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2019年02月28日 (木) 19:52:00

3か月連続で減産が続く鉱工業生産指数(IIP)と小売業販売額の伸びが物価上昇に追いつかない商業販売統計!

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲3.7%の減産を示しており、また、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.6%増の11兆8280億円、季節調整済み指数の前月比は▲2.3%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産、3.7%低下 輸出減が響く、基調判断引き下げ
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比3.7%低下の100.8だった。低下は3カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中心値(2.5%低下)を大幅に下回った。中国向けの輸出の減少などが響いた。2018年1月(100.8)と並び、1年ぶりの低水準だった。
生産の基調判断は「緩やかな持ち直し」から「生産は足踏みをしている」に下方修正した。経産省は「3カ月連続で低下し、事前の想定より大幅な低下となったため」と説明している。
業種別では、15業種中12業種で低下した。自動車工業は8.6%減となった。一部自動車メーカーが生産を一時停止した影響や、年始に工場稼働日数を例年より少なくしたメーカーがあったことが影響した。輸出減が重荷となり、生産用機械工業は9.8%減だった。半導体メモリーなど含む電子部品・デバイス工業は8.4%減だった。中国の景気減速の影響が出た。
出荷指数は4.0%低下の99.2と、2カ月ぶりに低下した。自動車工業、生産用機械工業など13業種が低下した。
在庫指数は1.5%低下の101.6と、3カ月ぶりに低下した。電気・情報通信機械工業など8業種が低下した。
製造工業生産予測調査によると、2月は5.0%上昇、3月は1.6%の低下だった。ただ、経産省が予測誤差を除去した先行きの試算では、2月は0.4%上昇にとどまっている。
経産省は「3月まで大幅な上昇は見込みにくい」との見通しを説明した。
1月の小売販売額、0.6%増 基調判断は下方修正
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、1月の小売販売額は前年同月比0.6%増の11兆8280億円だった。一方、季節調整済みの前月比は2.3%減だったことを踏まえ、経産省は小売業の基調判断を「一進一退の小売業販売」と、前月までの「緩やかに持ち直している」から下方修正した。
業種別では自動車小売業が6.0%増だった。新型の普通車や輸入車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は2.6%増で、風邪対策のマスクの販売が増えた。燃料小売業は2.0%増だった。一方、各種商品小売業(百貨店など)は5.1%減となった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計は3.0%減の1兆6322億円で、既存店ベースでは3.3%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.6%増の9564億円だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、1月の鉱工業生産は、昨年2018年11月から3か月連続の減産を示しました。中華圏の春節が2月上旬に控えていたとはいえ、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲2.5%の減産を見込んでいましたので、これをさらに下回ったことになります。しかも、3か月連続の減産ですから、これも引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「緩やかな持ち直し」から「足踏み」に明確に1ノッチ下方修正しています。1月の生産を業種別に少し詳しく見ると、輸送機械工業(除く自動車工業)、無機・有機化学工業、石油・石炭製品工業で増産した一方で、まさに我が国のリーディング・インダストリーである自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業などで減産を記録しています。特に、自動車工業や電気・情報通信機械工業の2業種は1月に急落しており、外需に起因すると私は受け止めています。また、製造工業生産予測調査に従えば2月は前月比+5.0%の増産、3月は▲1.6%の減産が示されていますが、調査のバイアスを考慮すると、2月の増産幅は+0.4%であり、レンジでは▲0.6~+1.4とゼロをまたぐ試算結果ですので、減産もあり得るという意味で、目先の短期については、基調判断通りに鉱工業生産は足踏みないし停滞が続くものと覚悟すべきです。ただし、その先の春先や年央以降については、東京オリンピック・パラリンピックに向けた公共事業や中国の景気回復に伴う輸出増などから、景気と連動性高い鉱工業生産ですが、このまま景気後退局面に入る可能性は高くないと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は消費者態度指数のグラフと同じく景気後退期です。ということで、小売販売額については、ヘッドラインの季節調整していない原系列の統計での前年同月比ではプラスを1年超で続けているものの、これは名目の売り上げであり、1月統計で+0.8%に達しているコア消費者物価(CPI)上昇率を考え合わせれば、1月統計で+0.6%の小売業販売額の伸びは物価上昇に追いついていない、という感じがしなくもなく、加えて、今後、国際商品市況における石油価格の低下とともに物価上昇率がさらに低下し始めると、小売売上額も同時に増加率が減速しそうな気もします。だから、というわけでもないんでしょうが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では小売業販売の基調判断について、前月までの「緩やかに持ち直している」から「一進一退」と鉱工業生産と同様にこれも明確に1ノッチ下方修正しています。経済産業省のサイトにアップされている「小売業販売額の基調判断」を私が見る限り、季節調整済の系列で見た小売業販売の3か月後方移動平均がかなりのマイナスに低下したのがひとつの判断材料だったのか、という気がします。
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2019年02月27日 (水) 19:33:00

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2019年1月)の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、帝国データバンクから2月21日に「人手不足に対する企業の動向調査」(2019年1月)の結果が明らかにされています。サイトには、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 正社員が不足している企業は53.0%で1年前(2018年1月)から1.9ポイント増加し、1月としては過去最高を更新した。業種別では「放送」(76.9%)が最も高く、次いで「情報サービス」(74.8%)、「運輸・倉庫」(71.9%)が続き、3業種が7割を超えた。以下、「建設」「飲食店」「家電・情報機器小売」など6業種が6割台となった。また、「飲食店」は1年前の32位から5位まで上昇し、正社員の不足感は急速に強まっている
  2. 非正社員では企業の34.4%で人手が不足していた(1年前比0.3ポイント増)。業種別では「飲食店」の84.1%(同9.8ポイント増)が不足と感じており、依然として突出した高水準が続いている。「飲食料品小売」「娯楽サービス」などの接客業が上位にあがった。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてで1年前を上回った
  3. 人手不足の回答別に2019年度の企業の賃金改善見込みを分析したところ、「非常に不足」では67.5%の企業で賃金改善の予定が「ある」と見込んでおり、「不足」が67.6%、「やや不足」が59.6%で全体の55.5%をそれぞれ上回った。また、「適正」が52.0%、「過剰計」が41.4%でそれぞれ全体を下回り、人手不足感が強いほど賃上げに積極的である結果となった


ということで、リポートから、いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから、最近3年間の1月時点における 従業員の過不足感 のグラフを引用すると上の通りです。。正社員の人手不足割合は前年から+1.9ポイント増加し、1月としては過去最高を更新しています。最初に引用した調査結果の概要などにもある通り、業種別では「放送」(76.9%)が最も高く、次いで「情報サービス」(74.8%)、「運輸・倉庫」(71.9%)が続き、3業種が7割を超え、以下、「建設」「飲食店」「家電・情報機器小売」など6業種が6割台を記録しています。そして、非正社員について見ると、業種別では「飲食店」の84.1%が突出した高水準となっています。続いて、「飲食料品小売」や「各種商品小売」あるいは「娯楽サービス」などの接客業が上位を占めています。また、企業規模別では、正社員・非正社員ともに「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」の順で不足感が大きくなっており、中でも「中小企業」は昨年2018年10月から5割以上の高水準で推移しています。

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最後に、このブログでも2月21日付けで取り上げた「2019年度の賃金動向に関する企業の意識調査」と照らし合わせて、2019年度に賃金改善見込みが「ある」割合 (正社員) のグラフを引用すると上の通りです。見れば明らかなんですが、正社員の「不足」計では61.6%が賃金改善の予定が「ある」と見込んでおり、全体(55.5%)を+6.1ポイント上回った一方で、「適正」は52.0%で▲3.5ポイント、「過剰」計(41.4%)は▲14.1ポイント、それぞれ全体を下回っています。人手不足が賃金上昇の圧力となっていることがうかがえます。
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2019年02月26日 (火) 21:19:00

リクルートジョブズによる1月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

今週金曜日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、1月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を簡単に見ておきたいと思います。
と思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の1月度平均時給は前年同月より+2.6%、28円増加の1,046円を記録しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+49円、増減率+4.7%)、「販売・サービス系」(+32円、+3.2%)、「製造・物流・清掃系」(+26円、+2.5%)、「フード系」(+23円、+2.4%)など全職種で前年同月比プラス、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、直近の2018年9~10月は前年同月比でマイナスを続けたものの、11月統計では前年同月比プラスに転じて、1月統計でも前年同月より+3円増加、増減率+0.2%の1,657円を示しています。職種別では、「IT・技術系」(前年同月比増減額+39円、増減率+1.9%)、「オフィスワーク系」(+27円、+1.8%)、「クリエイティブ系」(+11円、+0.6%)の3職種がプラス、他方、「営業・販売・サービス系」(▲2円、▲0.1%)と医療介護・教育(▲3円、▲0.2%)がマイナスとなっています。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用には注視が必要、と考えるエコノミストも決して少なくなさそうな気がします。
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2019年02月25日 (月) 21:13:00

引き続き+1%をキープする企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率!

本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て8か月連続の+1%以上の+1.1%を示しています。1.1%は前月と同じ上昇率で、67か月連続のプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業向けサービス価格、前年比1.1%上昇 67カ月連続プラス
日銀が25日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.9で、前年同月比で1.1%上昇した。前年同月比での上昇は67カ月連続。企業の人手不足で人件費が高騰しているほか、一部大手企業による新聞・テレビ向け広告出稿の増加が上昇に寄与した。上昇率は前月(昨年12月)から横ばいだった。
前月(105.4)からは0.5%の下落となった。年明けに低調になる傾向が強い、宿泊サービスの売り上げ減などが響いた。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、前年比で価格(消費税の影響を除く)が上昇したのは83品目、下落は27品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は56品目で、差し引きでのプラスは26カ月連続だった。
日銀の調査統計局は「労働需給の引き締まりで堅調な伸びが続いているが、この伸びが続くのか今後注視していく必要がある」としている。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は昨年2018年6月から今年2019年1月統計まで8か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、今年度に入ってから、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていることになります。加えて、5年半の57か月連続でプラスを記録しています。ただし、企業物価(PPI)や消費者物価指数(CPI)ほどではないにしても、SPPIについても、やっぱり、ある程度、エネルギー価格の影響はあります。ただ、PPIやCPIよりはSPPIの方がより人手不足による賃金動向に敏感であろうことは容易に想像できます。本日公表の1月統計について少し詳しく前年比寄与度の前月からの差を見ると、12月統計で下がった広告がテレビ広告や新聞広告などにより+0.11%と盛り返しています。また、労働者派遣サービスなどの初サービスもわずかながら+0.03%の寄与を示しています。逆に、移動電気通信やソフトウェア開発などの情報通信が▲0.08&、また、郵便・運輸が▲0.05%のマイナス寄与となっています。ただし、運輸・郵便については、石油価格下落の影響ガツ用印象で、外航タンカーや国際航空貨物輸送などのマイナス寄与が目立っています。今後、4月の価格改定や春闘などにおける賃金交渉の動向が先行き物価にどのような影響を及ぼすか注目です。
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2019年02月24日 (日) 18:27:00

日本気象協会による2019年桜開花予想やいかに?

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先週2月21日に、日本気象協会から2019年桜開花予想が明らかにされています。上の画像はいわゆる桜前線です。日本気象協会のサイトによれば、ポイントは以下の3つのようです。

2019年桜開花予想
  • ◆開花が最も早いのは、福岡で3月16日!
  • ◆名古屋3月19日、東京20日、大阪22日に開花予想!
  • ◆3月前半にかけて全国的に気温が高く、開花は平年より早い!


最後のポイントに見られるように、2019年の桜の予想開花日は、今冬が暖冬だったことなどから全国的に平年より早いところが多く、九州の一部を除いて平年より2日から1週間ほど早い見込みだそうです。
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2019年02月23日 (土) 11:24:00

今週の読書は経済の学術書から小説まで計8冊!!!

今週は、いろいろあって、時間的な余裕があり、テキストや学術書をはじめとする経済書など、小説まで含めて、以下の8冊を読んでしまいました。来週はもう少しペースダウンし、その先、3月になればもっと読書は絞り込んでいきたいと考えています。

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まず、大垣昌夫・田中沙織『行動経済学』(有斐閣) です。2014年の初版に続いて、増補改訂版ということで新版としての出版です。著者のうち大垣教授は慶應義塾大学経済学部の、まさに、行動経済学の研究者であり、田中女史はニューロエコノミクスの専門家のようです。ということで、大学の学部後期の学生を大将にした行動経済学のテキストです。もちろん、大学や大学院のレベルによっては、大学院修士課程でも使えそうな気がします。どうでもいいことながら、私が地方大学の経済学部に出向していた折には、「経済財政白書」を学部3~4年生向けの副読本に指定していたんですが、教員によっては大学院修士課程や博士前期課程のテキストとして用いている場合もあると指摘された記憶があります。行動経済学に戻って、本書では、行動経済学について合理的な経済人を前提としない経済学、のように定義していますが、本書の著者も認めているように、合理的と経済人は同義反復であり、循環的な定義である気もします。まあ、それな目をつぶるとしても、合理的でない経済活動、あるいは、それを現実の実験で確かめる経済学ですから、かなりの程度に確率的な経済行動を前提とする点は、本書で何ら明記されていませんが忘れるべきではありません。本書では、支払い意志を表すWTPと放棄する代償価格を表すWTAの概念から始めて、もちろん、アレのパラドックス、ツベルスキー=カーネマンのプロスペクト理論、セイラーの心理会計、時間割引の指数性と双極性などに議論を進めつつ、プロスペクト理論の参照点の決まり方やシフトの可能性などについての疑問点も明らかにしています。そして、行動経済学の応用分野として幸福の経済学に言及しているんですが、私の常々の主張として、主観的な幸福度は経済政策の目標とすべきではないと、改めて強調しておきたいと思います。本書でもニューロエコノミクスの観点から、幸福度と脳内分泌物質、よく覚えていないんですが、ドーパミンとか、セロトニンとか、オキシトシンとか、の関係が分析されていますが、主観的な幸福度が経済政策の目標になってしまうと、こういった脳内分泌物を促進する薬物を配布するのが経済政策の目標になりかねません。ですから、この観点から主観的な幸福度を政策目標とするにはまだ議論が成熟していないと私は考えます。もう1点、本書の著者の1人はニューロエコノミクスの専門家なんですが、選択理論や幸福度の脳内反応を考える必要がどこまであるかについて、私はまだ疑問が大きいと感じています。別の表現をすれば、脳内活動がブラックボックスのままでも選択理論や幸福度を分析できるんではないか、と私は考えています。まあ、科学者の常として、可能な範囲ですべてを明らかにしたい、という欲求は理解しますが、神の視点は場合によりけりであって、人間の視点からはブラックボックスのままでも十分な分析に耐える場合が少なくないと私は達観しています。

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次に、佐々田博教『農業保護政策の起源』(勁草書房) です。著者は北海道大学の政治学の研究者です。タイトル通りに、明治以来の農業政策を振り返り、現在のような農業保護政策の起源を探っています。その「起源」という場合、著者は明示していませんが、私には2種類の「起源」を探求している気がしています。すなわち、歴史上の起源と農業保護政策の依って立つ理論上の起源、すなわち、本書の用語でいえば、合理的選択論か構造主義制度論か、ということになります。本書では理論上の「起源」というか、根拠については前者の合理的選択論は、役所の直接的なグリップによる政策を実行していないことを論拠に否定的な見方を示しています。そして、本書のスコープは第2時世界大戦までで、そこで少し前までの食料乖離制度が確立した、ということになっていますが、基本的に、第6章でも明らかにしているように、戦前と戦後は連続説に近い見方が示されています。私のようなエコノミストの目から見て奇異に感じたのは、本書の議論はもっぱら政策決定過程だけに着目していて、そのバックグラウンド、すなわち、農業政策に関していえば、食料需給やその価格、あるいは、輸出入と貿易収支などです。私の直感では、戦前は「糸を売って米を買う」貿易でしたし、戦後の現在まで「車を売って油を買う」貿易です。ですから、貿易による輸出入は見逃してはならない視点ですし、需給に従い価格の動きも忘れるべきではありません。わずかにそれに目が届いているのが第4章冒頭の米価に関する部分です。そして、結論としては、小農主義と協同主義が結合して、徳川期までほぼ自給自足だった農業ないし農村に資本主義の波が押し寄せ、農業ないし農村が搾取され疲弊していることから、優秀な軍人の調達にも絡めて、農業ないし農村における資本主義を改造しようという試みではなかったか、との議論を展開しています。しかし、本書でもさすがに何度も繰り返されている通り、農村の疲弊の大きな要因のひとつであった不在地主による寄生的な地主制度については、一向に農政としては手がつけられず、結局、敗戦とGHQによる農地改革を待たねばならなかったわけですから、大きな視点が見逃されている気がします。そして、農政に限らず、例えば、間接金融とメインバンク制とか、長期雇用と年功賃金とかの労働慣行、などは戦後の高度成長期に取り入れられ確立された制度ないし慣行であって、戦前まではバリバリの直接金融でしたし、雇用システムは解雇が容易な現在の米国に近かったようですから、農政についても戦後の鉄の三角形、すなわち、与党=自民党vs農林省vs農協という三すくみの構図が出来上がったのも、本書のスコープ外の戦技高度成長期なんではないか、という気がしないでもありません。

