味を持って見ていたりします。

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ということで、上のテーブル画像は東洋経済オンラインのサイトから海外勤務者が多い会社 (1~50位)を引用しています。昨年と同じくトヨタ自動車がトップとなっています。ただし、人数としてはトヨタにかなわないものの、やっぱり、上のテーブルを見ても明らかな通り、総合商社の海外勤務者も決して少なくなく、三菱商事、三井物産、住友商事といった財閥系の総合商社御三家については、従業員数に占める比率としては、むしろ、トヨタよりも高くなっている印象です。昨年来、私が不思議に感じているのは、銀行業界で三菱東京UFJ銀行がランキングに現れない点です。上のテーブルに見られる通り、50位までのランキングに銀行からランクインしているのは三井住友銀行だけであり、銀行業界の第2位は三菱UFJ信託銀行が150人で139位にランクインしています。しかし、私がチリの日本大使館に勤務しているころには、まだ、東京銀行が単体で存在しており、広く海外展開していた記憶があります。その後、いくつか合併があって、現在では三菱東京UFJ銀行になっているハズなんですが、ランキングには現れません。です。
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2018年02月03日 (土) 08:57:00

米国雇用統計は堅調で金融政策は追加利上げを進める方向か?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+200千人増と、市場の事前コンセンサスだった+175千人くらいの増加という予想を上回り、失業率も前月と同じ4.1%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の7パラだけ引用すると以下の通りです。

Employers added 200,000 jobs in January, topping forecasts
The labor market perked up in January as U.S. employers added a better-than-expected 200,000 jobs and wages grew at their fastest pace since the recession, fresh signs that hiring could remain solid this year despite a low unemployment rate that's creating worker shortages.br />The unemployment rate, which is calculated from a different survey, remained steady, as expected, at 4.1%, the Labor Department said Friday. The jobless rate remained at its lowest level since December 2000.
And in good news for workers, average hourly earnings in January rose 2.9% vs. a year ago, up from a 2.5% rate in December and above economists' projections of 2.6%. The nearly 3% jump in pay marks the fastest pace since the middle of 2009, just as the economy was emerging from the Great Recession, according to Nationwide's chief economist David Berson.
"The faster pace of wage gains indicates that the labor market is tightening, with employers having to pay higher wages to get the workers they want," Berson said.
In January, average hourly earnings for all employees on private non-farm payrolls rose by 9 cents to $26.74, following an 11-cent gain in December.
The number of jobs created in December was revised higher by 12,000 jobs to 160,000, further reducing fears that employment might be slowing.
Hiring appeared to slow late last year, possibly reflecting a low jobless rate that has diminished the pool of available workers. Many economists expect average monthly job growth to moderate further to about 160,000 in 2018 from about 170,000 last year as workers shortages intensify in a solidly-growing economy.


長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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失業率は前月から横ばいの4.1%でしたが、この数字はサブプライム・バブル崩壊直前の水準を下回っており、ほぼほぼ完全雇用に近いと考えるべきです。非農業部門雇用者の伸びも+200千人を回復し、米国の雇用は堅調に推移していると理解すべきです。特に、民間部門については、米国労働省の統計では昨年2017年12月の前月からの伸びが+166千人、今年2018年1月が+196千人なわけですが、民間の給与計算会社であるADPの統計によれば、12月+242千人、1月+234千人ですので、米国労働省の米国雇用統計に現れている数字以上に米国の雇用は堅調である可能性があると私は考えています。ですから、米国の金融政策はかなり利上げに傾いていると、多くのエコノミストは理解しています。すなわち、先月1月最後の連邦準備委員会(FOMC)はイエレン前議長の最後のFOMCでしたし、見事に無風で追加利上げ無しで終わりましたが、パウエル新議長の下で3月20-21日に開催予定のFOMCでは追加利上げが大いに議論されることが確実視されています。もちろん、3月FOMCの前に公表される米国雇用統計で寒波の影響などによりイレギュラーな結果が出たりすると、スケジュール通りの追加利上げは出来ない可能性もありますが、むしろ、トランプ政権の減税政策などにより景気が加熱する恐れもなしとしないことから、連邦準備制度理事会(FED)の利上げペースが速まる可能性すらあるとの市場観測も出いていたりします。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、1月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であるのかもしれません。
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2018年01月31日 (水) 19:25:00

鉱工業生産指数(IIP)と消費者態度指数から景気の現状と先行きを考える!

