2018年01月30日 (火) 20:42:00

雇用統計と商業販売統計から順調な景気拡大を確認しつつ賃上げの必要性を痛感する!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.8%を示し、有効求人倍率は前月から+0.03ポイント高い1.59倍まで上昇している一方で、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の13兆9460億円を、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の失業率、23年ぶり3%下回る 雇用改善
雇用改善の流れが一段と強まってきた。総務省が30日発表した2017年の完全失業率は2.8%と、1994年以来23年ぶりに3%を割り込んだ。3%割れは、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態を示す。有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高さだ。ただ消費回復の足取りはなお鈍く、春季労使交渉で賃上げを加速できるかがカギになる。
17年の完全失業率は、16年の3.1%から0.3ポイント改善し、93年の2.5%以来の低さ。バブル崩壊後の長期停滞で02年に5.4%まで上昇、リーマン・ショック後の09~10年も5%台だった。その後の息の長い景気回復で就業者数が増加し17年は6530万人と、前年より65万人増えた。
今まで働いていなかった女性などが職に就き、5年連続で増えた。女性の15~64歳の就業率は67.4%で比較可能な1968年以降で最高だ。
結果、企業の人材確保は難しさを増す。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は1.50倍と、前年より0.14ポイント上昇した。
求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は15.2%で、1963年に統計を取り始めてから最低だ。ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れる。17年は6月に正社員の有効求人倍率が1.01倍と04年の統計開始以来はじめて1倍を超えた。足元の17年12月は1.07倍となり、過去最高となった。
17年の正社員数は3432万人で前年比56万人増加した。一方で非正規社員は2036万人で13万人増えた。伸び幅では正社員が非正規社員を3年連続で上回った。
雇用環境がよくなる割に肝心の消費は一進一退が続いている。総務省が30日発表した17年12月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯あたり消費支出は32万2157円。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を0.1%下回った。3カ月ぶりの減少だ。
天候不順で価格が高騰したホウレンソウやレタスなど生鮮野菜が2.7%減と落ち込んだ。「価格高騰の影響で葉物野菜の購買数量が減った」(同省)。魚介類も全国的な不漁で価格が上がったため5.2%減。このほか住宅関連でリフォームへの支出が3割以上減ったことも響いた。
一方、気温の低下でエアコンなど家庭用耐久財は14.7%伸びた。外食も3.6%増えた。名目の消費支出は1.2%増と8カ月連続で増えており、同省は「消費は持ち直してきている」との判断を据え置いた。
消費回復の動きがなお鈍いのは、賃金上昇のペースの緩さによる。厚労省によると11月の実質賃金は11カ月ぶりに前年同月を上回ったが、伸び率は0.1%どまり。春季交渉では政府の要請に応じて3%の賃上げに前向きな企業も多い。1994年以来の3%賃上げを実現できるかどうかが、消費を底上げし景気回復の裾野を広げる試金石になりそうだ。
17年の小売業販売額1.9%増 3年ぶり増加
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、2017年の小売業販売額は前年比1.9%増の142兆5160億円だった。3年ぶりに前年実績を上回った。新型車の販売が増えたほか、原油高による石油製品の価格上昇も販売額を押し上げた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で19兆6028億円と前年から横ばいだった。コンビニエンスストアの販売額は11兆7451億円と2.4%伸びた。
17年12月単月の小売業販売額は13兆9460億円と前年同月比3.6%増加した。前年実績を上回ったのは2カ月連続。けん引役は原油高の影響を受けた燃料小売業で、12.1%増えた。飲食料品小売業は2.4%増加した。天候不順で野菜が値上がりし影響が出た。
経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。14年4月に判断を公表し始めて以来初めての表現で、引き上げは16年11月以来となる。
百貨店とスーパーの合計は1.2%増の2兆919億円で、既存店ベースでは1.1%増だった。コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の1兆279億円だった。


どうしても通年の統計に目が向きがちながら、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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いうまでもありませんが、失業率も有効求人倍率もかなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに+0.02ポイント上昇して1.07倍と1倍を上回って推移しています。ただし、今日の雇用統計には含まれていませんが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。逆から見ても、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。加えて、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、株高ほどではないとしても、それなりに消費者マインドに寄与しているのではないかと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額について、少し詳しく業種別に季節調整していない販売額の前年同月比増減率で見ると、燃料小売業がもっとも大きく伸びて前年同月比+12.1%増、続いて、機械器具小売業が+8.8%増、さらに、自動車小売業が+7.8%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+6.1%増、などとなっています。燃料小売業の販売額については国際商品市況における石油価格の上昇に伴って販売単価が上がっていることから、物価上昇に伴う販売額の増加による部分も少なくないと考えられますが、電機製品などの耐久消費財を含む機械器具小売業や自動車小売業が伸びているのは、雇用者にボーナスが支給される年末12月のひとつの特徴でもありますが、当然に、前年12月も同じことであり、2017年12月統計でこれらの業種が伸びているのは、もちろん、ボーナスの支給額アップもひとつの要因であると同時に、耐久財の買い替えサイクルの復活も考えられると私は受け止めています。もちろん、低温によるエアコン需要などもあるんでしょうが、エコカー減税や家電エコポイントなどによって政策的に買い替えサイクルが歪められたのが復活しつつあるような気がします。ただ、直観的に長続きはしないだろうと思わないでもありません。また、織物・衣服・身の回り品小売業の販売増は寒波の影響かもしれません。気候条件として、夏は暑くて、冬は寒い、というのは衣類などの消費には増加要因です。なお、このブログでは着目していませんが、供給サイドの消費の代理変数である商業販売統計ではなく、需要サイドの消費の代理変数となる総務省統計局の家計調査でも12月統計の実質支出を季節調整していない前年同月比で見て、全体は3か月振りのマイナスなんですが、変動の大きな住居等を除くベースでは+2.9%の伸びを示しています。

何度か繰り返していますが、現在の消費者マインドは一定程度株高に支えられており、今春闘で3%以上の賃上げが実現すれば、消費はさらに伸びを高める可能性もある一方で、賃上げが渋いと所得のサポートなしのマインドだけでは消費は必ずしもサステイナブルでない可能性もあります。
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