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次に、久保田進彦・澁谷覚『そのクチコミは効くのか』(有斐閣) です。著者は青山学院大学と学習院大学のマーケティング論の研究者です。コンパクトながら、本書はほぼほぼ完全な学術書と考えるべきで、科研費ではないものの、研究と出版の助成を受けています。特に、クチコミの中でも、伝統的なフェイス・ツー・フェイスの伝達ではなく、インターネットの掲示板やSNSなどを介した情報の拡散に焦点を当てており、架空のオンライン英会話レッスンのクチコミを設定して、実験を行った結果得られたデータを解析しています。何分、実際の市場に投入されるサービスを基にしたマーケティングに関する実験ですので、モデルの設定がとても判りやすく、Rhatで1.1かつトレースプロットにドリフトの非定常性が見られないことをもって収束とするなど、常識的な分析を行っています。まあ、当然といえば当然です。分析結果も常識的であり、従来から確認されている正負のバランス効果、すなわち、多数意見に同調しやすく、自らの意見が多数派であることを確認できればその態度が強化されるという点は確認され、次いで、プラットフォーム効果、すなわち、クチコミは広告よりも信頼度が高く、また、プロモーション型のプラットフォームよりもソーシャルなプラットフォームの方に信頼感を覚える、というのも当然です。この研究のオリジナルな点は、疑念効果を確認できたことだと著者は主張しています。すなわち、100%肯定的なクチコミに比較して、50%肯定的なクチコミは、むしろ、否定的なクチコミを抑えて、あるいは、隠しているのではないか、という疑念を起こさせる、という仮説であり、それが実証されています。とても興味深い点です。コマーシャルなどでは、対象となる商品ないしサービスが何らかの、あるいは、絶大なる効果があった、という体験消費者のクチコミを伴う場合、例えば、オンラインECサイトのレビューなどで、否定的なクチコミが交じると、実はもっと否定的な口コミがあって、隠されているんではないか、という疑念を生じる可能性です。しかも、この疑念効果は教育程度の高い人ほど生じやすい、とも分析されています。そうかもしれません。最後に、定量分析ならぬ私の実感ながら、我が国のマーケティング、というか、宣伝広告はまだ未熟な面があり、典型的にはその昔の「霊感商法」的に消費者の恐怖、とまでいわないにしても、何らかの不都合な意識を呼び覚まして売りつけようと試みる場合が、いまだに散見されます。特に健康関係では、血圧が高いとか、コレステロールがどうとか、何らかの消費者の持つ不都合な点を改善するような効果を持つ商品やサービスを宣伝広告することが少なくないように実感します。クチコミを含めて、何らかのネガティブな状態を回避するためではなく、ポジな広告宣伝を私は求めたいと思います。

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次に、笹原和俊『フェイクニュースを科学する』(同人選書) です。著者は名古屋大学の研究者で、専門分野は計算社会学だそうです。タイトル通りに、コンパクトなファイクニュースの拡散に関する入門書となっています。おそらく、伝統的な新聞やテレビ・ラジオなどのメディアには、従来はとても少なかったと考えられるフェイクニュースについて、特に、インターネット上に出回る虚偽情報を騙そうとする意図の強弱によって分類したりしつつ、虚偽情報と一般的な科学情報の拡散の確率密度関数を時間とともに積分したりと、分析手法を展開し、さらに、最終的にはそのフェイクニュースへの対応方法について、メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段なども議論しています。基本は、私の知る限り、ダンカン・ワッツ教授などの「スモール・ワールド」的なマーケティング手法を政治的なものも含む形で応用させたんだろうという気がしますが、もちろん、伝統的な人は見たいものしか見ないバイアスとか、確証バイアスとか、ネット上の虚偽情報とは関係なく、昔からの人間の心理学上のバイアスはもちろんある一方で、特にネット上で加速・増幅されるチェンバーエコーやフィルターバブルなどのお馴染みの現象も取り上げられています。すなわち、こういったフェイクニュースが広がる現象を、情報の生産者と消費者がさまざまな利害関係の中で、デジタルテクノロジーによって複雑につながりあったネットワーク、つまり、情報生態系(Information Ecosystem)の問題として捉え、その仕組みについて紐解いています。これら中で、私がやや怖いと感じたのは、事実よりも虚偽情報の拡散の方が早く、広く、深い、という実証的な結果です。SNSから得られるビッグデータを用いて、いわゆるビッグファイブの神経症的傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性が会う程度予測される、というのは私の理解の範囲だったような気がしますが、本書の著者が指摘するように、ボットや人工知能を逆に国家が悪用して民主主義が破壊される可能性までは想像していませんでした。情報が過多となり、情報折もむしろ人間のアテンションの方が希少になるアテンション・エコノミーがこれから先進むと考えられる中で、消費における購買活動は企業に操作され、投票などの政治的な参加行為も国家に左右されるとなれば、我々一般ピープルは何を根拠に行動すればいいのでしょうか。とても、ブラックな将来が待っているとは思いませんが、本書では何ら言及されていませんでしたが、単に情報に操られるだけではなく、主体的な判断を下すために、いわゆる「健全な常識」というものの重要性を改めて感じました。

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次に、マーク・フォーサイズ『酔っぱらいの歴史』(青土社) です。著者は、ジャーナリストないしライターという感じの経歴です。上の表紙画像に見られる通り、英語の原題も A Short History of Drunke であり、日本語タイトルはほぼほぼ直訳で、2017年の出版です。有史以前の酔っぱらいから始まって、インドを除く世界の古代文明、すなわち、メソポタミア、エジプト、中国における飲酒と酔っ払い、もちろん、古典古代のギリシアやローマにおける饗宴、さらに、中性的な暗黒時代を経て近代にいたり、米国の禁酒法までの酔っぱらいや飲酒の歴史を概観しています。歴史的にはワインやエールのような醸造酒から始まって、ブランデーやウィスキーのような蒸留酒、もちろん、忘れてならないのはジンとウォッカですが、お酒の種類も豊富に取り上げられています。ただ、西洋中心史観であるのは否めず、登用についてはインドはスッポリと抜け落ちていますし、中国も古代文明のころの飲酒だけで、日本や日本酒は見向きもされていません。イスラムの飲酒については、そもそも飲酒が禁止されるまでの経緯を簡単にあとづけた後、飲酒が禁止されてからのさまざまな抜け道を示したりしています。基本的には、そういった井戸端会議でのトピック的な内容がギッシリと詰まっています。例えば、ギリシアの饗宴は名目的なホスト役は置くものの、参加者がそれぞれに平等だったが、ローマの饗宴はハッキリと順序序列が定められており、酒や食べ物にも差があった、とか、英国の名誉革命において君主がオランダから輸入されるとともにジンもオランダから英国に入ったとか、などなどです。また、著者は明記していませんが、私の理解によれば、エールにホップを入れてビールにするのは、ちょうど時代背景などから、肉に香辛料をふりかけるようなものだと実感していまいました。米国における禁酒法の制定・施行は、飲酒に対する嫌悪感からではなく、サルーンにおける男性中心主義的な飲酒慣行や家庭内暴力などに対して反旗を翻していたのである、といわれれば、そうかもしれないと感じてしまいました。私自身はそれほど酒飲みではありませんが、それなりに飲酒の楽しさも知っているつもりですので、とても話題性豊かな読書だった気がします。

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次に、A.R.ホックシールド『壁の向こうの住人たち』(岩波書店) です。著者は、カリフォルニア大学の旗艦校であるバークレー校の名誉教授であり、フェミニズム社会学を専門としてます。ファーストネームがイニシャルだけなので判りにくいんですが、女性です。そして、ついてながら、UCバークレイは少し前の我が母校の京都大学のように、米国の中でもリベラル左派の研究者が多く集結する大学である、と目されています。本書でも、右寄りの人から「ヒッピーの大学ね」といった発言を受けたりしています。ということで、英語の原題は Strangers in Their Own Land であり、2016年の出版です。フィールドワークに5年ほどかけているようですので、2016年の大統領選でトランプ大統領が当選したこととは直接の関係はないのではなかろうかと私は推測していますが、随所にトランプ大統領の当選と関連付けた記述が見られます。やや、便乗商法の匂いがするかもしれません。ですから、トランプ大統領の当選の基盤となったのは、中西部のいわゆるラストベルトなんですが、本書のフィールドワークの舞台はディープサウスのルイジアナ州です。まあ、それでも、いくつか米国にける右派の台頭に関しては妥当な分析結果も多く示されており、例えば、左右の分極化は左派がもっと左に行ったのではなく、右派がもっと右に行った結果であるとされています。私もそのとおりと考えます。現在では「オルタナ右翼」ないしオルト・ライトという用語が確立していますが、そのオルト・ライトの源流を探ろうとしています。そして、オルト・ライトの人々は、リベラルよりもむしろ、学歴が低く、従って、所得も低く、あるいは、シングル・マザーも多く、ゆえに、社会保障をより必要としていて政府の援助を求めて当然なのにもかかわらず、それでも大きなsウィフに反対するというパラドックスが存在すると指摘し、その背景のディープストーリーを探ろうと試みます。ひとつには、左派の上から目線で軽蔑されていると感じた右派の人々が、右翼的なラジオのパーソナリティや教会の聖職者に親近感を覚えたりするルートを上げています。自分たちはお行儀よく列に並んで順番を待っているにもかかわらず、オバマ大統領や左派リベラルの人たちは移民や黒人や女性が列に割り込むように仕向けている、と感じているのかもしれない、と著者は主張します。繰り返しになりますが、トランプ大統領当選の直接の要因を探ろうとした調査分析ではありませんが、南部を中心とするオルト・ライトのバックグラウンドを知るための詳細なルポルタージュとして評価されるべき書だと私は思います。何といっても、直接選挙なんですから。

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次に、バンディ・リー[編]『ドナルド・トランプの危険な兆候』(岩波書店) です。編者と各チャプターの著者の多くは精神科の医師であり、タイトル通りに、米国のトランプ大統領に関して精神科医師としてコメントを明らかにしている書物です。核ミサイルの発射ボタンに対する独占的・排他的かつ圧倒的な権能を有し、そのた、各種の巨大な権力を手中に収めた米国大統領として、広い意味での適格性では決してなく、精神科医としての見解を明らかにしています。軽く想像される通り、その結果は、ソシオパス=社会病質という診断結果から始まって、病的ナルシシズムや刹那的快楽主義者など各種の精神病質のオンパレードになっています。ということで、本書は、リフトン博士やハーマン博士などの海外でも著名な専門家を筆頭に、全米から精神科医・心理学者たちが、アイビーリーグの名門イェール大学で行われたコンファレンスで交換された意見を基に編集されています。しかし、医師が患者の病状を明らかにするのは、当然に、守秘義務違反であることは先進国で共通とは思いますが、米国の精神医学会では、加えて、ゴールドウォータールールとして、直接診断していない有名人に対して精神科医がコメントを出してはいけないという倫理規定があるそうで、それに明確に反している可能性も本書では繰り返し指摘しつつも、それでもその職業倫理規定に反してでも警告を発することが必要であり、より「大きな利益」につながる、と確信して本書は公刊されています。もちろん、臨床的にトランプ大統領を専門家として診断した精神科医はいないでしょうから、テレビなどの動画や新聞などのテキストで収録された発言などから、精神状態やひいてはかなり人格に近い部分まで推測を交えつつも断定的な結論を得ようとしています。ゴールドウォータールールとは、本書にもあるように、ジョンソン大統領との選挙戦において共和党のゴールドウォーター候補が、ソレントの冷戦下で核兵器の使用を是認する発言を繰り返したのをもって、パラノイアもしくは妄想型統合失調症の診断を下した何人かの精神科医の意見を収録した雑誌が裁判で敗訴した事件に起因します。ですから、核兵器を持っていながら使わないのは意味がないとの旨の発言をしたトランプ大統領もご同様の診断を下される可能性はあるわけです。私自身の見方としては、ゴールドウォータールールと職業倫理との関係については見識ないものの、トランプ大統領ご本人というよりも、当選者は選挙民の民度を反映するわけですから、トランプ大統領を当選させた米国国民こそ何らかの精神医の診断が必要ではないか、という気がします。

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最後に、上田早夕里『破滅の王』(双葉社) です。作者は、私の好きなSF作家なんですが、イタリア料理店を舞台にした短編もありますし、この作品はで戦時下の上海を舞台に細菌兵器のドキュメンタリに近い小説に取り組んでいて、この作品は直木賞候補になったような記憶があります。ということで、1948年、上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本を主人公とし、陸軍の特殊工作部隊に属し大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐をサブに、灰塚から宮本が日本総領事館に呼び出され、総領事代理の菱科とともに、重要機密文書の精査を依頼されるんですが、その内容は驚くべき内容で、R2v=キングと暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだったうえに、ほかのパーツが他国の公館にも送付されていたりしました。宮本は治療薬の開発を任されるものの、それは自国の兵士が安全に散布できるという意味で、取りも直さず、細菌兵器を完成させるということを意味していたわけです。もちろん、背景には人道にもとる人体実験を繰り返していた満州の石井部隊があり、ご本人もこの小説に登場します。そして、実在の石井にも負けないくらいのマッド・サイエンティストが登場し、灰塚は情報を追ってベルリンまで行ったりもします。そして、ベルリンにもマッド・サイエンティストがいたりするわけです。この作者の作品では、SF小説とイタリア料理店ものしか読んだことのない私なんですが、作者の新境地かもしれません。なかなか、力の入った大作なんですが、それだけに、逆にスピード感が足りない気もしました。歴史的事実とフィクション、というか、小説の境目を意図的にぼかしている気もしますが、それはそれで、功罪相半ば、という気もします。直木賞候補作ながら、受賞に至らなかったのも理由があるのかもしれません。
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2019年02月22日 (金) 22:52:00

1月統計で上昇幅を拡大した消費者物価(CPI)の今後の見通しやいかに?

