2007年10月31日 (水) 20:09:00
日銀「展望リポート」から次の利上げ時期を占う

今日は、日銀の金融政策決定会合が開催され、政策金利である無担保オーバーナイトコール金利の誘導目標を現状の年0.5%前後に据え置くことを決めました。賛成8、反対1の多数決による決定でした。さらに、今夜のエントリーのタイトルにも使った「展望リポート」と略称される「経済・物価情勢の展望」の基本方針部分を発表しました。全文は明日の発表となります。経済見通しの要約は上の表の通りです。9人の審議委員による実質国内総生産 (GDP) 成長率の予想中央値は、2007年度については前回4月の2.1%から1.8%に下方修正したものの、2008年度は前回と同じ2.1%に据え置きました。生鮮食品を除く消費者物価については、今年度・来年度とも前回見通しよりも引き下げています。
日銀の金融政策決定会合に関して、NIKKEI.NET のニュースと日銀の発表文を以下の通り、リンクを張っておきます。
「展望リポート」の内容は、成長率についても消費者物価についても、足元の数字を少し下方修正するだけで、前回4月の見通しに概ね沿って推移しており、景気については、「海外経済や国際金融資本市場の動向など不確実な要因はあるものの、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続けると予想される」とし、また、消費者物価についても、「目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大する」と結論しています。要するに、見通しは下振れしているにもかかわらず、半年前から変更はないわけです。ある意味で、米国のサブプライム・ローン問題の発生を受けた後のリポートとしては強気とも考えられなくもありません。もっといえば、説明責任が果たされているかどうか、疑問視するエコノミストがいてもおかしくはないと私は思います。
なお、政策金利の引上げについては、超強気のエコノミストの中には、この「展望リポート」の発表に合わせて政策金利を引き上げるんではないか、と考えていた人もいるようですし、まだまだ、年内12月の金融政策決定会合で決めると考えているエコノミストのかなりいます。例えば、(財)経済企画協会が10月に発表したESP フォーキャスト調査によれば、半数のエコノミストが年内利上げを見込んでいましたし、今年12月に利上げと予想しているエコノミストは30人中で10人います。しかし、明らかに、経済見通しを下方修正する今日の金融政策決定会合で利上げをするハズはありませんし、原油価格も今後の方向は不透明です。
ESP フォーキャスト調査では超少数派なんですが、私は10月22日の G7 ステートメントを取り上げたエントリーでも書いたように、年度内3月までの利上げは難しいのではないかと考えています。第1の理由 は、欧米の金融機関の決算期末を迎える12月利上げが考えられないことです。30人のエコノミストのうち、10人までが12月利上げを見込んでいるのは私には大きな驚きなんですが、詳しくは10月22日のエントリーの通りです。日本の3月に当たる欧米金融機関の決算期末の直前に日銀が利上げすることは相当の覚悟が必要です。経済大国日本の金融政策の影響力の大きさを考慮すべきです。どこかの中堅以上の欧米金融機関が現在の金融市場の混乱の中で破綻を来たす可能性が決して低くない以上、日銀が金利を引き上げてそのリスクを高めるのは国際感覚の鋭いエコノミストであれば自明の理だと思います。誠に申し訳ないながら、12月利上げに vote したエコノミストの国際感覚を疑ってしまいます。第2の理由 は、今回の「展望リポート」で来年度の消費者物価見通しが4月の0.5%から0.4%に引き下げられたことです。注目しているエコノミストは少ないようですが、0.5%と0.4%ではかなり印象が違うと私は考えています。昨年3月に量的緩和政策を停止し金利に政策目標を移した際に、同時に発表された「物価安定の理解」では0-2%が物価の安定とされ、中央値は1%でした。来年度を通してこの中央値の半分に達しないというのが日銀審議委員の大勢の見通しであるとすれば、年度内に利上げを急ぐ理由はまったくありません。第3の理由 は、ねじれ国会で日銀総裁・副総裁の同意人事が年明けにも審議されることです。よほど特殊な経済情勢の変化がない限り、この国会同意人事が無事に決着するまでは、日銀は金融政策を変更するインセンティブを持たないような気がします。それでも利上げすれば、ある意味で、立派と言えるかもしれませんが、無茶はしないような気がしてなりません。第4の理由 は、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が明確に利下げ局面に入っているからです。新しい日銀法により、日銀は政府からの独立性を強めましたが、現在の国際的な金融経済情勢の下で、政策的に FED の影響力から逃れるのは難しい気がします。日本時間の今夜、FED は連邦公開市場委員会 (FOMC) を開催し、25ベーシスの利下げを決定すると見込まれています。第5の理由 は、理由と言うほど大きなものではないんですが、福田内閣が掲げる格差対策との整合性です。日銀が利上げするとすれば、格差の下の方に位置する地方や中小企業などの限界的なグループを直撃する可能性があります。格差に配慮した予算案が編成され国会で審議されている時期に、金融政策が逆方向に向かいかねない印象を与えるのは少し疑問が残ります。もっとも、最後の5点目の格差問題は金融政策のターゲットにはなり得ないと私は考えていますので、ついでにチョロッと上げてみただけです。他方、逆方向のインフレ的なリスクも指摘しておかねばなりません。その最大のものはチラリと触れた原油価格の動向なんですが、私は WTI がバレル90ドルを超える水準は異常だと考えています。相場のことですから確定的なことは言えませんが、年末から来年にかけて原油価格は下がる可能性が十分にあると考えています。傍証でしかないんですが、今朝の Financial Times には "Oil retreats below $90 a barrel" と題した記事があって、ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズのインタビューに基づいて、原油価格が下がる可能性について報道されていたりしました。私も FT の原油価格見通しには理解を示す部分が大きいです。
最後に、実は、私も心境の変化があって、以前は中央銀行的な糊しろ論はバカげた理屈だと考えていたんですが、最近では、ある程度の金利の糊しろを確保することに理解を示すようになっています。官庁エコノミストを自称する者としてはめずらしいかもしれません。どうして理解を示すようになったかは、財政再建だって結局のところは同じことではないかと気付いたからです。ですから、長い目で見て利上げは必要になると考えてはいるんですが、上に掲げた4+1点の理由から、糊しろ論を肯定する私から見ても、年度内3月までに利上げを必要とする確率はとっても小さいと考えられます。少なくとも、日銀が説明責任を果たした上で利上げに踏み切ることは、ほとんど不可能のように見受けられます。
2007年10月30日 (火) 20:02:00
雇用統計と消費の差は何に起因するか?

今日は、総務省統計局から失業率と家計調査が、厚生労働省から有効求人倍率が、それぞれ発表されました。どちらも9月の統計です。いつもの NIKKEI.NET のサイトから失業率・有効求人倍率と家計調査の報道を引用すると以下の通りです。
(失業率・有効求人倍率)
総務省が30日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は4.0%となり前月比0.2ポイント悪化した。失業率の悪化は2カ月連続で、4%台は3月以来6カ月ぶり。雇い主側の都合による女性の失業が増えたことなどが要因。一方、厚生労働省が同日発表した9月の有効求人倍率(同)は前月比0.01ポイント低下の1.05倍。厚労省は雇用情勢の判断を2年7カ月ぶりに下方修正した。
(家計調査)
総務省が30日発表した9月の2人以上の世帯の家計調査によると、1世帯あたりの消費支出は28万1448円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.2%増え、2カ月連続のプラス。厳しい残暑を背景に食料などの支出が増えた。総務省は「消費は上向きにある」とみている。
失業率・有効求人倍率の労働統計と家計調査に基づく消費の動向が、少し食い違っているように見受けられます。引用にもあるように、労働統計は弱い数字が出て厚生労働省は雇用情勢の判断を下方修正する一方で、家計調査に見られる消費は上向きとの総務省の判断です。通常は、雇用統計は典型的な遅行指標と考えられていますので、先行きは消費の統計の方が引っ張るように見られがちですが、今回は少し様相を異にするように見受けられます。と言うのは、公式発表にあるように、雇い主都合による女性の失業が増えていることもさることながら、私の注目点は、例の耐震構造疑惑に端を発する建築基準法の改正による建築申請許可の遅れから、建設労働者数がかなり減少していることです。これらの結果、雇用者数が38万人減少し、就業者数では22万人の減少となる一方で、失業者数は17万人増加しています。失業率は前月から0.2%ポイント悪化しました。このように、足元では雇用情勢は悪化の兆しを見せているんですが、これまた、額面通りに受け取ることも出来ないようです。すなわち、日銀の短観などでは企業の人手不足感はまだまだ高止まりしていますし、来年度の新卒採用にも各企業は意欲的と見られるからです。雇用情勢のひっ迫が賃金上昇につながり物価を押し上げる、との日銀の基本シナリオは崩れていないように考えられますが、足元では建築関係の特殊要因などから雇用が弱含んでいる、と言ったところでしょうか。
他方、家計調査の結果はポジティブなサプライズと受け止める向きもあるようです。事前のマーケットの予想では実質消費支出の前年同月比で1%強くらいの増加とのことだったんですが、統計では3.2%の増加となりました。8月に続いて猛暑効果が現れたようです。もっとも、昨年9月は▲6.0%でしたので、その反動を含んでいますから、少し割り引いて考える必要はあります。総務省の試算では9月分の猛暑効果は0.28%ポイントとなっていますから、これも実力の伸びから割り引く必要があるかもしれません。9月の消費が出たところで、7-9月期のGDPベースの実質消費も従来の予想よりも少し高めになる可能性があると考えられます。しかし、短期的には、建築基準法改正による建築着工の遅れが雇用⇒賃金⇒所得と、軽い負の連鎖を引き起こすことも考えらなくもありません。この耐震疑惑ショックがどこまで続くのかは不明ですが、少なくとも、猛暑効果が剥落するであろう今月以降の消費の動向が注目されるところです。
今回の雇用統計では少し弱い動きが見られますが、もう少し長い目で見た雇用のシナリオを大きく変更するほどのものではないと考えられますが、引き続き、私は景気の転換点に着目したいと考えています。
2007年10月29日 (月) 22:51:00
ハードは強いが、ソフトに弱い?
何度も私のブログで取り上げているように、賃金が上がりません。この根底には、日本経済の労働生産性と資本生産性の格差があるように私は考えています。正確な表現ではないんですが、もっと分かりやすく言うと、資本の生産性が高いのに対して、労働の生産性が低いとも言えます。ただし、現状の世界経済を見ていると、国際市場へのアクセスにより生産性に差が出ているように見受けられます。つまり、資本は国際市場へのアクセスが近いけれども、労働はそれほどでもないと言い換えることも出来ます。これを拡大して無理やりに解釈すると、国際的な面におけるヒトとモノ、それから、タイトルのようにハードとソフトの問題に行き着くような気がします。
この点について、私が少し考えているのは国際的に活躍する人材の不足です。別の複数の知り合いが嘆いていたことなんですが、経済大国となり国際機関への拠出金の比率も大きい日本なのに、国連やその他の国際機関に勤務する日本人が少ないという現実があります。他方、私はよく知らなかったんですが、国際機関に勤務したいと希望する日本人は少なくないそうです。ミスマッチと称する向きもあるようですが、誠に表現がキツくて申し訳ないながら、希望している人のスキルが国際機関の要求する水準に達していない、というのが割合と素直な解釈であるような気がします。少し前までは、学歴をひとつの原因と考えて、博士号の学位の取得を拡大したりして、確かに、学位取得者は増加したようですが、国際機関への就職が大いに進んでいるかというと、そうでもないような気がします。能力のひとつのメルクマールとして、学位の取得状況というのはとっても分かりやすいので、これはこれで、私は博士号の取得を拡大するのはいいことだと思うんですが、国際的な競争の中で日本の学位がどのように評価されているのかは私には不明です。逆に言って、国際的に能力を認められた人は日本国内で希少性がありますから、国内での評価は高いといえます。日本経団連の御手洗会長などはキャノンの米国の現地法人に長くお勤めだったそうですし、商社なんかでも海外勤務、特に、米国の現地法人から帰国した人が出世するコースがある会社も少なくないと聞きます。もちろん、これだけ貿易黒字をたたき出しているんですから、諸外国との比較優位が試される競争の場で、モノのクォリティは十分なハズなんですが、ヒトの方はそうでもないのかもしれません。別の言葉で言えば、国際的な分野ではハードには強いが、ソフトに弱い、とも言えそうな気がします。
ただし、キチンと理解していただきたいのは、私は日本の労働力一般の生産性が低いことを示唆しようとしているわけではありません。国際的な活躍の場における労働の生産性を取り上げているつもりですので、そこは微妙な違いがあります。それはともかく、国際分野におけるハードとソフト、資本と労働の格差については、これが顕著に現れている傍証が、国際機関での日本人比率の低さの他に、もう2つあると私は考えています。第1は、すでに書いた製造業での輸出競争力の強さと対象的な金融サービス業での国際競争力の低さ、第2に、ハコモノに強みを発揮する国際協力の分野です。もちろん、国際機関も含めた3点に共通する通奏低音のひとつとして、言葉の問題を忘れることは出来ません。今さら、どうしようもないんでしょうが、日本語を母国語とするハンディは相当なものがあると言わざるを得ません。ハードはしゃべりませんが、ソフトの分野では英語をしゃべる必要があります。国際機関の日本人比率を別掲にしたのは、こちらには別の要因があって、それは日本がそれなりに豊かな国であることです。我が家が盛んにやっている人生ゲームでも、国際感覚が認められてランクアップというのがありますが、国際的な活躍が出来る人材は国内で大いに高く評価され、それなりに豊かな国内で処遇されてしまうもんですから、国際機関で働く限界的なペイオフが小さい可能性、すなわち、割に合わないことも考えられることを指摘する必要もあると思います。もう死語になった表現かも知れませんが、ハングリー精神に欠けると言うことも出来るかもしれません。
誤解のないように、最後に重要な点を付け加えておくと、第1に、金融以外のソフト産業そのものの日本の競争力はそれなりに強いと言うことです。分野にもよりますが、アニメやゲームソフトなんかです。第2に、私はソフトの弱点は質的なものではなく量的な問題だと考えています。この意味で、途中でヒトとモノの「クォリティ」と表現したのは、日本語にして「品質」と表現するのが不適切だと考えたからです。ですから、ややエラそうな言い方で誠に申し訳ありませんが、平たい表現をすると、為せば為る、とか、やれば出来る、ということを強調しておきたいと思います。
2007年10月28日 (日) 19:42:00
自転車を修理に持って行ったり、人生ゲームで遊んだり
4年前にジャカルタから帰国した時に買い求めた自転車の前輪のタイヤが故障し、空気が抜けるようになってしまいました。少し前から様子がおかしくって、だまし騙し使っていたんですが、今日の午前中にクリーニング屋さんに行く時に、ポンプで入れてもノズルからシューと空気が抜けるようになってしまい、シロートではどうしようもなくなりました。仕方がないので、クリーニング屋さんには歩いて行き、近くの商店街の情報を収集します。私も青山周辺の自転車屋さんは知っているものの、何せ、街がらでスポーツタイプの高級な自転車を置いているところしか知りません。私のママチャリを持ち込むのには抵抗があったんですが、さすがにクリーニング屋さんは商店街情報に詳しく、すぐ近くにあるのを教えてくれました。でも、別のお客さんが、その自転車屋さんは店仕舞いだと言い出します。クリーニング屋さんを出て、教わった自転車屋さんに歩いて行くと、確かに、店じまいの様子がうかがえ、店内から自転車はすっかり撤去されています。お店の人に聞くと、修理はやっているんですが、今月いっぱいで店を閉めるということで、午後から急いで自転車を持ち込んで修理してもらいました。さすがに、プロの自転車屋さんの手にかかるとボロクソで修理してくれ、10分ほどで数百円の修理代金でした。帰りはタイヤに空気の入った状態で家まで帰りました。

