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2018年07月24日 (火) 21:42:00

米中貿易戦争の経済的影響やいかに?

米中の貿易戦争について、大和総研から2本ほどリポートが明らかにされています。6月21日付けの「米中通商戦争はそんなに悪い話なのか?」と7月20日付けの「続・米中通商戦争のインパクト試算」です。結論としては、日本経済へのマイナスの影響は決して大きくない、ということで、特に、続編では国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し改定見通し」と比較して、国際機関の影響分析は大き過ぎる、と指摘しています。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、「米中通商戦争はそんなに悪い話なのか?」から 関税の影響試算 (総括版) を引用すると上の通りです。「米中財政支出なし」、すなわち、関税によって増加した政府収入を政府支出として還元しないケースでGDPへの影響で見ると、米国経済へのマイナス・インパクトが▲0.06%、中国が▲0.10%なのに対して、我が国へはわずかに▲0.01%にしか過ぎません。関税によって増加した政府収入を政府支出として還元するケースでは、我が国への影響はほぼほぼありません。なお、大和総研のマクロ・モデルの概要については、関税率の上昇が相対的な国際競争力を変動させる結果として輸出入を変動させると同時に、輸入物価の上昇に伴う実質可処分所得の減少を通じて個人消費に下押し圧力をもたらし、結果として落ち込んだ国内生産に応じて設備投資も抑制される構造となっている、と紹介されています。

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続いて、「続・米中通商戦争のインパクト試算」から 各関税措置が貿易コストと世界経済に与える影響試算一覧 の表を引用すると上の通りです。経済協力開発機構(OECD)と国際通貨基金(IMF)といった国際機関の試算結果が示されています。極めて重大な結果を示していると私は考えるんですが、リポートによれば、大和総研は今回の米中関税引き上げに伴う世界の貿易コストの上昇率を0.26%と試算している一方で、国際機関による試算の前提は10%の貿易コスト上昇となっており、この貿易コスト上昇に関する前提の差が結果の差につながっている、とリポートでは指摘しています。もっとも、リポートでも指摘していますが、IMFがG-20に向けて明らかにした G-20 Surveillance Note では、少し修正して、"Tariffs on their own have a smaller effect on global GDP, with a maximum loss of about 0.1 percent relative to the baseline." と、世界GDPへの影響は最大でも▲0.1%と試算しています。

メゾスコピックに見て、個別には影響の大きい産業や業界、あるいは、地域があるのかもしれませんが、大騒ぎしている割には、マクロの世界経済や日本経済への影響は小さいのかもしれません。
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