本日、総務省統計局から1月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から上昇幅をやや拡大して+0.8%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の全国消費者物価、0.8%上昇 宿泊料など押し上げ
総務省が22日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.2と前年同月比0.8%上昇した。上昇は25カ月連続。伸び率は18年12月(0.7%上昇)に比べて拡大した。電気代や都市ガス代などエネルギー関連が押し上げた。宿泊料や自動車保険料も上昇に寄与した。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.8%上昇だった。生鮮食品を除く総合では全体の52%にあたる272品目が上昇した。下落は185品目、横ばいは66品目だった。総務省は「緩やかな上昇傾向で推移している」との見方を示した。
生鮮食品を除く総合を季節調整して前月と比べると0.2%上昇した。エネルギー構成品目の寄与度はガソリンや灯油価格の伸び悩みを背景に前月に比べて縮小した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.1と前年同月比0.4%上昇した。正月休みの延長で休暇をとる人が多く、宿泊料が高かった。値上げの影響で自動車保険料(任意)や新聞代も上昇した。
生鮮食品を含む総合は101.5と0.2%上昇した。伸び率は前月(0.3%)に比べて縮小した。キャベツやレタスなど葉物野菜が昨年に高騰した反動で下落した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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前年同月比上昇率で見て、生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)の+0.8%の上昇に比べて、ヘッドラインCPIは+0.2%の上昇にとどまりましたので、額は小さいながらも購入頻度も必需度も高い生鮮食品の上昇率が低かった、というか、下落しているわけです。その分、国民が感じる物価上昇のインパクトは小さかったかもしれません。そして、注目すべきは国際商品市況における石油価格との連動性であり、2月13日に取り上げた企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の上昇幅の大きな縮小と比較して、消費者物価(CPI)はそれほどの縮小を見せていません。もちろん、石油価格変化の波及のラグはPPIよりのCPIの方が長いでしょうから、これからその影響が表れると考えるべきなのかもしれませんが、より川下の消費者に近いところで需給がひっ迫しているという見方を示すエコノミストも少なくありません。1月統計では、引用した記事にもある通り、宿泊料などが上げられていますが、一般的に、人手不足の影響などから、品目別に詳しく見て、パック旅行費、テーマパーク入場料、運送料、外食、介護料などのサービス料金の上昇が指摘されています。ただ、今後のCPI上昇率については、このまま1%前後で推移するとは私は見込んでいません。まず、石油価格の動向です。石油価格が足元のの現状を維持するとしても、今年年央くらいにはCPI上昇率はかなり低下する見込みです。年央から年後半にかけて、コアCPI上昇率はゼロ近傍まで落ちる可能性が高いと私は考えています。加えて、政策的な要請も含めて、携帯電話通信料が引き下げられる可能性が高く、さらに、幼児教育などの教育無償化の影響も無視できません。当然ながら、CPIの引き下げ要因となります。もちろん、日銀の物価目標の達成は別の観点ですし、デフレを悪化させないという見込みを基に、こういった要請がなされたり、政策措置が講じられるわけですから、この点は忘れるべきではありません。また、10月から消費税率が2%ポイント引き上げられますので、単純に+1%ポイントくらいの物価上昇圧力になるものと考えられ、消費増税の影響を除くベースで物価動向を見る必要がありそうです。
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2019年02月21日 (木) 21:15:00

帝国データバンク「2019年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

少し旧聞に属する話題ながら、先週木曜日の2月14日に帝国データバンクから「2019年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、サイトにはpdfの全文リポートもアップされています。景気局面と人で不足の現状、また、デフレ脱却とも併せて賃金動向は気にかかるところです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2019年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は55.5%と、3年連続で5割を超えた。賃金改善について「ある」が「ない」を9年連続で上回ると同時に、その差も36.4ポイントと非常に大きな状態が続いており、2019年度の賃金動向は概ね改善傾向にある
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベースアップが45.6%(前年度比0.2ポイント増)、賞与(一時金)が30.3%(同1.5ポイント減)。ベアは3年連続で4割台の高水準、賞与(一時金)も前年に続き3割台で推移
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が初の8割台となる80.4%で過去最高を更新。人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。「自社の業績拡大」(40.9%)が前年から大きく下回った一方、「消費税率引き上げ」は7.0ポイント上回った。改善しない理由は、「自社の業績低迷」(52.6%)が4年連続で低下。「人的投資の増強」(22.0%)が過去最高を更新し、「消費税率引き上げ」(17.5%)が8.0ポイント増
  4. 2019年度の総人件費は平均3.02%増加すると見込まれ、人件費伸び率は前年度よりやや上昇すると予想される。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約4.1兆円(平均2.82%)増加すると試算される


調査概要というよりも、かなりの程度に網羅的な報告だという気がします。私は元々が雇用をとても重視するエコノミストですし、大学教員に出向して学生諸君の就活にも接して、その思いがますます大きくなり、しかも、繰り返しになりますが、最近ではデフレとの関係で賃金動向はとりわけ重要です。ということで、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、2019年度の企業の賃金動向についての質問の回答は、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む 企業は55.5%と、3年連続で5割を超えています。ただし、前回調査(2018年1月)における2018年度見込み(56.5%)と比較すると、賃金改善を見込む企業は1.0%ポイント減少しています。2019年度の賃金動向は概ね改善傾向にあるといえますが、昨年ほどではないかもしれません。これは、いわゆる「官製春闘」の終了と何か関係があるのでしょうか、ないのでしょうか。そして、その2019年度の正社員における賃金改善の具体的内容をリポートから引用すると、上のグラフの通りです。「ベースアップ」が45.6%、「賞与(一時金)」は30.3%に上っています。前回調査(2018年度 見込み)と比べると、「賞与 (一時金)」は1.5%ポイント減少した一方で、「ベースアップ」はほぼ横ばいとなっています。

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企業にとって賃金はコストかもしれませんが、その賃金を改善する具体的理由につき、今年度の賃金改善が「ある」と回答した企業に複数回答で問うた結果をリポートから引用すると、上のグラフの通りです。「労働力の定着・確保」(80.4%)が初めて8割台となり、過去最高を更新し た(複数回答、以下同)。人手不足を半数超の企業で感じるなど深刻度が増すなか、人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっており、2015年度以降5年連続で 前年を上回っています。

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2019年度の自社の総人件費は、2018年度と比較してどの程度変動すると見込んでいるか問うた結果をリポートから引用すると、上のグラフの通りです。2019年度の総人件費は前年度比で平均3.02%増加すると見込まれ、金額では総額約5.2兆円、そのうち、従業員への給与や賞与は約4.1兆円(平均2.82%)増加すると帝国データバンクでは試算しています。「増加」と回答した企業は70.5%と2年連続で7割を超えた一方で、「減少」は6.7%にとどまり、総じて企業は人件費が増加すると見込んでいることが伺われます。企業にはコストでも、従業員のサイドから見れば購買力であり、個人消費を押し上げる原資でもあります。
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2019年02月20日 (水) 19:26:00

春節の影響で対中国輸出が大幅減となり貿易統計は4か月連続の赤字!

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲8.4%減の5兆5742億円、輸入額は▲0.6%減の6兆9895億円、差引き貿易収支は▱兆4152億円の赤字を計上しています。原系列の貿易統計での赤字は4か月連続です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易統計、対中輸出17%減 電機・半導体関連落ち込む
財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆4152億円の赤字だった。赤字は4カ月連続。輸出入ともに減少したが、中国向けの低迷などを背景に輸出減の影響が上回った。中国向け輸出は電気機器や半導体関連が落ち込み前年同月比17.4%減少した。
輸出額は前年同月比8.4%減の5兆5742億円だった。減少は2カ月連続。パナマ向け船舶や韓国向け半導体等製造装置、中国向け鉄鋼が全体を押し下げた。
国・地域別では、中国向け輸出額が9581億円と17.4%減少した。減少は2カ月連続で、2017年1月以来の低水準となった。電気回路等の機器やプラスチック、半導体等製造装置といった品目が減少した。財務省関税局は「中国向け輸出は春節(旧正月)日程の影響がでた」と説明した。
輸入額は0.6%減の6兆9895億円。10カ月ぶりに減少した。原油安を背景に原粗油や石油製品が落ち込んだ。1月の原粗油の円建て輸入単価は5.6%下落した。
対米国の貿易収支は3674億円の黒字で、黒字額は5.1%増加した。増加は7カ月ぶり。自動車や医薬品がけん引し、米国向け輸出は全体で6.8%増加した。輸入は原粗油などの増加で7.7%増となった。
1月の為替レート(税関長公示レート)は1ドル=109円47銭。前年同月に比べて2.7%円高・ドル安に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲1兆109億円の貿易赤字でしたので、4か月連続の貿易赤字も、▲1兆円超えの赤字額も、どちらも大きなサプライズではありません。国際商品市況における石油価格が、ピークを過ぎたとはいえ、まだ高い状況が続いていますし、2月上旬の中華圏の春節に合わせて、1月の生産調整が実施された結果です。また、原系列の統計では4か月連続の貿易赤字ですが、トレンドを見た季節調整済の系列では昨年2018年年央の7月から半年余りの間貿易赤字が続いています。ただ、上のグラフにも見える通り、輸出入ともに減少しての貿易赤字が続いています。なお、輸入額のピークは国際商品市況の動向にほぼ対応して、昨年2018年10月でした。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、現時点での輸出を見る際の注意点は、中国の景気が上向いているにもかかわらず、まだOECD先行指数が前年同月比でマイナスのままですので、我が国からの輸出が減少を続けていて、先進国加盟国の集合体であるOECDの先行指数は前年同月比マイナス、かつ、下り坂でマイナス幅が拡大していますので、我が国の輸出にとっては中国向けと先進国向けのいずれも需要サイドで減少要因となっており、さらに、引用した記事にもある通り、為替がやや円高に触れていますので、価格サイドも減少要因となっていて、どちらも輸出には逆風です。3月統計を見て、中華圏の春節が終了した後の世界経済を見据える必要があるかもしれません。
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2019年02月19日 (火) 21:23:00

最近の各社プレスリリースから興味深い画像を収集する!

最近は、定年退職間際で時間的な余裕もでき、いろんなサイトを見て回ったりしているんですが、今日は2つほど興味深い画像をお示ししたいと思います。

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まず、2月4日に明らかにされた総合旅行プラットフォームのエアトリのリポートから、春休みの学生人気急上昇海外旅行先ランキングは上の通りです。ランキングは2種類あって、上のテーブルは旅行先のランキングであり、もうひとつ、引用はしませんが、昨年比で人気急上昇のランキングもあります。人気急上昇の1位は直行便が開通したミラノ(イタリア)、2位はトルコのイスタンブールと渋いところが上がっています。実は、我が家の上の倅はこの3月に大学を卒業して就職しますので、まさに学生最後の春休みです。私の仕事の都合で海外帰国子女であり、最初に入学した小学校はジャカルタ日本人学校だったりしますので、今までも大学に入学してから海外旅行に行ったこともあったりします。

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次に、1月31日に明らかにされたプレスリリースから、フリマ・アプリの大手メルカリの2018年の利用動向は上の通りです。性別年代別の月間1人当り売上額です。購入額も知りたいところですが、明らかにされていません。メルカリなどのフリマ・アプリは中年女性の利用者が多い、と私なんぞは勝手に思い込んでいたわけで、とても意外だったんですが、各年代とも売上額は男性の方が多い結果が示されています。
年代・性別ごとに売上額が高いカテゴリーについては、10~20代の男性はトレーディングカードやテレビゲームなどの売上額が高く、30~40代ではアパレルの中でも比較的高値のジャケットやアウターを売却しており、また、50代以上になるとさらに単価の高い時計やPCやタブレット、またゴルフといった趣味に関するグッズをメルカリに出品しているようです。他方、10~20代の女性はタレントグッズやおもちゃなどを売却しているほか、10~30代の女性は子供のおもちゃを多く現金化しており、また、30~50代はバッグやアクセサリーなどの装飾品を、さらに60代以上になると着物や食器といった家に眠っている物の出品が増加しているようです。
昨年、IPOに成功したメルカリはIRの方も熱心なようです。
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2019年02月18日 (月) 19:19:00

2か月連続で前月比マイナスを記録した機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2019年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲0.1%減の8626億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の機械受注、前月比0.1%減 19年1-3月期見通しは1.8%減
内閣府が18日発表した2018年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.1%減の8626億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1.1%減だった。
うち製造業は8.5%減、非製造業は6.8%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」に変更した。
10~12月期の四半期ベースは前期比4.2%減だった。19年1~3月期は1.8%減の見通し。
あわせて発表した18年の船舶・民需を除いた民需の受注額は前年比3.6%増の10兆5091億円だった。製造業は8.9%増、非製造業は0.5%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスであるコア機械受注の季節調整済の前月比▲1.1%減は上回ったものの、2か月連続でわずかながら前月比マイナスを続けた上に、四半期で見て昨年2018年101~12月期の実績が前期比で▲4.2%減、さらに、今年2019年1~3月期の見通しが▲1.8%減ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」からハッキリと「足踏み」に半ノッチ下方修正しています。特に、非製造業は人で不足や来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えているせいか、それなりの増加を示しているんですが、製造業でマイナスを記録しており、米中貿易摩擦や、まだ、統計に影響が現れているとは思えないものの、例のメキシコ国境の壁を巡っての米国トランプ大統領の「非常事態宣言」などの海外要因が重しとなっているように私は見ています。1~3月期の見通しでも、非製造業は前期比プラスが見込まれている一方で、製造業は▲2.2%のマイナスが予想されています。足元から目先にかけて、引き続き、製造業では世界経済の動向に従って横ばいないし減少傾向が続く一方で、人手不足などから非製造業では堅調に推移するものと私は考えています。ただ、方向性ではなく、受注の水準としてはかなり高い状態が続いていることは忘れるべきではありません。
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2019年02月17日 (日) 14:39:00

日本気象協会による花粉飛散予測やいかに?

少し旧聞に属する話題ですが、2月14日に日本気象協会から「花粉飛散予測(第4報)」が明らかにされています。すでに、東海や中国、四国の一部や東京都などで花粉の飛散開始が確認されています。簡単に取り上げておきます。

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上の日本地図は2019年今年のスギ花粉前線です。日本気象協会のサイトから引用しています。東京都をはじめとして、関東はほぼ花粉飛散が始まっています。

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上の日本地図は2019年今年の花粉の飛ぶ量を、上は例年比で、下は昨シーズン比で、それぞれ都道府県別に色分けしています。これも、日本気象協会のサイトから引用しています。我が住まいのある東京都は、昨年比でも、昨シーズン比でも、いずれも「並」ということのようです。ただ、先週日曜日2月11日に取り上げたウェザーニュースの「速報・第3回花粉飛散傾向」では、関東地方は平年比2倍近い飛散量と予想されていましたので、「関東」と「東京」の違いはあるにせよ、1週間で予想がそれほど大きく変わるわけでもないでしょうし、どちらが正確な予想のか、やや疑問が残ります。
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2019年02月16日 (土) 17:11:00

今週の読書は特に印象的な『NEW POWER』をはじめとして計7冊!