家では、下の子がお料理本を持ち出して、女房といっしょにプリン作りに精を出していました。今年の1-2月ころにはクッキー作りに挑戦していたんですが、またしても、お菓子作りに興味を持ち始めたのかもしれません。小学3年生ですから、ボウルに入れた卵を混ぜたりするのは一人前に出来るんですが、そもそも、その前の段階で卵を割ったりするのはまだまだです。上の写真では、出来上がったのを不二家のペコちゃんのカップに注いでいるところです。ジャカルタに行く前に住んでいた杉並の家の近くには不二家のレストランがあって、しょっちゅうのように、ロイヤルプリンを買ってきた記憶があります。まさか、そのころに買ったカップが赤道をまたいだ引越しでも生き残っているとは思いませんが、我が家にはロイヤルプリンのカップが大量にあります。デザインによってはコレクターもいると聞いたことがあります。下の子が作ったプリンは加熱して固まらせた後、冷蔵庫で冷やして、夕食後のデザートでいただきました。下の子が作ったということで、おにいちゃんは少し警戒感を持っていたんですが、すが入ったりして見てくれは悪いものの、ちゃんとした味に仕上がっていました。子供達の評価によれば、少なくとも、小学校の給食で出た豆乳プリンよりはずっといい、という結論でした。
やや、時間が前後しますが、おにいちゃんが勉強を終えた夕方からは、私と子供達が人生ゲームで遊びます。私が数えている範囲では、今年になってから8回目の人生ゲームです。おにいちゃんがトップになりました。タレントから始まって、途中でランクアップして人気タレントになったのが勝因です。タレントというビジネスについてはいろんな意見があるでしょうが、人生ゲームのように単純な双六と違って早く上がるのではなく、上がった時の所持金で順位が決まるゲームでは、やっぱり、高給の取れる職業に就くのが勝利への道なのかもしれません。ホントの人生でも、他の条件にして同じであれば、お給料は少ないよりも多い方がいいに決まっています。

昨日、子供達は台風が近づいて来ている雨の中を理科教室の化石探しに出かけましたので、今日は台風一過のいいお天気だったんですが、何となく、のんびりした一日でした。
2007年10月27日 (土) 20:17:00
子供達を理科教室の化石探しに連れて行く

今日は子供達が理科教室の野外実習で化石探しに出かけました。一応、恐竜の化石探しと銘打っていたりするんですが、実際には探すことは探すとしても、恐竜の化石が発見できるわけではありません。先日のエントリーで取り上げた「ちりとてちん」でも、ビーコが小学生の時から持っている石があったんですが、それをエーコのクリスタルっぽい石と取り換えた途端、高校の先生の目に留まって恐竜の化石の発見者として、エーコが新聞に顔写真入りで報道されていたくらいですから、小学生が遠足よろしく行ったとしても、そうそう簡単に見つかるわけではありません。当然です。
我が家からは子供達が兄弟で参加します。我が家だけではなく、兄弟で来ているところも他にいく組かありました。小さい子がウロチョロして、下の子は傘を取り違えられたりして余り愉快ではなかったようです。いつもの通り、私は集合場所までの送り迎えをしただけなんですが、下の写真のように、なかなか立派な植物の化石をいくつか持ち帰ってくれました。葉脈がクッキリと浮き出ていて、それなりに鑑賞に堪えるものでした。子供達の宝物になるかもしれません。雨の中を行った甲斐があったとおにいちゃんは満足しています。

2007年10月26日 (金) 20:46:00
消費者物価はそろそろプラスに転ずるか?

総務省が26日発表した9月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.3と、前年同月比0.1%下落した。下落は8カ月連続。項目別で価格の下落幅が大きかったのは家具・家事用品(1.7%下落)だった。生鮮食品を含む総合では100.6と、0.2%下落した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(0.1%下落)と同じだった。
同時に発表した10月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で100.3と、前年同月比横ばいだった。
発表された9月の全国指数ではなく、今月10月以降の消費者物価指数については、携帯電話の通話料の要因が大きいと注目されていたんですが、総務省が発表した消費者物価指数に関する Q&A によれば、今回は携帯電話通話料の新しい割引プランは採用しないようです。理由は、同じく総務省のホームページでは、KDDIのau買い方セレクト・シンプルコースとソフトバンクのシンプルオレンジ(いずれも平成19年11月12日導入)は、新規契約または機種変更等で携帯電話機を購入することが申込み条件となっており、既存の契約者が制約条件なしに乗り換えできるものとはなっていないため、総務省の言う最も安いプランに含めないということらしいです。逆に、これらのプランが普及し、更に契約者数などのより詳細な情報が入手できる状況になり、これらのコースが主流となったことが確認できれば、最も安いプランの検討対象となり得るという含意です。役人的なメンタリティから言えば、これは相当先の話だという気がします。公務員の私が言うんですから、かなり遠い将来だということは間違いないと思います。
さて、発表された全国9月の消費者物価指数に戻ると、前年同月比の押上げに寄与した主な品目は、薄型テレビや外国パック旅行などで、一方、押下げに寄与した品目は、宿泊料、ガソリン、生鮮食品を除く食料、サプリメントなどとなっています。しかし、10月に入って原油価格が大きく上昇して来ており、大雑把に丸めると、指標の WTI でバレル90ドル、ドバイでも80ドルとなって来ており、昨年秋口以降に原油価格が低下した歴史的事実を踏まえると、今年の秋からは上昇を続けている原油価格が我が国の消費者物価を押し上げる要因となることは明らかです。10月の東京都区部のコア CPI が前年同月比で横ばいになったことからも、ひょっとしたら、全国でも10月から消費者物価は水面上に浮上する可能性があると考えられます。特に、エネルギーのウェイトは1万分比で見て東京都区部で506なんですが、全国では740ですから、生鮮食品だけを除いてエネルギーを含める日本式のコア CPI に寄与する部分は大きいと言わざるを得ません。
私は今週月曜日10月22日のエントリーで、日銀が年度内に利上げするのは難しそうな気がすると書きましたが、携帯電話通話料金を消費者物価に算入しないことは日銀に追い風になった可能性があります。しかしながら、消費者物価がそろそろプラスに転じたとしても、▲0.1%から水面上に出て0.1%になったところで、行って来いで勘定しても0.2%ポイントしか違わないわけですから、これでもって25ベーシスの利上げを正当化する理論武装はとっても困難だと思います。
2007年10月26日 (金) 19:12:00
青山3・4丁目のハロウィン・イベントに行く

今日は夕方から早退して、青山通りのハロウィン・イベントに行きました。上の写真は青山通りのブルックス・ブラザースの店内で撮ったものです。
去年は青山通りと銘打っていたんですが、今年は青山3・4丁目で開催となっています。小雨決行でしたので、私が役所からの帰り道で集合場所のエイベックス・ビルの前の広場でお菓子をくれるお店の地図をもらいます。下の子といっしょに出かけて、まず、我が家から最も遠いお店に着いてから、下の子がドラキュラのマントとシルクハットの扮装をし、私が我が家に近づくルートを進みます。と言うのは、去年もそうだったんですが、下の子が大張り切りで全部のお店を回ると言い張るからです。下の子が数えたところによると、33店を回って64点のお菓子をもらったそうです。去年はムシキングの風船ガムが多かったんですが、世の中の流行り廃りに合わせるかのように、今年は果汁のグミが多かったらしいです。雨の中を傘を差しながら、ドラキュラのマントを着た下の子と1時間半、5キロほど青山を歩き回りました。でも、下の子が大満足でご機嫌だったので、それなりのコストをかけた甲斐がありました。
2007年10月25日 (木) 21:56:00
飲酒運転には厳罰で対処するのが効果的か?
かねてから、私は飲酒運転の撲滅をこのブログでも訴えて来て、昨年2006年の9月12日付けのエントリーでも取り上げたんですが、今日の新聞の夕刊で、飲酒運転の厳罰化を定めた改正道路交通法の施行から1カ月間で、何と、飲酒運転が4割も減ったとの記事を見かけました。いつもの asahi.com から引用すると以下の通りです。
飲酒運転が厳罰化された改正道路交通法の施行から1カ月間(9月19日 - 10月18日)で、飲酒による事故は350件と06年同期より約40%減ったことが、警察庁のまとめで分かった。酒酔いや酒気帯び運転など運転者の検挙も06年10月の約35%減の5652件。警察庁は「法改正の効果ではないか」とみている。
改正法では、酒を飲んだ人に車両を貸したり運転者に酒を提供したりした者や、酒を飲んだことを知りながら要求・依頼して同乗した者を直接罰する規定を新設。これらの罪での検挙71件のうち、要求・依頼同乗罪での検挙が46件と最も多かった。
きっかけのひとつとして、福岡市の職員が飲酒運転で追突事故を起こし、幼児3人が犠牲になった事故、というか、いたましい事件がありました。私のような薄給の公務員はマイカーすら所有しておらず、この2-3年で自宅でお酒を飲んだのは、2年前に阪神タイガースがセリーグの優勝を決めた夜と、つい先日のクライマックス・シリーズ第1ステージで阪神がボロ負けした第2戦の夜の缶ビールだけですので、運転せず飲酒せずですから、飲酒運転はあり得ないんですが、その後もいくつか飲酒運転の事故があったように記憶しています。
「アメとムチ」なんてよく言われますが、運転については無事故無違反の人でも免許証がゴールドになったり、免許証の更新手続きが簡素化されるくらいですから、アメの方はハッキリ言って限界があります。さすれば、ムチの方を厳罰化するしか方法がないと言えます。飲酒運転に関する厳罰化規定を盛り込んだ法律の施行後、まだ1ヶ月だけの統計ではあるんですが、飲酒運転が大きく減少している結果はとっても喜ばしいと思います。自動車は1トンの鉄の塊であって、それ相応のスピードで生身の人間にぶつかると、大ケガをしたり命を落としたりする可能性が大いにあるわけですから、運転する方々は十分ご注意下さい。飲酒運転はもっての外です。この先、12月から1月にかけては年末年始の忘年会や新年会でお酒を飲む季節を迎えます。くれぐれも、飲酒運転はしないよう、周囲の人もさせないよう、飲酒運転撲滅のために、交通事故を減少させるために、自覚を高めるべき時期だと思います。
最後に、タイトルにした「飲酒運転には厳罰で対処するのが効果的か?」についてですが、私の答えは、もちろん、"Yes, it is."です。
2007年10月24日 (水) 20:16:00
貿易統計速報に見る米国経済の減速とデカップリング論

