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2018年03月22日 (木) 19:22:00

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2030年までの労働力人口・労働投入量の予測」やいかに?

足元から将来に向けて中長期的な経済活動への制約として労働力不足が上げられていますが、やや旧聞に属する話題ながら、先週3月12日付けで三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「2030年までの労働力人口・労働投入量の予測」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。10年余り先の2030年くらいまでの期間では、労働力人口が減少に向かう中で、女性や高齢者の労働参加率が上昇することから就業者や雇用者数は大きな減少を示さず、その裏側で失業率が3%を大きく割り込んで2030年には2.1%まで低下するものの、非正規比率の上昇などにより1人当たり労働時間が減少することから、総労働投入量としては2029年にはリーマン・ショック後に落ち込んだ水準を下回るまで減少する、と見込まれています。供給サイドにおける重要なトピックを定量的にかなり先まで見通しています。リポートから大量にグラフを引用しつつ取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 図表5 労働力人口の見通し を引用すると上の通りです。15~64歳の労働力人口は減少を続け、2017年から2030年にかけて▲237万人減少する一方で、中年層を中心とする女性や男女を問わず65歳以上の高齢層の労働参加率の上昇により相殺されるという背景で、労働力人口は現状の2017年まで増加基調が続いた上に、2023年まではグラフに見られる通り、ほぼほぼ横ばいが続き、さすがに2024年から減少に転じ、それでも、2030年の労働力人口は6693万人と2017年の6720万人をわずか▲27万人下回る水準にとどまる、と見込まれています。もちろん、

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次に、リポートから 図表6 就業者数の見通し を引用すると上の通りです。見れば明らかな通り、先ほど示した労働力人口よりもさらに減少幅が小さく、というか、ほとんど減少を示さず、2017年から2030年にかけて就業者数はほぼ横ばいと見込まれています。すなわち、繰り返しになりますが、労働力人口が2017年から2030年にかけて▲27万人減少するのに対し、就業者数は同期間で逆に+23万人増加すると予想されていたりします。そのカラクリは次の失業率見通しで明らかにされます。

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ということで、次に、リポートから 図表7 失業率の見通し を引用すると上の通りです。足元で失業率は3%を下回り、予測最終年にかけてさらに低下を続け、2030年に失業率は2.1%にまで低下すると見込まれています。この背景は、それなりのイノベーションが想定されており、すなわち、「労働条件の改善やテレワークの普及、人材派遣・マッチングシステムの高度化、技術革新による職業の垣根の撤廃・ハードルの低下などによってミスマッチによる失業が減少」する、という前提になっています。おそらく、経済合理性などの観点から、こういったイノベーションが進むのは確かであろうと私も同意しますが、逆に、こういったイノベーションが進まなければ、失業率は低下せず就業者も増加せずに、人手不足がさらに悪化する可能性も否定できない、ということなのかもしれません。

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次に、リポートから 図表12 非正規雇用者比率の見通し (全体) を引用すると上の通りです。労働投入量の算出は極めて単純に就業者数に1人当たりの労働時間を乗じて求められますから、ここからは1人当たりの労働時間の方向を考えることとなり、まず、ここ20~30年くらいでじわじわと進んだ非正規化の流れを見通したのが上のグラフです。もちろん、女性や65歳以上の高齢層の労働力化が進みますので非正規比率が高まる分も考え合わせると、非正規比率はさらに上昇することは容易に想像され、リポートでは2017年の37.3%から、2020年には38.2%、2030年には42.9%まで上昇すると見込んでいます。

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次に、リポートから 図表13 1人当たりの年間労働時間の見通し を引用すると上の通りです。先ほどの非正規雇用者比率の上昇もあり、グラフから明らかな通り、先行きはほぼほぼ一貫して1人当たり労働時間の減少が続き、それでも、2022年までは緩やかな減少にとどまります。しかし、その後は非正規雇用者比率の上昇とともに加速するため、2030年の平均労働時間は1689.4時間と、2016年の1742.0時間から▲52.6時間の減少を示すと見込まれています。

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最後に、リポートから 図表14 総労働投入量の見通し を引用すると上の通りです。リポートに従えば、2022年くらいまでの期間は女性と高齢者の活躍によって労働力不足をそれほど心配しなくてもよいという見通しになっていますが、こういった仮定や前提の下であっても、労働投入量が減少していくことは避けられず、2029年にはリーマン・ショック後に落ち込んだ水準を下回るまで減少すると見込まれています。

いっぱいグラフを引用して長くなってしまいましたが、最後に、女性や高齢者の労働参加を進めても、また、リポートで前提しているようなミスマッチによる失業が減少したとしても、2023年以降には労働投入量の減少が本格化する可能性が示されています。まあ、当たり前の結論ながら、生産性のさらなる上昇などにより、自然単位での労働投入の減少を効率単位でどこまで抑制するか、が重要な論点になるだろうと考えられます。
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