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2007年06月29日 (金) 20:03:00

消費者物価のマイナス0.1%は日銀のストライクゾーンか?

今日も朝から割合といいお天気で、気温も上がって蒸し暑かったですが、昼過ぎから雲が広がり、夕方になって雨が降り出しました。日中は蒸し暑かったです。

今朝、重要な経済指標が2つほど発表されました。先月5月の失業率と消費物価です。失業率の方は3.8%、消費者物価もマイナス0.1%と、どちらも前月と同じ結果でした。市場の予想をジャストミートし、3ヶ月連続の前月比マイナスを記録した昨日の鉱工業生産指数と違って、一見したところ、何らサプライズはありませんでした。NIKKEI.NETから引用すると以下の通りです。

総務省が29日発表した5月の全国の消費者物価指数 (CPI、2005年=100) は、生鮮食品を除く総合が100.1と、前年同月比0.1%下落となった。下落は4カ月連続。項目別で価格の下落幅が大きかったのは家具・家事用品と教養娯楽(1.4%下落)だった。生鮮食品を含む総合では100.4と、横ばいだった。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(0.1%下落)と同じだった。
同時に発表した6月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合で100.0と、前年同月比0.1%下落した。

引用にもある通り、CPIコアが前年同月比でマイナスをつけるのは4ヶ月連続です。繰返しになりますが、このあたりは市場の予想通りでしたが、少し市場予想と違ったのは引用にもある東京都区部のCPIコアで、市場ではゼロと予想していたんですが、統計ではマイナスをつけました。3ヶ月振りのマイナスでした。ネガティブ・サプライズと受け取る向きもあったようです。地価動向との相関がよく分からないものの、家賃の方向感からすればプラスもあり得ると私は考えていただけに、少し意外感がありました。細かく見ると東京都区部の家賃は上昇しましたが、結果的には、CPIコア全体を押し上げるほどでもなかったと言うことになります。
東京都区部のCPIがどこまで全国CPIの先行指標になるかは議論が分かれます。特に、家賃の動向が全国の先行指標になりにくい局面が続いているからです。しかし、全国の10%余りのシェアを有する東京都区部が全国からかけ離れて動くことも想定しづらいわけですから、東京都区部のコアCPIがマイナスを続けることは、それだけ、全国のCPIがマイナスを続ける期間も長くなりそうな気がしないでもありません。原油価格は指標となるWTIで70ドルに近づいているんですが、少なくとも、6月の全国のコアCPIは5ヶ月連続でマイナスを続ける可能性が大きいと考えられます。その先については、私は秋口には全国のコアCPIもプラスに復帰すると予想していたんですが、もう少し先になる可能性も排除出来なくなりました。
しかし、いずれにせよ、4-5月の全国コアCPIが0.1%下落のマイナスで止まっているんですから、ゼロ近傍と称する日銀のストライクゾーンに入っている可能性が高いと考えられます。口の悪い人に言わせれば、ゼロのゴロはいうまでもなく、マイナスのワンバウンドまでストライクなんですから、平均的に考えても、今日のCPIが8月の金融政策決定会合で日銀が利上げを決めるのを止めるほどのインパクトはないと言えます。別の言い方をすれば、今日発表されたCPIの金融政策への影響はニュートラルであったと言えます。

欧州中央銀行 (ECB) は次回理事会で利上げするでしょうし、日銀も8月のお盆明けの金融政策決定会合での利上げが確実視されています。米国の連邦準備制度理事会 (FED) は利上げにせよ、利下げにせよ、年内は動きようがないと見られていますし、世界的に見ても、半年先までの金融政策はベタ凪の状態が続きそうな気がします。夕刊でも報道されていましたが、私を含めた公務員にはボーナスが支給されましたし、知り合いのエコノミストからはまるでパロディのように見える「週末の読み物」なるレポートが送られて来たりしました。昨年も考えましたが、今年もエコノミストの夏休みは長いのかもしれません。
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