今日、財務省から9月の貿易統計速報が発表されました。米国向けの輸出が減少する一方で、欧州とアジア向けの輸出が増加し、外需に関してはデカップリング論が成り立っているように見受けられます。いつもの NIKKEI.NET から引用すると以下の通りです。
財務省が24日発表した9月の貿易統計速報によると、米国向け輸出額は前年同月比9.2%減の1兆4254億円と5カ月ぶりに減少した。
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題などで米経済成長が減速し、自動車や建機などの輸出が減少した。ただ、欧州連合(EU)、アジア向けの輸出は10%前後の伸びを維持し、対米輸出の落ち込みを他の地域で補う構図が鮮明になっている。
貿易黒字の総額は、前年同月比62.7%増の1兆6378億円と過去最高を記録した。対米黒字は13.2%減の7899億円と2カ月ぶりに減少。一方でEU向けは、自動車などの輸出が好調で26.4%増。アジア向けは通信機の輸出が大幅に増え58.7%増となった。
引用にないので少し統計計数を補足すると、9月の貿易収支は1兆6378億円となり、事前の市場コンセンサスである1兆4810億円を上回り、8月に続いて2ヶ月連続で増加しました。輸出は前年比6.5%増の7兆2704億円と5ヶ月振りに1桁台の伸びに減速したものの、輸入が前年比▲3.2%減の5兆6325億円と3年7ヶ月振りに前年割れした結果です。対米輸出は金額ベースで前年比▲9.2%、数量ベースで▲11.8%と金額ベースでは5月以来、数量ベースでは7ヶ月連続のマイナスを記録しています。自動車(前年比▲15.2%)を中心に幅広い品目で▲10%を超える減少が見られ、米国景気の鈍化を反映した結果と考えられます。対アジア輸出も金額ベースで前年比+8.3%、数量ベースで+7.8%と、金額ベースでは2月、数量ベースでは4月以来の1 桁台の伸びとなりました。ただし、対 EU 向けは金額ベースで前年比+13.2%、数量ベースで+9.7%と堅調を維持しています。
いろんな国の経済成長を考える場合、直接的に GDP の成長率を見るのが手っ取り早いんですが、何かから反射的にうかがえる場合もあります。例えば、よく言われるのは、必ずしも統計の信頼性が高くない中国なんかの場合は、単純に中国政府が発表する GDP 統計だけでなく、銅などの一次産品価格の動向を見ることも有効であると考えられます。同じように、米国や欧州やアジアなどの海外経済の動向について、我が国からの輸出の伸びを考えるのにも一定の理由があります。9月単月の輸出額で判断するのは余りにも早計なんですが、典型的に現れているのは、米国経済が減速していることと、輸出などで米国経済への依存度の高いアジア経済も米国経済減速の影響を免れないだろうということと、貿易などの域内依存度が高い欧州経済は米国経済の減速には抵抗力がある、といったところでしょうか。ただし、アジア経済については、日本からの輸出の増加が鈍化しているのは一時的であると見ているエコノミストが多いような気がします。理由は、米国への依存度がそれ相応に高いと見られている中国への輸出金額は前年比+16.5%と依然として堅調を維持しているからです。
それから、輸出は海外経済に依存するとしても、輸入は国内経済に依存するのは当然です。9月の輸入が3年7ヶ月振りに前年割れしてマイナスを記録したのは、我が国経済もかなり減速している証拠と言えるかもしれません。さらに、輸出が減速し、輸入が減少した結果として、貿易収支はかなり膨らんで来ています。外需に依存する成長が続いていることは言うまでもありませんが、ここ数日の間に少し為替が円高に振れているのは微妙なサインだと私は考えています。おそらく、為替が貿易に影響を与えるのは少なくとも2-3四半期のラグを持っているを考えられますので、8月のクレジット市場の影響から円高に振れて来ているのは、来年年央以降に統計に表れるんでしょうが、株式市況は円高を嫌気していますし、企業マインドにも何らかの影響を及ぼす可能性は否定できません。私が従来から主張しているように、為替相場は金融市場動向だけでなく、実体経済へ及ぼす影響も小さくないことから、外需の価格要因として今後の注目点のひとつだと考えられます。もちろん、外需の所得要因としては、一見したところ、欧州や中国が米国経済の減速をカバーしてデカップリング論が成り立っているように見受けられますが、欧州はともかく、中国をはじめとするアジア経済は米国への依存度が決して低くないだけに、楽観は出来ないような気がしないでもありません。
2007年10月23日 (火) 22:03:00
ゴルフはウサン臭いスポーツか?
国会でテロ特措法の関係で真剣な議論が行われているところに、わけの分からないスキャンダルが持ち上がりました。新聞などで盛んに報道されているのでご存じの方も多いと思いますが、防衛省の守屋前事務次官が専門商社の山田洋行の元専務からゴルフ接待を受けていたとか、次女の米国留学に関係して便宜を図ってもらったとか、果ては、山田洋行の元専務が山田洋行の米国子会社が管理していた株売却益約1億円を不正に引き出していた疑いが浮かび上がるとか、いろんな報道がなされています。私は事実関係について詳しく知る立場にないので、何とも言えませんが、ゴルフについておにいちゃんから質問されて困っています。
我が家のおにいちゃんのように小学生も5年生くらいになると、それ相応に社会的な出来事にも興味を持って、新聞を読んだりテレビのニュースを見たりするんですが、おにいちゃんからゴルフはどうしていけないのかと聞かれて困っています。まあ、詳しく言えば、公務員倫理法の規定により、私の記憶が正しければ、ゴルフをプレーしたり、旅行に同行するのなんかは、たとえ割り勘であっても関係業者、正確にいえば利害関係者といっしょにしてはいけない規定になっています。今回の事件では業者に払わせていた部分がどのくらいあるのかは私も詳しくは知りませんが、たとえ割り勘でもアウトというのがポイントです。旅行はスポーツではないので除外するとしても、では、どうしてゴルフがいけないのかというと答えに窮します。その昔に読んだ人事院のパンフレットなんかでは、、国民から「不適切な関係にあるのではないか」との疑惑を招くおそれがあるから、ということになっているんですが、これではわけが分かりません。おにいちゃんには私から、長時間にわたって少人数でラウンドするので、密談なんかに利用されやすいと答えると、おにいちゃんは、すかさず、では釣りなんかはどうだと聞き返します。釣りも少人数でかなり長時間にわたっていっしょにいるわけですから、おにいちゃんからすれば密談に適しているように見えるようです。でも、釣りは社会一般の常識に照らしてよさそうな気がします。ややウロ覚えですが、公務員倫理法で禁止されていなかったように記憶しています。おにいちゃんから明示的には問われませんでしたが、ゴルフと違ってテニスやジョギングなんかも禁止されていないような気がします。要するに、簡潔明瞭な答えとしては法律で禁止されているから、ということなんですが、人のものを盗んだり、人を傷つけたりするのがいけないことは、法律で決める以前から社会通念上でそうなっているわけで、誰も疑問に思わないんでしょうが、ゴルフがアウトなのは法律が出来たからそうなったんで、社会的な常識と法律の因果関係が逆転しているような気がしないでもありません。
世界の王室では乗馬とヨットがロイヤル・スポーツとして盛んに行われていたりするんですが、我が国の皇室ではヨットは取り入れられていないと聞いたことがあります。ギャンブルの競艇を連想させるという説もあったりするようです。これと同じで、日本ではゴルフはうさん臭いスポーツと考えられていたりするんでしょうか?
2007年10月22日 (月) 20:06:00
G7 ステートメントから日銀の金融政策の先行きを考える
10月19日の米国ワシントンでの先進7カ国蔵相中央銀行総裁会議 (G7) を受けて、株式相場が下がって来ています。先週金曜日のNY市場で経済の先行き懸念からダウ平均が366ドル94セント安の1万3522ドル2セントに急落したのを受けて、今日の東証では日経平均がザラ場で500円以上下げる展開で、375円90銭(2.24%)安の1万6438円47銭で引けました。一時は下げ幅が549円まで広がったんですが、さすがにこの水準では押し目買いが入ったようです。週明けのNY市場も始まっているのかもしれませんが、ザラ場の数字を上げても仕方ありませんから、ご興味ある向きはお調べ下さい。
この展開は G7 のステートメントにかなり景気の減速感が見られることを根拠にしているように報道されていますが、新聞などと違って、私は必ずしもそう考えていません。まず、G7 の結果について、いつもの朝日新聞のサイトから最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。
主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は19日午後(日本時間20日早朝)、米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題をきっかけにした金融市場の混乱や原油高が「世界経済を減速させる」との共同声明を発表し、閉幕した。金融市場の混乱は「しばらく続く」との認識も強調。各国が連携して役割を果たしていくことを確認した。
声明は世界経済を減速させる要因として「金融市場の混乱、原油価格の高騰、米国の住宅部門の弱さ」を指摘。力強い新興市場国の成長が世界の景気を支えており、「経済全体は引き続き強い」とした。しかし、前回の4月のG7で強調した「過去30年以上で最も力強い」という認識から大きく後退した。
まず、今回 G7 のステートメントは冒頭で、「世界経済は堅固な(robust)成長の5年目に入った」としつつも、景気悪化につながる要因を以下の通り3つ列挙しています。
- recent financial market turbulence
- high oil prices
- weakness in the US housing sector
その上で、"Nevertheless, our overall economic fundamentals continue to be strong and emerging markets are providing critical impetus to the strength of the world economy." と結論しています。ハッキリ言って、予想よりもかなり楽観的な表現と私は捉えています。こうした景況感を受けて、金融政策はインフレに対して警戒的 (vigilant)、すなわち、"monetary policy must remain vigilant in maintaining price stability" としています。この表現には欧州中央銀行 (ECB) の意向が汲み取れないでもないですが、金融政策を引締めにも緩和にもどちらにも慎重であるとも読めますし、逆に、金融政策当局にフリーハンドを与えたとも受け取ることが出来ます。米国では来週の連邦公開市場委員会 (FOMC) で連保準備制度理事会 (FED) が利下げする理由にもなりますし、年明けに向けて ECB の利上げ姿勢も温存されたとも言えます。ひるがえって、日銀の利上げについても決して封印されたとは言えません。ですから、福井総裁は記者会見で「これまでと同様の考え方に立って、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになる」と述べ、新聞ではかなり強気な姿勢を示した、なんて報道されたりしています。私は福井総裁の解釈が正しいんだろうと思っています。それから、少し脱線しますが、前回 G7 の声明文にあった日本の景気回復を評価する1文、すなわち、"Japan's recovery is on track and expected to continue" が削除されたことに関して、何かと取り上げている向きもありますが、今回の G7 では各国横並びで国別の経済状況評価はステートメントに盛り込まれていませんから、日本の経済状況について G7 としてインプリシットに懸念を表明したと捉えるべきではないと私は考えています。
さて、日銀の金融政策に戻ると、フリーハンドとは言っても、そんなに早期の利上げが予想されるわけではありません。今のところ、我が同業者のエコノミストの間でも、12月利上げ説が根強くあったりするんですが、まず、日本の3月に当たる12月の年末を欧米の金融機関が無事に乗り切れるかどうかを見極める必要があります。誠に失礼ながら、年内再利上げを予想している同業者のみなさんには、経済大国たる日本の中央銀行としての日銀の金融政策の影響力の大きさを正しく認識し、もう少し国際的な感覚を研ぎ澄まして欲しい気がします。もしも、いずれかの欧米の金融機関がピンチに陥って、それを日銀の利上げの結果とされるのは何としても避けたいところでしょう。さらに、来年2月には日本で G7 が開催され、金融安定化フォーラムの中間報告が報告される予定となっています。今回の G7 に関して、このあたりまでのスケジュールを頭に入れておく必要があります。最後に、そうこうしているうちに、ねじれ国会での日銀総裁の同意人事が上程されたりします。ですから、私は年度内、すなわち、福井総裁の任期中の再利上げは難しそうな気がしないでもありません。
2007年10月21日 (日) 19:06:00
下の子をカブ隊に連れて行く

今日は朝から下の子をボーイスカウトのカブ隊の活動に連れて行きます。お天気もいいので、いつもの自転車のタンデムで行きます。いつもの神社です。先月の末にボーイスカウトの上進式があり、我が家の下の子もカブ隊の中で進級しています。英米式の学年で進みますから、9月から進級して現時点で小学校の2-4年生がカブ隊を構成しているもんですから、我が家の小学3年生は真ん中にあたります。一番下がウサギ、真中がシカ、一番上がクマのバッジをつけています。女の子については別にして、昨年、カブ隊に上進した男子は我が家の下の子だけでしたが、今年は3人も男の子が上進して来ました。もちろん、我が家の下の子がビーバー隊で活動していた時からいっしょの顔見知りのお子さんも上進して来て、ウチの子も3年生ながら年下の子が入ってちょっとした上級生気分です。「新しく入った子は落ち着きがなくて困る」とか、「いろいろとお世話して上げた」とか、面倒も見ているようなことを言います。
おにいちゃんも午前中は外出していたので、午後からは兄弟そろってパソコンで遊びます。下の子はそうでもないですが、おにいちゃんにはメールも来ますから、メールチェックしたりもします。でも、大部分はオンラインゲームで遊んで過ごします。昨今では無料で遊べるオンラインゲームがたくさんあるんですが、聞くところによると、ほとんどは韓国由来だそうです。我が家の子供達は長らくクロノスで遊んでいるんですが、これもそうです。ハンゲームなんかは名前もそのままです。それは別にして、クロノスをはじめとするオンラインゲームは毎月のようにアップデートが出るんですが、我が家が6月に Windows Vista に買い替えたにもかかわらず、クロノスのアップデートはいまだに Windows Vista には対応してくれず、ゲームそのものは遊べるもんですから、時折気付いては、私がマニュアルでアップデートしていたりします。先日、下の子がクロノスで遊べなくなったと言い出したので、この週末に手動でアップデートしました。どうして、クロノスのことを思い出したかと言うと、10月31日のハロウィンが近づいているからで、ハロウィンの前後には大規模なパーティーが開かれて、いろんなアイテムが無料で手に入るからだそうです。そういえば、昨年もそんなことを言っていたような気がします。私もブログにもハロウィンについての記事を書きましたが、オンラインゲームの世界ではハロウィンの季節は大事なんだと知りました。下の写真は、クロノスで遊ぶおにいちゃんです。

2007年10月20日 (土) 18:02:00
下の子と理科教室に出かける
今日は午後から下の子を理科教室に連れて行きます。先日の昆虫の2回目のクラスです。前回は10人ほどの小学生のうち、女の子が3-4人いて中には気持ち悪くなって途中で帰ってしまった虫嫌いの子もいたらしいんですが、今日は女の子は1人だけだったそうです。今日はコオロギやバッタの観察で、先生がコオロギやバッタなんかの秋らしい虫を虫カゴに入れて持って来てくれたらしいんですが、コオロギがとっても臭くて困ったらしいです。帰りにポリ袋に入れて小さな2センチくらいの生きたバッタをお土産で持って帰ります。
帰り道の話題はジャカルタから帰国する直前の夏休みに家族旅行でロンボク島に行った時、ホテルの芝生にチキチキバッタがいっぱい飛んでいて、小学校に上がるか上がらないかの子供達がせっせと追いかけて捕まえていたことです。ロンボク島のホテルで思い出すのは、バッタとともに、ちょうど季節柄、ウミガメの卵が孵って、小さなウミガメの赤ちゃんがウジャウジャいたことです。今は5年生のおにいちゃんが小学校に上がったばかりで、夏休みの絵日記にウミガメの赤ちゃんを書こうとしたんですが、いっぱい過ぎてとっても苦労していたのを思い出します。
話が脱線しましたが、バッタを家まで持ち帰って、下の子は虫カゴに土を引いて草を植え、バッタを飼い始めます。バッタのエサは草らしいんですが、土から生えた草でないといけないそうです。そんなに長くは生きないことを知りつつも、生き物ですから大事に世話をする下の子を見ていて、私と女房のの子育てが間違っていなかったことを実感しました。
下の写真はいつもお馴染みの理科教室で白衣姿の下の子です。ほとんど惰性だけで写真を撮っています。

