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2019年12月27日 (金) 19:20:00

2か月連続で減産となった鉱工業生産指数(IIP)と消費税率引上げのダメージ残る商業販売統計と堅調ながら改善のモメンタム薄れつつある雇用統計!

今日は官庁のご用納めで、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から▲0.9%の減産を示し、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲2.1%減の11兆8670億円、季節調整済み指数は前月から+4.5%増を記録しています。雇用統計では、失業率は前月とから▲0.2%ポイント低下して2.2%、有効求人倍率は前月から横ばいの1.57倍と、いずれもタイトな雇用環境が続いているように見受けられます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、11月も0.9%低下 台風や海外向け低調で
経済産業省が27日発表した11月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比0.9%低下し97.7だった。10月に4.5%低下と大幅に落ち込んだのに続く2カ月連続の低下となった。生産用機械などで台風19号の影響が続いたほか、海外の設備投資の減速も響いた。企業の先行き予測は上昇を見込むが、基調判断は「弱含み」で据え置いた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.2%低下)より低下幅は小さかった。それでも台風19号で被害を受けた10月からさらに減産となり、指数は13年4月以来、約6年半ぶりの低水準となった。
業種別では15業種中12業種が低下した。最もマイナスの寄与が大きかったのが生産用機械で、前月比8.9%低下した。台風19号の影響で部品の調達が滞り、生産が鈍った悪影響が残った。半導体製造装置は海外向けの生産が低調だった。
自動車は10月に大幅に落ち込んだ反動が出たほか、新型車の販売が好調で、11月は4.5%増えた。それでも10月の落ち込み(7.9%低下)を補う力強さはなかった。
経産省は10月の消費増税について「生産面でそれほど大きな影響は見られない」とした。指数を財別でみると、家電などの耐久消費財は4.8%の上昇、食料品などの非耐久消費財は0.3%の上昇だった。
もっとも、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「消費財は10月に大幅に低下した反動で上がっただけで、国内消費の落ち込みは生産に影響している」と指摘する。その上で、11月の指数低下について「米国など海外の設備投資需要の減速も重なった」と語り、台風よりも海外需要が低調であることの影響が大きいとの見方を示した。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、12月は前月比2.8%の上昇、20年1月は2.5%の上昇を見込む。経産省は「先行きは上昇に転じる兆しがある」とする一方で、足元で指数の低下が続いていることから基調判断は「弱含み」のまま据え置いた。予測調査の数字をそのままあてはめると、10▲12月の生産は7▲9月比で低下し、四半期ベースで2期連続のマイナスとなる。
11月の出荷は1.7%の低下と2カ月連続で悪化した。在庫は1.1%低下と2カ月ぶりに前月比でマイナスだった。
小売販売額11月2.1%減 増税で自動車など高額品低調
経済産業省が27日発表した11月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比2.1%減の11兆8670億円だった。10月の消費税率引き上げ前に表れた駆け込み需要の反動減が11月も残った。特に自動車や家電、宝飾品など高額商品の販売が低調だった。10月の7.0%減より下げ幅は縮小したが、前回の増税2カ月目にあたる2014年5月の0.4%減よりは大きかった。
減少は2カ月連続。経産省は「9月までに前倒しで高額品を買った人は購入を控えている」との見方を示した。前回の増税とは季節が違うため単純比較は難しいが、減少率だけを見ると、直後の10月に続いて前回増税時より大きかった。一般的に消費が盛り上がる年末年始も増税を受けた節約モードが続くのかが今後の焦点となる。
小売業販売を商品別にみると、自動車小売業が前年同月比5.9%減と大きく落ち込んだ。新車だけでなく中古車や輸入車の販売も不調だった。家電など機械器具小売業は7.8%減。駆け込み需要が大きかったエアコンなど高額な家電の販売が伸び悩んだ。原油価格が下落し、燃料小売業も6カ月連続で減少した。
業態別では、百貨店の販売額が5.9%減で2カ月連続で前年を下回った。11月は気温が高い日が続き、コートなど冬物衣料の動きが鈍かったことも影響した。訪日観光客の減少も引き続き販売を下押ししている。家電大型専門店は5.5%減った。
一方、コンビニエンスストアの販売額は2.3%増と2カ月連続で増加した。大手コンビニでは10月からキャッシュレス決済に2%分のポイントをその場で還元しており、コンビニでの買い物が増えている。
失業率3カ月ぶり改善 11月2.2%、求人倍率横ばい
総務省が27日に発表した11月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.2ポイント改善し2.2%だった。離職者が減ったことで失業者数も減り、3カ月ぶりに改善した。厚生労働省が同日発表した11月の有効求人倍率(同)は3カ月連続の1.57倍となった。製造業など一部業種に陰りがあるものの、全体では堅調な雇用情勢が続いている。
完全失業者数は前年同月比17万人減の151万人。総務省によると、1992年12月の失業者数が144万人となって以来、26年11カ月ぶりの低水準という。自己都合の離職者が12万人減と大幅に減ったことが大きい。
就業者数は同53万人増の6762万人だった。特に女性の就業者が42万人増の3009万人と大きく増えた。男性の就業者数も11万人増の3753万人で増加した。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率も3カ月連続の1.13倍となった。雇用の先行指標となる新規求人倍率は前月から0.12ポイント低下し2.32倍だった。
新規求人数は前年同月比6.7%減の90万1638人で、4カ月連続で減少した。米中貿易戦争の影響を受けている製造業が19.3%減と、10カ月連続で減った。サービス業も13.1%減と減少幅が大きかった。