今週の読書は、通常通りの数冊、経済書からウィルス論まで、以下の7冊です。ただ、その中で、ジェレミー・ハイマンズ & ヘンリー・ティムズ『NEW POWER』(ダイヤモンド社) がとても印象的でした。まだ2月半ばながら、今年のマイベストかもしれません。なお、今週は小説はありませんが、来週は小説も読みたいと予定しています。

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まず、橘木俊詔『定年後の経済学』(PHP研究所) です。著者はご存じ京都大学を定年退職したエコノミストであり、専門は労働経済学などのマイクロな経済分析です。私は少しだけながら面識があることから、きっと、もっと仕事がしたいというワーカホリックな著者の意向を強く反映して、定年制に対する著者ご本人の否定的な見解が満載されているのではないかと想像していたのですが、決してそうではありませんでした。書き出しこそ、海外では日本のような定年制は年齢による差別と受け取られる、とかで始まっているものの、定年制攻撃はなされていません。もっとも、上の表紙画像の帯に見られるような従来からの主張である格差論を展開しているわけでもなく、最終第6章を別にすれば、むしろ、淡々とタイトル通りの定年後の生活や諸制度を経済学を援用しつつ分析ないし解説しています。ただし、マクロもミクロも経済制度や経済現象を単独で取り出しても仕方ないところがあり、定年制についても雇用制度全体の中で考える必要があります。その点で、本書はやや私とは視点が異なり、通常の理解のように、終身雇用ないし長期雇用の中で若年期間は生産性を下回る賃金が支給され、逆に、中高年齢層には生産性を上回る生活給的な賃金が支払われる、という高度成長期に確立した我が国特有の雇用慣行と併せて考える必要があります。すなわち、長期雇用慣行の下では、どこかで賃金上昇をストップさせるか、そうでなければ、雇用そのものをストップするしかないわけです。本書では、退職金が長期雇用や生産性に比較した賃金支払と関連付けて論じられていますが、タイトルである定年制とは関係する議論はありません。本書でも引用されているラジアー教授による、我が国長期雇用との関連の仮説は、退職金ではなく定年制とリンクしていると考えるべきです。加えて、我が国の労働市場や社会保障制度において、かなり常軌を逸して恒例世代に有利で若年世代に不利な制度や慣行が成立してしまっています。先ほどの生産性と賃金の関係もそうですし、政治的な力関係で決まりかねない社会保障についてはもっとそうで、高齢世代をやたらと優遇する制度設計になっています。それを断ち切って若年世代の雇用を促進するため、私は年齢による差別であっても定年制の存在意義はあるものと考えています。ただ、平均的な日本国民と比較しても勤労意欲が決して高くない私ですら働き続け8日と考えざるを得ない背景には所得を得ねばならないという悲しい現実があります。その視点も本書では希薄ではなかろうかという気がします。

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次に、要藤正任『ソーシャル・キャピタルの経済分析』(慶応義塾大学出版会) です。著者は、国土交通総研の研究者であり、出版社からしても、かなりの程度に学術書に近いと考えるべきです。ということで、定義が今ひとつはっきりしないながら、『孤独なボウリング』で有名なパットナム教授による集合行為問題、すなわち、相互の信頼性とか、互酬性とかの人と人とのつながりを肯定的に捉えようとする姿勢、その集合体としてのソーシャル・キャピタルについて、定義と定量化を考え、また、いかに形成されるか、あるいは、世代間で継承・共有されるか、地域社会に有意義なフィードバックが及ぶか、などなどにつき、国際機関などでの研究をサーベイしつつ、また、可能な範囲でフォーマルな定量分析を試みています。伝統的な経済学では、企業は利潤を極大化しようとすますし、個人または家計は効用を最大化しようとします。そして、古典派経済学ではスミスのいうような神の見えざる手により、個々人が慈悲心ではなく利己的な効用最大化を図ることにより、社会的な分業体制のもとで市場が最適な資源配分の基礎となる、ということになっています。でも、ケインズがそのマクロ経済学で明らかにしたように、景気循環は市場経済では緩和されませんし、ナッシュやゲーム理論化が明らかにしたように、何らかの協力の下でゲーム参加者互いの効用をもっと公平に、あるいは、大きくすることも可能です。本書では、伝統的な経済学から外れはするものの、ソーシャル・キャピタルについて地域経済との関係を主に分析を進めています。ただ、まだ未成熟な研究分野ですので、やや勇み足のように先走った分析も見られます。例えば、幸福阻止表のようにGDPを否定する、とまでいわないものの、一定の代替性を認めておきながら、ソーシャル・キャピタルと1人当りGDPで代理した豊かさを回帰分析しようと試みたりしています。でも、一昨年ノーベル経済学賞が授賞された行動経済学や実験経済学などのように、合理性豊かな経済活動を前提にするのではなく、より根源的な人間性に根ざした経済分析として、まや、幸福度指標などとともに、国際機関での研究も盛んですし、今後の注目株かもしれません。

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次に、ジェレミー・ハイマンズ & ヘンリー・ティムズ『NEW POWER』(ダイヤモンド社) です。著者は、本書の著者は、amazonのサイトでは「ハーバード大、マッキンゼー、オックスフォード大などを経て、現在は、ニューヨークから世界中に21世紀型ムーブメントを展開しているハイマンズと、約100か国を巻き込み、1億ドル以上の資金収集に成功したムーブメントの仕掛け人であり、スタンフォード大でも活躍するティムズ。」と紹介されています。判る人には判るんでしょうが、ニューパワーとは縁遠い公務員の世界に長らく働く私にはよく判りませんでした。ということで、パワーをバートランド・ラッセルに基づいて「意図した効果を生み出し能力」と定義し、統制型からシェア型へ、競争からコラボへ、また、プロからアマへ、などなど、BREXITのレファレンダムやトランプ米国大統領の当選などのあった2016年あたりを境にして、ここ2~3年で大きく変化した新しい世界のルール、法則を解明しようと試みています。オールド・パワーとニュー・パワーを対比させていますが、前者が非効率とか、あるいは広い意味でよくないとか、また、前者から後者にこれからシフトする、とかの単純な構図ではなく、両者のベストミックスの追求も含めて、いろんなパワーや影響力の行使のあり方を考えています。いろんな読み方の出来る本だという気がしますが、私のようなエコノミストからすれば、あるいは、そうでなくても広く一般的にビジネス・パーソンなどは、企業における組織や企業行動のあり方とか、イノベーションを生み出す源泉とか、経済活動について古典派経済学的な家計の効用最大化や企業の利潤極大化に代わる経済社会の新たなあり方、などの方向付けとして読まれそうな気がします。強くします。繰り返しになりますが、今年に入ってまだわずかに1か月半ながら、ひょっとしたら、今年もマイベストかもしれません。長々と私ごときが論評するよりも、ハーバード・ビジネス・レビューのサイトに原書の解説で "Understanding 'New Power'" と題して掲載されている記事から2つの図表、邦訳書ではp.51とp.65の本書のキモとなる図表2つを引用しておきます。これで十分ではないかと思います。
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邦訳書にはないんですが、下の図表には、執務室のオバマ大統領はオールドパワーのモデルとオールドパワーの価値観に基づいていたのに対して、選挙活動中のオバマ大統領はニューパワーのモデルとニューパワーの価値観に立脚していた、とされる点です。また、邦訳書でもフォーカスされていますが、アップルはiPhoneなどを出しているにもかかわらず、オールドパワーのモデルとオールドパワーの価値観に基づいて企業活動を行っていると著者は理解しているようです。どちらも、そうかもしれません。

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次に、小路田泰直・田中希生[編]『明治維新とは何か?』(東京堂出版) です。著者は、私の専門外でよく判らないんですが、どちらも奈良女子大学の研究者です。基本は、歴史学の視点から、明治維新150周年を記念して奈良女子大学で開催された公開セミナーの講演録となっています。ただ、歴史学だけでなく、政治学の視点も大いに入っているような気がします。ということで、編者の1人による冒頭の「刊行にあたって」では、明確に明治維新に対する講座派的な見方が否定されています。その上で、本書が皇国史観に基づいているとは決して思えませんが、本居宣長や平田篤胤などのいわゆる国学に則った見方が引用されたり、神話にさかのぼった天皇観が示されたりと、私にはとても違和感ある明治維新観の書となっている気がします。私は大学のころには西洋経済史のゼミに属していましたが、いわゆる労農派的なブルジョワ民主主義革命でなく、明確に講座派的な見方が明治維新については成り立つと考えています。すなわち、特に、私の見方では、土地所有制度と農業経営において、英国的な借地と地代支払いに基づく資本主義的な農業経営ではなく、さすがに土地緊縛や領地裁判権はないとしても、封建制の残滓を大いに残した前近代的な特徴を持った不完全な資本主義制度の成立であったことは明らかです。ですからこそ、戦後のGHQによる大きな改革の中に農地開放と労働民主化が含まれていた、と考えるべきです。まあ、そのひとつの結論として二段階革命論というのがあるわけですが、それはともかく、我が国経済史学界で最大の影響力を持つ大塚史学でも日本の民主主義の担い手として自由で独立した市民社会が形成されていたとは見なされておらず、少なくとも、経済史の分野では、明治維新が不徹底なブルジョワ民主化であったという評価は、かなりの程度に確立された見方だという気がします。神話や国学にさかのぼった解釈が主を占める本書が、その明治維新の本質をどこまで解明できたのか、私には大きな疑問が残ります。

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次に、浅古泰史『ゲーム理論で考える政治学』(有斐閣) です。著者は早稲田大学の研究者であり、タイトルは政治学となっていますが、実は、著者のアカデミック・コースは一貫して経済学分野だったりします。それはともかく、読んでいるわけではないものの私が知る限り、政治学に関するゲーム理論のテキストはジェイムズ・モローによる『政治学のためのゲーム理論』(勁草書房)であり、邦訳書は割合と最近ここ2~3年の出版ですが、原書が1990年代なかばとかなり古く、ゲーム理論の最近の伸展を見るにつけ、本書のような数式でキチンと表現されたフォーマルなモデルを扱うテキストも必要という気がします。ただし、ゲーム論のモデルとしてそれほど数学表現されておらず、どこまで有効なのかは専門外ながら、はなはだ心もとない気もします。すなわち、単なる仮の数字を当てはめての確率計算に終止している気もしないでもありません。それから、著者の元のホームグラウンドが経済学ですので、かなり集合的なモデル表現になっている気がします。すなわち、経済学のモデルでは、一方で、企業部門ではたったひとつの企業がすべての財を生産し、かつ、すべての労働を需要しつつ、他方で、家計部門は代表的なたったひとつの家計がすべての財を購入・消費しつつ、かつ、すべての労働を供給する、と考えればそれでこと足りる気もしますが、政治学ではそれなムチャに単純化しすぎたモデルだろうと私は考えます。すなわち、本書冒頭の選挙についても、単純化されたモデルとはいえ、投票先として与党と野党、投票する国民というか、有権者としてコアな与党支持者とコアな野党支持者と浮動票、くらいの分類は必要ではないか、と考えるのは私のようなシロートだけなんでしょうか。加えて、政治学では何らかの利益・不利益の分配に関する調整が行われる過程を分析する場合も多そうな気がするところ、そういったモデルは扱われていない気がします。まあ何と申しましょうかで、物理学を数少ない例外として、こういった専門の経済学以外の学問分野のモデル分析を勉強するにつけ、私のようなエコノミストから見てもモデルの欠陥が目につくんですから、他の分野の専門家が経済学のモデルを見ると、いい加減で現実適用性が低い、と受け止めているんだろうなあ、という気がしてしまい、我と我が学問分野を振り返って反省しきりとなってしまいます。

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次に、稲田雅洋『総選挙はこのようにして始まった』(有志舎) です。著者は社会学の研究者であり、かなりのご年配です。第6章まである構成をお考えだったようで、議会と立憲政治をテーマにしたかったようですが、年齢や体調との関係で4章構成の第1回総選挙に的を絞ったようです。そして、本書もまた、コミンテルンの32年テーゼを基とする講座派的な第1回総選挙やその結果として成立した議会=衆議院を「地主の議会」とする従来からの支配的な見方に対するチャレンジと志しています。ということで、まず、おさらいですが、1890年の第1回総選挙、すなわち、衆議院議員選挙は25歳以上成年男子が選挙権と非選挙権をもつんですが、制限選挙であり、直接国税15円以上の多額納税者に選挙権も被選挙権も限定されていました。それも地租なら1年、所得税なら3年の継続期間が必要でした。衆議院議員がほとんど地主とされる根拠のひとつですが、著者はこれを否定します。すなわち、第1章では候補者に焦点を当てて、特に民権派議員の中にとても地主とは思えない中江兆民とかが入っており、その背景に、こういった民権派活動家などを議会に送り出したい人々が土地の名義や税金支払人の名義を書き換えて、これらの民権派活動家などを財産家に仕立て上げた、という点を第1章で強調しています。候補者ご本人が議員になりたかった場合をwin-win型と命名し、そうでない場合を勝手連型と本書では名付けています。そうかもしれません。その上で、第2章では、選挙の有権者にスポットを当てて、今でいうところの「1票の格差」を取り上げ、確かに、地方では地主が有権者が多くを占めていたものの、1票の格差からそれほど多くの議員を選べず、地主が少なかった都市部の1票の重みの方が10倍近い格差でもって議員を選ぶウェイトがあった、と結論づけています。さらに、第3章では当選人の分類を試み、第4章では民権派の圧勝に終わった栃木県と、逆に、民権派がほとんど当選しなかった愛知県をケーススタディとして取り上げています。まあ、いろんな考えから、コミンテルン32年テーゼに従った講座派的な歴史観に異を唱えるのは判らないでもないですが、本書で明記しているように、ソ連の崩壊をもってコミンテルンのテーゼがすべて無効になったとする考え方には私は同意できません。明治維新に対する歴史観も含めて、明治期の土地所有制が半封建的な寄生地主であったことは明白ですし、第1回総選挙の結果の衆議院議員が地主でなくても、講座派の歴史観を否定することにはつながらないような気がします。

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最後に、山内一也『ウイルスの意味論』(みすず書房) です。著者は獣医学が基本ながら、北里研究所や東大で研究者を務めたウイルスの専門家です。ただ、90歳近い年齢ですから、現役ではないのかもしれません。本書は月刊「みすず」の連載を単行本化したものです。ということで、単なるウイスルに関する書物ではなく、なかなかに難解な「意味論」がついています。ただ、私は専門外ですので、どこまで理解したかは自信がありませんが、「意味論」の部分は関係なくウイルスに関して現時点で、どこまで科学的な解明がなされているかを明快に取りまとめています。まず、本書でもひとつのテーマとなっているんですが、ウイルスは生命あるいは生物であるのかどうか、NASAの地球外生命探査計画で定義された「ダーウィン進化が可能な自立した化学システム」も援用しつつ、私の理解した範囲では、細胞内にあるときはウイルスは生命・生物であり、細胞外にあるときは無生物、ということになりそうです。もちろん、この生物・無生物の定義の他にも、根絶された天然痘ウイルス、まだ根絶されていないものの、かなり抑え込まれた麻疹ウイルス、などの人間界から閉め出されつつあるウイルス、もちろん、逆に、人間だけでなく昆虫などと共生し何らかの利益をもたらすウイルス、さらに、海中などの水の中に多数存在するウイルスなどなど、私のようなシロートにもそれなりに判りやすいウイルスのうんちく話を詰め込んでいます。通常の理解では、ウイルス=病気、怖くて予防すべき、と考えがちで、おおむね、その通りなんでしょうが、そうでない例外も少なくない点を含めて、いろんなトピックがいろいろと盛り込まれています。まあ、専門外の読書でしたので簡単に切り上げておきます。
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2019年02月15日 (金) 21:31:00

日本経済研究センター(JCER)研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」はやっぱり米中貿易戦争の我が国への影響は軽微と分析!

やや旧聞に属する話題ながら、1月31日付けで日本経済研究センター(JCER)から研究員報告書「貿易戦争のCGEモデル分析」が明らかにされています。サイトには英文要旨のpdfファイルもアップロードされています。タイトル通りに、CGEモデルによる分析結果が示されており、すでに発動されている鉄鋼・アルミニウムに対する関税(シナリオ1)、すでに明らかにされている米国による総額2,500憶ドル相当の中国輸入品への課税(米中関税第1弾から第3弾、シナリオ2)、さらに、検討されている政策として、米中第4弾(シナリオ3)、自動車・自動車部品関税(シナリオ4)、のそれぞれについて推計されており、シミュレーションの結果、シナリオ1から4がすべて実施された場合、世界のGDPは▲0.2%減少し、米国は▲0.8%、中国は▲0.7%減少する一方で、日本への影響は▲0.1%に達しない限定的な影響との結論を得ています。このブログでも、昨年2018年7月24日付けで大和総研から明らかにされた2本のリポートを引用して、「日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない」との結論を紹介しています。以下に、日本経済研究センターの研究員報告書から、CGEモデル分析結果のグラフを引用しておきます。

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2019年02月14日 (木) 19:27:00

2018年10-12月期GDP統計1次QEは潜在成長率近傍で力強さに欠ける成長!