2007年10月19日 (金) 20:01:00
松井今朝子さんの「吉原手引草」(幻冬舎) を読む
図書館から借りていた松井今朝子さんの「吉原手引草」(幻冬舎) を読み終えました。言うまでもありませんが、今年度上半期の第137回直木賞受賞作品です。吉原の花魁失踪事件の謎を目付の若い武士が絵双紙作者に扮して突き止めるというものです。いろんな意味で時代小説の新しいスタイルとも考えられます。まずは、アマゾンのサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。
なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか? 遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!
直木賞受賞作ですから、仕方がないんでしょうが、区立の図書館にリクエストを入れてから、3-4ヶ月ほど待たされました。私の前に5-60人の予約が入っていたように聞きました。私がよく使う丸の内オアゾの丸善でも大量に平積みされていたのを見かけたことがあります。当然ながら、それなりに人気なんだと思います。それから、小説自体が謎解きなんですが、今夜のエントリーはそれと意識せずにネタバレがあるかもしれません。ご容赦ください。
作者の松井今朝子さんは1953年9月28日京都市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了後、松竹株式会社に入社、歌舞伎関係の仕事に取り組んできたそうです。京都生まれで早稲田の卒業となれば、ついつい、2004年に「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した綿谷りささんを思い出します。なお、松竹を退社して1997年に小説家としてデビューしてから、何度か直木賞候補になったこともあります。ある意味で、この業界のベテランかもしれません。
江戸時代の特に吉原の風俗なんかが詳しく描写されていて、ある意味で、ペダンティックですらあります。例えば、廊下トンビという言葉が出て来ます。我々公務員の場合は国会や議員会館などをウロチョロしていることを指すんですが、吉原では自分の部屋を捜し歩く客のことで、実際に自分がやった廊下トンビの語源がこのあたりにあるんだということを知るだけでも楽しい気がします。私は独身時代に吉原大門が徒歩圏内の浅草近くにアパートを借りていたことがあり、日本手ぬぐいを集めたりして、京都出身にもかかわらず、それなりの江戸趣味の時代があったもんですから、馴染みのある世界だという気がしないでもありません。
手法的には、花魁失踪の関係者が次々に一人語りを続けて行くというもので、評価は分かれるんでしょうが、私のはまどるっこしい感じがしました。特に、失踪した花魁の描写が証言者によって微妙に違ったりするもんですから、戸惑うことすらありました。もっとも、失踪した後の花魁についての主人公や書き手から見た描写は難しいと思いますが、失踪した葛城の魅力を描き切れていないのは、厳しく言えば筆力の不足との批判もあり得ると思います。それ以外にも、周囲の状況に関して客観的な記述がいっさいないため、感情移入が難しい場面がいくつかありました。ハッキリ言って、グイグイと引き込まれるような迫力は感じなかったです。もうひとつ、手法的には、犯人探しではなく事実関係の謎解きですから、関係者の証言をつなぎ合わせても抜け落ちる部分があったように思います。最初に評価が分かれると書きましたが、この手法に関する私の評価はそんなに高くありません。特に、前半は読み進むのに骨が折れました。
最後の結末は、真ん中を少し過ぎたあたりから、段々と分かり始めます。要するに、武家の仇討めいたお話なんですが、花魁が身請けされる直前に仇討の相手がノコノコと吉原に現れるというのは、ご都合主義的なストーリーだという批判もあるかもしれません。それに、証言者の記述をつなぎ合わせても最後の結末の部分は迫力に欠けます。途中と最後の舞鶴屋の主人の証言がかなり食い違っているのも、本人に言い訳させているとはいうものの、謎解きをテーマとする小説としてはかなり致命的な欠陥だという気がしないでもありません。
最後に、上のパラグラフで数えて、私の評価は1勝2敗で少し厳しいものです。スラッと読めば4つ星の割合と平均的に面白い小説だという気がしないでもないんですが、直木賞受賞作と言うことで大きな期待を胸に長々と図書館に待たされた分を加味すると3ツ星かもしれません。間を取って3つ星半くらいというところだと思います。私の独特の分類である買う本と借りる本では、文句なく借りる本だと思います。
2007年10月18日 (木) 19:52:00
福田内閣は大きく増税に舵を切るのか ?
今日の全国紙の朝刊各紙の1面に昨日の経済財政諮問会議の記事がありました。昨年の安倍内閣の成立以降は少し影が薄かった経済財政諮問会議なんですが、福田内閣が成立してから再び脚光を浴びるようになったのかもしれません。それはともかく、主たる内容は、一昨年の骨太で決定した歳入歳出一体改革の歳出削減を踏まえても、名目経済成長率見通しを下方修正した成長制約ケースでは、消費税率に引き直して2.5%以上の増税が必要になるとの試算結果が経済財政諮問会議において了承されたというものです。日経新聞では自民党の政策調査会の財政改革研究会の与謝野会長のインタビューととともに1面トップでした。まず、その NIKKEI.NET のサイトから引用すると以下の通りです。
政府の経済財政諮問会議は17日、2011年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標について、名目経済成長率を3.0%から2.2%に下げるなど前提を変えると、最大で6兆6000億円の増税が必要とする内閣府の試算を了承した。消費税率に換算すると2.5%程度の引き上げが必要となる。自民党財政改革研究会の与謝野馨会長も同日、成長率の下方修正を検討する考えを表明した。年末の税制改正や予算編成に向け、財政再建を巡る議論が加速しそうだ。
諮問会議が増税必要額を明示するのは初めて。福田康夫首相は同日の会合で「先送りすれば選択肢はさらに厳しくなる。国民の立場に立った分かりやすい議論を早急に積み重ねる必要がある」と強調した。首相は社会保障と税に関する政府・与党協議会を近く設置し、09年度に予定する基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げの財源を確保するため、消費税増税を含め検討に着手する意向だ。
上のグラフは昨日の経済財政諮問会議に提出された資料からの抜粋です。このままでは見にくいと思いますが、クリックすると別窓でオリジナルサイズの画像が現れます。さて、一昨年の歳入歳出一体改革で想定したように名目成長率が3.0%であれば、国と地方を合わせた財政のプライマリー・バランスは黒字になるんですが、上のグラフは名目成長率が2.2%だった場合の試算です。赤のラインが歳出削減14.3兆円のケースに対応し増税必要額は3.2兆円、青が歳出削減11.4兆円で増税必要額は5.8兆円、さらに、一昨年の歳入歳出一体改革にはなかったんですが、緑のケースは14.3兆円の歳出削減に加えて毎年度1兆円の追加歳出があるケースで増税必要額は6.6兆円に上ります。
昨日の経済財政諮問会議には舛添厚生労働大臣も臨時議員として出席し、2004年の年金制度改革、2005年の介護保険制度改革、2006年の医療制度改革などを強調しました。しかし、現在の福田総理大臣が自民党の総裁選挙に立候補した際に、政権公約として掲げたのは「希望と安心のくにづくり」で、そのひとつが高齢者医療費負担増の凍結でした。当時の麻生幹事長の政権公約「日本の底力-活力と安心への挑戦」が日本の経済社会の活力を引き出す方向であったのに対して、福田総理は社会的弱者への配慮をにじませたものと報道されたりしましたが、結果的に、財政負担を増大させるものと受け取る向きもありました。昨日の経済財政諮問会議で了承された試算を重ね合わせて見ると、福田内閣は社会的弱者への配慮や年金などの将来の安心のために増税に舵を切ったと考えるエコノミストがいても不思議ではありません。しかし、増税に舵を切る前に社会保障の増加をいかに抑えるかをもう少し真剣に検討するべきだと私は考えています。どうしてかというと、成長率を低めに見積もって増税を実施すれば、さらに成長率が下がる危険が大きく、悪循環に陥るリスクがあるからです。加えて、2005年に開催された財務省と国際通貨基金 (IMF) の共催になる国際シンポジウムでも海外の出席者から日本の高齢者は selfish で、社会保障支出が硬直的なのが日本財政のひとつの問題との指摘があったと聞いたことがありますが、私は日本の高齢者はそんなに selfish ではないと実感していますし、地域間格差がここまで拡大するくらいに公共事業を切り詰めているんですから、医療や年金なんかの高齢者向けの社会保障を改革する必要性も理解される可能性は十分あると思います。そうでなければ、このまま日本の財政は破綻コースを走りかねないと危惧しています。現在の福田内閣にはこの高齢者に対する歳出削減の視点が欠けているような気がしてなりません。私はかつてこのブログで市場の圧力にさらされていない4+2分野として、政府、教育、医療、宗教とオマケで農林水産業と特定の分野の中小企業を上げたことがありますが、我が国においては高齢者も大きな既得権益集団になりつつある気がします。
最後に、ついでのトピックになってしまったんですが、昨日、 国際通貨基金 (IMF) が World Economic Outlook を公表しました。米国のサブプライム・ローン問題に端を発するクレジット市場の流動性危機から、広範な国と産業への成長率の下押し圧力を勘案して、前回の見通しを下方修正しています。前回から上方修正されたのは原油価格上昇の恩恵を受ける中東くらいのものだったりします。特に、米国経済については、連邦準備制度理事会 (FED) が発表した地区連銀報告(いわゆるベージュブック)でも減速が確認されています。前の引用と同じく、 NIKKEI.NET のサイトから IMF 世界経済見通しについて最初のパラグラフだけを引用すると以下の通りです。なお、詳しい計数は引用の下の総括表をご覧下さい。クリックすると別窓で詳細が表示されます。
国際通貨基金 (IMF) は17日発表した最新の世界経済見通しで、米国の実質経済成長率を2007年、08年ともに1.9%と予想した。08年は今年4月時点よりも0.9ポイント下方修正し、下げ幅は主要国で最大。サブプライムローンの焦げ付きが増え、金融市場が動揺した悪影響が米国で最も色濃く表れるとみている。
ついでのついでに、ベージュブックに関するNIKKEI.NET のサイトからの引用は以下の通りです。これも最初のパラだけです。
米連邦準備理事会 (FRB) は17日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。9月上旬から10月上旬にかけて「米経済の拡大が続いたが、成長のペースは減速した」と総括。9月5日の前回報告より景気判断を下方修正した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が住宅市場を一段と冷え込ませているだけでなく、個人消費や企業生産にも打撃を与えつつあることをにじませる内容になった。
2007年10月17日 (水) 22:21:00
「ちりとてちん」に高まる個人的期待
この10月からNHKの朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」が始まりました。私は大いに期待しています。楽しみに見ていた人には申し訳ないんですが、今年度上半期の「どんど晴れ」が私にはもうひとつだったからです。私はNHKの朝の連続テレビ小説はいつも楽しみに見ているんですが、「どんど晴れ」だけは5月のゴールデンウィーク明けに見るのを止めてしまいました。まずは、その期待の大きい「ちりとてちん」のホームページから見どころを引用すると以下の通りです。
自信なし。特技なし。将来の夢なんてわかんない。
悩める“へたれ”な女の子、落語家をめざす!
好きなものにはまっしぐら!なのに、あと一歩の肝心なところで「もし上手く行かなかったらどうしよう」と立ち止まってしまう…。バラ色の未来を妄想しては、現実とのギャップに凹んでしまう…。
そんな心配性でコンプレックスだらけのヒロインが、高校卒業を目前に一大決心!故郷の福井・若狭から大阪へと飛び出し、そこで上方落語と出会います。
やがて彼女は落語家を志すことに。
等身大のヒロインが繰り広げる、恋あり涙あり笑いありの人情エンターテイメント。どうぞお楽しみください!
年度前半の「どんど晴れ」はヒロインの比嘉愛未さんを見た時に、失礼ながら、その前の昨年度後半の大阪局製作の「芋たこなんきん」の藤山直美さんと違って、いかにも朝ドラのヒロインらしさを感じて期待したんですが、私のブログの5月1日付けのエントリーでも紹介した通り、何せ、ストーリーがありきたりでつまらなくて、面白くは感じられませんでした。今度のヒロインの貫地谷しほりさんも見た目は朝ドラのヒロインっぽいんですが、何分、落語家を目指す3のセンですから、コミカルに出来ています。エーコの佐藤めぐみさんに対するビーコ役で、小学生時代はともかく、高校生になってからは対比が強烈になりました。配役の妙も感じます。それにしても、私くらいの年代になると、和久井映見さんや生稲晃子さんがこれくらいの年齢のヒロインの母親役なんだと、ついつい、自分の年齢も忘れて感慨にふけってしまいます。
今週から本格的に落語家との接点が出来ましたし、ストーリーの展開はこれからが見どころなんでしょうが、私は大いに期待を寄せています。何よりも見ていて面白いのは、主人公のビーコの勝手な妄想が画像で実写されることで、とってもマンガチックだと思います。エーコとビーコのかけ合いは、やっぱり大阪局製作の10年ほど前の「ふたりっ子」を思い出させるものがあります。でも、まだ高校時代しか見ていないんですが、エーコとビーコだけでなく、魚屋食堂の同級生の順子とのやり取りも、エーコに対するビーコのホンネを聞けるという意味で、興味深いものがありました。
なお、タイトル「ちりとてちん」の由来は三味線のメロディを擬音化した言葉なんでしょうが、上方落語に「ちりとてちん」という演題があります。江戸落語では「酢豆腐」と名を変えて演じられているそうです。知ったかぶりでいやみばかりを言う隣人に、ご隠居さんが一計を案じて、腐った豆腐を「これは長崎名物のちりとてちんだ」と言って食べさせるというお噺です。私は20年ほど前に亡くなった六代目の笑福亭松鶴師匠が演じているのをラジオで聞いた覚えがあるんですが、高校生くらいのころで記憶はとっても不確かです。
まだ始まって2週間余りで、私も見逃している放送もあったりするもんですから、やや過大な期待かもしれませんが、年度前半の朝ドラが私にはつまらなくて冴えなかっただけに、ついつい期待をしてしまっています。同時に、大いに応援もしています。
2007年10月16日 (火) 19:39:00
サンダルがボロくなり、職業選択のプライオリティについて考える
先日、役所で履いているサンダルがボロくなり捨てました。夏休みの海水浴に行く時のために一家でおそろいを買ったクロックスのサンダルを役所用にしてしまいました。このブログの今年7月24日付けのエントリーで写真を紹介したことを記憶しています。役所で使うサンダルは何でもいいので、新しいのを買おうかとも考えないでもなかったんですが、海水浴の後はまったく使っていませんでしたので、結局、新しいのを買うのもムダと考えてクロックスのサンダルにしました。別に、役所の同僚のオジサンに流行りものを見せびらかす意図はありません。
私は役所に入ったら、窓口業務で市民と接するわけでもありませんし、靴を脱いでサンダルに履き替えます。官庁のカルチャーにもよるんでしょうが、許容されている役所も多いと思います。私の役所の昔の上司でも、別の観点から、すなわち、よりファッショナブルにするようにとの観点から服装に文句をいわれたことがないわけではありませんが、極めてまれなケースでしたし、常識的な範囲で許容されているんだろうと思います。国家公務員の仕事の特徴のひとつは、余り窓口業務がない点も上げられると思います。住民に身近な地方公務員、特に市町村レベルの役所との違いだと言えるかもしれません。
私は京都の出身ですから、地域柄、観光に従事する職業の人の割合が高く、観光関係のお仕事は週末出勤する場合が多いことから、出来れば、週末をカレンダー通りに休める仕事がいいと考えていました。さらに、カレンダー通りはもちろんのこと、普通に昼間に働く職業のプライオリティが高かったことも当然です。24時間操業の工場勤務なんかはパスしたい方でした。ですから、経済学部の卒業でもありますし、銀行なんかを考えなくもなかったんですが、転勤が多そうでパスしました。実は、私の小さいころに、近くの銀行に勤務する銀行員さんで、京都北部の舞鶴から南部の私の近所まで通っている人がいて、これはタイヘンだと子供心に感じた記憶も影響したのかもしれません。どういう話題だったかというと、舞鶴から私の近所までは当時の国鉄で100キロ以上あり、100キロを超える定期券は発売してくれない、とかの話題だったと記憶しています。では、その銀行員さんはどうして通勤していたのかはサッパリ覚えていません。さらに、どうでもいいことですが、中学生になって時刻表を調べる機会があり、京都から舞鶴は100キロ足らずだと知って、アレはなんだったのだろうかと疑問に感じたこともありました。現在の中央省庁再編後の役所は違いますが、私が就職した時の親元官庁は地方局がなく、東京を離れる時は日本を離れることを意味すると聞かされていましたが、実際に、2度に渡って赤道を超えて南半球に転勤することになろうとは予想もしませんでした。でも、よくよく考えれば、日本で勤務している範囲では常に山手線の内側で、さらに中央線で考えて南半分から外のオフィスの経験はありません。加えて、外国勤務をしたといっても、チリとインドネシアの首都ですから、当たらずといえども遠からず、なのかもしれません。交通の便の良い場所にオフィスがありますから、東京に出て来てからは自動車は持たず、地下鉄なんかの公共交通機関だけでコトが済みます。ジャカルタは自動車での移動でしたが、サンティアゴではランチで出かける時なんかは地下鉄やバスを利用していました。それから外回りがないのも当時の役所の特徴です。今となっては古い考え方なんでしょうが、用があれば呼び付ければいいというのが役所の当時の考え方で、今でも一定は残っているような気がします。接待はもとより、外回りがないので、私は今でも携帯電話を持っていません。もっとも、携帯電話の使用目的はそれだけではないことは理解しているつもりです。
要するに、カレンダー通りの勤務の昼間の仕事で転勤や外回りの少ない職業ということで、国家公務員を選んだつもりなんですが、それなら、もっとお給料がよくて割りのいい仕事があったような気も、今さらながら、しないでもありません。また、ウワサによれば、単身赴任もまた楽しからずや、と聞くこともあります。でも、大学生の職業選択のプライオリティなんて、その程度なのだという気もします。
2007年10月15日 (月) 21:05:00
本年度2007年のノーベル経済学賞
さて、本題に戻って、ノーベル財団から発表された授賞の理由は "for having laid the foundations of mechanism design theory" ということで、以下の3人のエコノミストが受賞しました。ノーベル賞を受賞されるような大先生に申し訳ありませんが、敬称は略させていただいております。
- Leonid Hurwicz
University of Minnesota
b. 1917 - Eric S. Maskin
Institute for Advanced Study
b. 1950 - Roger B. Myerson
University of Chicago
b. 1951
Hurwicz教授はアロー教授や宇沢教授なんかと競争均衡の安定性にかんするペーパーを Econometrica などに発表されていたのは知っています。でも、お恥ずかしいですが、それ以上の知識はありません。今年は馴染みのない分野の受賞者でしたので、速報性を重視しました。
2007年10月15日 (月) 20:06:00
10月15日の本日の雑感
国会の論戦が続いています。衆参両院の予算委員会を NHK で中継しているので、役所でも流しています。テロ特措法の話題が一定の比率を占めていて、防衛大臣なんかが答弁に立つ機会も多くて、私は余りにも専門外なのでよく分かりませんが、経済に関する話題はどうも少ないように感じます。もう15年も前のことですが、1992年の当時の米国のクリントン大統領候補が "It's the economy, stupid." を選挙キャンペーンのスローガンとして繰り返していたのを思い出します。1期目を終えた直後の当時のブッシュ大統領がペルシャ湾岸紛争や外交を争点に取り上げたのに対して、当時のクリントン候補が経済を取り上げて大統領選挙に勝利したのは歴史的な事実で、米国の大統領選挙という政治の場面において経済の占める重要性が高いことを実感したものですが、現在の日本には当てはまらないのかもしれません。
それから、先日のこのブログのエントリーでもチョコッと取り上げましたが、昨日の鉄道の日に合わせて鉄道博物館がオープンしました。大宮の方にあるそうです。朝日新聞のサイトによれば、初日の昨日は、その前の土曜日から徹夜した熱心な鉄道ファンら約9400人が訪れ、長い時には約400メートルの列が出来たほどの盛況ぶりだったそうです。JR東日本が約120億円をかけて建設。延べ床面積2万8000平方メートルに実物車両など約58万点の展示物があるそうです。日本は狭い国土に鉄道が発達している国だという印象がありますから、コアな鉄道マニアも多くて鉄道博物館は人気が出そうな気がします。私も子供達を連れてそのうち行きたいと考えています。
最期に、中国共産党の党大会が今日から開幕しました。これも朝日新聞のサイトによれば、胡錦濤総書記・国家主席は活動報告(政治報告)において、貧富の格差拡大や環境汚染などの弊害を生んだ経済成長至上主義から脱却し、持続可能な発展を掲げた戦略思想「科学的発展観」の定着と「社会の和諧(わかい)=調和」の構築に全力を挙げる姿勢を強調し、経済目標として1人あたりの国内総生産(GDP)を2020年までに2000年の4倍にすることを表明したそうです。その昔の日本は10年で国民所得倍増計画だったんですが、20年で4倍増だそうです。アチラの国では "It's the economy, stupid." がまだ有効なスローガンとして通用するのかもしれません。
何となく、思いついたことを脈絡なくパラパラと書き飛ばしたので、まとまりのないエントリーになってしまいました。
2007年10月14日 (日) 21:50:00
クライマックス・シリーズ第2戦もボロく負けて、今年のプロ野球はおしまい
私は野球に打ち込んだこともないシロートですから、何をどう評価すべきなのか分かりませんが、直感的には先発投手陣の整備を上げたいと思います。ポストシーズンの最後の2試合の先発が最年長ピッチャーと新人なんですから、大リーグに行ってしまった井川はともかく、脂ののった年齢で背番号も小さい安藤、杉山、福原なんかはどこに行ってしまったんでしょうか?
キャンプからチームを立て直して、来年こそは日本一を狙えるチームになって欲しいと思います。私も含めて、阪神ファンはこれくらいの不出来では容易に愛想を尽かしたりしませんが、それに安住することなく、来年も優勝と日本一を目指して邁進して欲しいと思います。
がんばれタイガース!
2007年10月14日 (日) 17:58:00
ヒマな休日は久し振りにポケモン・カードゲームと人生ゲームで遊ぶ
今日は特にすることもないので、少し買い物に出かけます。午前中はボロくなって来たスニーカーを探します。これと見定めたモデルがあったので、上野まで出かけましたが、結局、見当たらず、次は適当なのを買おうと考えを改めました。どうせ、中年のオッサンが週末の普段履きにするんですから、特にこだわる必要もないと言えばそれまでです。それから、近所のコンビニで久し振りにビールを買い込みます。今夜のクライマックス・シリーズの勝利に備えます。でも、ひょっとしたら、今夜の試合は今年のタイガースの見納めになるかもしれません。それはそれで、30年以上もタイガースのファンを続けて来ているんですから、裏切られるのは慣れていたりします。
ついでに、一応、昨夜の試合の総括なんですが、やっぱり、先発投手がエラーもからんだ上に初回から打ち込まれて3点を失ったのがすべてだと言う気がします。先発・中継ぎともにピッチャーが打たれて、それに、守備陣のエラーもからんで、打撃陣はサッパリ打てないんですから、それでおしまいです。勝てるわけがありません。ですから、今夜のゲームの見どころはタイガースが先取点を取れるかどうかです。希望的観測も含めて、岡田監督なりに考えた抜いた末に、昨夜のバッティング・オーダーにしたんでしょうから、少なくともクリンナップまでは変更なしで今夜の試合を戦って欲しいと思います。これで打線に手を入れるようでは、何を考えているんだかサッパリ分かりません。
さて、午後からは、ヒマを持て余して下の子とこれまた久し振りにポケモン・カードゲームで遊びます。我が家の子供達はいろんなポケモン・カードを持っているので、いろんな種類のデッキが組めるんですが、今日は、下の子は草タイプのポケモンを主体にしたデッキで私と対戦します。私は2種類のデッキしか持っていませんが、下の子の指定で水タイプのポケモンを中心としたデッキを使います。ポケモンが前のアドバンス・ジェネレーションから今のダイヤモンド・パールのシリーズになって、新人トレーナーは基本ポケモンとして、水タイプのポッチャマ、草タイプのナエトル、炎タイプのヒコザルの3匹から選ぶことになりました。もちろん、これ以外にもピカチュウの雷タイプとか、いろいろとあるんですが、基本となるポケモンのタイプはこの3種類です。たとえば、今のアニメでサトシといっしょに旅をしているヒカリはポッチャマを選びました。そして、この3種類はコンドルセのパラドックスよろしく、3すくみになっています。論理的に考えて正しいと思うんですが、草タイプは水をかけられても平気ですから水タイプに強い一方で、炎で焼かれるのはダメージが大きいので炎タイプに弱くなっています。そして、炎と水では明らかに水が優位に立ちますから、見事な3すくみを形成しているわけです。すなわち、水<草<炎<水<草<炎 … と続くわけです。もちろん、サトシのパートナーのピカチュウのような雷タイプのほか、格闘タイプ、エスパーやゴーストなんかの超タイプなどがあり、相性の関係は複雑です。もうひとつ、ポケモンに限らないんですが、トレーディング・カードゲームはデッキを作る時点でかなり戦略的な思考を要します。今までのボードゲームは、囲碁・将棋・チェスなんかでは自分の持ち駒はハンディをつける時以外は常に同じか、あるいは、トランプなんかは常にランダムです。しかし、トレカのゲームの場合は自分で戦略的に考えてデッキを作るところからゲームが始まっているので、それはそれなりの面白さがあると思います。逆の見方をすれば、いいカードを持っていると勝てる確率が高くなるので、それはそれで不平等だったりしますが、不公平ではないと思います。世の中にはもっと不公平なことがいっぱいあります。
最後に、ダメ押しで今日も人生ゲームでも遊びます。おにいちゃんが勉強を終えたのを待ちかねたように下の子が誘って始まります。いつものように、おにいちゃんは頭の上に人生ゲームのパッケージを乗せて現われます。一家で人生ゲームを楽しむのは、私が数えている限りで今年7回目です。今日は下の子がトップになりました。私と女房は人生ゲームの教訓として、最初に決める職業がその後の人生のかなりの命運を決すると教えているんですが、今日の下の子は一番お給料の少ない職業だったにもかかわらず、いろいろとツキがあって勝ってしまいました。我が家の教育が大きく間違っているとは思いませんが、やや齟齬を来す結果となりました。
おっと、そろそろクライマックス・シリーズが始まりそうです。
2007年10月13日 (土) 21:28:00
クライマックス・シリーズ第1戦はボロ負け
3戦2勝で勝負が決まるんですから、初戦に負ければ即王手で、しかし、その次に勝てば逆王手、と言うのは戦う前からとっくに分かっていたハズです。でも、明日勝てばいいとは言いながら、何とか、パリーグのクライマックス・シリーズみたいに2-3点差のゲームをして、せめて、岩瀬投手を引っ張り出すくらいはして欲しかったです。コチラは久保田投手をムダに出して打ち込まれたんですから。先発投手もリリーフ陣も打線も、今夜は全部が全部さえませんでした。明日は打線の奮起に期待して、1回表に先取点を取りましょう!
がんばれタイガース!
2007年10月13日 (土) 18:18:00
おにいちゃんと理科教室に行って、モノレールと鉄道博物館について考える
今日は午後からおにいちゃんに付き添って理科教室に行きます。今日は循環と排出の第2回目で、心臓の働きだったそうです。昔の石油ストーブに灯油を入れるようなポリのポンプを使ってモデルの心臓を作ったみたいです。教室を出る時にポリ袋に入れて持ち帰りました。生物学的なクラスだったようで、私はこの方面に詳しくありません。
今日はなぜか電車の接続がよく、行きも帰りも私とおにいちゃんがホームに着く直前に電車が滑り込んで来ました。待合せの時間を節約できた反面、かなり駆込み乗車に近くなってしまい、大急ぎで地下鉄に乗り込みました。我が家からでしたら都営地下鉄の大江戸線で理科教室まで行くんですが、今日は、電車に滑込みで乗車したもので、最後部の車両に乗って、初めて知ったんですが、大江戸線は車掌さんなしでワンマン運転しているようです。おにいちゃんは私よりも大江戸線に詳しくて、テコンドーの道場に通っていた時なんかは、一人で大江戸線に乗っていたんですが、おにいちゃんも知らなかったと言います。車掌さんが発車ブザーを押す方式の東京メトロで通勤している私は、まったく知りませんでした。車掌さんなしのワンマン運転はゆりかもめとアチコチに出来たモノレールぐらいだと思っていました。モノレールで思い出しましたが、その昔に秋葉原近くの万世橋にあった JR の交通博物館が大宮から埼玉高速鉄道のモノレールで1駅のところに鉄道博物館として、確か、明日の日曜日にオープンするそうです。先日、大宮から通っている職場の同僚に聞いたんですが、埼玉高速鉄道は大成駅というのを鉄道博物館前だか何だか、鉄道博物館にちなんだ駅名に変更する力の入れようだそうです。私は馴染みがないもので、大成駅を「たいせいえき」と読んでしまって、「おおなり」であると訂正されてしまいました。ついでに、恥の上塗りで、埼玉高速鉄道のモノレールは南の方で多摩モノレールとつながっているのか、と質問してバカにされてしまいました。でも、さすがに、埼玉県民だったことはないんですが、千葉県民の経験はあるものですから、千葉モノレールとつながっていることはないだろうという程度の判断は出来ました。このモノレール3つとも第3セクターで運営しているので、それぞれの都内や県内しか走っていなくて、県境をまたぐことはないそうです。モノレールで大きく脱線しましたが、脱線ついでに、鉄道博物館について話を続けると、万瀬橋の JR 交通博物館のころには私も子供達を連れて行った記憶があります。ジャカルタから日本に帰国して半年ほどした2004年3月でした。0系の新幹線が入口の横にあるのが印象的でした。私も子供達も鉄道オタクというほどではないんですが、まあ、話のネタに鉄道博物館は行ってみたいと考えています。でも、明日のオープン初日はコアな鉄道オタクがいっぱい詰めかけるでしょうから遠慮して、半年ほどして少し話題に上らなくなってから訪れようと考えています。
下の写真は理科教室で白衣姿のおにいちゃんです。毎回の理科教室で、写真を撮る方の私も撮られる方のおにいちゃんも、おそらくは、ご覧になっている方々も、段々とどうでもよくなって来たんではないかと思いますが、何となく、惰性で撮り続けています。20年後くらいの結婚式なんかでネタにされるのがオチなんでしょうが、それはそれで小学生のころの思い出です。

