2023年09月18日 (月) 13:00:00
Osaka Jazz Channel による Afro Blue
昨日に続いて、お気に入りの Osaka Jazz Channel にアップされている Afro Blue です。誰の作曲なのかは、私は知りませんが、有名なのは1963年にコルトレーンがバードランドで演奏した Live at Birdland の演奏です。私もこのアルバムは持っています。ただ、コルトレーンの演奏の前にアビー・リンカーンが歌っていて、1959年のアルバムに収録されています。アビー・リンカーンはジャズ・ドラマーとして有名なマックス・ローチの奥さまであり、当時は米国でケネディ政権の直前ながら、大いに盛り上がっていた公民権運動にも熱心に取り組んでいました。マックス・ローチが We Insist というタイトルのアルバムを発表したのも1960年でした。広く知られている通り、1955年のローザ・パークス事件に由来するバス・ボイコット運動が始まり、1960年代前半まで続く公民権運動が始まっています。コルトレーンの演奏で有名な三拍子ジャズ、ということで、昨日に続いての選曲です。なお、この演奏のパーソネルは以下の通りです。
- Piano
- 小林 沙桜里 Saori Kobayashi
- Bass
- 畠山令 Ryo Hatakeyama
- Drums
- 久家貴志 Takashi Kuge
2023年09月17日 (日) 13:00:00
Osaka Jazz Channel による My Favorite Things
お気に入りの Osaka Jazz Channel にアップされている My Favorite Things です。ミュージカルの Sound of Music の中でジュリー・アンドリューズが歌っています。でも、ジャズファンであれば、圧倒的にコルトレーンの演奏だと考えています。今や、ジャズのスタンダードとして多くのジャズメンにより演奏されるようになっています。三拍子のワルツ曲です。2021年4月の収録で、この演奏のパーソネルは以下の通りです。
- Piano
- 小林 沙桜里 Saori Kobayashi
- Bass
- 宮野友巴 Yuu Miyano
- Drums
- 久家貴志 Takashi Kuge
この曲ではないのですが、私はこのトリオの演奏に「誰がリーダーですか?」と質問のコメントをしてみました。ドラマーの久家貴志氏が、このトリオのリーダーであり、同時に、Osaka Jazz Channel のプロデューサーだという回答でした。ですので、彼がすべてのビデオにドラマーとして出演しているそうです。何ら、ご参考まで。
2023年09月10日 (日) 14:00:00
Osaka Jazz Channel による On Green Dolfin Street
お気に入りの Osaka Jazz Channel にアップされている On Green Dolfin Street です。1958年にコルトレーンやビル・エバンスを含むマイルス・デービスのコンボで録音されてからジャズのスタンダードとして多くのジャズメンにより演奏されるようになっています。この演奏のパーソネルは以下の通りです。
- Piano
- 小林 沙桜里 Saori Kobayashi
- Bass
- 宮野友巴 Yuu Miyano
- Drums
- 久家貴志 Takashi Kuge
これも、ハッキリいって、真っ昼間に聞く曲ではないような気がします。ジャズの名曲は夜向きなのかもしれません。
2023年09月03日 (日) 15:00:00
Thomas Enhco Trio による You and the Night and the Music
先ほど言及したトマ・エンコのトリオによる You and the Night and the Music です。ライブではなく静止画で、Someday My Prince Will Come のアルバムジャケットです。そうです、このアルバムに収録されています。2009年のアルバムで、クレジットは以下の通りです。
- Piano:
- Thomas Enhco
- Bass:
- Joachim Govin
- Drums:
- Nicolas Charlier
2023年09月03日 (日) 11:00:00
Keith Jarrett Trio による You and the Night and the Music
キース・ジャレットのトリオによる You and the Night and the Music です。1986年東京におけるライブです。パーソネルは以下の通りです。
- Piano
- Keith Jarrett
- Bass
- Gary Peacock
- Drums
- Jack DeJohnette
おそらく、ジャズ界のピアノ・トリオとしては歴史上でもっとも有名かつ高レベルであったろうと私は考えています。キース・ジャレット自身が "the trio" と自分で称しているのを聞いたことがあります。この曲をこのスピードで演奏できるのも素晴らしいと思います。この曲の同等の演奏はトマ・エンコのトリオくらいしか私は不勉強にして知りません。それにしても、ゲイリー・ピーコックはもう亡くなっていますし、キース・ジャレットももう演奏はできないといわれています。ラクに35年以上前の演奏で、3人とも若々しい限りですが、まだまだトップクラスの演奏と言えます。今聞いても何ら色あせるところはありません。
2023年08月27日 (日) 22:00:00
お気に入りの Osaka Jazz Channel のピアノトリオによる Cute
先週に続いて、お気に入りの Osaka Jazz Channel の中の Cute です。Neal Hefti の作曲だと記憶しています。ピアノトリオのコラボレーションが楽しい仕上がりです。やっぱり、夜遅くになってから聞きたい音楽です。
2023年08月20日 (日) 15:00:00
最近のお気に入りの Osaka Jazz Channel
最近のお気に入りの Osaka Jazz Channel の中の Take Five です。いうまでもありませんが、Paul Desmond の作曲になり、Dave Brubeck Quartet の演奏であまりにも有名な5拍子ジャズの名曲です。たぶん、最後の英文コメントは私だったりします。
この Osaka Jazz Channel の演奏は、大阪にある Brooklyn Parlor Osaka で収録されているようです。新宿3丁目のマルイアネックスにある Brooklyn Parlor Shinjuku は知っているのですが、大阪は土地勘がありません。調べると心斎橋にあるようです。我が家は、子どもたちが小学校を出るころまで東京の南青山に住まいしていて、東京のジャズのライブの有名なお店のひとつである Blue Note Tokyo には2ブロックくらいでした。全盛期のジャンボ尾崎のドライバーなら届くかもしれない、くらいの距離感です。でも、小学生のいる時期でしたのでまったくご無沙汰でした。大阪の心斎橋のライブも、行きたくはあるのですが、'Round Midnight まで聞いていると帰宅できないおそれがあります。
2023年06月16日 (金) 16:00:00
遅ればせながら山中千尋の Ballads を聞く
本日のアルバムは山中千尋の Ballads です。私の入院中の3月に新しいアルバム Today Is Another Day がすでにリリースされています。日本でのアルバム発売ですので、初回限定盤とか、いろんなバージョンがあるのだと思いますが、私が聞いたのはジャケット通りの通常版です。ということで、その通常版の収録曲は以下の16曲です。
01 For Heaven's Sake
02 Smoke Gets in Your Eyes
03 Good Morning Heartache
04 Danny Boy
05 This Masquerade
06 Old Folks
07 On the Shore
08 I Love You, Porgy
09 Can't Take My Eys off You
10 Ruby, My Dear
11 Dove
12 Caught in the Rain
13 I Can't Get Started
14 Orleans
15 Abide with Me
16 Thank you Baby
お恥ずかしくも、2021年録音・発売のアルバムを2年近く経過した今ごろになって聞いていたりします。新アルバムがすでに出ているのは前述の通りです。本アルバムは、タイトル通りに、バラードを集めたアルバムです。4曲目の Danny Boy と10曲目の Ruby, My Dear と13曲目の I Can't Get Started には、ごていねいにも「新録音」と注がつけられています。私は、Danny Boy と Ruby, My Dear については、聞いた記憶があるのですが、I Can't Get Started は記憶にありませんでした。
このピアニスト山中千尋は、一応、小曽根真や上原ひろみなどと並んで、日本を代表するジャズピアニストの1人と私は考えているのですが、どうも音楽の方向性が定まらないように私には見えます。よくいえば、いろんな可能性を探っているのかもしれません。ただ、バラードで全曲を固めるピアニストではない、と私は考えています。もっとアップテンポで躍動的な曲が持ち味だという気もします。その意味で、このピアニストのアルバムの中で、私がもっとも愛聴するのはマイナーレーベル最後の Madrigal と、メジャーレーベル移籍後最初にリリースした Outside by the Swing です。したがって、というか、何というか、このアルバムはそれほど高い評価はいたしかねます。でも、まあ、私のようなズボラなファンであっても、このピアニストのファンであれば、発売から少々お時間が経過していても聞いておくべきアルバムかもしれません。私もウォークマンに入れておこうかと考えています。
2023年01月08日 (日) 16:00:00
富田勲の The Planets Ultimate Edition を聞く

富田勲 The Planets Ultimate Edition を聞きました。日本コロムビア創設100周年記念アルバムだったりします。
冨田勲ですからシンセサイザーの「惑星」になります。当然、作曲者はグスターヴ・ホルストであり、作品番号32です。クラッシックの名曲ですから、私は佐渡裕指揮でNHK交響楽団演奏のアルバムも持っています。でも、やっぱり、印象的なのは冨田勲のこのアルバムです。組曲ですから、フツーは以下の7楽章から成っています。
- 火星 Mars
- 金星 Venus
- 水星 Mercury
- 木星 Jupiter
- 土星 Saturn
- 天王星 Uranus
- 海王星 Neputune
ちなみに、ホルストは英国人ですので、英語表記が正しいと私は考えています。もうひとつちなみに、平原綾香が「木星 Jupiter」に日本語の歌詞をつけて歌っていた記憶があります。脱線してしまったのでアルバム紹介に戻ると、冨田勲のこのアルバムでは、「木星」と「土星」の間に「イトカワとはやぶさ」というオリジナル曲が収録されています。聞けば明らかな通り、組曲の中の曲としてはやや違和感あるのですが、まあ、2011年発売のアルバムですから、時代背景を含めて理解しておくことにします。
最後に、この組曲「惑星」には冥王星 Pluto が入っていません。実は、冥王星の発見は1930年です。ホルストがこの組曲「惑星」を作曲したのが1916年で、初演は1918年ですから、作曲時や初演時にはまだ冥王星は発見されていなかったわけです。他方、ホルスト自身は1934年に60歳で亡くなっていますので、冥王星の発見時は存命でした。ですから、知力・体力・創造力の観点は不明ながら、組曲「惑星」に冥王星を付け加えることは不可能ではなかった気がします。しかしながら、広く知られている通り、冥王星は2006年に惑星 planet から準惑星 dwarf planet に格下げされています。ひょっとしたら、ホルストには先見の明があったのかもしれません。
2021年02月14日 (日) 09:00:00
チック・コリア死す!!!
Chick Corea, Jazz Keyboardist and Innovator, Dies at 79
Chick Corea, an architect of the jazz-rock fusion boom of the 1970s who spent more than a half century as one of the foremost pianists in jazz, died on Tuesday at his home in Tampa, Fla. He was 79.
