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2020年05月19日 (火) 14:00:00

リクルートワークス研によるシニアの就業と仕事満足の分析やいかに?

昨日5月18日に、リクルートワークス研究所から「全国就業実態パネル調査(JPSED)」のデータなどを用いた「シニアの就業」「シニアの仕事内容」に関するリポートが明らかにされています。労働や雇用については、というか、経済全般に関して、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、従来からの連続性ない状態になってしまいましたが、この分析では60代の就業や仕事満足などについての調査結果を示しています。私も役所を定年退職して大学に再就職しこの年齢層に入ったこともあり、興味を持っているのも確かです。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、「シニアの就業」から引用していて、ここ20年ほどの60歳代シニアの就業率を60代前半と後半の2つの年齢層で見ています。21世紀に入って明らかな人口減少社会、少子高齢化が進んだ我が国で、供給サイドから労働力人口の不足を補うために、女性と高齢者の労働市場参入が促されて来ましたが、まさに、その通りの就業率の上昇という結果が出ています。私の属する60代前半の年齢層は最近20年ほどで就業率が50%ほどから70%近くに+20%ポイント近く上昇しています。グラフは引用していませんが、60代前半のうちの男性に限定すれば、すでに80%を超える就業率まで上昇を見せています。もちろん、バックグラウンドには生活が苦しいというのと健康年齢の上昇があるわけで、全面的に好ましいかどうかは保留するとしても、結果としてなのかもしれないながら、就業によって社会とのつながりを保持し続けるのは決して悪くない結果なのではなかろうかと私は受け止めています。なお、このグラフのバックデータは総務省統計局「労働力調査」であり、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査(JPSED)」ではないようです。念のため。

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次に、上のグラフは、「シニアの就業」から引用していて、2015年と2017年のそれぞれにおける60歳代就業者の労働時間の分布を見ています。これはさすがに、「全国就業実態パネル調査(JPSED)」のデータを用いています。私自身も定年退職してから大学に再就職するまで、空いた1年間がそうだったんですが、60歳代では週30時間以下のパートタイムの就業の比率がかなり高い、との結果が示されています。現在の日本の雇用システムからすれば、まさに私がそうだったように、60歳で一度定年退職してから非正規での雇用継続という形が多いような気がします。すなわち、場合によっては同じ職場で嘱託のような形で再雇用されることもあるでしょうし、あるいは、別の職場で働くとしても任期付きかパートタイムという場合は少なくないものと考えるべきです。もっとも、国家公務員で定年が延長され始めましたので、65歳定年が定着すればフルタイムで65歳まで働く人の割合が増加するのは明らかです。

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最後に、上のグラフは、「シニアの仕事内容」から引用していて、2018年における60歳代就業者の職種別による仕事満足を見ています。も、「全国就業実態パネル調査(JPSED)」のデータを用いています。質問はマインドに関するもので、「成長の実感」と「生き生きと働く」という2点です。60歳代就業者の職種というよりも、その前からの職種の継続性の方が関係しそうな気もします。リクルートワークス研の分析でも、「専門職・技術職は自分が長年やってきた仕事のため、自分の強みを職場で活かせている可能性がある。」と結論しています。同時に、営業販売職の満足度の高さは人との接触が刺激をもたらす可能性を指摘しています。そうかもしれません。

最後に、私自身が研究者としてデータに基づいて実証したわけではなく、構築するモデルに大きく依存するとしても、高齢者の雇用の促進はより若い年齢層の雇用に対して一定のマイナスの影響をもたらすと私は考えています。年齢別の雇用に関してはどのようなモデルで考えるかによって、すなわち、高齢者の雇用がより若い世代の雇用と補完的であるか、あるいは、代替的であるかに依存します。いくつかの分析結果では補完的であるとして、決して高齢者の雇用促進がより若い年齢層の雇用を減少さる影響を否定する結論を導いていますが、私自身はやや疑問を持っています。おそらく、平たく表現すれば、景気のいい会社が若い年齢層の雇用も高齢者の雇用もどちらも増やしていて、逆に、景気の悪い会社はどちらも減らしている可能性が高く、年齢で分割して推計すれば、どちらも増えていたり、あるいは逆に、どちらも減っていたりして、結果的に若い年齢層の雇用と高齢層の雇用の間に正の相関があるように見える、ということなんだろうと想像しています。ですから、私自身が60歳を過ぎてすでに高齢者の仲間入りをしている一方で、より若い世代の雇用促進のためにはそれほど高齢者の雇用を促進するというのもやや気が引けている、というのも事実で悩ましいところです。
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