2007年10月12日 (金) 20:01:00
秋が深まり、ジャカルタのハロウィンを想う
来週の10月17日に公表予定の国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通しのうち、第3章以降がネットで公表されています。日本の報道では第4章の "Globalization and Inequality" なんかが注目されているようです。それはさて置き、経済の話題は来週に回すとして、秋が深まるとともに、先日、我が家の玄関のドアにカボチャの飾付けがお目見えし、下の子なんかはハロウィンだと喜んでいます。そうです。10月31日はハロウィンです。

ジャカルタにいたころはアパートでハロウィンの催しがありました。治安の問題もあって、子供達がアパートの外に出るようなことはありませんでした。中庭にハロウィンらしく扮装した子供達が集まって記念写真を撮ったり、各戸を回って "Trick or Treat!" と言いながらお菓子を集めて回ったりしました。アパートと言っても、タワー A と B があって、かなりの部分が子供のいる200世帯くらいが暮らしていましたから、全部回りきるのはタイヘンだったろうと思います。我が家が住んでいたアパートはインターナショナル・スクールにかなり近くて、日本人学校に通うのも便利でしたから、住人の大部分が日本人をはじめとする外国人でした。そのアパート中をお菓子を入れる大きな袋を持った子供達が走り回っていた記憶があります。私はチリのサンティアゴにもいたんですが、独身で子供がいなかったせいもあって、チリのハロウィンはまったく覚えありません。キリスト教国らしい行事と言えば、クリスマスで大騒ぎしたことが印象的です。さて、話をハロウィンに戻すと、昨年は、青山通りで商店連合会の企画により AOYAMA ハロウィン・イベントがあり、下の子が参加しました。ドラキュラのマントとシルクハットで扮装して、商店街に登録されているお店をくまなく回りました。今年も MINATO あらかるとのイベント紹介のサイトによれば、10月26日の金曜日の夕方に同じイベントが開催されるようです。昨年はマントを引きずっていた下の子も、かなり背が伸びたように見受けられますので、私がマントのすそを持たなくても済むような気がしないでもありません。
よく知られている通り、インドネシアはイスラム教徒の比率が最も多く、人口比で80%くらいを占めると言われています。もちろん、宗教の自由は認められていると言われているんですが、無宗教は認められていません。何らかの宗教を信仰することが義務付けられているわけです。無宗教を許容しないのは、正確には宗教の自由とは言えないんではないかと私は考えているんですが、知り合いの中には共産主義に対する警戒感からそうしていると言う人もいます。ですから、観光による入国の際は構わないのかもしれませんが、我が家がジャカルタのアパートに入居した時、入居者全員の宗教を記入する欄があったりしました。このブログでも何度か表明しているように、我が家は一向宗の門徒、高校の教科書なんかに載っている表現だと、浄土真宗の信者ですから、仏教徒と記入しました。おそらく、私の想像ではアパートの半分くらいを占める日本人の多くは仏教徒と記入したんではないかと思いますが、その仏教徒の子供達がハロウィンのイベントを大いに楽しんでいるわけです。ですから、この週末はラマダン明けだと思うんですが、このラマダンなどよりは宗教色がとっても薄くて、日本人にも受け入れやすいイベントだという気がします。もっと言えば、宗教色という点では、私の直感的な印象なんですが、クリスマスよりもハロウィンの方が宗教的な色彩がより薄い気がします。もちろん、ラマダンの比ではありません。ですから、青山通りの商店街のようにハロウィンのイベントを催せば、かなり人気が出るように思うんですが、なぜか、日本ではハロウィンは盛り上がらないような印象があります。バレンタインデーがチョコレート業界の陰謀であるという説を耳にしたりしますが、ハロウィンを積極的に活用しないのは欲のないことかもしれません。せめて、ケーキ業界のクリスマス並みにならないものかと私は密かに期待していたりします。
秋から冬にかけてのキリスト教の行事はハロウィンとクリスマスがありますが、私はハロウィンの時期にはジャカルタの生活を、クリスマスの時期にはサンティアゴの生活を、それぞれ思い出してしまいます。何となく、週末前の軽い話題ということで、ネットで拾ったピカチュウの画像なんかも置いて、海外生活の思い出の日記に分類しておきます。
2007年10月11日 (木) 22:27:00
合理的な消費生活とは ?