昨年2020年10月25日付けのこのブログの記事で、「キース・ジャレットのピアノのない未来」と題して、同じニューヨーク・タイムズの記事から、「左半身に麻痺が残り、もはや公衆の前で演奏できない」 "My left side is still partially paralyzed. It is unlikely he will ever perform in public again." というインタビューを引用しています。そして、今度はチック・コリアが亡くなりました。この世代では、世界的なジャズピアノの巨匠といえば、キース・ジャレットとチック・コリアのほかは、ハービー・ハンコックということになるかと思いますが、残ったのはハンコックだけなのかもしれません。ということで、私の独断と偏見に基づいて評価するチック・コリアのベスト5のアルバムは以下の通りです。

上から順に、以下の通りです。
- Now He Sings, Now He Sobs, 1968
- Return to Forever, 1972
- Crystal Silence, 1972
- Past, Present & Futures, 2001
- Duet, 2008
ベスト5ということになれば入り切らなかったのですが、ホントは、Chick Corea Solo Piano - Standards と Originals も私は高く評価しています。他方で、一般的な評価の高い My Spanish Heart については、それほほどでもなかったりします。私の好みで、ピアノ・トリオのパフォーマンスが好きなんですが、トリオはもちろん、ソロでも、あるいは、エレクトリック・バンドも、マルチな才能を示した稀有なジャズピアニストだったと思います。私は仏教徒ですが、浄土真宗ですので「冥福」という言葉は使いません。
謹んで哀悼の意を表します。
2020年10月25日 (日) 09:00:00
キース・ジャレットのピアノのない未来
2020年01月05日 (日) 16:30:00
コルトレーン「Blue World」を聞く!!!

コルトレーンの「Blue World」を聞きました。マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds)と組んだオリジナル・カルテットの名演で第1に指を屈せられる「至上の愛」から半年前の黄金のコンボによる未発表スタジオ録音です。1964年年央にカナダ国立映画制作庁の委嘱で、フランス語映画「Le chat dans le sac (英題: The Cat in the Bag)』(日本未公開ながら、直訳すれば『袋の中の猫』)のために、ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて、映画のサウンドトラックとして録音された音源らしいんです。音質は、私のように1940年代のモノラル録音を聞いてもモダンジャズ創世記の演奏に感激するような耳の人間には、何とも評価できませんが、絶頂期のコルトレーンの演奏ということで十分ではないでしょうか。「至上の愛」と同じインパルスからの発売であり、取りあえず、収録曲は以下の通りです。
- Naima (Take 1)
- Village Blues (Take 2)
- Blue World
- Village Blues (Take 1)
- Village Blues (Take 3)
- Like Sonny
- Traneing In
- Naima (Take 2)
相変わらず、ロリンズに因んだ曲名ながら、6曲目はアラビア音楽としか聞こえないんですが、ノッケのナイーマがとてもいいです。続く2曲めから5曲目までブルーズが3曲配置されていて、とてもゆったりとしたテンポで、何ともいえず緊張感ありながらも十分にくつろげる出来上がりとなっています。いかにも的なジャケットともに、ジャズファンであれば聞いておくべきアルバムではないかという気がします。
2019年12月22日 (日) 15:00:00
上原ひろみ10年ぶりのソロアルバム「Spectrum」を聞く!
師走も押し詰まったところですが、10年ぶりのソロアルバムとなる上原ひろみ Spectrum を聞きました。私が上原ひろみの新しいアルバムを聞いたのは2016年のトリオ・プロジェクト一環の Spark から3年ぶりです。この3年間に、ソロでもトリオでもなく、矢野顕子とのデュエットで「ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-」とハープ奏者エドマール・カスタネーダとのデュオ「ライブ・イン・モントリオール」がリリースされているんですが、ややパスかなあと考えてしまいました。定年退職で年収が大きく減少し、音楽リソースにつぎ込める余裕がなくなったのも事実です。といった暗い話は別にして、 Spectrum の9曲の構成は以下の通りです。なお、ボーナスCDのついていない通常版です。
- Kaleidoscope
- Whiteout
- Yellow Wurlitzer Blues
- Spectrum
- Blackbird
- Mr. C.C.
- Once in a Blue Moon
- Rhapsody in Various Shades of Blue (Medley)
- Sepia Effec
10年ぶりのソロアルバム、という宣伝文句ですから、その10年前のソロアルバムは Place to Be とういことで、そのタイトル曲は映画『オリヲン座からの招待状』のメインテーマでした。私は、浅田次郎の原作小説も読みましたし、宮沢りえ主演の映画も見ました。でも、ついつい、上原ひろみのソロを聞くと、大昔のコルトレーンのシーツ・オブ・サウンドを思い出すくらいに、びっしりと切れ目なく音が連なっているような気がして、これら2つのソロ・アルバムについては私はそれほど評価しません。師匠筋に当たる、というか、彼女を見出したチック・コリアなんぞはソロでも素晴らしいピアニストですし、ハービー・ハンコックもご同様な一方で、コリアとひろみのデュオ・アルバム「デュエット」も素晴らしい出来だったと私は感じていますが、どうも、私には上原ひろみのソロはピンと来ません。いわゆる新主流派でチック・コリアやハービー・ハンコックと同じ世代のピアニストにキース・ジャレットがいますが、あくまで私の想像ながら、コリアやハンコックにソロではかなわないと思ったのか、キース・ジャレットが独特のソロ・ピアノの領域を開拓したのはよく知られている通りです。独特のソロ・ピアノに進んだのは、まあ、比較されたくないと感じたのも一因ではないか、との私独自のゲスの勘繰りです。話がヘンな方向に逸れてしまいましたが、それでも、私のように、上原ひろみのファンであり、ジャズ・ピアノに大きな興味持つ向きには聞いておくようにオススメします。といいつつ、私は上原ひろみの次のトリオのアルバムを待ちたいとも思います。
2019年03月24日 (日) 18:55:00
世間に遅れつつも POLYPLUS 『debut』 を聞く!

とてもユニークな活動を続けてきた POLYPLUS がCDデビューしています。CDは出さない、ホームページも作らない、ライヴしかしない、そして、それぞれが多忙なバンドマンでありながら、ユニークな活動形態を貫いてきたグループですが、結成4年にして初のフル・アルバム『debut』を昨年2018年9月にリリースしています。メンバーは、CalmeraのTSUUJII(サックス)、175RのYOSHIAKI(ドラムス)、JABBERLOOP/fox capture planのMELTEN(キーボード)、同じくJABBERLOOPからYUKI(ベース)ですから、いわばジャズとロックの混合バンド、昔の言葉でいえばフュージョンということになるのかもしれません。収録されているのは以下の9曲です。
- we gotta luv
- ratz
- m'n'dass
- ppps
- wake me up (cover of Avicii)
- tokyo class
- sugar
- late at night
- limiter
私は不調法にしてこのグループのライブは聞きに行ったことはないんですが、さすがに、ライブ感を彷彿とさせる構成となっています。キーボードを演奏しているMELTENのfox capture planの印象と同じで、中毒になるような繰り返しのフレーズが多用されていて、ノッケのwe gotta luvではサックスによりリフレインされていたりします。私は圧倒的にモダン・ジャズですので、少しクラブのダンス音楽とは距離をおいているんですが、エラそうな表現を許してもらえるのであれば、それなりに、聞ける音楽です。大昔のスイング・ジャズと同じと考えていいのかもしれません。50年前のモダン・ジャズ中心ながら、こういった進化した21世紀のジャズも同樹に聞きたいと思います。
2018年12月23日 (日) 14:25:00
遠藤征志「源氏物語54帖の響 vol.1」を聞く!!
遠藤征志「源氏物語54帖の響 vol.1」を聞きました。アルバムは全12曲収録しており、構成は以下の通りです。
- 桐壺 (桐壺更衣)
- 葵 (葵の上)
- 葵 (六条御息所)
- 若紫
- 花宴 (朧月夜)
- 末摘花
- 紅葉賀 (藤壺)
- 夕顔
- 花散里
- 空蝉
- 須磨
- 明石
私がアルバムを聞くくらいですから、奏者はジャズピアニストであり、アルバムはピアノソロです。副題は「文字の源氏を音の源氏へ」となっています。幻想的というと少し違う気はしますが、余韻のある、また、ふくらみのあるメロディと思わせぶりな奏法、という気がします。古い気はしません。なお、このアルバムはvol.1なんですが、『源氏物語』の54帖をすべてピアノソロ、かどうかは知りませんが、現代の音や曲として表現するというプロジェクトのようです。はばかりながら、私は円地文子現代訳で『源氏物語』全54帖を読んでいますが、果たして、現代日本人、というか歴代日本人でもいいんですが、そもそも音になる前の文字の『源氏物語』をどれくらいの割合で読んでいるんでしょうか。疑問が起こります。とても壮大かつ華麗なプロジェクトだと思うんですが、現代に生きる日本人にはやや壮大過ぎる気もしないでもありません。
2018年10月14日 (日) 18:42:00
甲田まひるのデビュー・アルバム「Plankton」はややビミョーな評価か?

このところ、新しいアルバムを聞いていなかったんですが、先週は甲田まひるの「Plankton」を聞きました。16歳だか、17歳だかの10代女子高生のピアノを中心とするピアノトリオの演奏です。まず、アルバムの曲の構成は以下の通りです。
- Un Poco Loco (Bud Powell)
- Cleopatra's Dream (Bud Powell)
- Indiana (take 1) (James F. Hanley)
- Indiana (take 3) (James F. Hanley)
- Ruby、My Dear (Thelonious Monk)
- Plankton
- Celia (Bud Powell)
- Tempus Fugit (Bud Powell)
- Lady Bird (Tadd Dameron)
- Lament (J.J. Johnson)
- Ask Me Now (Thelonious Monk)
- My Crush
ずらりと12曲の中で4曲、⅓ はバド・パウエルの作品が並びます。バド・パウエル以外は、カッコ内に示してある通り、3曲目と4曲目がジェームズ・ハンリー、5曲目と11曲めがセロニアス・モンク、9曲目はタッド・ダメロン、10曲目がJ.J.ジョンソン、そして、無印の6曲目と最後の12曲目が甲田まひるのオリジナルとなっています。
バド・パウエルに何らかの思い入れのようなものがあるような気もしますが、私の耳にはセロニアス・モンクの曲の方がピアノの出来はいいように思われました。今年2018年5月の発売で、このピアニストのメジャーデビュー作です。発売時点で、「17歳の誕生日前夜」と宣伝文句にありましたから、高校生ということかもしれません。ですから、2001年生まれの奥田弦は同い年かもしれません。小学生くらいでデビューした奥田弦は例外としても、松永貴志もデビュー時点の年齢はそんなもんだったような気がします。デビュー作品から2-3枚目のアルバムの時点の松永貴志と比較するのは反則、というか、酷かもしれませんが、少なくとも、私は松永貴志の方が完成度高いピアノだったと記憶しています。まあ、何といいましょうか、Mappyとして世界中に14万人を超えるフォロワーを持つインスタグラムのファッショニスタとしての知名度も加味した評価で判断するんですかね。私は松永貴志のデビュー翌年の2作目のアルバム「Today」はウォークマンに入れて愛聴していますが、この甲田まひるの「Plankton」はビミョーなところです。トリオを組んだドラムスの石若駿は私が前々から評価している若手なんですが、ややブラッシングが多かった気がします。
2018年09月02日 (日) 18:42:00
キース・ジャレットの伝説的ライヴを収録したアルバム After The Fall を聞く!
