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2018年12月19日 (水) 20:11:00

石油価格上昇のため2か月連続で貿易赤字を記録した貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から11月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+0.1%増の6兆9276億円、輸入額は+12.5%増の7兆6649億円、差引き貿易収支は▲7373億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の貿易収支、7373億円の赤字 原油高で輸出増
財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7373億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。輸出入ともに増加したが、原粗油を中心に輸入の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は5796億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比0.1%増の6兆9276億円だった。増加は2カ月連続。船舶の大幅な増加がけん引したほか、有機化合物も伸びた。半導体等製造装置や通信機は減少した。
輸入額は12.5%増の7兆6649億円。8カ月連続で増加した。サウジアラビアから原粗油の輸入が増加した。液化天然ガス(LNG)や石油製品も増えた。11月の原粗油の円建て輸入単価は40.8%上昇した。
11月の対米国の貿易収支は6234億円の黒字で、黒字額は5.4%減少した。減少は5カ月連続。輸出は1.6%増、輸入は8.1%増だった。対中国の貿易収支は5031億円の赤字だった。
11月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=112円99銭。前年同月に比べて0.5%円高・ドル安に振れた。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にもある通り、a target="_blank" href="https://www.nikkei.com/article/DGXLMSE2QET16_U8A211C1000000/" title="11月輸入超過額、5898億円・QUICK調査">日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲6000億円弱の貿易赤字が見込まれていましたので、やや赤字幅が大きい印象もあるんですが、基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇に伴う輸入額の増加に起因する貿易赤字だと私は認識しているんですが、もちろん、輸出の伸びが大きく鈍化していることも忘れるべきではありません。輸出については別途考えるとして、石油価格については、ニッセイ基礎研のリポートなどから私が知りえた情報では、ドバイ原油価格は11-12月にかけて低下を示しているハズなんですが、本邦到着ベースではまだ高値が続いているようで、1-2か月のラグがあるようです。ですから、利用可能な限りの情報を総合すれば、原油価格に起因する輸入額の増加は、おそらく、11月がピークとなる可能性が高い、と私は見込んでいます。ひとつのエビデンスとしては、上のグラフの季節調整していない原系列でも、季節調整済でも、赤い折れ線の輸入額が10月から11月にかけて、ほぼ横ばいないし下向きになっている点が上げられます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、輸入額の増加がそろそろピークアウトする可能性が高い一方で、輸出についてはさらに減速が強まった印象があります。9月の自然災害による供給面や物流面での制約から輸出数量が前年比で減少した後、10月にはリバウンドもあってプラスに転じましたが、11月の輸出数量は再び前年度月比でマイナスを記録しています。加えて需要面を考えれば、ここ数か月、上のOECD先行指数の1か月リードのグラフに即していえば、先進国の需要が下向きで今年2018年年央から前年比でマイナスに下落する一方で、中国では逆に年後半から上向きになったとはいえ、まだ伸び率としては前年比マイナスを続けているわけですから、我が国の輸出に対する需要要因としてはかなり弱くなっていることは事実です。今後は、自然災害の供給面での影響はほぼほぼ脱したとはいえ、需要面で、上向きの中国の持続力がどれくらいで、しかも、米国との貿易摩擦の影響がどのタイミングでどれくらいの大きさで出るのか、先進国の下向きの需要がどこで下げ止まるのか、といった複雑な要因を考えあわせる必要があります。ただ、直感的には需要要因から我が国輸出の伸びはさらに減速する可能性が高い、と私は考えています。ただし、それ以上に輸出額の減少が大きい可能性は残されています。
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