本日、経済産業省から昨年2017年12月の鉱工業生産指数 (IIP)が、また、内閣府から今年2018年1月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.7%の増産を示し、消費者態度指数は前月比横ばいの44.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、17年12月は2.7%上昇 10-12月期は1.8%上昇
経済産業省が31日発表した2017年12月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は106.3と、前月に比べ2.7%上昇した。上昇は3カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.6%上昇)を上回った。自動車の生産が活発だったほか、建設機械も好調だった。経産省は生産の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
併せて発表した10~12月の生産指数は前期比1.8%上昇の104.3と、7四半期連続でプラスだった。17年通年の生産指数は4.5%上昇の102.1と3年ぶりに前年実績を超えた。
12月は全15業種のうち12業種で前月を上回った。もっとも上昇に寄与したのは輸送機械工業(6.3%上昇)だった。普通乗用車やエンジン、車体部品などがけん引した。汎用・生産用・業務用機械工業は4.8%上昇した。ショベル系掘削機械や金属工作機械、コンベヤーなどが伸びた。一方、低下したのは3業種で、もっとも押し下げたのは情報通信機械工業(1.4%低下)だった。ノートパソコンや固定通信装置などが落ち込んだ。
12月の出荷指数は2.7%上昇の103.9だった。在庫指数は0.4%低下の109.4。在庫率指数は0.5%低下の110.5だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、18年1月が4.3%低下、2月は5.7%上昇となった。1月は輸送機械工業が大きく落ち込む。一方、2月は輸送機械工業が反動で持ち直すほか、汎用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業などがけん引役となる見通し。
経産省は10~12月が7四半期連続のプラスとなったことについて「後回しにされてきた生産設備の更新が活発なため」と指摘。「設備向けの機械から生産向けの機械に需要がシフトしている」と分析した。
1月の消費者態度指数、横ばい 物価上昇が重荷、判断引き下げ
内閣府が31日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比横ばいの44.7だった。「雇用環境」が上昇したため指数は横ばいとなったが、物価の上昇が消費者心理を冷やしている。内閣府は基調判断を前月までの「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。下方修正は5カ月ぶり。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より2.4ポイント高い82.4%だった。上昇は6カ月連続。台風など天候不順でキャベツを中心に生鮮野菜の生育が遅れ、小売価格を押し上げた。内閣府の経済社会総合研究所は「ガソリンを含め、身近なモノの価格の上昇が背景」と分析している。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下し、「雇用環境」は上昇した。
調査基準日は2018年1月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5937世帯(回答率70.7%)だった。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+1.6%の増産でしたし、予測レンジの上限も+2.0%でしたので、私はちょっとびっくりでした。上のグラフのうちの生産の上のパネルを見ても、最近は強含みで推移しているのは、わけなく見て取れますが、特に12月増産のジャンプは大きいように見えます。ただし、その分、というわけでもないんでしょうが、中華圏の春節が2月に控えていることもあって、1月が大幅な減産を予想していますので、そのあたりは2か月あるいは3か月くらいをならして見る必要があるものと受け止めています。ということで、このジグザグの変動の原因となっているのは自動車です。鉱工業生産の産業別では輸送機械工業を見ると、12月実績は+6.3%の後、製造工業生産予測調査では、1月▲17.7%減、2月+9.8%増となっています。この我が国リーディング・インダストリーの動向に起因して、12月生産実績の+2.7%増産の後、製造工業生産予測調査の製造工業全体で1月▲4.3%減、2月+4.3%増の変動が生じています。さらにさらにで、このバックグラウンドとしては中華圏の春節があります。今年の旧正月元日は2月16日(金)であり、極めて大雑把ながら、2月15日(木)~2月21日(水)くらいがお休みになるんではないかと想像しています。毎年、1~2月の生産や貿易の動向はこの春節効果で変動を生じますので、頭に入れておきたいと思います。従って、この例年の変動を考慮に入れても、我が国生産動向はかなり堅調であり、先行きも緩やかながら増産傾向を続けるものと私は考えています。ただし、注意すべきポイントがひとつだけあり、iPhoneの1~3月期の生産計画変更です。製造工業生産予測調査において、電子部品・デバイス工業は前月比で1月+4.8%増、2月+13.5%と見込まれていますが、この予測には1月29日に報道があった新型iPhoneXの1~3月期の生産計画変更、すなわち、当初計画の4,000万台超から2,000万台への半減が反映されていない可能性が強いと私は受け止めており、これが下振れをもたらす可能性があるんではないかと懸念しています。もっとも、iPhoneXの販売不振も韓国のサムスンの経営ほどには我が国の生産に影響を及ぼすとは考えられず、この下振れを考慮しても、緩やかな増産傾向という大きなトレンドには変更ないものと考えています。