チック・コリアとともに、、私がもっとも愛聴する現役ジャズピアノ奏者の1人であるキース・ジャレットのアルバム After The Fall を聞きました。3月に発売されたらしいんですが、Jazz Japan の購読をやめてから日比谷図書館で時折情報収集するだけになり、すっかり見逃していました。パーソネルはご存じの通りで、ピアノはもちろんキース・ジャレット、ベースがゲイリー・ピーコック、ドラムスはジャック・デジョネット、定冠詞をつけて "The Trio" といえば、この3人といえましょう。曲の構成は以下の通りです。
- CD 1
- The Masquerade Is Over
- Scrapple from the Apple
- Old Folks
- Autumn Leaves
- CD 2
- Bouncin' with Bud
- Doxy
- I'l See You Again
- Late Lament
- One for Majid
- Santa Claus Is Coming to Town
- Moment's Notice
- When I Fall in Love
どうしてこのアルバムが伝説的ライブと呼ばれるのかといえば、1996年に慢性疲労症候群という難病によって1998年までの2年間の休養を余儀なくされたキース・ジャレットが復帰以降、レギュラー・トリオでの第1弾の演奏を披露した1998年11月14日のニュージャージー・パフォーミング・アーツ・センターで行われたライヴの音源が収録されているからです。これまでは、復帰直後のライブとしては、1999年7月5日にパリでライブ録音された名盤 Whisper Not といわれて、私もウォークマンに入れるなど愛聴してきたんですが、それよりもずいぶんと前のライブ音源が発掘され発売されたわけです。
CD-1の Bouncin' With Bud、CD-2に When I Fall In Love を収録し、Whisper Not との類似性がありつつも、チャーリー・パーカーの Scrapple from the Apple、あるいは、ソニー。ロリンズの Doxy、また、コルトレーンの Moment's Notice をフィーチャーしたり、Autumn Leaves (枯れ葉) や Santa Claus Is Coming to Town (サンタが街にやってくる) など、馴染みのあるスタンダード曲も少なくなく、親しみの持てる構成となっています。
キース・ジャレットの演奏そのものは、どうしても、Whisper Not と比較すれば見劣りする部分があるものの、私のようなファンは必聴だと思います。万難を排して何が何でも聞いておくべきです。
2017年12月24日 (日) 18:12:00
松尾明 Ballads を聞く!
松尾明 Ballads を聞きました。まず、アルバムの構成は以下の通りです。
- Lupus Walk/Akira Matsuo
- Estate/Bruno Martino
- I'll Be Seeing You/Sammy Fain
- Moonlight Becomes You/Jimmy Van Heusen
- How Deep Is the Ocean/Irving Berlin
- Do You Know What It Means Miss New Orleans/Eddie DeLange and Louis Alter
- Sway To Fro/Kenji Shimada
- Violet for Your Furs/Matt Dennis
- Just a Mood/George Shearing
- Steaway to the Moon/Yoko Teramura
ということで、このドラムスの松尾明をリーダーとして、ピアノの寺村容子を据え、ベースに嶌田憲二というトリオのアルバムは、かなり前の Besame Mucho を聞いたことがあり、このアルバムは2枚目です。リーダーのドラムスがかなり前面に押し出されているのは当然として、基本的に、寺村容子のアルバムと大差ない気がします。実は前作の Besame Mucho 冒頭に収録されていた Angry Dogs という曲がかなり印象的でいい出来だった記憶があります。寺村容子のピアノは相変わらずキンキンとクリアに聞こえますし、ベースもブンブンとうなっている気がします。ピアノ・トリオとして十分な力量を示しているアルバムです。
なお、どうでもいいことながら、このアルバムは2枚組です。なぜか、同じ音源のリマスター版として、2枚目のCDがボーナスディスクの扱いとなっています。誠に申し訳ないながら、私はリマスターによる音質の違いを聞き分けるほどの感性を私は持っていませんので、ほかの人の評価に譲りたいと思います。
2017年12月17日 (日) 18:11:00
山中千尋 Monk Studies を聞く!
やや遅ればせながら、山中千尋 Monk Studies を聞きました。容易に想像される通り、セロニアス・モンクの曲をかなり多く取り上げています。アルバムの構成は以下の通りです。なお、最後の10曲目はアルバムのライナーノートには Will Henry Monk の曲とされているんですが、トラディショナル曲なのではないかと思います。
- Heartbreak Hill/Chihiro Yanamaka
- Pannonica/Thelonious Monk
- Nobody Knows - Misterioso/Chihiro Yanamaka - Thelonious Monk
- New Days, New Ways/Chihiro Yanamaka
- In Walked Bud/Thelonious Monk
- Rhythm-a-ning/Thelonious Monk
- Ruby, My Dear/Thelonious Monk
- Criss Cross/Thelonious Monk
- Hackensack/Thelonious Monk
- Abide with Me/Traditional
ということで、ピアノよりもシンセやオルガンやフェンダー・ローズの音色の方が耳に残って印象的だったんですが、山中千尋独自のモンク曲の解釈ではないでしょうか。私はかなりいいセン行っていると思います。少なくとも、ビートルズの曲を演奏していたころよりはずっといいように受け止めています。モンクはピアノ演奏そのものがそうですし、曲についても独特の不協和音的な響きを持っている気がします。マイルスがソロを取っている時はモンクにピアノを弾かないでくれと要求したことは有名でしょう。そういった不協和音的な響きや奇妙な音楽の要素があるのがモンクというピアニスト、あるいは作曲も含めての音楽家なのかもしれません。例えば、大西順子がビレッジ・バンガードでのライブを音源とするアルバムに「ブリリアント・コーナーズ」を収録していますが、まさに、この不協和音的な奇妙なモンクに正面から挑戦していますが、山中千尋は大いに違ったアプローチを取っています。選曲に凝った上に、ピアノではなくかなりエレクトリックな楽器を多用しています。ですから、モンクの音楽も、山中千尋のこのアルバムのモンクの解釈も、いわゆる主流派のモダンジャズではないかもしれませんが、それなりに私には受け入れられるレベルに達しているような気がします。それから、このアルバムは主としてモンクの曲を山中千尋が演奏しているんですが、別のアルバムで、モンクの演奏を山中千尋がコンパイルした、というか、本であれば編集=エディットなんだろうと思いますが、そういったアルバム Retrospection and Introspection も別途出ています。コチラはまだ聞いていませんので、そのうちに取り上げたいと思います。最後にどうでもいいことながら、アルバムのタイトルは Study in Monk ではないんですかね?
2017年11月19日 (日) 18:41:00
小曽根真 Dimensions を聞く!
我が国を代表するジャズ・ピアニストのひとりである小曽根真の最新アルバム Dimensions を聞きました。今年2017年8月のリリースで、収録曲は以下の通りです。すべて小曽根自身のオリジナルであり、最後の9曲目は for Bill Evans とされていて、同名のアルバムがバイブのゲイリー・バートンとのデュエットで出ており、私は聞いたことがあります。
- Dues
- Wishy Washy
- Mirror Circle
- Silhouette
- Flores do Lírio
- M.C.J.
- Angel's Tear
- Tag Me, Tag You
- Time Thread
20年ほど前からそうなんですが、このアルバムも「小曽根真 The Trio」としてクレジットしています。ジャズの場合はトリオといえば、ほぼほぼピアノ・トリオなんでしょうが、自分自身で The Trio と称しているのは、私の印象では、キース・ジャレットのトリオ、すなわち、ベースのゲイリー・ピーコックとドラムスのジャック・デジョネットのトリオが思い浮かびます。1980年代からですので、30年をはるかに超えたトリオとしての音楽活動ではなかろうかと思います。ということで、前置きが長くなりましたが、やはり安定した実力を聞かせてくれます。ライナー・ノートは小曽根自身が書いており、20年を超える The Trio の活動を振り返り、ライブを推奨している一方で、この10年振りのレコーディングもなかなかの出来栄えです。ジャズ・ピアニストとして、ビル・エバンスにとって重要だったのが、短期間ながらスコット・ラファロが務めたベーシストであったように、小曽根にとってはドラマーのペンの役割が大きいような気もします。いずれにせよ、70歳を超えたキース・ジャレットに対して、小曽根はまだ50代半ばですから、今後ますますの活躍を期待しています。
2017年11月05日 (日) 15:41:00
「ジャズ100年のヒット曲」Anniversary of Jazz を聞く!
「ジャズ100年のヒット曲」Anniversary of Jazz を聞きました。2枚組CDで曲の構成は以下の通りです。
- Disk 1 (Jazz Originals)
- Don't Know Why/Norah Jones
- Misty/Erroll Garner
- Maiden Voyage/Herbie Hancock
- Waltz for Debby/Bill Evans
- St. Thomas/Sonny Rollins
- Moanin'/Art Blakey and the Jazz Messengers
- Now's the Time/Charlie Parker
- Cleopatra's Dream/Bud Powell
- The Sidewinder/Lee Morgan
- Spain/Chick Corea
- The Girl from Ipanema/Stan Getz
- Disk 2 (Jazz Standard)
- April in Paris/Count Basie
- Sing, Sing, Sing/Benny Goodman
- Take the "A" Train/Clifford Brown and Max Roach
- Say It (Over and Over Again)/John Coltrane
- What a Wonderful World/Louis Armstrong
- Autumn Leaves/Cannonball Adderley
- Days of Wine and Roses/Oscar Peterson
- You'd Be So Nice to Come Home to/Helen Merrill
- My Funny Valentine/Chet Baker
- A Lover's Concerto/Sarah Vaughan
- Unforgettable/Nat "King" Cole
- The Look of Love/Diana Krall
- Mack the Knife/Ella Fitzgerald
- Satin Doll/McCoy Tyner
1917年というのは、オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドが初めて「ジャズ」という単語を明記した商業用レコードを録音したらしく、これがジャズの起源として考えられているそうです。上のように、流石に比較的新しい、というか、どうしても音源の関係だと思うんですが、モダンジャズからコンテンポラリー中心に、豪華なコンピレーション・アルバムとなっています。ただ、理由は不明ですが、Bluesette に収録されている Five Spot after Dark が抜けているのは私には理解不能です。アルバムCD1枚に縮められても収録すべき名曲です。それから、女性ボーカルが多く収録されているのは日本人の好みなんだろうと理解しています。冒頭のノラ・ジョーンズとか、ダイアナ・クラールなんて、サラ・ボーンやエラ・フィッツジェラルドと並べて聴くような名曲なんでしょうか。私には判りかねます。エラの「マック・ザ・ナイフ」は貴志祐介の『悪の教典』で、 蓮実がよく口ずさんでいた曲だとされていて、下の倅と私で図書館からCDを借りて聞いた記憶があります。このCDに収録されているベルリンでのライブだったハズです。
2016年11月27日 (日) 10:08:00
Sounds of BLUE GIANT を聞く!