いくつかの統計を取り上げていますので長くなりましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、中央値で前月から▲1.2%の減産、レンジでも▲2.3%~▲0.2%の減産でしたから、おおむねコンセンサス通りの結果といえます。生産・出荷ともに2か月連続で低下を示しており、在庫は引用した記事にもあるように前月比でマイナスとはいえ高止まりしていて、内外の需要の低迷が伺える内容です。業種別では、生産用機械工業と電気・情報通信機械工業が生産・出荷ともに低下している一方で、自動車工業と輸送機械工業(自動車工業除く)、さらに、電子部品・デバイス工業などは増産となっています。ただし、製造工業生産予測指数によれば、足元の12月は+2.8%、来年1月も+2.5%のそれぞれ増産と見込まれており、それほど悲観的になる必要はないものの、12月については予測誤差を考慮すれば前月比で+0.4%の増産にしか過ぎませんから、10月▲4.5%の減産どころか、直近統計の11月▲0.9%にも及びませんから、目先の生産は低い水準で推移すると考えるべきです。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。消費の代理変数となる小売販売額を見ると、消費税率引上げの当月だった10月の前年同月比▲7.0%減から、11月は▲2.1%減とマイナス幅は縮小しました。前回2014年4月の消費税率引上げ後の動向を振り返ると、引上げ当月の4月▲4.3%減、5月▲0.4%減、6月▲0.6%減と、3か月連続マイナスを記録したものの、7月は+0.6%増とプラスに回帰しています。今回の消費税率引上げのダメージがどのくらい続くかにも注目が必要です。11月統計の小売業販売額を業種別に見ると、燃料小売業が大きなマイナスになっているのは国際商品市況における石油価格の下落が朱印としても、引用した記事にもあるように、自動車小売業や電機製品を含む機械器具小売業などの比較的高額な耐久消費財を含む業種のマイナスが大きいのがひとつの特徴となっており、インバウンド観光客の人気の医薬品・化粧品小売業はプラスを続けています。

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続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた期間は景気後退期を示しています。ということで、失業率は2%台前半まで低下し、有効求人倍率も1.5倍超の高い水準を続けています。加えて、グラフはありませんが、正社員の有効求人倍率も1倍超を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ2年半近くに渡って1倍以上の水準で推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近いタイトな状態にあると私は受け止めています。ただ、モメンタム、すなわち、方向性については、失業率も有効求人倍率もジワジワと雇用改善が停滞する方向にあることは確かです。雇用の先行指標である新規雇用者数の業種別統計は季節調整済みの系列が公表されていないため、季節調整していない原系列の前年同月比はすべての産業でマイナスだったんですが、特に、製造業が▲19.3%減、卸売業・小売業が▲9.9%減となっており、米中貿易摩擦に起因する外需の減速と消費税率引上げによる消費の低迷が際立っているように見受けられます。

いつも強調している通り、雇用は生産の派生需要であり、生産が鉱工業生産指数(IIP)で代理されるとすれば、基調判断は「生産は弱含んでいる」であり、先行き、景気局面が転換して景気後退局面に入れば、雇用は急速に冷え込む可能性もあります。生産が雇用増加をけん引しているのであって、人手不足が景気を拡大させているわけではありません。場合によっては、本格的な賃金上昇が始まる前に景気の回復・拡大局面が終了してしまう可能性も排除できません。
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