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2019年06月25日 (火) 23:11:00

基準年が2015年にアップデートされた企業向けサービス価格指数(SPPI)の動向やいかに?

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て+0.8%を示しています。前月の0.9%からやや上昇率が縮小したものの、引き続き+1%近い伸びを続けています。なお、今月の統計公表から基準年が2010年から2015年に変更されましたが、大きなトレンドには変化なく、2013年年央から6年近く連続して前年同月比プラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 18年3月以来の低い伸び
日銀が25日に発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は102.8となり、前年同月比0.8%上昇した。伸び率は4月確報から0.2ポイント縮まり、18年3月以来の低い伸びだった。原油安による燃料費の下落や、10連休前の4月に宿泊サービスや新聞広告が伸びた反動で、運輸・郵便や広告のプラス幅が縮んだことが影響した。
日銀は今回発表分から新たに基準年を従来の10年から15年に改定し、調査対象となる価格情報を大幅に拡充した。
人手不足を背景とした人件費上昇の圧力は続いており、前年比でのプラスは71カ月連続だった。日銀は、運輸・郵便でドライバー不足による値上げが一服するなどしプラス幅の縮小傾向が鮮明になってきたとしながらも「(基準改定後も)プラス基調は続いており、大きな基調の変化が生じたわけではない」と評価した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。日銀は今回の改定で、調査価格数を4758と旧基準から35%増やした。需要が伸びているインターネット広告などのネット関連や、建設機械レンタルなど復興・インフラ関連の値動きが指数に反映されやすくした。
調査対象とするサービスの種類を示す採用品目は統廃合などの結果、146と従来の147から減った。前年比で価格が上昇したのは87品目、下落は30品目だった。上昇から下落を引いた差は57品目となり、差し引きでのプラスは39カ月連続だった。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、引用した記事にもある通り、今月統計から企業向けサービス物価指数(SPPI)の統計は1985年にさかのぼって2010年基準から2015年基準に改定されています。詳細は、日銀リポートで明らかにされています。経済・産業構造の変化への対応や、国民経済計算などのデフレーター・ニーズへの対応の観点から、これまで調査対象外であったサービスを取り込み、また、当然ながら、デジタル経済化の進展によりインターネット関連サービスの価格調査が拡充されたことから、採用カバレッジは上昇し、調査価格数も増加しています。ただ、ウェイトについては少なくとも大類別については、旧基準から大幅な変化はないとしています。
ということで、SPPIの中身に入ると、前年同月比で見て5月統計では上昇幅がやや縮小していますが、主として、運輸・郵便が4月+1.7%上昇から5月には+1.2%にやや上昇幅が低下したことと、広告も4月+2.3%から5月+1.8%に縮小した寄与が上げられています。運輸・郵便は前年比寄与度の前月差で▲0.08%、広告が▲0.03%となっています。前者の運輸・郵便は国際商品市況における石油価格の下落を受けた影響ですが、後者の広告はまだ前年同月比プラスとはいえ、景気敏感項目ですので、米中間の貿易摩擦の激化を懸念した先行き不透明感や企業マインドの悪化も反映されていると考えるべきです。
なお、消費者物価指数(CPI)にせよ、本日公表の企業向けサービス物価指数(SPPI)にせよ、基準年ウェイトのラスパイレス方式で算出されていますので、一般的には上方バイアスを持ち、基準年のアップデートにより上昇率は下振れする場合が多いんですが、全体の評価として、本日公表された基準改定後のSPPI上昇率を見ると、基準改定に加えて、ジワジワと進む円高や内外経済環境なども含めて、かなりの悪条件が重なったにもかかわらず、+1%近い上昇率を続けており、物価はかなり粘着的な性質あるとはいえ、底堅いと評価していいんではないか、と私は肯定的に受け止めています。もちろん、先行きについては決して楽観できると考えるべきではありませんから、米国の金融政策動向によっては、日銀も何らかの追加緩和を模索しているんではないかと想像しています。
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