2014年07月26日 (土) 13:22:00
今週の読書は楡周平『ミッション 建国』ほか
今週の読書は、タイトルの通り、楡周平『ミッション 建国』ほか、以下の通りです。なぜか、4冊ともすべてフィクションの小説になってしまいました。
まず、楡周平『ミッション 建国』(産経新聞出版) です。30代前半の衆議院議員・甲斐孝輔、モデルは明らかに小泉進次郎、を主人公に人口減少を移民でなく、日本人の出生率を引き上げることにより解決しようとするエリートの活動で構成されています。一口に「エリート」と書きましたが、政治家、ベンチャー企業経営者が中心で、官僚は極めてステレオ・タイプな扱いがされていますし、なぜか、アカデミックな世界から学者はほとんど出て来ません。この著者の作品は私は初めて読みました。とても「上から目線」で書かれた作品でしたので、バイアスが大きいかもしれませんが、断定的なものの見方が少し気にかかりました。「グレート・リセッション」という考え方と「建国」というタイトルの間に、もう少し文学的な整合性をもたせる努力が欲しかった気がします。何かの書評で「政策提言型小説」というのを見た気がしますが、現在進行形ないし近未来型の小説なんですが、もう少し日本社会の先行きを独創的に描ければ、さらに面白かったんではないかという気がします。ハッキリ言って、凡庸な中身です。
次に、安生正『ゼロの迎撃』(宝島社) です。私はこの作者のデビュー作『生存者ゼロ』を読んで、かなり面白いと感じた記憶がありますが、この作品はその意味で二番煎じなのか、こういった作品しかこの作者は書けないのか、という気にさせられます。第3作が出れば明確に分かるかもしれません。何となく、タイトルも似ているし、福田和代『迎撃せよ』のラインに連なる作品だという気もします。いずれにせよ、北朝鮮から特殊部隊が乗り込んで来て、東京壊滅を図るというんですから、エコノミストの私にはほとんど理解できない世界で、読み解くことが出来ませんでした。米軍の動向に大きな疑問符がつきますし、中国人民軍の黒幕についても私には理解不能でした。何よりも、この作戦行動の根本的な動機が明らかにされている気がしません。要するに、サッパリ分かりませんでした。でも、主しよく読む人もいそうな気がします。
次に、海堂尊『アクアマリンの神殿』(角川書店) です。ちょっとバチスタ・シリーズの10年後を描くとうたわれていて、この作者のいわゆる「桜宮サーガ」に連なる作品です。田口・白鳥シリーズではなく、桜宮病院シリーズです。舞台は、桜宮病院が焼け落ちた跡地に建てられた桜宮Aiセンターがやっぱり事故で崩壊し、そこに建てられた未来医療探求センターになります。テーマはAiではなくコールドスリープです。主人公はバチスタ・シリーズ第2作『ナイチンゲールの沈黙』に登場する佐々木アツシです。日比野涼子という女性がよく分からなかったんですが、どうも、『モルフェウスの領域』というのを読み飛ばしているようです。この作者の桜宮病院シリーズは『螺鈿迷宮』と『輝天炎上』は読んでいるんですが、『モルフェウスの領域』は読み忘れていて、すでに文庫化すらされているようですので、そのうちに読みたいと思います。
最後に、佐伯泰英『弓張ノ月』(双葉文庫) です。居眠り磐音のシリーズ第46作です。作者は常々50巻までと明言していますので、終盤に入りました。いよいよ、佐野政言が田沼意知を江戸城内で殺害しました。坂崎磐音の行く末やいかに?
来週は専門書・教養書と小説をバランスよく読む予定です。
まず、楡周平『ミッション 建国』(産経新聞出版) です。30代前半の衆議院議員・甲斐孝輔、モデルは明らかに小泉進次郎、を主人公に人口減少を移民でなく、日本人の出生率を引き上げることにより解決しようとするエリートの活動で構成されています。一口に「エリート」と書きましたが、政治家、ベンチャー企業経営者が中心で、官僚は極めてステレオ・タイプな扱いがされていますし、なぜか、アカデミックな世界から学者はほとんど出て来ません。この著者の作品は私は初めて読みました。とても「上から目線」で書かれた作品でしたので、バイアスが大きいかもしれませんが、断定的なものの見方が少し気にかかりました。「グレート・リセッション」という考え方と「建国」というタイトルの間に、もう少し文学的な整合性をもたせる努力が欲しかった気がします。何かの書評で「政策提言型小説」というのを見た気がしますが、現在進行形ないし近未来型の小説なんですが、もう少し日本社会の先行きを独創的に描ければ、さらに面白かったんではないかという気がします。ハッキリ言って、凡庸な中身です。
次に、安生正『ゼロの迎撃』(宝島社) です。私はこの作者のデビュー作『生存者ゼロ』を読んで、かなり面白いと感じた記憶がありますが、この作品はその意味で二番煎じなのか、こういった作品しかこの作者は書けないのか、という気にさせられます。第3作が出れば明確に分かるかもしれません。何となく、タイトルも似ているし、福田和代『迎撃せよ』のラインに連なる作品だという気もします。いずれにせよ、北朝鮮から特殊部隊が乗り込んで来て、東京壊滅を図るというんですから、エコノミストの私にはほとんど理解できない世界で、読み解くことが出来ませんでした。米軍の動向に大きな疑問符がつきますし、中国人民軍の黒幕についても私には理解不能でした。何よりも、この作戦行動の根本的な動機が明らかにされている気がしません。要するに、サッパリ分かりませんでした。でも、主しよく読む人もいそうな気がします。
次に、海堂尊『アクアマリンの神殿』(角川書店) です。ちょっとバチスタ・シリーズの10年後を描くとうたわれていて、この作者のいわゆる「桜宮サーガ」に連なる作品です。田口・白鳥シリーズではなく、桜宮病院シリーズです。舞台は、桜宮病院が焼け落ちた跡地に建てられた桜宮Aiセンターがやっぱり事故で崩壊し、そこに建てられた未来医療探求センターになります。テーマはAiではなくコールドスリープです。主人公はバチスタ・シリーズ第2作『ナイチンゲールの沈黙』に登場する佐々木アツシです。日比野涼子という女性がよく分からなかったんですが、どうも、『モルフェウスの領域』というのを読み飛ばしているようです。この作者の桜宮病院シリーズは『螺鈿迷宮』と『輝天炎上』は読んでいるんですが、『モルフェウスの領域』は読み忘れていて、すでに文庫化すらされているようですので、そのうちに読みたいと思います。
最後に、佐伯泰英『弓張ノ月』(双葉文庫) です。居眠り磐音のシリーズ第46作です。作者は常々50巻までと明言していますので、終盤に入りました。いよいよ、佐野政言が田沼意知を江戸城内で殺害しました。坂崎磐音の行く末やいかに?
来週は専門書・教養書と小説をバランスよく読む予定です。
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