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2019年12月04日 (水) 19:30:00

経済協力開発機構(OECD)による生徒の学習到達度調査(PISA2018)の結果やいかに?

昨日12月3日、経済協力開発機構(OECD)から昨年2018年に実施された生徒の学習到達度調査 (PISA2018) の結果が公表されています。PISAとは、Programme for International Student Assessment の略であり、15歳児を対象に読解力 reading、数学 mathematics、科学 science の3科目について、3年ごとに国際的に調査を実施し、結果は広く公表されており、データもかなり詳細に提供されています。2000年が初回の調査であり、昨年2018年のPISAは第7サイクルに当たり、79か国・地域の15歳の生徒約60万人が参加しています。以下、OECDの1次資料とともに、国立教育政策研究所のサイトにあるリポートなどをもとに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上の棒グラフは、OECDのサイトから引用していて、たぶん、読解力 reading の得点でソートされているんではないかと思います。一番上の B-S-J-Z (China) とは、一番下の脚注にあるように、北京・上海・江蘇・浙江のことです。中国はOECD加盟国ではありませんが、かなり前からPISAから参加しているのではないか、と記憶しています。
上のグラフのソートの仕方を見ても判る通り、今回の焦点は読解力に当てられており、ほとんどの生徒がコンピュータを使って回答しています。そして、我が日本は焦点の読解力で世界における順位を下げ続けています。すなわち、2012年調査では4位を占めていたにもかかわらず、2015年調査では8位、そして、今回2018年調査では15位まで後退しました。もっとも、これは首位から4位までの中国各都市やシンガポールといったOECD非加盟国を含めてのお話ですので、OECD非加盟国を加盟国の中では11位ということになります。報道などを見ると、パソコンを使ったコンピューター形式のテスト形式に不慣れなことや、記述式の問題を苦手としていることなどが要因として考えられる一方で、当然ながら、本や新聞などをよく読む生徒の方が平均点は高く、読解力低下の結果には読書量の減少も影響しているのではないか、という見方が示されています。15年前のPISA2003の結果でも、読解力は大きく順位を下げて「PISAショック」というバズワードも出てきたりし、いわゆる「ゆとり教育」を見直すきっかけのひとつとなりました。
ただ、いつも楽観的な見方を示す私としては、いくつか別の観点を示しておきたいと思います。まず、上の画像の一番下にも見られる通り、読解力のOECD平均スコアは487であり、日本の501はこれをまだ何とか上回っています。また、焦点となった読解力は順位を落としている一方で、数学は全79カ国・地域の中では6位なものの、OECD加盟国としては韓国を押さえてトップですし、科学も全79カ国・地域の中で5位、OECD加盟国の中でもエストニアとわずかに1点差の2位につけており、両国スコアの間に統計的に有意な差は見られません。まだまだ、日本の生徒や中等教育は優秀であるといえます。次回の第8サイクル2021年実施のPISAでは数学にスポットが当てられる予定ですので、「ヤッパリ、日本の生徒は優秀」という論調が戻るような気がしないでもありません。

最後に、こういった学習結果の基礎をもとに考えると、現場の技術者は優秀で先進国トップクラスだが、経営者は先進国の中でも平均レベル、という一般的な日本に対する見方を強く支持している、といえそうな気がします。
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