2018年01月31日 (水) 19:25:00

鉱工業生産指数(IIP)と消費者態度指数から景気の現状と先行きを考える!

本日、経済産業省から昨年2017年12月の鉱工業生産指数 (IIP)が、また、内閣府から今年2018年1月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.7%の増産を示し、消費者態度指数は前月比横ばいの44.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、17年12月は2.7%上昇 10-12月期は1.8%上昇
経済産業省が31日発表した2017年12月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は106.3と、前月に比べ2.7%上昇した。上昇は3カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.6%上昇)を上回った。自動車の生産が活発だったほか、建設機械も好調だった。経産省は生産の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
併せて発表した10~12月の生産指数は前期比1.8%上昇の104.3と、7四半期連続でプラスだった。17年通年の生産指数は4.5%上昇の102.1と3年ぶりに前年実績を超えた。
12月は全15業種のうち12業種で前月を上回った。もっとも上昇に寄与したのは輸送機械工業(6.3%上昇)だった。普通乗用車やエンジン、車体部品などがけん引した。汎用・生産用・業務用機械工業は4.8%上昇した。ショベル系掘削機械や金属工作機械、コンベヤーなどが伸びた。一方、低下したのは3業種で、もっとも押し下げたのは情報通信機械工業(1.4%低下)だった。ノートパソコンや固定通信装置などが落ち込んだ。
12月の出荷指数は2.7%上昇の103.9だった。在庫指数は0.4%低下の109.4。在庫率指数は0.5%低下の110.5だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、18年1月が4.3%低下、2月は5.7%上昇となった。1月は輸送機械工業が大きく落ち込む。一方、2月は輸送機械工業が反動で持ち直すほか、汎用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業などがけん引役となる見通し。
経産省は10~12月が7四半期連続のプラスとなったことについて「後回しにされてきた生産設備の更新が活発なため」と指摘。「設備向けの機械から生産向けの機械に需要がシフトしている」と分析した。
1月の消費者態度指数、横ばい 物価上昇が重荷、判断引き下げ
内閣府が31日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比横ばいの44.7だった。「雇用環境」が上昇したため指数は横ばいとなったが、物価の上昇が消費者心理を冷やしている。内閣府は基調判断を前月までの「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。下方修正は5カ月ぶり。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より2.4ポイント高い82.4%だった。上昇は6カ月連続。台風など天候不順でキャベツを中心に生鮮野菜の生育が遅れ、小売価格を押し上げた。内閣府の経済社会総合研究所は「ガソリンを含め、身近なモノの価格の上昇が背景」と分析している。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下し、「雇用環境」は上昇した。
調査基準日は2018年1月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5937世帯(回答率70.7%)だった。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+1.6%の増産でしたし、予測レンジの上限も+2.0%でしたので、私はちょっとびっくりでした。上のグラフのうちの生産の上のパネルを見ても、最近は強含みで推移しているのは、わけなく見て取れますが、特に12月増産のジャンプは大きいように見えます。ただし、その分、というわけでもないんでしょうが、中華圏の春節が2月に控えていることもあって、1月が大幅な減産を予想していますので、そのあたりは2か月あるいは3か月くらいをならして見る必要があるものと受け止めています。ということで、このジグザグの変動の原因となっているのは自動車です。鉱工業生産の産業別では輸送機械工業を見ると、12月実績は+6.3%の後、製造工業生産予測調査では、1月▲17.7%減、2月+9.8%増となっています。この我が国リーディング・インダストリーの動向に起因して、12月生産実績の+2.7%増産の後、製造工業生産予測調査の製造工業全体で1月▲4.3%減、2月+4.3%増の変動が生じています。さらにさらにで、このバックグラウンドとしては中華圏の春節があります。今年の旧正月元日は2月16日(金)であり、極めて大雑把ながら、2月15日(木)~2月21日(水)くらいがお休みになるんではないかと想像しています。毎年、1~2月の生産や貿易の動向はこの春節効果で変動を生じますので、頭に入れておきたいと思います。従って、この例年の変動を考慮に入れても、我が国生産動向はかなり堅調であり、先行きも緩やかながら増産傾向を続けるものと私は考えています。ただし、注意すべきポイントがひとつだけあり、iPhoneの1~3月期の生産計画変更です。製造工業生産予測調査において、電子部品・デバイス工業は前月比で1月+4.8%増、2月+13.5%と見込まれていますが、この予測には1月29日に報道があった新型iPhoneXの1~3月期の生産計画変更、すなわち、当初計画の4,000万台超から2,000万台への半減が反映されていない可能性が強いと私は受け止めており、これが下振れをもたらす可能性があるんではないかと懸念しています。もっとも、iPhoneXの販売不振も韓国のサムスンの経営ほどには我が国の生産に影響を及ぼすとは考えられず、この下振れを考慮しても、緩やかな増産傾向という大きなトレンドには変更ないものと考えています。

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12月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2017年10~12月期の下向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せています。内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越えると「意図せざる在庫増」と見なされて、景気の山を越えた可能性が指摘されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、景気拡大の前半期と考えているエコノミストは少ないものと想像しています。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、1月統計を前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「収入の増え方」も▲0.1ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」も▲0.1ポイント低下し、「雇用環境」だけが+0.7ポイントの上昇を示して指数全体を下支えしています。雇用については人手不足が広まっており、家計部門の国民生活をサポートする起点となる項目ですので、雇用に関するマインドが上向いているのは安心材料といえます。しかし、引用した記事にもある通り、1月統計ではガソリンをはじめとする身近な商品の値上がりが消費者マインドの低下につながりました。指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと私は考えていますが、11月指数の44.9から12~1月は44.7と、やや停滞していることも確かで、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」から「持ち直しのテンポが緩やか」と半ノッチ下方修正しています。先行きは、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もしますが、デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。しかし、景気拡大局面が後半に差しかかっていることも事実であり、それだけに、早く本格的な賃上げが実現されて欲しいと願っています。
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