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12月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2017年10~12月期の下向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せています。内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越えると「意図せざる在庫増」と見なされて、景気の山を越えた可能性が指摘されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、景気拡大の前半期と考えているエコノミストは少ないものと想像しています。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、1月統計を前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「収入の増え方」も▲0.1ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」も▲0.1ポイント低下し、「雇用環境」だけが+0.7ポイントの上昇を示して指数全体を下支えしています。雇用については人手不足が広まっており、家計部門の国民生活をサポートする起点となる項目ですので、雇用に関するマインドが上向いているのは安心材料といえます。しかし、引用した記事にもある通り、1月統計ではガソリンをはじめとする身近な商品の値上がりが消費者マインドの低下につながりました。指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと私は考えていますが、11月指数の44.9から12~1月は44.7と、やや停滞していることも確かで、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」から「持ち直しのテンポが緩やか」と半ノッチ下方修正しています。先行きは、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もしますが、デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。しかし、景気拡大局面が後半に差しかかっていることも事実であり、それだけに、早く本格的な賃上げが実現されて欲しいと願っています。
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2018年01月30日 (火) 20:42:00

雇用統計と商業販売統計から順調な景気拡大を確認しつつ賃上げの必要性を痛感する!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.8%を示し、有効求人倍率は前月から+0.03ポイント高い1.59倍まで上昇している一方で、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の13兆9460億円を、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の失業率、23年ぶり3%下回る 雇用改善
雇用改善の流れが一段と強まってきた。総務省が30日発表した2017年の完全失業率は2.8%と、1994年以来23年ぶりに3%を割り込んだ。3%割れは、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態を示す。有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高さだ。ただ消費回復の足取りはなお鈍く、春季労使交渉で賃上げを加速できるかがカギになる。
17年の完全失業率は、16年の3.1%から0.3ポイント改善し、93年の2.5%以来の低さ。バブル崩壊後の長期停滞で02年に5.4%まで上昇、リーマン・ショック後の09~10年も5%台だった。その後の息の長い景気回復で就業者数が増加し17年は6530万人と、前年より65万人増えた。
今まで働いていなかった女性などが職に就き、5年連続で増えた。女性の15~64歳の就業率は67.4%で比較可能な1968年以降で最高だ。
結果、企業の人材確保は難しさを増す。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は1.50倍と、前年より0.14ポイント上昇した。
求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は15.2%で、1963年に統計を取り始めてから最低だ。ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れる。17年は6月に正社員の有効求人倍率が1.01倍と04年の統計開始以来はじめて1倍を超えた。足元の17年12月は1.07倍となり、過去最高となった。
17年の正社員数は3432万人で前年比56万人増加した。一方で非正規社員は2036万人で13万人増えた。伸び幅では正社員が非正規社員を3年連続で上回った。
雇用環境がよくなる割に肝心の消費は一進一退が続いている。総務省が30日発表した17年12月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯あたり消費支出は32万2157円。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を0.1%下回った。3カ月ぶりの減少だ。
天候不順で価格が高騰したホウレンソウやレタスなど生鮮野菜が2.7%減と落ち込んだ。「価格高騰の影響で葉物野菜の購買数量が減った」(同省)。魚介類も全国的な不漁で価格が上がったため5.2%減。このほか住宅関連でリフォームへの支出が3割以上減ったことも響いた。
一方、気温の低下でエアコンなど家庭用耐久財は14.7%伸びた。外食も3.6%増えた。名目の消費支出は1.2%増と8カ月連続で増えており、同省は「消費は持ち直してきている」との判断を据え置いた。
消費回復の動きがなお鈍いのは、賃金上昇のペースの緩さによる。厚労省によると11月の実質賃金は11カ月ぶりに前年同月を上回ったが、伸び率は0.1%どまり。春季交渉では政府の要請に応じて3%の賃上げに前向きな企業も多い。1994年以来の3%賃上げを実現できるかどうかが、消費を底上げし景気回復の裾野を広げる試金石になりそうだ。
17年の小売業販売額1.9%増 3年ぶり増加
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、2017年の小売業販売額は前年比1.9%増の142兆5160億円だった。3年ぶりに前年実績を上回った。新型車の販売が増えたほか、原油高による石油製品の価格上昇も販売額を押し上げた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で19兆6028億円と前年から横ばいだった。コンビニエンスストアの販売額は11兆7451億円と2.4%伸びた。
17年12月単月の小売業販売額は13兆9460億円と前年同月比3.6%増加した。前年実績を上回ったのは2カ月連続。けん引役は原油高の影響を受けた燃料小売業で、12.1%増えた。飲食料品小売業は2.4%増加した。天候不順で野菜が値上がりし影響が出た。
経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。14年4月に判断を公表し始めて以来初めての表現で、引き上げは16年11月以来となる。
百貨店とスーパーの合計は1.2%増の2兆919億円で、既存店ベースでは1.1%増だった。コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の1兆279億円だった。


