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2019年05月21日 (火) 23:12:00

アップデートされた大和総研「米中冷戦再開の政治経済分析」やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、先週木曜日の5月16日に大和総研から「<最新版> 米中冷戦再開の政治経済分析」と題するリポートが明らかにされています。基本的には、大和総研から5月7日に明らかにされ、このブログで5月10日に取り上げた「『米中冷戦』再開の政治経済分析」をアップデートしたものと明記されています。まず、リポートから要約5点のうち4点めと5点めの2点を引用すると以下の通りです。

[要約]
  • 大和総研のマクロモデルを用いた試算によれば、足下の追加関税率に6月1日に予定されている中国の報復を加えると、GDPの下押し効果は中国▲0.25%、米国▲0.29%、日本▲0.02%となる。さらに、米国が残りの3,000億ドル相当にも25%の追加関税を賦課した場合、GDPの下押し効果は中国▲0.36%、米国▲0.55%、日本▲0.03%となる。
  • 【日本経済への含意】日本にとって最も懸念すべき問題は「二次的効果」だ。すなわち、中国から米国に輸出されている電子機器を生産するために必要となる部材や資本財の対中輸出が顕著に減少する効果である。他方、米中冷戦が深刻化するほどに同盟関係が重要となり、米国による対日関税の引き上げリスクが後退することや、米中が関税を相互に賦課することで日本における代替生産が増加する「代替効果」は、日本経済にとって言わば「漁夫の利」となりうる点にも留意しておきたい。


関税率引き上げの影響試算の概要は以下のグラフの通りです。一番上の図表7については、5月10日付けでこのブログで取り上げた際の図表6とまったく同じです。その下の図表9と図表11がアップデートされています。すなわち、図表7は、関税率引き上げの5月10日の前の段階の関税率であり、米国が中国からの2,000億ドル相当の輸入品目に対する追加関税率を10%で据え置かれていた場合の影響を試算しており、図表9は、米国の関税率が25%に引き上げられ、中国が報復で600億ドルの対米輸入品の追加関税を平均7.4%から14.5%へと引き上げた5月10日以降の試算を示しており、最後の図表11は、米国が医薬品とレアアースを除くすべての品目に25%の追加関税を賦課した場合の試算となっています。ですから、繰り返しになりますが、5月10日の前の関税率で試算されている一番上の図表7には変更ありません。なお、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が制裁対象のイランとの金融取引にかかわったとして、米国商務省の輸出管理規則に基づくエンティティ・リストに追加され、米国製品比率が25%以上含まれていればファーウェイ向けの輸出は事前許可が必要となることから、このエンティティ・リスト入りは事実上の禁輸措置と考えられているんですが、このリポートの試算はあくまで関税率に関するものということなのか、この措置については試算には含まれていないように見受けられます。

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私の直感的な理解ながら、CGEモデルで試算すれば、大和総研リポートにもあるように、代替効果を通じる我が国への「漁夫の利」のような影響はプラスとなる可能性が高いと考えられるんですが、このリポートでは日本への影響はマイナスと出ています。リポートでは「大和総研のマクロモデルを用いた試算」としか記されていないんですが、たぶん、CGEモデルではなく、ひょっとしたら、クライン型の計量経済モデルなのかもしれない、と思わないでもありません。いずれにせよ、詳細は不明です。
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