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2018年11月19日 (月) 23:26:00

貿易赤字を記録した10月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から10月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+8.2%増の7兆2434億円、輸入額は+19.9%増の7兆6927億円、差引き貿易収支は▲4493億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の貿易収支、4493億円の赤字 原油高で輸入増える
財務省が19日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4493億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出入ともに増加したが、中東からの原油輸入の増加を背景に輸入額の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は488億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比8.2%増の7兆2434億円だった。増加は2カ月ぶり。米国向け自動車や船舶エンジンがけん引した。
輸入額は19.9%増の7兆6927億円。7カ月連続で増加した。原油高を背景にサウジアラビアから原粗油の輸入が増えた。アジアからの輸入額は17.2%増の3兆7577億円となり、過去最大だった。
10月の対米国の貿易収支は5734億円の黒字で、黒字額は11.0%減少した。減少は4カ月連続。輸出は11.6%増、輸入は34.3%伸びた。
10月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=112円90銭。前年同月に比べて0.4%円安・ドル高に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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繰り返すになりますが、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいていますので、2か月振りの貿易赤字ということなんですが、季節調整済みの系列で見ると4か月連続の赤字ですし、2018年に入ってから1月から10月までの10か月間で6か月が貿易赤字を出していることになります。輸出入額ともに増加を示していますが、特に、輸入額が増加しているのは国際商品市況における石油価格の値上がりに起因しています。ですから、産油国からの輸入額をいくつか見ると、いずれも季節調整していない原系列の統計で見て、中東からの鉱物性燃料の輸入額は+33.1%増、ロシアも同様に+31.0%増を記録しています。ただし、輸出額については9月の自然災害に伴う供給制約や物流の停滞を10月は克服して、反動増も含めて増加を示しています。季節調整済みの系列をプロットした上のグラフのうちの下のパネルで見ても、青いラインの輸出額がやや横ばいになって停滞を示しつつあります。輸出額の停滞については次のグラフの後に引き続き取り上げます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。季節調整済みの系列の統計で見て、輸出がかなり横ばいになって来ているのは、上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。どうでもいいことながら、先進国経済で景気拡大局面の成熟化が進んでいる、ということで、我が国の景気局面もご同様といえます。また、世間の注目を引いている米中間の貿易摩擦ですが、少なくとも、10月統計でその影響が現れているとは私はまだ考えていません。
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