本日、内閣府から昨年2018年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.4%を記録しました。マイナス成長だった7~9月期から2四半期振りのプラス成長でしたが、リバウンドの高成長ではなく潜在成長率近傍の成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質1.4%増、10-12月年率 2期ぶりプラス
内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。
前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。
住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。
一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。
18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。
収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。
18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/10-122018/1-32018/4-62018/7-92018/10-12
国内総生産GDP+0.5▲0.2+0.6▲0.7+0.3
民間消費+0.5▲0.2+0.6▲0.2+0.6
民間住宅▲3.2▲2.0▲2.0+0.5+1.1
民間設備+0.8+1.0+2.5▲2.7+2.4
民間在庫 *(+0.2)(▲0.3)(+0.0)(+0.1)(▲0.2)
公的需要▲0.0+0.0▲0.1▲0.3+0.4
内需寄与度 *(+0.5)(▲0.3)(+0.7)(▲0.5)(+0.7)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.3)
輸出+2.2+0.4+0.4▲1.4+0.9
輸入+2.3+0.0+1.3▲0.7+2.7
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.5+0.5▲0.9+0.2
国民総所得 (GNI)+0.1▲0.7+0.8▲1.0+0.3
名目GDP+0.3▲0.4+0.5▲0.6+0.3
雇用者報酬 (実質)▲0.0+0.7+1.5▲0.4+0.7
GDPデフレータ+0.1+0.5▲0.1▲0.4▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.9+0.5+0.6+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年10~12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、灰色の在庫と黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも前期比年率による予想レンジは+0.3~+1.2%となっており、予測のレンジ上限を超えたとはいえ、ほぼほぼ上限という印象です。ただし、季節調整済の前期比で見て、2018年7~9月期の▲0.7%のマイナス成長に比べて、10~12月期の+0.3%は+1%強と見なされている潜在成長率近傍とはいえ、自然災害による個人消費の落ち込みが解消されたリバウンドを含めれば、やや物足りない数字と受け取る向きエコノミストも多そうです。他方、仕上がりの数字は前期比+0.3%、前期比年率+1.4%ながら、前期比の内外需別内訳は内需寄与度+0.7%、外需(純輸出)▲0.3%ですから、内需主導型の成長であったことは確かです。ただ、先行きリスクとしては、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦が筆頭に上げられる場合が多く、我が国輸出の今後の行方が懸念されますが、貿易摩擦の我が国への影響は大きくなく限定的、という分析結果もチラホラと目にします。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費が上げられるわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。1人当たり雇用者所得と雇用者数の掛け算で増えています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、毎月勤労統計などの統計が信頼性低い恐れはあるものの、雇用者報酬が順調な伸びを示しています。まだ、景気ウォッチャーや消費者態度指数といった消費者マインドは改善の兆しを見せないものの、人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

最後に、いくつかのシンクタンクから、この1次QEのリポートが出されていて、私が見た以下の3機関の範囲では、足元から目先の日本経済について、「力強さに欠ける」とか「低空飛行」といったフレーズが並んでいた気がします。順不同で、ご参考まで。
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2019年02月13日 (水) 19:22:00

1月の企業物価(PPI)上昇率はとうとう+0.6%まで縮小!

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.6%と前々月の+2.3%や前月の+1.5%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、プラスの上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月企業物価0.6%上昇、伸び縮小続く 原油下落で
日銀が13日発表した1月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は100.9と、前年同月比で0.6%上昇した。前年実績を25カ月連続で上回ったが、上昇率は18年12月の確報値から0.9ポイント縮小した。伸び率の縮小は3カ月連続で、原油価格の下落や米中貿易摩擦の影響が続いている。
品目別ではガソリンなどの石油・石炭製品が前年同月比5.0%下落した。18年12月の4.5%上昇から一転して、2年2カ月ぶりに下落に転じた。化学製品も1.7%の下落に転じた。
下げ幅が大きかったのは非鉄金属で7.4%下落。下落幅が18年12月から3.3ポイント拡大した。米中摩擦に伴う世界景気の減速懸念で、アルミニウムなどの市況が悪化した。鉄鋼は国内の建設向け需要が堅調で3.4%上昇した。
調査対象744品目のうち価格が上昇したのは409品目、下落は266品目だった。差は143品目で、18年12月確報の141品目から拡大した。企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品価格を調べたもので、消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、7~10月は+3.0%を続けていましたが、先月統計の11月が+2.3%、12月が+1.5%、そして、直近の1月統計ではとうとう+0.6%まで上昇幅が急激かつ大幅に縮小してしまいました。季節調整していない前月比で国内物価は11月から12月にかけて前月比で▲0.6%の下落、そして、12月から今年1月にかけても同じ▲0.6%の下落を示しましたが、品目別の寄与度で見てガソリンや軽油などの石油・石炭製品が▲0.38%と大きな部分を占めますし、エチレンなどの化学製品も▲0.16%となり、この2項目で全体の下落のほぼほぼすべてという勘定です。また、PPIのうちの輸入物価は円ベースの同じ前月比で▲5.0%下落し、同じく寄与度で石油・石炭・天然ガスが▲2.19%、化学製品も▲0.36%に上ります。上のグラフのうちの一番下のパネルに円建て輸入物価のうちの原油を取り上げていますが、1月統計ではとうとう前年同月比でマイナスに突っ込んでいます。指数の水準でも、前年同月比上昇率でも、いずれも昨年年央2018年7月にピークアウトしたんではないかと私は見ています。従来からのこのブログでの指摘ですが、通常は為替に用いる用語ながら、いってみれば原油価格のパススルー、というか、原油価格の変化に対して柔軟な価格転がなされてしまうことから、我が国の物価は金融政策よりも原油価格に左右される部分の方が大きいような気がします。そうなると、小国とみなされるようになった我が国の物価は、ほぼ外生変数である石油価格に左右されるということになってしまうのかもしれません。当然ながら、企業物価のヘッドラインである国内物価の上昇幅縮小は、ラグを伴いつつ消費者物価(CPI)にも波及します。
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2019年02月12日 (火) 21:42:00

2018年10-12月期GDP速報1次QE予想は潜在成長率近傍の物足りない実質成長率か?

先々週の各種政府統計など、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の2月14日に昨年2018年10~12月期GDP速報1QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、大和総研とみずほ総研は長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。特に大和総研は需要項目別に先行き見通しがあるんですが、取りあえず、個人消費だけを引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.4%)
当面を展望すると、外需の不透明感は残存するものの、良好な雇用・所得環境のもと、内需主導の景気回復が持続し、潜在成長率並みの成長を確保する見通し。もっとも、米中貿易摩擦の動向次第では、株価下落を通じた消費への下押しや、企業マインドの悪化を受けた設備投資の下振れなどが起こる可能性もあり、留意が必要。
大和総研+0.2%
(+0.7%)
先行きの日本経済は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を続ける公算が大きい。当面、鍵を握るのはエネルギー価格の動向と消費増税をめぐる各種の対策となりそうだ。
まず、個人消費は一進一退が続くとみている。これまで、労働需給のタイト化に伴う名目賃金上昇の効果は物価高により相殺されてきたが、11月以降原油価格が大きく下落したことで、足下では実質賃金も上昇している。ただし、人手不足に伴う賃金上昇を賃金カーブのフラット化や残業削減によって企業が相殺することにより、名目賃金の上昇ペースが鈍る可能性には注意が必要だ。
また、2019年10月に予定されている消費増税に関しては、各種経済対策の実施により駆け込み需要・反動減はいくらか緩和される見込みである。ただし、施策の一つであるポイント還元策(案)が、制度終了(2020年6月末)前後に駆け込み需要・反動減を生じさせる点には留意しておく必要がある。
みずほ総研+0.4%
(+1.4%)
1~3月期以降については、海外経済の減速に伴う輸出の伸び鈍化などを受け、力強さに欠ける展開が続くと予想する。
個人消費は労働需給のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが押し上げ要因となり、底堅い推移が続くだろう。設備投資は、高水準の企業収益や人手不足による合理化・省力化投資が引き続き下支えになるものの、製造業を中心にストック調整圧力が徐々に高まるとみられるため、緩やかな伸びに留まる公算だ。輸出は、中国経済を中心に海外経済の減速がしばらく続くほか、これまでの輸出のけん引役であったIT需要が既にピークアウトしていることから、伸びが鈍化していくとみている。
リスク要因としては、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。既に一部の企業で設備投資を先送りする動きが出はじめているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、輸出の更なる低下や設備投資の減速を通じ、景気が下押しされる可能性がある。
ニッセイ基礎研+0.3%
(+1.3%)
2018年10-12月期は前期比年率1%程度とされる潜在成長率を上回るプラス成長となったが、自然災害の影響で大幅マイナス成長となった7-9月期の後としては物足りない伸びにとどまった。景気は実勢として弱めの動きとなっており、年明け以降も停滞色の強い状況が続く公算が大きい。海外経済の減速に伴う輸出の失速を起点として景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている。
第一生命経済研+0.3%
(+1.2%)
景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない。回復か後退かで分けるのならば、依然として回復局面という判断になるだろう。ただ、18年の景気の足取りが筆者の当初の想定をかなり下回ったことは確かであり、足元では「減速」よりも「踊り場」や「足踏み」といった表現の方が似合う景気状況にあるように見える。
伊藤忠経済研+0.9%
(+3.5%)
10~12月期の実質GDP成長率は前期比+0.9%(年率+3.5%)の高い伸びを予想。ただ、災害被害によって落ち込んだ前期の反動という面が大きく、均して見れば潜在成長率を下回る緩やかな拡大にとどまる。デフレ脱却への道のりは遠い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.9%)
2018年10~12月期の実質GDP成長率は、自然災害発生による一時的な下押し圧力が剥落したことに加え、国内需要が底堅さを維持していることからプラス成長を回復したと予想される。ただし、輸入の増加によって外需寄与度が比較的大きめなマイナスとなるため、伸び率は前期比+0.2%(年率換算+0.9%)と、前期がマイナス成長だったことを勘案すると小幅の伸びにとどまる。
三菱総研+0.1%
(+0.3%)
2018年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.3%)と、2四半期ぶりのプラス成長を予測する。7-9月期に相次いだ自然災害からの回復は見られたものの、外需環境の悪化が重石となり、小幅のプラス成長にとどまったとみられる。


突飛にもっとも大きな成長率を予想している伊藤忠経済研とその逆の三菱総研を除けば、概ね年率換算で+1%前後と潜在成長率近傍の予想が多くなっている印象です。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも年率で+1.2%が中央値となっています。2018年1~3月期のマイナス成長の後の4~6月期は年率+2.7%の高成長でしたから、それに比べれば、10~12月期の+1%の潜在成長率近傍というのはやや物足りない気もします。ただ、4~6月期も外需はマイナス寄与だったんですが、国際商品市況の石油価格がほぼほぼピークでしたから、私の直感でも10~12月期の外需のマイナス寄与は4~6月期よりも大きいと想像しています。いずれにせよ、10~12月期は消費と設備投資が伸びた一方で、海外要因が足を引っ張って、内需主導の成長ながら高成長ではない、というのが緩やかなコンセンサスのような気がします。なお、上のテーブルのヘッドラインのうち、ニッセイ基礎研の「景気が後退局面入りするリスクはここにきて高まっている」というのと、第一生命経済研の「景気が足元で後退局面に陥っている、あるいは今後陥る可能性が高いとは思わない」というのは一見相反するように見えますが、私は同じ意味なんだろうと受け止めています。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから実質GDP成長率の推移を引用しています。

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2019年02月11日 (月) 19:33:00

ウェザーニュース速報で関東の花粉飛散を確認!

先週2月8日付けでウェザーニュースから「速報・第3回花粉飛散傾向」として、東京をはじめとする1都12県で花粉シーズンが始まり、東京は昨年より8日早い飛散が確認された、と明らかにされています。

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上の画像はウェザーニュースのサイトから引用していますが、上から順に、飛散が始まった関東と北部九州など、それから、真ん中のパネルはそれ以外のいわゆる花粉前線、一番下は関東の今年の飛散量予想です。平年よりも多く、昨年よりも格段に多く飛散すると予想されています。実は、私自身は一昨日の2月9日の土曜日に雪が降っている中でありながら飛散を確認しました。何ともいえず、憂鬱な季節に入ってしまいました。
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2019年02月10日 (日) 14:32:00

米国の政策プライオリティに関する世論調査結果やいかに?

先週2月5日に、ようやくトランプ米国大統領が一般教書演説 (State of the Union Address) を終えましたが、やや旧聞に属する話題ながら、1月24日付けで、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから Public's 2019 Priorities: Economy, Health Care, Education and Security All Near Top of List と題して、米国国民の考える今年の政策プライオリティに関する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。調査結果のタイトル通り、政策プライオリティのトップに上げられたのは、Improving the economy (70%)、Reducing health care costs (69%)、Improving the educational system (68%)、Defending the country from future terrorist attacks(67%)、Taking steps to make the Social Security (67%) and Medicare (67%) systems financially となっています。グラフをいくつか引用しながら、簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから複数回答で政策の最優先課題を問うた結果の回答の時系列的な推移をプロットしているグラフを引用しています。やや色分けが見にくいんですが、最近時点での50%前後の回答のトップ5を示しています。ヘルスケアを除いて軒並みここ数年で比率を下げているような気がします。すなわち、私の解釈ながら、経済や雇用については好調な米国景気を背景に関心が低下し、テロについても米国第一主義で大概的な視点を欠くトランプ政権下で興味を低下させ、財政赤字については一部の連邦政府機関の機能停止を受けて昨年から横ばいとなっています。私の記憶でも、1980年代末の我が国経済のバブル期には経済の優先順位が下がり、少なくとも、財政政策や金融政策の発動による景気浮揚策はほとんど話題に見ならなかったと思います。また、折れ線グラフには入っていませんが、直近時点で教育が68%、社会保障が67%を占めるなど、高い優先順位の回答を集めています。

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次に、上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから政策の優先順位が与党共和党と野党民主党との間でどれくらい隔たりがあるのかをプロットしているグラフを引用しています。テロ対策や軍事では共和党がプライオリティ高く、両党の差が大きい一方で、同じく両党の差が大きい政策課題で民主党の優先順位が高いものには環境と気候変動が上げられます。意外と世界貿易に関しては両党間の差が小さく、しかも、我が国をはじめとして諸外国で騒いでいる割には、米国内ではそれほどのプライオリティが認められていない、というのはやや奇妙な気がします。
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2019年02月09日 (土) 10:12:00

今週の読書は本格的な経済の学術書からテレビドラマの原作まで計8冊!

