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2019年11月28日 (木) 22:30:00

消費税率引上げ前の駆込み需要よりも落ち込んだ商業販売統計をどう見るか?

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲7.1%減の11兆900億円、季節調整済み指数も前月から▲14.4%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

10月小売販売7.1%減 消費増税・台風が影響
経済産業省が28日発表した10月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比7.1%減の11兆900億円だった。消費増税前の駆け込みが起きた9月からの反動減に加え、台風19号による休業や客数減が響いた。自動車や家電の販売が低調だった。前回の消費増税の直後にあたる2014年4月の4.3%減と比べると、減少幅は大きかった。
減少は3カ月ぶり。経産省は「9月に需要を先食いした影響が出た。台風で被災した人を中心に消費者心理も下向いた」と分析した。季節調整済みの前月比では14.4%の減少だった。
小売業販売を商品別にみると、自動車小売業が前年同月比17.0%減と大きく落ち込んだ。普通車や小型車の販売が不調だった。家電など機械器具小売業は15.0%減。9月に駆け込みが出た冷蔵庫や洗濯機など高額な家電を中心に売り上げが伸び悩んだ。
業態別にみると、百貨店の販売額が17.3%減った。高額商品で駆け込みの反動減が出たほか、気温の高い日が続いて秋冬衣料の動きが鈍かった。韓国からの訪日観光客の減少も響いている。下げ幅は前回増税直前の駆け込みから1年が経過した15年3月以来の大きさだった。家電大型専門店は14.2%減少した。
一方、コンビニエンスストアの販売額は3.3%増加した。前年の10月にたばこ税増税で減少した反動が出た。大手コンビニでは10月からキャッシュレス決済に2%分のポイントを即時還元する対応をはじめた。経産省によると、キャッシュレスの支払比率が上がり、コンビニの売り上げにプラスに働いたという。


いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo


引用した記事には、おそらく、記者会見で明らかにされた経済産業省の公式発表がいっぱい並べられているんですが、要するに、大きな落ち込みは消費税率引上げ後の反動減の要因が大きいんだろうと私は考えています。自動車小売業が▲17.0%減、電機製品などが含まれる機械器具小売業が▲15.0%減、となっており、耐久消費財が大きなマイナスを記録しています。事前の多くのエコノミストの予想では、消費税率の引上げ幅がやや小さい上に政府の各種の対策もあって、今回2019年10月の消費税率引上げでは前回2014年4月の際に比較して、駆込み需要は小さく、それゆえ、その後の反動減も小さい、と受け止められており、実際に、先月統計の2019年9月の小売販売額の前年同月比は+9.2%増と2014年3月の+11.0%増を下回りましたが、その後の反動減を見ると、2014年4月の▲4.3%減を大きく上回る▲7.1%減を記録しました。もちろん、所得やマインドなどの多くの条件が異なるわけですし、特に今年2019年10月には新幹線すら止めた大型の台風19号の影響も無視できませんから、単純な比較はできませんが、一般的な考えながら、消費税率の引上げ幅が小さいにもかかわらず、駆込み需要が小さく反動減が大きい、というのは、まあ、かなり消費としてはよろしくないと私は受け止めています。また、2014年の消費税率引上げ時には、その後の反動減が3か月続き、2014年7月から前年同月比がプラスに回帰したという実績がありますが、今回の税率引上げ後の消費のプラス回帰にどれくらいの期間を要するのか、については、世間一般ではそれほど注目されていないように見受けるものの、少なくとも私は先行き景気動向の観点から考慮すべきと受け止めています。なお、どうでもいいことながら、最近の小売業販売額でもっとも前年同月比の落ち込みが大きかったのは、実は、2015年3月の▲9.7%なんですが、これは2015年3月に何かがあった、というよりは、その前年の2014年3月に消費税率引上げ前の駆込み需要が余りに大きかった、と考えるべきです。

この商業販売統計は供給側の統計ですから、国内家計の消費だけでなくインバウンド消費が含まれるんですが、10月統計はやや複雑な動きを示しています。すなわち、韓国からの訪日観光客が大きく減少している一方で、ラグビーのワールドカップ開催に伴い消費単価の大きい欧州からの訪日観光客が増加しています。観光庁統計では、後者が前者より影響大きいと出ているようです。
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