『ビッグコミック』にて絶賛連載中の石塚真一によるジャズを題材としたマンガ「BLUE GIANT」にまつわる名曲を集めたオムニバスのアルバム「Sounds of BLUE GIANT」を聞きました。昨年2015年7月のリリースです。ついでながら、2013年にはコミックと同名の同じようなコンピレーション・アルバムもリリースされています。また、コミックの方は今年2016年9月か10月から主人公の宮川大の海外進出に伴って、「BLUE GIANT SUPREME」として継続しています。なお、海外進出先はドイツでミュンヘンに降り立った、らしいです。また、すでに発売されている2枚のCDを単純に組み合わせただけのCD2枚組アルバムも発売されているようです。まず、アルバムに収録されている曲の構成は以下の通りです。
- Olive Refractions/Johnny Griffin
- I'm a Fool to Want You/Dexter Gordon
- Moment's Notice/John Coltrane
- A Night in Tunisia/Sonny Rollins
- Moanin'/The Jazz Messengers
- Well, You Needn't/Thelonious Monk
- Cherokee/Clifford Brown & Max Roach
- Countdown/John Coltrane
- Time Was/John Coltrane
- Maiden Voyage/Herbie Hancock
ジャケットの画像から明らかな通り、コミック主人公の宮川大はテナー・サックス奏者ですから、当然、テナー・サックスの名曲が収録されています。4曲目まではリーダーがテナー奏者ですのでそのままなんですが、ライナー・ノートにしたがえば、5曲目のメッセンジャーズの名曲のテナーはベニー・ゴルソンですし、6曲目はモンクのオールスターバンドでテナーはコルトレーンとコールマン・ホーキンスだそうです。7曲目のクリフォード・ブラウンとマックス・ローチのクインテットの当時のテナーはハロルド・ランド、最後のハービー・ハンコックのクインテットのテナーはウェイン・ショーターです。どうでもいいことながら、最初のジョニー・グリフィンの曲はアルバム「リトル・ジャイアント」に収録されており、「ジャイアント」つながりが意識されているのかどうか、面白いところかもしれません。小柄だったグリフィンに比べて、2曲目のデクスター・ゴードンはとても大柄だったといわれています。
私はマンガの方は読んでいないので何ともいえず、どうしても、コルトレーンが多くなってしまうのは判る気もしますが、モダン・ジャズ全盛期のテナー奏者として、ハンク・モブレーやボビー・ジャスパーなんかも収録して欲しかった気がしないでもありません。もっとも、2013年の1作目のオムニバス・アルバムを聞いていないので何ともいえません。それから、このアルバムに収録された10曲のうち4曲までがモノラル録音です。大雑把に1950年代半ばにはステレオに移行しているハズですので、60年以上前の曲も多く収録されていることになります。ですから、決して音質はハイレゾではあり得ません。その点も注意が必要かもしれません。もっとも、私の好みのモダン・ジャズです。それは間違いありません。
2016年11月13日 (日) 17:49:00
菊地成孔「機動戦士ガンダム サンダーボルト」サウンドトラックを聞く!
菊地成孔による「機動戦士ガンダム サンダーボルト」サウンドトラックを聞きました。まず、全17曲の構成は以下の通りです。
- サンダーボルト・メインテーマ用
- 戦闘中(激戦状態)用
- SE 1 1950年代擬似 (フル・アコースティック)
- 戦闘開始用
- 戦闘配置用
- 出撃用
- SE 2 2050年代擬似 (フル・エレクトリック)
- 白い部屋
- あなたのお相手
- イエスのガール
- 女の子に戻るとき
- 年寄りになれば
- ただ泣くだけ
- 月のカクテル
- ただ2人だけ
- あたしのカントリー・ソング
- RONALD REAGAN OTHER SIDE / dCprG
サウンドは、やっぱり、菊地成孔です。私のようなアラ還の中年ジャズファンからすれば、かなり前衛的に聞こえます。まあ、エリック・ドルフィーでもそうなんですから仕方ありません。それにしても、ガンダムと菊地成孔というのは、結構意外な組み合わせでしたが、なかなかサマになっています。
2016年11月03日 (木) 17:49:00
山中千尋の最新アルバム「ギルティ・プレジャー」を聞く!
山中千尋の最新アルバム「ギルティ・プレジャー」を聞きました。デビュー15周年記念だそうで、ホーンのないトリオによる演奏です。まず、曲目構成は以下の通りです。
- Clue
- Guilty Pleasure
- Caught in the Rain
- Life Goes On
- The Nearness of You
- At Dawn
- Hedge Hop
- Moment of Inertia
- Guilty Pleasure Reprise
- Meeting You There
- Thank You Baby
5曲目の The Nearness of You のスタンダードを除いて、1曲目から9曲目までが山中のオリジナル曲ですが、4曲目の Life Goes On はどこかで聞いた記憶があります。サイドは脇義典のベースとジョン・デイヴィスのドラムスが固めます。最近の何枚かのアルバムで感じていた違和感が私なりに吹っ切れたようで、やっぱり、ピアノ・トリオの演奏のよさを感じてしまいました。ゆったりとしたバラード系の曲が多い印象ですが、アップテンポの曲でもさすがに聞かせます。今まで何度か、このピアニストの最高のアルバムは澤野からメジャーに移るころで、私の一番のオススメはメジャー・デビュー作の「アウトサイド・バイ・ザ・スイング」 Outside by the Swing と公言してはばからなかったんですが、ひょっとしたら、このアルバムが現時点での彼女の最高傑作かもしれない、と思い始めています。この編成がレギュラー・トリオになれば、上原ひろみのような飛躍が望めるかもしれません。
下の動画は Universal Music からアップされており、このアルバムの1曲目のシーンです。
2016年10月23日 (日) 10:02:00
纐纈歩美「アート」を聞く!
纐纈歩美のニュー・アルバム「アート」を聞きました。今年5月のリリースです。恥ずかしながら、私はよく知らなかったんですが、NYシリーズの第3弾だそうです。アルバムのタイトル「アート」は同じアルトサックスのアート・ペッパーにちなんでのタイトルらしいです。でも、アートのファースト・ネームを持つジャズメンはいっぱいいそうな気がします。少なくとも私が聞いたことのあるアルバムだけでも、「モダン・アート」のタイトルのアルバムが2枚あって、アート・ペッパーとアート・ファーマーがそれぞれ出しています。ということで、曲の構成は以下の通りの8曲です。
- Cool Bunny
- Straight Life
- Imagination
- Diane's Dilemma
- Besame Mucho
- Holiday Flight
- Patricia
- When You're Smiling
纐纈歩美がアルト・サックスでジャズを演奏し始めた高校1年生のころに「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」を聴いて、アート・ペッパーの音色に魅了されたということで、上の2曲目と3曲目は「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」から、また、1曲目と4曲目と8曲目は「モダン・アート」に収録されています。そのほかの曲も、何らかの意味でアート・ペッパーゆかりの曲だそうです。ただ、ブルースの演奏についてはさすがに差があると感じざるを得ませんし、纐纈歩美としても、前の「バラーディスト」の方がサックスの鳴りもよかったし、演奏全体の完成度が高かったような気もします。もっとも、これも本家アート・ペッパーとの比較をしてしまうのが原因かもしれません。何よりも、バックのリズム・セクションに負けているではないか、という曲がいくつかあります。ベサメ・ムーチョはスペイン語の歌詞をまったく理解していないような気もします。ちょっと残念。とても残念。
2016年10月16日 (日) 10:04:00
Kei Nishikori meets Nujabes を聞く!
Nujabes こと、瀬葉淳の曲を精神集中のために試合前に聞く、とうそぶいたテニス・プレイヤーの錦織圭がコンピレーションしたアルバム Kei Nishikori meets Nujabes を聞きました。今年2016年2月26日にリリースされています。この2月26日というのは瀬葉淳の命日だそうです。2010年に36歳で交通事故により亡くなっています。まず、アルバムの曲の構成は以下の通りです。
- Another eflection
- Spiritual State
- Luv (sic) pt2
- The Final View
- A day by atmosphere supreme
- Luv (sic) pt4
- Beat laments the world
- City Lights
- Luv (Sic)
- Horizon
- Luv (sic.) pt3
- Feather
- Searching For You
- Spiral
- Counting Stars
- reflection eternal
- After Hanabi -listen to my beats-
錦織は特に6曲目の Luv (sic) Part4 をベストに上げているそうです。もちろん、リラックスするために聞くこともあるんでしょうが、私が特に注目したのは、集中力を高めるために試合前に聞く、という点です。私が従来から主張しているように、音楽を聴くのはリラックスのためもいいんでしょうが、緊張感を高めるという作用も無視できません。この緊張感を高める音楽の例としては従来は軍歌くらいしか思いつかなかったんですが、極めて現代的でとても好ましい例が出来たと、私は勝手に喜んでいます。音楽時代はヒップホップなので、好みによります。ほとんどジャズしか聞かない私にはこの音楽のよさが理解できないかもしれません。
下の動画の最後は2月24日リリースと出ますが、最初に書いた通り、アルバムのリリースは2月26日だということだそうです。
2016年08月28日 (日) 17:39:00
In Case You Missed Us, New Century Jazz Quintet を聞く!
とても久し振りにジャズを聞いたブログです。New Century Jazz Quintet のアルバム In Case You Missed Us を聞きました。ドラムスのユリシス・オーウェンズJrとピアノの大林武司を中心に結成されたコンボです。実は、このクインテットの最新アルバムは今年7月に出たばかりの Arise なんですが、まだ聞いていません。ということで、そのひとつ前の昨年6月リリースの本アルバムを取り上げておきます。まず、曲の構成は以下の通りです。
- In Case You Missed It
- Revolution
- Swag Jazz
- Upon Closer Look
- Burden Hand
- 風のとおり道
- Uprising
- View from Above
- Naima
- Light That Grew Amongst Us
- Eleventh Hour
- Love's in Need of Love Today
日米混成のグループですから、ジブリの曲を取り上げたりもしています。もちろん、4ビートで演奏しています。でも、私が感激したのはコルトレーンの名曲ナイーマです。ピアニストのハンク・ジョーンズなども取り上げているんですが、6/4拍子のアレンジもさることながら、ここまでアップテンポで演奏されたナイーマを私は知りません。ほかにも、高速、というか、軽快な曲が多くなかなかの仕上がりと見ました。
2016年03月27日 (日) 14:28:00
週末ジャズはマル・ウォルドロン Left Alone を聞く!