今週の読書は、数式がいっぱい詰まった本格的な経済学の学術書や話題のAIと雇用の関係を論じた経済書から、TBSで放送中のテレビドラマの原作ミステリまで幅広く、以下の8冊です。来週の読書に向けた図書館回りは、降雪のために自転車に乗れずにすでに諦めて、明日になる可能性が高くなっています。今週と同じ8冊には及びませんが、来週もそれなりに数冊は読みそうな勢いです。

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まず、柳川範之[編]『インフラを科学する』(中央経済社) です。著者は東大経済学部の研究者であり、本書は国土交通省のスポンサーで出版されているようです。第1部は主として交通インフラの経済分析を実証的に行っているんですが、私のような不勉強なエコノミストには理解が難しいくらいのレベル感です。第2部の都市の経済学とともに、ほぼほぼ学術書のレベルであると考えて差し支えありません。ということは、一般的なビジネスパーソンには難しすぎる可能性が高いと私は考えています。ただし、この点については編者や各チャプターの著者も十分に意識しているようで、各章の扉で「本章のねらい」、「本章を通じてわかったこと」、「政策的な示唆・メッセージ」を簡潔に提示し、各章の冒頭と最終節もねらいやまとめになっているため,、何と申しましょうかで、たとえ専門的な予備知識がなくても、この部分だけ立ち読みでもすれば、それなりに本書を理解できた雰囲気になれるように配慮されています。その上、結論がかなり常識的で、定量的な分析にはそれなりに意味あるものの、インフラの効果がプラスかマイナスかくらいは誰にでも理解できるでしょうから、まあ、定量的な分析が肝なんですが、それが判らなくても方向性は直感的に理解できるものと思います。もちろん、定量的な分析でなくても、英国の交通省による広義の経済効果として第1章にあるように、集積の経済、競争促進効果、不完全競争市場における生産拡大効果、雇用改善に伴う経済便益、とかも先進国の事例の勉強にはなります。経済学的ではないかもしれませんが、第2部の都市の経済学もそれなりに興味深かった気がします。EBPM(Evidence Based Policy Making)に関心が集まり、このような定量分析の学術書も出版されているんですが、ただ、その基となる統計データに信頼性なければ定量分析も「絵に描いた餅」です。それから、インフラの経済のもととなる集積の経済はそうなんですが、行き過ぎると混雑の不経済に転化する可能性も否定できません。そのあたりの分析はスポンサーとの関係で割愛されているのかもしれません。

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次に、スティーヴン K. ヴォーゲル『日本経済のマーケットデザイン』(日本経済新聞出版社) です。著者はカリフォルニア大学の旗艦校であるバークレイ校の政治学の研究者であり、本書冒頭の謝辞に登場し『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著作で有名なエズラ・ヴォーゲル氏の何らかの縁戚ではないかと私は想像しています。よく知りません。上の表紙画像に見えるのとは異なり、英語の原題は Marketcraft であり、2018年の出版です。原題からも明らかなように、日本に限定した分析ではなく、日米を並べて論じています。まず、市場について、市場と政府規制を二律背反的あるいは対立的にとらえるのではなく、古典派経済学の考えるような完全市場というものは存在せず、市場には法と慣行と規範が必要であり、政府はそれらを市場に与えることができる、ということから始まります。その上で、ややステレオタイプな見方という気もしますが、英米の自由市場型経済と日独のような調整型市場経済をモデル化して議論を展開し、実は、調整型市場経済よりも自由市場型経済の方こそ政府の関与が必要と説いています。そして、「失われた20年」とかの日本経済の失敗は、自由市場型経済に移行するための規制緩和や政府関与の縮小が出来なかったからではなく、むしろ、政府関与の増加を含めたマーケットデザインに失敗したためである、と結論しています。もちろん、市場に関与する政府のあり方にはいろいろあって、日本だけではなく米国でもカリフォルニアの電力供給の例を引いて、さまざまな政府によるマーケットデザインの失敗も論じていますし、何といっても最大のマーケットデザインの失敗の結果が過剰なリスク・テイクに起因する2008年のリーマン・ショックであると結論しています。ただ、私のようなエコノミストからすれば、市場というメカニズムは資源配分とともに所得分配の場でもあると考えるべきであり、従来は資源配分は効率を重視して市場に任せた上で、その結果たる所得については政府が再分配を行う、という役割分担だったんですが、ややこの点が混同されているような部分もあります。加えて、私には非常に判りやすくて受け入れやすい分析だったんですが、2点だけ経済学的な論点を提示すると、ルーカス批判や合成の誤謬が生じる可能性を指摘する必要があります。すなわち、政府のマーケットデザインに対して、国民が事前の予想とは異なる反応を示す可能性があるとともに、本書では一貫してインセンティブに対するマイクロな反応を論じていますから、マクロ経済的にマイクロな反応の積み上げが合成の誤謬を生じる可能性も否定できません。ただ、繰り返しになりますが、なかなか日米経済の本質を的確についた政治学者による経済の分析だという気がします。

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次に、岩本晃一『AIと日本の雇用』(日本経済新聞出版社) です。著者は経済産業省出身の研究者です。タイトルにあるAIと雇用については、英国オックスフォード大学のフレイ&オズボーンによる大きな雇用減少の可能性に関する研究成果と、それを真っ向から否定する米国マサチューセッツ工科大学(MIT)オーター教授の論陣なんですが、本書の著者は圧倒的に後者の論拠によっています。人間の脳をそのままエミュレートするかのようなカートワイツ流の2045年のシンギュラリティは否定される一方で、確かに、ルーティンに基づくお気楽な事務職や定形作業はAIやロボットに取って代わられる一方で、高度なスキルが要求される専門職・技術職で雇用は増加し、さらに、やや不都合な真実ながら、未熟練労働による低スキル職も増加する、という見立てです。そのあたり、本書は6章立てで構成されていて、前半3章の分析は、オーター教授の分析に基づいて、それなりに私も同意する部分が多いものの、後半3章は、どうも日本企業の競争力維持に大きな関心が払われているようで、ややピント外れな気もしました。最後に、本書の著者は鋭くも、私と同じで、ロボットやAIの活用が進めば、雇用とともに分配の問題が重要となり、ベーシック・インカムやロボット税の問題も浮上するといいつつも、本書ではスコープ外とされているようで、そこはやや残念です。まあ、そのほかにも、タイトルにひかれて読んだんですが、MITオーター教授の見方を紹介している以外には、それほど参考になるところはありませんでした。野村総研(NRI)がかなりオックスフォード大学フレイ-オズボーンの見方に肩入れしていますが、経済産業省や経産研はこれに対抗してMITオーター教授の方に肩入れするんでしょうか。私のような部外者からすれば、なかなか見ものかもしれません。

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次に、アニンディヤ・ゴーシュ『Tap』(日経BP社) です。著者はニューヨーク大学のビジネス学の研究者です。英語の原題も Tap であり、2017年の出版です。私も著者も合意しているのは、最近のICT技術の発展や特にスマホの登場による経済社会のもっとも大きな変化は生産性向上などの生産現場におけるものではなく、娯楽を含めた消費行動に及ぼした影響に起因します。そして、その消費行動への影響については、エコノミストたちの行動経済学をあざ笑うかのように、マーケターが定量的な分析も含めてキッチリと把握し切っているように私は考えています。上の表紙画像にあるように、ついついスマホで買ってしまう大きな原因は宣伝です。市場とは情報の塊と考えられますから、購入行動を促す情報が実に適切に提供されている、ということもできます。そのモバイル・マーケティングの9つのコンポーネントがp.73に示されています。すなわち、場所、時間、顕著性、混雑度、天気、行動履歴、社会的関係、テックスミックス、そして状況です。購入場所に近い位置に消費者がいれば宣伝効果は上がります。ただ、距離の壁はクーポンの割引率で代替することは可能なようです。そして、必要とする時より早過ぎても、逆に、時間的な余裕がなくても宣伝効果は薄く、タイムリーな宣伝こそ必要です。顕著性というのは検索でヒットした順番であり、パソコンでの検索ではトップともっと低い出現順位でも大きな差はありませんが、モバイルの場合は検索の出現順位が大きくモノをいいます。混雑度については、通勤電車などで適度に混雑していればスマホに逃避する場合もあります。天気はいうまでもありません。温度が高ければビールやアイスクリームの売上に大きな影響を及ぼします。社会的関係というのは判りにくいかもしれませんが、人は1人で買い物をする時よりも2人の時の方が、さらに、3人の時の方が宣伝広告に敏感に反応するらしいです。もっとも、2人の場合が男女のカップルであるときは例外的に宣伝広告に反応しません。まあ、そうかもしれません。ただ、本書の著者もハッキリと書いているように、宣伝広告がすべてではありません。マネーボール分析をしたからといって、ワールド・シリーズで優勝できるわけではありません。言外に、消費者に評価の高い製品作りが必要、とモノ作りの重要性が示されているような気がしました。

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次に、照井伸彦『ビッグデータ統計解析入門』(日本評論社) です。著者は東北大学経済学部に在籍する研究者であり、本書は「経済セミナー」に連載されていたシリーズを単行本化したものです。上の表紙画像に見られるように副題は「経済学部/経営学部で学ばない統計学」となっていますので、ついつい借りてしまいました。まず、150ページ足らずのコンパクトな入門編テキストながら、完全な学術書であり、読みこなすにはそれなりの専門性が要求されると考えるべきです。難解な数式もいっぱい登場します。巻末の補論が基礎事項の確認と題されており、確率統計、行列と分散共分散行列そして回帰分析のそれぞれの基礎を展開していますので、この部分にザっと目を通して本書のレベルを確かめた上で取り組むかどうかを考えた方がいいような気がします。ただ、ソフトウェアについてはRを基本にしたパッケージで解説されていますので、Rのユーザであれば取り組みやすい気もします。私も著者のサイトですべてのRのプログラム・コードやCSVに格納されているデータをダウンロードして目を通したり、走らせたりしたわけではありませんが、座学的に本を読んで理解しようとするより、実際にパソコンでプログラム・コードを走らせると理解度が違ってくるのは何度も経験しました。したがって、計量経済学については、理論的なテキストで勉強するよりも、実務的にSTATAやEViewsなどのソフトウェアの解説書で勉強した方が身についた気もします。本書では第2章のベイズ統計に関する部分のハードルが高そうな気がしますが、私なんぞの実務家にしてみれば、第6章あたりのリッジ推定の方が判りやすかったりしました。もっとの、リッジ回帰の拡張版であるLASSO回帰は初めて知りましたので、人生60歳を迎えても、まだまだ勉強する必要があるようで、進歩の速い分野とはいえ、なかなかタイヘンです。

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次に、フランチェスコ・グァラ『制度とは何か』(慶應義塾大学出版会) です。本書も出版社から明らかなように学術書です。著者はイタリアのミラノ大学の政治経済学の研究者です。原初はイタリア語ではなく英語であり、原初のタイトルは Understanding Institutions であり、2016年の出版です。ということで、著者は制度について議論を展開しており、本書でもエコノミストとしてノーベル経済学賞を授賞されたノース教授らの制度学派が取り上げられています。制度のタイプとしては、結婚、私有財産、貨幣にフォーカスされており、均衡アプローチとルール・ベースのアプローチの両方について解説されていますが、私の印象では後者に重点が置かれているように感じました。ただ、ルール・ベースのアプローチだけでは、どうしてゲームに加わる参加者がルールに従うかについて説明できないとしており、インセンティブが果たす役割が強調されています。逆に、すべてのゲーム参加者がルールに従った行動をとるという空想を全員が共有して、それを信頼する限り、システムは問題なく機能する一方で、信頼性に欠けるようになればシステムに綻びが生じる、その典型例がサブプライム住宅証券で起こった、と指摘してます。本書で取り上げられているうちでは、エコノミストとしては貨幣、もちろん、fiat money である不換紙幣について着目したんですが、金本位制下の兌換紙幣と違って、現在の不換紙幣は、誰もがアクセプトするという確信の下に流通しています。もちろん、政府が強制通用力を持たせている点も重要ですが、人々の革新の方が重要ではないかと多くのエコノミストは考えています。ただ、本書ではインフレに対する考察が少し弱い気がします。貨幣の流通とインフレについては、本書でも決して無視されているわけではありませんが、例えば、マートン的な自己実現的予言では取り上げられておらず、また、やや要求レベルが高い気もするものの、動学的な考察や分析もあっていいんではないか、と思ってしまいました。繰り返しになりますが、本書もほぼほぼ完全に学術書ですので、私もそれほど十分に理解したとは思えません。読みこなすにはそれなりの素養が求められるかもしれません。

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最後に、加藤実秋『メゾン・ド・ポリス』『メゾン・ド・ポリス 2』(角川文庫) です。ご存じ、TBSで放送中の高畑充希主演のテレビドラマの原作です。小説の原作ベースでは、初刊に5話、第2巻に4話の短編ミステリが収録されています。本書を読んで判る人は判るんでしょうが、人物相関図についてはTBSドラマのサイトで確認しておいた方が手早く理解できるかもしれません。ただ、ドラマでは瀬川草介は買い物コーディネータ、というか、出入りのご用聞きで、よくシェアハウスで油を売っていたりするんですが、原作では主人公の女性刑事ひよりが通うバー ICE MOON のバーテンダーです。また、大きな違いはないのかもしれませんが、ひよりの父はドラマの相関図チャートでは死んだことになっていますが、原作では失踪とされています。ただ、私はテレビドラマの方はほとんど見ていませんので、ストーリーの違いはよく判りません。ということで、難易度の高い事件が発生すると、主人公の女性刑事ひよりが退職警察官が居住するシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」を訪問しては、立派に事件を解決する、というのが基本となるストーリーです。シェアハウスのオーナーと管理人と居住者は基本的に退職警察官で、すべて定年退官なんですが、管理人の手伝いの西島秀俊演ずる夏目だけは、準主役級ながら、わけあって50歳と中途で辞職しています。その理由は初刊第3話に初めて登場し、小説では初刊第5話で完結します。しかし、夏目は第2巻でも引き続きシェアハウスに登場し、事件解決に当たります。そして、第2巻では、原作小説で10年前から失踪となっている主人公ひよりの父親の件についても、最終第4話でほぼほぼ解決されます。主人公のひよりの父親の失踪も、準主役の夏目の辞職も、どちらも個人的な恨みつらみや金銭トラブルなどではなく、いわゆる「大きな物語」に起因していることに設定されており、決してなぞ解き主体でフェアな本格ミステリではありませんが、なかなか壮大なストーリー展開が楽しめます。
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2019年02月08日 (金) 23:51:00

先行き判断DIが上昇した景気ウォッチャーと貿易収支が黒字化した経常収支!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2018年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から前月差▲1.2ポイント低下の45.6を記録した一方で、先行き判断DIは+1.5ポイント上昇の49.4となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+4528億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

"1月の街角景気、現状判断2カ月連続悪化 訪日客需要に陰り
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は45.6と、前の月から1.2ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月連続。外国人による消費に陰りが見られるほか、米中貿易摩擦の影響が景気実感に表れ始めている。内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」で据え置いた。
現状判断指数(45.6)は2016年7月(44.4)以来、2年6カ月ぶりの低水準。家計動向関連が2.0ポイント低下の44.6と下落したのが響いた。1月に中国で通販事業者の規制を強化する電子商取引(EC)法が施行され、中国で転売するための需要が減少しているとの声が百貨店を中心に多数聞かれた。インフルエンザの流行で外出を控える影響により「恨みたくなるような客足。例年以上に冷え込んでいる」(甲信越の一般レストラン)との声もあった。
企業動向関連は建設業など非製造業が押し上げて0.5ポイント上昇の46.6だったものの、製造業は43.4と2.3ポイント低下した。「ロボット等の製造設備関連業界には陰りが出ている。米中貿易戦争の影響が顕著にでているようだ」(北関東の一般機械器具製造業)、「世界的な景気の減退が地方にも波及し始めている」(北海道の家具製造業)などの指摘があった。雇用関連は1.1ポイント上昇の49.9だった。
一方、2~3カ月後を占う先行き判断指数は49.4と、前の月から1.5ポイント上昇した。先行き判断指数の部門別では家計動向、企業動向、雇用、いずれも改善した。「消費税引き上げ前の駆け込み購入や東京オリンピックに向けての買い替えでテレビとパソコンが今後も売れる」(東海の家電量販店)と耐久消費財の堅調な需要に期待する声や、ゴールデンウイークの10連休に伴う旅行需要に期待する声、改元を機に祝賀ムードから飲食や消費増に期待する声があった。
内閣府は基調判断を先行きについて「海外情勢等に対する懸念もある一方、改元や大型連休等への期待がみられる」とまとめた。
2018年の経常黒字、前年比13%減 貿易黒字が縮小
財務省が8日発表した2018年の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引を表す経常収支は19兆932億円の黒字だった。黒字額は前年に比べて13.0%減少した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の黒字額縮小が響いた。
貿易収支は1兆1877億円の黒字だった。黒字額は前年比76.0%減少した。原油高を背景に原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、輸入全体で10.6%増えた。自動車や原動機がけん引し、輸出も全体で5.1%伸びたが、輸入の増加が上回った。
企業の海外からの配当金や投資収益にあたる第1次所得収支は20兆8102億円の黒字だった。黒字額は15年に次ぐ過去2番目の高水準だった。海外子会社から受け取る配当金と再投資収益がけん引し、直接投資収益が過去最高となった。
輸送や旅行、金融といったサービス取引の収支を示すサービス収支は8986億円の赤字となり、前年(7257億円の赤字)から赤字額が拡大した。輸送収支の赤字幅拡大が響いた。一方、訪日外国人の増加を背景に旅行収支は2兆3139億円の黒字と過去最大の黒字を記録した。
同時に発表した18年12月の国際収支状況(速報)によると、経常収支は4528億円の黒字だった。黒字は54カ月連続だが、黒字額は前年同月比43.1%減少した。
貿易収支は2162億円の黒字で、黒字額は58.8%減少した。アジア向けの輸出額が減速するなど輸出が全体で2.8%減少し、輸入は1.6%増加した。
第1次所得収支は4049億円の黒字と、黒字額は34.7%減少した。サービス収支は1142億円の赤字と比較可能な96年以降で最小の赤字だった。旅行収支は2038億円の黒字で、同月として過去最大だった。


2つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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1月の季節調整済指数の前月差で見て、現状判断DIが低下する一方で、2~3か月先の先行き判断がプラスという異なる方向への振れとなり、供給サイドのマインドとしては、足元がかなり直近の底に近い感触です。現状判断DIが低下した理由としては、引用した記事によればインバウンド、インフルエンザ、米中間の貿易戦争の3点が上げられているようですが、他方で、先行き判断DI上昇の理由として、東京オリパラと改元やゴールデンウィーク10連休のほか消費増税前の駆け込み需要がすでに始まっている印象もあります。エコノミストの目から見て、インフルエンザは経済外要因かもしれませんが、確かに、外出手控えなどは消費に影響しそうな気もします。インバウンドと米中貿易摩擦は海外要因といえます。逆に、先行きに影響している要因はほぼほぼすべて国内要因なんですが、サステイナビリティはなさそうです。マインドですから、それほど長期に影響する要因はあり得ないともいえますが、景気拡大が73か月の戦後最長に達した可能性が高い現時点で、先行き判断が明るいのはもう少し景気拡大が継続する、ということな気がします。問題は消費増税以後の景気動向です。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。月次の季節調整済の系列で見て、安定的に1~2兆円の黒字を計上してます。ただ、国際商品市況における石油価格の動向に起因して、2018年9~11は貿易収支が赤字を記録していましたが、石油価格もほぼほぼピークを超えて、2018年12月には貿易黒字に回帰しています。

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最後に、本日、厚生労働省から昨年2018年12月の毎月勤労統計も公表されています。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.8%増の56万7151円、賞与込みに上昇していますが、広く報じられている通り、統計としては大いに信頼性を損ねましたので、ヘッドラインの数字を引用し、上にいつものグラフをお示しするにとどめ、統計に基づく経済評論は差し控えたいと思います。
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2019年02月07日 (木) 23:28:00

12月の景気動向指数CI一致指数は2か月連続で下降し足踏み続く!

