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2020年05月27日 (水) 16:00:00

世銀による購買力平価の調査結果と世界経済の規模やいかに?

先週5月21日に貿易統計を取り上げた際にチラリと触れましたが、5月19日に世銀から Purchasing Power Parities and the Size of World Economies: Results from the 2017 International Comparison Program と題するリポートが明らかにされています。2017年の調査に基づく購買力平価とそれにより評価した世界経済の規模に関するリポートです。その前は2011年調査に基づいた同様のリポートが2015年に出版されていますから、購買力平価に関するリポートは6年ぶりといえます。
リポートでは、2017年の世界経済の規模は120兆ドル近くに達し、半分超が低所得国と中所得国で生み出されていル事実を明らかにしています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。世の中のニュースが新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関係するものが多くを占める中、国際機関のこういったリポートに着目するのは、私のこのブログの特色のひとつでもあり、いくつか典型的なグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートp.4からFigure 1.3 Share of PPP-based global actual individual consumption for the six economies with the largest shares, 2017を引用しています。2017年購買力平価で評価した国別GDPを上位6国まで示してあります。もちろん、世界トップは米国でありシェアは18.6%、ついで中国の12.2%、インドの7.0%のトップスリーの後に我が日本が4位で4.4%を占めています。ただ、ドイツやロシアよりはまだ経済規模で上回っているようです。まあ、こんなもんだろうという気はしますが、こういった巨大経済圏はCOVID-19でかなり深い景気後退に陥っているように見えますので、この先についてはまだ何ともいえません。

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次に、上のグラフはリポートp.7からFigure 1.9 PPP-based actual individual consumption per capita and share of global population, by economy, 2017を引用しています。横軸に2017年購買力平価で評価した1人当たりGDPを取り、縦軸には人口を取ってプロットしています・横軸の1万ドル強のところに破線が縦に引かれており、世界の平均1人あたりGDPである$10,858が示されています。国単位の購買力平価GDPでは中国やインドの後塵を拝した日本ですが、1人当たりGDPという「豊かさ」の指標ではまだまだアジア各国を上回るポジションにあります。ただ、ドイツや欧州の小さな経済規模の国の中には我が国を上回る1人当たりGDPを示す国も少なくないのは事実です。

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次に、上のグラフはリポートp.9からFigure 1.12 Lorenz curves for the distributions of 2017, revised 2011, and original 2011 PPP-based GDP per capitaを引用しています。なかなか興味を引くグラフであり、1人当たりの購買力平価GDPでローレンツ曲線を描いています。45度線からローレンツ曲線が離れている面積が不平等指標であるジニ係数ですから、わずかとはいえ、赤い実線でプロットされている2017年調査結果は青い破線の2011年結果より不平等の度合いが改善していることが明らかにされています。グラフ右下に見えるように、2011年0.487から2017年には0.474となっています。また、リポートp.87には"the share of the global population living in economies where the mean GDP per capita is below the global average increased from 72.1 percent to 75.9 percent"と明記されていて、同じ期間に1人当たり購買力平価GDPが世界平均を下回る国の人口が減少しています。国連ミレニアム開発目標(MDGs)などの成果ではないかと私は受け止めています。

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最後に、上のグラフはリポートp.10からFigure 1.14 GDP price level index versus PPP-based GDP per capita (and PPP-based GDP), by economy, 2017 and 2011を引用しています。横軸が1人当たりGDP、縦軸が物価水準で各国経済規模のバブルチャートでプロットしています。大雑把に正の相関があり、右上がりの相関曲線が引けそうです。1人当たり購買力平価GDPで見た「豊かな国」ほど物価が高い、という当然の結果が示されています。2011年時点では、我が国は欧米主要国よりもかなり物価水準が高かったのですが、2017年調査結果では、まだドイツなどよりは物価が高いものの、米国を下回るレベルまで落ちているのが見て取れます。相対的に物価が下がっているわけで、デフレ傾向が続いていると考えるべきです。

英文で200ページを超えるボリュームですので、第1章を中心にした部分を取り上げています。このリポートを担当したのは、世銀で開発政策・パートナーシップ担当のマリ・パンゲストゥ専務理事です。今年2020年3月に就任したばかりですが、20年近く前に私が政府開発援助(ODA)のお仕事で家族とともにジャカルタにいたころ、インドネシア政府の大臣を務めていた記憶があります。
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