週末ジャズはマル・ウォルドロンの Left Alone です。このアルバムも、モダン・ジャズの名盤ベスト10はともかく、ベスト100くらいであれば、余裕で入る1枚ではないかと私は考えています。ただ、日米で評価が異なり、ジャズの本国である米国では日本ほど評価されていないとも聞き及んでいます。それから、いいジャズを収録したアルバムは、ジャケットのデザインもすぐれているといわれているんですが、上の画像の通り、このアルバムについては、私はさほどのセンスは感じません。でも、ビリー・ホリデイの背後霊を背負ったマル・ウォルドロン、というか、ジャケットにある通り、her former pianist and his trio がビリー・ホリデイのムードでピアノを弾いているわけです。曲の構成は以下の通りですが、最後にインタビューが4分ほど入っています。
- Left Alone
- Catwalk
- You Don't Know What Love Is
- Minor Pulsation
- Airegin
マル・ウォルドロンのピアノをジュリアン・ユーエルのベースとアル・ドリアースのドラムスがサポートしています。1曲目のみジャッキー・マクリーンのアルトサックスが入っており、印象的なテーマを奏でています。3曲目と5曲目が有名なスタンダード曲である以外は、リーダーのマル・ウォルドロンの作曲となっていて、わずか5曲でインタビューを除けば40分足らずのアルバムですが、ハズレの曲はありません。むせび泣くようなマクリーンのアルトサックスの絶唱も大いに聞きごたえがあります。なお、先頭曲はビリー・ホリデイが歌ったわけで、ご本人が歌詞をつけています。歌詞は以下のサイトにあります。ご参考まで。
このアルバムも夜遅くに聞いたいところなんですが、タイガースの試合が始まってしまいましたので、取り急ぎ、書き上げてアップします。
2016年03月20日 (日) 18:39:00
週末ジャズはソニー・クラーク、Cool Struttin' を聞く!
週末ジャズはソニー・クラークの Cool Struttin' です。このアルバムも、ソニー・ロリンズの Saxophone Colossus やカーティス・フラーの BLUESette などと並んで、モダン・ジャズの名盤ベスト10に余裕で入る1枚ではないかと私は考えています。それから、いいジャズを収録したアルバムは、上の画像の通り、ジャケットのデザインもすぐれています。想像するに、軽くスリットの入ったタイト・スカートにパンプスを履いたキャリア・ウーマンらしき女性が、さっそうとマンハッタンを闊歩している雰囲気がよく出ています。
- Cool Struttin'
- Blue Minor
- Sippin' at Bells
- Deep Night
- Royal Flush
- Lover
リーダーはピアノのソニー・クラークなんですが、これもジャケットに見える通り、ホーンはトランペットのアート・ファーマーにアルトサックスのジャッキー・マクリーン、リズムセクションはベースのポール・チェンバースとドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズです。1曲目と2曲目と5曲目とがソニー・クラークのオリジナル曲のほか、3曲目はマイルス・デイビスの作曲ですし、他はスタンダードに近い曲と考えてよさそうです。ハード・バップのベスト・アルバムのひとつであり、1958年の録音でブルー・ノートからリリースされています。クラークのピアノもいいですし、マクリーンのアルトもとてもいいです。夜遅くに聞きたい1枚です。
2016年03月13日 (日) 18:35:00
週末ジャズはデクスター・ゴードン GO! を聞く!
週末ジャズはデクスター・ゴードン、GO! です。力強く男性的なテナー・サックスが朗々と鳴り響きます。サイドを固めるのはピアノにソニー・クラーク、ベースにブッチ・ウォレン、ドラムスにビリー・ヒギンスが配されています。ソニー・クラークはすべての曲でソロを取っています。まず、曲の構成は以下の通りです。1曲目だけがゴードンご本人のオリジナルで、4曲目は有名なスタンダード曲です。
- Cheese Cake
- Guess I'll Hang My Tears Out to Dry
- Second Balcony Jump
- Love for Sale
- Where Are You?
- Three O'Clock in the Morning
デクスター・ゴードンは、1923年に生まれて1990年に亡くなったテナー・サックスの巨匠ですが、デビューした1940年代のビパップ全盛期に、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルらと共演して、Dexter Rides Again などのアルバムでいくつかヒットを飛ばした後、1950年代はドラッグの影響などにより不調の時期が続きましたが、1960年代に入って欧州での演奏を始め、また復活しています。このアルバムは1962年の録音ですし、その翌年1963年に吹き込んだ Our Man in Paris はバド・パウエルとの共演ということもあって、かなりの売上げを記録したとされています。でも、どちらかといえば、私は Our Man in Paris よりも、この GO! の方が好きです。というのは、冒頭に Cheese Cake が入っているからだったりします。少し人を食ったような曲なんですが、ジャズ・ファンでなくても、何となく耳に残る曲であり、ホントはそうでなくても、以前に聞いたような謎の経験が残っていたりする不思議な曲です。下の動画はその曲です。
2016年02月28日 (日) 18:21:00
週末ジャズはコルトレーン「至上の愛」を聞く!
今まで取り上げていなかったんですが、とうとう、ジョン・コルトレーン「至上の愛」John Coltrane, A Love Supreme です。というのは、私はまだ買っていませんし、今のところ買うつもりもないんですが、この「至上の愛」の新発掘音源を収録した「至上の愛 - コンプリート・マスターズ」 A Love Supreme Coplete Masters というCD3枚のアルバムが昨年2015年11月にリリースされていますので、改めて思い出した次第です。まず、アルバムの曲構成なんですが、オリジナルの「至上の愛」の収録曲は以下のdisk 1の最初の1-4曲目までで、「コンプリート・マスターズ」ではdisk 1の5曲目以降とdisk 2と3が付け加えられています。
- disk 1
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement
- A Love Supreme, Part II - Resolution
- A Love Supreme, Part III - Pursuance
- A Love Supreme, Part IV - Psalm
- A Love Supreme, Part III - Pursuance (Original Mono Reference Master)
- A Love Supreme, Part IV - Psalm (Original Mono Reference Master)
- disk 2
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Vocal Overdub 2)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Vocal Overdub 3)
- A Love Supreme, Part II - Resolution (Take 4/Alternate)
- A Love Supreme, Part II - Resolution (Take 6/Breakdown)
- A Love Supreme, Part IV - Psalm (Undubbed Version)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 1/Alternate)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 2/Alternate)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 3/Breakdown with Studio Dialogue)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 4/Alternate)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 5/False Start)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Take 6/Alternate)
- disk 3
- Introduction (Live in Juan-les-Pins, France/1965)
- A Love Supreme, Part I - Acknowledgement (Live in Juan-les-Pins, France/1965)
- A Love Supreme, Part II - Resolution (Live in Juan-les-Pins, France/1965)
- A Love Supreme, Part III - Pursuance (Live in Juan-les-Pins, France/1965)
- A Love Supreme, Part IV - Psalm (Live in Juan-les-Pins, France/1965)
2003年に Rolling Stone 誌で、雑誌媒体としては大きなバイアスあるものの、かなり大量の対象に対して 500 Greatest Albums of All Time なる投票結果が明らかにされたことがあります。クラシックなどがほとんど入っておらず、ロックないしポップス曲に偏重した結果だったんですが、ジャズにカテゴライズされるアルバムとしては、12位の Miles Davis, Kind of Blue に続いて、47位に John Coltrane, A Love Supreme が入っています。500の中のジャズのアルバムは数えたことがないんですが、おそらく10あるかないかだろうと思います。また、ジャズの名盤として名高い Sonny Rollins, Saxophone Colossus とか、Curtis Fuller, BLUES-ette とかが入っていないので、ホントのジャズ・ファンにはそれほどの信頼性はないとは思いますが、「至上の愛」がジャズのみならず、音楽全般を通して名盤であることは明らかです。考古学的な趣味以外に、「コンプリート・マスターズ」にどういった意味があるか、私には疑問なんですが、おそらく、私は引き続きコンプリートでなくても「至上の愛」を聞き続けることと思います。
2016年02月21日 (日) 18:32:00
週末ジャズは上原ひろみ Spark を聞く!
今週の週末ジャズは上原ひろみ Spark です。トリオ・プロジェクトの4枚目のアルバムです。4枚目にして、リリースからもっとも早く私が手に入れた記念すべきアルバムかもしれません。上のジャケットはまさにスパークしている、という雰囲気なんでしょうか。リズム・セクションのサポートは、アンソニー・ジャクソンのベースとサイモン・フィリップスのドラムスです。まず、アルバム収録曲の構成は次の通り、すべて上原ひろみのオリジナルです。
- Spark
- In a Trance
- Take Me Away
- Wonderland
- Indulgence
- Dilemma
- What Will Be, Will Be
- Wake Up and Dream
- All's Well
随所で広告文句ながら、トリオの火花散る演奏とか、トリオ・プロジェクトの最高傑作、なんてのを見かけましたが、私の印象だけで判断すると、アルバムとしては直前の ALIVE の方が出来がいいような気もします。別のいい方をすれば、ALIVE から発展させたルートに乗っている、というよりも、Voice とか Move のラインに戻った気がします。もちろん、だからどうだというわけではありません。何枚かトリオのアルバムを聞いて来て、決して、型にはまった気もしませんし、堅苦しいというわけではないんですが、もっとピアノは自由な音楽表現をできる楽器だと私は考えており、少なくとも上原ひろみはさらに進化するような気がします。でも、相変わらず、心地よい緊張感をもたらしてくれる貴重なジャズ・ミュージシャンです。Indulgence という曲がとても不思議な響きを持っています。アルバムの中で一番好き、とかではないんですが、なぜか耳に残って気にかかる曲です。それから、オマケのDVDはなかなかヒマがなくてまだ見ていません。
2016年02月14日 (日) 18:39:00
週末ジャズは片倉真由子 The Echoes of Three を聞く!
今週の音楽鑑賞のブログで取り上げるアルバムは、片倉真由子 The Echoes of Three です。片倉真由子のサード・アルバムであり、彼女のピアノを中心とするトリオの演奏で、ベースは中村恭士、ドラムはカーマン・イントーレのサポートですが、ジュリアード音楽院時代の同窓生だそうです。まず、アルバムの曲の構成は以下の通りです。4曲目が「同窓生のトリオ」というカンジを出しているのかもしれません。
- Echo
- Into Somewhere
- A Dancer's Melancholy
- At the Studio (Reunion)
- Directions
- Serene
- Pinocchio
- You Know I Care
- A Barfly's Hope
アルバムに収録された上の9曲は基本的に片倉真由子のオリジナルが多くを占め6曲に上るんですが、6曲目の Serene はエリック・ドルフィーですし、7曲目のウェイン・ショーターによる Pinocchio と8曲目のデューク・ピアソンによる You Know I Care はかなり有名な曲ですから、私は別のアルバムでも聞いたことがあります。曲の構成はとてもよくて、演奏はかなり息の合ったところを見せています。特に、このピアニストは時として女性とは思えないほど攻撃的な弾き方をするんですが、このアルバムではそのいい面が出ているように思います。私はセカンド・アルバムの Faith をウォークマンに入れて聞いており、このアルバムもウォークマンに入れるつもりをしています。どうでもいいことながら、日本人の女性ピアニストとしては、実力的に文句なしの上原ひろみを別にすれば、私自身は最近の山中千尋や木住野佳子などよりも片倉真由子の方を評価していたりします。というのは、昨年2015年10月18日付けの音楽鑑賞のブログで取り上げた木住野佳子の Anthology はウォークマンに入れていませんし、実は、一昨年2014年11月16日付けで取り上げた山中千尋の Somethin' Blue を削除して、このアルバムを入れようとしているからです。どうでもいいことながら、寺村容子との比較はビミョーです。秋吉敏子は上原ひろみとは別の意味で別格です。
なお、上原ひろみの新しいアルバム Spark がリリースされます。ひょっとしたら、もう出ているのかもしれません。早く聞いて、このブログでも取り上げたいと思います。
2016年01月31日 (日) 18:42:00
週末ジャズは宮川純の The Way を聞く!