今日発表された機械受注統計や国際収支などは市場予想の範囲内で、特にサプライズはありませんでした。機械受注は上のグラフの通りで、スラッとみれば少しピークアウト気味にも見えますが、内閣府の基調判断は変わらずで「一進一退」だそうです。だからと言うわけでもないんでしょうが、日銀の金融政策決定会合でも金利は据置きでした。反対票が2-3票入るかと思っていましたが、相変わらず1票だけでした。これもサプライズなしです。また、4月の S&P に続いてムーディーズによる日本国債の格付けの引上げの報道がありましたが、それがどうしたと言うカンジです。市場が動くようなタマではないような気がしますが、今日の東証の日経平均は元気よく上げて、17,500円に迫る勢いでした。でも、官庁エコノミストは相場には一喜一憂しません。それよりも、村上春樹さんがノーベル文学賞の選に漏れたことの方が私には大きなサプライズでした。
本日のニュ7-スの概観はさて置き、私自身は飲まないにもかかわらず、ついつい、夕刊各紙に出ていたビール消費量に着目してしまいました。いつもの NIKKEI.NET のサイトから最初のパラグラフだけを引用すると以下の通りです。
ビール大手5社が11日発表した1―9月のビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量(課税ベース)は3億6347万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、前年同期比1.3%減少した。現行の統計が始まった1992年以降で最低。8月こそ猛暑がプラスに働いたが、飲食店需要が下げ止まらず、7-9月でも同0.3%減にとどまった。
私はビールと発泡酒と第3のビールの区別は判然としないんですが、まあ、要するに、ビールの需要が減っているわけです。8月は猛暑だったので売上げが伸びたようで、9月も地域によってはかなり残暑が厳しかったので、それなりの売上げではないかと想像されるんですが、7-9月期の四半期でならすと前年比割れだそうです。
多くの人が知っているように、ビールとタバコとガソリンは税金の塊のようなもので、これらを消費するのは合理的ではないと私は考えています。得られる効用に比較して税金のために市場価格が大きく歪曲されているからです。ビールとタバコについては嗜好品なので、得られる効用が大きい人とそうでない人がいます。効用が大きい人にとっては受け入れられる価格であっても、そうでない人には重い税金を負担するのは合理的ではありません。ガソリンの主たる用途である自動車については、公共交通機関の発達した地域に住む人には必要不可欠なものではありません。私なんかはお給料が安い、すなわち、機会費用の低い公務員をしていますから、電車やバスなんかの公共交通機関で十分だと考えています。
海外旅行なんかに行って外国で買い物をするようなケースは別にして、日本国内での消費を考える場合、貿易財と非貿易財の区別の重要です。世界で競争している貿易財は非貿易財に比べてお安くなっているのは事実です。さらに、人件費の比率なんかも関係するのではないかと思います。例えば、インドネシアのジャカルタなんかの人件費の安いところでは、牛肉なんかの素材の価格はそんなに日本と変わりない場合もあるんですが、それに手が加えられて行ってレストランで出されるお料理になると、日本よりも格段にお安くなる経験をしたころがあります。逆に言って、人件費の高い日本では素材を買って自分で処理するほうが安上がりな場合もあるんではないかと思います。1人当たり GDP の大きな先進国で DIY が流行するのも当然です。
なんとなく、まとまりのないエントリーになってしまいました。税金や人件費の比率に関係なく、当然に、各経済主体は市場の相対価格に従って合理的な消費行動を行っていると考えられるんですが、一時流行した家計のリストラのように、自分自身の嗜好に基づきつつも、相対価格で有利な財を選択するという方向で、より合理的で豊かな消費生活が送れるような気がしないでもありません。
2007年10月10日 (水) 19:55:00
経済見通しはどうしてリークされるのか ?
私のブログでも少し触れましたが、来週10月17日に国際通貨基金 (IMF) が世界経済見通しを公表する予定になっています。ホームページで明らかにしていたりします。でも、ダウ・ジョーンズ通信からキャリーして、日経新聞がすでに「米成長率を1.9%に大幅下方修正へ・IMF、サブプライム響く」と題して、今日の午後2時過ぎの記事としてネットで流したりしています。いつもの NIKKEI.NET から引用すると以下の通りです。
国際通貨基金(IMF)が来週発表する世界経済見通しで2008年の米国の実質成長率を大幅に下方修正する見通しになった。ダウ・ジョーンズ通信は9日、IMFが7月時点の予測である2.8%から0.9ポイントも下げて1.9%にすると伝えた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きの拡大やその後の金融市場の混乱を深刻にとらえたためとみられる。
同通信は欧州や中国の見通しも下がり、世界経済全体の成長率は当初予想の5.2%から4.8%になると報じた。
IMF の見通しそのものについては正式に発表されてから、場合によっては取り上げたいと思いますが、経済見通しはリークされるものだという観点から、今夜のエントリーでは考えてみたいと思います。と言うのは、我が国の政府経済見通しも必ずと言っていいほど事前にリークされているように見受けるからです。ただし、お断りなんですが、官庁エコノミストを自称するくらいですから、公務員として日本の政府経済見通しについては言葉を濁します。悪しからず。
まず、指摘しておきたいのは、政府にせよ、国際機関にせよ、経済見通しはかなり高い確度で常にリークされていますから、毎回の見通し作業で何らかの秘密保全上のミスが必ず起こっているとは考えにくいことです。すなわち、意図的にリークされている可能性が考えられます。もちろん、安全保障に携わる公務員よりも官庁エコノミストの方が秘密保全にはルーズであろうとことは容易に想像できますし、スパイじゃあないんですから、取材するメディアの方でも経済ニュースの方に熱心になる可能性は排除できません。ですから、何らかの秘密保全上のミスによって漏れている可能性を否定するものではありませんが、少なくとも、私が公務員になってから毎年暮れの政府経済見通しはほぼ例外なく閣議決定の前に新聞などで報道されていますので、何らかの意図的なリークの可能性もあり得るんではないかという気がしないでもありません。
しかし、他方で、リークしておいて世間の反応を見てから見通しを変更するのかと言えば、そうでもないようです。おそらく、今回の IMF 見通しもおそらくダウ・ジョーンズ通信が報じた通りの計数で来週に公表されるんではないかと思います。ですから、意図的にアドバルーンを上げるとの説は成り立ちにくいような気がします。そもそも、意図的にリークした内容に変更を加えるのであれば、メディアの方で取り上げてくれなくなる可能性が高まると考えられますから、意図的にリークする効果が大きく減殺されます。
要するに、もしも意図的なリークなのであるとすれば、私にはその趣旨がまったく分かりません。せっかく取り上げておきながら申し訳ありませんが、単に、エコノミストは経済見通しを作成したら、正式な公表の前であろうと後であろうと、誰かにしゃべりたい人種なのかもしれません。
2007年10月09日 (火) 20:02:00
米国雇用統計と景気ウォッチャー調査から考える景気と金融政策の動向
先週の金曜日に米国の雇用統計が発表されました。9月の非農業雇用者数は前月比で11.0万人増と、市場の予想であった10.0万人増にほぼミートしました。さらに、4年振りにマイナスをつけた8月の統計が上方改定されて、8.9万人増になりました。7月も上方改定されています。日本の今年4-6月期の GDP 統計は1次速報の+0.1%から2次速報で-0.3%に下方改定されましたが、この逆のようなカンジがしないでもありません。8月統計が-0.4万人から+8.9万人に大幅改定された要因は、新学期入りに備えた教員の雇用を過小推計していたのを是正したと説明されています。でも、金融市場関係者には米国の連邦準備制度理事会 (FED) が利下げしやすくなるように捏造した、との説もあったりします。まさかとは思いますが、噂は噂です。取りあえず、ヘッドラインの計数は以下の通りです。単位は前月比の千人増減です。四半期の計数は月単位で平均してあります。
2007年 | 1-3月 | 4-6月 | 7-9月 | 7月 | 8月 | 9月 |
---|---|---|---|---|---|---|
前回公表値 | +142 | +126 | +97 | +68 | -4 | n.a. |
今回公表値 | n.a. | n.a. | n.a. | +93 | +89 | +110 |
9月が11.0万人増とまずまずの結果だったのに加えて、7月と8月が上方改定され、しかも、改定の大きな部分が州政府の教員だったわけですから、民間雇用は堅調との印象を受けることになります。予想以上に強い内容と見ることも出来ると思います。しかし、もう少し長い目で見ると、エコノミストによって少し見方は違いますが、米国の雇用は2005年年末から2006年前半にピークをつけて、ゆっくりと下り坂になって来ています。今夏のサブプライム問題による信用収縮を受けた金融業界のリストラの今後の進展に加えて、雇用が景気循環の中でも遅行指標であることを考え合わせると、米国の雇用は今しばらく悪化することは明らかです。9月単月の計数から、米国の雇用が最悪気を脱して上向きになったと判断するのは気が早いと考えられます。特に、9月は雇用者がかなり増加したにもかかわらず、失業率は0.1%ポイント上昇していたりします。

それから、今日の午後に内閣府から景気ウォッチャー調査結果が発表されました。景気の現状判断指数は上のグラフの通りです。現状判断は41.7(前月比2.0ポイント低下)、先行き判断は45.8(前月比0.3ポイント低下)と、いずれも50割れの水準となっています。内閣府の発表にある食料品価格の引上げや残暑による秋物衣料の売行き不振に加えて、所得要因として、賃金の伸び悩みや定率減税の廃止が判断悪化を招いているんではないかと私は考えています。夏場のボーナスはまずまずと言われていたんですが、中小企業では減少しているとの調査結果もありますし、私のブログでも4月4日に取り上げましたが、今夏のボーナスは増えたのか減ったのか、判然としません。それから、この景気ウォッチャー調査も米国の雇用統計と同じで、グラフを見ると明らかなんですが、2006年年初をピークにゆっくりと下向きになっているような気がします。
他方、米国とともに日本でもそうなんですが、短期の在庫循環は今夏がボトムと考えられていました。もっとも、米国の場合はサブプライム問題なんかにより、ボトムが後ズレして、さらに、以前に考えられていたものよりも深くなることは十分予想されるんですが、基調としては2-3四半期後には在庫循環は上向きに転ずる可能性が十分あります。特に、日本では、いわゆる IT 在庫の調整はほぼ終了したと考えられています。生産サイドの動きを考え合わせると、日本の7-9月期の GDP 成長率はかなり大きくリバウンドすると見通しているエコノミストもいたりします。逆に、このまま景気後退に入る可能性もなくはないんでしょうが、米国の雇用統計を見る限りは、その可能性はやや薄れた気がしないでもありません。目先の話では過度の楽観説は根拠がないような気がしますが、逆に、1-1年半先の悲観説も少し違うような印象がなくもありません。別の言葉でいえば、景気動向は自律的には在庫循環の上向き局面に向かう可能性が少し高まった気がしますが、それだけに、マクロ政策のかじ取り次第とも言えます。特に、金融政策です。私が恐れている可能性は、日本では金融政策の動向に及ぼす消費者物価のウェイトが景気よりも大きいんではないかということです。
目先の動向については金融政策に影響される部分が大きいんですが、日米とも、年内くらいのスパンでは簡単に景気が反転する実感はなく、特に、米国では政策金利の引下げにより景気を下支えする可能性が高い一方で、日本は制度的な携帯通話料引下げにより消費者物価が0.3-0.5%ポイントくらいの大きな影響を受けるとの見方が正しいとすれば、先日のエントリーで述べたように、一般物価水準には大きな変化がないにもかかわらず、日銀の金利引上げにブレーキがかかり、景気後退入りする可能性がより低くなるのではないか、と私は考えています。逆に、昨今報道されているような食料品価格のメーカーサイドでの引上げが小売段階に浸透するようなことになれば、日銀も金利を引き上げやすくなるような気がしますから、部分的ながら実質購買力の低下と金利引上げが日本経済にダブルパンチの影響を及ぼすことも考えられ、景気後退入りする可能性はやや高まるような気がしないでもありません。
2007年10月08日 (月) 17:00:00
雨の3連休最終日は家でゆっくりする
今日は、特に外出の予定もなく家でゴロゴロします。一昨日、昨日と外に出歩いて、学校公開日は立ったままで、子供達の教室を回ったり、昨日は昨日で、下の子が理科教室の野外実習に行ったのをお迎えに行って、長々とバスが戻るのを立ったまま待っていたりで、立ってじっとしていることが多かったので、少し腰に負担を感じてゴロゴロと布団に横になっていることが多かったです。
1年半ほど前に腰を痛めた時は、今の出向先のボスの行きつけのお店の背もたれのない丸イスに長時間座っていて腰に鈍痛を感じてしまいました。その時は、時折、中座しては歩き回ったりした記憶があります。腰痛の現れ方は人によってさまざまなんでしょうが、私の場合は、じっと立ったままでいたり、あるいは、背もたれのないイスなんかに座ったりすると、腰に負担を感じてしまうことが経験的に多いようです。立っている時でも、歩いていれば腰には悪くないような気がします。もちろん、普通にソファやイスにかけているのも平気です。逆に、もっとも腰にやさしいのは横になって寝ている時です。もっとも、少し前までは柔らか過ぎるベッドなんかは、やや負担だったんですが、外国生活を終えて日本に帰国してからは、そもそも、柔らかいベッドにお目にかかることもなくなったので、和式の布団に寝ていれば何ら問題はありません。
中年に達した数年前から、若いころには考えられなかったようなことで、肉離れなんかのケガをしたり、腰痛になったりしますので、当然のことではあるんでしょうが、今後は気をつけたいと思います。我が家の子供達は明日までお休みですが、私は普通のサラリーマンですので出勤します。
2007年10月07日 (日) 20:01:00
子供達を理科教室に連れて行く
今日は、子供達を理科教室に連れて行きます。おにいちゃんも下の子もどちらもですが、当然ながら、学年が違いますから同じクラスではありません。まず、下の子は今日はまたまた富士山に行って、気温と気圧変化の野外実習です。関西人の私には東京の人がここまで富士山を好きなのが、なかなか理解できなかったりします。それはともかく、朝早くにバスで出発します。バスで富士山に登るにつれてポテトチップスの袋が段々と膨らんで行くのとか、いろいろと勉強して来るそうです。もっとも、下の子は遠足気分でお弁当とオヤツを持ってご機嫌です。今日は秋晴れで天気もよくて雨の心配もないので、遠足としては最高の日和だと思います。でもやっぱり、しっかり勉強らしきこともして来て欲しいです。下の写真はバスに乗り込むのとバスの中で点呼を受ける下の子です。なお、背中に背負っている黄色と黒のリュックは先日のボーイスカウトの上進式で表彰された時の副賞のリュックです。とっても大事にしています。
下の子を送り出してから、一度、私は家に帰ります。おにいちゃんの理科教室のクラスはいつもの建物で午後からです。今日も女房が外出したので、取りあえず、理科教室の最寄りの駅まで行ってから、近くのマクドナルドで昼食にします。先週の木曜日までで月見バーガーが終了したので、適当に、いつものハンバーガーで昼食を済ませます。今日のおにいちゃんの方の理科教室のテーマは循環と排出だそうです。この方面は詳しくないんですが、人体や動物なんかの生物学的な内容のようです。かなり早めに着いてしまったので、先生と肌荒れチェックのような装置で遊びます。先生によるとマイクロスコープだと言うんですが、 microscope なら顕微鏡のことだし少し違いますね、などという少し間の抜けた会話を交わしたりします。下の写真は、そのマイクロスコープを操作するのと、いつもお馴染みの白衣姿のおにいちゃんです。
おにいちゃんの帰りは女房がお迎えに来てくれるので、私は適当に時間を潰します。マンガ喫茶に入ってマンガを読んだりして過ごします。最近は、マンガ喫茶に入る機会もめっきり少なくなりましたので、ゴルゴ13をまとめて読んだりします。
最後に、夕方に富士山から戻った下の子を乗せたバスが着くので、私がお迎えに行きます。富士山の上の5合目くらいまで上り、中に、平地よりもやや気圧の低い状態の富士山5合目のやや薄い大気が入ったビンとかをお土産で持ち帰ります。家に帰ってから私にも見せてくれます。リュックも大切そうに扱っています。

