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2020年04月20日 (月) 17:00:00

新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により輸出入が落ち込む3月の貿易統計!!!

本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲11.7%減の6兆3579億円、輸入額も▲5.0%減の6兆3529億円、差引き貿易収支は+49億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短かに引用すると以下の通りです。

3月の貿易統計、輸出は11.7%減 米向け輸出は震災直後以来の減少率
財務省が20日発表した3月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年同月比11.7%減の6兆3579億円だった。16カ月連続の減少で、米国向け自動車や中国向け自動車部品の輸出などが低調だった。輸入額は5.0%減の6兆3529億円だった。11カ月連続の減少で、オーストラリアからの石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入などが減った。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は49億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。
対米国の輸出額は16.5%減の1兆1821億円だった。減少率は東日本大震災直後にあたる2011年4月以来の大きさ。新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延の影響で、自動車や航空機向けエンジンの輸出が落ち込んだ。一方、米国からの輸入額は1.3%増の7453億円で、貿易収支は4368億円の黒字だった。黒字幅の縮小は3カ月ぶり。
対中国の輸出額は8.7%減の1兆1906億円だった。半導体製造装置などが振るわなかった。輸入額は4.5%減の1兆4318億円で、コンピュータ関連部品や衣類などが不調だった。貿易収支は2412億円の赤字となった。
対欧州連合(EU)の貿易収支は373億円の赤字だった。赤字は9カ月連続。
同時に発表した2019年度の貿易収支は1兆2912億円の赤字で、2年連続の赤字となった。


いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、先週4月14日に国際通貨基金(IMF)から公表された「世界経済見通し」 World Economic Outlook, April 2020 においては、財貨サービスの世界貿易数量 World Trade Volume (goods and services) は今年2020年には前年比▲11%の大きな落ち込みを見せると予想されています。石油価格や一次産品価格などは明らかに前年比マイナスでしょうから数量だけでなく価格も落ちると考えるべきで、数量に価格をかけ合わせた金額ベースでは、さらに大きな減少を記録することが軽く予想されます。ですから、我が国貿易も今日発表の3月統計あたりから大きく落ち込むと予想されていましたが、まずは予想の範囲内であったと私は受け止めています。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、貿易収支は小幅の黒字+4024億円、ということでしたから、まあ、実績の+49億円は予想レンジ下限の+452億円を下回っているとはいえ、大きなサプライズではなかったと考えるべきです。冒頭に書いたように、季節調整していない原系列の統計による前年同月比ながら輸出が▲11.7%減に対して輸入は▲5.0%減ですから、極めて大雑把に考えると、為替などの価格要因を無視すれば、所得要因では我が国経済の落ち込みは相対的に見ると世界全体ほど大きくはなかった、ということになります。我が国の輸入をやや詳しく品目別に見ると、鉱物性燃料こそ価格の下落で▲11.6%減を記録したものの、食料品+0.5%増、原料品+1.9%増などと増加を示している一方で、一般機械が▲9.6%減、輸送用機器が▲8.3%減となっています。国内需要に支えられた食料品などが増加した一方で、輸出の元になるカテゴリーが減少を示していると理解すべきです。

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続いて、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数(CLI)の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。OECD/CLIはCOVID-19というイレギュラーな要因発生のために、3月時点で1月統計の公表が見送られ、逆に、というか、何というか、4月公表時には3月統計まで明らかにされています。OECD/CLIは1か月のリードを取っていますので、直近の3月データは上のグラフでは4月にプロットされており、真ん中のパネルのOECD加盟国全体が典型なんですが、直近データで大きく落ち込んでいるのが見て取れます。明らかに、COVID-19の影響であると私は受け止めています。そして、我が国輸出から見て、世界全体では季節調整していない原系列の輸出の前年同月比は▲11.%減なんですが、地域別にビミョーな差が出ています。すなわち、アジア向け輸出が▲9.4%減と平均以下にとどまっているのに対して、北米向けは▲16.5%減と、米国が世界最大のCOVID-19の感染国であるという事実を裏付けている気もします。また、西欧は▲13.2%減と、これも平均をやや上回る減少を記録しています。このあたりの我が国輸出統計とCOVID-19の感染拡大の影響は、かなり整合性あると私は考えています。

少なくとも、足元の4~6月期の四半期で見て、世界経済が劇的なV字回復を見せると考えているエコノミストは少数派ではなかろうかと私は考えています。他方で、現在のような外出自粛を続けるのは、私自身は自信がなく、実際に解決されるとすれば、東大病院の前田恵理子医師がFacebookに投稿したように、「収束に必要な条件は、ワクチンができて集団接種が進む、の1択」なのかもしれないと思い始めています。
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