今週の週末ジャズは、ピアニストの宮川純の The Way を聞きました。基本は、荻原亮のギターを含めたカルテットの構成なんですが、1-2曲目にトランペッター黒田卓也が参加しています。サイドは坂崎拓也のベースと石若駿のドラムスがサポートしています。2009年に21歳でデビュー・アルバム Some Day My Prince Will Come をリリースしてから、3枚目のアルバムになります。まず、曲目構成は以下の通りです。
- Introduction
- The Way
- JB's Poem
- Pulse
- The Water Is Wide
- Automata
- Glossy
- The Gold Bug
- Just a Moment
最初に、宮川純をピアニストと書きましたが、このアルバムではキーボードも弾いています。このアルバムは基本的に宮川のレギュラー・コンボと考えてよさそうで、ブルーノート契約アーティストである黒田卓也をゲストに迎える形を取っています。ライナー・ノートでは、おそらく宮川自身が各曲の紹介を書いていて、ほとんどがオリジナル曲のようです。ただ、5曲目は有名なスコットランド民謡であり、少し前のNHK連続テレビ小説『マッサン』でもフィーチャーされたところです。演奏については若手のピアニストの平均的なパフォーマンスと受け止めています。リリース元の T5Jazz Records のサイトには、「宮川純のもつ抜群のセンス、テクニック、作編曲能力」などの美辞麗句が並んでいますが、まあ、宣伝文句といえます。私はまだウォークマンに入れていません。ただ、ドラムスの石若駿のサポートはかなりしっかりしている印象があります。今後に期待します。
下の動画は、アルバムのリリース元がYouTubeにアップしたアルバムのタイトル曲です。
2016年01月24日 (日) 18:56:00
週末ジャズは栗林すみれ TOYS を聞く!
週末ジャズは、栗林すみれの TOYS を聞きました。一昨年2014年7月にリリースされたデビュー・アルバムだそうです。しかも、栗林すみれは、新レーベルSOMETHIN' COOLの新録アーティスト第1号だそうです。とても未知の領域のような気もしますが、大西順子や松永貴志などを見出して来た行方均氏がプロデュースに参加しているのですから、それなりの意気込みは感じられますし、栗林すみれの個人レーベルではないんだろうと思います。栗林のピアノを加藤真一のベースと清水勇博のドラムスがサポートしています。まず、収録曲は以下の通りです。
- Forest and an Elf
- I Still Haven't Found What I'm Looking For
- Grand Line
- Letter to Evan
- That Blue Bird
- Flying Toys
- W.M.P.
- Somethin' Warm
- Minor Meeting
2曲目がU2をカバーしていて、4曲目はビル・エバンス、最後の9曲目がソニー・クラークで、残りは基本的に栗林すみれのオリジナルと考えてよさそうです。というのは、私は彼女のアルバムで、山本玲子との共演になる「すみれいこ」を聞いたことがあるんですが、5曲目はその山本玲子の作曲です。最後の9曲目はソニー・クラークもトリオでアルバムに収録していて、とても名曲だと思うんですが、比較するのは野暮というものです。昨年2015年10月11日付けのエントリーで、バイオリンの寺田尚子のアルバムを2枚取り上げたこともあり、ついついジャズですから、ブラックでホットなピアノと、ホワイトでクールなピアノを対比させたくなるんですが、もちろん、そのどちらでもありません。とてもキチンとピアノを弾いていて、注目すべきピアニストではありますが、現時点では、昨年2015年12月13日付けで取り上げた寺村容子ほどの力量はないような気もします。先が楽しみという言い方も出来るかもしれません。
2016年01月11日 (月) 18:49:00
週末の音楽は Anoice, into the shadows を聞く!
週末の音楽は Anoice の最新アルバム into the shadows です。このグループの4枚目のアルバムなんですが、実は、世間的には前作第3のアルバムである The Black Rain の評価の方が高かったかもしれません。ピアノを中心とするインスト演奏のグループであり、とても不思議でゆったりと流れる音楽です。本来スペイン語ですが、英語でも通じる ambiente というのが正確かもしれません。環境音楽、とでもいうのでしょうか。私は音楽にいわゆる「癒やし」を求めるのではなく、気持ちを高ぶらせるというか、緊張感を求める方で、判りやすくいえば、野球応援の際のコンバット・マーチのようなもので、ある意味では、別の音楽ジャンルでいえば軍歌に求めるのと同じ効用かも知れないと考えないでもないんですが、このアルバムのような音楽も時には聞いたりします。アルバムの曲構成は以下の通りです。
- old lighthouse
- memories of you
- tempest
- autumn waltz
- a burnt-out nation
- forever sadness
- lost in daydreaming
- all is white
- invasion
- what is left
何と YouTube に以下の通り、アルバム収録の全曲がアップされています。50分余りあります。ご参考まで。
2016年01月03日 (日) 14:09:00
週末ジャズは fox capture plan, BUTTERFLY を聞く!
もう明日からご用始めなものですから、正月3日とはいえほとんど通常の日曜日と同じで、今日は音楽鑑賞のブログです。ということで、fox capture plan の第4作目の最新アルバム BUTTERFLY を取り上げます。収録曲は以下の通りです。
- the beginning of ....
- the last story of the myth
- Butterfly Effect
- 混沌と創造の幾何学
- ...with wind
- inchoate
- Plug in Baby
- Kaleidoscope
- In the darkness
- Christmas comes to our place
- Supersonic
前の COVERMIND にその前触れを感じたファンもいたかもしれませんが、本作から大きく方向性が変わったというか、実験的な取り組みが始まったのかもしれません。あるいは、進化しているといべきか、要するに、今までのオリジナル曲中心のフル・アルバムでは、かなりシンプルなループの曲が少なくなく、思わず無意識に口から出るような中毒性を持つオリジナル曲中心のアルバムだったんですが、直前の COVERMIND は、もちろん、オリジナル曲はありませんから、その意味でループ曲は収録されておらず、この最新アルバム BUTTERFLY では、何と、最初の4曲にストリングズが入っています。5曲めからは従来のループ曲が見受けられるんですが、ストリングズにはびっくりぽんです。どうでもいいことながら、ストリングズは下の動画を見る限り、女性中心みたいで、思わず、高嶋ちさ子の12人のバイオリニストを思い出してしまいました。ピアノもフツーにグランド・ピアノだったりします。でも途中から、というか、アルバムの後半は従来と同じループもあるオリジナル曲という気もします。従来のアルバムとの連続性を考慮した激変緩和措置なのか、バイオリニストを雇うご予算の制約なのか、私には判りかねます。ある意味で、それなりの覚悟を持って聞くことが必要かもしれません。従来のこのグループの曲調からすれば、11曲めのSupersonicが聞かせどころなんでしょうが、ストリングスの入った新しいイメージとしては3曲めのButterfly Effectが注目のような気がします。
下の動画は3曲めのButterfly Effectです。
2015年12月27日 (日) 17:56:00
JJ ジョンソン「ダイアル JJ5」を聞く!
トロンボーンの名手である JJ ジョンソンの代表作である「ダイアル JJ5」を聞きました。パーソネルはトロボーンの JJ ジョンソンをリーダーに、ボビー・ジャスパーのテナーサックス、リズムセクションはピアノのトミー・フラナガン、ベースのウイルバー・リトルとドラムスはエルヴィン・ジョーンズとなっています。1957年の録音です。なお、JJ ジョンソンは2001年に77歳で亡くなっています。まず、曲の構成は以下の通りです。
- Tea Pot
- Barbados
- In a Little Provincial Town
- Cette Chose
- Blue Haze
- Love Is Here to Stay
- So Sorry Please
- It Could Happen to You
- Bird Song
- Old Devil Moon
私ごときがいうまでもありませんが、トロンボーンという楽器はスイング・ジャズの時代にはハーモニー楽器としてビッグバンドのアンサンブルを支える役割だったんですが、ビバップからハード・バップの時代を代表するプレイヤーが JJ ジョンソンであり、「ブルー・スエット」のカーティス・フラーだったりするわけです。ただ、トロンボーンの楽器としての特徴というか、欠点として、トランペットのようにバルブで切り替えるのではなく、スライドを伸ばしたり縮めたりすることにより音階を切り替えますので、素早いフレーズ展開がやや苦手な楽器ともいえます。ですから、トランペットたサックスのプレイヤーがいっぱいいるのに対して、トロンボーンはとても少なかったりします。楽器としてジャズにおいてはいくばくかのハンディがあるともいえます。そういった中で、このアルバムは単に JJ ジョンソンだけではなく、トロンボーンの代表作ともいえます。ただ、モダン・ジャズのベスト・アルバム、というか、トップテンに入るかどうかはビミューなところかもしれません。ただ、私自身は入ってもおかしくないと考えていますし、少なくとも、トップテンでないと仮定しても、トップ50には楽勝で入るといえます。さらに、JJ ジョンソンのアルバムでは、私はワンホーン・カルテットの「ブルー・トロンボーン」も大好きです。
2015年12月20日 (日) 18:26:00
週末ジャズはキャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」を聞く!
今週末のジャズはキャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」です。1958年にブルーノートからリリースされたアルバムです。ボーナス・トラックを除いたオリジナルのLPに収録されていた曲の構成は以下の通りです。
- Autumn Leaves
- Love for Sale
- Somethin' Else
- One for Daddy-O
- Dancing in the Dark
キャノンボール・アダレイのリーダー・アルバムとされていますが、実態はCBSと契約していたマイルス・デイビスがリーダーだったともいわれています。ですから、アルバムと同名の3曲目の作曲はマイルス自身だったりします。1曲目と2曲目と最後の6曲目はスタンダード、4曲目はキャノンボールの弟のナット・アダレイの曲です。なお、演奏メンバーはアルト・サックスのキャノンボール・アダレイ、トランペットのマイルス・デイビスのほか、リズム・セクションは、ピアノがハンク・ジョーンズ、ベースがサム・ジョーンズ、ドラムスがアート・ブレイキーの豪華陣です。また、キャノンボールとマイスルがコラボしたアルバムには、かの1959年の「カインド・オブ・ブルー」があります。モード・ジャズの劈頭を飾った名盤であり、コルトレーンも参加しています。おそらく、今年2015年7月12日付けのカーティス・フラー「ブルースエット」、8月2日付けのソニー・ロリンズ「サキソフォン・コロッサス」と、この「サムシン・エルス」の3枚は、ジャズの名盤トップテンに何を差し置いても入るんだろうと私は考えています。シンプルなジャケットも秀逸です。
2015年12月13日 (日) 17:54:00
週末ジャズは寺村容子「Blue」を聞く!
