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2018年09月03日 (月) 21:23:00

史上最強の収益力で内部留保が積み上がる法人企業統計調査!

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は7四半期連続の増収で前年同期比5.1%増の344兆6149億円、経常利益も8四半期連続の増益で+17.9%増の26兆4011億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+19.8%増、非製造業が+9.2%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+12.8%増の10兆6613億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比+6.9%増となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期の経常利益、過去最高 製造業がけん引、法人企業統計
財務省が3日発表した2018年4~6月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比12.8%増の10兆6613億円だった。増加は7四半期連続。製造業で生産能力投資が活発だった。全産業ベースの経常利益は前年同期比17.9%増の26兆4011億円だった。増益は8四半期連続で、調査が始まった1954年4~6月期以来、過去最高となった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で6.9%増と4四半期連続で増加した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は19.8%増加した。半導体や半導体製造装置向け部品の生産能力投資が増えた。非製造業は9.2%増加した。運輸業で駅周辺の再開発が活発だった。
「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は製造業が季節調整済み前期比11.0%増、非製造業が4.7%増だった。
経常利益の内訳は製造業が27.5%増だった。自動車向け半導体製品の販売が堅調。非製造業は純粋持ち株会社の受取配当金が増加し12.4%増だった。情報通信業ではクラウド関連サービスが好調だった。
売上高は5.1%増の344兆6149億円と7四半期連続で増収となった。製造業は6.7%増だった。自動車や産業用機械向け電子部品、輸出用半導体製造装置、建設機械が伸びた。非製造業は4.5%増。資源価格の上昇で販売価格が上がった。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計した。今回の18年4~6月期の結果は、内閣府が10日発表する同期間のGDP改定値に反映される。
同時に発表した2017年度の法人企業統計によると、3月末時点の金融業と保険業を除く全産業の「内部留保」にあたる利益剰余金は、前年比9.9%増の446兆4844億円だった。調査開始以来、過去最高を更新した。
金融業と保険業を除く全産業の売上高は前年比6.1%増の1544兆1428億円、経常利益は11.4%増の83兆5543億円だった。経常利益は8年連続の増益で過去最高となった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代後半の消費税率引上げ直前の駆け込み需要の見られた1997年1~3月期のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整済みの系列で見て、1~3月期の国内経済停滞の後、4~6月期は踊り場を脱しつつあり、季節調整済みの前期比で見て、売上高の伸びは+1.8%と低い伸び率となった一方で、経常利益は前期比+16.9%増を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については一昨年2016年年央くらいを底に明らかに上向きに転じ、昨年2017年は年間を通じてこの流れが継続していることが確認できたと思います。また、設備投資についても徐々に伸びが本格化して来た印象です。これも季節調整済みの系列で見て、人手不足を反映して全産業ベースの設備投資は4~6月期に+6.9%増と伸びを高めました。業種別は季節調整していない原系列統計の前年同月比しか明らかにされていませんが、引用した記事にもある通り、製造業では、半導体や半導体製造装置向け部品の生産能力投資が増えた生産用機械が+64.9%増、また、非製造業でも、運輸業で駅周辺の再開発が活発だったことなどから運輸業、郵便業で+44.6%増を記録しています。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞し底ばっており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

最後に、本日の法人企業統計を基に、いわゆる2次QEが来週月曜日の9月10日に内閣府から公表される予定となっています。1次QEでは季節調整済みの系列の前期比+0.5%、前期比年率1.9%の成長率が、私の直感的な印象ながら、設備投資を中心に2次QEで上方修正される、しかも、かなり大幅な上方修正の可能性が高いと受け止めています。
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