2007年10月06日 (土) 16:51:00
小学校の学校公開日に行く
今日は、子供達の通う小学校の学校公開日でした。実は、今週は火曜日からずっと学校公開日だったんですが、平日の昼日中は仕事がありますから、学校公開日の最終日の今日に行きました。今週は3連休明けで火曜日から小学校が始まりましたので、今日の土曜日まで授業を続けたのは、当然ながら、私のような平日に仕事のあるサラリーマンに配慮したものでしょう。結果として、我が家の子供達は世間一般とは1日ずれて明日から3連休が始まります。従って、来週の登校日は3日しかありません。それはともかく、青山に引っ越して、我が家の子供達も今の小学校に転校して、今までのところ、毎年度の初めの方の4-5月、半ばの10月、年度終了間際の2月の年3回の学校公開日に私は欠かさず小学校を訪ねています。
我が家の子供達は小学3年生と5年生ですから、偏ることなく交互に見て回ります。偶然の一致なんでしょうが、どちらの教室にも俳句が掲示してありました。下の子の教室には遠足でアスレチックに行った時の俳句で、季語が入っていないので川柳に近いんでしょうが、遠足やアスレチックが面白かったことを五七五に詠んであります。上の子の教室には秋の俳句が並んでいました。3年生と5年生ですから出来栄えは歴然たる差があるんですが、5年生の教室には秋の季語の一覧のようなものも張り出してありました。少なくとも、俳聖と呼ばれる松尾芭蕉の時代にはなかったであろう季語で、「運動会」というのが秋の季語なんだと初めて知りました。しかし、我が家の子供達の通っている小学校は運動会を5月に終えていますので、文句を言った子供がいたであろうと想像して、少し微笑ましくなりました。
それから、昨年、創立100周年の節目を迎えた小学校ですから、今年はこれを記念する企画も拝見しました。それによれば、在校・卒業生として、岡本太郎さん、安岡章太郎さん、北杜夫さん、オノ・ヨーコさんの4人が顔写真入りで展示されていたりしました。ほかにも有名人がいそうな気がしますが、一応、小学校の展示室に顔写真入りで紹介されていたのは、この4人でした。それから私の目を引いたのは「読書の木」なるもので、小さな葉っぱに見立てたメモに小学生がごく簡単な一言読書感想文を書いて貼り付けてあるものです。校庭への通路にありました。「ファーブル昆虫記」や「シートン動物記」のような古典的な博物図書に始まって、これまた、古くからの子供向け小説の名作である「注文の多い料理店」や「15少年漂流記」や「ビルマの竪琴」などもありました。少し新しくなると、我が家の子供達も大好きな「ハリー・ポッター」や「ダレン・シャン」に加えて、「デルトラ・クエスト」なんかもありました。これらはシリーズものですので、最新刊を中心に、いくつか葉っぱがありました。まったくどうでもいいことですが、現在、Wikipedia の「デルトラ・クエスト」のページはいろんな角度からの書込み合戦の最中で、保護扱いになっているようなことを聞きました。なお、アニメになってテレビでも放送されているそうです。さて、話を「読書の木」に戻しますと、最近、映画なんかで話題になった本もいくつかありました。このカテゴリーだけ著者名を入れて紹介すると、あさのあつこさんの「バッテリー」、竹田津実さんの「子ぎつねヘレンののこしたもの」、Mr. E.B. ホワイトの「シャーロットのおくりもの」、島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」なんかです。いずれもや小学生くらいの少年少女が主人公になったお話なんだろうと思います。
今日は、小学校の方も配慮したのか、3-4時間目は1-6年生までを漏れなく含んだ縦割り班による「ロング集会」なるものが企画されて、子供達は大縄、輪投げ、ボーリングなんかを楽しんでいました。授業中の写真を撮るのは気が引けたんですが、校庭での大縄の写真を何枚か撮りました。実は、このブログでは紹介しませんでしたが、5月のゴールデンウィークに京都に帰省した折に、下の子が幼稚園のころに運動会でリレーのアンカーになった話をした際、私から見た京都の叔父さんが「吉岡の家系でリレーのアンカーなんかになったのは聞いたことがない」と言って、我が家は武ではなく文の家系であることを控えめに表現したことがありました。今日、我が家の子供達が大縄を跳ぶ姿を見て、また、私自身の小学校時代を振り返って、改めて、我が家の家系の DNA を再発見するような思いでした。
下の写真は大縄に挑戦する我が家の子供達です。
2007年10月05日 (金) 22:24:00
いいお天気の週末は忙しい ?
我が家の子供達の4週連続3連休シリーズはこの週末で終わります。週末3連休はエコノミストの目から見れば、個人消費の活性化につながるような気がしないでもありません。私は大昔に季節調整について勉強したことがありますが、さすがに、3連休が多い少ないまで季節調整してくれるプログラムは聞いたことがありません。センサス局法の X-12 ARIMA でも曜日調整とか、2月のうるう年調整くらいまでではないかと思います。
閑話休題。
先月9月12日に当時の安倍総理大臣が突然の辞意表明をしてから、私の親元官庁なんかでは、時ならぬ作業がいっぱい舞い込んで来たりして、もともと、国会対応は進めていたものの、3連休が多すぎて、逆に、通常営業日が少なくて、やや、諸般の準備に時間が足りなかったとこぼしている部局もあるようです。でも、さすがに、内閣改造も小幅でしたし、新しい秘書官を発令したところは少ないように聞きます。着任早々の大臣が内閣改造を経ても変わりないのに、秘書官だけを新しく発令するのは誰の目にも不自然だと思います。
この週末は土日までがいいお天気のようです。我が家でも土日は2日とも出歩くことにしています。もっとも、一家バラバラに出歩くことになりそうです。私はもっぱら子供達の付添いです。
2007年10月04日 (木) 20:06:00
一般物価水準は何によって決まるのか ?
このブログの9月28日付けのエントリーでも取り上げた通り、先週の金曜日に総務省から発表された消費者物価 (CPI) は8月の全国のヘッドラインで-0.1%の下落となり、7ヶ月連続のマイナスを記録したところですが、最近、エコノミストの間では携帯電話通話料の値下げと食品価格の引上げが話題になっているようです。携帯電話については総務省の検討結果に基づいて、高額の販売促進費で1円携帯として携帯電話機を事実上無料で配布した後、高額の通話料が発生しかねない問題が指摘されており、電話機を値上げして通話料金を引き下げるものです。通話料金の引下げは各種割引制度の拡大ではないかといわれているんですが、料金体系の抜本的な変更だという説もあり、今月中に各社から詳細が発表されるらしいです。なお、携帯電話機のハードの値上げと通話料の値下げがセットになっているんですが、消費者物価指数統計の1万分比で見て、移動電話通話料が208を占めるのに対して、移動電話機は4ですから、ウェイトは通話料金の方が圧倒的です。通話料の引下げを最大限目いっぱいに見込むと、消費者物価に引き直して-0.3%くらいの引下げ要因になるとの試算結果もあり、消費者物価のマイナス幅が広がることから日銀の再利上げに影響を与えかねないと懸念する向きもあります。それから、食品の値上げは小麦・大豆・トウモロコシなんかの原材料価格の上昇と生産段階で使われる石油価格の上昇に起因するといわれています。いろんな加工食品の値上げは、一例として、ネットで拾った画像を以下に示しておきます。表を見ても分かる通り、単純な価格引上げとともに、価格を据え置いた上で量を削減するという手法も取られているようです。ヘドニックで物価指数を算出するのであれば、当然に値上げと同じ計算結果をもたらします。