どうしても通年の統計に目が向きがちながら、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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いうまでもありませんが、失業率も有効求人倍率もかなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに+0.02ポイント上昇して1.07倍と1倍を上回って推移しています。ただし、今日の雇用統計には含まれていませんが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。逆から見ても、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。加えて、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、株高ほどではないとしても、それなりに消費者マインドに寄与しているのではないかと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額について、少し詳しく業種別に季節調整していない販売額の前年同月比増減率で見ると、燃料小売業がもっとも大きく伸びて前年同月比+12.1%増、続いて、機械器具小売業が+8.8%増、さらに、自動車小売業が+7.8%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+6.1%増、などとなっています。燃料小売業の販売額については国際商品市況における石油価格の上昇に伴って販売単価が上がっていることから、物価上昇に伴う販売額の増加による部分も少なくないと考えられますが、電機製品などの耐久消費財を含む機械器具小売業や自動車小売業が伸びているのは、雇用者にボーナスが支給される年末12月のひとつの特徴でもありますが、当然に、前年12月も同じことであり、2017年12月統計でこれらの業種が伸びているのは、もちろん、ボーナスの支給額アップもひとつの要因であると同時に、耐久財の買い替えサイクルの復活も考えられると私は受け止めています。もちろん、低温によるエアコン需要などもあるんでしょうが、エコカー減税や家電エコポイントなどによって政策的に買い替えサイクルが歪められたのが復活しつつあるような気がします。ただ、直観的に長続きはしないだろうと思わないでもありません。また、織物・衣服・身の回り品小売業の販売増は寒波の影響かもしれません。気候条件として、夏は暑くて、冬は寒い、というのは衣類などの消費には増加要因です。なお、このブログでは着目していませんが、供給サイドの消費の代理変数である商業販売統計ではなく、需要サイドの消費の代理変数となる総務省統計局の家計調査でも12月統計の実質支出を季節調整していない前年同月比で見て、全体は3か月振りのマイナスなんですが、変動の大きな住居等を除くベースでは+2.9%の伸びを示しています。

何度か繰り返していますが、現在の消費者マインドは一定程度株高に支えられており、今春闘で3%以上の賃上げが実現すれば、消費はさらに伸びを高める可能性もある一方で、賃上げが渋いと所得のサポートなしのマインドだけでは消費は必ずしもサステイナブルでない可能性もあります。
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2018年01月29日 (月) 21:42:00

ピュー・リサーチによる米国の政策プライオリティに関する世論調査結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから先週1月25日付けで、米国の公共政策に関する世論調査結果が明らかにされています。経済や雇用は引き続きもっともプライオリティ高い政策のひとつながら、その重要性が低下している、ということで、Economic Issues Decline Among Public's Policy Priorities と題された調査結果が明らかにされています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。ということで、いくつか、印象的なグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Downward trend in public views of economic issues as 'top priority' を引用しています。2008年のリーマン・ショックとその後のグレート・リセッションを経て、今では米国経済は絶好調で利上げも始まり、そういった好調な経済や雇用を背景に、これらの政策面でのプライオリティが下がっているのではないか、と私は受け止めています。私はまだ1980年代後半のバブル経済を記憶にとどめている世代であり、当時の経済政策の発動に対する必要性がとても低かったことは確かですし、1989年4月からは消費税が税率3%で導入され、それもあって財政再建が成し遂げられてしまったのも事実です。まあ、現在の米国経済がバブル経済期の我が国と同じとは決して思いませんが、経済が好調であればあるほど政策発動の必要性が低下するのは、どの国でもあり得ることだと認識しています。