本日、内閣府から昨年2018年12月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.2ポイント下降して97.9を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して102.3を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年12月の景気一致指数 2カ月連続の低下、内閣府「輸出弱い」
内閣府が7日発表した2018年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の102.3だった。低下は2カ月連続。「アジア向けのスマートフォン(スマホ)用部品が減少するなど、輸出が弱い印象だ」(内閣府)という。米中貿易摩擦や中国経済の減速などの影響が出たようだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。同判断は4カ月連続となる。一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になるのは7系列で、そのうち6系列がマイナスに影響した。
米国・アジア向けの自動車部品の輸出が減少するなど、商業販売額(卸売業)が低下した。スマホなどに使われるフラットパネルディスプレーの製造装置の輸出減がみられた投資財出荷指数(除輸送機械)の低下なども指数にマイナスに影響した。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の97.9と4カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.6ポイント低下の103.4だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度としては、プラスは耐久消費財出荷指数だけであり、マイナスは速報段階で利用可能なほかのすべての6系列に上っており、マイナスの大きい順に、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、投資財出荷指数(除輸送機械)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断は「足踏み」に据え置かれていますが、「改善」に1ノッチ上方修正されるための2条件、すなわち、3か月連続での3か月後方移動平均がプラス、はOKだったんですが、前月差でプラスはダメでした。従って、繰り返しになりますが、基調判断は4か月連続で「足踏み」に据え置かれています。
なお、よく知られた通り、景気動向指数は鉱工業生産指数(IIP)などのいわゆる1次統計から機械的に算出される加工統計、ないし、2次統計と呼ばれるもので、独自の調査票でもって調査されているわけではありませんので、逆に、何らかの要因で1次統計が不正確であれば、正しい結果は得られません。当然です。実は、例の統計偽装が騒がれている毎月勤労統計も用いられており、内閣府からは本日付けで「『景気動向指数』における『毎月勤労統計調査』再集計値対応について」と題するアナウンスが公表されています。これによれば、毎月勤労統計から景気動向指数には、一致系列: C4 所定外労働時間指数(季節調整値、調査産業計、30人以上)が、また、遅行系列: Lg2 常用雇用指数(原数値の前年同月比、調査産業計、30人以上)および Lg7 きまって支給する給与(指数、名目、季節調整値、製造業、30人以上)が用いられており、本日公表の2018年12月分速報からリンク係数を用いた接続方法により算出されている旨が明らかにされています。

ところで、去る1月29日に開催された月例経済報告閣僚会議において、「景気は、緩やかに回復している。」とされ、現在の2012年11月を谷とする景気拡大が73か月と戦後最長となった可能性が高いと報告された点につき、シンクタンクなどからいくつか論評が明らかにされています。私がネット上で見たのは順不同で以下の通りです。ご参考まで。
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2019年02月06日 (水) 19:42:00

三井住友アセットマネジメントのマーケットレポート「多くの旅行需要が期待される『春節』休暇」やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、ほぼ1週間前の1月30日付けで三井住友アセットマネジメントから「多くの旅行需要が期待される『春節』休暇」とのマーケットレポートが明らかにされています。pdfの全文リポートで1枚ものの短い内容ですが、簡単に以下の通り取り上げておきたいと思います。

まず、リポートで第1のポイントとして上げられているのが『春節』の旅行者数は約4億人という規模の点であり、「4億人」については大手オンライン旅行会社の携程旅行網(シートリップ)から引用しています。また、昨年からの増加は小幅で、例えば、国務院新聞弁公室が『春節』期間の帰省等に伴う特別輸送体制を取る「春運」と呼ばれる期間である1月21日から3月1日までの40日間で、この間の鉄道や飛行機等各種輸送手段による旅客輸送量は延べ29億9,000万人に上り、前年同期比+0.6%増を記録する見込みだそうです。
次に、リポートで第2のポイントとして上げられているのが、海外旅行者であり、海外旅行者数は全体で700万人、うち日本は人気旅行先の第2位に上げられています。これもニュースソースは民泊仲介業者であるシートリップではないかと思うんですが、2月2日付けの産経新聞のサイトで見た範囲では、2位の日本のほかは、1位はタイ、3位以下はインドネシア、シンガポール、ベトナムの順となっています。全体の海外旅行者数700万人は昨年から50万人増であり、予約ベースのツアー代金は1人当たり1万元(約16万円)と前年比で+5%増が見込まれているようで、旅行者数・旅行単価とも増加と紹介されています。

このリポートもそうなんですが、春節期間のインバウンド旅行者についても、モノ消費からコト消費への変化が取り上げられています。同時に、どこのサイトで見たのかは忘れてしまいましたが、訪問先も「遊んで楽しめる場所」から「のんびりくつろげる場所」へと変化し始めている、といった旨の指摘も目にしました。かつての爆買いから、文化や風習などをじっくり体験、といった方向にインバウンド消費がシフトするんでしょうか?
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2019年02月05日 (火) 21:14:00

日欧経済連携協定(EPA)が2月1日に発効しチリ産ワインの価格競争力が低下!

我が国と欧州の間の経済連携協定(EPA) が去る2月1日から発効しています。多岐にわたる協定内容などについては以下のサイトをご覧いただくとして、私自身の消費行動にも影響が及んでいます。



私の消費行動が大きく変化しそうなのはワインの購入です。日欧EPAでは、欧州から日本に輸入されるチーズやチョコレート菓子の関税は10年かけて段階的に撤廃することが決められている一方で、ワインやシャンパンなどのスパークリング・ワインへの輸入関税は即時撤廃とされています。ワインについては15%または1リットル当たり最大125円=一般的な750ミリリットルのボトルなら94円弱の関税が即時撤廃されるんですから、それなりの価格インパクトはあります。我が家で購読している朝日新聞のサイトでも「ワイン、チーズ、生ハム…値下げ続々 日欧EPA発効で」とのタイトルで大きく報じています。私は南米はチリの日本大使館に3年間経済アタッシェとして勤務し、それなりに親しみを持って帰国し、とてもお安い大衆ワインですが、チリの首都の名を取ったサンティアゴのメルローなんぞを愛飲していたんですが、スペイン産ワインの価格競争力が大きく向上し、私はグルメでも何でもない一般ピープルですし、価格には敏感なエコノミストですから、最近ではついつい不義理をしてスペイン産ワインを購入したりしています。我が国とチリとの間には米国が脱退したTPP11(環太平洋パートナーシップ協定)を署名・締結したんですが、まだ発効していません。一時的にチリ産ワインが価格競争力を失うのかもしれません。
ご参考まで、下のテーブルの画像は1月17日付けで流通ニュースのサイトにて「イオン/ワインの『日欧EPA発効記念先取りセール』開催」とのタイトルで報じられたイオンの販売価格表だそうです。私が買うようなスペイン産のお安いワインも含まれています。

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2019年02月04日 (月) 21:35:00

帝国データバンクによる「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、1月24日に帝国データバンクから「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。地域別にみて、当然ながら、近畿圏企業の期待が高まっているようすが判ります。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 大阪万博の開催が与える企業活動への影響について、「プラスの影響がある」が31.0%、「マイナスの影響がある」が5.7%、「影響はない」が38.9%、「分からない」が24.3%となった。約3割の企業が大阪万博開催に関してプラスの影響があるととらえている
  2. 地域別にみると、大阪万博の開催について「プラスの影響がある」と回答した企業の割合は、『近畿』で55.8%と最も高い。『北海道』『東北』『北関東』においては、同結果が1割台となっており地理的な距離によりプラス効果の認識に違いが生じている
  3. 具体的な理由について、プラス面では「建設需要の増加」が22.5%と最も高く、次いで「個人消費の拡大」(15.6%)。他方、マイナス面は「人手不足の深刻化」が26.2%でトップ、次いで「建設費の高騰」(16.4%)が続いた
  4. 業界別では、『金融』『建設』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界において、「プラスの影響がある」が30%を超える結果となった
  5. 従業員規模別では、従業員数の規模が大きくなるほど、「プラスの影響がある」と回答する企業の割合は高くなっている。特に「1,000人超」企業においては5割を超える


関西は京都出身の私にとっても、とても興味あるテーマですので、リポートから図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の棒グラフは全国及びブロック別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。「プラスの影響」を回答した企業の割合は、近畿で55.8%と圧倒的に高く、30%超の地方は中国・四国と東海がほぼほぼ同率で並んでおり、やっぱり、地域的な偏りが見られます。当然です。逆に、地理的な距離のある北海道、東北、北関東の各地方においては、10%台後半となっており、極めて正直な結果という気もします。また、マイナスの影響についても、北海道、東北、九州で割合が高くなっています。

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次に、上の地図も都道府県別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。加えて、ブロック別よりも詳細に都道府県別でプラスの影響の割合を見ています。もっとも高い割合を示しているのが大阪である点は当然としても、京都を飛び越して滋賀県が大阪に肉薄しています。近畿ブロックの中で、京都と奈良は50%超の数字を上げており、兵庫と和歌山についてもほぼほぼ50%です。そして、なぜか、海を隔てて徳島が50%に上っています。私は詳しくないんですが、大阪圏との経済的な結びつきが大きいのかもしれません。大阪から距離のある県では、白の20%を下回っている水準なんですが、流石に東京だけは32%に達しています。

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最後に、上の棒グラフは大阪万博開催の影響に関する具体的な理由を帝国データバンクのリポートから引用しています。プラスの影響の理由としては、インフラ整備などの建設需要の増加と消費拡大とインバウンド増加が上げられており、逆に、マイナスの影響の理由では人手不足の深刻化と建設費の高騰などが懸念されていて、私の印象だけなのかもしれませんが、エコの椅子とは何かのショックに対する波及効果を考えるのに対して、企業部門はややゼロサム的な考え方なのか、いろんなリソースを大阪や近畿圏に持って行かれる心配をしているのかもしれません。
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2019年02月03日 (日) 18:12:00

マクロミル・ホノテによる「バレンタイン定点調査2019」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、1月22日にマクロミル・ホノテから「バレンタイン定点調査2019」の結果が明らかにされています。わずかに1000人の小サンプルですが、それなりに興味深い結果も見られます。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICKSを4点引用すると以下の通りです。

TOPICKS
  • 働く男女のバレンタインチョコの購入予定、女性は78%で昨年より減少、男性は25%で微増
  • チョコレートの贈り先は男女ともに「本命」が1位でそれぞれ6割超
  • バレンタインチョコの平均予算は「3,400円」で2年連続ダウン
  • 日本の義理チョコ習慣、男女ともに4割の人が否定的


いつもの通り、マクロミル・ホノテのサイトからグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはマクロミル・ホノテのサイトから バレンタインチョコ購入者の贈り先 男女比較 を引用しています。もっとも比率の高い本命チョコの男女差は決して大きくないんですが、義理チョコは男女格差が明確です。職場などではバレンタインに女性が男性にチョコを配ることが期待されている雰囲気があったりするのかもしれません。グラフの引用は省略しましたが、そもそも、バレンタインチョコの購入予定について、女性78%に対して男性25%となっています。昨年から女性が減少した一方で、男性は増加しているので、収斂の方向にあるような気がしないでもないんですが、まだまだ男女差は大きいといえます。

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次に、上のグラフはマクロミル・ホノテのサイトから 2019年のバレンタインチョコにかける予算 を引用しています。平均予算は3,400円なんですが、昨年から▲287円ダウンしています。男性の平均予算は昨年よりやや増加している一方で、女性の減少率が大きく、全体では2年連続でご予算減少となっています。それから、これもグラフの引用はしませんが、義理チョコの習慣に関した質問では、否定的な回答の方が多数に上っています。当然かもしれません。
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2019年02月02日 (土) 11:15:00

今週の読書は経済史から小説まで計7冊!

今週も、経済書や経営書をはじめとして、化学や歴史に関する教養書に、朝日新聞に連載されていた小説など、計7冊、以下の通りです。今週もすでに図書館回りを終えており、来週の読書も充実した内容になるような気がします。

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まず、ユルゲン・コッカ『資本主義の歴史』(人文書院) です。著者はベルリン自由大学をホームグラウンドとしていた歴史学の研究者であり、経済史にも通じているようです。ドイツ語原題は Geschichte des Kapitalismus であり、2017年の出版です。前近代のころから記述を始めた資本主義の通史なんですが、ボリューム的には極めてコンパクトです。したがって、というわけでもないんでしょうが、産業革命についてはほとんどスコープの対象外となっており、ポメランツの『大分岐』などをチラリといんよすしているだけで、私は少し不満に思っていたりします。マルクス主義的な経済史にも十分通じている印象です。私の考える資本主義とは基本的に近代と同義であり、政治的には個人の基本的人権や自由などを構成要素とする民主主義の定着を見つつ、経済的には奴隷制や農奴制から自由な市民が産業資本家が組織する商工業の企業で賃労働を行う、というものです。その前提としては、スミス的な協業に基づく分業が発達し、現代的な用語を使えば、サプライ・チェーンが高度に発達した中で、賃労働者が資本家の指揮権の下で労働を行い、生産物は商品として流通し貨幣が流通を媒介する中で、貨幣が蓄積された資本に転嫁する、というのが資本主義の語源となるわけです。資本主義の最大の問題点のひとつは景気循環の中での景気後退局面の過酷さであり、それを回避するためにケインズ的な政府の経済への介入が提案されたり、あるいは、もっと徹底して市場による資源配分を停止して生産手段を公有化した上で中央指令に基づく計画経済が志向されたりしてきたわけです。繰り返しになりますが、とてもコンパクトな経済史の通史を目指した本書の弱点のひとつは産業革命ないし工場制製造業の成立について、やや軽視しているように見える点と、さらに、資本主義の歴史を振り返って、その先に何が見えるのか、もはや旧ソビエト的な社会主義や共産主義を見出す経済史家はほとんどいないとは思いますが、いくつかのオプションでも示されていれば、とても大きな課題ながら、私のような読者にはさらによかったような気がしないでもありません。