今年7月にリリースされた寺村容子の最新アルバム「Blue」を聞きました。このピアニストをリーダーとするトリオのアルバムとしては、「TERAMURA YOKO MOODS」と「The Song」に続いて第3作目です。もっとも、ドラムスの松尾明をリーダーとするピアノ・トリオのアルバムにも寺村容子は参加していて、「Blue」に先立つこれら3枚を私はすべて聞いているんですが、今までウォークマンに入れていたのは、実は、松尾明トリオの「Besame Mucho」だけでした。でも、この最新アルバムを聞いて、新たにこの「Blue」もウォークマンに入れました。まず、曲目構成は以下の通りです。
- The Isle Of Celia
- Blueberry Hill
- Coda
- Kiss of Spain
- Energy
- I Burn for You
- Pas des Trois
- Hide Away
- Vivid Color
- Soldier's Hymn
- Johnny Boy
- Maelstrom
- Kiss of Spain (alt. take)
とても個性的なピアニストです。まさか、シングルカットされることもないと思いますが、1曲だけを取り出して聞くんではなく、アルバムを通して何曲か聞くと、寺村容子のピアノだと判るんではないでしょうか。とてもメリハリが効いていて、音階と強弱とテンポと、さまざまな表現方法を持ってピアノを弾きこなしていていることがよく分かります。13曲収録されていて、最後の13曲目は別テイクがボーナス的に入っていますのでネットで12曲として、寺村容子のオリジナルが3曲目、5曲目、9曲目と3ナンバー入っていて、ほかに、ジャズのスタンダードをはじめ、スティングの曲なども取りそろえています。4曲目と13曲目は同じ曲ですがテンポが違います。13曲目の方が通常のジャズらしいテンポだという気がします。
なお、アルバム最初の曲の入りはラテン調で、ライナー・ノートにはこのピアニストにしては従来あまりないように書いていますが、私がウォークマンに入れている松尾明トリオの「Besame Mucho」なんかは、タイトルからしてモロにラテン・ナンバーを含むアルバムですし、ライナー・ノートを書いている、かの寺島さんにしては少し寺村容子を聞き足りないのか、という印象を持ってしまいました。
2015年11月29日 (日) 18:46:00
fox capture plan「COVERMIND」を聞く!
7月に発売された fox capture plan 「COVERMIND」を聞きました。でも、最新アルバムである4枚目の「BUTTERFLY」はすでに11月4日に発売開始されていたりします。なお、このグループのアルバムの数え方ですが、デビューの「trinity」がファーストの1枚目、2枚目が「BRIDGE」で、3枚目が「WALL」、ここまではいいんですが、その次の「UNDERGROUND」は今年2015年8月16日にこのブログでも取り上げましたが、DVD付きながらミニ・アルバム扱いで数に入れず、今日取り上げている「COVERMIND」もこれまたカバー・アルバムであって数に入れず、4枚目は11月4日発売の「BUTTERFLY」、と数えるようです。参考まで。
「COVERMIND」の収録曲は以下の通りです。カッコ内はオリジナルのミュージシャンです。ジャズのオリジナル曲ではありませんので、私はほとんど知りません。このグループのリーダーでピアニストの岸本亮によるライナー・ノートを参考に聞いています。
- Born Slippy (Underworld)
- Right Here, Right Now (Fatboy Slim)
- Basket Case (Green Day)
- Tonight, Tonight (The Smashing Pumpkins)
- Carnival (The Cardigans)
- Buddy Holly (weezer)
- Wonderwall (oasis)
- Paranoid Android (radiohead)
- Stinkfist (Tool)
- Freak on a Leash (korn)
- Teardrop (Massive Attack)
- Californication (Red Hot Chili Peppers)
- Hyperballad (björk)
- Don't Look Back in Anger (oasis)
今までのアルバムにも収録されている曲もあります。すべて1990年代の曲だそうです。カバーの意図としては、ライナー・ノートに何点か上げてあるんですが、曲の力でバンドのポテンシャルを上げるとか、スタンダード曲を演奏するジャズをヒントにジャズバンド的な側面を提示するとか、ご本人たちが考える可能性についてもいろいろとあるんでしょうが、私自身としては、ホーンを含まないピアノ・トリオによる表現力の可能性が追求されていると感じています。私は従来からボーカルはほとんど評価しないんですが、なぜかというと、言葉でストレートに表現するのであれば文学という方法がもっともふさわしいと考えているからです。文字を使った文学でなく、何かと縛りの多い音楽、特にジャズで表現することの可能性を求めるのであれば、もっともシンプルなのはピアノ・ソロかもしれませんが、ビッグバンドのような形式ではなく、少人数のピアノ・トリオか、せいぜいツー・ホーンくらいまでのコンボでの演奏がどこまで表現できるかを考えるのもひとつの手だと思います。やや脱線しますが、もっともシンプルと私のいうピアノ・ソロについてはキース・ジャレットがかなりいいセンまで来ている、という点については衆目の一致するところではないでしょうか。それにしても、すでに発売されているこのグループの最新アルバムも早めに聞きたいと思います。
下の動画はアルバムに収録されている1曲めです。
2015年11月01日 (日) 17:33:00
週末ジャズは山中千尋「シンコペーション・ハザード」を聞く!
週末ジャズは山中千尋「シンコペーション・ハザード」を聞きました。ピアノ・トリオによる演奏で、3月の収録で7月のアルバム・リリースです。スコット・ジョプリンなどのラグタイムの曲を数多く収録しています。ということで、収録曲は以下の通りです。スコット・ジョプリンの曲は2、3、4、6、7、9と過半に及んでいます。
- Syncopation Hazard
- The Entertainer/Ritual
- Maple Leaf Rag
- The Easy Winners
- Dove
- Reflection Rag
- Sunflower Slow Drag/Ladies in Mercedes
- New Rag
- Heliotrope Bouquet
- Uniformity Rag
- Graceful Ghost Rag
山中千尋のトリオ編成によるメジャー・デビュー10周年の記念作品だそうです。19世紀初頭にアメリカで流行したスコット・ジョップリンなどの有名曲を中心に、ラグタイム特有のシンコペーションを追求しています。いろいろと寄り道をしてきたピアニストですが、最近の数枚のアルバムの中ではまずまずの出来だという気がします。トラディショナルな楽譜どおりのラグタイムもあり、最先端のセンスでアレンジされたナンバーもありと、それなりに工夫も凝らされています。
このピアニストは何をやらせても80点のオールラウンダーであり、その昔のオスカー・ピーターソンばりのテクニックもそれなりにあると私は考えています。ですから、ホーンを入れたり、レーベルに特化した曲を取り上げたり、ビートルズの曲をカバーしたりと、いろいろとやって来ましたが、メジャーのヴァーヴに移籍した2005年の最初のアルバム「アウト・サイド・バイ・ザ・スウィング」か、その直前、すなわち、マイナー・レーベルから出した最後の2004年の「マドリガル」あたりが、このピアニストのアルバムの中では私は一番好きです。逆に厳しくいえば、ジャズを弾かせれば、この10年で進歩がないのかもしれません。
2015年10月18日 (日) 17:28:00
週末ジャズは木住野佳子「アンソロジー」を聞く!
週末ジャズはピアニストの木住野佳子の「アンソロジー」です。デビュー20年を記念して、ファン投票によって選ばれた代表曲を再録音したアルバムだそうです。誠に残念ながら、私はそれほどこのピアニストのファンではありませんので、ファン投票には参加しませんでした。というのは冗談としても、そのファン投票による収録曲は以下の11曲となっています。
- Manhattan Daylight
- Fairy Tale
- Vera Cruz
- Waltz for Debby
- Desert Island
- Danny Boy
- Beautiful Love
- Tenderness
- Night and Day
- Jenga
- Prayer
まあ、ゆったりとイージーリスニングのように、BGMとして聞く分にはいいんではないでしょうか。ストリングスが随所にピアノ・トリオにかぶって入っています。私の好きな緊張感あふれるジャズではないかもしれません。なお、下の動画は YouTube にアップされており、南青山のブルー・ノートで12月に行う東京公演の予告編だそうです。
2015年10月12日 (月) 13:58:00
週末ジャズはもう1枚キース・ジャレットのソロ・ピアノを聞く!
昨日に続いてジャズのアルバムで、キース・ジャレットの「クリエイション」です。記憶が不正確ですが、今春、2015年4月か5月ころにリリースされており、いわゆるソロ・コンサートのタイプの演奏です。曲目はパートIからIXまであり、9曲構成ですが、それぞれに重複はあるものの録音場所と、当然、日時が異なります。一応、以下の通りご紹介しておきます。
- パート I (2014年6月25日トロント、ロイ・トムソン・ホール)
- パート II (2014年5月9日東京、紀尾井ホール)
- パート III (2014年7月4日パリ、サル・プレイエル)
- パート IV (2014年7月11日ローマ、オーディトリアム・パルコ・デッラ・ムジカ)
- パート V (2014年5月9日東京、紀尾井ホール)
- パート VI (2014年5月6日東京、Bunkamuraオーチャードホール)
- パート VII (2014年7月11日ローマ、オーディトリアム・パルコ・デッラ・ムジカ)
- パート VIII (2014年7月11日ローマ、オーディトリアム・パルコ・デッラ・ムジカ)
- パート IX (2014年4月30日東京、Bunkamuraオーチャードホール)
何と、キース・ジャレットは今年70歳だそうで、このアルバムはその記念なんだそうです。さすがに年齢的な衰えもあるのかもしれませんが、いわゆるソロ・コンサートはここ数年では、2010年が3回、2011年が7回、2012年が8回、2013年が2回と決して多くはなかったところ、昨年2014年は本アルバムも視野に入れて10回となっています。キース・ジャレットのソロ・コンサートもののアルバムの場合、1枚か2枚かにもよりますが、かなり長い曲が入っていたり、いろいろな曲が収録されている場合が多いんですが、本アルバムは曲調やテンポが余り変わらないのが大きな特徴ではないかと思います。ゆったりとしたテンポでメロディアスに弾き通しています。トリオのアルバムですが、「ザ・メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー」と同じ曲調を想像すれば分かりやすそうな気がします。なお、どうでもいいことながら、コンサートのライブ音源ながら、まったく観客の拍手が入っていません。
下の動画、というか、ほとんど静止画なんですが、Universal Music が YouTubeにアップしています。
2015年10月11日 (日) 13:52:00
週末ジャズは寺井尚子のヴァイオリンを聞く!