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続いて、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Public's policy priorities for 2018 を引用しています。経済は引き続き71%を示しており、トップ・プライオリティの政策のひとつといえますが、テロ対策や教育政策の後塵を拝していることも事実です。また、先日、米国連邦政府のシャットダウンが短期間ながらありましたが、財政赤字の政策としてのプライオリティも、決して高くないような気がします。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisans agree on some policy priorities, differ on many others - especially climate change, environment を引用しています。トランプ政権の成立から1年を経て、米国内での分断が強まっているとの見方も示されていますが、グラフのタイトルにある通り、特に、与党の共和党と野党の民主党の間で気候変動などの環境問題に関する政策としてのプライオリティの差が大きいことが気がかりです。軍事政策は私の専門外でちょっと別途の議論が必要かもしれませんが、両党間で移民政策、人種問題、貧困対策なども政策的なプライオリティに差が見られます。現政権下で米国の分裂・分断が進むのかどうか、これらの両党間でプライオリティに差のある政策課題から注目する必要がありそうです。
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2018年01月26日 (金) 23:12:00

ともに+1%近い上昇率を続ける消費者物価指数(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.9%と先月と同じ+1%近い上昇率を示し、企業向けサービス物価(SPPI)の前年同月比上昇率も前月と同じ+0.8%を記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の全国消費者物価0.5%上昇 12月は0.9%上昇
総務省が26日発表した2017年12月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.7と、前年同月比0.9%上昇した。プラスは12カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.9%上昇)と同水準だった。ガソリンなどエネルギー価格上昇の影響が大きかった。
生鮮食品を除く総合では全体の55.6%にあたる291品目が上昇し、174品目が下落した。横ばいは58品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.2と1.0%上昇した。エネルギー価格上昇のほか、レタスなど葉物野菜の生育遅れと、ビールの値上がりなども押し上げ要因だった。一方で携帯電話料金や家電価格は下落しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.0と、0.3%の上昇にとどまった。
同時に発表した2017年の全国の生鮮食品を除く総合は100.2と前年比0.5%上昇し、2年ぶりにプラスとなった。生鮮食品を含む総合は0.5%上昇の100.4で、こちらも2年ぶりのプラスだった。
併せて発表した東京都区部の1月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と0.7%上昇し、7カ月連続で上昇した。生鮮食品を含む総合は100.8と1.3%の上昇だった。
12月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 前月比0.2%上昇
日銀が26日発表した2017年12月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.3で、前年同月比で0.8%上昇、前月比で0.2%上昇した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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コアCPIの前年同月比上昇率は昨年2017年12月の月次統計で+0.9%、2017年通年では+0.5%となりました。単純に見ると、コアCPI上昇率は昨年6月+0.4%から7月+0.5%、8~9月+0.7%、10月+0.8%、11~12月+0.9%と緩やかながら上昇幅の拡大を続けており、加えて、全国の先行指標となる東京都区部でもコアCPI上昇率が全国から4か月遅れて昨年2017年5月にプラスに転じ+0.1%を記録した後、10~11月の+0.6%、12月の+0.8%まで順調にプラス幅を拡大していましたが、今年2018年1月にはやや上昇幅を縮小して+0.7%となっています。金融政策というよりもエネルギー価格の影響を受けた物価上昇ではないかと私は考えており、全国CPIのエネルギー上昇率は高止まりしているものの、前年同月比で見て、昨年2017年10月に+8.6%でピークを付けた後、12月+8.5%、今年2018年1月+7.7%と、ジワジワと上昇幅を縮小させています。しかし、先行きの消費者物価(CPI)上昇率を考える場合、エネルギーではなく国内要因を考慮する必要もあり、要するに、いわゆる需給ギャップと賃金動向です。現時点で、これらはともに、物価を上昇させる方向にあると考えるべきであり、少なくとも、需給ギャップは文句なしですが、賃金動向はまだ本格的な上昇に至っておらず、デフレ脱却にはさらなる賃上げが必要です。現在、春闘のシーズンに入り、何と、経営者団体である経団連から3%賃上げのかけ声が響き渡っていたりします。エコノミストの間では、ボチボチ、デフレ脱却の声が出始めていますが、政府が本格的なデフレ脱却宣言を発するためには、今春闘での賃上げは必要不可欠です。果たしてどうなりますことやら?

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPIも引き続き堅調な推移を見せています。特に、昨年2017年12月には景気動向と密接な関係を持つと考えられる広告が、9月統計から3か月振りに前年同月比でプラスを記録しています。テレビ広告、新聞広告などが前年比寄与度前月差で見てもプラスになっています。また、同様に、ソフトウェア開発などの情報通信も前年比寄与度前月差でプラスを示しています。引き続き、人手不足を背景として企業向けサービス物価もプラスを続けそうです。
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