2018年03月30日 (金) 22:57:00

増産ながら物足りない鉱工業生産指数(IIP)と悪化したものの完全雇用に近い雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも2月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から+4.1%の増産を示し、失業率は前月から0.1%ポイント上昇しつつも2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からやや低下したものの1.58倍と高い倍率を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、2月は前月比4.1%上昇 自動車・土木建機が寄与
経済産業省が30日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて4.1%上昇し、103.4だった。上昇は2カ月ぶり。自動車や土木建設機械の生産の増加が寄与した。ただ、「1月の落ち込みに対する上昇幅としては物足りない」として経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に据え置いた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(5.0%上昇)は下回った。
1月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、3業種が低下した。米国向け自動車輸出が好調で、輸送機械工業が10.3%上昇した。土木建設機械が伸び、はん用・生産用・業務用機械工業も3.6%上昇した。一方で石油・石炭製品工業は2.4%低下した。
出荷指数は前月比2.2%上昇の100.4だった。在庫指数は0.9%上昇の109.9、在庫率指数は0.1%低下の114.1だった。経産省は「出荷の回復の勢いは弱い」としている。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた3月の製造工業生産予測指数は前月比0.9%の上昇となった。前回予測(2.7%の低下)を大きく上回った。はん用・生産用・業務用機械工業や化学工業が伸びる見通し。4月の予測指数は5.2%上昇だった。
失業率2.5%、求人倍率は1.58倍 2月統計
総務省が30日公表した労働力調査によると、2月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で前月比で0.1ポイント悪化した。悪化は17年5月以来9カ月ぶり。総務省は1月に雪の影響で失業率が大きく低下した反動が出たとしている。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント低下し1.58倍だった。
完全失業率は働く意欲のある人で職がなく求職活動をしている人の割合を指す。求人があっても職種や年齢などで条件があわない「ミスマッチ失業」は3%程度とされ、0.1ポイント悪化してもなお完全雇用状態にある。
就業者は6578万人で前年同月比で151万人増えた。有効求人倍率は12年9月以来、5年5カ月ぶりに低下したが、引き続き1970年代以来の高い水準にある。企業では人材の確保が難しく、人手不足が深刻になっている。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は15.0%だった。
正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍で前月と同水準で1倍を超えた。新規求人数を産業別にみると、自動車関連が好調な製造業で前年同月比5.4%増えたほか、3月が繁忙期になる運輸・郵便業で6.6%増えた。


やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値で+5.0%の増産、予測レンジの下限でも+3.9%の増産でしたので、実績の+4.1%の増産も、製造工業生産予測調査の2月+9.0%ッ像は当然に届かないとしても、かなり物足りない結果と私は受け止めています。もちろん、1月の減産の大きな要因は中華圏の春節によるカレンダー要因というのは当然としても、それだけだと2月生産で戻ってもよさそうなものですが、物足りない結果というのは別の何らかの要因が作用していると考えるべきで、私は円高に振れた為替要因も無視できないと指摘しておきたいと思います。製造工業生産予測調査の3月予測は+0.9%増で、4月が+5.2%増ですから、実績に対してやや過大評価する傾向のある指標とはいえ、13月期は生産にやや一服感が出た一方で、4月以降の伸びに期待すべきだという気もします。ただ、先行きについては、世界経済の回復・拡大につれて、また、国内要因としては人手不足に起因する省力化投資や合理化投資も期待できることから、我が国の生産は持ち直しの動きが続くものと私は考えています。ただ、先行きリスクはいずれも米国に起因し、ひとつは通商政策動向であり、もうひとつは金政策動向です。米国の通商政策が世界貿易の停滞を招いたり、利上げによる米国経済の下押し圧力は、我が国生産の下振れリスクにつながる可能性があります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。小幅な変動とはいえ、失業率は上昇し、有効求人倍率は低下したわけですから、ほぼほぼ完全雇用に近い労働市場動向の中で、さらなる指標の改善は難しい、というか、完全雇用の定義に近い意味でこれ以上の失業率の低下などは望めない水準に達したのかもしれません。しかしながら、本日の雇用統計では明らかではありませんが、毎月勤労統計などを見る限り、労働市場はまだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、完全雇用には達していない可能性がある、と私は考えています。他方で、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしているのではないかと私は考えています。そうは言っても、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなく今春闘では個人当たりの賃上げも何とか実現して欲しいと思います。
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