それでは、携帯通話料金の引下げと食品価格の値上げはどのような影響を一般物価水準に及ぼすのでしょうか?
その前に、まず、総務省の消費者物価指数に関する Q&A によれば、実態把握が難しいために家族割引、使用年数による割引、契約年数の条件付プランの3つは採用していないようです。統計的な正確性を担保するためには覆面調査員によるリストプライス調査にならざるを得ませんから、これは多くのエコノミストは仕方がないと考えています。それに、携帯電話各社の値下げ内容の発表がまだなので、割引制度で対応するのか、料金体系を変更するのか、詳細は不明ですし、さらに、実際に消費者物価が計算される時にはどこまで算入されるのかに至ってはまったく明らかではありません。特に、私は携帯電話を持っていないので料金体系なんかも馴染みがありません。さらに、私の同業者のエコノミストでも、大きく計算する人とほとんど影響を認めない人の両方がいます。もっとも、明らかなバイアスがあって、先行き弱気派として、この先物価は上がらないし、日銀も利上げに苦労するだろうと考えているフシのあるエコノミストは携帯通話料金の引下げの影響を大きく見て、消費者物価の下振れリスクを重視する傾向にあり、逆は逆で、日銀応援団とまでは言わないまでも、先行き強気派で日銀の利上げに理解を示す向きは、この携帯通話料の影響を小さく見ているような気がしないでもありません。要するに、我田引水で自分の主張に都合よく解釈しているわけです。別の視点から見ると、政府統計でも業界統計でも多少のブラックボックスは存在するわけで、エコノミストの業界でまったくガラス張りの透明性を誇っているのは内閣府の景気動向指数ぐらいのものかもしれません。
他方、食品価格の方はメーカーサイドで値上げしても、流通段階で吸収されてしまう可能性があります。日銀が発表する企業物価指数 (CGPI) がプラスを続けているのに対して、消費者物価 (CPI) がマイナスを続けている一因は、出荷価格が引き上げられても流通段階で価格上昇が吸収されているからに他なりません。例えば、イオン・グループでは「生活応援宣言」と称して、イオン直営のジャスコなど約380店舗で生活必需品やその季節に購買頻度が上昇する商品約100品目の価格を凍結すると発表しています。出荷段階で価格が引き上げられたとしても、消費者物価は小売店における店頭価格の調査ですから、流通段階で価格上昇が吸収されてしまって店頭価格が引き上げられないのであれば消費者物価指数の統計に反映されないのは当然です。
経済学のもっとも初歩的かつ典型的な議論として、価格と数量はそれぞれのカルテシアン座標における右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線の交点により決まる、というのがあります。需要曲線は買い手=消費者の嗜好の変化などによりシフトし、供給曲線は技術革新などによりシフトします。さらに、ご注意いただきたいのは、タイトル通り、今夜のエントリーでは個別商品価格ではなく、一般物価水準を取り上げていることです。この2点を総合すれば自然と理解されるように、一般物価水準は総需要曲線と総供給曲線の交点で決定されます。別の言葉でいえば、一般物価水準はマクロの需給ギャップに反応します。もちろん、需給ギャップだけでなく、販売行動や購買行動にインプルメントされるであろう期待の影響も受けます。いずれにせよ、マイクロのレベルで決定される個別商品の価格は、相対価格の変化をもたらすことはあっても、マクロの一般物価水準に決定的な影響力を持ち得るとは私は考えていません。もちろん、消費者物価指数は統計ですから、個別の商品価格をウェイトに従って積み上げることにより計算されます。その意味で、個別商品価格は消費者物価指数の統計を動かすんですが、経済的に意味のある家計の最適化行動において、個別の商品価格の引上げは相対価格の変化として価格弾力性と財の間の代替の弾力性に応じた影響を及ぼすだけであって、控えめに言っても、マクロの総所得と総支出に及ぼす影響はかなり小さいと言わざるを得ません。これは、相対価格が変化しないケース、すなわち、すべての商品価格がいっせいに10%値上げされた、とか、デノミの場合を想定すれば明らかだと思います。もちろん、所得を含めて単なる呼称が変更されるだけのデノミと違って、所得が変化なくて商品価格だけが一律で変化する場合は価格弾力性に応じた最適化行動になると考えられますが、時間はかかるものの、所得が価格の水準まで調整されるでしょうから、タイムパスを別にすれば結果はデノミと同じことだと考えることも出来ると思います。
今夜のエントリーでは、同業者のエコノミストのみなさんが熱っぽく分析している携帯電話通話料の引下げと食品の値上げについて、ナナメから、かつ、冷たく、そんなの関係ネエ、と取り上げて見ました。ブログでは定量的な論証が難しくてデノミなんかを持ち出した直感的な議論なんですが、マイクロな個別商品価格である携帯電話通話料の引下げや食品の値上げは相対価格を変化させるのみであり、むしろ、需給ギャップや期待こそがマクロの一般物価水準を決定する、というのが私の結論です。なお、この結論を受け入れるかどうかは別にして、議論の流れをご理解いただけたのでしたら、食品の値上げは困る、とか、ガソリン価格が高いのはケシカラン、携帯電話通話料が下がるのは助かる、とかいったようなコメントやトラックバックはご遠慮下さい。今夜のエントリーはそんなことを取り上げているのではありません。
2007年10月03日 (水) 20:00:00
米国シティ・グループによる日興の完全子会社化は大合併時代の到来の前触れか?
今日の全国新朝刊各紙は1面で米国のシティ・グループが日興コーディアル・グループを三角合併を活用して、完全子会社化すると報じています。もっとも、ジャイアンツが優勝して大喜びの読売新聞だけは原監督の胴上げ写真が大き過ぎて、このニュースが2面に追いやられていました。阪神ファンかつエコノミストの目から見れば、かなり奇異な紙面構成と感じました。それはさて置き、いつもの NIKKEI.NET から最初のパラだけ引用すると以下の通りです。
米シティグループは2日、傘下の日興コーディアルグループを完全子会社化すると発表した。日興は来年1月にも東京証券取引所などで上場廃止となる。シティは日興の経営権を完全に掌握し、日本での事業展開を加速する。子会社化の手法では日興株主にシティ株を割り当てる株式交換方式を採用。5月に外国企業に解禁された三角合併の事実上、初の事例となる。シティは本体が東証に上場する計画も明らかにした。
まず、おさらいなんですが、三角合併とは会社の吸収合併の際に、消滅会社の株主に対して現金や存続会社の株式ではなく、存続会社の親会社の株式を対価として交付する M&A の手法で、1999年の会社法の改正により国内会社間の合併においてはすでに解禁されています。今年5月から外国の会社についても解禁されました。実際の流れは、外国企業A社が、日本企業X社を買収する場合、まず、外国企業A社は日本に100%子会社のB社を設立し、B社が外国企業A社の株式を対価として日本企業X社の株主から株券を取得します。ポイントは日本企業X社の株式を買い取る対価がB社の親会社である外国企業A社の株式であることです。一対一の吸収合併ではなく、存続会社の親会社もこの M&A に関与しますので、三角合併と呼ばれています。もっとも、税法上の適格合併となるためには、ペーパーカンパニーではなく事業を営んでいなければならないとか、いろいろと条件をクリアしなければなりません。さらに、三角合併のためには 2/3 の特別議決が必要となります。今回のシティによる日興の吸収合併は、日興コーディアルの不祥事などもあって早い段階から予想されていたことであり、現時点で、シティは日興の68%株主ですから特別議決も何ら問題ありません。米国のサブプライム問題でやや業績が悪化しているシティがキャッシュフローに影響を及ぼさず、さらに、時間的に迅速に子会社化できるので、手法として三角合併を選んだといわれています。この場合も明らかなんですが、私が8月2日付けの「日本経済を支えるのはミドル・マネジメントか、トップ・マネジメントか?」で取り上げたように、三角合併は TOB などで過半数の株式を押さえた後に、100%完全子会社化するための手段だと言うことが出来ます。
なお、今日の東証の日経平均は一昨日からの堅調な地合いを続け、3日続伸で終わりました。昨日のNYダウが下げたにもかかわらず、後場になって騰勢を強めて今日の日経平均の終り値は久し振りに17,200円に迫りました。その中で、日興コーディアルの株価は朝からストップ高の200円高、1,662円をつけました。もっとも、これは三角合併を好感してと言うよりも、シティが三角合併の対価として日興株を1,700円で評価したからで、明日の寄付きで1,700円をつけて、そこでピタリと止まるんだろうと思います。カラクリはそんなところですが、それにしても、一般的に、M&A は企業価値を引き上げるとの期待から、株式市場においては株価の引上げ要因となることは確かです。逆に、例のソース会社の場合なんかは典型的なんですが、株式を希薄化させるような買収防衛策を取った場合には正直に株価は下がります。
外国企業への三角合併の解禁とともに、日本企業は外資なんかに吸収されるのを極度に恐れているんですが、吸収合併されるのを防止するためにベストの方法は企業の時価総額を上げることです。高い買い物にすればいいわけです。企業の時価総額とは大雑把に言って株価×発行済み株式数で、発行済み株式数を増やせば希薄化につながるだけですから、株価を上げるような経営をするのがベストということになります。自社株式買いで消却することも含まれていいかもしれません。しかし、もっとも望ましいのは企業の持てるリソースをフルに有効活用して、株価を引き上げることであることは言うまでもありません。他方で、会社自体を大きくする方策も模索されているように聞きます。昨年、失敗に終わった製紙会社の合併なんかも、生産ラインの有効活用とともに、会社の規模を大きくして外資に吸収合併されないようにするのも誘因のひとつと言われたりしました。大きな外資に吸収合併されないようにするために、国内の同業他社を取り込んでおいて、自社の時価総額を大きくする手法と言えるかもしれません。手っ取り早いことは認めますが、経営を効率的にする質的な手法ではなく、量的な拡大手法との批判が出る可能性は否定できません。少なくとも、社会的厚生の観点から疑問を呈するエコノミストがいそうな気がします。
話がそれてしまいましたが、いずれにせよ、世界的な M&A の流れに沿うべく三角合併などの制度を整備してみても、お粗末な日本のトップ・マネジメントの方でこれに対応できず、より大きな合併を回避するために小さな合併を利用するような状況が続くんであれば、もしそうなんであれば、三角合併に解禁が大合併時代の到来をもたらすことはないでしょうし、ひいては、現時点でも十分に出遅れていると評価するアナリストもいる中で、M&A 相場と標榜されるような世界的な株式市場の活況にますます日本が取り残される危険すらある気がしないでもありません。
2007年10月02日 (火) 20:29:00
ハリー・ポッター第7話「死の秘宝」のネタバレ第2弾
8月30日にハリー・ポッターの第7話「死の秘宝」のネタバレ第1弾で分霊箱 (horcrux) を取り上げてから、すでに1ヶ月以上がたってしまい、私も忘れかけた部分があったりしますので、そろそろ第2弾に取り組みたいと思います。言うまでもありませんが、今夜のエントリーもネタバレがいっぱいですので、読み進む人はそれなりの自覚の下で読み進んで下さい。また、薄れつつある記憶をたどって書き飛ばしましたので、当然のことながら、内容の正確性については無保証です。
今夜のテーマは第7話の発売前に大いに話題になった、誰が死ぬか、です。と言うのは、発売前から話題を盛り上げるためでもないんでしょうが、作者のローリング女史が「主要登場人物のうち2人が死ぬ」と発言し、これがハリー、ロン、ハーマイオニのトリオのうちの2人ではないかと受け止められていたからです。しかし、発売されて第7話を読むと、特に、最後のエピローグを見れば明らかなんですが、このハリーとロンとハーマイオニのトリオは死にません。主人公は死なないという古典的な原則が維持されています。エピローグは19年後と題されていますから、このトリオも30代後半の中年に差しかかっているわけで、ハリーはロンの妹のジニーと結婚し、結婚と出産の後に死亡したルーピン先生とトンクスの遺児テディを長男として養子にしたのを含めて、次男ジェームズ、三男アルブス・セブルス、長女リリーの4児の親になります。名前の由来は明らかでしょう。ダンブルドア校長先生とともに、スネイプ先生がこの本で重要な役割を果たしたことを暗示しています。それから、これも想像されていた通り、ロンとハーマイオニが結婚し、ローズとヒューゴという子供をもうけます。
それから、第7話で死ぬんではないですが、ダンブルドア校長先生とハリーの名付け親のシリウス・ブラックは生き返りません。生き返りませんが、何度かハリーとコンタクトを取ります。なお、ダンブルドア校長先生については、8月30日付けのエントリーで取り上げた分霊箱のうちのゴーントの指輪を第6話「謎のプリンス」で破壊したわけなんですが、その際に、ダンブルドア校長先生は呪いを受けます。杖腕が黒く萎えてしまったのはすでに明らかな通りで、さらに、1年後に死ぬと言う呪いでした。スネイプ先生が手を尽くしますが、どうにもなりません。ダンブルドア校長先生はこの1年後の死の呪いを逆手に取った形で、呪いで死ぬ前に不死鳥の騎士団であるスネイプ先生のカモフラージュのために、第6話の最後にスネイプ先生の手にかかって死ぬことになるわけです。
さて、それでは、以下に死んでしまう登場人物を不死鳥の騎士団と死喰い人とその他に分類して掲げます。大雑把に話が進む順番にしたつもりなんですが、やっぱり何となくで、死喰い人側のトップはヴォルデモート卿にしましたし、その他にも、順序についてはやや記憶が不確かな部分がありますのでご容赦下さい。
- 不死鳥の騎士団
- マッドアイ・ムーディー
- フレッド・ウィーズリー
- ルーピンとトンクス夫妻
- スネイプ先生
- 死喰い人
- ヴォルデモート卿
- クラッブ
- 狼男グレイバック
- ピーター・ペティグリュー (ワームテール)
- ナギニ
- その他
- ヘドウィグ
- ドビー
- コリン・クリービー
- スクリムジョール魔法大臣
- スプラウト先生
まず、消去法ではないんですが、私が見落としている場合は別にして、上のリストにある以外の主要な登場人物は死にません。もちろん、ハリー、ロン、ハーマイオニのトリオは死にませんし、ネビル・ロングボトムやルーナ・ラブグッドなんかも生き残ります。フレッドを除くウィーズリー家の面々もロンを含めて死にません。ハグリッドとピーブスとマクゴナガル先生は最後の戦いの後で、ピーブスはやや違ったやり方ですが、ホグワーツ校を立て直すのに尽力することが示唆されています。死喰い人の側では、ドラコ・マルフォイは大怪我をしながらもマグル式の手術で助かり、Scorpius と言う男の子の父親になったりします。
リストに戻ると、まあ、正確に言えば、ナギニやヘドウィグは動物ですし、ドビーも屋敷僕ですから人間かどうかは疑わしいんですが、一応、リストには入れてあります。一番最初に死ぬのは、ハリーが17歳になる時点で魔法の保護 (protection) が切れることから、ダーズリー家から移動する際に、死喰い人からの攻撃によりヘドウィグとマッドアイ・ムーディーが死にます。ムーディーはヴォルデモート卿に殺されます。なお、ここで脱線してしまうと、ヘドウィグは英語の原書を読んで初めて知ったんですが、メスです。日本語訳でもどこかに出て来るのかもしれませんが、私の記憶にはありません。英語の原書では she her her の女性の人称代名詞でで受けています。それから、ついでなんですが、最後に死ぬのはスプラウト先生です。不死鳥の騎士団と死喰い人の最後の決戦の場となったホグワーツ校での戦いの帰趨が決した後、死喰い人の攻撃によってではなく、お亡くなりになります。お歳でしたので老衰かもしれません。これまた脱線なんですが、スプラウト先生がお亡くなりになった後、ホグワーツ校に残って最後の戦いでダンブルドア軍団のリーダーとなっていたネビル・ロングボトムがホグワーツ校の薬草学の教授職を襲います。
スネイプ先生と一部を除いて個々の登場人物の詳しい死亡の状況は割愛します。多くはホグワーツ校を舞台とする最終決戦で死にます。割愛する理由は、長くなるのとコリン・クリービーのようにいきなり遺体が運ばれたり、死んだことを知らされるだけの人もいるからです。ホグワーツ校での最終決戦以外では、例えば、8月30日の分霊箱のエントリーでサラッと言及したんですが、ゴイルとともにドラコ・マルフォイの手下をしているクラッブはホグワーツ校の必要の部屋にあったレイブンクローの髪飾り (diadem) を偶発的に破壊してしまい、その呪いで死んだりします。もっとも意外だったのはドビーです。7月10日のエントリーで取り上げたマグルネットの「みんな集まれ! ハリー・ポッター7 前夜祭」に従えば、屋敷僕のドビーは最も死ぬ確率が低くて、スコアは200だったと思うんですが、このドビーが死んでしまいます。もっとも、マグルネットのこの本も、ルーピン先生とトンクス夫妻が死ぬことは的確に予想していたりしました。それはさて置き、ドビーについては、死喰い人の本拠地となったマルフォイ家のマナハウス (manor house) にハリーが捕まった時に、ハリーを助けるために、同時に、ドビーの主観的な願望としては、かつてのご主人であるマルフォイ家を守るために犠牲となります。最後に、何と言ってもスネイプ先生です。スネイプ先生の最期は壮絶な失血死で、ヴォルデモート卿のペットのナギニに殺されます。疑いの余地なく不死鳥の騎士団の一員でした。スネイプ先生は死ぬ前に記憶を噴出させ、ハリーはハーマイオニからフラスコを受け取って蓄えます。ハリーを見つめて 'Look...at...me...' と言いながら、母親にそっくりと言われるハリーの緑の瞳と目が合って死んで行きます。スネイプ先生が残した記憶から、スネイプ先生はハリーの母親であるリリーとその妹のペチュニア叔母さん姉妹の幼馴染みで、ペチュニア叔母さんもハリーのことをとってもかわいがっていた過去が明らかにされます。スネイプ先生はヴォルデモート卿からリリーを守れなかったことを後悔して、その息子であるハリーを命をかけて守り抜くとダンブルドア校長先生に誓ったことも記憶から知れました。スネイプ先生の守護霊 (patronus) はリリーを示唆する雌鹿だったりします。後半を中心に、第7話はほとんどスネイプ先生が主人公と言ってもいいほどです。
長くなるのでこれくらいにしておきますが、この後は、出来れば、ネタバレ第3弾として、タイトルとなっている3つの「死の秘宝」とともに親の愛情について横断的に取り上げたいと思います。人物的にはスネイプ先生が主人公と言っても過言ではないほどの第7話「死の秘宝」なんですが、トピック的には随所に親の愛情、特に、母の愛が散りばめられています。ハリーの母親のリリーは言うに及ばず、家族を守ろうと不死鳥の騎士団を裏切りながらもフレッドを殺されたモリー・ウィーズリー、ドラコを助けようとするナルシッサ・マルフォイなどです。もっとも、すでに明らかになっているように、ルーナ・ラブグッドには母親がいませんので、何と発音するのか正確には知りませんが、第20章のタイトルとなっている Xenophilius Lovegood (¿ゼノフィリアス・ラブグッド?) と言う名の父親がいます。このルーナの父親が魔法界ではよく知られた「三兄弟の物語 (The Tale of the Three Brothers)」を第21章でハリーたちに話して、第21-22章で第7話のタイトルとなっている3つの「死の秘宝 (The Deathly Hallows)」が明らかにされます。
出来るだけ早めにアップしたいと考えています。
2007年10月01日 (月) 23:10:00
クライマックス・シリーズ出場決定おめでとう
ここで、しつこく私は主張したいです。もう2位通過は諦めて、疲れた選手を休ませましょう。今夜は中日が広島東洋に負けて、セリーグの順位がほぼ確定したように思います。名古屋ドームでの中日戦がややツラいのは理解しますが、ムリをして選手の疲れが溜まるともっと悲惨なことにもつながりかねません。ここは、JFK や赤星外野手、鳥谷内野手なんかを休ませて、その代わりと言ってはナンですが、今夜みたいに途中で引っ込めるんではなく、今岡内野手をこき使いましょう。
クライマックス・シリーズも、
がんばれタイガース。
蛇足ながら、goo ブログのみなさんにはトラックバックが飛びません。失礼しますので、ご理解のほどを。
2007年10月01日 (月) 19:47:00
日銀短観から設備投資の見通しと格差問題を考える
今朝、9月調査の日銀短観が発表されました。夕刊各紙は本日午後の福田総理の所信表明演説を1面トップに据えつつ、短観のニュースも1面のどこかで報じていました。おおむね、高水準横ばいで先行きには懸念、との報道振りが多かったような気がします。大企業製造業の業況判断DIは6月調査に比べて横ばいの23、大企業非製造業は22から20に悪化しました。しかし、中小企業は相変わらず低空飛行が続いていて、中小企業非製造業はナイマス幅を拡大していたりします。また、先行きの見通しは大企業製造業を中心にやや弱含むとの結果でした。ここで、ちょっとした注意事項なんですが、このパラの前半部分では対比させる目的で、大企業と中小企業しか取り上げていませんが、日銀短観ではその間に中堅企業というカテゴリーがありますのでご注意下さい。本論に戻って、いつもの NIKKEI.NET から最初のパラだけを引用すると以下の通りです。
日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス23と前回6月調査に比べ横ばいだった。一方で中小企業は原材料価格の上昇などが響き悪化した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響はひとまず限定的で、設備投資が堅調さを保つなど景気は粘り腰をみせている。

日経新聞でも注目点は設備投資とのことだったんですが、報道では粘り腰と表現しています。経済を表す言葉として初めて見たような気がしないでもありません。それはさて置き、日銀短観の設備投資計画はあくまで本年度内のフォワードルッキングな計画ですから、バックワードルッキングな統計である4-6月期の法人季報統計調査の結果と照らし合わせて注目されていました。結果は引用にもある通り、6月調査と比較して順調に上方修正を続けています。もっとも、中小企業は前年度比マイナス計画なんですが、それでも、マイナス幅が小さくなっていることは事実です。さて、設備投資で注目すべき点は2つあると私は考えています。第1に昨年や一昨年と比べたモメンタムの低下です。すなわち、本年度の設備投資計画はヘッドラインの全規模・全産業で前年度比+4.9%と、6月調査からは+1.7%ポイントの上方修正となったんですが、一昨年度9月調査の+6.8%や昨年度9月調査の+8.3%を下回る結果となっています。増加基調を維持しているといえるんですが、そのモメンタムは低下しているように見受けられます。第2に、本年度最初の四半期である4-6月期の法人企業統計調査結果との乖離です。4-6月期は耐震構造疑惑などに端を発する構築物の建築申請審査の遅れなどから、設備投資が落ち込んだんですが、このまま年度計画を実現するためには、どこかの四半期でスパイクする可能性があります。なお、設備投資計画についてはこの日銀短観とともに、政策投資銀行設備投資研究所や他の機関の調査結果も同じような傾向を示しており、どこかで設備投資がスパイクして、景気ウォッチャーの目がかく乱されるのではないかと懸念する向きがないわけではありません。
引き続きの注目点は大企業と中堅・中小企業との格差が拡大傾向にあることです。私は格差問題については、基本的に、企業ごとの景況感は世界的な分業体制に、いかにして比較優位を発揮できる形で自社を組み込んでいるかに依存していると考えています。エコノミストによっては、もっと狭義にグローバル化への対応やグローバル市場へのアクセスを上げる向きもありますが、基本的には同じ方向感覚に基づいた考え方だと思います。その意味で、地域間格差については、大都市の方が地方より有利な立場にあり、規模間格差については、大企業の方が中堅・中小企業より有利な立場にあることは確かなんだろうと言う気がします。他方、生産要素のモビリティを考えると、自然人に体化した労働よりも、法人に蓄積されている資本の方がモビリティが高いのは明らかです。分かりやすく言うと、労働者よりも企業の方が何らかの悪条件に対して逃げ足が速いわけですから、その有利な分だけ、資本の収益率が高くなる一方で、労働の賃金率が上がらない現象が起きているわけです。ですから、地域間格差については、混雑状況が外部不経済を生じないギリギリまで労働が大都市に集積し、さらに、規模別格差については、労働と資本の双方が中小企業から大企業に移動する必要があるのかもしれないと、ほのかに感じ始めています。もっとも、労働のモビリティが高くないことについては留意する必要があります。前者の地域間格差については、少し研究成果を取りまとめたことがあるんですが、後者の規模別格差については直感的にそう感じているだけです。最後に、昨年の同じ時期にアップした10月3日付けのエントリーと同じで、今回の短観も見方によって、どうとでも読み取れる結果だっただけに、今日の夕刊の見出しにあったように、高水準と先行き懸念とどちらを重視するかは、論評するエコノミストの景況感が自然とにじみ出るような気がします。私自身は先行き懸念派ですから、ほぼ同義で弱気派なのかもしれません。たとえマーケットが落ち着いても、日銀の再利上げは年内は難しいとの知り合いのエコノミストの見方が正しいような気がしないでもありません。
2007年10月01日 (月) 08:45:00
ボーイスカウトの赤い羽根の共同募金
今日10月1日は都民の日です。昨年は10月1日がちょうど日曜日に重なっていましたので気づきませんでしたが、我が家の子供達の通う小学校はお休みです。そこで、昨年も行きましたが、我が家の下の子はボーイスカウトの奉仕活動の一環で、赤い羽根の共同募金のお手伝いをします。お手伝いというより、駅頭に立って募金を呼びかけるんですから、募金のメインの活動なのかもしれません。私はいつもの通り下の子をスカウト活動の集合場所まで連れて行きます。ちょうど、集合場所の神社は私の通勤経路に位置しています。昨年、ウチの子は地下鉄の駅の出口を出たところ、ちょうど交番のある目の前で募金を呼びかけていました。今年は10月1日が平日なので、私は朝方少し年休を取って写真を撮りに行こうかと思いましたが、下の子が拒否の姿勢を示しましたので諦めました。その代わりと言っては何ですが、集合場所の写真は以下の通りです。

みなさんのお近くでも、ボーイスカウトが赤い羽根の共同募金を呼びかけていたらご協力をお願いします。なお、少なくとも我が家の近くの小学校は都民の日でお休みですので、小学生を学校にも行かせずに募金活動をさせていると、あらぬ疑いをもたれないように、併せて、お願いします。私は写真を撮りに下の子にくっついて行く目的で、朝方だけ年休を申請してしまいましたので、もう少しゆっくりしてから出勤します。