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2020年02月21日 (金) 23:00:00

1月の消費者物価(CPI)はエネルギー価格が上昇に転じて37か月連続のプラス!

本日、総務省統計局から1月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から少し拡大して+0.8%を示しています。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+0.8%でした。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の全国消費者物価、0.8%上昇 ガソリン上がる
総務省が21日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が102.0と前年同月比0.8%上昇した。プラスは37カ月連続。材料費や人件費の高止まりを背景とした外食などの上昇に加え、ガソリン価格が8カ月ぶりにプラスに転じたことも物価上昇に寄与した。1月中旬時点の調査結果のため、新型コロナウイルス感染症の影響は「見られなかった」(総務省)という。
上昇率は2019年12月の0.7%から、小幅に拡大した。原油価格の上昇でガソリンや灯油の価格が上昇に転じた。もっとも、足元で原油価格は下落傾向にあり、総務省は「今後の動きを注視したい」とした。携帯電話の通信料は大手各社の値下げの影響で、引き続き物価の下げ圧力となった。
1月の生鮮食品を除く総合では388品目が上昇した。下落は110品目、横ばいは25品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
1月の全国CPIで、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.9と0.8%上昇した。生鮮食品を含む総合は102.2と0.7%の上昇。暖冬の影響で、タマネギやブロッコリーなどの生鮮野菜の出荷水準が高く、野菜価格が高騰していた19年1月に比べると「価格が下がっている」(総務省)という。
総務省は昨年12月の消費税率引き上げの影響を配慮したCPIの試算値も公表した。総務省の機械的な試算によると、消費税率引き上げと幼児教育・保育無償化の影響を除いた場合、1月の生鮮食品を除く総合の物価上昇率は19年12月と同じ0.4%だった。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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ということで、昨年2019年の10月統計から消費税率の引上げと幼児教育・保育無償化の影響が現れており、これを含んだ結果となっていて、引用した記事にもあるように、その影響の試算結果が「消費税率引上げ及び幼児教育・保育無償化の影響 (参考値)」として総務省統計局から明らかにされています。少し話がややこしいんですが、この参考値によれば、10月統計について、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIのヘッドライン上昇率+0.4%に対する寄与度が+0.37%となっていて、その+0.37%に対する消費税率引上げ及び幼児教育・保育無償化の影響が合わせて+0.20%、分けると消費税率引上げが+0.77%、幼児教育・保育無償化が▲0.57%と、それぞれ試算結果が示されています。1月統計ではコアCPI上昇率が+0.8%と少し上昇幅を拡大しているものの、このコアCPI上昇率+0.8%のうちの+0.20%が制度要因からの寄与と考えるべきです。実際に、統計局がExceelファイルで提供している消費税調整済指数では、10月と11月は消費税の影響を除くコアCPIの前年同月比上昇率はともに+0.2%でしたが、12月統計と1月統計では+0.4%にやや加速しています。このコアCPI上昇率の加速の大きな要因はエネルギーであり、かなりの程度に、国際商品市況における石油価格に連動しています。ただし、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も12月と1月統計では+0.6%に達しています。先行きについては、新型コロナウィルスの動向が何とも不透明です。ウィルスそのものの動向が不透明なうえに、ウィルスの影響についても未確定です。常識的に考えれば、需要の減退から需給ギャップがマイナス方向に振れて物価引下げ要因になると考えられますが、「世界の工場」の中国が震源地であり感染拡大の中心ですから、何らかの財のサプライチェーンにおけるボトルネックの発生から物価上昇につながるリスクも無視できません。加えて、これまた、新型コロナウィルスの影響なんですが、その前に1月の石油価格の上昇は、米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことにより、中東の地政学的リスクに起因するわけで、それはそれで一時的に収束する一方で、新型コロナウィルスによる中国経済の停滞は石油価格を押し下げる要因となります。ですから、エネルギー価格が我が国物価を押し上げたのは1月だけの一時的な現象と考えるべきで、2月以降はむしろ新型コロナウィルスによりエネルギー価格は下落に向かい、そのため、我が国物価の下押し要因となる可能性が高い、という予測が多いように私は受け止めています。例えば、日本総研のリポート「新型肺炎による原油市場への影響をどうみるか」、あるいは、みずほ証券のリポート「マーケット・フォーカス 商品: 原油・金・銅」などでは、新型コロナウィルスによる中国の原油需要の下振れとそれに伴う原油価格低下の可能性を示唆しています。さらに加えて、4月からは高等教育無償化が始まり、いっそうの物価引下げをもたらしかねませんから、日銀の物価目標達成はまだまだ先のことかもしれません。
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