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次に、鈴木裕人・三ツ谷翔太『フラグメント化する世界』(日経BP社) です。著者は2人とも米国のコンサルティング・ファームであるアーサー D. リトルの日本法人のパートナーとなっています。本書では、経済というよりは経営的に国際標準に基づくグローバル資本主義から、それぞれの価値観を大事にするポスト・グローバル資本主義を本書のタイトルであるフラグメント化と捉え、その世界観の中では日本企業が大いに強みを発揮することができると考えられる、といった議論を展開しています。ですから、まず、本書のタイトルである「フラグメント化する世界」とは、コミュニティを基盤とした自律分散型の社会の実現として定義されており、グローバル資本主義の下で世界共通のスケーラブルな世界で大いに称賛されたGAFAではなく、地域や顧客ごとに固有の価値を重視するフラグメント化された世界では、繰り返しになりますが、日本的な経営が脚光を浴びる可能性があると指摘しています。ただ、2030年ころまで時間をかけた以降になる可能性も同時に示唆されています。ということで、その経営的な要素は第5章で展開されており、以下の6つの「脱」で表現されています。すなわち、①脱コミットメント経営、②脱選択と集中、③脱横並び経営、④脱標準化、⑤脱大艦巨砲主義、⑥脱中央集権主義、となります。③と④のように、かなり重複感のある項目もありますが、いかにもコンサル的というか、何というか、こういった概念的な整理とともに、我が国のリーディング産業である自動車と電機、家電と重電の両方を例に、ケーススタディも試みられています。パナソニックやソニーがサクセス・ストーリーを提供している一方で、東芝は半導体と原子力に「集中と選択」してしまい、挙句に粉飾決算に走った、といわんばかりで、私は少し疑問を感じました。電機メーカーの経営状態を見るにつけ、特に韓国勢との国際競争においては、為替の果たした役割がとても大きいように私は感じていますが、それでは経営コンサルの出番はないのかもしれません。私は経営学は専門外もはなはだしく、マクロ経済からいろんな解釈を試みようとする傾向があるのは自分でも理解していますが、少なくとも、経営方針がすべてではない一方で、マクロ経済の景気動向もすべてではない、ということなんでしょう。もちろん、長らくGEの経営者だったウェルチ氏の著書に見える "GE will be the locomotive pulling the GNP, not the caboose following it" くらいの気概は、日本の経営者にも大いに持っていただきたい、とは私も考えています。

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次に、ジョン・アーリ『オフショア化する世界』(明石書店) です。著者は英国の社会学の研究者なんですが、すでに2016年3月に亡くなっています。私はこの著者の社会学の本は、『場所を消費する』と『モビリティーズ』を読んだ記憶があり、後者の読書感想文は2015年5月16日付けのブログでアップしてあります。本書の英語の原題は Ofshoring であり、2014年の出版です。ですから、監訳者のあとがきにもある通り、話題になった2016年公刊のパナマ文書などは取り上げられていません。ということで、私は数年前にこの著者の移動に関する本を読んだところでしたので、ついつい、モノやサービスに移動や輸送に引き付けて本書も理解しようとしてしまいました。また、同時に本書も経済学的な金融や生産などの狭義のオフショアリングと違って、レジャー、エネルギー、セキュリティ、から果ては廃棄物まで、とても幅広くオフショア化を展開しています。そして、最後は第10章ですべてをホームに戻す、という章タイトルでオフショア化の巻き戻しを論じています。オフショア化については、本書でも規定している通り、見えにくいところに移動させて税金などをごまかすための手段と狭い意味で考えられていますが、本書のように、地産地消という観点からすれば、私は交易の利得を否定しかねず、やや方向として疑問が残ります。よく知られている通り、体を鍛えて地産地消の質素な生活を送るというのは、実は、ヒトラー・ユーゲントに由来します。また、海外まで含めて遠い距離を移動することによるオフショアリングは、いわゆる海の帝国である英米の得意とするところであり、大陸欧州の独仏のような陸の帝国は、オフショアリングはやや苦手とする傾向があるのが一般的な理解です。こういった背景を考えつつ読み進むと、本書の観点はやや疑問とする部分もありますが、マルクス主義的な見方でなくても、オフショアリングが貧困層や一般家計に対する概念としての富裕層や国民や消費者に対応する概念としての企業に、いいように使われて一般国民から見て何の利益ももたらさない、というのも事実です。そのあたりのバランスを持った議論は必要だと思うんですが、本書は後者の一般国民からの議論を代表しているとの前提で読み進む必要あるかもしれません。

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次に、佐藤健太郎『世界史を変えた新素材』(新潮選書) です。著者は医薬品メーカーの研究職も経験したサイエンス・ライターです。医薬や化学が専門分野ということなんだろうと思います。そして、その著者の専門知識が生かされたのが本書といえるかもしれません。しかしながら、化学ではなく経済ともっとも関連深い金から本書は始まります、現在まで世界で採掘された金はわずかにオリンピック・プール3杯分にしかならない、というのに驚きつつ、以下、12章に渡って、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコンの順で取り上げられています。金を別にすれば、金属でフォーカスされているのは鉄は当然としても、銀でも銅でも鉛でもなくアルミニウムとなっています。軽い金属ということで独特の位置を占めています。紙は記録のための活用が評価され、化合物としてはゴムは天然人工屋やビミョーなものの、プラスチックとシリコンが注目されています。章別タイトルだけを見ると、セメントは選から漏れているのか、と想像しがちなんですが、炭酸カルシウムのいちコンポーネントとしてちゃんと入っています。それにつけても、やっぱり、私のようなシロートから見て、鉄が素材・材料のチャンピオンなんだろうという気がします。本書ではそのカギは地球上に大量に存在することがポイントと解き明かしています。この週末の新聞報道で、世界鉄鋼協会の記者発表によれば、2018年の粗鋼生産量は世界で4.6%増となり、我が国はインドに抜かれて中国・インドに次ぐ世界第3位の粗鋼生産国となった、といった記事も見ました。それから、私はゴムとプラスチックとシリコンの区別が判然としませんでした。「シリコンゴム」というのもあって、実は、私は週末にはプールで3~4キロほど泳ぐのを習慣にしているんですが、我が家のある区立体育館プールのひとつのルールとして金属を身に着けず泳がねばならない、というのがあって、私は左手の薬指にシリコンゴムの指輪をして泳いでいます。本書では、「シリコンゴム」については、ケイ素=シリコンと炭素を人工的に結合させたものであると解説されています。私のような文系の表現でいえば、ケイ素も炭素もどちらも4つの手で結合できますから、人工的にその結合物を作るのはできそうです。耐熱温度も高そうな気がします。まあ、私のような用途からすれば50度もあれば十分だったりします。タイトルの前半、すなわち、世界史を変えた部分も、決して重点を置かれているわけではないながら、ちゃんと解説されており、それなりに楽しめる読書でした。

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次に、河内将芳『信長と京都』(淡交社) です。著者は奈良大学などで研究をしていた歴史家です。上の表紙画像にも見られる通り、「宿所の変遷」をキーワードに織田信長と京都について歴史をひも解いています。冒頭は有名な歴史的事実で始まります。すなわち、織田信長は本能寺の変により京都で死んだ、ということです。本書でも、相国寺や妙覚寺などの宿所が紹介されており、また、もともとの織田家の本拠である岐阜から、ジワリと京都に近づいて安土に城を築いたのは有名な歴史的事実ですが、亡くなるまで織田信長は京都に屋敷、というか、本拠地を持たなかったというのは、改めて、いわれれば、そうかもしれないと気づかされます。京都南部の洛外ながら伏見城を築いたり、醍醐に聚楽第を設営した豊臣秀吉とはかなり違います。江戸期の徳川氏に至っては二条城を京都の本拠としています。加えて、本書でも強調されている通り、織田信長は洛外と上京を焼き討ちしており、京都市民、という表現がこの時代に適当かどうかは別にして、公家や京都市民から織田信長の上洛は恐怖を持って迎えられていたのは、そう難しくなく想像できます。そういった、極めてビミョーな織田信長と集合名詞としての京都との関係が、本書ではかの有名な『言継卿記』などの古文書から明らかにしようと試みられています。ただし、先ほどは、公家と京都市民と書きましたが、朝廷は公家のコンポーネントと見なして、神社仏閣や僧侶などを別にしても、京都にはもうひとつ重要なコンポーネントがあり、それは室町幕府です。織田信長は永禄11年(1568年)に足利義昭を奉じて上洛し、その後、天正元年(1573年)にその足利義昭を追放して、実質的に室町幕府が滅亡したというのが、私のようなシロートの理解ですから、室町幕府については考慮する必要はない、ということなのかもしれません。ただ、織田信長の宿所について、相国寺や妙覚寺などをどのような基準で選び、あるいは、変更したのか、ほとんど史料のない世界かもしれませんが、何らかの仮説なりとも立てて欲しかった気もします。いずれにせよ、織田信長と京都とのビミョーな関係につき、なかなか興味深い読書でした。

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最後に、吉田修一『国宝』上下(朝日新聞出版社) です。作者は、ご存じ、我が国でも売れっ子の小説家であり、純文学も大衆エンタメ小説も全方位でこなす作家です。私も大好きな小説家であり、青春物語の『横道世之介』が私のマイベストです。ということで、この作品は、我が家でも購読している朝日新聞に連載されていた小説です。作者の出身地である長崎の興行師のヤクザの倅が大阪に出て歌舞伎の女形になり、もちろん、その後に東京にも進出して、波乱万丈の人生で芸を極めつつ、最後は人間国宝になる、という長崎人の一代記です。繰り返しになりますが、歌舞伎のいわゆる梨園に生きた女形の一代記であり、中学生のころから60代までの50年を有に超える極めて長い期間を小説に取りまとめており、しかも、小説の視点がドラマのナレーションのような「神の視点」で、ストーリーとして触れられすに飛ばされた部分はナレーションで補う、という、この作者には今までなかったのではないかという手法が取られています。このナレーション方式というのは、部分的には、私のような一般ピープルで歌舞伎などの伝統芸能の世界に馴染みのない読者に歌舞伎や梨園の仕来りなどを解説するには、とてもいい手法かもしれませんが、他方で、ややくどい印象もあります。それから、この作品に私は深みを感じなかったんですが、その大きな要因は登場人物が梨園に極めて近い人物に限られているからではないかと考えます。例えば、文中でとても影響力ある早大教授の劇評論家の評価が語られますが、その人物は決して登場しません。主人公とその早大教授が言葉を交わしたり、あるいは、主人公が1人の文化人として歌舞伎と関係ない世界の他の文化人と交流を持ったりすれば、この作品ももっと深みが感じられたんではないかという気がします。その意味で、とてもボリューム豊かな作品ながら、深みや広がりが感じられませんでした。一部に、この作者の最高傑作とする意見も聞きますが、好きな作家さんの作品であり残念ながら、私はそうは思いません。
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2019年02月01日 (金) 23:28:00

日本と米国の雇用統計はいずれも堅調に推移!

本日、朝のうちに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率など、昨年2018年12月の雇用統計が、また、日本時間の夜になって、米国労働省から1月の米国雇用統計が、それぞれ公表されています。我が国では、失業率は前月から+0.1%ポイント低下して2.4%となり、有効求人倍率も前月と同じ1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。米国では、非農業雇用者数は前月統計から+304千人増と、市場の事前コンセンサスを大きく上回って伸びが加速した一方で、政府機関の一部閉鎖などの影響により失業率は前月から悪化して4.0%を示しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトUSA Today のサイトからそれぞれ関連する記事を引用すると以下の通りです。なお、USA Today の記事は最初の9パラだけ取っています。

18年の有効求人1.61倍、過去2番目の高さ 就業者は最多
厚生労働省が1日発表した2018年平均の有効求人倍率は1.61倍と、前年比で0.11ポイント上昇した。過去2番目に高い水準。同時に総務省が発表した18年平均の就業者数は6664万人で、比較可能な1953年以降最も多かった。一方で完全失業率は2.4%で0.4ポイント下がった。26年ぶりの低水準だ。深刻な人手不足を背景に、働き始める高齢者や女性が増えている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。9年連続で上昇した。18年は高度経済成長の末期にあたる1973年(1.76倍)に続く高さとなった。
企業の出す有効求人数は18年に278万人と、前年比3.1%増。9年連続で増えた。仕事を探す有効求職者数は172万人で3.8%減った。
企業の人材確保は難しさを増している。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は14%。前年から1.2ポイント下がった。正社員として長期雇用で人材を囲い込む動きが広がっており、18年12月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍で、1年前より0.08ポイント上がった。
就業者数は6年連続の増加だ。女性が前年に比べ87万人増えており、男性の伸び(45万人増)を上回った。今まで働いていなかった女性がパートなどで仕事を始める例が多い。一方で65歳以上の高齢者も男女合計で55万人増だ。完全失業者数は18年平均で166万人で24万人減った。
18年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍だった。完全失業率は2.4%で、3カ月ぶりに改善した。
Employers add booming 304,000 jobs in January, marking 100th straight month of employment gains
Hiring began 2019 on a strong note as employers added 304,000 jobs in January, marking a 100th straight month of payroll growth and defying the 35-day government shutdown, the U.S. trade war with China and a slowing global economy.
The milestone extended the labor market's record streak of job gains.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey of households, rose from 3.9% to 4 percent, largely because of the government shutdown, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg estimated 165,000 jobs were added last month.
Mildly disappointing: Employment gains from November and December were revised down by a total 70,000. November's was upgraded from 176,000 to 196,000 but December's blockbuster 312,000 was revised down to 222,000, which was still a strong showing.
A whirlwind of unusual factors likely skewed January's employment totals, economists said. The shutdown wasn't expected to affect the jobs total broadly, which derives from a survey of businesses and government agencies, because 420,000 federal employees worked without pay and the 380,000 who were furloughed are receiving paychecks retroactively, Labor said. However, the longest shutdown in U.S. history still may have crimped government hiring, Goldman Sachs said. And layoffs by the government's private contractors probably suppressed employment by about 30,000, according to Morgan Stanley.
Warm weather in mid-January, when Labor conducted its employment survey, bolstered job gains in industries such as construction and leisure and hospitality, economists said. The number of workers idled because of bad weather was about 50,000 below the average of the past 10 January reports, says economist Jim O'Sullivan of High Frequency Economics.
Also, industries such as retail, restaurants and warehousing sharply ramped up hiring of temporary seasonal workers the past few months, likely resulting in more layoffs in January, according to Morgan Stanley and Grant Thornton.
Generally, the labor market was surprisingly robust in 2018, adding an average 223,000 jobs a month. But economists expect average monthly job growth to slow to about 165,000 or so this year as the trade fight and sluggish global economy take a bigger toll and the low unemployment rate spawns more worker shortages.


とても長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月の1.13倍から1.15倍に改善し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年半に渡って1倍を超えて推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も歩調を合わせて低下していることから、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上から順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、失業率、一番下のパネルは時間当たり賃金の前年同月比上昇率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。ということで、市場の事前コンセンサスが+170~180千人の雇用者像を予想していましたので、ちょっとびっくりの数字でした。ただ、失業率は2か月連続の悪化で、半年ぶりくらいに4%に乗せました。もっとも、これくらいではまだまだ歴史的に見てもかなり低い水準といえます。加えて、失業率の悪化については、35日間続いた政府機関の一部閉鎖が悪化要因と考えられますので、悲観的な見方を示すエコノミストは少なそうです。ですから、米国の雇用は引き続き堅調であると考えるべきです。なお、その政府機関の一時閉鎖の影響ですが、米国議会予算局(CBO)のリポート "The Effects of the Partial Shutdown Ending in January 2019" によれば、政府機関の一部閉鎖により約80万人の連邦政府職員に給与が支払われておらず、2019年のGDPへの影響は▲0.02%と推計されています。他方で、1月15日付けの New York Times の記事 "Shutdown's Economic Damage Starts to Pile Up, Threatening an End to Growth" によれば、米国大統領経済諮問委員会のハセット委員長は取材に応じて、一部の連邦政府機関の閉鎖は、四半期GDPに対して毎週▲0.13%ポイント成長率を下押しする "the shutdown reduces quarterly economic growth by 0.13 percentage points for every week" との試算結果を示しているようです。「80万人」は各種の報道で共通しているように私は受け止めていますが、雇用者の0.5%に当たります。どの試算を信用するか、また、これらの影響が大きいと見るのか、小さく限定的と見るのかは、現時点では何ともいえません。
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