2018年02月14日 (水) 19:39:00

2017年10-12月期GDP統計1次QEは8四半期連続のプラス成長!

本日、内閣府から昨年2017年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.1%、年率では+0.5%を記録しました。8四半期連続のプラス成長で内需主導ながら、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率に達しない成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年10~12月GDP、年率0.5%増 内需けん引
内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増、年率換算では0.5%増だった。プラスは8四半期連続で、同じ基準で数値をさかのぼることができる1980年以降では約28年ぶりの長さ。輸入の伸びで外需は振るわなかったが、個人消費や設備投資など内需の伸びで補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.2%増で、年率では0.9%増だった。生活実感に近い名目GDPは前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
前期比で0.1%増となった実質GDPをけん引したのは内需で、0.1%分の押し上げ効果があった。個人消費は0.5%増と、2四半期ぶりにプラスだった。設備投資は0.7%増と、5四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減。民間在庫の変動は成長率を0.1%分押し下げた。
外需は0.0%分の押し下げ効果があった。輸出は2.4%増、輸入は2.9%増だった。半導体製造装置などが好調でアジア向けを中心に輸出が拡大したが、輸入も増加した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%上昇した。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%上昇した。
同時に発表した17年通年のGDPは実質で前年比1.6%増、生活実感に近い名目で1.4%増だった。


ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/10-122017/1-32017/4-62017/7-92017/10-12
国内総生産GDP+0.4+0.3+0.6+0.6+0.1
民間消費+0.1+0.3+0.9▲0.6+0.5
民間住宅+0.8+1.2+0.9▲1.5▲2.7
民間設備+1.6+0.1+1.2+1.0+0.7
民間在庫 *(▲0.1)(▲0.0)(▲0.1)(+0.4)(▲0.1)
公的需要▲0.5+0.1+1.2▲0.5▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.3)(+0.5)(▲0.0)
輸出+2.7+2.0+0.0+2.1+2.4
輸入+0.6+1.7+1.9▲1.2+2.9
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.1+0.8+0.5▲0.2
国民総所得 (GNI)+0.1+0.1+0.9+0.7▲0.3
名目GDP+0.4+0.1+0.9+0.6▲0.0
雇用者報酬 (実質)+0.1▲0.2+1.1+0.6▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲0.8▲0.3+0.2+0.0
内需デフレータ▲0.4+0.0+0.4+0.5+0.5


上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2017年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が8四半期連続でプラスを示し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)や灰色の在庫がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値が前期比+0.2%成長、年率では+0.9%だったわけで、何人かのエコノミストも「物足りない」感を表明しているようですが、すでに、1次QE予想を取りまとめた先週金曜日2月9日付けの記事で指摘しておいたように、この市場の事前コンセンサスは高過ぎます。ただ、成長率の水準として素直に見ても、潜在成長率をやや下回るくらいですから、市場の事前コンセンサスと比較して、というよりは、潜在成長率と比べて、やや物足りない成長であった、ということは出来るかもしれません。また、あくまで言い訳ですが、私の実感は前期比でマイナスとなったGDIやGNIの所得面に起因しているのかもしれません。繰り返しになりますが、苦しい言い訳です。他方、ちゃんと数字を見ると、昨年2017年年央は4~6月期も7~9月期もともに前期比で+0.6%、前期比年率ではともに+2.0%を超える高成長を続けており、2017年通年でも前年比で+1.4%成長でしたから、10~12月期にこの程度の下振れはあり得る許容範囲だという気がしないでもありません。特に、天候条件などに起因する部分が小さくなさそうな印象ですので、なおさらです。10~12月期の成長を牽引した消費については、4~6月期に大きなプラスを記録した後、7~9月期にマイナスとなり、また、10~12月期にプラスに戻るなど、矢荒っぽい動きですが、天候要因もあって、ならして見る必要があるというのは私の従来からの主張です。住宅投資はやや下向き加減の動きながら、設備投資はジワジワと増勢を加速させる可能性もあります。在庫投資は成長にはマイナス寄与ながら、在庫調整が進んでいると考えるべきです。ただ、輸出の動向については為替がやや円高に振れていることもあり、先行きは注視する必要があります。そして、何といっても、金融市場の動向には不透明感が残ります。米国の長期金利の動向や、もちろん、為替動向など、相場モノだけに見通しがたいものがありますが、我が国の金融政策がさらに緩和を進めることがどこまでできるのか、私にはよく判りませんので、不透明感は不透明感として残るような気がします。

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今回の2017年10~12月期1次QEで着目したのは物価の動向です。すなわち、上のグラフは少し長めのスパンでデフレータの上昇率をプロットしています。GDPデフレータ、国内需要デフレータ、消費デフレータです。消費者物価(CPI)などと同じように、いずれのデフレータも季節調整していない原系列のデフレータの前年同期比を取っています。GDPデフレータの動きで注意すべきなのは、企業物価(PPI)や消費者物価(CPI)と違って、輸入物価が控除項目となることです。ですから、石油価格が上昇して輸入デフレータが上昇すると、他の条件にして同じであれば、GDPデフレータは下落します。そのため、2017年10~12月期にはGDPデフレータ上昇率はゼロでしたが、消費デフレータや国内需要デフレータが上昇し、同時に輸入デフレータも上昇してのキャンセルアウトの面もあります。例えば、2017年10~12月期には輸入デフレータは+8.4%の上昇を示しています。しかし、それを加味しても、消費デフレータと国内需要デフレータについては2017年年初から、GDPデフレータについても2017年年央から、上昇率がマイナスの下落からプラスに反転し、少しずつ上昇幅を拡大しているのが見て取れると思います。ホームメード・インフレにつながる動きと私は受け止めています。今春闘に本格的な賃上げが実現されれば、デフレ脱却が加速するのではないかと期待しています。
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