今週末のジャズは寺井尚子のヴァイオリンを聞きました。上の画像の「Very Cool」は昨年のリリースですが、下の「Hot Jazz」は今年のCDです。いつもかなり出遅れて最新ジャズを聞いている私にしては、割合とCDのリリースから早めに聞いた方かもしれません。まず、曲の構成は以下の通りです。
- Very Cool
- Manhã de Carnaval
- Quizás, Quizás, Quizás
- Cantaloupe Island
- Estrellita
- Dancing in the Wind
- Little B's Poem
- Tempus Fugit
- Everything Happens to Me
- Cool Vibrations
- Begin the Beguine
- Estrellita (CM Version)
- Hot Jazz
- Tango pour Claude
- Slow Dance of Love
- Fragile
- Blue Bossa
- A Story of Wind
- In the Velvet
- Spain
- Happy Bird
- November
- Ariake Dawn
- Libertango
- Shenandoah
一時、イージーリスニングみたいだったので効かなくなっていたんですが、寺井尚子のヴァイオリンはテクニックや力強さやセンスなど、どの点から見ても世界で通用するレベルにあり、いっぱいいる日本人の女性ジャズ・ピアニストとは違います。ただし、ヴァイオリンというジャズの世界ではかなり特殊な楽器であるという点も寄与している可能性はあります。この2枚のアルバムは、少し前までの耳あたりがよくて眠気を誘うようなイージーリスニング調の曲目構成ではなく、曲だけからいえばジャズそのものです。ただし、「ホット」と「ラテン」を少し取り違えている心配はあります。ジャズのアルバムとしては世界レベルからすれば平均的な可もなく不可もない出来上がりなんですが、日本のジャズとしてはかなりイイセンいっていると思います。愛国心豊かなジャズファンであれば聞いておくべきアルバムといえましょう。
下の動画は「Hot Jazz」に収録されている Novemver のサワリです。2015年3月23日に銀座SWINGにて撮影されたようです。
2015年09月27日 (日) 15:37:00
週末ジャズは新垣隆/吉田隆一の「N/Y」を聞く!

昨年2014年暮れにリリースされた新垣隆/吉田隆一「N/Y」を聞きました。新垣隆のピアノと吉田隆一のバリトン・サックスのデュエットです。取り急ぎ、曲目構成は以下の通りです
- Vertigo
- 野生の夢 ~水見稜に~
- 秋刀魚
- 皆勤の徒 ~酉島伝法に~
- Spellbound
- 怪獣のバラード
- Stage Fright
- Embraceable You
- The Birds
- Sophisticated Lady
- Topaz
- 明日ハ晴レカナ、曇リカナ
私はジャズのプレイヤとしては、誠に失礼ながら2人とも知らなかったんですが、ピアノの新垣隆は作曲家としては有名です。どう有名かというと、ジャケットの写真を見て思い出した向きもあるかもしれませんが、かの全聾の作曲家と称していた佐村河内守のゴーストライターだったと大騒ぎになった事件を記憶の方も少なくないと思います。という方面で有名なわけです。CDに付属しているライナー・ノーツならぬプロデューサーズ・ノートでは、サラリと「事件」としか触れられていません。
ということで、凝った曲が収録されているんではないかと期待しましたが、まあ、標準的な出来ではないかという気もします。厳しい人なら標準以下というでしょう。ジャズ界では久し振りのキワモノの話題のアルバムかもしれません。私も特に強くはオススメしません。
2015年08月30日 (日) 17:44:00
週末ジャズは桑原あい「ラブ・テーマ」を聞く!
週末ジャズは桑原あいの4枚目のアルバム「ラブ・テーマ」です。ジャケットが私には少しキモいんですが、ライナー・ノーツの写真と見比べるように出来ていて、私がそれを理解していないだけかもしれません。それはさておき、まず、曲目構成は以下の通りです、
- Amapola - Deborah's Theme (from "Once Upon A Time In America")
- Here There and Everywhere
- Finale (Tango Apasionado)
- In Your Own Sweet Way
- Nomad
- Barry Lyndon (Love Theme) (from "Barry Lyndon")
- 21st Century Schizoid Man
- Peace
- Grandfather's Waltz
- A Journey to Reedham
大きな聴きどころのひとつがジャズファンには聞き慣れたスタンダード曲を桑原あいがフーガ調にアレンジしている点で、ジャズのスタンダード以外にも、キング・クリムゾンの往年のヒット曲である9曲目の「Grandfather's Waltz」とか、オリジナルの曲構成だった今までの桑原あいのアルバムから一転して、ジャズのスタンダードを含めたカバー・アルバムとなっています。しかも、全曲ファースト・テイクで収録を終えたと伝えられています。
キース・ジャレットのソロ・コンサートなどの一部の例外を別にすれば、ライブはもちろんのこと、数曲を収録するアルバムであるならスタンダード曲も何曲か含めるべきではないか、と私は考えているんですが、最近の日本人のジャズ・ピアニストではその筆頭と目すべき小曽根真や女性ピアニストでは山中千尋と上原ひろみ、すなわち、かなりのトップクラスのピアニストでなければスタンダードをアルバムに収録せず、全曲オリジナルでアルバムを固めているピアニストも少なくありません。スタンダード曲を収録すると、ついつい先達の演奏と比べられる可能性はあるわけで、例えば、このアルバムの4局目の「In Your Own Sweet Way」について、私はウォークマンにも入れているケニー・ドリューの演奏とついつい比べてしまい、大リーグと高校野球、それも県予選の準々決勝前ぐらいの差があると感じましたが、事実、桑原あいとケニー・ドリューではそれくらいの差がありそうな気もします。でも、ジャズなんですから、そのピアニストなりの解釈を楽しめればいいんではないでしょうか。
なお、下の動画はYuoTubeにアップされているトレイラです。
2015年08月16日 (日) 17:48:00
週末ジャズは fox capture plan の UNDERGROUND を聞く!
今週の週末ジャズはfox capture plan の UNDERGROUND です。まず、CD の収録曲は以下の通り5曲です。5曲合わせても30分足らずと極めて短いアルバムです。もっとも、この UNDERGROUND は fox capture plan の4番目のリリースですが、今までのアルバムでも40-45分くらいでしたので、最近のボーナス・トラックを入れて60分クラスのアルバムに比べれば、短い方なのかもしれません。年内3枚目のアルバムですから、こんなもんかもしれません。
- beyond the beyond
- 地下の世界に流れる時間
- Adam's Apple
- Time to think
- Tonight Tonight
1曲目は、アシックスのランナー向けアパレルA77で水嶋ヒロが水辺を走っているCM曲としてテレビでも流れていますので、聞いた覚えがあるかもしれません。3曲目はウェイン・ショーターの作曲ですし、最後の曲はスマッシング・パンプキンズの大ヒット・アルバムのタイトル曲です。さらにさらにで、このアルバムの最大の特徴は2枚目がDVDで、2014年10月16日代官山ユニットの映像を収録していることです。DVDの曲目構成は、大雑把に、3枚目のアルバムの WALL から取られているんですが、もちろん、trinity や BRIDGE の曲も入っています。私自身は2枚目のアルバム BRIDGE をもっとも高く評価しているんですが、ある意味で、現時点でもっとも日本で勢いのあるグループのひとつの最新アルバムですから、聞いておいてソンはありません。
なお、誠に残念ながら、私はまだDVDのライブの方は見ていません。悪しからず。
2015年08月02日 (日) 17:38:00
今週末のジャズはソニー・ロリンズ「サキソフォン・コロッサス」を聞く!
今まで取り上げたことがなかったのが不思議なくらいですが、週末ジャズは上のジャケットでも有名なソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」です。1956年に録音され、マイナー・レーベルのプレステッジからリリースされたアルバムであり、パーソネルはジャケットに見える通り、テナー・サックスのソニーロリンズのほか、ピアノのトミー・フラナガン、ベースのダグ・ワトキンス、ドラムスのマックス・ロートのリズムセクションによるカルテットの演奏です。ジャケットに「ステレオ」の文字が見えませんが、モノラルによる録音です。収録曲は以下の通りです。LPのころは最初の3曲がA面、後の2曲がB面に収録されていました。
- St. Thomas
- You Don't Know What Love Is
- Strode Rode
- Moritat
- Blue 7
特に、4曲目のモリタートの演奏が有名なんですが、1曲目のセント・トーマスも多くのジャズ・プレイヤにカバーされています。力強い上に陽気で温かみにあふれ、ジャズの入門編として初心者にも、もちろん、長く広くジャズを聞いた多くのファンにも、約60年に渡って愛され続けたジャズの名盤中の名盤です。リーダーたるソニー・ロリンズにとどまらず、モダン・ジャズを代表するもっとも有名なアルバムの1枚であると言えます。おそらく、それなりのジャズ・ファンを集めれば、過半がこのアルバムをモダン・ジャズのナンバーワンに上げることと私は想像しています。モノラル録音でも、ハイレゾでなくても、文句なしの名演奏です。
2015年07月26日 (日) 17:49:00
週末のジャズは「マルクス・ニーティネン・トリオ」を聞く!
今週のジャズは、やっぱり、私の好きなピアノ・トリオの編成で「マルクス・ニーティネン・トリオ」です。ピアニストは新鋭のフィンランド人マルクス・ニーティネンで、サイドを固めるのはいずれも日本人でベースの土村和史とドラムスの嘉本信一郎という日本と北欧のハイブリッド・コンボです。私はまったく知りませんでしたが、T5Jazz Records なる、たぶん、マイナー・レーベルからのリリースです。会社名からしてジャズのレーベルなんでしょうが、私はよく知りません。悪しからず。まず、アルバムの曲目構成は以下の通りです。8曲ともトリオのメンバーによるオリジナル曲です。
- Kharminida
- You Are Too Perfect
- Sigh Waltz
- Song for Good Old Guys
- Dharana
- Snake Sneak
- Jaakobin Koraali
- Order of the Day
ヨーロッパ的なジャズ・ピアノといえば、何といっても代表はエンリコ・ピエラヌンツィと考える人が多そうな気がしますし、アフリカ系の米国人ですが欧州に長かったケニー・ドリューなんかも同じようなピアノ・スタイルだったような気がします。特に、ケニー・ドリューは1960年代半ばから亡くなる1993年まで、長らくコペンハーゲンを活動の拠点にしていましたので、何となくフィンランドと近そうな気がしないでもなかったんですが、まあ、マイナー・レーベルからデビューした新人ピアニストをいきなりケニー・ドリューと比較するのも酷な気がします。最近は購読していない Jazz Japan を日比谷図書館で見かけて、このアルバムを聴いてみましたが、まあ、可もなく不可もなく標準ないし少し標準から下くらいの出来上がりになっています。今後に期待して青田買いをするのも一案かと思いますので、簡単に紹介しておきます。また、アルバムのライナーノートにあるように、フィンランドのジャズ・シーンといえば、私はファイブ・コーナー・クインテット(FCQ)を思い浮かべるんですが、そのうちに取り上げたいと思います。
下の動画は、ほとんど動きがないんですが、アルバムに収録されている全8曲のサワリの部分を寄せ集めています。YouTube にアップされています。